JP6171636B2 - 赤外線検知装置 - Google Patents

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本発明は、赤外線検知装置に関する。
従来、入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子を備える赤外線検知装置がある。
このような赤外線検知装置としては、例えば、赤外線検知素子を2次元状に配列したFocal Plane Array(FPA)型赤外線検知装置がある。
特表2011−508243号公報 特表2008−541133号公報
ところで、同一の入出力特性を有する複数の赤外線検知素子を作製するのは難しい。つまり、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が出力される、複数の赤外線検知素子を作製するのは難しい。例えば、FPA型赤外線検知装置に備えられる複数の赤外線検知素子の入出力特性を同一にするのは難しい。
このため、赤外線検知素子が異なると、同一強度の赤外線が入射しているにもかかわらず、異なる電気信号が出力されてしまうことになる。例えば、FPA型赤外線検知装置では、強度が面内で均一な赤外線が入射しているにもかかわらず、複数の赤外線検知素子から出力される電気信号には分布が生じてしまうことになる。
そこで、赤外線検知素子から出力される電気信号を、赤外線検知装置に備えられる信号処理部で補正することで、赤外線検知素子が異なっても、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られるようにすることが考えられる。例えば、FPA型赤外線検知装置では、各赤外線検知素子から出力される電気信号を信号処理部で補正することで、強度が面内で均一な赤外線が入射した場合に、各赤外線検知素子から出力される電気信号が均一になるようにすることが考えられる。
この場合、例えば2つの赤外線源を用いて、既知強度の赤外線を赤外線検知素子に入射し、そのときに赤外線検知素子から出力される電気信号を取得し、これらの2点間で赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定して、線形補間によって、対象物体からの赤外線が赤外線検知素子に入射したときに赤外線検知素子から出力される電気信号を補正することが考えられる。
しかしながら、実際には、赤外線検知素子の入出力特性は線形ではないため、補正ずれが生じ、赤外線検知素子から出力される電気信号を補正して得られた赤外線強度(又は赤外線強度相当の黒体温度)と、実際の対象物体からの赤外線強度(又は赤外線強度相当の黒体温度)とが異なってしまうことになる。
例えば図14に示すように、赤外線検知素子に温度Tの黒体相当の強度の赤外線を入射し、そのときに赤外線検知素子から出力される電気信号Vを取得する。また、赤外線検知素子に温度Tの黒体相当の強度の赤外線を入射し、そのときに赤外線検知素子から出力される電気信号Vを取得する。そして、対象物体からの赤外線が赤外線検知素子に入射したときに赤外線検知素子から出力された電気信号がVであった場合、実際の赤外線検知素子の入出力特性(図14中、実線B参照)によれば、対象物体の温度はTであるとされ、赤外線検知素子から出力される電気信号が正しく補正されるべきところ、2点間で赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定すると(図14中、点線A参照)、対象物体の温度はT′であるとされ、赤外線検知素子から出力される電気信号が誤って補正されてしまうことになる。
ここで、赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定して赤外線検知素子から出力される電気信号を補正する場合、温度変化をdTとした場合の赤外線検知素子から出力される電気信号の変化をdVとし、aを定数とし、Cを積分定数として、
Figure 0006171636
という関係式に基づいて、赤外線検知素子から出力される電気信号を補正することになる。
そして、上述のように、補正ずれが生じ、誤って補正されてしまうのは、赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定し、上記関係式において定数aを用いていることに起因する。
そこで、実際の赤外線検知素子の入出力特性に応じて、赤外線検知素子から出力される電気信号を精度良く補正できるようにしたい。
本赤外線検知装置は、入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子と、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含む関係式に基づいて、赤外線検知素子から出力された電気信号から対象物体の温度を求める信号処理部とを備え、関係式が、赤外線検知素子から出力される赤外線強度相当の電気信号をV とし、温度変化をdTとした場合の赤外線検知素子から出力される赤外線強度相当の電気信号の変化をdV とし、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分を温度Tの関数であるf(T)として、
Figure 0006171636
で表され、関係式の赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に含まれる温度Tの関数f(T)は、赤外線検知素子の波長応答特性におけるピーク波長をλpとし、実係数をxとし、ボルツマン定数をk とし、プランク定数をhとし、真空中での光速をcとして、
Figure 0006171636
で表されることを要件とする。
また、本赤外線検知装置は、入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子と、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含む関係式に基づいて、赤外線検知素子から出力された電気信号から対象物体の温度を求める信号処理部とを備え、関係式が、赤外線検知素子から出力される赤外線強度相当の電気信号をV とし、温度変化をdTとした場合の赤外線検知素子から出力される赤外線強度相当の電気信号の変化をdV とし、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分を温度Tの関数であるg(T)として、
Figure 0006171636
で表され、信号処理部は、既知温度T 及びT (T >T )の黒体相当の強度の赤外線が入射したときに赤外線検知素子から出力される電気信号がV 及びV である場合、関係式の赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に含まれる温度Tの関数をg(T)とし、
Figure 0006171636
で規定される関数G(T)を用いて、
Figure 0006171636
によって求められたV 、V を用いて、
Figure 0006171636
の方程式の解として、前記赤外線検知素子から出力された電気信号Vから対象物体の温度T(T ≧T≧T )を求めることを要件とする。
したがって、本赤外線検知装置によれば、実際の赤外線検知素子の入出力特性に応じて、赤外線検知素子から出力される電気信号を精度良く補正できるという利点がある。
本実施形態にかかる赤外線検知装置の構成を示す図である。 (A)は、赤外線検知素子の分光応答特性を示す図であり、(B)は、ガウシアン形状のフィッティング関数を用いたフィッティングパラメータの決定方法を説明するための図であり、(C)は、複数のガウシアン形状のフィッティング関数を用いたフィッティングパラメータの決定方法を説明するための図である。 (A)は、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値と温度Tとの関係(〈∂W/∂T〉−T)を示す図であり、(B)は、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値にf(T)によって求めた値をフィッティングさせて実定数xの値を決定する方法を説明するための図である。 (A)、(B)は、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値にf(T)によって求めた値をフィッティングさせて実定数xの値を決定する方法を説明するための図である。 (A)、(B)は、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値にf(T)によって求めた値をフィッティングさせて実定数xの値を決定する方法を説明するための図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置の構成を示す図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置に備えられる赤外線イメージセンサの構成を示す図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置の赤外線イメージセンサに備えられる赤外線検知素子からの信号の読み出しを説明するための図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における補正方法の第1の実施例を示すフローチャートである。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における補正方法の第1の実施例の信号処理部に備えられる入出力特性較正データ保存部及び補正演算部の構成の一例を示す図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における補正方法の第2の実施例を示すフローチャートである。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における補正方法の第2の実施例の信号処理部に備えられる入出力特性較正データ保存部及び補正演算部の構成の一例を示す図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における補正方法による効果を説明するための図である。 本発明の課題を説明するための図である。
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかる赤外線検知装置について、図1〜図13を参照しながら説明する。
本実施形態では、図1に示すように、赤外線検知装置1は、入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子10と、赤外線検知素子10から出力される電気信号を処理する信号処理部4とを備える。なお、赤外線検知装置1を、赤外線検知器又は赤外線撮像装置ともいう。また、赤外線検知素子10を、赤外線受光素子ともいう。また、信号処理部4を、信号演算部又は制御演算部ともいう。
特に、本赤外線検知装置1では、信号処理部4は、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数(即ち、温度を変数とする関数)を含む関係式に基づいて、赤外線検知素子10から出力される電気信号(ここでは電圧;出力電圧)を補正するようになっている。
ここで、関係式は、赤外線検知素子10から出力される赤外線強度相当の電気信号をVとし、温度変化をdTとした場合の赤外線検知素子10から出力される赤外線強度相当の電気信号の変化をdVとし、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分を温度Tの関数であるf(T)(Tを変数とする関数)として、次式のように表される。なお、関数f(T)を、赤外線強度の温度に対する依存性を表す関数ともいう。
Figure 0006171636
この関係式は、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含むため、実際の赤外線検知素子10の入出力特性に応じて、対象物体からの赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される電気信号を精度良く補正することが可能となる。
ここでは、関係式の赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に含まれる温度Tの関数f(T)は、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、赤外線検知素子10の波長応答特性をR(λ)とし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、次式のように表される。なお、波長応答特性を、波長分散、分光特性、又は、規格化分光応答特性ともいう。また、次式で表される関数f(T)を、後述の近似関数f(T)と区別するためにF(T)又は〈∂W/∂T〉と表記する場合がある。
Figure 0006171636
これを近似すると、赤外線検知素子10の波長応答特性におけるピーク波長をλpとし、実係数をxとし、ボルツマン定数をkとし、プランク定数をhとし、真空中での光速をcとして、次式のように表される。なお、次式で表される関数f(T)を近似関数f(T)という。
Figure 0006171636
ここで、実係数xは、赤外線検知素子10の波長応答特性における半値全幅をFWHMとして、
Figure 0006171636
を満たす温度(任意の温度)Tに対して、
Figure 0006171636
の範囲にあるのが好ましい。
また、実係数xは、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、赤外線検知素子10の波長応答特性をR(λ)とし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、
Figure 0006171636
で表される関数F(T)によって求めた値に近似関数f(T)によって求めた値をフィッティングさせて決められた値であっても良い。
そして、信号処理部4は、既知温度T及びT(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射したときに赤外線検知素子10から出力される電気信号がV及びVである場合、
Figure 0006171636
によって求められたV、Vを用いて、
Figure 0006171636
によって、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから対象物体の温度(未知温度)T(T≧T≧T)を求めることで、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正する。
このようにして補正を行なうことで、既知強度(既知温度)の2つの赤外線源からの赤外線を入射させて測定した2つの測定点を用いた2点補正を行なう場合に、これらの2つの測定点間を補間するのに、赤外線検知素子10の入出力特性に応じた補正曲線が用いられて、赤外線検知素子10から出力される電気信号が補正されることになる。このため、実際の赤外線検知素子10の入出力特性に応じて、対象物体からの赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される電気信号を精度良く補正することが可能となり、未知温度(未知強度)の赤外線の温度(強度)に相当する電気信号を精度良く得ることが可能となる。
ところで、上述のように、実係数xを、関数F(T)によって求めた値に近似関数f(T)によって求めた値をフィッティングさせて決められた値とする場合、以下のような範囲とするのが好ましい。
例えば、実係数xは、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、赤外線検知素子10の波長応答特性をR(λ)とし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、
Figure 0006171636
で表される関数F(T)によって求めた値のうち、温度範囲T〜T(T>T;T≧T≧T)における最大値をF(T)maxとし、最小値をF(T)minとし、T=(T+T)/2として、
Figure 0006171636
の範囲にあるものとするのが好ましい。
また、例えば、実係数xは、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、赤外線検知素子10の波長応答特性をR(λ)とし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、
Figure 0006171636
で表される関数F(T)によって求めた値のうち、温度範囲T〜T(T>T;T≧T≧T)における最大値をF(T)maxとし、最小値をF(T)minとして、
Figure 0006171636
の範囲にあるものとするのが好ましい。
この場合、Tは0℃であり、Tは100℃であるのが好ましい。つまり、本赤外線検知装置1を用いる対象物体の温度は、0℃以上100℃以下であるのが好ましい。これにより、0℃以上100℃以下の温度範囲に含まれる対象物体の温度に相当する電気信号を精度良く得ることが可能となる。
以下、より詳細に説明する。
まず、赤外線検知素子10の入出力特性は線形であると仮定して赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正しているのは、実際の赤外線検知素子10の入出力特性(入射光−出力信号特性)が正確に知られていないことに起因する。
ここで、対象物体の温度Tに対して、その物体から放出される赤外線強度をf(T)とし、そのときの赤外線検知素子10の赤外線強度相当の電気信号出力(光電流相当の電圧)をVとする。対象物体の温度がTからT+dTに変化したとき、物体から放出される赤外線強度の変化はf(T)dTであり、したがって、赤外線検知素子10の電気信号出力の変化dVは、次式のように表現することができる。
Figure 0006171636
しかしながら、実際の赤外線検知素子10の入出力特性が正確に知られておらず、f(T)Vが明らかでない。そこで、線形であると仮定して、線形補間を行なうことになる。
この線形補間では、近似として、f(T)がTによらず、また、dV/dTがVによらない、つまり、f(T)Vが定数aとおけると仮定し、Cを積分定数として、
Figure 0006171636
とする。これが線形補間で仮定される線形性に対応する。
しかしながら、この関係式に基づいて、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正すると、補正ずれが生じ、誤って補正されてしまうことになる(図14参照)。これは、赤外線検知素子10の入出力特性は線形であると仮定し、上記関係式において定数aを用いていることに起因する。
そこで、上述の式において、近似として、f(T)がTによらない、即ち、f(T)が定数aとおけると仮定することが考えられる。この場合、Cを積分定数として、
Figure 0006171636
となる。
しかしながら、この関係式に基づいて、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正したとしても、赤外線強度の温度に対する依存性が加味されていないため、即ち、赤外線強度の温度に対する依存性を表す関数f(T)が定数として扱われているため、補正の精度を向上させるのにも限界がある。
そこで、赤外線検知素子10から出力される電気信号を精度良く補正できるようにするために、f(T)についても近似を行なわないことが考えられる。この場合、Cを積分定数として、
Figure 0006171636
となる。
この関係式に基づいて、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正できるようにするためには、赤外線検知素子10の入出力特性を正確に知り、f(T)の関数形を、解析的に積分操作可能な形で決定することが必要である。
本発明者は、この関数f(T)を、後述の導出過程を経て、次式のように決定できることを見出した。なお、次式で表される関数f(T)を、後述の近似関数f(T)と区別するために、F(T)又は〈∂W/∂T〉と表記する場合がある。
Figure 0006171636
また、この関数f(T)は、後述の近似式の導出過程を経て、実定数xを用いて近似すると、次式のようになる。なお、次式で表される関数f(T)を近似関数f(T)という。
Figure 0006171636
そして、関数f(T)をこのような形に近似した場合、Vを積分定数として、
Figure 0006171636
という式から、
Figure 0006171636
となる。
そして、赤外線検知素子10から出力される電気信号VDCは、これにリーク成分(暗電流相当の電圧)Vを加えて、
Figure 0006171636
となる。
この式は、普遍物理定数(h,c,k)及び別途決められるxλを除けば、未知係数はV,Vの2つであるから、相異なる既知温度T,T(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射したときに赤外線検知素子10から出力される電気信号VDCを、それぞれ、V,Vとし、これらがわかれば、それぞれに対して上記の式を適用した連立方程式の解として、未知係数V,Vを一意に決定することができる。
具体的には、未知係数V,Vを、以下のように決定することができる。
Figure 0006171636
そして、これらのV,Vを用いて、任意の未知温度Tの対象物体(被撮像物体)からの赤外線(赤外光)に応じて赤外線検知素子から出力される電気信号Vを、次式を用いて適切に補正して、その温度T(黒体換算の温度;Tは絶対温度)を算出することができる。
Figure 0006171636
ところで、この算出において必要となるxλの値は、以下のようにして求めることができる。
まず、λは、赤外線検知素子の波長応答特性R(λ)におけるピーク波長である。つまり、赤外線検知素子の波長応答特性R(λ)は、適当な定数sを用いて、
Figure 0006171636
の形に近似することができ、このときのピーク波長である。
このため、例えば当該赤外線検知素子自体、又は、別途作製した同一仕様のパイロット素子などの実測結果からλを求めれば良い。
次に、実定数xは、以下のようにして決めれば良い。
まず、例えば、よく知られているように、λ=λ±3sに対して、R(λ)=exp(−9)〜1.234×10−4であり、その最大値1に対して十分小さいため、現実には、λ=λ±3s の外側の積分範囲ではR(λ)=0であると考えられる。
このため、以下の不等式が成り立つ。
Figure 0006171636
したがって、上記実定数xは、
Figure 0006171636
を満たす範囲に見出されるはずである。
ここで、赤外線検知素子10の波長応答特性R(λ)の半値全幅(Full Width at Half Maximum:FWHM)を考えると、R(λ)=0.5とおいてλについて解くことによって、
Figure 0006171636
が得られるから、上記実定数xの範囲は、
Figure 0006171636
となる。
したがって、この条件を満たす範囲で実定数xを決めれば良い。
なお、実定数xの決め方は、これに限られるものではない。
例えば、当該赤外線検知素子自体、又は、別途作製した同一仕様のパイロット素子などの実測結果などから、その波長応答特性R(λ)を得て、数値計算(数値積分)などの手法を用いて、
Figure 0006171636
で表される関数F(T)によって実際に求めた値に、
Figure 0006171636
で表される近似関数f(T)によって求めた値をフィッティングさせて実定数xの値を決定することも可能である。
例えば、当該赤外線検知素子又はパイロット素子などの実測の結果、その波長応答特性、即ち、(規格化)分光応答特性が、図2(A)に示すようになったとする。
この場合、いわゆるガウシアン形状のフィッティング関数、即ち、
Figure 0006171636
を用いて、図2(B)に示すように、実測結果として得られた分光応答特性に対して、例えば最小自乗法などによって最も良く当該分光応答特性を表すように、上記フィッティング関数に含まれるパラメータ(フィッティングパラメータ)λ及びsを決定する。
なお、この場合、図2(C)に示すように、分光応答特性をより正確に表現するために、複数のガウシアン関数を用いて、R(λ)を、
Figure 0006171636
のように仮定して、λ、s、λpi、sをフィッティングパラメータとして決定しても良い。
以下、簡単のために、一つのガウシアン関数を用いた場合を例に挙げて説明する。
よく知られているように、定積分、即ち、
Figure 0006171636
は、十分小さなΔλに対して、任意のTの値について、
Figure 0006171636
によって、数値的に求めることができる。
同様に、十分小さいΔT及びΔλに対して、任意のTの値について、
Figure 0006171636
を用いて数値的に求めることができる。
したがって、上述のようにして求められる、ガウシアン関数を用いて表現したR(λ)を用いて、
Figure 0006171636
によって、その値を、任意のTの値について、数値的に求めることができる。
ここで、図3(A)は、このようにして実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値と温度Tとの関係(〈∂W/∂T〉−T)を示している。
そして、このようにして実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値と温度Tとの関係に対して、
Figure 0006171636
によって求めた値をフィッティングさせることで、実定数xの値を決定することができる。
例えば、図3(B)中、点線Aで示すように、温度T=50℃で、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値とf(T)の値とが一致するようにフィッティングして、実定数xの値を求めたところ、x=1.0135となった。なお、図3(B)中、破線Bはx=1の場合を示している。このようにして実定数xの値を決めることで、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値と温度Tとの関係がf(T)によって非常に良好な近似として解析的に表現できることがわかる。
なお、適宜適当と考えられる温度Tで、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値とf(T)の値とが一致するようにフィッティングして、実定数xの値を決定しても良いし、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値と温度Tとの関係とf(T)に対して、最小自乗法などによって、適当と考えられる温度範囲における誤差総和を最小にするようにフィッティングして、実定数xの値を決定しても良い。例えば、赤外線検知装置1の応用分野での対象物体の温度の範囲(例えば0℃(水の凝固点)以上100℃(水の沸点)以下)に含まれる着目している任意の温度範囲で、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値とf(T)の値とが一致するようにフィッティングして、実定数xの値を決定するのが好ましい。
ところで、温度Tで、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値とf(T)の値とが一致するようにフィッティングして、実定数xの値を決定する場合、フィッティングした温度Tから離れるにしたがって、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値とf(T)の値とがずれてしまう。
例えば、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値と温度Tとの関係が、図4(A)中、実線Aで示すようになり、f(T)が、図4(A)中、点線B,Cに示すようになる場合がある。ここで、f(T)は、xの値を大きくすると、図4(A)中、下側へシフトし、xの値を小さくすると、図4(A)中、上側へシフトする。ここでは、図4(A)中、点線Bは、xの値を大きくした場合のf(T)を示しており、点線Cは、xの値を小さくした場合のf(T)を示している。また、図4(A)では、温度Tの増加に対する、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の変化が、温度Tの増加に対するf(T)の変化よりも小さい(遅い)場合を示している。ここで、関数f(T)は、
Figure 0006171636
のような依存性を持つから、f(T)はTに関する単調減少関数である。つまり、f(T)は、Tに対して1/Tの依存性を示す。このため、温度Tの増加に対する、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の変化が、1/Tよりも遅いことになる。
ここで、赤外線検知装置1における2点補正は、任意の2点の既知温度T及びT(T>T)を用いて行なうことになる。例えば、2点の既知温度T及びTは、赤外線検知装置1の応用分野において関心が持たれる温度範囲の上限温度及び下限温度、あるいは、その温度範囲に含まれる任意の温度範囲の上限温度及び下限温度とするのが好ましい。
この場合、xの値を大きくして、図4(A)中、点線Bで示すように、温度範囲T〜Tの中で最も低い温度Tでフィッティングすると、それよりも高い温度では、常に、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値がf(T)の値よりも大きくなる。一方、xの値を小さくして、図4(A)中、点線Cで示すように、温度範囲T〜Tの中で最も高い温度Tでフィッティングすると、それよりも低い温度では、常に、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値がf(T)の値よりも小さくなる。
また、例えば、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値と温度Tとの関係が、図4(B)中、実線Aで示すようになり、f(T)が、図4(B)中、点線B,Cに示すようになる場合がある。ここで、f(T)は、xの値を大きくすると、図4(B)中、下側へシフトし、xの値を小さくすると、図4(B)中、上側へシフトする。ここでは、図4(B)中、点線Bは、xの値を大きくした場合のf(T)を示しており、点線Cは、xの値を小さくした場合のf(T)を示している。また、図4(B)では、温度Tの増加に対する、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の変化が、温度Tの増加に対するf(T)の変化よりも大きい(速い)場合を示している。なお、f(T)は、Tに対して1/Tの依存性を示します。このため、温度Tの増加に対する、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の変化が、1/Tよりも速いことになる。
この場合、xの値を大きくして、図4(B)中、点線Bで示すように、温度範囲T〜Tの中で最も高い温度Tでフィッティングすると、それよりも低い温度では、常に、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値がf(T)の値よりも大きくなる。一方、xの値を小さくして、図4(B)中、点線Cで示すように、温度範囲T〜Tの中で最も低い温度Tでフィッティングすると、それよりも高い温度では、常に、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値がf(T)の値よりも小さくなる。
したがって、〈∂W/∂T〉=F(T)とし、温度範囲T〜T(T>T;T≧T≧T)における最大値をF(T)maxとし、最小値をF(T)minとして、実定数xを、
Figure 0006171636
の範囲の値に決定すれば良い。
これにより、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値(即ち、本来の〈∂W/∂T〉の値)と温度Tとの関係にできるだけ近いf(T)を用いることができる。この結果、2点補正を行なう場合に、赤外線検知素子10の入出力特性にできるだけ正確に対応する補正曲線が用いられて、赤外線検知素子10から出力される電気信号が補正されることになる。したがって、実際の赤外線検知素子10の入出力特性に応じて、対象物体からの赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される電気信号を精度良く補正することが可能となる。
特に、温度Tは0℃(273K)であり、温度Tは100℃(373K)であることが好ましい。つまり、2点補正において用いられる既知温度Tを0℃とし、既知温度Tを100℃とするのが好ましい。これは、赤外線検知装置1の応用分野での対象物体の温度範囲(0℃(水の凝固点)以上100℃(水の沸点)以下)に対応する。
この場合、実定数xを、
Figure 0006171636
の範囲の値に決定することになる。
なお、ここでは、赤外線検知装置1の応用分野での対象物体の温度範囲(0℃(水の凝固点)以上100℃(水の沸点)以下)に対応して、温度Tを0℃とし、温度Tを100℃としているが、これに限られるものではない。例えば、赤外線検知装置1の応用分野での対象物体の温度範囲(0℃(水の凝固点)以上100℃(水の沸点)以下)に含まれる着目している任意の温度範囲(即ち、実際上有意な温度範囲)の下限温度をTとし、上限温度をTとしても良い。
また、ここでは、温度T及びTを用いて、実定数xの範囲を規定しているが、これに限られるものではない。
例えば、温度範囲の上限温度と下限温度の中点の温度(中点温度)Tを用いて、実定数xの範囲を規定することもできる。
つまり、〈∂W/∂T〉=F(T)とし、温度範囲T〜T(T>T;T≧T≧T)における最大値をF(T)maxとし、最小値をF(T)minとし、T=(T+T)/2として、実定数xを、
Figure 0006171636
の範囲の値に決定するようにしても良い。
例えば、赤外線検知装置1の応用分野での対象物体の温度範囲が0℃(水の凝固点)以上100℃(水の沸点)以下の場合、温度Tを0℃とし、温度Tを100℃とし、Tを50℃とすれば良い。
この場合、中点温度Tで、f(T)の値が、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値の温度範囲T〜Tにおける最小値と最大値との間に入ることになる。これにより、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値の温度範囲T〜Tにおける最小値又は最大値で、f(T)を一定値とする場合[図5(A),図5(B)中、点線の直線D,Eで示す]と比較して、少なくとも中点温度T近傍を含む温度範囲の半分程度の領域で、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値と温度Tとの関係[図5(A),(B)中、実線A参照]にf(T)[図5(A),(B)中、点線B,C参照]を近づけることができる。
なお、実際上有意な温度範囲が室温近傍である場合には、例えば、上記の式において、中点温度Tに代えて、室温(300K;27℃)を用いても良い。これにより、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値の最小値又は最大値で、f(T)を一定値とする場合と比較して、少なくとも実際上有意な温度範囲である室温近傍で、実際に数値的に求めた〈∂W/∂T〉の値と温度Tとの関係にf(T)を近づけることができる。
ところで、本実施形態のように、f(T)及びVのいずれも定数とおけると仮定せずに、f(T)及びVは温度Tによるものとする場合、対象物体の温度T,Tと、それぞれに対する赤外線検知素子の出力V(T),V(T)との間において、
Figure 0006171636
の関係が成立する。
このため、例えば、1/T−1/T1を一定(=ΔT)としながらTを変化させた場合、
Figure 0006171636
となって、任意のTについて、V(T)−V(T)の対数とTの逆数1/Tの関係が、
Figure 0006171636
という傾きの直線になるという特徴がある。
このように、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含む関係式に基づいて、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正する場合、対象物体の温度T,Tをその差を一定としてTを変化させたときに、これに対応する赤外線検知素子10の出力(出力電気信号;出力電圧)をV(T),V(T)として、これらの差V(T)−V(T)の対数とTの逆数1/Tの関係が直線となるという特徴がある。
これに対し、線形補間のように、f(T)及びVが温度Tによらない、即ち、f(T)Vは定数aとおけると仮定する場合、対象物体の温度T,Tと、それぞれに対する赤外線検知素子10の出力V(T),V(T)との間において、
Figure 0006171636
の関係が成立するから、例えば、T−Tを一定(=ΔT)としながらTを変化させた場合、
Figure 0006171636
となって、任意のTについて、V(T)−V(T)は一定になる。
また、上述のように、f(T)及びVのうち、f(T)が温度Tによらない、即ち、f(T)が定数aとおけると仮定する場合、対象物体の温度T,Tと、それぞれに対する赤外線検知素子10の出力V(T),V(T)との間において、
Figure 0006171636
の関係が成立するから、例えば、T−Tを一定(=ΔT)としながらTを変化させた場合、
Figure 0006171636
となって、任意のTについて、V(T)−V(T)の対数とTの関係が、傾きaの直線になる。
次に、上述の関数f(T)の導出について説明する。
赤外線検知器の感度Rを「単位入射光強度(パワー)に対して出力として得られる電流値Iの比」と定義する。ここで、波長λとλ+dλの間での入射光強度W(λ)dλの入射光に対する出力電流dIは、感度の波長分散(分光特性)をR(λ)として、感度の定義から、
Figure 0006171636
と書ける。したがって、Wの全分光特性に対する出力電流Iは、この式を、光学系の透過波長域よりも十分広い波長域[λ,λ]で積分して、
Figure 0006171636
となる。ここで、R(λ)が、素子駆動バイアス電圧(VIg)によって変動するピーク値R(VIg)と、VIgによっては変動しない(と仮定した場合の)規格化分光応答特性R(λ)によって、
Figure 0006171636
の形に書ける。
また、W(λ)を、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性W(λ,T)、即ち、
Figure 0006171636
(k:ボルツマン定数、h:プランク定数、c:真空中での光速)とすると、光路中での減衰・散乱や、開口径によって決まる比例定数をA(波長に依存しないと仮定)として、上記出力電流Iは、
Figure 0006171636
となる。
したがって、暗電流、即ち、すべての入射光強度に対して流れる一定値の電流をI(VIg)とすると、温度Tの黒体からの放射によって赤外線検知素子に流れる全電流IDC(VIg)は、
Figure 0006171636
と表されることになる。
一方、温度Tの黒体からの放射によって赤外線検知素子に流れる全電流と、温度T=T+ΔTの黒体からの放射によって赤外線検知素子に流れる全電流との差分をΔI(VIg)とすると、
Figure 0006171636
となる。
ここで、ΔTが十分微小であるとすると、括弧{・}の中は、
Figure 0006171636
と近似できるから、
Figure 0006171636
と表すことができる。
ここで、ΔI(VIg)とIDC(VIg)の比、
Figure 0006171636
を考える。ここまでの結果から、この比は、
Figure 0006171636
となる。ここで、
Figure 0006171636
である。
また、上式のうち、
Figure 0006171636
は、定義ないしは仮定から、バイアス条件に依存しない温度Tの関数であり、これを、
Figure 0006171636
と置くと、
Figure 0006171636
となる。
したがって、
Figure 0006171636
という関係が得られる。
ところで、赤外線検知装置1(例えばFPA)の読出回路(Read Out Integrated Circuit:ROIC)が、一般的な、いわゆるダイレクト・インジェクション型であるとする。この場合、赤外線検知素子10に流れる電流(素子電流)IによってROICに備えられる容量素子11の両端の電位差Vが変化する(図8参照)。容量素子11の容量値C、蓄積電荷Q及びその端子間電圧Vの間にはQ=CVという良く知られた関係式があり、
Figure 0006171636
となる。
ここで、出力信号Sを、蓄積時間Δtでの単位温度差あたりの出力電位差、と定義すると、
Figure 0006171636
となるから、先ほどの結果を用いて、
Figure 0006171636
という関係が得られる。
ところで、出力信号Sは、その定義「蓄積時間Δtでの単位温度差あたりの出力電位差」から、
Figure 0006171636
であるから、結局、VDC(T,VIg)に関する微分方程式、
Figure 0006171636
が得られる。
ここで考えている赤外線検知素子10の動作状態では、そのバイアス電圧VIgは一定であるから、VIgの表記を省略し、VDC=V+Vであるから、この式は、結局、
Figure 0006171636
の形となる。
したがって、
Figure 0006171636
となる。
このようにして、形を決定すべき関数f(T)を導出することができる。
次に、上述の関数f(T)の近似式の導出について説明する。
対象物体を黒体と仮定した場合、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性W(λ,T)(いわゆるプランクの輻射式)は、
Figure 0006171636
であり、
Figure 0006171636
の場合、
Figure 0006171636
と近似できる。
なお、この近似条件は、一般的に赤外線検知装置1で用いられる波長であるλ=3〜5μmあるいはλ=8〜12μmでは、それぞれ、およそ600℃あるいは100℃前後以下である(誤差2%を仮定)。一般的に赤外線検知装置1の応用分野としては、室温前後の物体、特に医療分野やセキュリティ分野では生物を対象としていることが多い。生物はその構成物質の大部分が水であるから、赤外線検知装置1の応用分野での対象物体の温度はおおむね0℃(水の凝固点)以上100℃(水の沸点)以下であると考えられる。したがって、上記近似条件は、一般的な赤外線検知装置1における条件として十分であると考えられる。
このような近似が成立する範囲においては、
Figure 0006171636
であるから、
Figure 0006171636
となる。
ここで、定積分、即ち、
Figure 0006171636
を、適当な実定数xを用いて、
Figure 0006171636
と近似する。
この場合、
Figure 0006171636
となる。
このようにして、上述の関数f(T)の近似式を導出することができる。つまり、「撮像対象の物体の温度が、室温近傍」、及び、「1/λという因子が、実効的に1/xλという定数因子として、積分の外に出せる」という2つの近似を用いて、解析的な形の具体的な関数形として、このような近似式を導出することができる。
ところで、ここでは、上述のように、
Figure 0006171636
という式の中の関数f(T)として、実定数xを用いて近似したもの、即ち、
Figure 0006171636
を用いているが、これに限られるものではない。
例えば、次式の中のR(λ)として、実測結果として得られるR(λ)(具体的にはこれを表現する関数)を代入し、解析的に積分を実行して、具体的なf(T)の解析的な関数形を決定し、これを上記式の中の関数f(T)として用いるようにしても良い。
Figure 0006171636
つまり、R(λ)にガウシアンを想定し、上述のように近似して、具体的なf(T)の解析的な関数形を決定するのに代えて、R(λ)にガウシアン以外、例えばローレンシアン、即ち、
Figure 0006171636
を仮定すれば、近似なしで、
Figure 0006171636
の積分を実行して、具体的なf(T)の関数形を決定できれば、これを上記式の中の関数f(T)として用いることもできる。
ただし、
Figure 0006171636
の積分が解析的に実行できることが望ましい。
このように、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含む関係式は、
Figure 0006171636
で表されるものを用いることができる。
つまり、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含む関係式が、
Figure 0006171636
で表される場合、この式の中の関数f(T)は、
Figure 0006171636
で表されるものであっても良い。
以下、複数の赤外線検知素子10を備える赤外線検知装置1である、複数の赤外線検知素子10を2次元状に配列したFPA型赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10(画素)からの出力電気信号(画素信号)を補正するのに本発明を適用した場合を例に挙げて説明する。
ここで、赤外線撮像装置1は、物体の熱輻射によって放出される赤外線に対して、その赤外線撮像装置1に備えられる赤外線検知素子10に投影される赤外線の強度分布を電気信号分布に変換して、赤外線画像を得る。例えば、FPA型赤外線撮像装置1では、画素に相当する赤外線検知素子10を平面上に2次元状に配置し、その面に投影される赤外線の強度分布を電気信号分布に変換して、赤外線画像を得る。
このような赤外線撮像装置1は、可視光領域での撮像装置などとは異なり、暗闇の中においてもその対象物体を撮像可能であるため、いわゆるセキュリティ分野などといった応用分野で利用されている。また、対象物体から放出される赤外線の強度は、その対象物体の温度の関数であるため、撮像物体中での赤外線放射強度分布から、その物体中での温度分布を反映した画像が得られる。これを利用して、医療分野などでの応用も期待されている。
しかしながら、通常、各画素の間でその特性を均一に作製することは困難であり、したがって、そのままでは、たとえ投影される赤外線強度の面内分布が均一であっても、その出力信号には分布が生じてしまう。
このため、FPA型赤外線撮像装置1では、各画素の出力を補正して、同一強度の入射赤外線強度には、同一の画素信号が得られるようにしている。
具体的には、いくつかの既知の強度の赤外線を、面内に均一に入射させ、その出力を測定して、その結果から既知強度以外での入射光強度に対する画素出力を補間により補正するようにしている。
このような補正を行う場合、既知強度の赤外線源を、補正点の数だけ装置内などに備える必要があるため、装置の複雑化を招くから、通常は原理的に最も補正点が少ない、2点での補間が行なわれる。この場合、通常は2点間での赤外線検知素子10(画素素子)の線形性を仮定して、線形補間法が用いられる。
しかしながら、一般には赤外線検知素子10の入出力特性は線形であるとは限らず、補正ずれが生じてしまう(図14参照)。
この補正ずれを抑制するためには、補正点を増やして細かく線形補間を行うか、多項式近似を用いてより実際の赤外線検知素子10の入出力特性に近い補正曲線(入出力特性較正曲線)を用いて補正を行なうことなどが考えられるが、この場合には、補正点相当の既知強度の赤外線源の数が増えてしまう。補正に用いるためのこのような既知温度の赤外線源は、赤外線撮像装置1において2次元的に配置された赤外線検知素子10の全てに均一に赤外線を照射する必要があるから、このような赤外線源を多数用意することは、赤外線撮像装置1の構造を複雑にしてしまう。したがって、赤外線撮像装置1における補正点は、少なければ少ないほど望ましく、2点での補間、即ち、既知温度の赤外線源を2つよりも増やすことは望ましくない。
そこで、ここでは、実際の赤外線検知素子10の入出力特性に応じて、赤外線検知素子10から出力される電気信号を精度良く補正できるようにすべく、上述の手法を適用して、FPA型赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10からの出力電気信号を補正するようにしている。
ここで、図1に示すように、赤外線検知装置1としてのFPA型赤外線撮像装置は、赤外線イメージセンサ2と、赤外線イメージセンサ2に備えられる各赤外線検知素子10(画素)から出力される電気信号を処理する信号処理部4とを備える。
このうち、赤外線イメージセンサ2は、図7に示すように、複数の赤外線検知素子10を2次元状に配列した2次元アレイ(赤外線検知素子アレイ)21と、赤外線が入射して各赤外線検知素子10(画素)に流れた電流量に応じた出力電圧を順次読み出す読出回路を備える読出回路チップ3とを備える。なお、読出回路をROIC(readout integrated circuit)ともいう。そして、2次元アレイ21と読出回路チップ3とは、導電性の金属バンプ(導電バンプ;ここではInバンプ)5を介して接続(ハイブリッド接続)され、一体化されている。
ここで、読出回路チップ3は、図6に示すように、行選択スイッチ部22と、信号取り出し&シフトレジスタ部23とを備える。なお、信号取り出し&シフトレジスタ部23に含まれる信号取り出し部は、赤外線検知素子10毎に設けられている。そして、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を用いて、各赤外線検知素子10から出力される電気信号を個別に取り出すことができるようになっている。つまり、行選択スイッチ部22により、指定した行位置にある画素を選択し、さらに信号取り出し&シフトレジスタ部23により、指定した列位置にある画素を選択して、指定した行位置及び列位置にある画素10から、当該画素10の撮影データを出力電圧として読み出すことができるようになっている。
また、信号処理部4は、入出力特性較正データ保存部24と、補正演算部25と、信号出力部26と、スイッチ27とを含む。
このように、FPA型赤外線撮像装置1は、2次元アレイ21、行選択スイッチ部22、信号取り出し&シフトレジスタ部23、入出力特性較正データ保存部24、補正演算部25、信号出力部26、及び、スイッチ27を含む。
なお、図6において、各ボックスで示される各機能ブロックと他の機能ブロックとの境界は、基本的には機能的な境界を示すものであり、物理的な位置の分離、電気的な信号の分離、制御論理的な分離等に対応するとは限らない。各機能ブロックは、他のブロックと物理的にある程度分離された1つのハードウェアモジュールであってもよいし、或いは他のブロックと物理的に一体となったハードウェアモジュール中の1つの機能を示したものであってもよい。
ところで、ここでは、信号取り出し&シフトレジスタ部23に含まれる信号取り出し部は、それぞれ、図8に示すように、容量素子11(キャパシタ)と、スイッチ12として動作するトランジスタとを備え、赤外線検知素子10に接続されている。赤外線検知素子10は、入射赤外線の量に応じて電気抵抗値が変化する特性を有し、入射赤外線に応じた出力電気量を生成する(例えば電流を流す)。赤外線検知素子10の抵抗値に応じた量の電流が、容量素子11からスイッチ12及び赤外線検知素子10を介してグランドGND側に流れ、容量素子11の電荷が減少する。この電荷の減少により変化する容量素子11の両端電位差に応じた電圧が、撮像データとして信号取り出し部に取り出される。そして、信号取り出し&シフトレジスタ部23に含まれるシフトレジスタ部は、選択された行での一定バイアス電圧下での列出力信号を時系列のシリアル信号として取り出す。このときのシリアル信号では、各赤外線検知素子10の入出力特性のばらつきによって、たとえ同じ強度の入射光量であっても、出力電圧強度がばらついている。
信号取り出し&シフトレジスタ部23により取り出された各赤外線検知素子10の出力電圧は、図6に示すように、スイッチ27を介して、入出力特性較正データ保存部24又は補正演算部25に供給される。入出力特性較正データ保存部24には、既知温度の黒体からの面内で均一な放射赤外線を2次元アレイ21に入射した状態で、信号取り出し&シフトレジスタ部23からの出力電圧を供給する。これにより、入出力特性較正データ保存部24に、較正用のデータを保存する。
対象物体の撮像時には、信号取り出し&シフトレジスタ部23からのばらついたシリアル信号を、補正演算部25に供給する。補正演算部25は、入出力特性較正データ保存部24に保存された較正用のデータに基づいて、所定のバイアス条件における各赤外線検知素子10の入出力特性のばらつきによって生じる出力電圧強度のばらつきを補正する演算を、各赤外線検知素子10毎に実行する。この補正演算により、各赤外線検知素子10の入出力特性のばらつきによって生じる出力電圧強度のばらつきを補正した補正後出力電圧が得られる。この際、補正演算部25は、赤外線検知素子10の出力電気量に基づいて入射赤外線に応じた温度を求める。補正後出力電圧は各赤外線検知素子10毎に撮像対象の温度を示す電圧であり、補正演算部25から信号出力部26に供給される。
以下に、図6に示す赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10からの出力電気信号の補正方法について説明する。
図9は、赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10からの出力電気信号の補正方法の第1の実施例を示すフローチャートである。図6及び図9を参照して、図9に示される補正方法について説明する。なお、フローチャートにおいて、各ステップの実行順はフローチャートに示される順番に限定されるものではなく、動作に支障が生じない限りにおいてステップの実行順を前後させてもよい。なお、2次元アレイ21は、例えばn×n画素からなる2次元アレイとする。
まずステップS1で、2次元アレイ21を所望のバイアス電圧を印加した動作状態に設定する。つまり、2次元アレイ21の各画素を構成する赤外線検知素子10に一定バイアス電圧VIgを印加した状態にする。
ステップS2で、スイッチ27を入出力特性較正データ保存部24側に接続する。
ステップS3で、温度Tの黒体相当の物体(赤外線源)から放射された赤外線(温度Tの黒体相当の強度の赤外線)を面内で均一に2次元アレイ21に入射(照射)する。
ステップS4で、上記赤外線を入射した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素10から画素出力電圧値V(i,j)を取得する。出力電圧値V(i,j)は、信号取り出し&シフトレジスタ部23から入出力特性較正データ保存部24に供給され、入出力特性較正データ保存部24に保存される。
図10は、入出力特性較正データ保存部24及び補正演算部25の構成の一例を示す図である。
入出力特性較正データ保存部24は、AD変換部31、記憶制御部32、読出制御部33、V(i,j)記憶部34、V(i,j)記憶部35、及び温度記憶部36を含む。また、補正演算部25は、演算部41、及びAD変換部42を含む。
AD変換部31は、信号取り出し&シフトレジスタ部23から供給されたアナログの出力電圧をデジタル電圧値に変換する。
入出力特性較正データ保存部24には、現在供給されている出力電圧の画素位置(i,j)を示すデータと、現在入射している赤外線源の温度T又はTを示すデータとが供給される。
記憶制御部32は、AD変換部31によるAD変換後のデジタル電圧値を、V(i,j)記憶部34に格納する。この際、記憶制御部32は、画素位置(i,j)に応じたメモリ位置にデジタル電圧値を格納する。また更に、記憶制御部32は、現在の赤外線源の温度Tを温度記憶部36に格納する。
図9に戻り、ステップS5で、温度Tの黒体相当の物体(赤外線源)から放射された赤外線(温度Tの黒体相当の強度の赤外線)を面内で均一に2次元アレイ21に入射(照射)する。
ステップS6で、上記赤外線を入射した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素10から画素出力電圧値V(i,j)を取得する。出力電圧値V(i,j)は、信号取り出し&シフトレジスタ部23から入出力特性較正データ保存部24に供給され、入出力特性較正データ保存部24に保存される。
図10に示す入出力特性較正データ保存部24では、出力電圧値V(i,j)をAD変換部31によりAD変換して得られるデジタル電圧値が、記憶制御部32により、V(i,j)記憶部35に格納される。この際、記憶制御部32は、画素位置(i,j)に応じたメモリ位置にデジタル電圧値を格納する。また更に、記憶制御部32は、現在の赤外線源の温度T2を温度記憶部36に格納する。
以上により、補正に用いられる較正データの取得が完了する。
次に、赤外線撮像装置1の通常の使用状態において、補正を実施して赤外線画像を得る動作が実行される。
図9のステップS7で、スイッチ27を補正演算部25側に接続する。
これにより、各画素を構成する赤外線検知素子10に一定バイアス電圧VIgを印加した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素(i,j)からの画素出力V(i,j)を補正演算部25に順次読みだす。
補正演算部25では、入出力特性較正データ保存部24に格納されているデータに基づき、上述の赤外線検知素子10からの出力電気信号を補正するための式(補正式;演算式)を用いて、各画素10からの画素出力V(i,j)に対応する撮像対象の温度を求める。
例えば、補正式、
Figure 0006171636
を用いる場合、信号取り出し&シフトレジスタ部23から各画素(i,j)の画素出力電圧V(i,j)が順次出力されてくると、この出力に対応する撮像対象の当該部分の温度T(i,j)は、
Figure 0006171636
で求められる。
画素(i,j)からの画素出力電圧V(i,j)が補正演算部25に入力されると、画素位置(i,j)を示すデータに応じて、画素(i,j)に対応した補正データV(i,j)、V(i,j)、T、Tが入出力特性較正データ保存部24から読み出される(図9のステップS8)。
補正演算部25のAD変換部42は、各画素(i,j)からの画素出力電圧V(i,j)をアナログ電圧からデジタル電圧値に変換する。補正演算部25の演算部41は、変換後のデジタル電圧値と上記の補正式とを用いて、画素(i,j)の画素出力電圧V(i,j)に対応する撮像対象の当該部分の温度T(i,j)を算出し、信号出力部26へ出力する(図9のステップS9)。
ステップS8の動作とステップS9の動作とが、全画素に対して繰り替えされる(図9のステップS10)。
信号出力部26は、赤外線撮像装置1の構成に応じて、上記T(i,j)に応じた強度の信号を例えばテレビ画像出力のコントラスト信号として生成し、ディスプレイ装置に出力する(図9のステップS11)。
なお、上述のようにして補正を行なう場合、補正データとして、V(i,j)、V(i,j)、T、Tのほかに、
Figure 0006171636
の値が必要になる。これらの値については、予めステップS6の段階で計算して入出力特性較正データ保存部24に格納しておいてもよいし、或いはステップS9で逐次算出してもよい。
ところで、上記の実施例では、補正演算部25にて、各T(i,j)を算出するために補正演算を逐次実行している。
これに対し、例えば信号処理部4の演算速度などを考慮して、T(i,j)を逐次算出するのではなく、各画素出力電圧V(i,j)に対応する温度T(i,j)を予め計算しておき、計算したデータを、V(i,j)とT(i,j)との対応を示すテーブルとして入出力特性較正データ保存部24に保存しておいてもよい。
このような実施例を以下に説明する。
図11は、赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10からの出力電気信号の補正方法の第2の実施例を示すフローチャートである。図11及び図12を参照して、図11に示される補正方法について説明する。なお、フローチャートにおいて、各ステップの実行順はフローチャートに示される順番に限定されるものではなく、動作に支障が生じない限りにおいてステップの実行順を前後させてもよい。
まずステップS21で、2次元アレイ21を所望のバイアス電圧を印加した動作状態に設定する。つまり、2次元アレイ21の各画素を構成する赤外線検知素子10に一定バイアス電圧VIgを印加した状態にする。
ステップS22で、スイッチ27を入出力特性較正データ保存部24側に接続する。
ステップS23で、温度Tの黒体相当の物体(赤外線源)から放射された赤外線(温度Tの黒体相当の強度の赤外線)を面内で均一に2次元アレイ21に入射(照射)する。
ステップS24で、上記赤外線を入射した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素10から画素出力電圧値V(i,j)を取得する。出力電圧値V(i,j)は、信号取り出し&シフトレジスタ部23から入出力特性較正データ保存部24に供給され、入出力特性較正データ保存部24に保存される。
図12は、入出力特性較正データ保存部24及び補正演算部25の構成の一例を示す図である。
入出力特性較正データ保存部24は、AD変換部31、記憶制御部32、テーブル演算部51、電圧・温度記憶部52、テーブル記憶部53、及び読出制御・比較部54を含む。また、補正演算部25は、演算部61、及びAD変換部42を含む。
AD変換部31は、信号取り出し&シフトレジスタ部23から供給されたアナログの出力電圧をデジタル電圧値に変換する。
入出力特性較正データ保存部24には、現在供給されている出力電圧の画素位置(i,j)を示すデータと、現在入射している赤外線源の温度T又はTを示すデータとが供給される。
記憶制御部32は、AD変換部31によるAD変換後のデジタル電圧値を、電圧・温度記憶部52に格納する。この際、記憶制御部32は、画素位置(i,j)に応じたメモリ位置にデジタル電圧値を格納する。また更に、記憶制御部32は、現在の赤外線源の温度Tを電圧・温度記憶部52に格納する。
図11に戻り、ステップS25で、温度Tの黒体相当の物体(赤外線源)から放射された赤外線(温度Tの黒体相当の強度の赤外線)を面内で均一に2次元アレイ21に入射(照射)する。
ステップS26で、上記赤外線を入射した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素10から画素出力電圧値V(i,j)を取得する。出力電圧値V(i,j)は、信号取り出し&シフトレジスタ部23から入出力特性較正データ保存部24に供給され、入出力特性較正データ保存部24に保存される。
図12に示す入出力特性較正データ保存部24では、出力電圧値V(i,j)をAD変換部31によりAD変換して得られるデジタル電圧値が、記憶制御部32により、電圧・温度記憶部52に格納される。この際、記憶制御部32は、画素位置(i,j)に応じたメモリ位置にデジタル電圧値を格納する。また更に、記憶制御部32は、現在の赤外線源の温度T2を電圧・温度記憶部52に格納する。
ステップS26では、更に、電圧・温度記憶部52に格納されている画素(i,j)に対応した補正データV(i,j)、V(i,j)、T、Tと、例えば以下の補正式、
Figure 0006171636
を用いて、テーブルを作成する。つまり、適当な区間[V(i,j,k),V(i,j,k)+δV]に対して、
Figure 0006171636
を用いて計算することにより、画素(i,j)毎に各区間に対してT(i,j,k)を求める。こうして求めた値が、テーブル記憶部53に格納される。
図11のステップS27で、スイッチ27を補正演算部25側に接続する。これにより、各画素の赤外線検知素子10に一定バイアス電圧VIgを印加した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素(i,j)からの画素出力V(i,j)を補正演算部25に順次読みだす。
ステップS28で、テーブル記憶部53に格納されているテーブルからデータを読み出す。
具体的には、補正演算部25のAD変換部42が、各画素(i,j)からの画素出力電圧V(i,j)をアナログ電圧からデジタル電圧値に変換する。演算部61は、画素出力のデジタル電圧値V(i,j)を、入出力特性較正データ保存部24の読出制御・比較部54に供給する。読出制御・比較部54は、画素位置(i,j)を示すデータと画素出力のデジタル電圧値V(i,j)とに基づいて、テーブル記憶部53に格納されているテーブルから、画素位置(i,j)とデジタル電圧値V(i,j)とに対応する温度T(i,j)を読み出す。
ステップS29で、画素出力電圧V(i,j)に対応する撮像対象の当該部分の温度T(i,j)を求める。
つまり、テーブル記憶部53に格納されているテーブルから、
V(i,j,k)≦V(i,j)<V(i,j,k)+δV
を満たすkに対応するT(i,j,k)を読み出し、このT(i,j,k)を、画素出力電圧V(i,j)に対応する撮像対象の当該部分の温度T(i,j)とする。撮像対象の当該部分の温度T(i,j)は、演算部61から信号出力部26へ出力される。
ステップS28の動作とステップS29の動作とが、全画素に対して繰り替えされる(ステップS30)。
信号出力部26は、赤外線撮像装置1の構成に応じて、上記T(i,j)に応じた強度の信号を例えばテレビ画像出力のコントラスト信号として生成し、ディスプレイ装置に出力する(ステップS31)。
なお、上述のようにして補正を行なう場合、補正データとして、V(i,j)、V(i,j)、T、Tのほかに、
Figure 0006171636
の値が必要になる。これらの値については、予めステップS26の段階で計算して入出力特性較正データ保存部24に格納しておいてもよいし、或いはステップS29で逐次算出してもよい。
したがって、本実施形態にかかる赤外線検知装置によれば、実際の赤外線検知素子10の入出力特性に応じて、赤外線検知素子10から出力される電気信号を精度良く補正できるという利点がある。
つまり、赤外線検知素子10から出力される電気信号を、赤外線検知装置1に備えられる信号処理部4で補正することで、赤外線検知素子10が異なっても、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られるようにすることができる。例えば、FPA型赤外線検知装置1では、各赤外線検知素子10から出力される電気信号を信号処理部4で補正することで、強度が面内で均一な赤外線が入射した場合に、各赤外線検知素子10から出力される電気信号が均一になるようにすることができる。
ここで、図13は、従来技術(線形補間)を用いて補正を行なった場合と、上述の本実施形態の方法を用いて補正を行なった場合とを比較した図である。なお、図13では、横軸は被写黒体温度を示し、縦軸は、補正された温度と本来の温度とのずれを示している。また、図13では、T=20℃であり、T=60℃である場合を示してある。
図13では、2点(T、T)間を従来技術により線形補間して補正した値と真の値とのずれは、点線の曲線Aで示している。
これに対し、2点(T、T)間を上述の本実施形態の方法により補正した値と真の値とのずれは、実線の曲線Bで示している。
図13から分かるように、上述の本実施形態の方法によって補正した場合、従来技術によって補正する場合よりも補正精度が向上している。
なお、本発明は、上述した実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、上述の実施形態では、複数の赤外線検知素子10を備える赤外線検知装置1を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、単一の赤外線検知素子を備える赤外線検知装置に本発明を適用することもできる。この場合も、赤外線検知素子から出力される電気信号を、赤外線検知装置に備えられる信号処理部で補正することで、赤外線検知素子が異なっても、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られるようにすることができる。
また、例えば、上述の実施形態では、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから対象物体の温度Tを求めることで、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正しているが、これに限られるものではない。つまり、補正演算部25で、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから対象物体の温度Tを求め、信号出力部26で、温度Tに応じた強度の信号を例えばテレビ画像出力のコントラスト信号として生成して、ディスプレイ装置へ出力するようにしているが、これに限られるものではない。例えば、補正演算部で、赤外線検知素子から出力された電気信号Vから対象物体の温度Tに応じた強度の信号を例えばテレビ画像出力のコントラスト信号として生成して、ディスプレイ装置へ出力するようにしても良い。つまり、対象物体の温度(入射赤外線光量相当の黒体温度)Tを求めずに、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから、対象物体の温度Tと例えばテレビ画像出力のコントラスト信号の強度との対応関係に基づいて、例えばテレビ画像出力のコントラスト信号を生成して、ディスプレイ装置へ出力するようにしても良い。
ところで、上述の実施形態のように近似する手法とは別に、
Figure 0006171636
の形を、例えばプランクの輻射式から数値的に評価し、それを適当な関数g(T)で近似するという手法も考えられる。
ここで、関数g(T)は、温度Tの1次以上の整関数や指数関数など、数学的に取扱い可能な任意の関数が原理的には使用可能である。
この場合、対象物体の温度Tに対する赤外線検知素子の出力電気信号V(T)の関係は、すでに述べたのと同様にして、
Figure 0006171636
ならびに
Figure 0006171636
を用いて、
Figure 0006171636
となる。
ここで、関数G(T)は、関数g(T)の原始関数の一つ、即ち、
Figure 0006171636
である。
この場合、赤外線検知素子10の出力電気信号Vに対応した温度Tは、
Figure 0006171636
という方程式の解として与えられる。
この場合も、上述の実施形態の場合と同様に、赤外線検知装置1は、赤外線検知素子10と、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含む関係式に基づいて、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正する信号処理部4とを備えるものとなる。
そして、関係式が、赤外線検知素子10から出力される赤外線強度相当の電気信号をVとし、温度変化をdTとした場合の赤外線検知素子10から出力される赤外線強度相当の電気信号の変化をdVとし、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分を温度Tの関数であるg(T)として、
Figure 0006171636
で表される。
また、信号処理部4は、既知温度T及びT(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射したときに赤外線検知素子10から出力される電気信号がV及びVである場合、関係式の赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に含まれる温度Tの関数をg(T)とし、
Figure 0006171636
で規定される関数G(T)を用いて、
Figure 0006171636
によって求められたV、Vを用いて、
Figure 0006171636
の方程式の解として、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから対象物体の温度T(T>T>T)を求めることで、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正することになる。
例えば、g(T)を1次関数、即ち、
Figure 0006171636
とした場合、
Figure 0006171636
となるから、赤外線検知素子10の出力電気信号Vに対応した温度Tは、
Figure 0006171636
という方程式の解として、例えば解の公式から、
Figure 0006171636
として与えられる。
この場合、任意の未知温度Tの対象物体からの赤外線に対応した赤外線検知素子10の出力電気信号Vを、この式を用いて適切に補正して、その温度(黒体換算の温度;ここでTは絶対温度)を算出することができる。
つまり、信号処理部4は、関数G(T)が、a(a≠0),bを定数として、
Figure 0006171636
で表される場合、
Figure 0006171636
によって、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから対象物体の温度Tを求めることで、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正することができる。
なお、g(T)としてTの2次以上の整関数を用いた場合、G(T)はTの3次以上の整関数となる。この場合、数学的には解の公式が利用できる場合もあると言われており、そのような公式を用いても良いし、その他に、Tの2次以上の整関数G(T)に対して、いわゆるニュートン法といったような数値的解法を用いて、方程式、即ち、
Figure 0006171636
の解Tを求めても良い。
また、例えば、g(T)を指数関数、即ち、
Figure 0006171636
とした場合、
Figure 0006171636
となるから、赤外線検知素子10の出力電気信号Vに対応した温度Tは、
Figure 0006171636
という方程式の解として、
Figure 0006171636
と与えられる。
この場合、任意の未知温度Tの対象物体からの赤外線に対応した赤外線検知素子10の出力電気信号Vを、この式を用いて適切に補正して、その温度(黒体換算の温度;ここでTは絶対温度)を算出することができる。
つまり、信号処理部4は、関数G(T)が、a(a≠0),bを定数として、
Figure 0006171636
で表される場合、
Figure 0006171636
によって、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから対象物体の温度Tを求めることで、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正することができる。
ところで、このような関数f(T)の近似関数g(T)を用いる場合、
Figure 0006171636
なる関係を満たすx(T)を含む関数を考えると、
Figure 0006171636
であるから、
Figure 0006171636
となる。
これを上述の実施形態のVDCの式と比較すると、上述の関数g(T)を用いる手法は、数学的には上述の実施形態のVDCの式の定数xに対して実効的に対象物体の温度Tに対する依存性を加味した場合に相当することになる。つまり、関数g(T)を上述のようにした場合、上述の実施形態では実定数xを用いて近似した関数f(T)を用いるのに対し、温度Tの関数x(T)を用いて近似した関数g(T)を用いるのに相当することになる。これは、
Figure 0006171636
の形に近似した結果であるとも言うこともできる。
以下、上述の実施形態及び変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子と、
赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含む関係式に基づいて、前記赤外線検知素子から出力される電気信号を補正する信号処理部とを備えることを特徴とする赤外線検知装置。
(付記2)
前記関係式が、前記赤外線検知素子から出力される赤外線強度相当の電気信号をVとし、温度変化をdTとした場合の前記赤外線検知素子から出力される赤外線強度相当の電気信号の変化をdVとし、前記赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分を温度Tの関数であるf(T)又はg(T)として、
Figure 0006171636
で表されることを特徴とする、付記1に記載の赤外線検知装置。
(付記3)
前記関係式の前記赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に含まれる温度Tの関数f(T)は、前記赤外線検知素子の波長応答特性におけるピーク波長をλpとし、実係数をxとし、ボルツマン定数をkとし、プランク定数をhとし、真空中での光速をcとして、
Figure 0006171636
で表されることを特徴とする、付記1又は2に記載の赤外線検知装置。
(付記4)
前記実係数xは、前記赤外線検知素子の波長応答特性における半値全幅をFWHMとして、
Figure 0006171636
を満たす温度Tに対して、
Figure 0006171636
の範囲にあることを特徴とする、付記3に記載の赤外線検知装置。
(付記5)
前記実係数xは、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、前記赤外線検知素子の波長応答特性をR(λ)とし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、
Figure 0006171636
で表される関数F(T)によって求めた値に前記関数f(T)によって求めた値をフィッティングさせて決められた値であることを特徴とする、付記3に記載の赤外線検知装置。
(付記6)
前記実係数xは、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、前記赤外線検知素子の波長応答特性をR(λ)とし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、
Figure 0006171636
で表される関数F(T)によって求めた値のうち、温度範囲T〜T(T>T;T≧T≧T)における最大値をF(T)maxとし、最小値をF(T)minとし、T=(T+T)/2として、
Figure 0006171636
の範囲にあることを特徴とする、付記3に記載の赤外線検知装置。
(付記7)
前記実係数xは、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、前記赤外線検知素子の波長応答特性をR(λ)とし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、
Figure 0006171636
で表される関数F(T)によって求めた値のうち、温度範囲T〜T(T>T;T≧T≧T)における最大値をF(T)maxとし、最小値をF(T)minとして、
Figure 0006171636
の範囲にあることを特徴とする、付記3に記載の赤外線検知装置。
(付記8)
前記Tは0℃であり、前記Tは100℃であることを特徴とする、付記7に記載の赤外線検知装置。
(付記9)
前記信号処理部は、既知温度T及びT(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射したときに前記赤外線検知素子から出力される電気信号がV及びVである場合、
Figure 0006171636
によって求められたV、Vを用いて、
Figure 0006171636
によって、前記赤外線検知素子から出力された電気信号Vから対象物体の温度T(T≧T≧T)を求めることで、前記赤外線検知素子から出力される電気信号を補正することを特徴とする、付記3に記載の赤外線検知装置。
(付記10)
前記関係式の前記赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に含まれる温度Tの関数f(T)は、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、前記赤外線検知素子の波長応答特性をR(λ)とし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、
Figure 0006171636
で表されることを特徴とする、付記1又は2に記載の赤外線検知装置。
(付記11)
前記信号処理部は、既知温度T及びT(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射したときに前記赤外線検知素子から出力される電気信号がV及びVである場合、前記関係式の前記赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に含まれる温度Tの関数をg(T)とし、
Figure 0006171636
で規定される関数G(T)を用いて、
Figure 0006171636
によって求められたV、Vを用いて、
Figure 0006171636
の方程式の解として、前記赤外線検知素子から出力された電気信号Vから対象物体の温度T(T≧T≧T)を求めることで、前記赤外線検知素子から出力される電気信号を補正することを特徴とする、付記1又は2に記載の赤外線検知装置。
(付記12)
前記信号処理部は、関数G(T)が、a(a≠0),bを定数として、
Figure 0006171636
で表される場合、
Figure 0006171636
によって、前記赤外線検知素子から出力された電気信号Vから対象物体の温度Tを求めることで、前記赤外線検知素子から出力される電気信号を補正することを特徴とする、付記11に記載の赤外線検知装置。
(付記13)
前記信号処理部は、関数G(T)が、a(a≠0),bを定数として、
Figure 0006171636
で表される場合、
Figure 0006171636
によって、前記赤外線検知素子から出力された電気信号Vから対象物体の温度Tを求めることで、前記赤外線検知素子から出力される電気信号を補正することを特徴とする、付記11に記載の赤外線検知装置。
1 赤外線検知装置
2 赤外線イメージセンサ
3 読出回路チップ
4 信号処理部
5 バンプ
10 赤外線検知素子
11 容量素子
12 スイッチ
21 2次元アレイ(赤外線検知素子アレイ)
22 行選択スイッチ部
23 信号取り出し&シフトレジスタ部
24 入出力特性較正データ保存部
25 補正演算部
26 信号出力部
27 スイッチ
31 AD変換部
32 記憶制御部
33 読出制御部
34 V(i,j)記憶部
35 V(i,j)記憶部
36 温度記憶部
41 演算部
42 AD変換部
51 テーブル演算部
52 電圧・温度記憶部
53 テーブル記憶部
54 読出制御・比較部
61 演算部

Claims (7)

  1. 入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子と、
    赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含む関係式に基づいて、前記赤外線検知素子から出力された電気信号から対象物体の温度を求める信号処理部とを備え
    前記関係式が、前記赤外線検知素子から出力される赤外線強度相当の電気信号をV とし、温度変化をdTとした場合の前記赤外線検知素子から出力される赤外線強度相当の電気信号の変化をdV とし、前記赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分を温度Tの関数であるf(T)として、
    Figure 0006171636
    で表され、
    前記関係式の前記赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に含まれる温度Tの関数f(T)は、前記赤外線検知素子の波長応答特性におけるピーク波長をλpとし、実係数をxとし、ボルツマン定数をk とし、プランク定数をhとし、真空中での光速をcとして、
    Figure 0006171636
    で表されることを特徴とする赤外線検知装置
  2. 前記実係数xは、前記赤外線検知素子の波長応答特性における半値全幅をFWHMとして、
    Figure 0006171636
    を満たす温度Tに対して、
    Figure 0006171636
    の範囲にあることを特徴とする、請求項に記載の赤外線検知装置。
  3. 前記実係数xは、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、前記赤外線検知素子の波長応答特性をR(λ)とし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、
    Figure 0006171636
    で表される関数F(T)によって求めた値に前記関数f(T)によって求めた値をフィッティングさせて決められた値であることを特徴とする、請求項に記載の赤外線検知装置。
  4. 前記実係数xは、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、前記赤外線検知素子の波長応答特性をR(λ)とし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、
    Figure 0006171636
    で表される関数F(T)によって求めた値のうち、温度範囲T〜T(T>T;T≧T≧T)における最大値をF(T)maxとし、最小値をF(T)minとし、T=(T+T)/2として、
    Figure 0006171636
    の範囲にあることを特徴とする、請求項に記載の赤外線検知装置。
  5. 前記実係数xは、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、前記赤外線検知素子の波長応答特性をR(λ)とし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、
    Figure 0006171636
    で表される関数F(T)によって求めた値のうち、温度範囲T〜T(T>T;T≧T≧T)における最大値をF(T)maxとし、最小値をF(T)minとして、
    Figure 0006171636
    の範囲にあることを特徴とする、請求項に記載の赤外線検知装置。
  6. 前記信号処理部は、既知温度T及びT(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射したときに前記赤外線検知素子から出力される電気信号がV及びVである場合、
    Figure 0006171636
    によって求められたV、Vを用いて、
    Figure 0006171636
    によって、前記赤外線検知素子から出力された電気信号Vから対象物体の温度T(T≧T≧T)を求めることを特徴とする、請求項に記載の赤外線検知装置
  7. 入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子と、
    赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含む関係式に基づいて、前記赤外線検知素子から出力された電気信号から対象物体の温度を求める信号処理部とを備え
    前記関係式が、前記赤外線検知素子から出力される赤外線強度相当の電気信号をV とし、温度変化をdTとした場合の前記赤外線検知素子から出力される赤外線強度相当の電気信号の変化をdV とし、前記赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分を温度Tの関数であるg(T)として、
    Figure 0006171636
    で表され、
    前記信号処理部は、既知温度T及びT(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射したときに前記赤外線検知素子から出力される電気信号がV及びVである場合、前記関係式の前記赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に含まれる温度Tの関数をg(T)とし、
    Figure 0006171636
    で規定される関数G(T)を用いて、
    Figure 0006171636
    によって求められたV、Vを用いて、
    Figure 0006171636
    の方程式の解として、前記赤外線検知素子から出力された電気信号Vから対象物体の温度T(T≧T≧T)を求めることを特徴とする赤外線検知装置。
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