JP6132029B2 - 赤外線検知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、赤外線検知装置に関する。
従来、入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子を備える赤外線検知装置がある。
このような赤外線検知装置としては、例えば、赤外線検知素子を2次元状に配列したFocal Plane Array(FPA)型赤外線検知装置がある。
また、動作温度が変化し、暗電流相当成分が変化してしまう場合に、赤外線を遮断したダミー素子を用いて補償できるようにしたものもある。
特開平6−221914号公報 特開2002−43610号公報
しかしながら、動作温度が変化してしまうと、主に赤外線検知素子の暗電流が変化してしまい、赤外線検知素子から出力される電気信号が変化してしまう。
また、上述のように、赤外線を遮断したダミー素子を用いて補償する場合、完全に赤外線を遮断するのは難しいため、精度良く補償を行なうのは困難である。
そこで、動作温度が変化してしまった場合であっても、赤外線検知素子から出力される電気信号を精度良く補償できるようにしたい。
本赤外線検知装置は、入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子と、第1動作温度において第1既知温度及び第2既知温度の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に赤外線検知素子から出力される第1電気信号及び第2電気信号を用いて求められる第1暗電流相当成分を含む、動作温度変化後に第2動作温度になった場合の動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値によって、動作温度変化による赤外線検知素子から出力される電気信号の変化を補償する信号処理部とを備え、信号処理部は、第1暗電流相当成分を、温度Tの関数f(T)を含む関係式から求め、温度Tの関数f(T)は、赤外線検知素子の波長応答特性におけるピーク波長をλpとし、実係数をxとし、ボルツマン定数をk とし、プランク定数をhとし、真空中での光速をcとして、
Figure 0006132029
で表されることを要件とする。
また、本赤外線検知装置は、入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子と、第1動作温度において第1既知温度及び第2既知温度の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に赤外線検知素子から出力される第1電気信号及び第2電気信号を用いて求められる第1暗電流相当成分を含む、動作温度変化後に第2動作温度になった場合の動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値によって、動作温度変化による赤外線検知素子から出力される電気信号の変化を補償する信号処理部とを備え、信号処理部は、第1既知温度をT とし、第2既知温度をT (T >T )とし、第1電気信号をV とし、第2電気信号をV とし、赤外線検知素子の波長応答特性におけるピーク波長をλpとし、実係数をxとし、ボルツマン定数をk とし、プランク定数をhとし、真空中での光速をcとして、第1暗電流相当成分V d1 を、
Figure 0006132029
によって求めることを要件とする。
また、本赤外線検知装置は、入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子と、第1動作温度において第1既知温度及び第2既知温度の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に赤外線検知素子から出力される第1電気信号及び第2電気信号を用いて求められる第1暗電流相当成分を含む、動作温度変化後に第2動作温度になった場合の動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値によって、動作温度変化による赤外線検知素子から出力される電気信号の変化を補償する信号処理部とを備え、信号処理部は、温度Tの関数をg(T)として、
Figure 0006132029
で規定される関数G(T)を用いて、第1既知温度をT とし、第2既知温度をT (T >T )とし、第1電気信号をV とし、第2電気信号をV として、第1暗電流相当成分V d1 を、
Figure 0006132029
によって求めることを要件とする。
したがって、本赤外線検知装置によれば、動作温度が変化してしまった場合であっても、赤外線検知素子から出力される電気信号を精度良く補償できるという利点がある。
本実施形態にかかる赤外線検知装置の構成を示す図である。 本発明の課題を説明するための図である。 暗電流相当成分の動作温度依存性を表す関数h(T)の一例を示す図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置の構成を示す図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置に備えられる赤外線イメージセンサの構成を示す図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置の赤外線イメージセンサに備えられる赤外線検知素子からの信号の読み出しを説明するための図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における動作温度補償方法及び補正方法の第1の実施例を示すフローチャートである。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における動作温度補償方法及び補正方法の第1の実施例の信号処理部に備えられるデータ保存部及び信号演算部の構成の一例を示す図である。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における動作温度補償方法及び補正方法の第2の実施例を示すフローチャートである。 本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における動作温度補償方法及び補正方法の第2の実施例の信号処理部に備えられるデータ保存部及び信号演算部の構成の一例を示す図である。 図11(A)、図11(B)は、本実施形態にかかる赤外線検知装置の一例であるFPA型赤外線撮像装置における動作温度補償方法による効果を説明するための図である。 線形補間による補正を行なう場合の課題を説明するための図である。
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかる赤外線検知装置について、図1〜図12を参照しながら説明する。
本実施形態では、図1に示すように、赤外線検知装置1は、入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子10と、赤外線検知素子10から出力される電気信号を処理する信号処理部4とを備える。なお、赤外線検知装置1を、赤外線検知器又は赤外線撮像装置ともいう。また、赤外線検知素子10を、赤外線受光素子ともいう。また、信号処理部4を、信号演算部又は制御演算部ともいう。
特に、本赤外線検知装置1では、信号処理部4は、動作温度変化後に第2動作温度になった場合の動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値によって、動作温度変化による赤外線検知素子10から出力される電気信号(ここでは電圧;出力電圧)の変化を補償するようになっている。なお、暗電流相当成分は、暗電流に起因する成分である。
ここで、動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値は、第1動作温度において第1既知温度及び第2既知温度の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される第1電気信号及び第2電気信号を用いて求められる第1暗電流相当成分を含む。
以下、具体的に説明する。
まず、実際の赤外線検知素子10の入出力特性(入射光−出力信号特性)を正確に知ることができれば、動作温度が変化してしまった場合であっても、赤外線検知素子10から出力される電気信号を精度良く補償することができる。
例えば、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正する場合、例えば2つの赤外線源を用いて、既知強度の赤外線を赤外線検知素子10に入射し、そのときに赤外線検知素子10から出力される電気信号を取得する。このため、これらに基づいて、実際の赤外線検知素子10の入出力特性が例えば図2中、実線Aで示すようになっていることがわかれば、赤外線検知素子10から出力される電気信号の暗電流相当成分を求めることができる。つまり、実際の赤外線検知素子10の入出力特性が図2中、実線Aで示すようになっていることがわかれば、温度T=0(赤外線強度0)まで外挿し、そのときに赤外線検知素子10から出力される電気信号Vを求めることで、赤外線検知素子10から出力される電気信号の暗電流相当成分を求めることができる。このようにして求めた赤外線検知素子10から出力される電気信号の暗電流相当成分を用いて、赤外線検知素子10から出力される電気信号を精度良く補償することが可能である。これに対し、赤外線検知素子10の入出力特性が図2中、点線Bで示すように線形であると仮定した場合には、これに基づいて、赤外線検知素子10から出力される電気信号の暗電流相当成分を正確に求めるのは難しい。このため、動作温度が変化してしまった場合、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補償するのは困難である。
ここで、対象物体の温度Tに対して、その物体から放出される赤外線強度をf(T)とし、そのときの赤外線検知素子10の赤外線強度相当の電気信号出力(光電流相当の電圧)をVとする。対象物体の温度がTからT+dTに変化したとき、物体から放出される赤外線強度の変化はf(T)dTであり、したがって、赤外線検知素子10の電気信号出力の変化dVは、次式のように表現することができる。
Figure 0006132029
この微分方程式の解は、Cを積分定数として、
Figure 0006132029
となる。
したがって、f(T)の関数形を解析的に積分操作可能な形で決定することができれば、実際の赤外線検知素子10の入出力特性を正確に知ることができたことになり、動作温度が変化してしまった場合であっても、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補償できることになる。
本発明者は、この関数f(T)を、後述の導出過程を経て、次式のように決定できることを見出した。なお、次式で表される関数f(T)を、後述の近似関数f(T)と区別するために、F(T)又は〈∂W/∂T〉と表記する場合がある。
Figure 0006132029
また、この関数f(T)は、後述の近似式の導出過程を経て、実定数xを用いて近似すると、次式のようになる。なお、次式で表される関数f(T)を近似関数f(T)という。
Figure 0006132029
そして、関数f(T)をこのような形に近似した場合、Vを積分定数として、
Figure 0006132029
という式から、
Figure 0006132029
となる。
そして、赤外線検知素子10から出力される電気信号VDCは、これに暗電流相当成分(暗電流相当の出力成分)Vを加えて、
Figure 0006132029
となる。
この式は、普遍物理定数(h,c,k)及び別途決められるxλを除けば、未知係数はV,Vの2つであるから、相異なる既知温度T,T(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射したときに赤外線検知素子10から出力される電気信号VDCを、それぞれ、V,Vとし、これらがわかれば、それぞれに対して上記の式を適用した連立方程式の解として、未知係数V,Vを一意に決定することができる。
具体的には、未知係数Vは、以下のようにして決定することができる。
まず、上記の式に、既知温度Tに対して出力される電気信号Vを代入し、また、既知温度Tに対して出力される電気信号Vを代入すると、以下の2つの等式が得られる。
Figure 0006132029
そして、これらの式のうち、上側の式に、
Figure 0006132029
を掛け、下側の式に、
Figure 0006132029
を掛けて、辺々引き算することで、以下のように、未知係数Vを決定することができる。
Figure 0006132029
同様にして、未知係数Vも、以下のように、決定することができる。
Figure 0006132029
ところで、xλの値は、以下のようにして求めることができる。
まず、λは、赤外線検知素子の波長応答特性R(λ)におけるピーク波長である。つまり、赤外線検知素子の波長応答特性R(λ)は、適当な定数sを用いて、
Figure 0006132029
の形に近似することができ、このときのピーク波長である。
このため、例えば当該赤外線検知素子自体、又は、別途作製した同一仕様のパイロット素子などの実測結果からλを求めれば良い。
次に、実定数xは、以下のようにして決めれば良い。
まず、例えば、よく知られているように、λ=λ±3sに対して、R(λ)=exp(−9)〜1.234×10−4であり、その最大値1に対して十分小さいため、現実には、λ=λ±3s の外側の積分範囲ではR(λ)=0であると考えられる。
このため、以下の不等式が成り立つ。
Figure 0006132029
したがって、上記実定数xは、
Figure 0006132029
を満たす範囲に見出されるはずである。
ここで、赤外線検知素子10の波長応答特性R(λ)の半値全幅(Full Width at Half Maximum:FWHM)を考えると、R(λ)=0.5とおいてλについて解くことによって、
Figure 0006132029
が得られるから、上記実定数xの範囲は、
Figure 0006132029
となる。
したがって、この条件を満たす範囲で実定数xを決めれば良い。
なお、実定数xの決め方は、これに限られるものではない。
例えば、当該赤外線検知素子自体、又は、別途作製した同一仕様のパイロット素子などの実測結果などから、その波長応答特性R(λ)を得て、数値計算(数値積分)などの手法を用いて、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、
Figure 0006132029
で表される関数F(T)によって実際に求めた値に、
Figure 0006132029
で表される近似関数f(T)によって求めた値をフィッティングさせて実定数xの値を決定することも可能である。
ところで、上述のようにして、未知係数Vを決定することができることができる。このため、信号処理部4は、第1動作温度において赤外線検知素子10から出力される電気信号の第1暗電流相当成分Vd1を、第1動作温度において第1既知温度T及び第2既知温度T(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される第1電気信号V及び第2電気信号Vを用いて、
Figure 0006132029
によって求める。
この場合、信号処理部4は、第1暗電流相当成分を、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数(即ち、温度を変数とする関数)を含む関係式から求めていることになる。
ここで、関係式は、赤外線検知素子10から出力される赤外線強度相当の電気信号をVとし、温度変化をdTとした場合の赤外線検知素子10から出力される赤外線強度相当の電気信号の変化をdVとし、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分を温度Tの関数であるf(T)(Tを変数とする関数)として、次式のように表される。なお、関数f(T)を、赤外線強度の温度に対する依存性を表す関数ともいう。
Figure 0006132029
ここでは、関係式の赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に含まれる温度Tの関数f(T)は、赤外線の波長域をλ〜λとし、赤外線強度をWとし、温度をTとし、赤外線検知素子10の波長応答特性をR(λ)とし、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性をW(λ,T)として、次式のように表される。なお、波長応答特性を、波長分散、分光特性、又は、規格化分光応答特性ともいう。また、次式で表される関数f(T)を、後述の近似関数f(T)と区別するためにF(T)又は〈∂W/∂T〉と表記する場合がある。
Figure 0006132029
これを近似すると、赤外線検知素子10の波長応答特性におけるピーク波長をλpとし、実係数をxとし、ボルツマン定数をkとし、プランク定数をhとし、真空中での光速をcとして、次式のように表される。なお、次式で表される関数f(T)を近似関数f(T)という。
Figure 0006132029
この場合、実係数xは、赤外線検知素子10の波長応答特性における半値全幅をFWHMとして、
Figure 0006132029
を満たす温度(任意の温度)Tに対して、
Figure 0006132029
の範囲にあるのが好ましい。
ところで、第1動作温度において赤外線検知素子10から出力される電気信号の第1暗電流相当成分Vd1と、動作温度変化後の第2動作温度において赤外線検知素子10から出力される電気信号の第2暗電流相当成分Vd2との関係、即ち、ΔV=Vd2/Vd1は、暗電流相当成分の動作温度依存性を表す関数h(T)を用いて、
Figure 0006132029
又は、これを第1動作温度TD1の近傍で線形化して、
Figure 0006132029
というように表すことができる。ここで、h´(T)は関数h(T)のTに対する導関数である。
このため、信号処理部4は、第1動作温度TD1から第2動作温度TD2へ動作温度が変化した場合の動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値(ここでは変化量)Vd2−Vd1を、暗電流相当成分の動作温度依存性を表す関数h(T)を用いて、
Figure 0006132029
又は、第1動作温度TD1の近傍で線形化した、
Figure 0006132029
によって求める。
ここで、暗電流相当成分の動作温度依存性を表す関数h(T)は、暗電流の活性化エネルギーをEとして、
Figure 0006132029
で表されるものであれば良い。
これは、熱放出起因の電流変化の理論式、
Figure 0006132029
に基づくものである。
また、暗電流相当成分の動作温度依存性を表す関数h(T)は、暗電流の活性化エネルギーをEとして、
Figure 0006132029
で表されるものであっても良い。
これは、量子井戸型赤外線検知素子についての暗電流の理論式、
Figure 0006132029
に基づくものである。
また、暗電流相当成分の動作温度依存性を表す関数h(T)は、一の動作温度において赤外線検知素子10から出力される電気信号の一の暗電流相当成分、及び、他の動作温度において赤外線検知素子10から出力される電気信号の他の暗電流相当成分を用いて決定された関数であっても良い。
ここで、一の動作温度において赤外線検知素子10から出力される電気信号の一の暗電流相当成分は、一の動作温度において第1既知温度及び第2既知温度の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される第1電気信号及び第2電気信号を用いて求めれば良い。また、他の動作温度において赤外線検知素子10から出力される電気信号の他の暗電流相当成分は、他の動作温度において第1既知温度及び第2既知温度の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される第1電気信号及び第2電気信号を用いて求めれば良い。
例えば、一の動作温度において赤外線検知素子10から出力される電気信号の一の暗電流相当成分、及び、他の動作温度において赤外線検知素子10から出力される電気信号の他の暗電流相当成分は、次式によって求めれば良い。ここで、第1既知温度をTとし、第2既知温度をT(T>T)とし、第1電気信号をVとし、第2電気信号をVとする。
Figure 0006132029
具体的には、動作温度を意図的に変化させて、それぞれの動作温度における実際の赤外線検知素子10から出力される電気信号の暗電流相当成分を求め、例えば図3に示すように、動作温度Tと暗電流相当成分Vとを対応づけることで、暗電流相当成分の動作温度依存性を表す関数h(T)を決定すれば良い。
なお、暗電流相当成分の動作温度依存性を表す関数h(T)は、全ての赤外線検知素子10に共通に用いても良いし、赤外線検知素子毎に、又は、適当な数の赤外線検知素子を含む赤外線検知素子群毎に、異なるものを用いても良い。
そして、信号処理部4は、上述のようにして求められた第1暗電流相当成分Vd1を含む動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値によって、動作温度変化(動作温度変動)による赤外線検知素子10から出力される電気信号の変化(変動)を補償するようになっている。
ここで、第1動作温度TD1及び第2動作温度TD2において同一強度の赤外線が入射したときに赤外線検知素子10から出力される電気信号をVD1及びVD2とする。また、同一強度の赤外線が入射したときに赤外線検知素子10から出力される電気信号の光電流相当成分(光電流に起因する成分;ここでは同一強度の赤外線が入射したと仮定しているため、一定である)をVとする。また、Vd2/Vd1をΔVとする。なお、これらの動作温度、即ち、動作温度範囲において、赤外線検知素子10の感度は変化しない又は無視できると仮定する。そうすると、以下のように表すことができる。
Figure 0006132029
ここでは、信号処理部4は、上述のようにして求められた第1暗電流相当成分Vd1を含む動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値[例えば変化量Vd2−Vd1、又は、Vd1(Vd2/Vd1−1)、又は、Vd1(ΔV−1)]を、第2動作温度TD2における赤外線検知素子10からの出力電気信号VD2から減算して、第1動作温度TD1における赤外線検知素子10からの出力電気信号VD1に換算することで、動作温度変化による赤外線検知素子10から出力される電気信号の変化を補償するようになっている。
このようにして、実際の赤外線検知素子10の入出力特性に応じて、動作温度変化による赤外線検知素子10から出力される電気信号の変化を補償することが可能となり、動作温度が変化してしまった場合であっても、未知温度(未知強度)の赤外線の温度(強度)に相当する電気信号を精度良く得ることが可能となる。また、暗電流相当成分を求めるのに用いる、第1動作温度において第1既知温度及び第2既知温度の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される第1電気信号及び第2電気信号は、例えば線形補間等の補正を行なう際に取得されるものであるため、これを利用することが可能である。この場合、補正実施時の動作温度における暗電流相当成分を求めることで第1動作温度TD1における第1暗電流相当成分Vd1を求め、さらに、理論的見積もり又は実測から、この第1暗電流相当成分Vd1を含む動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値[例えば変化量Vd2−Vd1、又は、Vd1(Vd2/Vd1−1)、又は、Vd1(ΔV−1)]を求める。そして、これを、動作温度変化後の第2動作温度TD2に赤外線検知素子10から出力される電気信号VD2から減算して、第1動作温度TD1における赤外線検知素子10からの出力電気信号VD1に換算する。このようにして、第1動作温度TD1における赤外線検知素子10からの出力電気信号VD1を見積もる、即ち、動作温度変化による赤外線検知素子10から出力される電気信号の変化を補償することができる。さらに、例えば赤外線を遮断したダミー素子を用いることもない。このため、装置の複雑化を招くこともない。
次に、上述の関数f(T)の導出について説明する。
赤外線検知器の感度Rを「単位入射光強度(パワー)に対して出力として得られる電流値Iの比」と定義する。ここで、波長λとλ+dλの間での入射光強度W(λ)dλの入射光に対する出力電流dIは、感度の波長分散(分光特性)をR(λ)として、感度の定義から、
Figure 0006132029
と書ける。したがって、Wの全分光特性に対する出力電流Iは、この式を、光学系の透過波長域よりも十分広い波長域[λ,λ]で積分して、
Figure 0006132029
となる。ここで、R(λ)が、素子駆動バイアス電圧(VIg)によって変動するピーク値R(VIg)と、VIgによっては変動しない(と仮定した場合の)規格化分光応答特性R(λ)によって、
Figure 0006132029
の形に書ける。
また、W(λ)を、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性W(λ,T)、即ち、
Figure 0006132029
(k:ボルツマン定数、h:プランク定数、c:真空中での光速)とすると、光路中での減衰・散乱や、開口径によって決まる比例定数をA(波長に依存しないと仮定)として、上記出力電流Iは、
Figure 0006132029
となる。
したがって、暗電流、即ち、すべての入射光強度に対して流れる一定値の電流をI(VIg)とすると、温度Tの黒体からの放射によって赤外線検知素子に流れる全電流IDC(VIg)は、
Figure 0006132029
と表されることになる。
一方、温度Tの黒体からの放射によって赤外線検知素子に流れる全電流と、温度T=T+ΔTの黒体からの放射によって赤外線検知素子に流れる全電流との差分をΔI(VIg)とすると、
Figure 0006132029
となる。
ここで、ΔTが十分微小であるとすると、括弧{・}の中は、
Figure 0006132029
と近似できるから、
Figure 0006132029
と表すことができる。
ここで、ΔI(VIg)とIDC(VIg)の比、
Figure 0006132029
を考える。ここまでの結果から、この比は、
Figure 0006132029
となる。ここで、
Figure 0006132029
である。
また、上式のうち、
Figure 0006132029
は、定義ないしは仮定から、バイアス条件に依存しない温度Tの関数であり、これを、
Figure 0006132029
と置くと、
Figure 0006132029
となる。
したがって、
Figure 0006132029
という関係が得られる。
ところで、赤外線検知装置1(例えばFPA)の読出回路(Read Out Integrated Circuit:ROIC)が、一般的な、いわゆるダイレクト・インジェクション型であるとする。この場合、赤外線検知素子10に流れる電流(素子電流)IによってROICに備えられる容量素子11の両端の電位差Vが変化する(図8参照)。容量素子11の容量値C、蓄積電荷Q及びその端子間電圧Vの間にはQ=CVという良く知られた関係式があり、
Figure 0006132029
となる。
ここで、出力信号Sを、蓄積時間Δtでの単位温度差あたりの出力電位差、と定義すると、
Figure 0006132029
となるから、先ほどの結果を用いて、
Figure 0006132029
という関係が得られる。
ところで、出力信号Sは、その定義「蓄積時間Δtでの単位温度差あたりの出力電位差」から、
Figure 0006132029
であるから、結局、VDC(T,VIg)に関する微分方程式、
Figure 0006132029
が得られる。
ここで考えている赤外線検知素子10の動作状態では、そのバイアス電圧VIgは一定であるから、VIgの表記を省略し、VDC=V+Vであるから、この式は、結局、
Figure 0006132029
の形となる。
したがって、
Figure 0006132029
となる。
このようにして、形を決定すべき関数f(T)を導出することができる。
次に、上述の関数f(T)の近似式の導出について説明する。
対象物体を黒体と仮定した場合、温度Tの黒体放射強度の波長分散特性W(λ,T)(いわゆるプランクの輻射式)は、
Figure 0006132029
であり、
Figure 0006132029
の場合、
Figure 0006132029
と近似できる。
なお、この近似条件は、一般的に赤外線検知装置1で用いられる波長であるλ=3〜5μmあるいはλ=8〜12μmでは、それぞれ、およそ600℃あるいは100℃前後以下である(誤差2%を仮定)。一般的に赤外線検知装置1の応用分野としては、室温前後の物体、特に医療分野やセキュリティ分野では生物を対象としていることが多い。生物はその構成物質の大部分が水であるから、赤外線検知装置1の応用分野での対象物体の温度はおおむね0℃(水の凝固点)以上100℃(水の沸点)以下であると考えられる。したがって、上記近似条件は、一般的な赤外線検知装置1における条件として十分であると考えられる。
このような近似が成立する範囲においては、
Figure 0006132029
であるから、
Figure 0006132029
となる。
ここで、定積分、即ち、
Figure 0006132029
を、適当な実定数xを用いて、
Figure 0006132029
と近似する。
この場合、
Figure 0006132029
となる。
このようにして、上述の関数f(T)の近似式を導出することができる。つまり、「撮像対象の物体の温度が、室温近傍」、及び、「1/λという因子が、実効的に1/xλという定数因子として、積分の外に出せる」という2つの近似を用いて、解析的な形の具体的な関数形として、このような近似式を導出することができる。
ところで、ここでは、上述のように、
Figure 0006132029
という式の中の関数f(T)として、実定数xを用いて近似したもの、即ち、
Figure 0006132029
を用いているが、これに限られるものではない。
例えば、次式の中のR(λ)として、実測結果として得られるR(λ)(具体的にはこれを表現する関数)を代入し、解析的に積分を実行して、具体的なf(T)の解析的な関数形を決定し、これを上記式の中の関数f(T)として用いるようにしても良い。
Figure 0006132029
つまり、R(λ)にガウシアンを想定し、上述のように近似して、具体的なf(T)の解析的な関数形を決定するのに代えて、R(λ)にガウシアン以外、例えばローレンシアン、即ち、
Figure 0006132029
などを仮定して近似なしで、
Figure 0006132029
の積分を実行して、具体的なf(T)の関数形を決定できれば、これを上記式の中の関数f(T)として用いることもできる。
ただし、
Figure 0006132029
の積分が解析的に実行できることが望ましい。
このように、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含む関係式は、
Figure 0006132029
で表されるものを用いることができる。
つまり、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数を含む関係式が、
Figure 0006132029
で表される場合、この式の中の関数f(T)は、
Figure 0006132029
で表されるものであっても良い。
以下、複数の赤外線検知素子10を備える赤外線検知装置1である、複数の赤外線検知素子10を2次元状に配列したFPA型赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10(画素)からの出力電気信号(画素信号)の動作温度変化に起因する変化を補償するのに本発明を適用した場合を例に挙げて説明する。
ここで、赤外線撮像装置1は、物体の熱輻射によって放出される赤外線に対して、その赤外線撮像装置1に備えられる赤外線検知素子10に投影される赤外線の強度分布を電気信号分布に変換して、赤外線画像を得る。例えば、FPA型赤外線撮像装置1では、画素に相当する赤外線検知素子10を平面上に2次元状に配置し、その面に投影される赤外線の強度分布を電気信号分布に変換して、赤外線画像を得る。
このような赤外線撮像装置1は、可視光領域での撮像装置などとは異なり、暗闇の中においてもその対象物体を撮像可能であるため、いわゆるセキュリティ分野などといった応用分野で利用されている。また、対象物体から放出される赤外線の強度は、その対象物体の温度の関数であるため、撮像物体中での赤外線放射強度分布から、その物体中での温度分布を反映した画像が得られる。これを利用して、医療分野などでの応用も期待されている。
しかしながら、同一の入出力特性を有する複数の赤外線検知素子を作製するのは難しい。つまり、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が出力される、複数の赤外線検知素子を作製するのは難しい。例えば、FPA型赤外線検知装置に備えられる複数の赤外線検知素子の入出力特性を同一にするのは難しい。このため、赤外線検知素子が異なると、同一強度の赤外線が入射しているにもかかわらず、異なる電気信号が出力されてしまうことになる。例えば、FPA型赤外線検知装置では、強度が面内で均一な赤外線が入射しているにもかかわらず、複数の赤外線検知素子から出力される電気信号には分布が生じてしまうことになる。このように、各赤外線検知素子の間でその特性を均一に作製することは困難であり、したがって、そのままでは、たとえ投影される赤外線強度の面内分布が均一であっても、その出力信号には分布が生じてしまう。
このため、赤外線検知素子から出力される電気信号を、赤外線検知装置に備えられる信号処理部で補正することで、赤外線検知素子が異なっても、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られるようにしている。例えば、FPA型赤外線検知装置1では、各赤外線検知素子から出力される電気信号を信号処理部で補正することで、強度が面内で均一な赤外線が入射した場合に、各赤外線検知素子から出力される電気信号が均一になるようにしている。
この場合、いくつかの既知強度の赤外線を、面内に均一に入射させ、その出力を測定して、その結果から既知強度以外での入射光強度に対する画素出力を補間により補正する。このような補正を行なう場合、既知強度の赤外線源を、補正点の数だけ装置内などに備える必要があるため、装置の複雑化を招くから、通常は原理的に最も補正点が少ない、2点での補間が行なわれる。この場合、通常は2点間での赤外線検知素子10(画素素子)の線形性を仮定して、線形補間法が用いられる。つまり、例えば、2つの赤外線源を用いて、既知強度の赤外線を赤外線検知素子に入射し、そのときに赤外線検知素子から出力される電気信号を取得し、これらの2点間で赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定して、線形補間によって、対象物体からの赤外線が赤外線検知素子に入射したときに赤外線検知素子から出力される電気信号を補正する。
しかしながら、例えばなんらかの擾乱によって、動作温度が変化してしまうと、主に赤外線検知素子の暗電流が変化してしまい、赤外線検知素子から出力される電気信号が変化してしまう。
例えば、上述のような補正を行なう場合であっても、動作温度変化後に赤外線検知素子から出力された電気信号に対して、動作温度変化前に赤外線検知素子から出力された電気信号に基づいて求められた赤外線検知素子の入出力特性(補正情報)を用いて補正が行なわれてしまうことになる。このため、精度良く補正を行なうのが難しい。また、上述のような補正を行なっているにもかかわらず、同一強度の赤外線が入射した場合に同一の電気信号が得られず、各赤外線検知素子の特性のバラつきが反映される形で各赤外線検知素子から出力される電気信号のバラつきが再出現してしまう。この結果、得られる画像の画質が損なわれることになる。また、動作温度変化による出力電気信号の変化(主に暗電流相当成分の変化)は、各赤外線検知素子から出力される電気信号の平均値を変化させることになる。このため、例えば、各赤外線検知素子から出力される電気信号の大小を、画像の白黒のコントラストに対応させているような場合、撮像画像の全体的な色調を変化させてしまうことになる。例えば、画像全体が白く又は黒く変化してしまうことになる。
また、赤外線を遮断したダミー素子を用いて補償する場合、完全に赤外線を遮断するのは難しいため、精度良く補償を行なうのは困難である。例えば、赤外線検知装置では、撮像対象とする赤外線が、その温度に対応した形で周囲の物体のすべてから放射されており、少なくとも実際に装置として組み込まれた状態において赤外線を完全に遮光することは困難である。また、例えば、複数の赤外線検知素子のそれぞれの暗電流相当成分を見積もるのは難しく、複数の赤外線検知素子の特性バラつきに応じて精度良く補償を行なうのは困難である。また、例えば、複数の赤外線検知素子のそれぞれにダミー素子を組み込むことも考えられるが、素子構造の複雑化を招いてしまう。
そこで、動作温度が変化してしまった場合であっても、赤外線検知素子10から出力される電気信号を精度良く補償できるようにすべく、上述の手法を適用して、FPA型赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10からの出力電気信号の動作温度変化に起因する変化を補償するようにしている。この場合、各赤外線検知素子10からの出力電気信号の暗電流相当成分を直接かつ個別に求めることができ、動作温度変化に起因する出力電気信号の変化を補償することが可能となる。
ここで、図1に示すように、赤外線検知装置1としてのFPA型赤外線撮像装置は、赤外線イメージセンサ2と、赤外線イメージセンサ2に備えられる各赤外線検知素子10(画素)から出力される電気信号を処理する信号処理部4とを備える。
このうち、赤外線イメージセンサ2は、図5に示すように、複数の赤外線検知素子10を2次元状に配列した2次元アレイ(赤外線検知素子アレイ)21と、赤外線が入射して各赤外線検知素子10(画素)に流れた電流量に応じた出力電圧を順次読み出す読出回路を備える読出回路チップ3とを備える。なお、読出回路をROIC(readout integrated circuit)ともいう。そして、2次元アレイ21と読出回路チップ3とは、導電性の金属バンプ(導電バンプ;ここではInバンプ)5を介して接続(ハイブリッド接続)され、一体化されている。ここでは、赤外線検知素子は、例えば量子井戸型赤外線検知素子又は量子ドット型赤外線検知素子などであって、動作温度変化によって、抵抗値が変化し、暗電流が変化するものである。
ここで、読出回路チップ3は、図4に示すように、行選択スイッチ部22と、信号取り出し&シフトレジスタ部23とを備える。なお、信号取り出し&シフトレジスタ部23に含まれる信号取り出し部は、赤外線検知素子10毎に設けられている。そして、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を用いて、各赤外線検知素子10から出力される電気信号を個別に取り出すことができるようになっている。つまり、行選択スイッチ部22により、指定した行位置にある画素を選択し、さらに信号取り出し&シフトレジスタ部23により、指定した列位置にある画素を選択して、指定した行位置及び列位置にある画素10から、当該画素10の撮影データを出力電圧として読み出すことができるようになっている。
また、2次元アレイ21は、2次元アレイ21又は赤外線検知素子10の動作温度を検出するための温度センサ70を備える。この温度センサ70は、2次元アレイ21又は赤外線検知素子10の近傍に設けられており、2次元アレイ21又は赤外線検知素子10の動作温度を検出(測定)するようになっている。このため、温度センサ70によって、2次元アレイ21の全体の動作温度、即ち、複数の赤外線検知素子10の平均的な動作温度が検出されるようになっている。そして、温度センサ70からの出力信号は、信号処理部4へ送られるようになっている。なお、温度センサ70をアレイ温度センサともいう。
なお、温度センサ70は、赤外線検知素子毎に、又は、適当な数の赤外線検知素子群毎に設け、赤外線検知素子毎に、又は、適当な数の赤外線検知素子群毎に動作温度を検出するようにしても良い。また、温度センサ70は、温度を検出することができるものであれば良く、例えば、赤外線検知素子10に抵抗体を設け、その電流電圧特性から温度を推定するようなものであっても良い。このため、温度センサ70を温度検出手段ともいう。
また、信号処理部4は、データ保存部24と、信号演算部25と、信号出力部26と、スイッチ27とを含む。
このように、FPA型赤外線撮像装置1は、2次元アレイ21、行選択スイッチ部22、信号取り出し&シフトレジスタ部23、データ保存部24、信号演算部25、信号出力部26、及び、スイッチ27を含む。
なお、図4において、各ボックスで示される各機能ブロックと他の機能ブロックとの境界は、基本的には機能的な境界を示すものであり、物理的な位置の分離、電気的な信号の分離、制御論理的な分離等に対応するとは限らない。各機能ブロックは、他のブロックと物理的にある程度分離された1つのハードウェアモジュールであってもよいし、或いは他のブロックと物理的に一体となったハードウェアモジュール中の1つの機能を示したものであってもよい。
ところで、ここでは、信号取り出し&シフトレジスタ部23に含まれる信号取り出し部は、それぞれ、図6に示すように、容量素子11(キャパシタ)と、スイッチ12として動作するトランジスタとを備え、赤外線検知素子10に接続されている。赤外線検知素子10は、入射赤外線の量に応じて電気抵抗値が変化する特性を有し、入射赤外線に応じた出力電気量を生成する(例えば電流を流す)。赤外線検知素子10の抵抗値に応じた量の電流が、容量素子11からスイッチ12及び赤外線検知素子10を介してグランドGND側に流れ、容量素子11の電荷が減少する。この電荷の減少により変化する容量素子11の両端電位差に応じた電圧が、撮像データとして信号取り出し部に取り出される。そして、信号取り出し&シフトレジスタ部23に含まれるシフトレジスタ部は、選択された行での一定バイアス電圧下での列出力信号を時系列のシリアル信号として取り出す。このときのシリアル信号では、各赤外線検知素子10の入出力特性のばらつきによって、たとえ同じ強度の入射光量であっても、出力電圧強度がばらついている。
信号取り出し&シフトレジスタ部23により取り出された各赤外線検知素子10の出力電圧は、図4に示すように、スイッチ27を介して、データ保存部24又は信号演算部25に供給される。
装置の立ち上げ時(又は補正実施時)には、データ保存部24には、既知温度の黒体からの面内で均一な放射赤外線を2次元アレイ21に入射した状態で、信号取り出し&シフトレジスタ部23からの出力電圧を供給する。これにより、データ保存部24に、補正用及び動作温度補償用のデータを保存する。
対象物体の撮像時には、信号取り出し&シフトレジスタ部23からのばらついたシリアル信号を、信号演算部25に供給する。信号演算部25は、データ保存部24に保存された動作温度補償用のデータに基づいて、動作温度変化に起因する出力電気信号の変化を補償する演算を、各赤外線検知素子10毎に実行する。この動作温度補償演算により、動作温度変化に起因する出力電圧強度の変化を補償した動作温度補償後出力電圧が得られる。また、信号演算部25は、データ保存部24に保存された補正用のデータに基づいて、所定のバイアス条件における各赤外線検知素子10の入出力特性のばらつきによって生じる出力電圧強度のばらつきを補正する演算を、各赤外線検知素子10毎に実行する。この補正演算により、各赤外線検知素子10の入出力特性のばらつきによって生じる出力電圧強度のばらつきを補正した補正後出力電圧が得られる。この際、信号演算部25は、赤外線検知素子10の出力電気量に基づいて入射赤外線に応じた温度を求める。補正後出力電圧は各赤外線検知素子10毎に撮像対象の温度を示す電圧であり、信号演算部25から信号出力部26に供給される。
以下に、図4に示す赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10からの出力電気信号の動作温度補償方法及び補正方法について説明する。
図7は、赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10からの出力電気信号の動作温度補償方法及び補正方法の第1の実施例を示すフローチャートである。図4及び図7を参照して、図7に示される動作温度補償方法及び補正方法について説明する。なお、フローチャートにおいて、各ステップの実行順はフローチャートに示される順番に限定されるものではなく、動作に支障が生じない限りにおいてステップの実行順を前後させてもよい。なお、2次元アレイ21は、例えばn×n画素からなる2次元アレイとする。
まずステップS1で、2次元アレイ21を所望のバイアス電圧を印加した動作状態に設定する。つまり、2次元アレイ21の各画素を構成する赤外線検知素子10に一定バイアス電圧VIgを印加した状態にする。
ステップS2で、スイッチ27をデータ保存部24側に接続する。
ステップS3で、温度Tの黒体相当の物体(赤外線源)から放射された赤外線(温度Tの黒体相当の強度の赤外線)を面内で均一に2次元アレイ21に入射(照射)する。
ステップS4で、上記赤外線を入射した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素10から画素出力電圧値V(i,j)を取得する。出力電圧値V(i,j)は、信号取り出し&シフトレジスタ部23からデータ保存部24に供給され、データ保存部24に保存される。
図8は、データ保存部24及び信号演算部25の構成の一例を示す図である。
データ保存部24は、AD変換部31、記憶制御部32、読出制御部33、V(i,j)記憶部34、V(i,j)記憶部35、及び温度記憶部36を含む。また、信号演算部25は、演算部41、及びAD変換部42を含む。
AD変換部31は、信号取り出し&シフトレジスタ部23から供給されたアナログの出力電圧をデジタル電圧値に変換する。
データ保存部24には、現在供給されている出力電圧の画素位置(i,j)を示すデータと、現在入射している赤外線源の温度T又はTを示すデータとが供給される。
記憶制御部32は、AD変換部31によるAD変換後のデジタル電圧値を、V(i,j)記憶部34に格納する。この際、記憶制御部32は、画素位置(i,j)に応じたメモリ位置にデジタル電圧値を格納する。また更に、記憶制御部32は、現在の赤外線源の温度Tを温度記憶部36に格納する。
図7に戻り、ステップS5で、温度Tの黒体相当の物体(赤外線源)から放射された赤外線(温度Tの黒体相当の強度の赤外線)を面内で均一に2次元アレイ21に入射(照射)する。
ステップS6で、上記赤外線を入射した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素10から画素出力電圧値V(i,j)を取得する。出力電圧値V(i,j)は、信号取り出し&シフトレジスタ部23からデータ保存部24に供給され、データ保存部24に保存される。
図8に示すデータ保存部24では、出力電圧値V(i,j)をAD変換部31によりAD変換して得られるデジタル電圧値が、記憶制御部32により、V(i,j)記憶部35に格納される。この際、記憶制御部32は、画素位置(i,j)に応じたメモリ位置にデジタル電圧値を格納する。また更に、記憶制御部32は、現在の赤外線源の温度T2を温度記憶部36に格納する。
また、記憶制御部32は、温度センサ70から2次元アレイ21のこの時点の動作温度(第1動作温度)TD1を取得し、これを温度記憶部36に格納する。
以上により、動作温度補償及び補正に用いられるデータの取得が完了する。
なお、このほか、データ保存部24には、別途取得したx、λ又はxλの値が保存されている。
また、上述のデータ取得処理は、装置の立ち上げ時又は補正実施時に行なうようにすれば良い。特に、補正を実施する場合には、補正実施時に上述のデータ取得処理を行なうことになるため、これと別に上述のデータ取得処理を行なう必要はなく、補正実施時に行なった上述のデータ取得処理によって取得したデータを、動作温度補償のために用いれば良い。但し、補正実施時に行なわれる上述のデータ取得処理とは別に上述のデータ取得処理を行なうようにしても良い。
次に、赤外線撮像装置1の通常の使用状態において、動作温度補償及び補正を実施して赤外線画像を得る動作が実行される。
図7のステップS7で、スイッチ27を信号演算部25側に接続する。
これにより、各画素を構成する赤外線検知素子10に一定バイアス電圧VIgを印加した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素(i,j)からの画素出力V(i,j)を信号演算部25に順次読みだす。ここでは、この時点の動作温度(第2動作温度;動作温度変化後の動作温度)をTD2とし、この動作温度TD2における各画素(i,j)からの画素出力をVD2(i,j)とする。
各画素(i,j)からの画素出力電圧VD2(i,j)が信号演算部25に入力されると、画素位置(i,j)を示すデータに応じて、画素(i,j)に対応したデータV(i,j)、V(i,j)及びT、T、TD1、x、λ又はxλなどの値がデータ保存部24から読み出され(図7のステップS8)、また、温度センサ70からこの時点の動作温度(第2動作温度)TD2が取得される。
信号演算部25のAD変換部42は、各画素(i,j)からの画素出力電圧VD2(i,j)をアナログ電圧からデジタル電圧値に変換する。信号演算部25の演算部41は、変換後のデジタル電圧値に対して動作温度補償処理を実施して、動作温度TD1における各画素(i,j)の画素出力電圧VD1(i,j)に換算する。なお、動作温度TD2が動作温度TD1と同じ場合、即ち、動作温度が変化していない場合は、動作温度補償処理を実施しなくても良い。
ここでは、信号演算部25の演算部41は、画素(i,j)に対応したデータV(i,j)、V(i,j)及びT、T、x、λ又はxλなどの値を用いて、次式によって、第1動作温度TD1における各画素(i,j)の第1暗電流相当成分(第1暗電流相当出力電圧成分)Vd1(i,j)を求める。
Figure 0006132029
また、信号演算部25の演算部41は、Vd1(i,j)、TD1、TD2、暗電流相当成分の動作温度依存性を表す関数h(T)を用いて、第2動作温度TD2における各画素(i,j)の第2暗電流相当成分(第2暗電流相当出力電圧成分)をVd2(i,j)として、動作温度変化後に第2動作温度になった場合の動作温度変化による各画素(i,j)の暗電流相当成分の変化を示す値である変化量Vd2(i,j)−Vd1(i,j)を、
Figure 0006132029
又は、第1動作温度TD1の近傍で線形化した、
Figure 0006132029
によって求める。なお、暗電流相当成分の動作温度依存性を表す関数h(T)としては、上述したものを用いれば良い。
そして、信号演算部25の演算部41は、次式によって、このようにして求められた動作温度変化による各画素(i,j)の暗電流相当成分の変化量、即ち、第2動作温度TD2における各画素(i,j)の第2暗電流相当成分Vd2(i,j)と第1動作温度TD1における各画素(i,j)の第1暗電流相当成分Vd1(i,j)との差分(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))を、第2動作温度TD2における各画素(i,j)からの画素出力電圧VD2(i,j)から減算して、第1動作温度TD1における各画素(i,j)の画素出力電圧VD1(i,j)に換算する(図7のステップS9)。これにより、動作温度変化前の補正情報、即ち、第1動作温度TD1において取得した、第1既知温度T及び第2既知温度Tの黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される第1電気信号V(i,j)及び第2電気信号V(i,j)を用いて補正を行なうのに適した画素出力電圧を得ることができる。なお、動作温度範囲において赤外線検知素子10の感度は変化しない又は無視できると仮定した場合、動作温度変化による暗電流相当成分の変化量は、動作温度変化による画素出力電圧の変化量に等しい。
D1(i,j)=VD2(i,j)−(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))
このようにして、第1暗電流相当成分Vd1(i,j)を含む、動作温度変化後に第2動作温度TD2になった場合の動作温度変化による暗電流相当成分の変化量(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))によって、動作温度変化による赤外線検知素子から出力される電気信号の変化を補償することができる。
その後、信号演算部25の演算部41は、動作温度補償後(換算後)の各画素(i,j)の画素出力電圧VD1(i,j)に対して補正処理を実施して、動作温度補償後の各画素(i,j)の画素出力電圧VD1(i,j)に対応する撮像対象の当該部分の温度T(i,j)を求め、信号出力部26へ出力する(図7のステップS9)。ここで、動作温度補償後(換算後)の各画素(i,j)の画素出力電圧VD1(i,j)に対して補正処理を実施しているのは、補正処理において、第1動作温度TD1において取得した、第1既知温度T及び第2既知温度Tの黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される第1電気信号V(i,j)及び第2電気信号V(i,j)を用いるからである。
ステップS8の動作とステップS9の動作とが、全画素に対して繰り替えされる(図7のステップS10)。
信号出力部26は、赤外線撮像装置1の構成に応じて、上記T(i,j)に応じた強度の信号を例えばテレビ画像出力のコントラスト信号として生成し、ディスプレイ装置に出力する(図7のステップS11)。
なお、ここでは、第1動作温度TD1における各画素(i,j)の第1暗電流相当成分(第1暗電流相当出力電圧成分)Vd1(i,j)をステップS9で逐次算出しているが、これに限られるものではなく、例えば、予めステップS6の段階で計算してデータ保存部24に格納しておいても良い。
また、ここでは、動作温度補償処理(動作温度補償操作)を実施した後に補正処理(補正操作)を実施するようにしているが、これに限られるものではない。例えば、補正処理において、動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値(例えば変化量)を加味して補正を行なうようにしても良い。つまり、補正処理において、各画素(i,j)の画素出力電圧V(i,j)に対応する撮像対象の当該部分の温度T(i,j)を算出するのに必要な係数を、動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値(例えば変化量)に応じて変更し、変更した係数を用いて補正処理を行なうようにしても良い。このような場合も、第1動作温度において第1既知温度及び第2既知温度の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に赤外線検知素子から出力される第1電気信号及び第2電気信号を用いて求められる第1暗電流相当成分を含む、動作温度変化後に第2動作温度になった場合の動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値によって、動作温度変化による赤外線検知素子から出力される電気信号の変化を補償していることになる。
また、ここでは、各画素に対して動作温度補償処理及び補正処理を順番に行なっていくようにしているが、これに限られるものではなく、例えば、各画素に対して動作温度補償処理を順番に行ない、全画素に対して動作温度補償処理が終わった後、各画素に対して補正処理を順番に行なうことで、全画素に対して補正処理を行なうようにしても良い。
ところで、上記の実施形態では、信号演算部25にて、各(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))を算出するために動作温度補償演算を逐次実行している。
これに対し、例えば信号処理部4の演算速度などを考慮して、(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))を逐次算出するのではなく、各動作温度TD2に対応する(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))を予め計算しておき、計算したデータを、各TD2と(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))との対応を示すテーブルとしてデータ保存部24に保存しておいてもよい。
このような実施形態を以下に説明する。
図9は、赤外線撮像装置1における各赤外線検知素子10からの出力電気信号の動作温度補償方法の第2の実施例を示すフローチャートである。図9及び図10を参照して、図9に示される動作温度補償方法について説明する。なお、フローチャートにおいて、各ステップの実行順はフローチャートに示される順番に限定されるものではなく、動作に支障が生じない限りにおいてステップの実行順を前後させてもよい。
まずステップS21で、2次元アレイ21を所望のバイアス電圧を印加した動作状態に設定する。つまり、2次元アレイ21の各画素を構成する赤外線検知素子10に一定バイアス電圧VIgを印加した状態にする。
ステップS22で、スイッチ27をデータ保存部24側に接続する。
ステップS23で、温度Tの黒体相当の物体(赤外線源)から放射された赤外線(温度Tの黒体相当の強度の赤外線)を面内で均一に2次元アレイ21に入射(照射)する。
ステップS24で、上記赤外線を入射した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素10から画素出力電圧値V(i,j)を取得する。出力電圧値V(i,j)は、信号取り出し&シフトレジスタ部23からデータ保存部24に供給され、データ保存部24に保存される。
図10は、データ保存部24及び信号演算部25の構成の一例を示す図である。
データ保存部24は、AD変換部31、記憶制御部32、テーブル演算部51、電圧・温度記憶部52、テーブル記憶部53、及び読出制御・比較部54を含む。また、信号演算部25は、演算部61、及びAD変換部42を含む。
AD変換部31は、信号取り出し&シフトレジスタ部23から供給されたアナログの出力電圧をデジタル電圧値に変換する。
データ保存部24には、現在供給されている出力電圧の画素位置(i,j)を示すデータと、現在入射している赤外線源の温度T又はTを示すデータと、温度センサ70から2次元アレイ21のこの時点の動作温度(第1動作温度)TD1とが供給される。
記憶制御部32は、AD変換部31によるAD変換後のデジタル電圧値を、電圧・温度記憶部52に格納する。この際、記憶制御部32は、画素位置(i,j)に応じたメモリ位置にデジタル電圧値を格納する。また更に、記憶制御部32は、現在の赤外線源の温度Tを電圧・温度記憶部52に格納する。
図9に戻り、ステップS25で、温度Tの黒体相当の物体(赤外線源)から放射された赤外線(温度Tの黒体相当の強度の赤外線)を面内で均一に2次元アレイ21に入射(照射)する。
ステップS26で、上記赤外線を入射した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素10から画素出力電圧値V(i,j)を取得する。出力電圧値V(i,j)は、信号取り出し&シフトレジスタ部23からデータ保存部24に供給され、データ保存部24に保存される。
図10に示すデータ保存部24では、出力電圧値V(i,j)をAD変換部31によりAD変換して得られるデジタル電圧値が、記憶制御部32により、電圧・温度記憶部52に格納される。この際、記憶制御部32は、画素位置(i,j)に応じたメモリ位置にデジタル電圧値を格納する。また更に、記憶制御部32は、現在の赤外線源の温度T2を電圧・温度記憶部52に格納する。
なお、上述のデータ取得処理は、装置の立ち上げ時又は補正実施時に行なうようにすれば良い。特に、補正を実施する場合には、補正実施時に上述のデータ取得処理を行なうことになるため、これと別に上述のデータ取得処理を行なう必要はなく、補正実施時に行なった上述のデータ取得処理によって取得したデータを、動作温度補償のために用いれば良い。但し、補正実施時に行なわれる上述のデータ取得処理とは別に上述のデータ取得処理を行なうようにしても良い。
ステップS26では、更に、電圧・温度記憶部52に格納されている画素(i,j)に対応したデータV(i,j)、V(i,j)、T、T、別途取得したx、λ又はxλなどの値を用いて、次式によって、第1動作温度TD1における各画素(i,j)の第1暗電流相当成分Vd1(i,j)を求める。
Figure 0006132029
また、第1暗電流相当成分Vd1(i,j)、第1動作温度TD1、複数の第2動作温度TD2、暗電流相当成分の動作温度依存性を表す関数h(T)を用いて、各第2動作温度TD2における各画素(i,j)の第2暗電流相当成分(第2暗電流相当出力電圧成分)をVd2(i,j)として、動作温度変化後に第2動作温度になった場合の動作温度変化による各画素(i,j)の暗電流相当成分の変化を示す値である変化量Vd2(i,j)−Vd1(i,j)を、
Figure 0006132029
又は、第1動作温度TD1の近傍で線形化した、
Figure 0006132029
によって求める。
そして、各第2動作温度TD2と(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))との対応を示すテーブルを作成し、テーブル記憶部53に格納する。
ここでは、適当な区間[TD2(k),TD2(k)+δT]に対して、
Figure 0006132029
又は、第1動作温度TD1の近傍で線形化した、
Figure 0006132029
によって、画素(i,j)毎に各区間に対して(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))(k)を求める。そして、このようにして求めた(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))(k)とTD2(k)とを対応づけて、テーブルとして、テーブル記憶部53に格納する。
図9のステップS27で、スイッチ27を信号演算部25側に接続する。
これにより、各画素を構成する赤外線検知素子10に一定バイアス電圧VIgを印加した状態で、行選択スイッチ部22及び信号取り出し&シフトレジスタ部23を稼動させて、2次元アレイ21の各画素(i,j)からの画素出力V(i,j)を信号演算部25に順次読みだす。ここでは、この時点の動作温度(第2動作温度;動作温度変化後の動作温度)をTD2とし、この動作温度TD2における各画素(i,j)からの画素出力をVD2(i,j)とする。
ステップS28で、テーブル記憶部53に格納されているテーブルからデータを読み出す。
具体的には、信号演算部25のAD変換部42が、各画素(i,j)からの画素出力電圧VD2(i,j)をアナログ電圧からデジタル電圧値に変換し、演算部61に供給する。読出制御・比較部54は、温度センサ70からこの時点の動作温度(第2動作温度)TD2を取得し、画素位置(i,j)を示すデータと第2動作温度TD2とに基づいて、テーブル記憶部53に格納されているテーブルを読み出し、このテーブルから、画素位置(i,j)と第2動作温度TD2とに対応する(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))を読み出して、演算部61に供給する。
ここでは、テーブル記憶部53に格納されているテーブルから、
D2(k)≦TD2<TD2(k)+δT
を満たすkに対応する(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))(k)を読み出して、演算部61に供給する。
ステップS29で、この(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))、即ち、動作温度変化による各画素(i,j)の暗電流相当成分の変化量を、第2動作温度TD2における各画素(i,j)からの画素出力電圧VD2(i,j)から減算して、第1動作温度TD1における各画素(i,j)の画素出力電圧VD1(i,j)に換算する。
D1(i,j)=VD2(i,j)−(Vd2(i,j)−Vd1(i,j))
そして、この動作温度補償後(換算後)の各画素(i,j)の画素出力電圧VD1(i,j)に対して補正処理を実施して、動作温度補償後の各画素(i,j)の画素出力電圧VD1(i,j)に対応する撮像対象の当該部分の温度T(i,j)を求め、信号出力部26へ出力する。
ステップS28の動作とステップS29の動作とが、全画素に対して繰り替えされる(ステップS30)。
信号出力部26は、赤外線撮像装置1の構成に応じて、上記T(i,j)に応じた強度の信号を例えばテレビ画像出力のコントラスト信号として生成し、ディスプレイ装置に出力する(ステップS31)。
したがって、本実施形態にかかる赤外線検知装置によれば、動作温度が変化してしまった場合であっても、赤外線検知素子10から出力される電気信号を精度良く補償できるという利点がある。
なお、例えば線形補間などの補正のためのデータの取得を、周期的又は温度変化時に再度行なうようにすることで対応することも可能である。この場合、周期的又は温度変化時に、再度、例えば2つの赤外線源を用いて、既知強度の赤外線を赤外線検知素子に入射し、そのときに赤外線検知素子から出力される電気信号を取得し、線形補間などによる補正を行なうことになる。このため、このような補正を行なっている時間は、赤外線を検知することができず、むだ時間となってしまう。これに対し、上述の実施形態のように動作温度補償を行なう場合、例えば線形補間などの補正は1度行なえば良い。このため、むだ時間の発生を抑えることができる。また、一般に動作温度はフィードバック制御されているが、このフィードバック制御の精度があまり好ましい場合であっても、上述の実施形態の動作温度補償を行なうことで、これを補うことが可能である。
ここで、図11(A)、図11(B)は、上述の本実施形態の動作温度補償を行なった場合(動作温度補償及び線形補間による補正を行なった場合)の効果を示す図である。なお、図11(A)、図11(B)では、上述の本実施形態の動作温度補償を行なった場合を実線Aで示しており、比較のために上述の本実施形態の動作温度補償を行なわなかった場合(線形補間による補正のみを行なった場合)を破線Bで示している。また、図11(A)は、動作温度と温度誤差(温度30℃の均一赤外線源に対する画素出力(熱源温度換算)の誤差の平均値)との関係を示している。また、図11(B)は、動作温度と図11(A)の場合の出力バラツキの標準偏差との関係を示している。なお、第1動作温度TD1は70Kである。
図11(A)、図11(B)から分かるように、上述の本実施形態の動作温度補償を行なった場合、上述の本実施形態の動作温度補償を行なわなかった場合と比較して、動作温度変動に伴う出力変動が抑制されているとともに、赤外線検知素子10の特性のバラつきに起因する動作温度変動による出力変動のバラツキが抑制されていることがわかる。このように、動作温度が変化してしまった場合であっても、赤外線検知素子10から出力される電気信号を精度良く補償できることがわかる。
なお、本発明は、上述した実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、上述の実施形態では、複数の赤外線検知素子10を備える赤外線検知装置1を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、単一の赤外線検知素子を備える赤外線検知装置に本発明を適用することもできる。この場合も、赤外線検知素子から出力される電気信号を、赤外線検知装置に備えられる信号処理部で動作温度補償を行なうことで、動作温度が変化してしまった場合であっても、赤外線検知素子から出力される電気信号を精度良く補償することができる。
また、例えば、上述の実施形態において、補正処理としては、種々のものを採用しうる。例えば、2つの赤外線源を用いて、既知強度の赤外線を赤外線検知素子に入射し、そのときに赤外線検知素子から出力される電気信号を取得し、これらの2点間で赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定して、線形補間によって、対象物体からの赤外線が赤外線検知素子に入射したときに赤外線検知素子から出力される電気信号を補正するのが一般的である。
しかしながら、実際には、赤外線検知素子の入出力特性は線形ではないため、補正ずれが生じ、赤外線検知素子から出力される電気信号を補正して得られた赤外線強度(又は赤外線強度相当の黒体温度)と、実際の対象物体からの赤外線強度(又は赤外線強度相当の黒体温度)とが異なってしまうことになる。
例えば図12に示すように、赤外線検知素子に温度Tの黒体相当の強度の赤外線を入射し、そのときに赤外線検知素子から出力される電気信号Vを取得する。また、赤外線検知素子に温度Tの黒体相当の強度の赤外線を入射し、そのときに赤外線検知素子から出力される電気信号Vを取得する。そして、対象物体からの赤外線が赤外線検知素子に入射したときに赤外線検知素子から出力された電気信号がVであった場合、実際の赤外線検知素子の入出力特性(図12中、実線B参照)によれば、対象物体の温度はTであるとされ、赤外線検知素子から出力される電気信号が正しく補正されるべきところ、2点間で赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定すると(図12中、点線A参照)、対象物体の温度はT′であるとされ、赤外線検知素子から出力される電気信号が誤って補正されてしまうことになる。
ここで、赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定して赤外線検知素子から出力される電気信号を補正する場合、温度変化をdTとした場合の赤外線検知素子から出力される電気信号の変化をdVとし、aを定数とし、Cを積分定数として、
Figure 0006132029
という関係式に基づいて、赤外線検知素子から出力される電気信号を補正することになる。
そして、上述のように、補正ずれが生じ、誤って補正されてしまうのは、赤外線検知素子の入出力特性は線形であると仮定し、上記関係式において定数aを用いていることに起因する。
そこで、実際の赤外線検知素子の入出力特性に応じて、赤外線検知素子から出力される電気信号を精度良く補正できるようにするのが好ましい。
例えば、信号処理部4は、既知温度T及びT(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射したときに赤外線検知素子10から出力される電気信号がV及びVである場合、
Figure 0006132029
によって求められたV、Vを用いて、
Figure 0006132029
によって、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから対象物体の温度(未知温度)T(T≧T≧T)を求めることで、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正するのが好ましい。つまり、V,Vを用いて、任意の未知温度Tの対象物体(被撮像物体)からの赤外線(赤外光)に応じて赤外線検知素子から出力される電気信号Vを、上記の式を用いて適切に補正して、その温度T(黒体換算の温度;Tは絶対温度)を算出するのが好ましい。
このようにして補正を行なうことで、既知強度(既知温度)の2つの赤外線源からの赤外線を入射させて測定した2つの測定点を用いた2点補正を行なう場合に、これらの2つの測定点間を補間するのに、赤外線検知素子10の入出力特性に応じた補正曲線が用いられて、赤外線検知素子10から出力される電気信号が補正されることになる。このため、実際の赤外線検知素子10の入出力特性に応じて、対象物体からの赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される電気信号を精度良く補正することが可能となり、未知温度(未知強度)の赤外線の温度(強度)に相当する電気信号を精度良く得ることが可能となる。
また、例えば、上述の実施形態では、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから対象物体の温度Tを求めることで、赤外線検知素子10から出力される電気信号を補正しているが、これに限られるものではない。つまり、信号演算部25で、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから対象物体の温度Tを求め、信号出力部26で、温度Tに応じた強度の信号を例えばテレビ画像出力のコントラスト信号として生成して、ディスプレイ装置へ出力するようにしているが、これに限られるものではない。例えば、信号演算部で、赤外線検知素子から出力された電気信号Vから対象物体の温度Tに応じた強度の信号を例えばテレビ画像出力のコントラスト信号として生成して、ディスプレイ装置へ出力するようにしても良い。つまり、対象物体の温度(入射赤外線光量相当の黒体温度)Tを求めずに、赤外線検知素子10から出力された電気信号Vから、対象物体の温度Tと例えばテレビ画像出力のコントラスト信号の強度との対応関係に基づいて、例えばテレビ画像出力のコントラスト信号を生成して、ディスプレイ装置へ出力するようにしても良い。
ところで、上述の実施形態のように近似する手法とは別に、
Figure 0006132029
の形を、例えばプランクの輻射式から数値的に評価し、それを適当な関数g(T)で近似するという手法も考えられる。
ここで、関数g(T)は、温度Tの1次以上の整関数や指数関数など、数学的に取扱い可能な任意の関数が原理的には使用可能である。
この場合、対象物体の温度Tに対する赤外線検知素子の出力電気信号V(T)の関係は、すでに述べたのと同様にして、
Figure 0006132029
となる。
ここで、関数G(T)は、関数g(T)の原始関数の一つ、即ち、
Figure 0006132029
である。
この場合、未知係数Vは、以下のようにして決定することができる。
まず、上記の式に、既知温度Tに対して出力される電気信号Vを代入し、また、既知温度Tに対して出力される電気信号Vを代入すると、以下の2つの等式が得られる。
Figure 0006132029
そして、これらの式のうち、上側の式に、
Figure 0006132029
を掛け、下側の式に、
Figure 0006132029
を掛けて、辺々引き算することで、以下のように、未知係数Vを決定することができる。
Figure 0006132029
同様にして、未知係数Vも、以下のように、決定することができる。
Figure 0006132029
ところで、上述のようにして、未知係数Vを決定することができることができる。このため、信号処理部4は、第1動作温度において赤外線検知素子10から出力される電気信号の第1暗電流相当成分Vd1を、第1動作温度において第1既知温度T及び第2既知温度T(T>T)の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に赤外線検知素子10から出力される第1電気信号V及び第2電気信号Vを用いて、
Figure 0006132029
によって求める。
この場合も、上述の実施形態の場合と同様に、信号処理部4は、第1暗電流相当成分を、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に、定数ではなく、温度の関数(即ち、温度を変数とする関数)を含む関係式から求めていることになる。
ここで、関係式は、赤外線検知素子10から出力される赤外線強度相当の電気信号をVとし、温度変化をdTとした場合の赤外線検知素子10から出力される赤外線強度相当の電気信号の変化をdVとし、赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分を温度Tの関数であるg(T)(Tを変数とする関数)として、次式のように表される。なお、関数g(T)を、赤外線強度の温度に対する依存性を表す関数ともいう。
Figure 0006132029
つまり、信号処理部4は、関係式の赤外線強度の温度に対する依存性に関する部分に含まれる温度Tの関数をg(T)として、
Figure 0006132029
で規定される関数G(T)を用いて、第1既知温度をTとし、第2既知温度をT(T>T)とし、第1電気信号をVとし、第2電気信号をVとして、第1暗電流相当成分Vd1を、
Figure 0006132029
によって求めていることになる。
ところで、例えば、g(T)を1次関数、即ち、
Figure 0006132029
とした場合、
Figure 0006132029
となる。
また、例えば、g(T)を指数関数、即ち、
Figure 0006132029
とした場合、
Figure 0006132029
となる。
ところで、このような関数f(T)の近似関数g(T)を用いる場合、
Figure 0006132029
なる関係を満たすx(T)を含む関数を考えると、
Figure 0006132029
であるから、
Figure 0006132029
となる。
これを上述の実施形態のVDCの式と比較すると、上述の関数g(T)を用いる手法は、数学的には上述の実施形態のVDCの式の定数xに対して実効的に対象物体の温度Tに対する依存性を加味した場合に相当することになる。つまり、関数g(T)を上述のようにした場合、上述の実施形態では実定数xを用いて近似した関数f(T)を用いるのに対し、温度Tの関数x(T)を用いて近似した関数g(T)を用いるのに相当することになる。これは、
Figure 0006132029
の形に近似した結果であるとも言うこともできる。
1 赤外線検知装置
2 赤外線イメージセンサ
3 読出回路チップ
4 信号処理部
5 バンプ
10 赤外線検知素子
11 容量素子
12 スイッチ
21 2次元アレイ(赤外線検知素子アレイ)
22 行選択スイッチ部
23 信号取り出し&シフトレジスタ部
24 データ保存部
25 信号演算部
26 信号出力部
27 スイッチ
31 AD変換部
32 記憶制御部
33 読出制御部
34 V(i,j)記憶部
35 V(i,j)記憶部
36 温度記憶部
41 演算部
42 AD変換部
51 テーブル演算部
52 電圧・温度記憶部
53 テーブル記憶部
54 読出制御・比較部
61 演算部
70 温度センサ

Claims (5)

  1. 入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子と、
    第1動作温度において第1既知温度及び第2既知温度の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に前記赤外線検知素子から出力される第1電気信号及び第2電気信号を用いて求められる第1暗電流相当成分を含む、動作温度変化後に第2動作温度になった場合の動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値によって、動作温度変化による前記赤外線検知素子から出力される電気信号の変化を補償する信号処理部とを備え
    前記信号処理部は、前記第1暗電流相当成分を、温度Tの関数f(T)を含む関係式から求め、
    前記温度Tの関数f(T)は、前記赤外線検知素子の波長応答特性におけるピーク波長をλpとし、実係数をxとし、ボルツマン定数をk とし、プランク定数をhとし、真空中での光速をcとして、
    Figure 0006132029
    で表されることを特徴とする赤外線検知装置
  2. 前記実係数xは、前記赤外線検知素子の波長応答特性における半値全幅をFWHMとして、
    Figure 0006132029
    を満たす温度Tに対して、
    Figure 0006132029
    の範囲にあることを特徴とする、請求項に記載の赤外線検知装置。
  3. 入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子と、
    第1動作温度において第1既知温度及び第2既知温度の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に前記赤外線検知素子から出力される第1電気信号及び第2電気信号を用いて求められる第1暗電流相当成分を含む、動作温度変化後に第2動作温度になった場合の動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値によって、動作温度変化による前記赤外線検知素子から出力される電気信号の変化を補償する信号処理部とを備え、
    前記信号処理部は、前記第1既知温度をTとし、前記第2既知温度をT(T>T)とし、前記第1電気信号をVとし、前記第2電気信号をVとし、前記赤外線検知素子の波長応答特性におけるピーク波長をλpとし、実係数をxとし、ボルツマン定数をk とし、プランク定数をhとし、真空中での光速をcとして、前記第1暗電流相当成分Vd1を、
    Figure 0006132029
    によって求めることを特徴とする赤外線検知装置。
  4. 入射した赤外線に応じた電気信号を出力する赤外線検知素子と、
    第1動作温度において第1既知温度及び第2既知温度の黒体相当の強度の赤外線が入射した場合に前記赤外線検知素子から出力される第1電気信号及び第2電気信号を用いて求められる第1暗電流相当成分を含む、動作温度変化後に第2動作温度になった場合の動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値によって、動作温度変化による前記赤外線検知素子から出力される電気信号の変化を補償する信号処理部とを備え、
    前記信号処理部は、温度Tの関数をg(T)として、
    Figure 0006132029
    で規定される関数G(T)を用いて、前記第1既知温度をTとし、前記第2既知温度をT(T>T)とし、前記第1電気信号をVとし、前記第2電気信号をVとして、前記第1暗電流相当成分Vd1を、
    Figure 0006132029
    によって求めることを特徴とする赤外線検知装置。
  5. 前記信号処理部は、暗電流相当成分の動作温度依存性を表す関数をh(T)とし、前記第1動作温度をTD1とし、前記第2動作温度をTD2とし、前記動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値をVd2−Vd1として、前記動作温度変化による暗電流相当成分の変化を示す値Vd2−Vd1を、
    Figure 0006132029
    又は、前記第1動作温度TD1の近傍で線形化した、
    Figure 0006132029
    によって求めることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の赤外線検知装置。
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