JP5361041B2 - 結晶核剤及びそれを含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents

結晶核剤及びそれを含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5361041B2
JP5361041B2 JP2008219829A JP2008219829A JP5361041B2 JP 5361041 B2 JP5361041 B2 JP 5361041B2 JP 2008219829 A JP2008219829 A JP 2008219829A JP 2008219829 A JP2008219829 A JP 2008219829A JP 5361041 B2 JP5361041 B2 JP 5361041B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
polyolefin resin
nucleating agent
crystal nucleating
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008219829A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010053248A (ja
Inventor
和清 野村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Adeka Corp
Original Assignee
Adeka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2008219829A priority Critical patent/JP5361041B2/ja
Application filed by Adeka Corp filed Critical Adeka Corp
Priority to CN201210444108.0A priority patent/CN102977439B/zh
Priority to CN201210445218.9A priority patent/CN102977440B/zh
Priority to KR1020117006914A priority patent/KR101588343B1/ko
Priority to US13/061,012 priority patent/US8288462B2/en
Priority to PCT/JP2009/064620 priority patent/WO2010024191A1/ja
Priority to EP09809842.9A priority patent/EP2319882B1/en
Priority to CN2009801339157A priority patent/CN102137893B/zh
Priority to TW098128874A priority patent/TWI462958B/zh
Publication of JP2010053248A publication Critical patent/JP2010053248A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5361041B2 publication Critical patent/JP5361041B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、新規の結晶核剤及びそれを含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物に関し、詳しくは、透明性に優れたポリオレフィン系樹脂組成物を与える新規結晶核剤およびそれを用いたポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
ポリオレフィン系樹脂は、その成形加工性、耐熱性、力学的特性及び低比重等に優れている利点があり、フィルム、シート及び各種成形品(構造部品等)に広く利用されている。しかし、ポリオレフィン系樹脂自身は、一般的には優れた物性を有しているものの、ある種の用途によっては、その樹脂本来の優れた性能が引き出せないために、その適用が制限される場合があった。
この欠点は、ポリオレフィン系樹脂の結晶性に由来するものである。ポリオレフィン系樹脂の結晶性を改善して樹脂の透明性を向上させ、また耐熱性や力学的強度を付与するために、種々の結晶核剤を用いることが広く行われている。かかる結晶核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4−第三ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム及び2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ナトリウムビス(4−第三ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート及びリチウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール及びビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等の多価アルコール誘導体等の化合物が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂の特性を改善するために、アミド化合物を添加することは広く知られている。例えば、特許文献1には、銅等の重金属と接触するポリプロピレンの劣化を抑制するためフェニレンジアミンの脂肪酸ジアミド化合物を配合することが提案され、重金属による劣化の抑制効果が示されている。また、特許文献2には、ポリブテン−1を5重量%以上含有するポリオレフィン重合体にビスアミド化合物を配合することでヒートシール性や透明性が向上することが開示されている。さらに、特許文献3には、ジアミンとモノカルボン酸から得られるアミド化合物をポリプロピレンに添加することでβ晶を多量に含有する結晶性ポリプロピレン系樹脂組成物が得られることが開示されている。さらにまた、特許文献4には、ナフタレンジカルボン酸又はビフェニルジカルボン酸とモノアミンとを反応させた化合物が提案されている。
特開昭50−105558号公報 特開昭51−114482号公報 特開平6−107875号公報 特開平5−310665号公報
以上に示すようにこれまでに種々の結晶核剤の検討がなされているが、近年ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂に求められる性能はより高度なものとなり、更なる透明性改善とその他の特性を付与することができる結晶核剤が求められている。そのため、これまでに提案された結晶核剤では十分とはいえず、更なる結晶核剤の開発が望まれている。
例えば、特許文献1に記載されているフェニレンジアミンの脂肪酸ジアミド化合物は、ポリプロピレン樹脂に対しては、結晶核剤としての効果が小さく実用的なものではなかった。また、特許文献2に記載のビスアミド化合物(明細書第7頁第3表に記載の、試料No.3−5及びNo.3−6として示されている、N,N’−ジオクタデシル−ノナンジアミド)は、単独ではポリプロピレンに対する透明性向上効果は認められず、ポリブテン−1を配合する必要があった。さらに、特許文献3に記載のジアミンとモノカルボン酸から得られるアミド化合物はβ晶結晶核剤であるが、ポリプロピレン系樹脂組成物においては、β晶はα晶に比較して低融点であるため耐熱性が低く、成形品の透明性が乏しいため、耐熱性及び透明性を兼ね備えたポリプロピレンの提供には適さなかった。また、特許文献4に記載の、ナフタレンジカルボン酸又はビフェニルジカルボン酸とモノアミンとを反応させた化合物は、実際に評価してみたところ透明性改善効果は小さく、満足できるものではなかった。
そこで、本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、透明性に優れたポリオレフィン系樹脂組成物を与える新規結晶核剤およびそれを用いたポリオレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のカルバメート構造を有する結晶核剤とすることにより上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の結晶核剤は、下記一般式(1)、
Figure 0005361041
(式中、Rは水素原子、分岐を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜18のアリール基を表し、複数あるRは各々異なるものであってよい)で表されるカルバメート構造が炭素原子数1〜10の炭化水素基を介して少なくとも4つ以上連結した構造を有することを特徴とするものである。
また、本発明の結晶核剤は、上記結晶核剤が、下記一般式(2)、
Figure 0005361041
(式(2)中、Rは一般式(1)中のRと同じものを表し、nは2〜8の整数を表し、複数あるRは各々異なるものであってもよい)
又は下記一般式(3)、
Figure 0005361041
(式(3)中、Rは一般式(1)中のRと同じものを表し、複数あるRは各々異なるものであってもよい)で表されたものであることが好ましい。
さらに、本発明の結晶核剤は、上記結晶核剤が、下記一般式(4)、
Figure 0005361041
(式(4)中、Rは、一般式(1)中のRと同じものを表し、複数あるRは各々異なるものであってもよい)で表されたものであることがさらに好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、上記の結晶核剤0.01〜10質量部を含有することを特徴とするものである。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、上記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂であることがさらに好ましい。
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂に結晶核剤として、上記特定のカルバメート構造を有する結晶核剤を配合することにより、透明性に優れたポリオレフィン系樹脂組成物を実現することができる。
本発明の結晶核剤について、以下に詳述する。
本発明の結晶核剤とは、下記一般式(1)で表されるカルバメート構造が炭素原子数1〜10の炭化水素基を介して少なくとも4つ以上連結した構造からなるものである。
Figure 0005361041
(式中、Rは水素原子、分岐を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜10のアリール基、又は置換基を有してもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基を表し、複数あるRは各々異なるものであってよい)
前記炭素原子数1〜10の炭化水素基とは、炭素原子と水素原子で構成される化合物を表し、その分子構造は、アルカン、アルケン、シクロアルカン、芳香族炭化水素等が挙げられ、かかる炭化水素基の少なくとも4個の水素原子がカルバメート構造で置換されている。
前記一般式(1)中のRで表される、分岐を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、第三ペンチル基、ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、イソヘプチル基、第三ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、第三オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
これらアルキル基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミノ基又は下記のアリール基で中断されていてもよく、アルキル基中の水素原子が、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基等の鎖状脂肪族基、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、2H−ピラン、4H−ピラン、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、ナフタレン、アントラセン、ピロリジン、ピリンジン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、又は下記のシクロアルキル基等の環状脂肪族基で置換されていてもよい。また、これらの中断又は置換は組み合わされていてもよい。
また、前記アルキル基は、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルカノイルオキシアルキル基、アミノアルキル基等を包含し得る。
前記ヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル、1−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシル等が挙げられ、アルキル基と同様に、ヒドロキシアルキル基中のアルキル基が中断されてもよく、ヒドロキシアルキル基中の水素原子が置換されていてもよく、中断及び置換が組み合わされてもよい。
前記アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシブチル、エトキシヘキシル、エトキシメチル、ブトキシエチル、t−ブトキシヘキシル、ヘキシルオキシメチル等が挙げられ、前記アルキル基と同様に、アルコキシアルキル基中のアルキル基が中断されてもよく、アルコキシアルキル基中の水素原子が置換されてもよく、中断及び置換が組み合わされてもよい。
前記アルキルアミノアルキル基としては、例えば、メチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ヘキシルアミノメチル、エチルアミノエチル、ヘキシルアミノエチル、メチルアミノプロピル、ブチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、エチルアミノブチル、ヘキシルアミノブチル、メチルアミノヘキシル、エチルアミノヘキシル、ブチルアミノヘキシル、ヘキシルアミノヘキシル等が挙げられ、前記アルキル基と同様に、アルキルアミノアルキル基中のアルキル基が中断されてもよく、アルキルアミノアルキル基中の水素原子が置換されていてもよく、中断及び置換が組み合わされてもよい。
前記ジアルキルアミノアルキル基としては、例えば、ジメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、ジヘキシルアミノメチル、ジエチルアミノエチル、ジヘキシルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジブチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、ジエチルアミノブチル、ジヘキシルアミノブチル、ジメチルアミノヘキシル、ジエチルアミノヘキシル、ジブチルアミノヘキシル、ジヘキシルアミノヘキシル等が挙げられ、アルキル基と同様に、ジアルキルアミノアルキル基中のアルキル基が中断されてもよく、ジアルキルアミノアルキル基中の水素原子が置換されてもよく、中断及び置換が組み合わされてもよい。
前記アルコキシカルボニルアルキル基とは、例えば、メトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、メトキシカルボニルヘキシル、エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、プロポキシカルボニルメチル、イソプロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、ペンチルオキシカルボニルメチル、ヘキシルオキシカルボニルメチル、ヘキシルオキシカルボニルブチル、ヘキシルオキシカルボニルヘキシル等が挙げられ、
前記アルキル基と同様に、アルコキシカルボニルアルキル基中のアルキル基は中断されてもよく、アルコキシカルボニルアルキル基中の水素原子が置換されてもよく、中断及び置換が組み合わされてもよい。
前記カルボキシアルキル基とは、例えば、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシブチル、カルボキシヘキシル等が挙げられ、前記アルキル基と同様に、カルボキシアルキル基中のアルキル基は中断されてもよく、カルボキシアルキル基中の水素原子が置換されてもよく、中断及び置換が組み合わされてもよい。
前記ハロゲン化アルキル基とは、例えば、モノクロロメチル、モノブロモメチル、モノヨードメチル、モノフルオロメチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、ジヨードメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、トリヨードメチル、トリフルオロメチル、ジブロモブチル、ジヨードブチル、ジフルオロブチル、クロロヘキシル、ブロモヘキシル、ヨードヘキシル及びフルオロヘキシル等が挙げられ、前記アルキル基と同様に、ハロゲン化アルキル基中のアルキル基は中断されてもよく、ハロゲン化アルキル基中の水素原子が置換されてもよく、中断及び置換が組み合わされてもよい。
前記アルカノイルオキシアルキル基とは、例えば、アセトキシメチル、2−アセトキシエチル、プロピオニルオキシメチル、1−ヘキサノイルオキシ−2−メチルペンチル等が挙げられ、前記アルキル基と同様に、アルカノイルオキシアルキル基中のアルキル基は中断されてもよく、アルカノイルオキシアルキル基中の水素原子が置換されてもよく、中断及び置換が組み合わされてもよい。
前記アミノアルキル基とは、例えば、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、アミノペンチル基、アミノヘキシル基等が挙げられ、前記アルキル基と同様に、アミノアルキル基中のアルキル基は中断されてもよく、アミノアルキル基中の水素原子が置換されてもよく、中断及び置換が組み合わされてもよい。
前記一般式(1)中のRで表される、炭素原子数6〜18の置換基を有してもよいアリール基としては、フェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、4−第三ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル等が挙げられ、アリール基中の水素原子が、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルコキシアルキル基、アルカノイルオキシ基、又はアルコキシカルボニル基で置換されていてもよい。
前記一般式(1)中のRで表される、置換されていてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基中の水素原子が、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルコキシアルキル基、アルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトリル基又はシアノ基で置換されていてもよい。
本発明における前記一般式(1)で表される化合物の具体的な構造としては、下記化合物No.1〜No.9が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物に制限されるものではない。
Figure 0005361041
上記一般式(1)で表される結晶核剤のうち、下記一般式(2)又は(3)で表される構造の化合物を好ましく用いることができる。
Figure 0005361041
(式(2)中、Rは一般式(1)中のRと同じものを表し、nは2〜8の整数を表し、複数あるRは各々異なるものであってもよい。)
Figure 0005361041
(式(3)中、Rは一般式(1)中のRと同じものを表し、複数あるRは各々異なるものであってもよい。)
上記一般式(1)で表される結晶核剤のなかでも、特に、下記一般式(4)で表される構造の化合物が好適である。
Figure 0005361041
(式中、Rは、一般式(1)中のRと同じものを表し、複数あるRは各々異なるものであってもよい。)
前記一般式(1)で表されるカルバメート構造が炭素原子数1〜10の炭化水素基を介して少なくとも4つ以上連結した構造からなる化合物は、具体的には後述の合成例に従って製造することができるが、一般的には、下記反応式(5)又は(6)に従って製造することができる。即ち、エリスリトール又はペンタエリスリトール等の多価アルコール化合物とイソシアン酸化合物等を、必要に応じてジメチルアセトアミド等の溶媒中に加熱還流下で反応させることによって、容易に製造することができる。
反応式(5)
Figure 0005361041
DMAc:ジメチルアセトアミド
反応式(6)
Figure 0005361041
DMAc:ジメチルアセトアミド
次に、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物について、以下に詳述する。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体等のα−オレフィン共重合体等が挙げられる。
上記のポリオレフィン系樹脂の中では、本発明の結晶核剤の使用効果が顕著であるポリプロピレン系樹脂が好適であり、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、エチレン以外のα−オレフィン/プロピレンブロック又はランダム共重合体及びこれらのプロピレン系重合体と他のα−オレフィン重合体との混合物等が、特に好適に用いられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物において、前記一般式(1)で表されるカルバメート構造が炭素原子数1〜10の炭化水素基を介して少なくとも4つ以上連結した構造を有する結晶核剤は、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部、好ましくは0.02〜1質量部、より好ましくは、0.05〜0.5質量部配合される。0.01質量部より少ないと、添加効果が不充分であり、10質量部より多いと、ポリオレフィン系樹脂組成物を成形加工して得られる成形品の表面にブリードするおそれがある。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて、従来公知の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、各種フィラー、帯電防止剤、離型剤、香料、滑剤、難燃剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、抗カビ剤、本発明の結晶核剤以外の結晶核剤等の各種添加剤を配合してもよい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物において、前記ポリオレフィン系樹脂に、本発明の結晶核剤を配合する方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法によって行うことができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂粉末あるいはペレットと添加剤とをドライブレンドで混合してもよく、添加剤の一部をプレブレンドした後、残りの成分とドライブレンドしてもよい。ドライブレンドの後に、例えば、ミルロール、バンバリーミキサー、スーパーミキサー等を用いて混合し、単軸あるいは二軸押出機等を用いて混練してもよい。この混合混練は、通常120〜220℃程度の温度で行われる。また、ポリオレフィン系樹脂の重合段階で添加剤を添加する方法、バインダー、ワックス、溶剤、シリカ等の造粒助剤等と共に予め所望の割合で混合した後、造粒してワンパック複合添加剤とし、該ワンパック複合添加剤をポリオレフィン系樹脂に添加する方法、添加剤を高濃度で含有するマスターバッチを作成し、該マスターバッチをポリオレフィン系樹脂に添加する方法等を用いることができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を成形するに際しては、一般のプラスチックと同様に、押出成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形等の成形を行うことができ、シート、棒、ビン、容器等の各種成形品を容易に得ることができる。
以下、合成例、製造例および実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。尚、合成例とは、上記一般式(1)で表されるカルバメート構造が炭素原子数1〜10の炭化水素基を介して少なくとも4つ以上連結した構造を有する結晶核剤の合成方法であり、製造例とは、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の製造例である。また、実施例とは本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の物性の評価を示す。
(合成例1)化合物No.1を下記の手順に従い、合成した。
窒素雰囲気下、エリスリトール3g(24.6mmol)、ジブチルチンオキシド0.3g及びジメチルアセトアミド150mlを混合し、0℃まで冷却した。冷却後、さらに、イソシアン酸シクロヘキシル12.3g(98.4mmol)を滴下した。滴下終了後、140℃まで昇温してその温度で4時間保持した。室温で放冷して冷却した後、イソプロパノール/水の混合溶液100ml(質量比1/1)を加えて反応を停止させた。反応で生じた生成物を濾別し、残渣をイソプロパノールで洗浄して、白色固体12.7g(収率:83%)を得た。該白色固体をFT−IRで分析した結果、化合物No.1と同定した。これらの分析結果について下記に示す。
FT−IR[KBr錠剤法](cm−1
3329、2936、2855、1693、1535、1447、1315、1280、1234、1146、1068、1049
(製造例)
230℃、21.2Nでのメルトフローインデックスが15g/10分であるエチレン/プロピレンランダム共重合体(エチレン含有量;3質量%)100質量部に対し、フェノール系抗酸化剤:テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.1質量部、リン系抗酸化剤:トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.1質量部、ハイドロタルサイト(DHT−4A;協和化学工業株式会社製)0.05質量部、及び下記の表1に記載の化合物を、ヘンシェルミキサー(FM200;三井鉱山株式会社製)で1000rpm、1分間混合し、単軸押出機(OEX3024;株式会社ディ・ディ・エム製)で、230℃、25rpmのスクリュー速度の加工条件で押出加工してペレットを製造した。得られたペレットについて、90℃で3時間乾燥後、下記の評価を実施した。なお、下記の表1中の結晶核剤は、上記化合物No.1〜4およびNo.7に対応するものである。
(結晶化温度)
得られたペレットを、示差走査熱量測定機(ダイアモンド;パーキンエルマー社製)にて、50℃/minの速度で230℃まで昇温し、10分間保持後−10℃/minの速度で50℃まで冷却して得られたチャートにおいて、吸熱のピークトップを結晶化温度とした。これらの結果について下記の表1に示す。
(Haze)
前記の得られたペレットを、射出成型機(EC100−2A;東芝機械株式会社製)にて、220℃の射出温度及び70〜80MPaの射出圧力で金型に40秒間充填し、50℃の金型内で20秒間冷却後、金型からシートを取り出す条件で射出成形を行って、一辺が60mm四方の正方形で厚みが1mmのシートを得た。該シートは射出成形後ただちに槽内温度が23℃である恒温槽で48時間以上静置した後、ヘイズ・ガード2(株式会社東洋精機製作所製)にて、試験片のHaze(霞度)を求めた。尚、この数値が低いほど試験片の透明性は良好であることを示す。これらの結果について下記の表1に示す。
(曲げ弾性率)
前記の得られたペレットを、射出成型機(EC100−2A;東芝機械株式会社製)にて、220℃の射出温度及び70〜80MPaの射出圧力で金型に40秒間充填し、50℃の金型内で20秒間冷却後、金型からシートを取り出す条件で射出成形を行って、長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの曲げ試験片を作成した。該曲げ試験片は射出成形後ただちに槽内温度が23℃である恒温槽で48時間以上静置した後、曲げ試験機(株式会社島津製作所製;AG−IS)にて、曲げ弾性率(MPa)を求めた。これらの結果について下記の表1に示す。
Figure 0005361041
1):結晶核剤未配合
2):未評価
前記表1より、本発明の一般式(1)で表される結晶核剤を含有したポリオレフィン系樹脂組成物は、透明性及び物性を大幅に改善できることが確認できた。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)、
    Figure 0005361041
    (式(1)中、Rは水素原子、分岐を有してもよい炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜18のアリール基を表し、複数あるRは各々異なるものであってよい)で表されるカルバメート構造が炭素原子数1〜10の炭化水素基を介して少なくとも4つ以上連結した構造を有することを特徴とする結晶核剤。
  2. 前記結晶核剤が、下記一般式(2)、
    Figure 0005361041
    (式(2)中、Rは一般式(1)中のRと同じものを表し、nは2〜8の整数を表し、複数あるRは各々異なるものであってもよい)
    又は下記一般式(3)、
    Figure 0005361041
    (式(3)中、Rは一般式(1)中のRと同じものを表し、複数あるRは各々異なるものであってもよい)で表されたものである請求項1記載の結晶核剤。
  3. 前記結晶核剤が、下記一般式(4)、
    Figure 0005361041
    (式(4)中、Rは、一般式(1)中のRと同じものを表し、複数あるRは各々異なるものであってもよい)で表されたものである請求項1記載の結晶核剤。
  4. ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の結晶核剤0.01〜10質量部を含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
  5. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂である請求項4記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
JP2008219829A 2008-08-28 2008-08-28 結晶核剤及びそれを含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物 Active JP5361041B2 (ja)

Priority Applications (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008219829A JP5361041B2 (ja) 2008-08-28 2008-08-28 結晶核剤及びそれを含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物
CN201210445218.9A CN102977440B (zh) 2008-08-28 2009-08-21 聚烯烃系树脂组合物
KR1020117006914A KR101588343B1 (ko) 2008-08-28 2009-08-21 폴리올레핀계 수지 조성물
US13/061,012 US8288462B2 (en) 2008-08-28 2009-08-21 Polyolefin resin composition
CN201210444108.0A CN102977439B (zh) 2008-08-28 2009-08-21 聚烯烃系树脂组合物
PCT/JP2009/064620 WO2010024191A1 (ja) 2008-08-28 2009-08-21 ポリオレフィン系樹脂組成物
EP09809842.9A EP2319882B1 (en) 2008-08-28 2009-08-21 Polyolefin resin composition
CN2009801339157A CN102137893B (zh) 2008-08-28 2009-08-21 聚烯烃系树脂组合物
TW098128874A TWI462958B (zh) 2008-08-28 2009-08-27 Polyolefin resin composition

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008219829A JP5361041B2 (ja) 2008-08-28 2008-08-28 結晶核剤及びそれを含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010053248A JP2010053248A (ja) 2010-03-11
JP5361041B2 true JP5361041B2 (ja) 2013-12-04

Family

ID=42069490

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008219829A Active JP5361041B2 (ja) 2008-08-28 2008-08-28 結晶核剤及びそれを含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5361041B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BR112014029212B1 (pt) * 2012-05-11 2020-12-01 Adeka Corporation composição de agente clarificante, composição de resina e artigo moldado

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH865367D (ja) * 1966-07-06
JPS581736A (ja) * 1981-06-25 1983-01-07 Adeka Argus Chem Co Ltd ポリオレフイン系樹脂組成物
JP3396904B2 (ja) * 1993-01-20 2003-04-14 新日本理化株式会社 ポリプロピレン系樹脂組成物
US6387994B1 (en) * 1999-11-04 2002-05-14 W. L. Gore & Associates, Inc. Combination of a solid solvent and a melt-processible block copolymer

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010053248A (ja) 2010-03-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI462958B (zh) Polyolefin resin composition
KR101842517B1 (ko) 수지 첨가제 마스터 배치
TWI441860B (zh) Polyolefin resin composition
WO2010035912A2 (ja) ポリプロピレン系樹脂成形体
JP4835159B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂の結晶化速度制御のための組成物及び方法、樹脂組成物及び樹脂成形体
EP4073029B1 (en) Trisamide compounds and compositions comprising the same
JP4792973B2 (ja) アミド系化合物、ポリオレフィン樹脂組成物及び成形体
JP5495220B2 (ja) ポリオレフィン樹脂組成物
JP5361041B2 (ja) 結晶核剤及びそれを含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物
JP4968848B2 (ja) ポリオレフィン樹脂組成物
US8785529B2 (en) Nucleating agents for polyolefins based on metal salts
JP5361043B2 (ja) 結晶核剤およびそれを含有してなるポリオレフィン系樹脂組成物
JP2010111761A (ja) ポリエチレン樹脂組成物及びその成形体
JP5603561B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物
JPS634928A (ja) プロピレン重合体押出成形品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110608

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130830

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130902

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5361041

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150