JP5360408B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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本発明は、インバータ回路及び昇圧チョッパ回路の両機能を備えた電力変換装置に関するものである。
図3は、電動機を駆動するためのインバータ回路と、その直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路とを備えた電力変換装置の従来技術を示しており、例えばクレーン設備等に使用されるものである。なお、この従来技術は、後述の特許文献1に記載されたハイブリッド電源装置とほぼ同一である。
図3において、1は発電機からなる三相交流電源、2は電源1の交流電圧を直流電圧に変換する整流器、1Aは電源1及び整流器2からなる直流電圧源、3は整流器2の正側端子に接続されたリアクトル、4はリアクトル3を流れる直流電流を検出する電流検出器、5はIGBT等の半導体スイッチング素子からなる昇圧チョッパ、6は上記半導体スイッチング素子をオンオフ制御するための昇圧チョッパ制御回路、7は昇圧チョッパ5の出力電圧(直流中間電圧)を検出する電圧検出器、8は平滑コンデンサであり、これらによって昇圧チョッパ回路9が構成されている。
また、平滑コンデンサ8の両端には、半導体スイッチング素子からなる昇降圧コンバータ10が接続されており、このコンバータ10には、バッテリーやキャパシタ等の蓄電装置11が接続されている。
更に、平滑コンデンサ8の両端には、インバータ回路12が接続されている。このインバータ回路12は、平滑コンデンサ8と並列に接続される平滑コンデンサ13と、直流中間電圧を検出する電圧検出器14と、直流中間電圧を所定の大きさ及び周波数の交流電圧に変換するためのIGBT等の半導体スイッチング素子からなるインバータブリッジ15と、その出力電流である交流電流を検出する電流検出器16とを備えている。なお、20はインバータ回路12によって駆動される負荷としての交流電動機である。
この従来技術の動作を略述すると、整流器2から出力された直流電圧はリアクトル3を介して昇圧チョッパ5に供給される。昇圧チョッパ制御回路6は、電流検出器4による直流電流検出値と電圧検出器7による直流電圧検出値とに基づいて昇圧チョッパ5の半導体スイッチング素子に対する駆動信号(ゲート信号)を生成し、昇圧チョッパ5を動作させる。これにより、整流器2の出力電圧は所定の大きさまで昇圧されて直流中間回路に供給昇圧される。
一方、昇降圧コンバータ10も、蓄電装置11の電圧を昇圧して上記直流中間回路に供給することが可能であり、例えば、インバータ回路12が要求する電力が昇圧チョッパ5の出力だけでは不足する場合には、その不足分を昇降圧コンバータ10の出力によって補うことが可能になっている。
前記平滑コンデンサ8の両端に接続されたインバータ回路12では、直流中間電圧を平滑コンデンサ13により平滑してなる直流電圧を、インバータブリッジ15により所定の交流電圧に変換して電動機20に供給する。なお、電圧検出器14による直流電圧検出値と電流検出器16による交流電流検出値とは、図示されていないインバータ制御回路に入力されており、インバータブリッジ15を構成する半導体スイッチング素子の駆動信号を生成するために用いられている。
また、例えばクレーンの巻き下げ時に電動機20からインバータブリッジ15側へ回生電力が流入し、直流中間回路の電圧が上昇した場合には、昇降圧コンバータ10の動作により蓄電装置11を充電することが可能であり、これによって直流中間回路の電圧を一定に保っている。
特開2009−11021号公報(段落[0011]〜[0043]、図1等)
図3に示した従来技術では、インバータ回路12及び昇圧チョッパ回路9、更には昇降圧コンバータ10等がそれぞれ別個に構成されている。
しかし、クレーン設備等の用途においては、複数台のインバータ回路や昇圧チョッパ回路を用いることが多いため、装置全体の小型化、故障発生時の応急的処置を含む保守作業の容易化等が望まれている。また、故障発生時等の装置交換に備えてインバータ回路と昇圧チョッパ回路とをそれぞれ個別に準備しておく必要があるため、予備のインバータ回路と昇圧チョッパ回路のストック数を減少させることも望まれている。インバータ回路や昇圧チョッパ回路がそれぞれ別個独立に構成された上記従来技術では、このような要請に応えることができなかった。
そこで、本発明の解決課題は、インバータ回路及び昇圧チョッパ回路の構成部品を一部共用しながら両回路を切り替えて動作させることにより、装置全体の小型化、保守作業の容易化等を可能にした電力変換装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、直流電圧源に接続された平滑コンデンサを有する直流中間回路の直流電圧を、還流ダイオードが逆並列接続された半導体スイッチング素子の動作により交流電圧に変換し、切替スイッチを介して負荷に供給するインバータ回路であって、前記半導体スイッチング素子がブリッジ接続されたインバータブリッジを有するインバータ回路と、
前記インバータブリッジの交流出力端子に前記切替スイッチを介して一端が接続され、かつ、他端が別の切替スイッチを介して前記直流電圧源の正側端子に接続されるリアクトルを有し、前記インバータブリッジ内の半導体スイッチング素子の動作により前記直流電圧源の電圧を昇圧して前記平滑コンデンサを充電する昇圧チョッパ回路と、
前記インバータ回路を動作させるためのインバータ制御回路と、
前記昇圧チョッパ回路を動作させるための昇圧チョッパ制御回路と、を備え、
制御切替信号により、前記インバータ制御回路が前記インバータブリッジ内の半導体スイッチング素子を動作させて前記インバータ回路により前記負荷を駆動する機能と、前記昇圧チョッパ制御回路が前記インバータブリッジ内の半導体スイッチング素子を動作させて前記昇圧チョッパ回路により前記平滑コンデンサを充電する機能と、を切り替えるものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載した電力変換装置において、前記直流電圧源が、交流電源と、その電源電圧を整流する整流器と、からなるものである。
本発明によれば、従来技術のようにインバータ回路と昇圧チョッパ回路とを別個独立に備えるのではなく、インバータ回路内のインバータブリッジが昇圧チョッパとしての機能も果たすため、従来技術に比べて半導体スイッチング素子や還流ダイオードの数を減少させ、装置全体の小型化や保守点検作業の容易化、保用品の減少等が可能である。特に、本発明は、複数台のインバータ回路及び昇圧チョッパ回路を必要とするクレーン設備等の用途に最適である。
また、直流電圧検出値及び電流検出値を、インバータ制御回路及び昇圧チョッパ制御回路の両方に利用できるので、電圧検出器及び電流検出器も少なくて済む等の利点がある。
本発明の実施形態を示す回路図である。 本発明の実施形態における昇圧チョッパ回路の動作を示す等価回路図である。 従来技術を示す回路図である。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、この実施形態の構成を示す回路図であり、図3と同一の機能を有するものには同一の番号を付して説明を省略し、以下では異なる部分を中心に説明する。
図1において、整流器2の正側端子と平滑コンデンサ13の一端との間には、制御切替信号によって動作する切替スイッチ21が接続されている。なお、制御切替信号の機能については後述する。
インバータブリッジ15の交流出力側の三相各相(U,V,W相)は、同じく制御切替信号により動作する切替スイッチ22u,22v,22wを介して交流電動機20に接続されている。また、直流中間回路には従来技術と同様に電圧検出器14が設けられていると共に、インバータブリッジ15と切替スイッチ22u,22v,22wとの間には電流検出器16が設けられている。
ここで、インバータブリッジ15は、還流ダイオードが逆並列に接続された半導体スイッチング素子の上下アームを、三相分、ブリッジ接続して構成されている。
切替スイッチ21の切替端子には、相ごとにリアクトル3の一端が接続されており、これらのリアクトル3の他端は、切替スイッチ22u,22v,22wの切替端子に接続されている。切替スイッチ21,22u,22v,22wはすべて同時に動作するもので、図示の状態では切替スイッチ21がインバータブリッジ15側に接続され、インバータブリッジ15の交流出力端子は切替スイッチ22u,22v,22wを介して電動機20に接続されている。
そして、制御切替信号が加えられると、切替スイッチ21がリアクトル3の一端側に切り替わり、切替スイッチ22u,22v,22wがリアクトル3の他端側に切り替わることにより、整流器2からリアクトル3、インバータブリッジ15に至る回路が形成されるようになっている。
更に、電圧検出器14による直流電圧検出値と電流検出器16による電流検出値とは、インバータ制御回路31及び昇圧チョッパ制御回路32に入力されている。これらの制御回路31,32は、直流電圧検出値及び電流検出値を用いて、インバータブリッジ15の半導体スイッチング素子をスイッチングするための駆動信号(ゲート信号)を生成し、切替スイッチ33の切替端子にそれぞれ出力する。
この切替スイッチ33も制御切替信号によって切り替わるもので、その共通端子から出力される三相上下アーム(計6個)の駆動信号が、インバータブリッジ15の半導体スイッチング素子に与えられる。
上述した構成において、直流電圧源1A(三相交流電源1及び整流器2)、平滑コンデンサ13及びインバータブリッジ15等によりインバータ回路が構成され、また、インバータブリッジ15、切替スイッチ22u,22v,22w及びリアクトル3等により昇圧チョッパ回路が構成される。
次に、この実施形態の動作を説明する。
インバータ回路により電動機20を駆動する場合には、制御切替信号によって切替スイッチ21,22u,22v,22w,33が図1に示す状態にあり、インバータ制御回路31から出力される駆動信号によってインバータブリッジ15の半導体スイッチング素子をオンオフすることで、電動機20に所望の交流電圧が印加される。
また、昇圧チョッパ回路を動作させる場合には、制御切替信号によって切替スイッチ21,22u,22v,22w,33を切り替えることにより、昇圧チョッパ制御回路32から出力された駆動信号がインバータブリッジ15の半導体スイッチング素子に加えられると共に、整流器2の正側端子がリアクトル3の一端に接続され、インバータブリッジ15の交流出力端子は電動機20から切り離されてリアクトル3の他端に接続される。
ここで、図2は昇圧チョッパ回路を動作させる時の主要部の等価回路図であり、インバータブリッジ15については一相分の上下アームを示している。なお、Q,QはIGBT等の半導体スイッチング素子、D,Dは還流ダイオードである。
制御切替信号により、切替スイッチ21,22uは図示するような接続状態になるので、整流器2の正側端子は、切替スイッチ21、リアクトル3及び切替スイッチ22uを介して半導体スイッチング素子Q,Q同士の接続点(交流出力端子)に接続されることになる。
この状態でインバータブリッジ15の下アームの半導体スイッチング素子Qをオンすると、上記の経路で整流器2から直流電流が流れ、リアクトル3にエネルギーが蓄積される。その後、半導体スイッチング素子Qをオフすると、リアクトル3に蓄積されたエネルギーが上アームの還流ダイオードDを介して平滑コンデンサ13に供給されるため、上記の動作によって平滑コンデンサ13を整流器2の出力電圧よりも高い電圧に充電することができる。
この間、上アームの半導体スイッチング素子Qをオフ状態で維持する動作及び下アームの半導体スイッチング素子Qをオンオフさせる動作は、図1における昇圧チョッパ制御回路32によって制御されるものである。
上記のように、この実施形態において、インバータブリッジ15は、インバータ回路が電動機20を駆動する際のスイッチング動作と、整流器2の出力電圧により平滑コンデンサ13を充電する昇圧チョッパ回路のスイッチング動作とを行うことになり、単一のインバータブリッジ15が二つの機能を果たすことになる。
このため、インバータブリッジ15を有効利用することができ、図3の従来技術のようにインバータ回路12、昇圧チョッパ回路9及び昇降圧コンバータ10等をそれぞれ別個に備える場合に比べて、半導体スイッチング素子や還流ダイオードの数を減少させ、装置全体の小型化や保守点検作業の容易化が可能である。
また、直流電圧検出値及び電流検出値を、インバータ制御回路31及び昇圧チョッパ制御回路32の両方に利用できるので、電圧検出器及び電流検出器も少なくて済む等の利点がある。
上記実施形態では、インバータ回路及び交流電動機20を三相構成として説明したが、これらは単相構成であっても良い。また、インバータ回路の直流電圧源1Aとしては、実施形態に示したような交流電源1と整流器2との組み合わせだけでなく、バッテリー等の直流電源装置を用いても良い。
1:三相交流電源
1A:直流電圧源
2:整流器
3:リアクトル
13:平滑コンデンサ
14:電圧検出器
15:インバータブリッジ
16:電流検出器
20:交流電動機
21,22u,22v,22w,33:切替スイッチ
31:インバータ制御回路
32:昇圧チョッパ制御回路
,Q:半導体スイッチング素子
,D:還流ダイオード

Claims (2)

  1. 直流電圧源に接続された平滑コンデンサを有する直流中間回路の直流電圧を、還流ダイオードが逆並列接続された半導体スイッチング素子の動作により交流電圧に変換し、切替スイッチを介して負荷に供給するインバータ回路であって、前記半導体スイッチング素子がブリッジ接続されたインバータブリッジを有するインバータ回路と、
    前記インバータブリッジの交流出力端子に前記切替スイッチを介して一端が接続され、かつ、他端が別の切替スイッチを介して前記直流電圧源の正側端子に接続されるリアクトルを有し、前記インバータブリッジ内の半導体スイッチング素子の動作により前記直流電圧源の電圧を昇圧して前記平滑コンデンサを充電する昇圧チョッパ回路と、
    前記インバータ回路を動作させるためのインバータ制御回路と、
    前記昇圧チョッパ回路を動作させるための昇圧チョッパ制御回路と、を備え、
    制御切替信号により、前記インバータ制御回路が前記インバータブリッジ内の半導体スイッチング素子を動作させて前記インバータ回路により前記負荷を駆動する機能と、前記昇圧チョッパ制御回路が前記インバータブリッジ内の半導体スイッチング素子を動作させて前記昇圧チョッパ回路により前記平滑コンデンサを充電する機能と、を切り替えることを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1に記載した電力変換装置において、
    前記直流電圧源が、交流電源と、その電源電圧を整流する整流器と、からなることを特徴とする電力変換装置。
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