JP5360147B2 - 多結晶シリコン還元炉 - Google Patents
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Description
さらに、多結晶シリコンロッドの温度がある閾値を超えると、表面に析出される多結晶シリコンがさらに大きな結晶粒となって成長する。したがって、いわゆるポップコーンのような表面形状不良が生じる。このような表面形状不良によって、多結晶シリコンロッドの表面積が増大するので、不純物が付着しやすくなる。
以上より、多結晶シリコンがシリコン芯棒の表面に周方向で均一に析出されないだけでなく、表面形状不良や凹みなどを発生させるという問題がある。
このように、導入口がシリコン芯棒の周囲に偏りなく配置されることで、導入口から原料ガスを反応炉内に導入したとき、原料ガスがシリコン芯棒の周面において均等に吹き付けられる。これにより、シリコン芯棒及び析出された多結晶シリコンで構成される多結晶シリコンロッドの表面温度分布に偏りが生じにくくなり、多結晶シリコンロッドの表面形状不良や凹みなどの発生を抑制することができる。また、シリコン芯棒の表面温度分布に偏りが生じにくくなることで、シリコン芯棒への通電加熱温度を高く設定して、多結晶シリコンの析出速度を向上させることができる。さらに、多結晶シリコン還元炉内への原料ガスの導入速度を高く設定することができるので、より多結晶シリコンの析出速度を上げることができる。
したがって、表面形状不良のない多結晶シリコンロッドを効率よく生産することができる。
なお、本明細書において、「隣接する」とは、対象となるシリコン芯棒に対して、周囲のシリコン芯棒のうちで最近接のシリコン芯棒との距離よりも内側に存在していることを示している。
また、本発明の多結晶シリコン還元炉は、前記複数のシリコン芯棒のうちの前記排気口と隣り合うものを除いたシリコン芯棒のうちの少なくとも80%が、上記の条件(1)から(3)のうちの少なくとも1つを満たすように配置されていることが好ましい。
これらの発明によれば、上述と同様に、析出される多結晶シリコンの表面形状不良や凹みなどの発生を抑制できる。したがって、表面形状不良のない多結晶シリコンロッドを効率よく生産することができる。
この発明によれば、結晶粒径の小さな箇所がシリコン層の表面に2箇所形成されている場合、2箇所とシリコン芯棒の中心とのなす角度を135°以上とすることで、表面形状不良や凹みなどが抑制された多結晶シリコンロッドとすることができる。
このように、多結晶シリコンロッドは、表面形状不良や凹みなどが抑制されているので、表面に不純物が吸着しにくくなる。したがって、この多結晶シリコンロッドを用いて高純度な単結晶シリコンを製造することができる。
なお、本明細書において、「結晶粒径が小さい」とは、周囲の結晶粒径と比較して90%以下の大きさであることを示している。
この発明によれば、結晶粒径の小さな箇所がN箇所(N≧3)である場合、N箇所のいずれか2箇所とシリコン芯棒の中心とのなす角度を160°以上することで、表面形状不良や凹みなどが抑制された多結晶シリコンロッドとすることができる。
したがって、上述と同様に、この多結晶シリコンロッドを用いて高純度な単結晶シリコンを製造することができる。
この発明によれば、結晶粒径の小さな箇所がN箇所(N≧3)である場合、N箇所のうちの互いに隣り合う2箇所とシリコン芯棒の中心とのなす角度を、すべての組み合わせで240/N°以上480/N°以下とすることで、表面形状不良や凹みなどが抑制された多結晶シリコンロッドとすることができる。
したがって、上述と同様に、この多結晶シリコンロッドを用いて高純度な単結晶シリコンを製造することができる。
この発明によれば、距離の小さな箇所がシリコン層の表面に2箇所形成されている場合、2箇所とシリコン芯棒の中心とのなす角度を135°以上とすることで、表面形状不良や凹みなどが抑制された多結晶シリコンロッドとすることができる。
したがって、上述と同様に、この多結晶シリコンロッドを用いて高純度な単結晶シリコンを製造することができる。
この発明によれば、距離の小さな箇所がN箇所(N≧3)である場合、N箇所のいずれか2箇所とシリコン芯棒の中心とのなす角度を160°以上することで、表面形状不良や凹みなどが抑制された多結晶シリコンロッドとすることができる。
したがって、上述と同様に、この多結晶シリコンロッドを用いて高純度な単結晶シリコンを製造することができる。
この発明によれば、距離の小さな箇所がN箇所(N≧3)である場合、N箇所のうちの互いに隣り合う2箇所とシリコン芯棒の中心とのなす角度を、すべての組み合わせで240/N°以上480/N°以下とすることで、表面形状不良や凹みなどが抑制された多結晶シリコンロッドとすることができる。
したがって、上述と同様に、この多結晶シリコンロッドを用いて高純度な単結晶シリコンを製造することができる。
この発明によれば、多結晶シリコン層の表面に形成された結晶粒径が他の箇所よりも小さい箇所とシリコン芯棒との距離が、多結晶シリコン層の他の箇所とシリコン芯棒との距離よりも短いので、上述と同様に、表面に不純物が吸着しにくくなり、この多結晶シリコンロッドを用いて高純度な単結晶シリコンを製造することができる。
また、本発明の多結晶シリコンロッドによれば、表面形状不良や凹み、ソリなどの発生がなく、不純物の吸着が抑制される。
本実施形態における多結晶シリコン還元炉(以下、還元炉と省略する)1は、図1及び図2に示すように、炉台11と、釣鐘形状を有して炉台11を覆うベルジャ12とを備えている。
炉台11には、図1から図3に示すように、シリコン芯棒13を保持する電極14、原料ガスを還元炉1の内部に導入する導入口15及び反応後のガスを還元炉1の外部に排出する排気口16が複数設けられている。
第1から第3シリコン芯棒群21〜23を構成するシリコン芯棒13は、それぞれ同心円状に周方向に等間隔で配置されている。
第1導入口群25を構成する導入口16は、それぞれ第1から第3シリコン芯棒群21〜23と共に同心円状に周方向に等間隔で配置されている。
また、第2導入口群26を構成する導入口16は、それぞれ第1導入口群25と共に同心円状であって、周方向において1つおきに配置されたもの同士が周方向で等間隔となるように配置されている。
すなわち、図4(a)に示すように、第1シリコン芯棒群21を構成するシリコン芯棒13と、このシリコン芯棒13と隣接して配置された第1導入口群25を構成する導入口15のうちの2箇所との間において、導入口15aの中心とシリコン芯棒13aの中心と導入口15bの中心とのなす角度θ1が135°以上となるように配置されている。
なお、第1シリコン芯棒群21を構成するシリコン芯棒13及び第1導入口群25を構成する導入口15は、共に周方向に等間隔で配置されている。したがって、第1シリコン芯棒群21を構成する他のシリコン芯棒13においても、図4(a)と同様の配置となる。
なお、第2シリコン芯棒群22を構成するシリコン芯棒13及び第1導入口群25を構成する導入口15は、周方向に等間隔で配置され、第2導入口群26を構成する導入口15は、周方向で1つおきに等間隔で配置されている。したがって、第2シリコン芯棒群22を構成する他のシリコン芯棒13においても、図4(b)あるいは図4(c)と同様の配置となる。
(A)シリコン芯棒13に隣接する導入口15が2箇所の場合、この2箇所の導入口15の各中心とシリコン芯棒13の中心とのなす角度が、135°以上である。
(B)シリコン芯棒13に隣接する導入口15が3箇所の場合、この3箇所の導入口15のうちのいずれか2箇所の導入口15の各中心とシリコン芯棒13の中心とのなす角度が、160°以上である。
(C)シリコン芯棒13に隣接する導入口15が3箇所の場合、この3箇所の導入口15のうちの互いに隣り合う2箇所の導入口15の各中心とシリコン芯棒13の中心とのなす角度が、どの組み合わせにおいても80°以上160°以下となっている。このようにすることで、なす角度が均等でなくても、なす角度の違いが−40°〜40°の範囲であれば、同様の効果を得ることができる。
そして、ベルジャ12の外周には、熱損傷を防止するための水冷ジャケットなどの冷却手段(図示略)が設けられている。
まず、電極14に電流を流し、シリコン芯棒13を通電させることでジュール熱を発生させてシリコン芯棒を1100℃まで加熱する。そして、導入口15から11N(99.999999999%)の純度を有するトリクロロシラン(TCS:SiHCl3)と水素との混合気体である原料ガスを導入する。
導入された原料ガスは、過熱したシリコン芯棒13に接触することで加熱分解され、シリコン芯棒13の表面に多結晶シリコンが析出することで多結晶シリコン層27を形成し、次第に太く成長して直径数十センチの多結晶シリコンロッド28になる。ここで、各シリコン芯棒13に対して導入口15から導入される原料ガスが、シリコン芯棒13の周囲に均等に吹き付ける。なお、反応後のガスは、排気口16から外部に排気される。以上のようにして、多結晶シリコンロッド28を製造する。
(D)結晶粒径の小さな箇所が多結晶シリコン層27の表面に2箇所形成されている場合、2箇所とシリコン芯棒13の中心とのなす角度が、135°以上である。
(E)結晶粒径の小さな箇所が多結晶シリコン層27の表面にN箇所(N≧3)である場合、N箇所のいずれか2箇所とシリコン芯棒13の中心とのなす角度が、160°以上である。
(F)結晶粒径の小さな箇所が多結晶シリコン層27の表面にN箇所(N≧3)である場合、N箇所のうちの互いに隣り合う2箇所とシリコン芯棒13の中心とのなす角度が、すべての組み合わせで240/N°以上480/N°以下である。
(G)距離の小さな箇所が多結晶シリコン層27の表面に2箇所形成されている場合、2箇所とシリコン芯棒13の中心とのなす角度が、135°以上である。
(H)距離の小さな箇所が多結晶シリコン層27の表面にN箇所(N≧3)である場合、N箇所のいずれか2箇所とシリコン芯棒13の中心とのなす角度が、160°以上である。
(I)距離の小さな箇所が多結晶シリコン層27の表面にN箇所(N≧3)である場合、N箇所のうちの互いに隣り合う2箇所とシリコン芯棒13の中心とのなす角度が、すべての組み合わせで240/N°以上480/N°以下である。
また、均等に通電加熱することができるので、シリコン芯棒13に流す電流量を高く設定して多結晶シリコンの析出速度を向上させることや、導入口15から導入する原料ガスの流量を高く設定することができる。したがって、表面形状不良のない多結晶シリコンロッド28を効率よく製造することができる。
シリコン芯棒13に対して導入口15を上述した(A)から(C)のそれぞれの条件を満足するように配置したものと、(A)から(C)のいずれの条件も満足しないように配置したものとでシリコン芯棒13の表面に多結晶シリコンを析出させて多結晶シリコンロッドを製造した。
それぞれの多結晶シリコンロッド28において、表面形状を観察した。この結果を表1から3に示す。なお、表面から見て凹部分の底が明確に確認でき、隙間が観察されない表面状態を「ポップコーンなし」とし、凹部分の底が明確に確認できず、隙間が観察されるが、結晶粒として独立していない表面状態を「表面あれ」とし、表面から見て結晶粒として独立している状態を「ポップコーン」とした。
例えば、上記実施形態において、排気口16と隣り合う第3シリコン芯棒群23を除いた他のシリコン芯棒13のすべてに対して上述した条件を満足するように導入口15を配置しているが、排気口16と隣接するシリコン芯棒13を除いた他のシリコン芯棒13のうちの80%(望ましくは90%以上)が上述した(A)〜(C)のうちの少なくとも1つを満足できれば、他の位置に配置されてもよい。
また、排気口16を第3シリコン芯棒群23の外周に設けているが、排気口16と隣り合うシリコン芯棒13を除いたもののうちの80%以上(望ましくは90%以上)が上述した(A)〜(C)のうちの少なくとも1つを満足するように配置されていれば、排気口16が他の場所に配置されてもよい。
11 炉台(底部)
13 シリコン芯棒
15 導入口
16 排気口
23 第3シリコン芯棒群
27 多結晶シリコン層
28 多結晶シリコンロッド
Claims (2)
- 密閉された反応炉の底部に、立設された複数のシリコン芯棒と、原料ガスを供給する複数の導入口と、反応後のガスを排気する排気口を有する多結晶シリコン還元炉において、
前記シリコン芯棒が、ほぼ同心円状に配置された複数のシリコン芯棒群を構成し、
該複数のシリコン芯棒群のうちの最外周のものよりも内方に配置されたシリコン芯棒群を構成するシリコン芯棒のうちの少なくとも80%が、当該シリコン芯棒と隣接して配置される前記導入口が2または3箇所であり、下記の条件(1)及び(2)を満たすように配置されていることを特徴とする多結晶シリコン還元炉。
(1)前記シリコン芯棒と隣接して配置された前記導入口が2箇所である場合、該2箇所の導入口の各中心と前記シリコン芯棒の中心とのなす角度が、135°以上である。
(2)前記シリコン芯棒と隣接して配置された前記導入口が3箇所である場合、該3箇所の導入口のうちの互いに隣り合う2箇所の導入口の各中心と前記シリコン芯棒の中心とのなす角度が、すべての組み合わせで80°以上160°以下である。 - 前記複数のシリコン芯棒のうちの前記排気口と隣り合うものを除いたシリコン芯棒のうちの少なくとも80%が、上記の条件(1)及び(2)を満たすように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の多結晶シリコン還元炉。
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