JP5359892B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の取鍋からの溶鋼を連続して連続鋳造する連々鋳において、後続に異鋼種を連続鋳造することにより、先行の鋼種の鋳片を高い歩留で製造することのできる鋼の連続鋳造方法に関する。
従来、連続鋳造鋳片の内部品質の改善を目的として、湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機内に配置された圧下ロールを用いて、未凝固部を含む鋳片を圧下する技術が多数提案されてきた。このような技術の一つに、圧下ロールとして、従来よりも大きなロール径と高い圧力を有する設備を用いて、鋳片を厚さ方向に積極的に押しつぶし、未凝固部を有する鋳片の内部に厚さ方向の圧縮力を加える技術(以下、「未凝固大圧下」ともいう。)がある。
未凝固大圧下プロセスは、鋳片段階で鋳片内部の空隙(ポロシティ)を低減することができるため、圧延の際の圧下比を低減できることと、未凝固状態での圧下による濃化溶鋼の排出によりスラブの厚さ中心部を負偏析化できるという利点があり、特に特殊用途の極厚鋼板の製造に適用される。
図1は、未凝固大圧下プロセスにおいて、鋳造終了時も圧下を継続した場合の模式図である。図1に示すように、未凝固大圧下プロセスにおいては、鋳造末期に、鋳型(図示せず)への溶鋼4の注入を停止し、鋳片8の最終鋳造部を鋳型から引き抜いた状態で、定常状態の鋳造速度を維持したまま圧下ロール対7による鋳片8の圧下を継続すると、鋳片8の最後端から、鋳造方向上流側に絞り出された溶鋼4があふれ出る、いわゆる漏鋼が生じる。漏鋼は、作業者にとって危険であるばかりでなく、ガイドロールをはじめとする、連続鋳造設備を損傷する原因となるため、防止しなければならない。
図2は、未凝固大圧下プロセスにおいて、鋳造終了時に圧下を開放した場合の模式図である。上述の漏鋼を防止するため、未凝固大圧下の実施時には、図2に示すように、連続鋳造の途中で圧下を中断し、開放する必要がある。圧下を開放した後の鋳片(以下、「圧下開放部」ともいう。)は、圧下を中断するまでに絞り出された濃化溶鋼が残留するのに加え、中心偏析が存在するため、製品として使用できず、経済性において問題がある。したがって、圧下開放部をいかに少なくできるかが、未凝固大圧下プロセスが経済的に成立するかどうかの根幹となる問題である。
圧下開放部をいかに少なくするかという問題に対して、後続に同鋼種を連続鋳造して、連々鋳を行うことによって、製品として使用できない部位の比率を低下させる方法が考えられる。しかし、この方法は、製造される鋳片量が増加するため、生産量が少ない鋼種については需要量との兼ね合いから採用できない。
別の方法として、圧下ロール対の位置を、鋳造方向上流側へ移動することにより、圧下開放部を低減させる方法が考えられる。この方法では、圧下ロール対の位置の移動量に応じて鋳造速度を低位に設定する必要があり、生産能率を低下させることになる。
また、特許文献1には、連鋳鋳片の中心偏析やセンターポロシティー等の内質欠陥の生成を防止し、加工性の優れた連鋳鋳片の製造を可能とする方法として、矩形鋳片を連続鋳造する際、鋳造速度を調整し、圧下端子の入り側における鋳片断面中心部の固相率を0.6〜0.95とし、高さが鋳片厚さの5%以上である突起部を有する圧下端子を用いる方法が提案されている。しかし、この技術では、圧下対象材のみを鋳造しており、圧下開放部以降を製品として使用できない。また、同鋼種の連々鋳は、需要量との兼ね合いから採用できず、生産効率が悪い。特許文献1には、これらの連々鋳に関する問題点に関する認識が記載されているが、解決方法については記載されていない。
特開平7−227657号公報
以上のように、連々鋳を行う未凝固大圧下プロセスにおいては、圧下開放部の存在は回避できない問題であった。本発明は、この問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、製品として使用可能な鋳片量を増加させることにより、経済性を向上させることのできる、未凝固大圧下プロセスを適用した鋼の連続鋳造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、連々鋳を行うに際し、目的の鋼種の後続の鋼種として廉価な一般鋼を使用することにより、目的の鋼種の鋳片の鋳造途中において圧下開放を行うことなく、製品として使用できる目的の鋼種の鋳片の鋳造の継続が、安価に実施可能であることを知見した。
そして、異鋼種を連続する連々鋳を実施する際に、前の鋼種と後続の鋼種の境界部近傍の成分混合部に及ぼす影響を調査し、鋳片の使用可否について検討した。さらに、後続の鋼種の鋳片の品質を向上させるための、圧下開放の方法やタイミングについて検討した。
本発明は、これらの知見および検討結果に基づいて完成されたものであり、下記(1)〜(5)の鋼の連続鋳造方法を要旨としている。なお、このうちの(1)および(2)の鋼の連続鋳造方法は、本発明の参考例としての発明である。
(1)少なくとも1対の圧下ロール対を用いて、未凝固部を含む鋳片を大圧下する鋼の連続鋳造方法であって、前鋳込み鋼種を、合金元素を含有する鋼種とし、後鋳込み鋼種を、該前鋳込み鋼種の該合金元素含有率よりも低い含有率か、または該合金元素を含有しない鋼種として連々鋳することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
(2)前記(1)に記載の鋼の連続鋳造方法を実施する際に、鋳型内に浸漬ノズルを介して溶鋼を供給するための容器であるタンディッシュ内において、前記前鋳込み鋼種と前記後鋳込み鋼種の各成分組成が混在することにより形成される境界部の鋳片についても、前記前鋳込み鋼種の定常部に継続して大圧下を行い、前記後鋳込み鋼種の鋳造終了時に該圧下ロール対を開放して圧下を終了することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
(3)前記(1)に記載の鋼の連続鋳造方法を実施する際に、鋳型内に浸漬ノズルを介して溶鋼を供給するための容器であるタンディッシュ内において、前記前鋳込み鋼種と前記後鋳込み鋼種の各成分組成が混在することにより形成される境界部の鋳片については大圧下を行わず、該境界部の鋳片の先端が前記圧下ロール対を通過した直後に該圧下ロール対を開放し、該圧下ロール対を開放した状態で前記後鋳込み鋼種を鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
(4)前記(3)に記載の鋼の連続鋳造方法を実施する際に、前記境界部の鋳片の先端が前記圧下ロール対を通過した直後に、該圧下ロール対を開放して圧下を終了するとともに、鋳造速度および/または二次冷却条件を変更して前記後鋳込み鋼種を鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
(5)前記(3)に記載の鋼の連続鋳造方法を実施する際に、前記境界部の鋳片の先端が前記圧下ロール対を通過した直後に、該圧下ロール対を開放して大圧下を終了するとともに、前記後鋳込み鋼種の最終凝固部の鋳片を軽圧下することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
本発明において、「大圧下」とは、従来よりも大きなロール径と高い圧力を有する設備において、鋳片を厚さ方向に積極的に押しつぶし、鋳片内部に厚さ方向の圧縮力を加えることをいう。
「合金元素」とは、Ni、Cr、Mo、Nb、V、TiやB等のように、成品の強度、靱性を向上させるために添加する元素のことであり、当業者が通常用いる元素のことである。合金元素を含有する鋼種として、次の成分系を対象とするのが好ましい。本願発明の効果が大きいからである。質量%で、C:1.00%以下、Mn:2.00%以下、Si:1.00%以下、P:0.05%以下、S:0.010%以下を含有し、さらに、Ni:2.5%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Ti:0.03%以下、B:0.003%以下の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物である鋼。
「連々鋳」とは、鋳造の進行によって溶鋼が空になった取鍋を、次の溶鋼が充填された取鍋に、連続鋳造の実施中に交換することにより、複数の取鍋の溶鋼を連続的に鋳造する操業形態をいう。
「定常部の鋳片」とは、鋳片のうち、鋳造開始初期の鋳造速度が低位な部分や、鋳造末期の引け巣をともなう部分を除く部位をいい、連々鋳では後述の境界部の鋳片も除く。以下、定常部を「定常圧下部」ともいう。
「境界部の鋳片」とは、鋳片のうち、連々鋳において、先行の鍋と後続の鍋の溶鋼が混合する部位をいう。
「圧下ロール対の開放」とは、大圧下をともなう鋳造中、または鋳造終了後に、鋳片厚さ方向の圧下方向とは逆方向に圧下ロール対を構成するロールを退避させることをいう。
「最終凝固部」とは、鋳片の表面冷却により鋳片の表面から中心に向けて凝固が進行した後、鋳片厚さ方向の中心付近に残留する未凝固部が凝固する部位をいう。
「軽圧下」とは、凝固により収縮する鋳片の厚さを補償するように鋳造方向に傾斜をつけたロールサポートを行い、最終凝固部における濃化溶鋼の残留によって発生する中心偏析を低減することをいう。
本発明の鋼の連続鋳造方法によれば、製品として不適合であり、廃棄される圧下開放部が、廉価な鋼種からなる。そのため、圧下開放部が目的の鋼種からなる場合と比較して、著しく経済性が向上する。さらに、目的の鋼種の未凝固大圧下が実施される部分が延長されるため、1回の鋳造における未凝固大圧下を施した目的の鋼種の鋳片の製造歩留が大きく向上する。
未凝固大圧下プロセスにおいて、鋳造終了時も圧下を継続した場合の模式図である。 未凝固大圧下プロセスにおいて、鋳造終了時に圧下を開放した場合の模式図である。 本発明を実施するための垂直曲げ型連続鋳造機の縦断面の概略を示す図である。 未凝固大圧下プロセスを適用して製造した鋳片の製品として適用可能な範囲を示す模式図であり、同図(a)は目的の鋼種を単独で製造した場合を示し、同図(b)は目的の鋼種の後続に廉価な鋼種を用いて連々鋳を行って製造した場合を示す。 成分分析用試料の採取位置を示すスラブの模式図である。 先行鋳片のC、MnおよびNiの偏析度と鋳込長との関係を示す図である。 圧下継続パターンにおける後続鋳片の鋳込長方向の成分分布を示す図である。 圧下開放パターンにおける後続鋳片の鋳込長方向の成分分布を示す図である。
1.鋼の連続鋳造方法の基本構成
図3は、本発明を実施するための垂直曲げ型連続鋳造機の縦断面の概略を示す図である。タンディッシュ1aには、取鍋(図示せず)から溶鋼が供給される。タンディッシュ1aから浸漬ノズル1bを経て、鋳型3内に溶鋼湯面2を形成するように注入された溶鋼4は、鋳型3およびその下方の図示しない二次冷却スプレーノズル群から噴射されるスプレー水により冷却され、凝固シェル5を形成して鋳片8となる。鋳片8は、その内部に未凝固部10を保持したまま、従動ロール6aおよび駆動ロール6bからなるガイドロール群6によって支持されながら引き抜かれ、圧下ロール対7により圧下される。圧下ロール対7を設置する位置は、連続鋳造機の内部または鋳造方向下流側の端部のいずれでもよい。圧下ロール対7は、1対でもよく、2対以上配置してもよい。
未凝固大圧下を行う場合には、圧下ロール対7を構成する圧下ロールとして従来よりも大きな径のものを使用し、未凝固部10を内部に保持した鋳片8を従来よりも高い圧力で圧下する。これにより、鋳片8を厚さ方向に積極的に押しつぶし、鋳片8内部に厚さ方向の圧縮力を加える。
複数の取鍋からの溶鋼を引き継いで連続鋳造を行う連々鋳の場合、先行の取鍋からタンディッシュへの溶鋼の供給が終了すると、タンディッシュからの鋳込みを継続した状態でその取鍋を退避させ、溶鋼を満たした後続の取鍋を移動し、セットした後、開口させてタンディッシュへの溶鋼の供給を開始する。
2.連々鋳境界部における連続鋳造方法
2−1.本発明の連々鋳の方法
本発明の鋼の連続鋳造方法では、連々鋳を行う際に、先行の取鍋の溶鋼の鋼種(前鋳込み鋼種)として、1種以上の合金元素を含有する鋼種を目的の鋼種として適用する。そして、後続の取鍋の溶鋼の鋼種(後鋳込み鋼種)として、前鋳込み鋼種よりも、各合金元素の含有率が低いか、または各合金元素を含有しない鋼種を適用する。これにより、後続の取鍋の溶鋼は、先行の取鍋の溶鋼よりも廉価となる。後続の取鍋の溶鋼として、例えば一般鋼を適用することができる。表1は、本発明に適用可能な前鋳込み鋼種および後鋳込み鋼種の一例である。表1中で、Alは酸可溶Alである(後述の表2でも同様。)。また、表1中の「−」は、意図した添加をしていないことを示す。
Figure 0005359892
図4は、未凝固大圧下プロセスを適用して製造した鋳片の製品として適用可能な範囲を示す模式図であり、同図(a)は目的の鋼種を単独で製造した場合を示し、同図(b)は目的の鋼種の後続に廉価な鋼種を用いて連々鋳を行って製造した場合を示す。
目的の鋼種を連々鋳せず単独で製造した場合(以下、「単鋳」ともいう。)には、図4(a)に示すように、鋳造終了前に所定の長さの圧下開放部が発生する。この圧下開放部は、目的の鋼種からなるものの、製品として使用することができないため、歩留を低下させる原因となる。
一方、目的の鋼種(前鋳込み鋼種)の後続に、鋳片単価の廉価な鋼種(後鋳込み鋼種)を用いて連々鋳を行った場合には、図4(b)に示すように、前鋳込み鋼種と後鋳込み鋼種の各成分組成が混在した境界部が形成される。以下、前鋳込み鋼種の鋳片を「先行鋳片」、後鋳込み鋼種の鋳片を「後続鋳片」ともいう。
境界部の鋳片は製品として使用できず、スクラップとなる。しかし、図4(b)に示すように、先行鋳片である目的の鋼種の製品使用部(定常圧下部)は図4(a)に示す場合よりも延長して得ることができ、目的の鋼種の鋳片の歩留を向上させることができる。このように延長して得られた目的の鋼種の製品使用部が十分に長い場合、スクラップとなる境界部の費用よりも大きな利益を上げることができるため、本発明の方法が経済的にも成立する。また、全体の鋳造終了前に発生し、製品として使用できない圧下開放部は廉価な鋼種からなるため、これによっても製品不使用部の費用を低減することができる。
例えば目的の鋼種が鋳片単価の高い高合金系の特殊鋼であり、後鋳込み鋼種が鋳片単価の廉価な一般鋼である場合には、製品不使用部(境界部および圧下開放部)の廃棄にかかる費用を著しく低減できる。
2−2.境界部および後続鋳片の鋳造方法
上記(2)〜(5)に記載の鋼の連続鋳造方法について以下に説明する。
2−2−1.圧下継続パターン
この方法は、大圧下を行った先行鋳片の定常圧下部から継続して、境界部においても大圧下を行い、後続鋳片の鋳造終了時に圧下を開放する方法である。これは、前記(2)の方法に対応する。圧下の開放は、従来の方法と同様に漏鋼の防止のために行う。以下、この圧下方法を「圧下継続パターン」という。
この場合、大圧下を継続するため、操業上特別な圧下操作を必要としないという利点がある。ただし、未凝固大圧下を行うと濃化溶鋼の絞り出しが生じるため、後述の圧下開放パターンと比較して後続鋳片の成分への影響が大きい。
2−2−2.圧下開放パターン
この方法は、先行鋳片の定常圧下部で行った大圧下を境界部で開放し、圧下を開放した状態で後続鋳片の鋳造を継続し、完了する方法である。これは、前記(3)の方法に対応する。以下、この圧下方法を「圧下開放パターン」という。
具体的には、先行鋳片の製品使用部の後端と境界部の前端との境界が圧下ロール位置に到達した時点で、圧下開放を行う。そして、圧下開放した状態で境界部と後続鋳片の鋳造を最後まで行う。
この方法によれば、濃化溶鋼を、圧下開放にともなって境界部に吸収することができ、製品として使用できない部分を境界部にまとめ、鋳片スクラップ量を低減することができる。
2−2−2−1.鋳造速度、冷却条件の変更
圧下開放パターンにおいて、後続鋳片の鋳造を行う際に、鋳造速度を低下させ、または鋳片の冷却を強化してもよい。鋳造速度の低下と鋳片の冷却の強化は同時に行ってもよい。これは、前記(4)の方法に対応する。これにより、大圧下および軽圧下のいずれの圧下処理を行わないことにより低下した、後続鋳片の内質を補足することができる。鋳片の冷却の強化は、二次冷却の比水量を増加させることにより行うことができる。
2−2−2−2.軽圧下の実施
圧下開放パターンにおいて、後続鋳片の鋳造を行う際に、通常の一般鋼鋳造時に適用している軽圧下を行ってもよい。これは、前記(5)の方法に対応する。この方法は、鋳造中に圧下開放操作と軽圧下設定操作を連続して実施する必要があるものの、後続鋳片の内質を向上させることができ、後続鋳片の品質確保に極めて有効である。
軽圧下は、凝固により収縮する鋳片の厚さを補償するように、鋳造方向に傾斜をつけたロールサポートによって行う。例えば前記図3では、ガイドロール群6のうち、複数のガイドロールに関して、鋳片8の凝固収縮を補償する程度の圧下勾配を設けることによって行う。
2−3.異鋼種の連々鋳による、先行鋳片および後続鋳片の成分への影響
上述のとおり、本発明の方法では、異鋼種の連々鋳を行うため、前鋳込み鋼種と後鋳込み鋼種の各成分組成が混在する境界部が形成される。未凝固大圧下を実施することにより、圧下を継続した場合には、後続鋳片の先端近傍に、先行鋳片から押し出された濃化溶鋼が残留する。また、圧下を開放した場合には、圧下を開放した部分の鋳片(圧下開放部)にも、絞り出された濃化溶鋼が残留する。
このような濃化溶鋼の影響について、実際の鋳片から採取した試験片の成分分析により解析を行った。その結果、2−2で説明した圧下パターンごとに、後続鋳片への影響が異なり、後続鋳片が前鋳込み鋼種の合金元素を含有することにより、成品機械特性への影響が生じ、製品としての使用の可否に違いが生じることがわかった。この解析結果については、実施例として後述する。
一方、先行鋳片は、いずれの圧下パターンでも十分に製品として使用できる品質であった。このように本発明によれば、目的とする鋼種の鋳片を歩留良く製造することができる。
以下に、本発明の効果を確認するために行った試験について説明する。
1.連々鋳による連続鋳造試験
1−1.試験方法
前記図3に示した垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて、連々鋳の鋳造試験を行った。作製する鋳片は、厚さが280〜310mm、幅が1700mmおよび2250mmのスラブとした。スラブの鋼種は、表2に示す目的鋼種(前鋳込み鋼種)および後続鋼種(後鋳込み鋼種)とした。いずれも中炭素鋼である。表2中の「−」は、意図した添加をしていないことを示す。
Figure 0005359892
鋳造速度は0.70m/分とした。二次冷却の比水量は、目的鋼種については0.40〜0.58L/kg−steel、後続鋼種は0.58〜1.03L/kg−steelとした。連続鋳造機の圧下ロール対7は、鋳型3内の溶鋼湯面2から鋳造方向に21.2m下流側の位置に一対設置した。
圧下ロール対7を構成するロールは、通常のロール径よりも大きな径とし、これを用いて未凝固大圧下を行った。圧下時の中心fs(中心固相率、鋳片のうち固相の占める体積率)は0.1以下となるように鋳込み条件を調整し、圧下量は概ね24〜26mm(幅2250mmの場合)および34〜36mm(幅1700mmの場合)とした。
後続鋳片の圧下は、表3に示すように、前記(2)〜(5)の方法をそれぞれ本発明例1〜4として行った。本発明例3では、鋳造速度の低減と冷却条件の強化の双方を行った。本発明例1および4は、目的鋼種を1連、後鋳込み鋼種を1連とし、連々数を2連とした。本発明例2および3は、目的鋼種を同鋼種で2連、後鋳込み鋼種を1連とし、連々数を3連とした。また、比較例として、連々鋳を行わず、目的鋼種のみを従来の未凝固大圧下プロセスで単鋳した。
Figure 0005359892
1−2.試験結果
1−2−1.歩留
表3には目的鋼種の歩留およびその評価を、連々鋳条件とともに示した。歩留は、得られた製品として使用できる鋳片の質量(表3中では「良鋳片量」)を、得られた全鋳片の質量(表3中では「鋳片量」)で除した値とした。また、評価は、歩留60%以下を×(不可)、80%以上を◎(優良)とした。
比較例では、漏鋼防止のため、鋳造終了直後に圧下開放を行い、圧下ロール対よりも手前の20.7mは圧下開放部となった。圧下開放部は製品として使用できないため、歩留は52.3%と低位であり、評価は×であった。一方、本発明例1〜4では、前鋳込み鋼種として目的鋼種、後鋳込み鋼種として廉価な鋼種を適用して連々鋳を行ったため、定常圧下部が延長され、製品として使用できる部分が増大し、歩留は83.4〜91.1%と、比較例と比較して大きく向上し、評価は◎であった。
1−2−2.後続鋳片の偏析状態
表3には、偏析状態の評価も示した。鋳込長20〜23mの最終凝固位置(鋳片厚さ中心)について、偏析の濃淡、連続性、面積を総合的に評価し、本発明例に関して、△(通常)、〇(良)、◎(優良)とした。
本発明例1〜4のうち、境界部でも大圧下を継続した本発明例1(圧下継続パターン)では、後続鋳片に、未凝固大圧下により絞り出された前鋳込み鋼種の濃化溶鋼の影響とみられる偏析が確認され、評価は△であった。一方、本発明例2〜4(圧下開放パターン)では、境界部以降は圧下を開放したため、後続鋳片には濃化溶鋼の絞り出しの影響はなく、偏析の状態は本発明例1と比較して良好であった。偏析の状態は、本発明例2〜4のなかでは、4が最良で(評価◎)、続いて3(評価○)、2(評価○)の順に良好であった。この結果から、偏析状態の向上(偏析の低減)には、軽圧下の実施が最適であること、および鋳造速度と冷却条件の変更による鋳片の冷却の強化も有効であることがわかった。
1−2−3.総合評価
表3には、目的鋼種の歩留の評価と後続鋳片の偏析状態の評価の結果に基づいて主観的に決定した総合評価を示した。比較例については、目的鋼種の歩留の評価の結果に基づいて主観的に決定した。総合評価は、◎(優良)、○(良)、×(不可)の三段階とした。総合評価は、本発明例3および4は◎であり、本発明例1および2は○であり、比較例は×であった。
2.異鋼種の連々鋳による、先行鋳片および後続鋳片の成分への影響
異鋼種の連々鋳を行うと、前鋳込み鋼種と後鋳込み鋼種の各成分組成が混在する境界部が形成される。そこで、先行鋳片および後続鋳片の境界部近傍部分の製品としての使用の可否について判断するため、先行鋳片の境界部近傍と、後続鋳片の境界部以降について、成分への境界部の影響について解析を行った。
2−1.鋳片成分偏析の調査方法
図5は、成分分析用試料の採取位置を示すスラブの模式図である。スラブは、上述の本発明例1(圧下継続パターン)および本発明例2(圧下開放パターン)で得られたものを用いた。スラブを所定の位置で切断して断面を露出させ、図5に示すNコーナー側およびSコーナー側の短辺から170mmの位置の2箇所(図中○印)から、1箇所あたり20gずつ直径5mmのドリルを用いて成分分析用試料を採取した。各試料を対象として、C、MnおよびNiについて成分分析を行い、鋳片成分値を溶鋼成分値で除して偏析度を算出した。
2−2.調査結果
2−2−1.先行鋳片の境界部近傍の成分
図6は、先行鋳片のC、MnおよびNiの偏析度と鋳込長との関係を示す図である。図6には、Nコーナー側(図中では「N側」。以下同様。)およびSコーナー側(図中では「S側」。以下同様。)の偏析度を示す。
本試験では、定常圧下部は鋳込長が40.0m以下の部分に位置し、境界部は40.0mを超える部分に位置していた。図6に示すように、C、MnおよびNiのいずれの偏析度も、定常圧下部と境界部とで大きな違いはなかった。例えば、Mn成分では、Nコーナー側で1.03〜1.14、Sコーナー側で1.11〜1.18と、製品として使用するのに十分足りる値であった。この結果に基づき、先行鋳片の鋳込長46.0mまでの成分の面で鋳片の品質を保証することができた。先行鋳片と後続鋳片との境界は鋳込長46.4mであった。
2−2−2.後続鋳片の境界部以降の成分
2−2−2−1.境界部でも圧下を継続した場合(圧下継続パターン)
図7は、圧下継続パターンにおける後続鋳片の鋳込長方向の成分分布を示す図である。図7には、Nコーナー側およびSコーナー側の各成分の濃度に加えて、後鋳込み鋼種の溶鋼成分値を「溶鋼成分」として示した。
図7に示すように、本試験では圧下を継続して後続鋳片の鋳造を行ったため、絞り出された前鋳込み鋼種の濃化溶鋼による後続鋳片への影響が大きい。特に、規格として後鋳込み鋼種に添加されない合金成分であるNiが、溶鋼成分と比較して著しく高い。後続鋳片の鋳込長23mの位置においても、[Ni]=0.70wt%と高濃度で存在していた。このように、圧下継続パターンでは、後続鋳片側では、発明者らの規定である鋳込長13.0mの位置を大きく超えて成分が混合している部分が存在していることを確認できた。
2−2−2−2.境界部で圧下を終了した場合(圧下開放パターン)
図8は、圧下開放パターンにおける後続鋳片の鋳込長方向の成分分布を示す図である。本試験では、圧下を開放して後続鋳片の鋳造を行ったため、濃化溶鋼の押出し(絞り出し)がなくなった。そのため、図8からわかるように、前鋳込み鋼種の濃化溶鋼による後続鋳片への影響が、圧下継続パターンと比較して著しく減少した。また、後続鋳片の鋳込長10m付近で成分面での濃化溶鋼の影響がなくなることを確認できた。
本発明の鋼の連続鋳造方法によれば、目的とする鋼種の未凝固大圧下を実施した鋳片を歩留よく製造することができる。そのため、経済的に優位な製造方法を確立することができる。
1a:タンディッシュ、1b:浸漬ノズル、 2:溶鋼湯面、
3:鋳型、 4:溶鋼、 5:凝固シェル、 6:ガイドロール群、
6a:ガイドロール(従動ロール)、 6b:ガイドロール(駆動ロール)、
7:圧下ロール対、 8:鋳片、 10:未凝固部

Claims (3)

  1. 少なくとも1対の圧下ロール対を用いて、未凝固部を含む鋳片を大圧下する鋼の連続鋳造方法であって、
    前鋳込み鋼種を、合金元素を含有する鋼種とし、後鋳込み鋼種を、該前鋳込み鋼種の該合金元素含有率よりも低い含有率か、または該合金元素を含有しない鋼種として連々鋳する際に、
    鋳型内に浸漬ノズルを介して溶鋼を供給するための容器であるタンディッシュ内において、前記前鋳込み鋼種と前記後鋳込み鋼種の各成分組成が混在することにより形成される境界部の鋳片については大圧下を行わず、
    該境界部の鋳片の先端が前記圧下ロール対を通過した直後に該圧下ロール対を開放し、該圧下ロール対を開放した状態で前記後鋳込み鋼種を鋳造すること
    を特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  2. 請求項に記載の鋼の連続鋳造方法を実施する際に、
    前記境界部の鋳片の先端が前記圧下ロール対を通過した直後に、該圧下ロール対を開放して圧下を終了するとともに、
    鋳造速度および/または二次冷却条件を変更して前記後鋳込み鋼種を鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  3. 請求項に記載の鋼の連続鋳造方法を実施する際に、
    前記境界部の鋳片の先端が前記圧下ロール対を通過した直後に、該圧下ロール対を開放して大圧下を終了するとともに、
    前記後鋳込み鋼種の最終凝固部の鋳片を軽圧下することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
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