以下、図面を参照して、本発明に係る防煙垂壁及びその施工方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る防煙垂壁が施工されたシステム天井を示す図であり、図2は、防煙垂壁を含むシステム天井の一部断面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る防煙垂壁1は、システム天井2に施工されるものである。そこで、まず、システム天井2の構成について説明する。
システム天井2は、グリッド天井とも称されており、格子状に組まれた天井枠材3と、格子状に組まれた天井枠材3の開口に架設された天井材4と、吊ボルト12、調節ハンガー13、第一補助チャンネル14、第二補助チャンネル15、第一チャンネルクリップ16及び第二チャンネルクリップ17により構成されて天井枠材3を吊持ちする(吊り下げる)吊持部材5とにより構成される。
天井枠材3は、吊持部材5を介して天井構造体(天井スラブ)に吊り下げられる枠材であり、鋼やアルミニウム合金などで形成されている。そして、この天井枠材3は、直線状に延びる複数のバー7により構成されている。
図3は、天井枠材を構成するバーを示す斜視図である。図3に示すように、天井枠材3を構成する各バー7は、直線状に延びる長尺部材であり、上下方向に延びる断面I字状のウェブ8と、ウェブ8の上縁に形成されて吊持部材5に連結される連結部9と、ウェブ8の下縁に形成されて天井枠材3が架設されるフランジ部10と、を備えている。
バー7のウェブ8は、連結部9とフランジ部10とを連結するとともに、連結部9とフランジ部10との間にスペースを空けるための部位である。
バー7の連結部9は、吊持部材5に連結される部位である。このため、連結部9は、ウェブ8の上縁から両側に張り出して上方に開放される断面略コ字状に形成されている。また、連結部9の下面には、溝部9aが形成されており、吊持部材5が引っ掛けられるとともに、後述するジョイント部材がはめ込まれるようになっている。
バー7のフランジ部10は、天井枠材3が架設される部位である。このため、フランジ部10は、互いに開口が対向するコ字状断面に形成されており、ウェブ8の下縁から二股に分かれて水平方向両側に張り出した一対の肩部10aと、各肩部10aの先端縁から鉛直方向下方に延びて互いに対向する一対の側壁部10bと、各側壁部10bの先端縁から水平方向内側に屈曲してシステム天井2の天井面となる一対の屈曲部10cと、により構成されている。そして、各屈曲部10cの先端縁は所定長だけ離間しており、下方に開放された開口が形成されている。また、各肩部10aの上面には、溝部10dが形成されており、後述するジョイント部材がはめ込まれるようになっている。
そして、図2に示すように、このように形成される複数のバー7を直線状及び交差状に配置して組み合わせることで、格子状の天井枠材3が構成される。
天井材4は、ロックウールやグラスウールを主成分として、澱粉などの糊材などを混合して抄造し、板状に加工した板状体や平面形状が略正方形のパネルなどにより構成される。なお、天井材4の大きさは、格子状に組まれた天井枠材3の開口の大きさに応じて適宜変更され、その構成は、用途に応じて適宜変更される。そして、この天井材4は、天井枠材3を構成するバー7のフランジ部10に載置することで、天井枠材3に架設される。
吊持部材5は、上述したように、天井構造体に埋設されたアンカーなどによって垂下される吊ボルト12と、吊ボルト12の下端部に取り付けられた調節ハンガー13と、調節ハンガー13により水平に架設された第一補助チャンネル14及び第二補助チャンネル15と、第一補助チャンネル14に取り付けられた第一チャンネルクリップ16と、第二補助チャンネル15に取り付けられた第二チャンネルクリップ17と、により構成される。
この第一チャンネルクリップ16は、二股に分かれて下方に開く略U字状に形成されており、その両下端部に、バー7の連結部9に引っ掛けられるフックが形成されている。そして、第一チャンネルクリップ16は、第一補助チャンネル14に跨がせて第一補助チャンネル14に取り付け、その下端部に形成されたフックでバー7の連結部9を引っ掛ける。また、第一チャンネルクリップ16には、第一補助チャンネル14に対して第一チャンネルクリップ16を上下動させるための第一調整ネジ18が取り付けられている。そして、この第一調整ネジ18を回すと、第一チャンネルクリップ16が上昇することによりフックに引っ掛けたバー7が持ち上げられて、バー7が第一補助チャンネル14に圧接される。これにより、バー7は、吊持部材5に吊持されるとともに、吊持部材5に強固に固定される。
また、第二チャンネルクリップ17は、二股に分かれて下方に開く略U字状に形成されており、その両下端部に、バー7の連結部9に引っ掛けられるフックが形成されている。そして、第二チャンネルクリップ17は、第二補助チャンネル15に跨がせて第二補助チャンネル15に取り付け、その下端部に形成されたフックでバー7の連結部9を引っ掛ける。また、第二チャンネルクリップ17には、第二補助チャンネル15に対して第二チャンネルクリップ17を上下動させるための第二調整ネジ19が取り付けられている。そして、この第二調整ネジ19を回すと、第二チャンネルクリップ17が上昇することによりフックに引っ掛けたバー7が持ち上げられて、バー7が第二補助チャンネル15に圧接される。これにより、バー7は、吊持部材5に吊持されるとともに、吊持部材5に強固に固定される。
なお、第一チャンネルクリップ16と第二チャンネルクリップ17とは、互いにバー7を同じ高さに吊持ちするために、各フックの位置が同じ高さとなるように形成されている。すなわち、本実施形態では、第二補助チャンネル15は第一補助チャンネル14の下方に配置されているため、第二チャンネルクリップ17は第一チャンネルクリップ16よりも長く形成されている。
次に、本実施形態に係る防煙垂壁1について説明する。
本実施形態に係る防煙垂壁1は、ガラス繊維強化樹脂シートを用いた防煙垂壁であり、ガラス繊維強化樹脂シート21と、収納ボックス22と、シート先端固定枠体23と、ガイドレール24と、を備えている。
ガラス繊維強化樹脂シート21は、ガラス繊維織物に樹脂を含浸させてシート状に形成したものであり、1m程度の短いものから100m程度の長いものまで、防煙垂壁1の施工長さに応じて適宜設定される。
このガラス繊維強化樹脂シート21は、巻き取ることができるように可撓性を有しており、優れた透明性及び不燃性を有するものである。このガラス繊維強化樹脂シート21は、全光線透過率が80%以上、且つ、ヘーズが30%以下であることが好ましく、全光線透過率が85%以上、且つ、ヘーズが20%以下であることが更に好ましい。このガラス繊維強化樹脂シート21は、例えば、日東紡績株式会社製のダンスモーク(日東紡績株式会社の登録商標)が好ましい。ガラス繊維強化樹脂シート21は、ガラス繊維織物と、このガラス繊維織物に樹脂を含浸及び硬化させた樹脂被覆層とにより構成されている。
ガラス繊維強化樹脂シート21を構成するガラス繊維織物は、ガラス繊維強化樹脂シート21の基布となる材料である。このガラス繊維織物の織組織としては、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられ、平織、朱子織、畦織が好ましい。ガラス繊維織物中の隣接する経糸の間の隙間及び隣接する緯糸の間の隙間は、共に0.5mm以下が好ましく、0.2mm以下が更に好ましい。
このガラス繊維織物を構成するガラス繊維糸の番手は、5〜70texが好ましく、10〜35texが更に好ましい。このガラス繊維糸に含まれるフィラメント(ガラス繊維)の直径は、1〜20μmが好ましく、3〜12μmが更に好ましい。このフィラメント(ガラス繊維)の組成としては、汎用の無アルカリ性ガラス繊維(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス繊維、高強度・高弾性率ガラス繊維(Sガラス、Tガラス)、耐アルカリ性ガラス繊維(ARガラス)などが挙げられるが、汎用性の高い無アルカリ性ガラス繊維(Eガラス)の使用が好ましい。
そして、これらガラス組成物の屈折率は、含浸に用いる樹脂の屈折率との差が±0.02以下となるように選定する。なお、樹脂側の屈折率を所望のように選定できれば、ガラス組成物として如何なる屈折率のものを選定してもよい。ガラス組成物としては、例えば、屈折率が1.4〜1.7程度のものが好ましく、1.5〜1.6のものが更に好ましい。無アルカリ性ガラス繊維(Eガラス)を用いた場合には、屈折率は1.55〜1.57程度となる。
なお、ガラス繊維織物は、1種類のガラス繊維で織られていてもよく、2種類以上のガラス繊維で織られていてもよい。例えば、経糸と緯糸とはガラス繊維の組成が同じであり、ガラス繊維の番手が異なっていてもよい。
そして、このように構成されるガラス繊維織物には、ガラス繊維強化樹脂シート21の耐久性を向上させるために、ガラス繊維処理剤で表面処理するのが好ましい。このガラス繊維処理剤は、例えば、通常使用されるシランカップリング剤が好ましい。このようにガラス繊維処理剤で表面処理することで、ガラス繊維織物と硬化した樹脂とを良好に接合させることができる。
ガラス繊維強化樹脂シート21を構成する樹脂被覆層は、ガラス繊維織物を被覆する樹脂であり、ガラス繊維織物のガラス繊維間の隙間に入り込んで表裏両面の表層に形成される樹脂層である。
この樹脂被覆層の材質は、その屈折率が、ガラス繊維織物のガラス組成物の屈折率との差が±0.02以下となるように選定する。このように、ガラス繊維織物と樹脂被覆層との屈折率の差を±0.02以下として十分小さくすることで、樹脂被覆層の中でガラス繊維織物が視認できなくなる。これにより、ガラス繊維織物と樹脂被覆層とで形成されたガラス繊維強化樹脂シート21を透明にして、全光線透過率を十分に高くすることができる。
樹脂被覆層を構成する樹脂としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられるが、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、効果特性に優れている点で、ビニルエステル樹脂がより好ましい。そして、この樹脂被覆層として、上記樹脂に、難燃剤、紫外線吸収剤、充填剤、帯電防止剤などの添加物を含めるのが好ましい。難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、トリクロロエチルホスフェート、トリアリルホスフェート、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステルなどが挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどが挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。これらの添加物は粒子形状であってもよく、粒子の場合には粒径が10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。粒径が小さいと、全光線透過率が向上し、ヘーズが低下する。
そして、ガラス繊維強化樹脂シート21におけるガラス繊維織物と樹脂被覆層の割合は、ガラス繊維織物が20〜70重量%、樹脂被覆層が80〜30重量%とする。ガラス繊維織物が20重量%未満の場合には、ガラス繊維強化樹脂シート21における樹脂量が多くなり、得られるガラス繊維強化樹脂シート21の不燃性が低下する。一方、ガラス繊維織物が70重量%を超える場合には、得られるガラス繊維強化樹脂シート21の表層における樹脂量が少なくなり、ガラス繊維織物の模様の浮き出しや、樹脂被覆層の含浸不良による白化や、透明性の低下などが生じる場合がある。
ガラス繊維強化樹脂シート21の単位面積当たりのガラス繊維織物の質量は、ガラス繊維強化樹脂シート21の強度、耐久性や樹脂の含浸性などを考慮して定めるものであり、例えば、10〜300g/m2程度とするのが好ましい。特に、ガラス繊維織物の強度及び耐久性や、ガラス繊維織物への樹脂の含浸性を向上させるために、ガラス繊維織物の質量を20〜300g/m2とすると更に好ましい。ガラス繊維織物の質量を20g/m2以上とすることで、ガラス繊維強化樹脂シート21の強度を十分に高めることができる。ガラス繊維織物の質量を300g/m2以下とすることで、ガラス繊維強化樹脂シート21の単位面積あたりのガラス繊維織物の割合を少なくして、ガラス繊維織物の隙間を十分に増やし、樹脂の含浸不良を防止することができる。なお、ガラス繊維強化樹脂シート21の単位面積あたりのガラス繊維織物の質量を150g/m2以上にする場合には、厚めのガラス繊維織物を1枚用いてもよく、薄めのガラス繊維織物を複数枚用いてもよい。含浸性を向上させる観点からは、薄めのガラス繊維織物を複数枚用いることが好ましい。
ガラス繊維強化樹脂シート21の単位面積当たりの樹脂被覆層の質量は、10〜500g/m2程度とするのが好ましい。樹脂被覆層の質量を10g/m2以上とすることで、ガラス繊維織物の模様の浮き出しや、樹脂被覆層の含浸不良による白化などの発生を防止することができる。また、樹脂被覆層の質量を500g/m2以下とすることで、ガラス繊維強化樹脂シート21における比較的燃えやすい部分である樹脂の割合を低く抑えて、ガラス繊維強化樹脂シート21を難燃性に優れたものとすることができる。
また、ガラス繊維織物中のガラス繊維を構成するガラス組成物と樹脂被覆層とのアッベ数の差が30以下となるように、樹脂被覆層を形成する樹脂の材質を選定することが好ましい。アッベ数の差を30以下に抑えることで、ガラス繊維織物と樹脂被覆層の界面で、可視光領域の散乱を少なくして、当該界面における着色を抑えることができる。なお、ガラス組成物のアッベ数は、特に制限されないが、例えば、35〜75の範囲であることが好ましく、50〜70の範囲であることが更に好ましい。
ガイドレール24は、ガラス繊維強化樹脂シート21の上端部が収容される部材であり、システム天井2の天井枠材3として用いられるものである。このため、ガイドレール24は、複数のバー7と組み合わせられて格子状の天井枠材3を構成し、吊持部材5により吊持されることで天井構造体に吊り下げられるとともに、天井材4を架設する。
図4は、ガイドレールを示す斜視図である。図4に示すように、ガイドレール24は、直線状に延びる長尺部材であり、上下方向に延びる断面I字状のウェブ31と、ウェブ31の上縁に形成されて吊持部材5に連結される連結部32と、ウェブ31の下縁に形成されてガラス繊維強化樹脂シート21の上端部が挿入されるシート挿入部33と、シート挿入部33の下縁に形成されて天井枠材3が架設されるフランジ部34と、を備えている。
ガイドレール24のウェブ31は、連結部32とシート挿入部33とを連結するとともに、連結部32とシート挿入部33との間にスペースを空けるための部位である。なお、ガイドレール24と各バー7とは、上下方向の長さが同じに形成されているため、シート挿入部33の長さ分、ガイドレール24のウェブ31の長さが短くなっている。
ガイドレール24の連結部32は、吊持部材5に連結される部位である。このため、連結部32は、ウェブ31の上縁から両側に張り出して上方に開放される断面略コ字状に形成されている。また、連結部32の下面には、溝部32aが形成されており、吊持部材5が引っ掛けられるとともに、後述するジョイント部材がはめ込まれるようになっている。
ガイドレール24のシート挿入部33は、ガラス繊維強化樹脂シート21の上端部が挿入される部位である。このシート挿入部33は、下方に開放された断面コ字状に形成されており、ウェブ31の下縁から二股に分かれて両側に張り出した一対の肩部33aと、各肩部33aの先端縁から鉛直方向下方に延びて互いに対向する一対の側壁部33bと、により構成されている。このため、シート挿入部33には、一対の肩部33aと一対の側壁部33bとに囲まれた領域に、ガラス繊維強化樹脂シート21の上端部が挿入される挿入空間Aが形成されている。そして、一対の肩部33aの上面には、溝部33cが形成されており、後述するジョイント部材がはめ込まれるようになっている。
ガイドレール24のフランジ部34は、天井枠材3が架設される部位である。このためフランジ部34は、互いに開口が対向する一対のコ字状断面(すなわち、下方に開放された開口を有する略C字状断面)に形成されており、シート挿入部33の各側壁部33bの下縁から水平方向外側に張り出した一対の肩部34aと、各肩部34aの先端縁から鉛直方向下方に延びて互いに対向する一対の側壁部34bと、各側壁部34bの先端縁から水平方向内側に屈曲してシステム天井2の天井面となる一対の屈曲部34cと、により構成されている。そして、各屈曲部34cの先端縁は所定長だけ離間しており、下方に開放された開口が形成されている。このため、フランジ部34には、シート挿入部33と同様に、一対の肩部34aと、一対の側壁部34bと、一対の屈曲部34cとに囲まれた領域に、ガラス繊維強化樹脂シート21の上端部が挿入される挿入空間Aが形成されている。このため、挿入空間Aは、シート挿入部33とフランジ部34とにより囲まれた領域となる。
また、架設される天井材4を水平に保持するために、フランジ部34の高さ(各側壁部34bの長さ)は、バー7のフランジ部の高さ(各側壁部10bの長さ)と同寸法となっている。
そして、このように形成されるガイドレール24が、収納ボックス22とシート先端固定枠体23との間に延在している。なお、収納ボックス22とシート先端固定枠体23との離間距離が短く、収納ボックス22とシート先端固定枠体23との間を1本のガイドレール24で足りる場合は、1本のガイドレール24のみを用い、収納ボックス22とシート先端固定枠体23との離間距離が長く、収納ボックス22とシート先端固定枠体23との間を複数本のガイドレール24を直線状に連結して用いる。
図5は、ガイドレールの連結構造を示す斜視図である。そして、図5(a)は、直ジョイント金具を用いたガイドレール間の連結構造を示しており、図5(b)は、クロスジョイント金具を用いたガイドレールとバーとの連結構造を示している。
図5に示すように、2本のガイドレールを直線状に連結する場合は、ジョイント部材である直ジョイント金具41を用いる。
直ジョイント金具41は、隣接する2本のガイドレール24のウェブ31にはめ込まれて、これらのガイドレール24を直線状に連結する金具である。このため、直ジョイント金具41は、鋼やアルミニウム合金などで、直線状の細長い板状に形成されている。そして、直ジョイント金具41の幅(図5において上下方向の長さ)は、ガイドレール24のウェブ31の長さと略同寸法となっており、直ジョイント金具41の厚さは、ガイドレール24の連結部32に形成された溝部32a及びシート挿入部33に形成された溝部33cの幅と略同寸法となっている。更に、直ジョイント金具41には、溝部32aと溝部33cとを付勢して直ジョイント金具41を溝部32aと溝部33cとにはめ込む板バネ部41aと、各ガイドレール24のウェブ31にビス止めされるビス穴41bと、が形成されている。なお、板バネ部41aは、直ジョイント金具41の幅よりも広く(長く)形成された板状部材を屈曲させることで、溝部32aと溝部33cとを付勢する弾性付勢力が与えられている。
そして、隣接する2本のガイドレール24を連結する場合は、これら2本のガイドレール24を直線状に配置し、直ジョイント金具41を各ガイドレール24の溝部32a及び溝部33cにはめ込み、直ジョイント金具41のビス穴41bで各ガイドレール24のウェブ31をビス止めする。これにより、隣接する2本のガイドレール24が直線状に一体的に連結される。
また、上述したように、ガイドレール24は、複数のバー7と組み合わされて格子状の天井枠材3を構成する。このため、ガイドレール24とバー7とは、直交する方向に組み合わせられる。そして、ガイドレール24にバー7を連結する場合は、ジョイント部材であるクロスジョイント金具42を用いる。
クロスジョイント金具42は、直交するガイドレール24及びバー7のウェブ31にはめ込まれて、ガイドレール24とバー7とを直交状態で連結する金具である。このため、クロスジョイント金具42は、鋼やアルミニウム合金などで、直角に屈曲した細長い板状に形成されている。
そして、ガイドレール24にはめ込まれる側のクロスジョイント金具42は、その幅(図5において上下方向の長さ)が、ガイドレール24のウェブ31の長さと略同寸法となっており、その厚さは、ガイドレール24の連結部32に形成された溝部32a及びシート挿入部33に形成された溝部33cの幅と略同寸法となっている。更に、ガイドレール24にはめ込まれる側のクロスジョイント金具42には、溝部32aと溝部33cとを付勢してクロスジョイント金具42を溝部32aと溝部33cとにはめ込む板バネ部42aと、ガイドレール24のウェブ31にビス止めされるビス穴42bと、が形成されている。なお、板バネ部42aは、直ジョイント金具41の幅よりも広く(長く)形成された板状部材を屈曲させることで、溝部32aと溝部33cとを付勢する弾性付勢力が与えられている。
一方、バー7にはめ込まれる側のクロスジョイント金具42は、その幅(図5において上下方向の長さ)が、バー7のウェブ8の長さと略同寸法となっており、その厚さは、バー7の連結部9に形成された溝部9a及びフランジ部10に形成された溝部10dの幅と略同寸法となっている。更に、バー7にはめ込まれる側のクロスジョイント金具42には、溝部9aと溝部10dとを付勢してクロスジョイント金具42を溝部9aと溝部10dとにはめ込む板バネ部42cと、バー7のウェブ8にビス止めされるビス穴42dと、が形成されている。なお、板バネ部42cは、クロスジョイント金具42の幅よりも広く(長く)形成された板状部材を屈曲させることで、溝部9aと溝部10dとを付勢する弾性付勢力が与えられている。
そして、ガイドレール24とバー7とを直角に連結する場合は、ガイドレール24の側面にバー7を突き当ててガイドレール24とバー7とを直交状態に配置する。その後、クロスジョイント金具42を、ガイドレール24の溝部32a及び溝部33cにはめ込むとともに、バー7の溝部9a及び溝部10dにはめ込み、ビス穴42bを使用してクロスジョイント金具42とガイドレール24のウェブ31とをビス止めするとともに、ビス穴42dを使用してクロスジョイント金具42とバー7のウェブ8とをビス止めする。これにより、ガイドレール24とバー7とが直角に連結される。
図6は、防煙垂壁を示す図である。そして、図6(a)は、防煙垂壁の正面図を示しており、図6(b)は、収納ボックスの正面図を示しており、図6(c)は収納ボックスの平面断面図を示しており、図6(d)は、シート先端固定枠体の正面図を示している。
図6(a)〜図6(c)に示すように、防煙垂壁1の収納ボックス22は、ガラス繊維強化樹脂シート21を巻芯45に巻き取ったシート材巻体46を収納する端部方立である。この収納ボックス22は、システム天井2の天井面に対して垂直に配置されており、収納ボックス22内からガラス繊維強化樹脂シート21を引っ張り出すためのスリット47が形成されている。そして、収納ボックス22は、天井枠材3を構成するガイドレール24直下に配置されており、スリット47がガイドレール24の開口に連結されている。なお、収納ボックス22は、システム天井2の天井面及び壁面に当接して、壁面にビス止めされている。
収納ボックス22に収納される巻芯45は、収納ボックス22内において軸方向に回転自在に保持されている。このため、ガラス繊維強化樹脂シート21を引っ張ると、巻芯45が回転して、シート材巻体46からガラス繊維強化樹脂シート21が引っ張り出される。そして、この巻芯45は、シート材巻体46の上端がガイドレール24のシート挿入部33の中ほどに位置する高さに配置されている。このため、スリット47からガラス繊維強化樹脂シート21が引っ張り出されると、ガラス繊維強化樹脂シート21は、その上端部がガイドレール24のフランジ部34及びシート挿入部33内の挿入空間Aに挿入される。すなわち、ガラス繊維強化樹脂シート21は、その上端部がガイドレール24の挿入空間Aに挿入された状態で、スリット47から引っ張り出される。
なお、収納ボックス22には、図示しないが、ガラス繊維強化樹脂シート21が引き出されるのを阻止するシート材固定機構が設けられている。このシート材固定機構は、例えば、ラチェット機構などにより、ガラス繊維強化樹脂シート21が引き出される方向に巻芯45が回転するのを阻止するものである。このため、ラチェット機構を解除すると、ガラス繊維強化樹脂シート21が引き出される方向への巻芯45の回転が許可されるため、ガラス繊維強化樹脂シート21を引っ張ると、スリット47からガラス繊維強化樹脂シート21が引き出される。一方、ラチェット機構をロックすると、ガラス繊維強化樹脂シート21が引き出される方向への巻芯45の回転がロックされるため、ガラス繊維強化樹脂シート21を引っ張ってもスリット47からガラス繊維強化樹脂シート21を引き出すことができない。
また、シート材巻体46に巻き取られているガラス繊維強化樹脂シート21の長さは、コストなどの観点から5〜30mが好ましく、更に、ガラス繊維強化樹脂シート21の自重による垂れ下がりの観点から8〜10mが更に好ましい。
図6(a)及び図6(d)に示すように、防煙垂壁1のシート先端固定枠体23は、収納ボックス22から引き出されたガラス繊維強化樹脂シート21の先端を固定する端部方立である。このシート先端固定枠体23は、システム天井2の天井面に対して垂直に配置されており、システム天井2の天井面及び壁面に当接して、壁面にビス止めされている。そして、シート先端固定枠体23は、図示しない固定手段により、収納ボックス22から引き出されたガラス繊維強化樹脂シート21の先端を固定する。なお、シート先端固定枠体23によるガラス繊維強化樹脂シート21の固定方法は、如何なる手段であってもよく、例えば、ビス止めや接着などにより行うことができる。
次に、図7を参照して、ガイドレール24の寸法について説明する。図7は、ガイドレールの寸法を説明するための正面図である。各寸法の定義は、
[a]:フランジ部34の一対の側壁部34bの離間距離
[b]:挿入空間Aの開口幅(フランジ部34の一対の屈曲部34cの離間距離)
[c],[d]:フランジ部34の屈曲部34cの水平方向長さ
[c1],[d1]:フランジ部34の肩部34aの水平方向長さ
[e]:フランジ部34の鉛直方向長さ(高さ)
[f]:シート挿入部33の鉛直方向長さ(高さ)
[g]:挿入空間Aの深さ(フランジ部34及びシート挿入部33の鉛直方向長さ)
[h]:ウェブ8の鉛直方向長さ(高さ)
[i]:連結部32の鉛直方向長さ(高さ)
[j]:連結部32の幅
[k]:連結部32及びウェブ8の鉛直方向長さ(高さ)
[m]:ガイドレール24の鉛直方向長さ(高さ)
[n]:シート挿入部33に挿入されたガラス繊維強化樹脂シート21の挿入深さ
[o]:シート挿入部33に挿入されたガラス繊維強化樹脂シート21と肩部34aとの離間距離
とする。
防煙垂壁1の各部材は、破損して落下し、飛び散って重大な事故につながる恐れがあるため、軽量化と小型化が望まれている。このため、各部材の寸法を小さくすることが重要となる。そこで、ガイドレール24の各寸法を下記のように設定する。
図7に示すように、挿入空間Aの開口幅bに対する挿入空間の深さgの比率は、b:g=1:3〜1:5の範囲が好ましい。一般に、需要者は、意匠性の観点から、システム天井2の目地となる天井枠材3を狭く小さくすることを望んでいる。そして、ガイドレール24のように下側に開放された開口が形成されている場合、開口から挿入空間Aの天井面が見えると、システム天井2の目地が広く大きく見えてしまう。特に、挿入空間Aの開口幅bに対する挿入空間Aの深さgの比率を3倍未満とすると、挿入空間Aの天井面が見えやすくなる。一方、挿入空間Aの開口幅bに対する挿入空間Aの深さgの比率を5倍よりも大きくすると、ガイドレール24の高さ寸法が大きくなりすぎて、施工上の取り合いが難しくなるとともに、天井フトコロが広くなりすぎて天井が低くなる。そこで、挿入空間Aの開口幅bと挿入空間Aの深さgとの比率を1:3〜1:5の範囲とすることで、システム天井2の意匠性を損なわせること無く、天井の低下を防止して施工の容易性を向上させることができる。
この挿入空間Aの開口幅bは、2.5〜30mmの範囲が好ましく、3〜10mmの範囲が更に好ましく、5〜7mmの範囲が特に好ましい。開口幅bが2.5mmよりも狭いと、連結部分の直線性の誤差でガラス繊維強化樹脂シート21がガイドレール24に触れて皺が発生する可能性があり、一方、この開口幅bが30mmよりも広いと、ガイドレール24の開口幅が広くなりすぎ、システム天井2としての意匠性が損なわれる。特に、わが国では、ガイドレール24やバー7の開口幅をできるだけ狭くしてほしいとの要望があるため、この開口幅bを30mm以下とすることで、システム天井2の需要に適合した防煙垂壁1を形成することができる。そこで、本実施形態では、最適値として、開口幅bを6.5mmとした。
なお、挿入空間Aを形成するシート挿入部33の一対の側壁部33bの離間距離は、ガラス繊維強化樹脂シート21が触れて皺にならない寸法であればよく、挿入空間Aの開口幅bとなるフランジ部34の一対の屈曲部34cの離間距離と同寸法又は僅かに狭い寸法であってもよい。
また、挿入空間Aの深さgは、フランジ部34及びシート挿入部33の長さ(高さ)となり、e+n+oとなる。そのため、この挿入空間Aの深さgは、7.5〜90mmの範囲が好ましく、9〜30mmの範囲が更に好ましく、15〜21mmの範囲が特に好ましい。挿入空間Aの深さgが7.5mm未満だと、挿入空間Aが浅すぎて開口から挿入空間Aの天井面が見えすぎてしまい意匠性を損ねてしまい、挿入空間Aの深さgが90mmよりも深いと、ガイドレール24の高さ寸法が大きくなりすぎて、施工上の取り合いが難しくなるとともに、天井フトコロが広くなりすぎて天井が低くなる。そこで、挿入空間Aの深さGを7.5〜90mmの範囲で設定することで、システム天井の意匠性を損なわせること無く、天井の低下を防止して施工の容易性を向上させることができる。そこで、本実施形態では、最適値として、挿入空間の深さgを20mmとした。
フランジ部34の鉛直方向長さeは、2.5〜20mmの範囲が好ましく、4〜15mmの範囲が更に好ましく、6〜10mmの範囲が特に好ましい。フランジ部34の鉛直方向長さeが2.5mmよりも短いと、フランジ部34の製作が困難となり、一方、フランジ部34の鉛直方向長さeが20mmよりも長いと、材料費が高くなるとともに重量が大きくなってしまう。そこで、本実施形態では、最適値として、フランジ部34の鉛直方向長さeを8mmとした。
シート挿入部33に挿入されたガラス繊維強化樹脂シート21の挿入深さnは、2.5〜30mmの範囲が好ましく、4〜20mmの範囲が更に好ましく、6〜15mmの範囲が特に好ましい。挿入深さnが2.5mmよりも浅いと、ガラス繊維強化樹脂シート21がシート挿入部33の肩部33aに触れて皺になってしまい、一方、この挿入深さnが30mmよりも深いと、材料費が高くなるとともに重量が大きくなってしまう。そこで、本実施形態では、最適値として、シート挿入部33におけるガラス繊維強化樹脂シート21の挿入深さnを7mmとした。
シート挿入部33に挿入されたガラス繊維強化樹脂シート21と肩部34aとの離間距離oは、2.5〜10mmの範囲が好ましく、3〜8mmの範囲が更に好ましく、4〜6mmの範囲が特に好ましい。この離間距離oが2.5mmよりも短いと、ガラス繊維強化樹脂シート21がシート挿入部33の肩部33aに触れて皺になってしまい、一方、この離間距離oが10mmよりも深いと、材料費が高くなるとともに重量が大きくなってしまう。そこで、本実施形態では、ガラス繊維強化樹脂シート21と肩部34aとの離間距離oを5mmとした。
フランジ部34の一対の側壁部34bの離間距離aは、システム天井2の設計仕様に基づいて決められる寸法(a=b+c+d)であり、b,c,dで定まる寸法となる。そのため、離間距離aは、10〜100mmの範囲が好ましく、12〜30mmの範囲が更に好ましく、14〜20mmの範囲が特に好ましい。そこで、本実施形態では、最適値として、一対の側壁部34bの離間距離aを15mmとした。
フランジ部34の屈曲部34cの水平方向長さc,dは、システム天井2の設計仕様に基づいて決められる寸法である。そのため、屈曲部34cの水平方向長さc,dは、2.5〜50mmの範囲が好ましく、3〜20mmの範囲が更に好ましく、3.5〜10mmの範囲が特に好ましい。そこで、本実施形態では、最適値として、屈曲部34cの水平方向長さc,dをそれぞれ4mmとした。
フランジ部34の肩部34aの水平方向長さc1,d1は、システム天井2の設計仕様に基づいて決められる寸法である。肩部34aは、天井材4が架設される部位であるため、長さc1,d1は、バランスを考慮して等長(c1=d1)とするのが好ましく、架設される天井材4の大きさや重量によっても寸法が決められる。そのため、肩部34aの水平方向長さc1,d1は、2.5〜50mmの範囲が好ましく、3〜20mmの範囲が更に好ましく、3.5〜10mmの範囲が特に好ましい。肩部34aの水平方向長さc1,d1が2.5mmよりも短いと、天井材4が適切に架設できず天井材4が落下する可能性があり、一方、肩部34aの水平方向長さc1,d1が50mmよりも長いと、材料費が高くなるとともに重量が大きくなってしまう。そこで、本実施形態では、最適値として、肩部34aの水平方向長さc1,d1をそれぞれ4mmとした。
ウェブ8の鉛直方向長さhは、システム天井2の設計仕様に基づいて決められる寸法である。そのため、ウェブ8の鉛直方向長さhは、12〜50mmの範囲が好ましく、14〜30mmの範囲が更に好ましく、16〜20mmの範囲が特に好ましい。ウェブ8の鉛直方向長さhが12mmよりも短いと、天井枠材3の連結金具の幅が狭くなり、天井枠材3の強度が低下してしまい、一方、ウェブ8の鉛直方向長さhが50mmよりも長いと、天井フトコロが広くなるため、天井が低くなるとともに、天井枠材3の連結金具の幅が狭くなり、天井枠材3の強度が低下してしまう。そこで、本実施形態では、最適値として、ウェブ8の鉛直方向長さhを18mmとした。
連結部32の鉛直方向長さiは、システム天井2の設計仕様に基づいて決められる寸法である。そのため、連結部32の鉛直方向長さiは、2〜30mmの範囲が好ましく、5〜20mmの範囲が更に好ましく、8〜15mmの範囲が特に好ましい。そこで、本実施形態では、最適値として、連結部32の鉛直方向長さiを10mmとした。
連結部32の幅jは、システム天井2の設計仕様に基づいて決められる寸法である。そのため、連結部32の幅jは、2〜20mmの範囲が好ましく、4〜15mmの範囲が更に好ましく、6〜10mmの範囲が特に好ましい。そこで、本実施形態では、最適値として、連結部32の幅jを6.5mmとした。
連結部32及びウェブ8の鉛直方向長さkは、システム天井2の設計仕様に基づいて決められる寸法である。そのため、連結部32及びウェブ8の鉛直方向長さkは、14〜80mmの範囲が好ましく、19〜50mmの範囲が更に好ましく、24〜35mmの範囲が特に好ましい。そこで、本実施形態では、最適値として、連結部32及びウェブ8の鉛直方向長さkを28mmとした。
ガイドレール24の鉛直方向長さmは、システム天井2の設計仕様に基づいて決められる寸法である。そのため、ガイドレール24の鉛直方向長さmは、21.5〜170mmの範囲が好ましく、28〜80mmの範囲が更に好ましく、33〜65mmの範囲が特に好ましい。そこで、本実施形態では、最適値として、ガイドレール24の鉛直方向長さmを48mmとした。
次に、図6を参照して、防煙垂壁1の施工方法について説明する。
防煙垂壁1を施工する場合は、まず、ガイドレール24を用いてシステム天井2を施工する。このとき、バー7とガイドレール24とを組み合わせて天井枠材3を構成する。そして、このように構成された天井枠材3を壁面に取り付けられた野縁50に載置して、吊持部材5により吊り下げる。
次に、ガラス繊維強化樹脂シート21が巻き取られた巻芯45が収納された収納ボックス22を、ガイドレール24の延在方向における一方側に配置するとともに、シート先端固定枠体23を、ガイドレール24の延在方向における他方側に配置する。これにより、収納ボックス22とシート先端固定枠体23とがガイドレール24の両端部に配置されて、このガイドレール24が、収納ボックス22とシート先端固定枠体23との間に延在するように配置される。なお、ガイドレール24と収納ボックス22及びシート先端固定枠体23とは、接触して配置してもよく、離間して配置してよい。このとき、収納ボックス22を一方壁面にビス止めし、シート先端固定枠体23を他方壁面にビス止めすることで、収納ボックス22とシート先端固定枠体23とがシステム天井2の天井面に対して垂直になるように配置する。
次に、収納ボックス22のラチェット機構を解除して、スリット47からガラス繊維強化樹脂シート21を引き出すとともに、その上端部をガイドレール24のフランジ部34及びシート挿入部33の挿入空間Aに通す。
このとき、シート挿入部33とフランジ部34とにより形成される挿入空間Aは、システム天井2の天井面となる屈曲部34cよりも上方に配置されるため、ガラス繊維強化樹脂シート21の上端部がガイドレール24の挿入空間Aに挿入されると、ガラス繊維強化樹脂シート21の上端部がシステム天井2に入り込むため、ガラス繊維強化樹脂シート21の上端部が隠されるとともに、ガラス繊維強化樹脂シート21とシステム天井2の天井面との隙間が埋められる。
そして、収納ボックス22のラチェット機構をロックしてガラス繊維強化樹脂シート21に所定の張力を与え、この状態で、スリット47から引き出されたガラス繊維強化樹脂シート21の先端をシート先端固定枠体23に固定する。このように、ガラス繊維強化樹脂シート21に所定の張力を与えることで、収納ボックス22とシート先端固定枠体23との間に引き渡されたガラス繊維強化樹脂シート21の垂れ下がりが防止されるとともに、皺の発生を防止することができる。これにより、ガラス繊維強化樹脂シート21による防煙垂壁1の施工が終了し、図6(a)に示す防煙垂壁1が形成される。
このように、本実施形態に係る防煙垂壁1では、収納ボックス22とシート先端固定枠体23との間にガイドレール24が配置されているため、収納ボックス22からガラス繊維強化樹脂シート21を引き出し、このガラス繊維強化樹脂シート21の上端部をガイドレール24に挿入し、この引き出したガラス繊維強化樹脂シート21の先端部をシート先端固定枠体23に固定することで、システム天井2の天井面に対して垂直な防煙垂壁1を容易に形成することができる。そして、ガイドレール24のシート挿入部33はフランジ部34の上部に配置されるため、挿入空間Aに挿入されたガラス繊維強化樹脂シート21の上端部を見え難くすることができる。また、このガイドレール24は、連結部32が吊持部材5に連結されることで、ガイドレール24が天井構造体に吊り下げられるため、ガイドレール24が天井構造体に強固に支持され、フランジ部34に天井材4が架設されることで、システム天井2が構成される。このため、ガイドレール24自体が天井枠材3となってシステム天井を構成するため、システム天井2の施工と同時に防煙垂壁1のガイドレール24を施工することができ、防煙垂壁1の施工工程を短縮することができる。また、ガイドレール24は、天井構造体に吊下げられる天井枠材3の一部となるため、天井材4と天井枠材3との段差や天井材4間の段差などに影響されること無く、ガイドレール24を水平に保つことができる。これにより、ガラス繊維強化樹脂シート21がガイドレール24に接触してガラス繊維強化樹脂シート21に皺が発生するのを防止することができる。更に、ガイドレール24自体が天井構造体に吊り下げられるため、ガイドレール24の支持強度が格段に向上してガイドレール24の落下を防止することができる。しかも、ガイドレール24は、それ自体がシステム天井2を構成するため、システム天井2としての意匠性を損なうことなく、ガラス繊維強化樹脂シート21が挿入される防煙垂壁1のガイドレール24として機能させることができる。
また、ガイドレール24のフランジ部34を、互いに開口が対向する一対のコ字状断面とすることで、フランジ部34に、簡易パーティションや照明装置などの様々な設備を取り付けることができ、システム天井2の活用範囲を広げることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態において、ガイドレール24は、天井構造体から吊り下げられた吊持部材5に吊り下げられるものとして説明したが、図8に示すように、天井フトコロが狭い場合は、天井構造体などの構造体52にガイドレール24を直接吊り下げるようにしてもよい。
また、上記実施形態において、ガイドレール24のフランジ部34は、断面略C字状に形成されるものとして説明したが、図9(a)や図9(b)に示すような形状に形成されるものとしてもよい。
すなわち、図9(a)に示すガイドレール61は、ウェブ31と、連結部32と、シート挿入部33と、フランジ部62とを備えている。そして、フランジ部62は、下方に開放された開口を有するコ字状断面に形成されており、シート挿入部33の下縁から水平方向外側に張り出した一対の肩部62aと、各肩部62aの先端縁から鉛直方向下方に延びて互いに対向する一対の側壁部62bと、により構成されている。そして、フランジ部62の各肩部62aに天井材4が架設されるとともに、一対の肩部62aと一対の側壁部62bとに囲まれた領域に、ガラス繊維強化樹脂シート21の上端部が挿入される挿入空間Aが形成される。
また、図9(b)に示すガイドレール71は、ウェブ31と、連結部32と、シート挿入部33と、フランジ部72とを備えている。そして、フランジ部72は、シート挿入部33の下縁から水平方向外側に張り出した一対の肩部72aにより構成されている。そして、フランジ部72の各肩部72aに天井材4が架設されるが、フランジ部72にはガラス繊維強化樹脂シート21の上端部が挿入される挿入空間Aが形成されない。このため、ガイドレール71の挿入空間Aは、シート挿入部33により囲まれる領域のみとなる。
また、上記実施形態において、ガイドレール24の連結部32やバー7の連結部9は断面略コ字状に形成されるものとして説明したが、吊持部材5に吊り下げられるものであれば如何なる形状であってもよい。
また、上記実施形態において、防煙垂壁1の施工方法として、(1)ガイドレール24の配置、(2)収納ボックス22の配置、(3)シート先端固定枠体23の配置、の順序で説明したが、この順序は特に制限されるものではなく、(1)を(2)及び(3)の後に行ったり、(2)と(3)の順序を入れ替えたり、施工現場の状況や施工作業性などを考慮して、適宜順序が入れ替えられる。