JP5359501B2 - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は合金化溶融亜鉛めっき鋼板に係り、さらに詳しくは耐溶接スパッタ付着性に格段に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関する。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、塗装密着性、塗装耐食性、溶接性などの点に優れることから、自動車用をはじめとして、家電、建材等に非常に多用されている。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は鋼板表面に溶融亜鉛をめっきした後、直ちに亜鉛の融点以上の温度に加熱保持して、鋼板中からFeを亜鉛中に拡散させることで、Zn−Fe合金を形成させるものであるが、鋼板の組成や組織によって合金化速度が大きく異なるため、その制御はかなり高度な技術を要する。一方、複雑な形状にプレスされる自動車用鋼板には、非常に高い成形性が要求されるとともに、近年では自動車の防錆性能への要求が高まったことによって、合金化溶融亜鉛めっきが適用されるケースが増加している。
自動車車体形状が一段と複雑になるのに従って、鋼板の成形性に対する要求も一段と厳しくなっており、従来にもまして深絞り性等の成形性の優れた鋼板が、合金化溶融亜鉛めっき鋼板にも要求されている。また、自動車の組み立てにはスポット溶接が多く使用されているが、このスポット溶接を行う際に発生するスパッタが鋼板に付着し、外観不良の原因となるという課題も存在する。
このため自動車の外板等では、溶接工程の後にスパッタ除去工程を設けて付着したスパッタの除去を行っている。また、溶接に先立って溶接部位に塗布することによりスパッタの付着を防止するスパッタ付着防止剤も知られており、特許文献1においては、この防止剤を塗布するスパッタ付着防止剤噴霧装置が提案されている。
特開平9−141445号公報
しかしながら、スパッタ付着防止剤噴霧装置は、設置スペースが無い場合には採用できず、また、スパッタ付着防止剤噴霧装置による生産コスト上昇は避けられない。一方、作業員によるスパッタ付着防止剤の塗布作業は大きな労力を必要とするだけでなく、溶接部位に均一にスパッタ付着防止剤を塗布するには熟練を要し、塗布が不均一であるとスパッタの付着が避けられないという課題がある。
しかし、上記及びその他これまで開示された合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、加工性の向上が重視されてきており、耐スパッタ付着性については十分検討されていない。
本発明は上記の現状に鑑みて、耐溶接スパッタ付着性に格段に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することを目的としている。
本発明者は溶融亜鉛めっきラインの生産性および加工性を低下させずに耐スパッタ付着性を向上させる手段を種々検討した結果、めっき表面の平坦部の面積率を最適化し、この平坦部に溶融鉄との接触角が大きい酸化物を形成させることにより、耐スパッタ付着性を著しく向上させることを見出して本発明に至った。
すなわち、本発明の趣旨とするところは、以下のとおりである。
(1)鋼板の片面または両面にAl:0.05〜0.5質量%、Fe:5〜17質量%、残部がZnおよび不可避的不純物からなる合金化溶融亜鉛めっき層を有し、このめっき層の表面に溶融鉄との接触角が90度以上、その表面積がめっき層の表面積の1.4〜100倍である皮膜を有し、該皮膜がCaO、MgO、ZrO 、TiO 、TiO、ZnOの1種又は2種以上からなる酸化物であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(2)鋼板の片面または両面にAl:0.05〜0.5質量%、Fe:5〜17質量%、残部がZnおよび不可避的不純物からなり、めっき表面の平坦部の面積率が10〜70%である合金化溶融亜鉛めっき層を有し、この平坦部に溶融鉄との接触角が90度以上、その表面積が平坦部の表面積の1.4〜100倍である皮膜を有し、該膜がCaO、MgO、ZrO 、TiO 、TiO、ZnOの1種又は2種以上からなる酸化物であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
)皮膜の厚みが最も大きくなる部分の皮膜厚が0.01〜1μmであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
本発明は耐溶接スパッタ付着性に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することを可能としたものであり、産業の発展に貢献するところが極めて大である。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において%は、特に明記しない限り、質量%を意味する。
本発明は、鋼板の片面または両面にAl:0.05〜0.5%、Fe:5〜17%、残部がZnおよび不可避的不純物からなる合金化溶融亜鉛めっき層を有し、このめっき層の表面に溶融鉄との接触角が90度以上、その表面積がめっき層の表面積の1.4〜100倍である皮膜を有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。
本発明において合金化溶融亜鉛めっき層のAl組成を0.05〜0.5%に限定した理由は、0.05%未満では合金化処理時においてZn−Fe合金化が進みすぎ、地鉄界面に脆い合金層が発達しすぎてめっき密着性が劣化するためであり、0.5%を超えるとFe−Al−Zn系バリア層が厚く形成され過ぎ合金化処理時において合金化が進まないため目的とする鉄含有量のめっきが得られないためである。
また、Fe組成を5〜17%に限定した理由は、5%未満だとめっき表面のZn−Fe合金化が十分でなく、プレス成形性が劣位であるためであり、17%を超えるとめっき/鋼板界面に脆い合金層が発達し過ぎてめっき密着性が劣化するためである。望ましくは、8〜13%である。
さらに本発明においては、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の耐スパッタ付着性を向上させることを目的として、めっき層表面に溶融鉄との接触角が90度以上、その表面積がめっき層の表面積の1.4〜100倍である皮膜を形成させる。
本発明者らは、自動車の組み立てを行う際に発生する溶接スパッタが、溶融した鉄であること、及び、この溶接スパッタは、接触時、めっきを溶解させることにより付着することを見出した。このため、めっき表面と溶融鉄との接触角を大きくし、溶接スパッタがめっき表面に接触した際の接触面積を小さくすると、めっきの溶解が著しく減少し、溶接スパッタが付着し難くなると共に、僅かに付着した溶接スパッタも容易に剥離するようになることを見出した。
本発明において、溶融鉄との接触角が90度以上である皮膜を形成させる理由は、溶融鉄との接触角を90度以上とすることで、溶接スパッタがめっき表面に接触した際の接触面積を小さくし、付着するスパッタの数を少なくすることができるようになるためである。
また、この皮膜の表面積をめっき層の表面積の1.4〜100倍とする理由は、表面積が大きいほど見かけの接触角が大きくなり、溶接スパッタがめっき表面に接触した際の接触面積が小さくなる結果、付着するスパッタの数が少なくなるためである。なお、本発明において、上記めっき層の表面積とは、皮膜がめっきと接している面の面積とする。即ち、皮膜の表面積をめっき層の表面積の1.4〜100倍とするとは、皮膜のめっきと接していない部分の表面積がめっきと接している部分の面積の1.4〜100倍であることを示す。
また、接触角に及ぼす表面粗さγの影響は、見かけの接触角をθ´、真の接触角をθとすると下記(1)式で示される。
cosθ´=γcosθ ・・・(1)
即ち、表面粗さを粗くする、言い換えると表面積を大きくするほど、見かけの接触角θ´は大きくなり、より付着するスパッタの数が少なくなる。
皮膜の表面積を平坦部の表面積の1.4倍以上とする理由は、皮膜の表面積がめっき層の表面積の1.4倍未満では、見かけの接触角が真の接触角とほとんど変わらず、付着するスパッタの数を少なくする効果が小さいためである。皮膜の表面積を大きくするほど付着するスパッタの数は減少するが、皮膜の表面積がめっき層の表面積の100倍を超える値にすると、皮膜が加工時に壊れやすくなるため、成形加工後にスポット溶接を行う自動車用材料では、加工時に皮膜が壊れ、その後のスポット溶接時にその性能が十分に発揮できない。
ところで合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、加工時のストレッチャーストレインの発生を抑制する目的で、一般に調質圧延を行う。この調質圧延を行うことによって、めっき層には、圧延ロールによって潰された平坦部と、圧延ロールがあたらなかった凹部ができるが、このうち調質圧延によってできた平坦部は、表面積が小さいため、溶接スパッタ付着時に熱が集中し、めっきの溶解、溶接スパッタの付着が起こり易くなる。
この現象を抑制する目的で、本発明においては、めっき表面の平坦部の面積率を10〜70%とし、この平坦部に、溶融鉄との接触角が90度以上、その表面積が平坦部の表面積の1.4〜100倍である皮膜を形成させることが望ましい。平坦部の面積率を10〜70%とする理由は、10%未満だと耐スパッタ付着性は、面積の大部分を占める凹部の性能で決まるため、平坦部の存在により溶接スパッタの付着が起こり易くなる影響が小さいためであり、70%を超えるほどの調質圧延は、鋼板の材質を劣化させ、成形性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板としての性能を付与できないためである。
本発明において、皮膜の材質は特に規定せず、溶融鉄との接触角が90度以上であればいかなるものでも構わない。その中でも、特に酸化物は、皮膜の作製が容易であり、且つ、融点が高く、高温のスパッタに対し安定した性能を発揮できるものが多く存在するため、皮膜として適している。具体的には、CaO、MgO、ZrO、TiO、TiO、ZnOの1種又は2種以上からなる皮膜が望ましい。
皮膜の形状も特に規定されず、その表面積がめっき層の表面積の1.4倍以上であれば、どのような形状でも構わない。具体的には、粒状、針状、柱状、鱗状、球状、樹枝状、板状、帯状等の立体的な形状であって、めっきと接している面の面積に対し、それ以外の面の面積の合計が1.4倍以上の形状、及び、これらの1種又は2種以上が混在した形状、及び、これらの2種以上を組み合わせた形状等が上げられる。
皮膜がめっきと接している面の面積、及び皮膜の表面積は、幾何学的な形状の場合は、算術的に計算して求めることが可能であり、複雑な形状の場合は、皮膜の断面を観察し、観察された形状を単純な形状に近似して求めることが可能である。複雑な形状を単純な形状に近似して計算した場合、計算された面積は実際の面積より小さくなるため、近似して求めた面積がめっきと接している面の面積の1.4倍以上あれば、実際の形状の表面積もめっきと接している面の面積の1.4倍以上あるため問題ない。
皮膜厚は、厚い方が表面積を大きくする形状の自由度が大きく有利であるが、1μmを超えると厚みの効果の影響は飽和するため、皮膜厚の長径は1μm以下が望ましい。一方、薄い皮膜では、表面積を大きくする形状が困難であるため、表面積を大きくする目的で皮膜厚の長径を0.01μm以上とすることが望ましい。本発明において、皮膜厚の長径とは、皮膜の垂直断面方向から観察し、厚みが最も大きくなる部分の長さである。
本発明の鋼板としては、熱延鋼板、冷延鋼板共に使用でき、鋼種もAlキルド鋼、Ti、Nb等を添加した極低炭素鋼板、およびこれらにP、Si、Mn等の強化元素を添加した高強度鋼等種々のものが適用できる。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、目的に応じて公知の製造方法と同様の方法を使用すれば良い。本発明において、めっき鋼板の製造方法については特に限定するところはなく、通常の無酸化炉方式やオールラジアント方式の溶融めっき法が適用できる。コスト、生産性を考慮して、適宜プロセスを選択すれば良い。
本発明鋼板は、溶融亜鉛めっき浴中あるいは亜鉛めっき中にPb、Sb、Si、Fe、Sn、Mg、Mn、Ni、Cr、Co、Ca、Cu、Li、Ti、Be、Bi、希土類元素の1種または2種以上を含有、あるいは混入してあっても本発明の効果を損なわず、その量によっては耐食性が改善される等好ましい場合もある。合金化溶融亜鉛めっきの付着量については特に制約は設けないが、耐食性の観点から20g/m以上、経済性の観点から150g/m以下で有ることが望ましい。また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の粗度についても特に制約は設けないが、油保持性の観点から、中心線平均粗さRa(JIS B0601規格)が0.5〜1.5μm、PPI(1インチあたりに含まれる1.27μm以上の大きさのピークの数、SAE、J911規格)が150〜300で有ることが望ましい。
また、めっき後の調質圧延も目的に応じて公知の製造方法を使用すれば良い。めっき表面の平坦部の面積率を10〜70%とするためには、調質圧延時の伸長率を制御することで目的とする面積率を得ることが可能となる。
なお、この調質圧延による平坦部の面積は、SEMによる観察で容易に測定可能である。合金化溶融亜鉛めっき層は、合金化反応で生成した微小な結晶で形成されているため、1000倍程度の倍率で、十分結晶の観察が可能である。調質圧延を行うと、このめっき層の厚い部分の結晶が潰され、連続した平坦な層となり、前述のめっき結晶とは明らかに違う形態で観察される。従って、平坦部の面積率は、観察した全面積に占めるこの平坦部の面積の割合を、画像処理等を使用して計算することにより容易に求めることが可能である。
また、目的とする皮膜が作製できれば、皮膜を作製する方法も特に限定されない。均一な皮膜を付与した後、機械的な方法で凹凸をつけ、表面積を大きくする方法を使用しても構わないし、物理的、化学的な反応で皮膜を特定方向に成長させる性質を利用し、表面積を大きくする方法を使用しても構わない。例えば、蒸着とイオンビームによるダイナミックミキシング法を利用した皮膜の析出や、水溶液中での電析反応を利用した皮膜の析出、水溶液中でめっき層を溶解させ、その時のpH上昇を利用した皮膜の析出等が上げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
まず、厚さ0.8mmの冷延鋼板を準備し、ライン内焼鈍方式の連続溶融亜鉛めっき設備を用い、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。めっきに際しては、焼鈍雰囲気は5%水素+95%窒素混合ガスとし、焼鈍温度は800〜840℃、焼鈍時間は90秒とした。
溶融亜鉛浴は浴中Al濃度0.13%のめっき浴を使用し、ガスワイパーで亜鉛の目付量を50g/m2に調整した。合金化の加熱は誘導加熱方式の加熱設備を使用し、480〜550℃で合金化を行った。調質圧延は、伸長率0.5%で行った。
次に、この合金化溶融亜鉛めっき鋼板にダイナミックミキシング法を利用し、表1に示す皮膜を生成させた。ダイナミックミキシング法では、蒸着スピードとイオンビーム出力を各種変化させることにより、皮膜の表面積を変化させた。
めっきと接している面の面積に対する皮膜の表面積の比は、断面観察を行い求めた。まず、断面をSEM、又はTEMで観察し、皮膜の形状を観察した後、表面に凸部として観察される部分に近似する楕円形の長径と短径を求めた。求めた長径と短径から楕円体(楕円を回転して得られる回転体)の表面積と断面積を計算し、その比を皮膜の表面積とめっきと接している面の面積の比とした。ここで、楕円体の表面積は、凸部として観察される部分の表面積のみを使用し、断面積は、凸部として観察される部分の中で、めっきと皮膜の界面に平行であり、面積が最も大きくなる断面の断面積を使用した。断面は任意の場所から10ヶ所観察し、それらの比の平均値を代表値とした。
めっき中のFe%、Al%は、めっきをインヒビター入りの塩酸で溶解し、ICPにより測定して求めた。
めっき表面の平坦部の面積率は、めっき表面をSEMで撮影し、画像処理装置により、調質圧延で平坦となった部分の面積率を測定して求めた。SEMは任意の場所から500×400μmの範囲を5ヶ所撮影し、その面積率の平均値を代表値とした。
酸化物と溶鉄の真の接触角は、表面を鏡面研磨した市販の酸化物に、溶融した純鉄を滴下し、その接触角を測定して求めた。接触角は,CCDカメラで滴下した純鉄を真横から高倍率で撮影し,得られた画像から読み取った。実験を行った酸化物の真の接触角は、CaO:105度、MgO:96度、ZrO2:105度、TiO:98度、TiO2:103度、ZnO:94度、MnO:82度、FeO:79度であった。
耐溶接スパッタ付着性は、上記サンプルに溶射を使用して鉄粉を付着させ評価した.評価は、1600〜2000℃に加熱した直径100μmの溶鉄を初速3m/sで溶射し、鉄粉を付着させた後、ウエスで軽く拭き取り、残存した鉄粉の密度を測定した。
残存した鉄粉の密度は以下の分類で評価し、耐溶接スパッタ付着性は×を不合格とした。
◎:鉄粉の密度が0.56個/cm2以下のもの
○:鉄粉の密度が0.56個/cm2を超え、1.67個/cm2以下のもの
△:鉄粉の密度が1.67個/cm2を超え、3個/cm2以下のもの
×:鉄粉の密度が3個/cm2を超えるもの
また、サンプルに付着した鉄粉の接触角は、溶射により付着した鉄粉を真横から高倍率で撮影し、その画像から読み取った。
結果を表1−1及び1−2に示す。番号1、8、15、22、29、36は、めっきと接している面の面積に対する皮膜の表面積の比が本発明外のため、耐スパッタ付着性が不合格となった。番号43〜56は、皮膜の接触角が本発明外のため、耐スパッタ付着性が不合格となった。また、皮膜を生成させていない番号57は、皮膜が無いために付着した鉄粉の接触角が大きくなり、耐スパッタ付着性が不合格となった。
これら以外の本発明品は、耐スパッタ付着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板であった。
Figure 0005359501
Figure 0005359501
(実施例2)
まず、厚さ0.8mmの冷延鋼板を準備し、ライン内焼鈍方式の連続溶融亜鉛めっき設備を用い、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。めっきに際しては、焼鈍雰囲気は5%水素+95%窒素混合ガスとし、焼鈍温度は800℃、焼鈍時間は90秒とした。
溶融亜鉛浴は浴中Al濃度0.13%のめっき浴を使用し、ガスワイパーで亜鉛の目付量を50g/mに調整した。合金化の加熱は誘導加熱方式の加熱設備を使用し、500℃で合金化を行った。調質圧延は、ラボ圧延機を使用し、伸長率を変化させて行った。
次に、この合金化溶融亜鉛めっき鋼板にダイナミックミキシング法を利用し、表2に示す皮膜を生成させた。ダイナミックミキシング法では、蒸着スピードとイオンビーム出力を各種変化させることにより、皮膜の表面積を変化させた。
めっきと接している面の面積に対する皮膜の表面積の比は、断面観察を行い求めた。まず、断面をSEM、又はTEMで観察し、皮膜の形状を観察した後、表面に凸部として観察される部分に近似する楕円形の長径と短径を求めた。求めた長径と短径から楕円体(楕円を回転して得られる回転体)の表面積と断面積を計算し、その比を皮膜の表面積とめっきと接している面の面積の比とした。ここで、楕円体の表面積は、凸部として観察される部分の表面積のみを使用し、断面積は、凸部として観察される部分の中で、めっきと皮膜の界面に平行であり、面積が最も大きくなる断面の断面積を使用した。断面は任意の場所から10ヶ所観察し、それらの比の平均値を代表値とした。
皮膜の形状は、表面からSEMで観察し、求めた。
めっき中のFe%、Al%は、めっきをインヒビター入りの塩酸で溶解し、ICPにより測定して求めた。
引張強さ、耐力、伸びは、めっき鋼板からJIS5号試験片を切り出し、常温での引張試験を行うことにより求めた。成形性は、YP/TS>0.6を不合格とした。
めっき表面の平坦部の面積率は、めっき表面をSEMで撮影し、画像処理装置により、調質圧延で平坦となった部分の面積率を測定して求めた。SEMは任意の場所から500×400μmの範囲を5ヶ所撮影し、その面積率の平均値を代表値とした。
酸化物と溶鉄の真の接触角は、表面を鏡面研磨した市販の酸化物に、溶融した純鉄を滴下し、その接触角を測定して求めた。接触角は、CCDカメラで滴下した純鉄を真横から高倍率で撮影し、得られた画像から読み取った。
実験を行った酸化物の真の接触角は、CaO:105度、MgO:96度、ZrO:105度、TiO:98度、TiO:103度、ZnO:94度、MnO:82度、FeO:79度であった。
耐溶接スパッタ付着性は、上記サンプルに溶射を使用して鉄粉を付着させ評価した。評価は、1600〜2000℃に加熱した直径100μmの溶鉄を初速3m/sで溶射し、鉄粉を付着させた後、ウエスで軽く拭き取り、残存した鉄粉の密度を測定した。
残存した鉄粉の密度は以下の分類で評価し、耐溶接スパッタ付着性は×を不合格とした。
◎:鉄粉の密度が0.56個/cm以下のもの
○:鉄粉の密度が0.56個/cmを超え、1.67個/cm以下のもの
△:鉄粉の密度が1.67個/cmを超え、3個/cm以下のもの
×:鉄粉の密度が3個/cmを超えるもの
また、サンプルに付着した鉄粉の接触角は、溶射により付着した鉄粉をCCDカメラで真横から高倍率で撮影し、その画像から読み取った。
結果を表2に示す。皮膜の無い番号1〜5においては、スキンパスを行わない番号1で若干、耐スパッタ付着性が良くなる傾向が見られたが、スキンパスを行いめっきに平坦部ができた番号2〜5は、耐スパッタ付着性が不合格となった。番号9、13、17、21、25、29は、めっき表面の平坦部の面積率が本発明外のため、成形性が劣っていた。
これら以外の本発明品は、耐スパッタ付着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板であった。
Figure 0005359501
(実施例3)
まず、厚さ0.8mmの冷延鋼板を準備し、ライン内焼鈍方式の連続溶融亜鉛めっき設備を用い、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。めっきに際しては、焼鈍雰囲気は5%水素+95%窒素混合ガスとし、焼鈍温度は800〜840℃、焼鈍時間は90秒とした。
溶融亜鉛浴は浴中Al濃度0.13%のめっき浴を使用し、ガスワイパーで亜鉛の目付量を50g/mに調整した。合金化の加熱は誘導加熱方式の加熱設備を使用し、480〜550℃で合金化を行った。調質圧延は、伸長率0.5%で行った。
次に、この合金化溶融亜鉛めっき鋼板に電子ビーム物理蒸着法(EB−PVD)を利用し、表3に示す皮膜を生成させた。EB−PVD法では、電子ビームを照射するセラミックインゴットを変えることにより、表3の皮膜を生成させた。また、電子ビーム出力を各種変化させることにより、皮膜の表面積を変化させた。
めっきと接している面の面積に対する皮膜の表面積の比は、断面観察を行い求めた。まず、断面をSEMで観察し、皮膜の形状を観察した後、表面に凸部として観察される部分に近似する楕円形の長径と短径を求めた。求めた長径と短径から楕円体(楕円を回転して得られる回転体)の表面積と断面積を計算し、その比を皮膜の表面積とめっきと接している面の面積の比とした。ここで、楕円体の表面積は、凸部として観察される部分の表面積のみを使用し、断面積は、凸部として観察される部分の中で、めっきと皮膜の界面に平行であり、面積が最も大きくなる断面の断面積を使用した。断面は任意の場所から10ヶ所観察し、それらの比の平均値を代表値とした。
皮膜の形状は、表面からSEMで観察し、求めた。
めっき中のFe%、Al%は、めっきをインヒビター入りの塩酸で溶解し、ICPにより測定して求めた。
めっき表面の平坦部の面積率は、めっき表面をSEMで撮影し、画像処理装置により、調質圧延で平坦となった部分の面積率を測定して求めた。SEMは任意の場所から500×400μmの範囲を5ヶ所撮影し、その面積率の平均値を代表値とした。
酸化物と溶鉄の真の接触角は、表面を鏡面研磨した市販の酸化物に、溶融した純鉄を滴下し、その接触角を測定して求めた。接触角は、CCDカメラで滴下した純鉄を真横から高倍率で撮影し、得られた画像から読み取った。
実験を行った酸化物の真の接触角は、CaO:105度、MgO:96度、ZrO:105度、TiO:98度、TiO:103度、ZnO:94度、MnO:82度、FeO:79度であった。
耐溶接スパッタ付着性は、上記サンプルに溶射を使用して鉄粉を付着させ評価した。評価は、1600〜2000℃に加熱した直径100μmの溶鉄を初速3m/sで溶射し、鉄粉を付着させた後、ウエスで軽く拭き取り、残存した鉄粉の密度を測定した。
残存した鉄粉の密度は以下の分類で評価し、耐溶接スパッタ付着性は×を不合格とした。
◎:鉄粉の密度が0.56個/cm以下のもの
○:鉄粉の密度が0.56個/cmを超え、1.67個/cm以下のもの
△:鉄粉の密度が1.67個/cmを超え、3個/cm以下のもの
×:鉄粉の密度が3個/cmを超えるもの
また、サンプルに付着した鉄粉の接触角は、溶射により付着した鉄粉をCCDカメラで真横から高倍率で撮影し、その画像から読み取った。
結果を表3に示す。本発明品は、いずれも耐スパッタ付着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板であった。
Figure 0005359501

Claims (3)

  1. 鋼板の片面または両面にAl:0.05〜0.5質量%、Fe:5〜17質量%、残部がZnおよび不可避的不純物からなる合金化溶融亜鉛めっき層を有し、このめっき層の表面に溶融鉄との接触角が90度以上、その表面積がめっき層の表面積の1.4〜100倍である皮膜を有し、該皮膜がCaO、MgO、ZrO 、TiO 、TiO、ZnOの1種又は2種以上からなる酸化物であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 鋼板の片面または両面にAl:0.05〜0.5質量%、Fe:5〜17質量%、残部がZnおよび不可避的不純物からなり、めっき表面の平坦部の面積率が10〜70%である合金化溶融亜鉛めっき層を有し、この平坦部に溶融鉄との接触角が90度以上、その表面積が平坦部の表面積の1.4〜100倍である皮膜を有し、該皮膜がCaO、MgO、ZrO 、TiO 、TiO、ZnOの1種又は2種以上からなる酸化物であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 皮膜の厚みが最も大きくなる部分の皮膜厚が0.01〜1μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
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