以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
「第1実施形態」
図1は第1実施形態のカップホルダーの全体斜視図、図2は図1のA−A線断面図、図3は第1実施形態のカップホルダーのロック手段の分解斜視図である。
第1実施形態のカップホルダー1は、例えば図1に示すように、自動車のコンソールボックス等の部位に取り付けられるホルダー本体2と、このホルダー本体2に保持された容器の該ホルダー本体2に対するがたつきを防止するロック手段3と、を備えている。この実施形態では、カップホルダー1を自動車用のカップホルダーとして例示するが、本発明は自動車用に限定されるものではない。
ホルダー本体2は、例えば略長方形状の天板4と、その天板4の外周に設けられた側板5と、により下方を開口させた箱形状として形成されている。このホルダー本体2には、容器を収納させる凹部として形成される有底筒状部6がその中央に設けられている。有底筒状部6は、容器を出し入れするためのホルダー孔7を天板4の略中心に位置させるようにして当該天板4の背面側に設けられている。
有底筒状部6は、図2に示すように、容器を載せる底板6aと、容器の周囲を取り囲む周壁6bと、上部を開口させたホルダー孔7と、を有した円筒体として形成されている。この有底筒状部6の周壁6bの一部には、後述するロック手段3を構成する保持爪の第1保持爪及び第2保持爪を出没自在とするための開口部8が形成されている。
ロック手段3は、図3に示すように、容器の側部に係止する保持爪9と、この保持爪9を内部に収容する保持爪収容部10と、保持爪9を前記開口部8から有底筒状部6内へ突出するように常時付勢する付勢手段であるバネ11と、保持爪9を保持爪収容部10内で回動可能に支持する第1回転軸12及び第2回転軸13と、これら第1回転軸12と第2回転軸13に取り付けられたリンク部材14と、保持爪9の位置を通常状態の定常位置に位置決め固定させる第1ストッパー15及び第2ストッパー16と、を備えている。
保持爪9は、図2の矢印Xで示す容器の挿入取出し方向を長手方向とし、その長手方向下側に設けられた第1保持爪17と、上側に設けられた第2保持爪18とを有し、これら爪を一体的に形成している。第1保持爪17は、先端を尖らせた三角形状をなす突起として形成されている。第2保持爪18は、保持爪9の矩形状をなす上端縁とされている。
保持爪収容部10は、有底筒状部6に形成された開口部8と対応する位置であって、該有底筒状部6の周壁6bの外側に取り付けられている。かかる保持爪収容部10は、前記開口部8と連通する開口19を形成した底部20を備えた四角形状をなす箱体として形成されている。この保持爪収容部10の開口周縁部には、有底筒状部6の周壁6bに固定されるフランジ部21が形成されている。かかる保持爪収容部10は、保持爪9と、後述するバネ11とリンク部材14とを収容するに足る内部空間を有している。
バネ11は、一端部11aを保持爪収容部10の底部20における内側底面20aに固定し、他端部11bを保持爪9の背面9aに当接させるように固定することで、前記保持爪9を常時有底筒状部6内へ突出させる方向へ付勢している。この実施形態では、付勢手段としてバネ11を使用したが、ウレタンなどの弾性部材を使用してもよい。
第1回転軸12は、保持爪9の両側面9bに設けられている。そして、この第1回転軸12は、容器の挿入取出し方向となる前記保持爪9の長手方向(高さ方向)の略中央位置に突設されている。別の見方をすると、第1回転軸12は、第1保持爪17と第2保持爪18との間に対応する第1位置に設けられている。一方、第2回転軸13は、保持爪収容部10の両側壁22の内側壁面22aに内方に向けて突出するように設けられている。この第2回転軸13が設けられる位置は、保持爪収容部10の下側壁23の内側壁面23a近傍とされている。別の見方をすると、第2回転軸13は、第1保持爪17を挟んで、第1位置と反対側となる位置に対応した第2位置に設けられている。第1回転軸12は、主に容器挿入時の保持爪9の回転に寄与し、第2回転軸13は、主に容器の取り出し時の保持爪9の回転に寄与する。これら第1回転軸12と第2回転軸13の機能については、後述する動作説明で詳述するものとする。
リンク部材14は、両端を円弧形状とした平面視長方形状をなし、その両端近傍に軸係合孔24をそれぞれ形成している。一方の軸係合孔24には、保持爪9の第1位置に設けた第1回転軸12が係合する。他方の軸係合孔24には、保持爪収容部10の第2位置に設けた第2回転軸13が係合する。このようにしてリンク部材14が取り付けられることで、前記保持爪9は、保持爪収容部10内において回動可能に収容保持されることになる。
第1ストッパー15は、保持爪収容部10の開口19近傍における内側壁面22aに設けられている。本実施形態では、第1ストッパー15を、矩形状をなす突起として保持爪収容部10の内方へ突出させている。この第1ストッパー15の位置は、第1回転軸12の近傍部としている。かかる第1ストッパー15は、バネ11で付勢される保持爪9の定常位置(初期状態位置)を規制するためのストッパーであり、前記リンク部材14の第1回転軸12近傍部位と接触する。第1ストッパー15が無いと、保持爪9は、バネ11に押されて第2回転軸13を中心としてリンク部材14と共に回動し、保持爪9全体が有底筒状部6内へ飛び出してしまう。
第2ストッパー16は、保持爪9の両側面9bに設けられている。この第2ストッパー16は、バネ11の他端11bが取り付けられる位置と対応する高さ位置に前記側面9bから突設されている。また、第2ストッパー16は、図2に示す如くリンク部材14を挟んで第1ストッパー17と反対側の位置に設けられている。かかる第2ストッパー16は、バネ11で付勢される保持爪9の定常位置を規制するためのストッパーであり、前記リンク部材14の高さ方向中央より少し上の部位と接触する。第2ストッパー16が無いと、保持爪9は、第1回転軸12を中心として回転してしまう。
以上のように構成されたカップホルダー1のロック手段の定常状態(初期状態)は、図2で示すように、第1ストッパー15と第2ストッパー16がリンク部材14を両側から挟み込むように当接して前記保持爪9の回動をロックした状態とし、また、保持爪9に形成した第1保持爪17の先端を有底筒状部6の開口部8からその内方へ突出させた状態としている。このロック手段の初期状態では、有底筒状部6の内部には前記保持爪9のうち第1保持爪17のみが突出していることになる。
次に、カップホルダー1に容器を挿入したときのロック手段の動作について説明する。
図4は第1実施形態のカップホルダーに収容保持される各種容器を示す正面図、図5〜図9は第1実施形態のカップホルダーに容器を挿入保持させる一連の工程を示す断面図である。
カップホルダー1に収容する容器25は、図4に示すように、直径が大きいものから小さいものまで多種多様で、また、胴体部にくびれのあるものもある。さらに、容器25は、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材からなるボルトやアルミ或いはスチールなどの金属材料からなる缶など複数種類ある。これらの形状及び材料違いの複数ある容器25を、本実施形態のカップホルダー1で保持する。
この実施形態では、図5に示すように、底部側の直径R1が小さい側部小径部25aとその直径よりも大きい直径R2とされた側部大径部25bとを有し、さらにそれらの間に窪み25cを有した容器25をカップホルダー1に挿入するものとする。容器25をカップホルダー1のホルダー孔7に挿入すると、最初に、容器25の底部25dが、有底筒状部6の開口部8からその内部へ突出する第1保持爪17に接触する。
この状態から容器25をさらに奥へと挿入すると、図6に示すように、側部小径部25aが第1保持爪17に接する。この時、側部小径部25aが第1保持爪17に接した際に発生する力F1(前記保持爪9が受ける力F1)によって、第1位置に設けられた第1回転軸12を回転中心として保持爪9が同図中矢印で示すように反時計回り方向に回転する。このとき、保持爪9は、第1ストッパー15にリンク部材14が接触した状態にあるから第1回転軸12を回転中心として回転することになるが、第2位置に設けられた第2回転軸13を回転中心としては回転はしない。
このように、保持爪9が第1回転軸12を中心として回転することで、第2保持爪18は、側部小径部25aに接触する。図6の状態では、第1保持爪17が容器25と接触する接触位置H1は図5の保持爪初期状態での接触位置H2よりも低い位置となるが、第2保持爪18が容器25と接触する接触位置H3は保持爪初期状態の接触位置H2よりも高い位置となる。このため、側部小径部25aのみを有する容器25をカップホルダー1に挿入する場合でも、容器25の比較的高い位置で当該容器25を保持爪9でロックすることができるようになり、カップホルダー1内で容器25が大きく傾くことを防止できる。
そして、この状態からさらに容器25をその奥へと挿入すると、側部小径部25aから受ける力F1の作用が無くなり、保持爪9は、バネ11に付勢されて第1回転軸12を中心として元の状態に戻る。そして、図7に示すように、保持爪9は定常位置(初期状態)に戻り、第1保持爪17が容器25の窪み25cに入り込む。容器25をこの状態からさらに奥へと挿入すると、図8に示すように、第1保持爪17が窪み25cに沿って摺接する。
図8の状態から容器25をさらに奥へと挿入すると、保持爪9は、側部大径部25bが第1保持爪17に接した際に発生する力F1(前記保持爪9が受ける力F1)によって、第1回転軸12を回転中心として保持爪9が同図中矢印で示すように反時計回り方向に回転する。また、保持爪9は、この保持爪9の回転により第2保持爪18が側部大径部25bに接触する。これにより、保持爪9は、側部大径部25bから第1保持爪17と第2保持爪18の両方に対して容器25の挿入取出し方向Xと直交する方向(バネ11が取り付けられる水平方向と同一方向)に力F2を受けることになる。そのため、保持爪9は、第2回転軸13を回転中心としてリンク部材14が同図中矢印で示すように時計回り方向に回転し、そのリンク部材14と共に保持爪収容部10の底部20へと押し込まれる。
前記保持爪9が底部20へと押し込まれることで、バネ11は圧縮され、そのバネ11の反力を受けて保持爪9が容器25を有底筒状部6の内部でがたつくことなくロックする。この時、図9の状態では、図6と同様に第1保持爪17が容器25と接触する接触位置H1は保持爪初期状態での接触位置H2よりも低い位置となるが、第2保持爪18が容器25と接触する接触位置H3は保持爪初期状態の接触位置H2よりも高い位置となる。このため、側部大径部25bのみを有する容器25をカップホルダー1に挿入する場合でも、容器25の比較的高い位置で当該容器25を保持爪9でロックすることができるようになり、カップホルダー1内で容器25が大きく傾くことを防止できる。
次に、カップホルダー1から容器25を取り出すときのロック手段の動作について説明する。
図10〜図14は第1実施形態のカップホルダーから容器を取り出す一連の工程を示す断面図である。
図10の容器ロック状態から容器25をカップホルダー1より取り出すには、ホルダー孔7より外方に突出している部位をつかんで容器25を持ち上げる。保持爪9に形成された第1保持爪17が窪み25cに入り込むと、図11に示すように、バネ11は圧縮状態から復帰し、リンク部材14及び保持爪9を定常状態(初期状態)に戻す。図11の状態から容器25をさらに持ち上げると、図12に示すように、第1保持爪17が窪み25cから抜け出始める。
そして、容器25をさらに持ち上げると、図13に示すように、容器25の側部小径部25aが第1保持爪17に接触する。このとき、第1保持爪17は、側部小径部25aから同図中矢印で示すように力F3を受ける。この力F3を第1保持爪17が受けることで、保持爪9は、第2ストッパー16にリンク部材14を当接させた状態を維持しながら第2回転軸13を回転中心としてリンク部材14と共に回転する。このとき、第1保持爪17は、側部小径部25aの外周面に沿って移動する。
この図13の状態からさらに容器25を持ち上げると、図14に示すように、第1保持爪17が側部小径部25aから外れて保持爪9よるロック状態が開放される。これで、容器25は、カップホルダー1から取り出せる。容器25が取り出された後は、保持爪9は、元の定常状態に戻る。
以上のように構成されたカップホルダー1によれば、保持爪9の長手方向(高さ方向)に少なくとも2箇所以上の回転軸12、13で保持爪収容部10内に保持爪9を回動可能に支持したので、1つの回転軸で保持爪9の回動を保持する場合に比べて前記保持爪9の回転安定性が向上し、大きさが異なりくびれのある容器25でも安定して引っ掛かりなく容器25を取り出すことができる。
また、本実施形態のカップホルダー1によれば、容器25の挿入取出し方向となる保持爪9の長手方向の略中央位置に第1回転軸12を設けたので、中央位置から外れた端に回転軸を設けた場合に比べて前記保持爪9を安定して保持することができる。
また、本実施形態のカップホルダー1によれば、第1保持爪17及び第2保持爪18とは反対側の保持爪9の背面9aに当接するようにバネ11を設けたので、前記保持爪9を容易に回転軸を中心として回転させることができ、安定した保持力と抵抗の少ない容器25の取り出し性を両立することができる。
また、本実施形態のカップホルダー1によれば、保持爪9に設けた第1回転軸12と保持爪収容部10に設けた第2回転軸13をつなぐようにリンク部材14を取り付けたので、このリンク部材14によって保持爪9の位置が規制され、該保持爪9を安定して回動させることができる。
また、本実施形態のカップホルダー1によれば、第1保持爪17と第2保持爪18の2つの爪で容器25を係止するので、容器25をホルダー本体2に対してがたつきなく保持させることができる。
「第2実施形態」
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成部分のみを説明するものとし、共通部分に関しては同一の符号を付してその説明は省略するものとする。図15は第2実施形態のカップホルダーの断面図、図16は第2実施形態のカップホルダーのロック手段の分解斜視図である。
第2実施形態の保持爪9には、第2保持爪18と対応する部位に背面9aから外方へ突出する延在部26が設けられている。この延在部26の両側面9bには、第2回転軸13が突設されている。また、保持爪9には、第1実施形態と同様、容器25の挿入取出し方向Xとなる該保持爪9の長手方向(高さ方向)の略中央位置に第1回転軸12が突設されている。また、保持爪9には、該保持爪9の高さ方向の下端位置に第2ストッパー16が突設されている。第2ストッパー16は、第1回転軸12及び第2回転軸13と同様、高さの低い円柱体として形成されている。第1ストッパー15は、保持爪収容部10の開口19下端両側部に設けられ、該開口19の幅を狭めるようにして開口高さ略中央位置まで形成されている。
保持爪収容部10には、保持爪9を回動可能に支持するための第1カム溝27及び第2カム溝28が形成されている。第1カム溝27は、容器25の挿入取出し方向Xと直交する方向に長孔として前記保持爪収容部10の両側壁22に形成されている。この第1カム溝27には、前記第1回転軸12が挿入係合する。第2カム溝28は、容器25の挿入取出し方向Xと直交する上端水平面28a及び下端水平面28bと、開口19から底部20に向かって下方へ傾斜する傾斜面28cと、垂直面28dとを有している。保持爪収容部10の開口19から底部20に向かって入口側に傾斜面28cが形成され、その傾斜面28cの後方に下端水平面28bが形成されている。この第2カム溝28には、前記第2回転軸13が挿入係合する。
以上のように構成されたカップホルダー1のロック手段の定常状態(初期状態)は、図15で示すように、第1ストッパー15に第2ストッパー16が当接して前記バネ11の付勢力により保持爪9が回転不可能な状態にある。また、この定常状態では、第1保持爪17のみが有底筒状部6の内部に突出した状態にある。また、この初期状態では、第1回転軸12が第1カム溝27の開口19側の端部27aに接触した位置にあり、第2回転軸13が第2カム溝28の傾斜面28cの途中部位に接した位置にある。
次に、カップホルダー1に容器25を挿入したときのロック手段の動作について説明する。
図17〜図21は第2実施形態のカップホルダーに容器を挿入保持させる一連の工程を示す断面図である。
容器25をカップホルダー1のホルダー孔7に挿入すると、図17に示すように、容器25の底部25dが、有底筒状部6の開口部8からその内部へ突出する第1保持爪17に接触する。この状態から容器25をさらに奥へと挿入すると、図18に示すように、側部小径部25aが第1保持爪17に接する。この時、側部小径部25aが第1保持爪17に接した際に発生する力F1(前記保持爪9が受ける力F1)によって、第1回転軸12を回転中心として保持爪9が同図中矢印で示すように反時計回り方向に回転する。この保持爪9の回転によって、第1ストッパー15から第2ストッパー16が離れると共に第2回転軸13が傾斜面28cを上って開口19側の端部28eに接触する。
このように、保持爪9が第1回転軸12を中心として回転することで、第2保持爪18は、側部小径部25aに接触する。図18の状態では、第1保持爪17が容器25と接触する接触位置H1は図17の保持爪初期状態での接触位置H2よりも低い位置となるが、第2保持爪18が容器25と接触する接触位置H3は保持爪初期状態の接触位置H2よりも高い位置となる。このため、側部小径部25aのみを有する容器25をカップホルダー1に挿入する場合でも、容器25の比較的高い位置で当該容器25を保持爪9でロックすることができるようになり、カップホルダー1内で容器25が大きく傾くことを防止できる。
そして、この状態からさらに容器25をその奥へと挿入すると、側部小径部25aから受ける力F1の作用が無くなり、保持爪9は、バネ11に付勢されて第1回転軸12を中心として元の状態に戻る。そして、図19に示すように、保持爪9は定常状態に戻り、第1保持爪17が容器25の窪み25cに入り込む。容器25をこの状態からさらに奥へと挿入すると、図20に示すように、第1保持爪17が窪み25cに沿って摺接する。
図20の状態から容器25をさらに奥へと挿入すると、保持爪9は、側部大径部25bが第1保持爪17に接した際に発生する力F1(前記保持爪9が受ける力F1)によって、図21に示すように第1回転軸12を回転中心として保持爪9が同図中矢印で示すように反時計回り方向に回転する。また、保持爪9は、この保持爪9の回転により第2保持爪18が側部大径部25bに接触する。これにより、保持爪9は、側部大径部25bから第1保持爪17と第2保持爪18の両方に対して容器25の挿入取出し方向Xと直交する方向(バネ11が取り付けられる水平方向と同一方向)に力F2を受けることになる。そのため、保持爪9は、第1回転軸12をガイドとして第1カム溝27に沿って保持爪収容部10の底部20へと水平移動される。
前記保持爪9が底部20へと押し込まれることで、バネ11は圧縮され、そのバネ11の反力を受けて保持爪9が容器25を有底筒状部6の内部でがたつくことなくロックする。この時、図21の状態では、図18と同様に第1保持爪17が容器25と接触する接触位置H1は保持爪初期状態での接触位置H2よりも低い位置となるが、第2保持爪18が容器25と接触する接触位置H3は保持爪初期状態の接触位置H2よりも高い位置となる。このため、側部大径部25bのみを有する容器25をカップホルダー1に挿入する場合でも、容器25の比較的高い位置で当該容器25を保持爪9でロックすることができるようになり、カップホルダー1内で容器25が大きく傾くことを防止できる。
次に、カップホルダー1から容器25を取り出すときのロック手段の動作について説明する。
図22〜図26は第2実施形態のカップホルダーから容器を取り出す一連の工程を示す断面図である。
図22の容器ロック状態から容器25をカップホルダー1より取り出すには、ホルダー孔7より外方に突出している部位をつかんで容器25を持ち上げる。保持爪9に形成された第1保持爪17が窪み25cに入り込むと、図23に示すように、バネ11は圧縮状態から復帰し、保持爪9を定常状態に戻す。図23の状態から容器25をさらに持ち上げると、図24に示すように、第1保持爪17が窪み25cから抜け出始める。
そして、容器25をさらに持ち上げると、図25に示すように、容器25の側部小径部25aが第1保持爪17に接触する。このとき、第1保持爪17は、側部小径部25aから同図中矢印で示すように力F3を受ける。この力F3を第1保持爪17が受けることで、保持爪9は、第2ストッパー16を第1ストッパー15に当接させた状態で第1回転軸12が第1カム溝27に案内されると共に第2回転軸13が第2カム溝28に案内されて回転する。具体的には、第1回転軸12は、第1カム溝27の奥側の端部27bまで移動し、第2回転軸13は、傾斜面28cを下って下端水平面28bの奥側の端部まで移動する。また、第2ストッパー16は、第1ストッパー15に対して接触状態を保持しながらこの第1ストッパー15の壁を上へと登る。
この図25の状態からさらに容器25を持ち上げると、図26に示すように、第1保持爪17が側部小径部25aから外れて保持爪9よるロック状態が開放される。これで、容器25は、カップホルダー1から取り出せる。容器25が取り出された後は、保持爪9は、元の定常状態に戻る。
以上のように構成された第2実施形態のカップホルダー1によれば、第1実施形態と同様、保持爪9の長手方向(高さ方向)に少なくとも2箇所以上の回転軸12、13で保持爪収容部10内に保持爪9を回動可能に支持したので、前記保持爪9の回転安定性が向上し、大きさが異なりくびれのある容器25でも安定して引っ掛かりなく容器25を取り出すことができる。また、第2実施形態のカップホルダー1では、この他、第1実施形態のカップホルダー1と同様の作用効果を得ることができる。
特に、第2実施形態のカップホルダー1では、第1実施形態で使用したリンク部材14が不要であるため、ロック手段を構成する部品を減らせると共に組立工数を低減することができる。
「第3実施形態」
第3実施形態では、第2実施形態と異なる構成部分のみを説明するものとし、共通部分に関しては同一の符号を付してその説明は省略するものとする。図27は第3実施形態のカップホルダーの断面図、図28は第3実施形態のカップホルダーのロック手段の分解斜視図である。
第3実施形態の保持爪9には、第2実施形態と同様、容器25の挿入取出し方向Xとなる該保持爪9の長手方向(高さ方向)の略中央位置に第1回転軸12が突設され、さらにその下端位置に第2回転軸13が突設されている。第1回転軸12と第2回転軸13は、保持爪9の長手方向において同一線上に設けられている。第3実施形態の保持爪9には、第2実施形態で形成した延在部26、第1ストッパー15及び第2ストッパー16が形成されていない。
保持爪収容部10には、保持爪9を回動可能に支持するための第1カム溝27及び第2カム溝28が形成されている。第1カム溝27は、第2実施形態と同様、容器25の挿入取出し方向Xと直交する方向に長孔として前記保持爪収容部10の両側壁22に形成されている。この第1カム溝27には、前記第1回転軸12が挿入係合する。第2カム溝28は、容器25の挿入取出し方向Xと直交する上端水平面28a及び下端水平面28bと、円弧面28cと、垂直面28dとを有している。保持爪収容部10の開口19付近に円弧面28cが形成され、その後方に垂直面28dが形成されている。この第2カム溝28には、前記第2回転軸13が挿入係合する。
第3実施形態のカップホルダー1では、第2実施形態の第1ストッパー15及び第2ストッパー16はなく、前記第1回転軸12及び第2回転軸13がそれぞれの第1カム溝27、第2カム溝28の端部に接触することでストッパー代わりとなっている。
以上のように構成されたカップホルダー1のロック手段の定常状態は、図27で示すように、第1回転軸12が第1カム溝27の開口19側の端部27aに当接すると共に第2回転軸13が第2カム溝28の開口19側の円弧面28cに当接して前記バネ11の付勢力により保持爪9が回転不可能な状態にある。また、この初期状態では、第1保持爪17のみが有底筒状部6の内部に突出した状態にある。
次に、カップホルダー1に容器25を挿入したときのロック手段の動作について説明する。
図29〜図33は第3実施形態のカップホルダーに容器を挿入保持させる一連の工程を示す断面図である。
容器25をカップホルダー1のホルダー孔7に挿入すると、図29に示すように、容器25の底部25dが、有底筒状部6の開口部8からその内部へ突出する第1保持爪17に接触する。この状態から容器25をさらに奥へと挿入すると、図30に示すように、側部小径部25aが第1保持爪17に接する。この時、側部小径部25aが第1保持爪17に接した際に発生する力F1(前記保持爪9が受ける力F1)によって、第1回転軸12を回転中心として保持爪9が同図中矢印で示すように反時計回り方向に回転する。この保持爪9の回転によって、第2回転軸13が第2カム溝28の中央寄りの位置へ移動する。
このように、保持爪9が第1回転軸12を中心として回転することで、第2保持爪18は、側部小径部25aに接触する。図30の状態では、第1保持爪17が容器25と接触する接触位置H1は図29の保持爪初期状態での接触位置H2よりも低い位置となるが、第2保持爪18が容器25と接触する接触位置H3は保持爪初期状態の接触位置H2よりも高い位置となる。このため、側部小径部25aのみを有する容器25をカップホルダー1に挿入する場合でも、容器25の比較的高い位置で当該容器25を保持爪9でロックすることができるようになり、カップホルダー1内で容器25が大きく傾くことを防止できる。
そして、この状態からさらに容器25をその奥へと挿入すると、側部小径部25aから受ける力F1の作用が無くなり、保持爪9は、バネ11に付勢されて第1回転軸12を中心として元の状態に戻る。そして、図31に示すように、保持爪9は定常状態に戻り、第1保持爪17が容器25の窪み25cに入り込む。容器25をこの状態からさらに奥へと挿入すると、図32に示すように、第1保持爪17が窪み25cに沿って摺接する。
図32の状態から容器25をさらに奥へと挿入すると、保持爪9は、側部大径部25bが第1保持爪17に接した際に発生する力F1(前記保持爪9が受ける力F1)によって、図33に示すように第1回転軸12を回転中心として保持爪9が同図中矢印で示すように反時計回り方向に回転する。また、保持爪9は、この保持爪9の回転により第2保持爪18が側部大径部25bに接触する。これにより、保持爪9は、側部大径部25bから第1保持爪17と第2保持爪18の両方に対して容器挿入方向と直交する方向(バネ11が取り付けられる水平方向と同一方向)に力F2を受けることになる。そのため、保持爪9は、第1回転軸12が第1カム溝27に沿うと共に第2回転軸13が第2カム溝28に沿って前記保持爪収容部10の底部20へと水平移動される。
前記保持爪9が底部20へと押し込まれることで、バネ11は圧縮され、そのバネ11の反力を受けて保持爪9が容器25を有底筒状部6の内部でがたつくことなくロックする。この時、図33の状態では、図30と同様に第1保持爪17が容器25と接触する接触位置H1は保持爪初期状態での接触位置H2よりも低い位置となるが、第2保持爪18が容器25と接触する接触位置H3は保持爪初期状態の接触位置H2よりも高い位置となる。このため、側部大径部25bのみを有する容器25をカップホルダー1に挿入する場合でも、容器25の比較的高い位置で当該容器25を保持爪9でロックすることができるようになり、カップホルダー1内で容器25が大きく傾くことを防止できる。
次に、カップホルダー1から容器25を取り出すときのロック手段の動作について説明する。
図34〜図38は第3実施形態のカップホルダーから容器を取り出す一連の工程を示す断面図である。
図34の容器ロック状態から容器25をカップホルダー1より取り出すには、ホルダー孔7より外方に突出している部位をつかんで容器25を持ち上げる。保持爪9に形成された第1保持爪17が窪み25cに入り込むと、図35に示すように、バネ11は圧縮状態から復帰し、保持爪9を定常状態に戻す。図35の状態から容器25をさらに持ち上げると、図36に示すように、第1保持爪17が窪み25cから抜け出始める。
そして、容器25をさらに持ち上げると、図37に示すように、容器25の側部小径部25aが第1保持爪17に接触する。このとき、第1保持爪17は、側部小径部25aから同図中矢印で示すように力F3を受ける。この力F3を第1保持爪17が受けることで、保持爪9は、第2カム溝28の円弧面28cに当接させた第2回転軸13を回転中心として時計回り方向に回転する。このとき、第1回転軸12は、第1カム溝27に沿って移動し、奥側の端部27bに接触する。
この図37の状態からさらに容器25を持ち上げると、図38に示すように、第1保持爪17が側部小径部25aから外れて保持爪9よるロック状態が開放される。これで、容器25は、カップホルダー1から取り出せる。容器25が取り出された後は、保持爪9は、元の定常状態に戻る。
以上のように構成された第3実施形態のカップホルダー1によれば、第1、2実施形態と同様、保持爪9の長手方向(高さ方向)に少なくとも2箇所以上の回転軸12、13で保持爪収容部10内に保持爪9を回動可能に支持したので、前記保持爪9の回転安定性が向上し、大きさが異なりくびれのある容器25でも安定して引っ掛かりなく容器25を取り出すことができる。また、第3実施形態のカップホルダー1では、この他、第1実施形態のカップホルダー1と同様の作用効果を得ることができる。
特に、第3実施形態のカップホルダー1では、第2実施形態で使用した第1ストッパー15及び第2ストッパー16が不要であるため、ロック手段を構成する部品を減らせると共に組立工数を低減することができる。
「第4実施形態」
第4実施形態では、第1実施形態と異なる構成部分のみを説明するものとし、共通部分に関しては同一の符号を付してその説明は省略するものとする。図39は第4実施形態のカップホルダーの断面図、図40は第4実施形態のカップホルダーのロック手段の分解斜視図である。
第4実施形態の保持爪9には、第1実施形態と同様に第1保持爪17及び第2保持爪18が形成され、容器25の挿入取出し方向Xとなる該保持爪9の長手方向(高さ方向)の略中央位置に第1回転軸12が突設されている。また、保持爪9には、下面9cから高さ方向上に向かってコ字状をなすスリット29が形成されている。第1回転軸12には、一端側を保持爪収容部10の両側壁22の上方部位に軸支させる第2回転軸13を有した、第1リンク部材30の他端側が回動可能に取り付けられている。スリット29には、保持爪収容部30の両側壁22の下方部位に一端側を軸支させる第3回転軸31を有した、第2リンク部材32の他端側が係合するようになっている。
第1リンク部材30は、保持爪9の両側にそれぞれ配置される2つのリンク部30A、30Aと、これらを連結させる連結部30Bと、を有した平面視略H形状とされている。リンク部30Aは、両端を円弧形状とした平面視長方形状をなし、一端側に第2回転軸13を突設させると共に他端側に第1回転軸12を軸支させる軸係合孔33を有している。第2回転軸13は、保持爪収容部10の側壁22の上方部位に形成された軸支孔34に回動可能に取り付けられる。
第2リンク部材32は、2つのリンク部32A、32Aと、これらを連結させる連結部32Bと、を有した平面視略コ字状とされている。リンク部32Aは、両端を円弧形状とした平面視長方形状をなし、一端側に第3回転軸31を突設させている。連結部32Bは、2つのリンク部32A、32Aの他端側を連結させる円柱体(シャフト)として形成されている。第3回転軸31は、保持爪収容部10の側壁22の下方部位に形成された軸支孔35に回動可能とされている。連結部32Bは、保持爪9に形成されたスリット29内に嵌入され、このスリット29をガイドとして移動する。
保持爪収容部10には、保持爪9の定常状態を位置決めするための第1ストッパー15と第2ストッパー16とが設けられている。第1ストッパー15は、保持爪収容部10の開口19上端近傍の両側側部に設けられ、該開口19の幅を狭めるように形成されている。この第1ストッパー15には、第1リンク部材30が接触するようになっている。第2ストッパー16は、保持爪収容部10の開口19下端の両側側部に設けられ、該開口19の幅を狭めるように形成されている。この第2ストッパー16には、第2リンク部材32が接触するようになっている。
また、保持爪収容部10には、保持爪9を常時付勢して第1保持爪17を開口部8より有底筒状部6内へ突出させる付勢手段である第1バネ11と第2バネ36が設けられている。第1バネ11は、一端部11aを保持爪収容部10の底部20における内側底面20aに固定し、他端部11bを第1リンク部材30に固定することで、前記第1リンク部材30を常時前方へ付勢している。第1バネ11の第1リンク部材30に対する固定部位は、第2回転軸13の近傍であって前記第1ストッパー15と反対側の部位である。第2バネ36は、一端部36aを保持爪収容部10の底部20における内側底面20aに固定し、他端部36bを第2リンク部材32に固定することで、前記第2リンク部材32を常時前方へ付勢している。第2バネ36の第2リンク部材32に対する固定部位は、第3回転軸31の近傍であって前記第2ストッパー16と反対側の部位である。
以上のように構成されたカップホルダー1のロック手段の定常状態は、図39で示すように、第1ストッパー15に第1リンク部材30が当接すると共に第2ストッパー16に第2リンク部材32が当接して前記第1バネ11及び第2バネ36の付勢力により前記保持爪9が回転不可能な状態にある。また、この定常態では、第1保持爪17のみが有底筒状部6の内部に突出した状態にある。また、この定常状態では、第1回転軸12と第2回転軸13と第3回転軸31が共に容器25の挿入取出し方向Xの同一線上にある。
次に、カップホルダー1に容器25を挿入したときのロック手段の動作について説明する。
図41〜図45は第4実施形態のカップホルダーに容器を挿入保持させる一連の工程を示す断面図である。
容器25をカップホルダー1のホルダー孔7に挿入すると、図41に示すように、容器25の底部25dが、有底筒状部6の開口部8からその内部へ突出する第1保持爪17に接触する。この状態から容器25をさらに奥へと挿入すると、図42に示すように、側部小径部25aが第1保持爪17に接する。この時、側部小径部25aが第1保持爪17に接した際に発生する力F1(前記保持爪9が受ける力F1)によって、第1回転軸12を回転中心として保持爪9が同図中矢印で示すように反時計回り方向に回転する。また、保持爪9が第1回転軸12を中心として回転することで、スリット29内に係合する連結部32Bがこのスリット29の開口側へ移動する。第2リンク部材32は、前記連結部32Bの移動に伴い、前記第3回転軸31を回転中心として時計回り方向へ傾き、第2ストッパー16から離れる。
このように、保持爪9が第1回転軸12を中心として回転することで、第2保持爪18は、側部小径部25aに接触する。図42の状態では、第1保持爪17が容器25と接触する接触位置H1は図41の保持爪初期状態での接触位置H2よりも低い位置となるが、第2保持爪18が容器25と接触する接触位置H3は保持爪初期状態の接触位置H2よりも高い位置となる。このため、側部小径部25aのみを有する容器25をカップホルダー1に挿入する場合でも、容器25の比較的高い位置で当該容器25を保持爪9でロックすることができるようになり、カップホルダー1内で容器25が大きく傾くことを防止できる。
そして、この状態からさらに容器25をその奥へと挿入すると、側部小径部25aから受ける力F1の作用が無くなり、保持爪9は、第2バネ36に付勢されて第1回転軸12を中心として元の状態に戻る。具体的には、第2リンク部材32は、第2バネ36に付勢されて第3回転軸31を回転中心として反時計回り方向へ回転する。これにより、第2リンク部材32の連結部32Bは、スリット20の開口側から奥へと移動して前記保持爪9を第1回転軸12を回転中心として元の状態に回動させる。そして、図43に示すように、保持爪9は定常状態に戻り、第1保持爪17が容器25の窪み25cに入り込む。容器25をこの状態からさらに奥へと挿入すると、図44に示すように、第1保持爪17が窪み25cに沿って摺接する。
図44の状態から容器25をさらに奥へと挿入すると、保持爪9は、側部大径部25bが第1保持爪17に接した際に発生する力F1(前記保持爪9が受ける力F1)によって、図45に示すように第1回転軸12を回転中心として保持爪9が同図中矢印で示すように反時計回り方向に回転する。また、保持爪9は、この保持爪9の回転により第2保持爪18が側部大径部25bに接触する。これにより、保持爪9は、側部大径部25bから第1保持爪17と第2保持爪18の両方に対して容器25の挿入取出し方向Xと直交する方向(バネ11が取り付けられる水平方向と同一方向)に力F2を受けることになる。その結果、保持爪9は、保持爪収容部10の底部20側へ押される。
前記保持爪9が底部20へと押し込まれることで、第1バネ11及び第2バネ36は圧縮され、その第1バネ11及び第2バネ36の反力を受けて保持爪9が容器25を有底筒状部6の内部でがたつくことなくロックする。この時、図45の状態では、図42と同様に第1保持爪17が容器25と接触する接触位置H1は保持爪初期状態での接触位置H2よりも低い位置となるが、第2保持爪18が容器25と接触する接触位置H3は保持爪初期状態の接触位置H2よりも高い位置となる。このため、側部大径部25bのみを有する容器25をカップホルダー1に挿入する場合でも、容器25の比較的高い位置で当該容器25を保持爪9でロックすることができるようになり、カップホルダー1内で容器25が大きく傾くことを防止できる。
次に、カップホルダー1から容器25を取り出すときのロック手段の動作について説明する。
図46〜図50は第4実施形態のカップホルダーから容器を取り出す一連の工程を示す断面図である。
図46の容器ロック状態から容器25をカップホルダー1より取り出すには、ホルダー孔7より外方に突出している部位をつかんで容器25を持ち上げる。保持爪9に形成された第1保持爪17が窪み25cに入り込むと、図47に示すように、第1バネ11及び第2バネ36は圧縮状態から復帰し、保持爪9を定常状態に戻す。図47の状態から容器25をさらに持ち上げると、図48に示すように、第1保持爪17が窪み25cから抜け出始める。
そして、容器25をさらに持ち上げると、図49に示すように、容器25の側部小径部25aが第1保持爪17に接触する。このとき、第1保持爪17は、側部小径部25aから同図中矢印で示すように力F3を受ける。この力F3を第1保持爪17が受けることで、保持爪9は、第1回転軸12を回転中心として回転すると共に第1リンク部材30が第2回転軸13を回転中心として保持爪9の回転に連動して第1ストッパー15から離れる方向へ回動する。また、保持爪9が第1回転軸12を中心として回転することで、スリット29内に係合する連結部32Bがこのスリット29の開口側へ移動する。
この図49の状態からさらに容器25を持ち上げると、図50に示すように、第1保持爪17が側部小径部25aから外れて保持爪9よるロック状態が開放される。これで、容器25は、カップホルダー1から取り出せる。容器25が取り出された後は、保持爪9は、元の定常状態に戻る。
以上のように構成された第4実施形態のカップホルダー1によれば、第1〜3実施形態と同様、保持爪9の長手方向(高さ方向)に少なくとも2箇所以上の回転軸12、13、31で保持爪収容部10内に保持爪9を回動可能に支持したので、前記保持爪9の回転安定性が向上し、大きさが異なりくびれのある容器25でも安定して引っ掛かりなく容器25を取り出すことができる。特に、第4実施形態では、保持爪9の長手方向に3つの回転軸12、13、31を設けたので、該保持爪9の回転安定性を一層向上させることができる。また、第4実施形態のカップホルダー1では、この他、第1実施形態のカップホルダー1と同様の作用効果を得ることができる。
「第5実施形態」
第5実施形態では、第2実施形態と異なる構成部分のみを説明するものとし、共通部分に関しては同一の符号を付してその説明は省略するものとする。図51は第5実施形態のカップホルダーの断面図である。
第5実施形態では、図15の第2実施形態に対して第1カム溝27及び第2カム溝28の形状を異にした例であり、その他の構成は第2実施形態と同一である。第5実施形態の保持爪収容部10に形成した第1カム溝27は、容器25の挿入取出し方向Xと直交する方向と平行ではなく開口19から底部20に向かって斜め上方へ傾斜するように形成されている。第2カム溝27は、開口19から底部20に向かって斜め下方へ傾斜する第1傾斜面28aと、開口19から底部20に向かって斜め上方へ傾斜する第2傾斜面28bと、底部20から開口19に向かって斜め上方へ傾斜する第3傾斜面28cと、容器25の挿入取出し方向Xと直交する水平面28dとを有している。第2傾斜面28bは、第1傾斜面28aの先端に接続され、第3傾斜面28cは、第1傾斜面28aの後端に接続されている。水平面28dは、第2傾斜面28bの後端と第3傾斜面28cの先端に接続されている。第2カム溝27は、全体としてその形状を略台形状としている。
第5実施形態では、第2実施形態に対して第1カム溝27と第2カム溝28の形状が異なるのみで、容器25をロックさせる動作に関しては第2実施形態と同様であり、また、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。したがって、第5実施形態では、ロック手段の動作に関しての説明は省略するものとする。
以上、本発明を適用した具体的な実施形態について説明したが、上述の実施形態(第1〜第5実施形態)は、本発明の一例であり、これらに限定されることはない。