JP5359019B2 - インクジェット用受容層組成物、及びインクジェット用画像記録媒体 - Google Patents

インクジェット用受容層組成物、及びインクジェット用画像記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット用受容層組成物、及びインクジェット用画像記録媒体に関し、さらに詳しくは、インクジェット方式で印画でき、画像を印画する際には画像が滲まず、乾燥が早く、印画された画像は耐擦傷性、耐溶剤性、洗濯堅牢度などの耐久性に優れるインクジェット用受容層組成物、及びインクジェット用画像記録媒体に関するものである。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「印字」と「印画」は同じ意味であり、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
(主なる用途)本発明のインクジェット用受容層組成物からなるインクジェット用受容層を媒体へ設けたインクジェット用画像記録媒体の主なる用途としては、例えば、証券、証書、商品券、小切手、手形、入場券、通帳類、ギフト券、乗車券、車馬券、印紙、切手、鑑賞券、入場証、通行証、チケット等の金券類、キャッシュカード、クレジットカード、IDカード、プリペイドカード、メンバーズカード、ICカード、光カードなどのカード類、グリーティングカード、ハガキ、名刺、運転免許証、パスポート等の各種証明書やその証明写真類、カートン、ケース、軟包装材などの包装材類、バッグ類、化粧品、腕時計、ライター等のブランド装身具、封筒、タグ、しおり、カレンダー、ポスター、パンフレット、ネームプレート、レポート用紙など文具類、建材、パネル、エンブレム、キー、布、衣類、履物などがある。
しかしながら、画像を印画でき、かつ、耐久性が要求される用途であれば、特に限定されるものではない。
(背景技術)従来、金券類、カード類、及び各種証明書類などのは、資格証明や一定の経済的価値や効果を持つため、所有者の個人情報が表示されるが、該個人情報の漏洩を防止し、かつ、使用時における外力に対する耐久性が必要である。個人情報の表示方法として、熱転写法による印画(表示)が広く使用される様になっている。これらの熱転写方法では、各種の画像が簡便に形成されるので、印刷枚数が比較的少なくてもよい印刷物、例えば、身分証明書等のIDカードの作成等に利用される様になっている。又、顔写真等の如くカラー画像が好ましい場合には、連続した基材フイルム上に、例えば、イエロー、マゼンダ及びシアン(更に必要に応じてブラック)の着色熱転写層を面順次に繰返し多数設けた長尺熱転写フイルムを用いる熱転写方法が行なわれている。この様な熱転写フイルムは溶融転写タイプと、昇華タイプの熱転写フイルムとがあるが、いじれも、専用のインクリボンを用いて印画するので、印画されて抜けた部分があるインクリボンが排出され、該排出インクリボンの抜け部分は秘密にしたい個人情報などであり、該個人情報などが廃棄されるインクリボンから容易に知られてしまうという危険性があった。
そこで、インクリボンを使用せず、インクジェット方式で画像を形成する画像記録媒体もあるが、インクジェット方式による画像では乾燥が遅いため画像形成速度が遅くなったり、また印画が滲んだり、さらに画像形成後の画像は耐擦傷性、耐溶剤性、洗濯堅牢度などの耐久性に劣るという問題点もあった。
従って、インクジェット用画像記録媒体は、インクジェット方式で印画でき、画像を印画する際には画像が滲まず、乾燥が早く、印画された画像は耐擦傷性、耐溶剤性、洗濯堅牢度などの耐久性に優れることが求められ、この要求は主にインクジェット用受容層の組成によるので、これらの性能を有するインクジェット用受容層組成物が求められている。
(先行技術)従来、受容層が基材上に剥離可能に設けられた中間転写記録媒体で、その受容層に染料層や熱溶融性インキ層を有する熱転写シートを用いて、染料、顔料などの着色剤を転写して画像を形成し、その後に中間転写記録媒体を加熱して、受容層を被転写体上に転写する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、受容層へ染料層や熱溶融性インキ層を有する熱転写シート(本発明のインクリボンに相当する)を用いているので、画像を形成して抜けた部分があるインクリボンが排出され、抜け部分の秘密にしたい個人情報などが廃棄されるインクリボンから知られてしまうという問題点がある。
また、バインダーと凝集剤とを含有し、前記凝集剤として、分子内にカチオン性官能基を有するカチオン性有機オリゴマーまたは分子内にカチオン性官能基を有するカチオン性ポリマーを含有する受容層を有するインクジェット画像記録媒体が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、耐水性や耐アルコール性などの耐溶剤性などの耐久性は、まだ充分ではないという欠点がある。
特開昭62−238791号公報 特開2006−130865号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、画像を印画する際には個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用しないインクジェット方式で印画でき、画像を印画する際には画像が滲まず、乾燥が早く、印画された画像は耐擦傷性、耐溶剤性、洗濯堅牢度などの耐久性に優れるインクジェット用受容層組成物、及びインクジェット用画像記録媒体を提供することである。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わるインクジェット用受容層組成物は、インクジェット用印刷インクを受容できるインクジェット用受容層組成物であって、溶媒を除く質量基準で、カチオン性ウレタン系樹脂を80%以上の比率で含みさらにカチオン性フィックス剤、フィラー、及びアジリジン誘導体とを含み、他の主要樹脂組成を含まないものであり、前記カチオン性ウレタン系樹脂がカチオン性親水基を有するポリカーボネート系又はポリエステル系のポリオールと脂肪族イソシアネートの反応物であり、前記カチオン性フィックス剤がポリアミン誘導体又は第4級アンモニウム塩であり、前記フィラーがマイクロシリカであり、前記アジリジン誘導体が分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体であり、前記カチオン性ウレタン系樹脂に対するアジリジン誘導体の配合割合が質量基準で、カチオン性ウレタン系樹脂:アジリジン誘導体=100:1〜15であるように、したものである。
請求項2の発明に係わるインクジェット用画像記録媒体は、請求項1に記載のインクジェット用受容層組成物が媒体の少なくとも一方の面に設けられてなることを特徴とするインクジェット用画像記録媒体である。
請求項1本発明によれば、画像を印画する際には個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用しないインクジェット方式で印画でき、画像を印画する際には画像が滲まず、乾燥が早く、インクジェット用受容層組成物が提供される。請求項2の本発明によれば、印画された画像は耐擦傷性、耐溶剤性、洗濯堅牢度などの耐久性に優れるインクジェット用画像記録媒体が提供される。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明のインクジェット用受容層組成物からなるインクジェット用受容層を有するインクジェット用画像記録媒体の断面図である。
図2は、インクジェット方式で画像が形成された本発明のインクジェット用画像記録媒体へ断面図である。
(インクジェット用画像記録媒体)本発明のインクジェット用画像記録媒体100は、図1に示すように、媒体101と、該媒体101の少なくとも一方の面へインクジェット用受容層21を設けてなり、該インクジェット用受容層21は本発明のインクジェット用受容層組成物を塗布してなる。該インクジェット用受容層組成物は、カチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤、フィラー、及び分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体とを含み、インクジェット用印刷インクを受容できる。
また、好ましくは、上記カチオン性ウレタン系樹脂に対する上記分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体の配合割合が質量基準で、カチオン性ウレタン系樹脂:分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体=100:1〜15である。
また、これらの層間及び/又は層表面へ、必要に応じてプライマ層などの他の層を設けてもよい。他の層としては、プライマ層、印刷層、帯電防止層、背面滑性層などがあり、それぞれ公知のものでよい。プライマ層としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ゴム系化合物などを使用することができる。また、印刷層としては、着色インキや蛍光インキなどを用いて、公知のスクリーン印刷やグラビア印刷法で印刷すればよい。
(受容層)インクジェット用受容層21はインクジェット用画像記録媒体100の最表面となり、該インクジェット用受容層21にはインクジェット方式によって画像が印画される。インクジェット用受容層21はインクジェット用受容層組成物を塗布したもので、該インクジェット用受容層組成物は、少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤、フィラー、及び分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体とを含むようにする。
カチオン性ウレタン系樹脂としてはカチオン性基を有するポリカーボネート系ポリウレタン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール系ポリウレタン、ポリエステルエーテル系ポリウレタン、ポリブチレンアジペート系ポリウレタン、ポリメチルペンタンアジペート系ポリウレタン、ポリノナンジオールアジペート/ポリオクタンアジペート系ポリウレタン、ポリメチルペンタンアジペート系ポリウレタンなどのウレタン系樹脂で、好ましくは自己乳化性又は水性で、カチオン性親水基を有するポリカーボネート系又はポリエステル系のポリオールと脂肪族イソシアネートの反応物が好ましい。カチオン性基としては1〜3級アミン或いは4級アンモニウム塩基などが例示できる。
(カチオン性フィックス剤)カチオン性フィックス剤としては、ポリアミン誘導体や第4級アンモニウム塩などの染料固着剤が例示できる。
(フィラー)フィラーとしては、箔切れ性を良くし、透明性を害さない程度に含有させ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、プラスチックピグメント等の透明性の高い微粒子やワックス等で、マイクロシリカが好ましい。
(アジリジン誘導体)アジリジル誘導体としては分子内に2個以上のアジリジニル基を有する化合物を用い、好ましくは、
Figure 0005359019
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はR2−OCH2−で、R25は水素原子、塩素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルアルコール基、アクリル酸アルキル基、アルキルフェノール基で、同一でも異なってもよい。)
Figure 0005359019
(式中、R610は水素原子、塩素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルキルアルコール基、アクリル酸アルキル基、アルキルフェノール基で、同一でも異なってもよい。nは1〜3の整数)
一般式1におけるR35のうち2個以上が一般式2の構造を有する化合物、即ち、分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジル誘導体である。
分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体、例えば、トリメチロールプロパン−トリス−(α−メチル−α−アジリジニルアセテート)、トリメチロールプロパン−トリス−(α−エチル−α−アジリジニルアセテート)、トリメチロールメタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールエタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールブタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、モノエトキシトリメチロールメタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールエタン−トリス−(β−(2−メチル-1−アジリジニルプロピオナート))、テトラメチロールメタン−トリス−(α−メチル−α−アジリジニルアセテート)、テトラメチロールエタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、ジトリメチロールプロパン−ヘキサキス−(β−アジリジニルプロピオナート)、ジトリメチロールプロパン−ペンタキス−(β−(2−メチルアジリジニルプロピオナート)等が挙げられる。
好ましくは、トリメチロールメタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールエタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールプロパン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールブタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールエタン−トリス−(β−(2−メチル-1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールプロパン−トリス−(β−(2−メチル−1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールプロパン−トリス−(β−(2,2−ジメチル−1−アジリジニルプロピオナート))、トリメチロールプロパン−トリス−(α−メチル−β−(1−アジリジニルプロピオナート)、トリメチロールプロパン−トリス−(β−メチル−β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−トリス−(α−メチル−α−アジリジニルアセテート)、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールエタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート))、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(2−プロピル−1−アジリジニルプロピオナート))、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(2−メチル−1−アジリジニルプロピオナート))、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(2,2−ジメチル−1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(2,2−ジエチル−1−アジリジニルプロピオナート)テトラメチロールメタン−テトラキス−β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−テトラキス−β−メチル−β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−テトラキス−β−(2−メチル−1−アジリジニルプロピオナート)、ジトリメチロールプロパン−ヘキサキス−(β−アジリジニルプロピオナート)、ジトリメチロールプロパン−ペンタキス−(β−(2−メチルアジリジニルプロピオナート)が好ましく、トリメチロールプロパン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート)、テトラメチロールメタン−テトラキス−(β−アジリジニルプロピオナート)である。
分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体について市販されているものとしては、例えば、相互薬工社製のTAZM(トリメチロールプロパン−トリス−(β−アジリジニルプロピオナート)、TAZO(テトラメチロールメタン−トリス−(β−(1−アジリジニルプロピオナート)))日本触媒製のケミタイトPZ−33(トリメチロールプロパン−トリス−(β−アジリジニルプロピオナート))等が挙げられる。
3個のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体が、硬化する反応性の速さ、硬化後に網目状となるので耐久性の高さ点で、特に好ましい。
カチオン性ウレタン系樹脂とカチオン性フィックス剤とマイクロシリカと分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体との割合が質量基準でカチオン性ウレタン系樹脂:カチオン性フィックス剤:マイクロシリカ:分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体=100:5〜20:1〜10:1〜15である。
カチオン性フィックス剤の含有割合が上記範囲未満では定着性が悪く、上記範囲を越えると洗濯中に溶出して堅牢性を低下させる。
マイクロシリカの含有割合が上記範囲未満ではインキ定着性が悪く、上記範囲を越えると透明性が低下し画像が見えにくくなる。
アジリジン誘導体の添加量は、本発明の効果を阻害しない量であれば特に制限されないが、通常カチオン性ウレタン系樹脂に対する分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体の配合割合が質量基準で、カチオン性ウレタン系樹脂:分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体=100:1〜15が好ましく、さらに好ましくは100:3〜10である。アジリジン誘導体は水溶性の硬化剤として機能するので、アジリジン誘導体の含有割合が上記範囲未満では、硬化が不足するために耐水性や耐アルコール性などの耐溶剤性などの耐久性が充分ではなく、上記範囲を越えると透明性が低下し画像が見えにくくなる。
インクジェット用受容層10の形成は、上記の材料を溶媒へ分散又は溶解して、必要に応じて添加剤を添加し、媒体101の少なくとも一方の面へ、必要に応じてコロナ処理やプライマ層を設けて、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ダイコートなどの公知のコーティング方法で、塗布し乾燥すればよい。そのの厚さとしては、通常は1μm〜15μm程度、好ましくは2μm〜10μm程度である。
(媒体)媒体101としては特に限定されず、例えば天燃繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフイルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布などのいずれのものでもよく、またそれらの複数層からなっていてもよい。また、媒体101の媒体はその少なくとも1部が着色、印刷、その他の加飾が施されていてもよい。
(インクジェット)画像103の形成は、インクジェット用画像記録媒体10のインクジェット用受容層へインクジェット方式で印画すればよい。インクジェット方式には熱インパクト法などがあるが特に限定されず、インクジェットインキも水性や油性インキなどがあるが特に限定されない。また、インクジェット方式で形成する画像103も、円形や星形などのスポット状、文字、数字、イラスト、写真などの任意の形状でよく、その色調も単独、複数、フルカラー用など限定されるものではない。好ましくは、オンデマンドで可変情報をインクジェット方式で印画することである。インクジェット方式では、画像103を印画する際に、個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用せず、また、画像103を印画する際にも、画像が滲まず、乾燥が早いので効率よく印画することができる。
(定着性)従来のインクジェット方式による画像としては、身分証明書等のIDカードを作成する場合、画像の形成は容易であるが、これらの画像は耐久性、特に耐摩擦性が劣るという欠点がある。従来のインクジェット用受容層はポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂を主体とするもので、耐水性は著しく悪く、また、多孔質質のフィラーを用いたり、受容層塗工液の溶媒として良溶媒と貧溶媒を用いて、乾燥中に相分離、ゲル化させて多孔質の網目構造とさせたり、していたが、画像の定着性が充分でなく、洗濯時に画像が淡くなる問題点もあった。
これに対して、本発明のインクジェット用記録媒体のインクジェット用受容層組成物を塗布してなるインクジェット用受容層10に、インクジェット方式によって印画された画像103であれば、高画質で定着性がよく、印画された画像は耐擦傷性、耐水性や耐アルコール性などの耐溶剤性、洗濯堅牢度などの耐久性に優れるようになる。定着性と洗濯堅牢度の両立は定かではないが、カチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤、フィラー、及び分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体とを含むことで、塗膜の表面が微細な凹凸状となったり、塗膜自身の凝集状態も密ではなくかなり粗状になっていたり、また、分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体が他の成分を反応や相互に作用して、網目状や凝集状態の安定化したりするために、画像成分の浸透性や密着性が向上し、また、画像を構成する染料などがカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤、分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体と反応や相互に作用して不溶化するため、と推測される。
(耐久性)本発明のインクジェット用受容層組成物を用いて形成したインクジェット用受容層21を有する塩化ビニル製クレジットカード(インクジェット用画像記録媒体)は、JIS X6301に準拠したカードの耐薬品浸漬性に合格し、詳細は実施例で述べる。また、80℃の雰囲気に240時間の暴露試験でも層間及び/又は被貼着材からの剥離のない耐熱性を有している。40℃の温水に96時間の浸漬試験でも層間及び/又は被貼着材からの剥離のない耐温水性を有している。シートクリナーを用いて20kPaで加圧しながら常温で100回の拭取り試験で著しい傷が付かない耐摩擦性を有している。低温(−40℃)、高温(80℃)及び高湿度(40℃90%RH)の条件を8時間毎に1サイクル(1日)として5サイクル(5日)の冷熱サイクル試験でも著しい変形や剥離のない耐冷熱繰り返し性を有している。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)媒体101として、クレジットカード用の厚さが0.75mmの4層ポリ塩化ビニル製の大判シートを用いて、一方の面へ、下記のプライマ層組成物途工液をロールコート法で乾燥後の厚さが0.5μmになるように、塗工し120℃で乾燥させた後に、下記のインクジェット用受容層組成物をロールコート法で乾燥後の厚さが4μmになるように、塗工し120℃で乾燥させて、インクジェット印刷が可能なインクジェット用受容層21を形成し、横85.6mm×縦54mmのクレジットカードサイズに打ち抜いてカードとし、実施例1のインクジェット用画像記録媒体100を得た。
・<プライマ層組成物途工液>
PR−U IJ−AC(CL)(プライマ、大日精化工業社商品名)100部
VM−D硬化剤(大日精化工業商品名) 5部
溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1) 150部
該プライマ層面へ、受容層組成物として下記を塗布した。
・<インクジェット用受容層組成物>
第4級アンモニウム塩型ポリカーボネート系ポリウレタン 100部
ダンフィックス505RE(日東紡績社製;ポリカチオン性フィックス剤)10部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 5部
ケミタイトPZ−33(日本触媒社製、アジリジン誘導体) 3部
溶媒(水) 300部
なお、ケミタイトPZ−33は、分子内に3個のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体である。
(実施例2)下記のインクジェット用受容層組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例2のインクジェット用画像記録媒体100を得た。
・<インクジェット用受容層組成物>
第4級アンモニウム塩型ポリカーボネート系ポリウレタン 100部
ダンフィックス505RE(日東紡績社製;ポリカチオン性フィックス剤)10部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 5部
ケミタイトPZ−33(日本触媒社製、アジリジン誘導体) 5部
溶媒(水) 300部
(実施例3)下記のインクジェット用受容層組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例3のインクジェット用画像記録媒体100を得た。
・<インクジェット用受容層組成物>
第4級アンモニウム塩型ポリカーボネート系ポリウレタン 100部
ダンフィックス505RE(日東紡績社製;ポリカチオン性フィックス剤)10部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 5部
ケミタイトPZ−33(日本触媒社製、アジリジン誘導体) 10部
溶媒(水) 300部
(比較例1)下記のインクジェット用受容層組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして、比較例1のインクジェット用画像記録媒体100を得た。
・<インクジェット用受容層組成物>
第4級アンモニウム塩型ポリカーボネート系ポリウレタン 100部
ダンフィックス505RE(日東紡績社製;ポリカチオン性フィックス剤)10部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 5部
溶媒(水) 300部
(比較例2)下記のインクジェット用受容層組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして、比較例2のインクジェット用画像記録媒体100を得た。
・<インクジェット用受容層組成物>
第4級アンモニウム塩型ポリカーボネート系ポリウレタン 100部
ダンフィックス505RE(日東紡績社製;ポリカチオン性フィックス剤)10部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 5部
ケミタイトPZ−33(日本触媒社製、アジリジン誘導体) 20部
溶媒(水) 300部
(評価試験)JIS X6301に準拠して、カードの耐薬品浸漬性で評価した。実施例及び比較例のインクジェット用画像記録媒体100へ、600dpiのカラーインクジェットプリンターを用いて、会社名及び氏名の画像記録媒体を印画し、5%食塩水、5%酢酸水、5%炭酸ナトリウム水溶液、10%砂糖水、50%エチレングリコール、60%エタノールの各薬品に、24時間浸漬した後に、画像を目視で観察した。
実施例1〜3及び比較例1〜2のインクジェット用画像記録媒体100へのインクジェット方式での印画はいずれも問題なかった。耐薬品浸漬性の結果を表1に示す。「◎印」は画像103にほとんど変化が認められず、「○印」は著しい変化が認められず実用上支障なく合格とし、「×印」は画像103が歪んだり、欠けたり、喪失したりして、不合格とした。
Figure 0005359019
(評価結果)表1に示すように、実施例1では5%酢酸水、10%砂糖水、50%エチレングリコール、60%エタノールで「○」で、他は「◎」であり、実施例2では60%エタノールで「○」で、他は「◎」であり、実施例3では、すべて「◎」であり、クレジットカード規格を満足していた。また、比較例1では10%砂糖水で「×」で、60%エタノールで「××」で画像が喪失しており規格を満足しなかった。比較例2ではすべて「◎」であるが、過剰性能であり、高コストである。
さらに、実施例1〜3のインクジェット用画像記録媒体100へ600dpiのカラーインクジェットプリンターを用いて、会社名及び氏名の画像記録媒体を印画した後に、80℃の雰囲気に240時間の暴露試験でも層間及び/又は被貼着材からの剥離のない耐熱性を有していた。40℃の温水に96時間の浸漬試験でも層間及び/又は被貼着材からの剥離のない耐温水性を有していた。シートクリナーを用いて20kPaで加圧しながら常温で100回の拭取り試験で著しい傷が付かない耐摩擦性を有していた。低温(−40℃)、高温(80℃)及び高湿度(40℃90%RH)の条件を8時間毎に1サイクル(1日)として5サイクル(5日)の冷熱サイクル試験でも著しい変形や剥離のない耐冷熱繰り返し性を有していた。
本発明のインクジェット用受容層組成物からなるインクジェット用受容層を有するインクジェット用画像記録媒体の断面図である。 インクジェット方式で画像が形成された本発明のインクジェット用画像記録媒体へ断面図である。
符号の説明
10:インクジェット用受容層
21:受容層
100:インクジェット用画像記録媒体
101:被転写体
103:画像

Claims (2)

  1. インクジェット用印刷インクを受容できるインクジェット用受容層組成物であって、溶媒を除く質量基準で、カチオン性ウレタン系樹脂を80%以上の比率で含みさらにカチオン性フィックス剤、フィラー、及びアジリジン誘導体とを含み、他の主要樹脂組成を含まないものであり、
    前記カチオン性ウレタン系樹脂がカチオン性親水基を有するポリカーボネート系又はポリエステル系のポリオールと脂肪族イソシアネートの反応物であり、
    前記カチオン性フィックス剤がポリアミン誘導体又は第4級アンモニウム塩であり、
    前記フィラーがマイクロシリカであり、
    前記アジリジン誘導体が分子内に2個以上のアジリジニル基を有するアジリジン誘導体であり、
    前記カチオン性ウレタン系樹脂に対するアジリジン誘導体の配合割合が質量基準で、カチオン性ウレタン系樹脂:アジリジン誘導体=100:1〜15であることを特徴とするインクジェット用受容層組成物。
  2. 請求項1に記載のインクジェット用受容層組成物が媒体の少なくとも一方の面に設けられてなることを特徴とするインクジェット用画像記録媒体。
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