JP5357474B2 - コレットチャック装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば細長い脆弱なワークを安定的に把握することができるコレットチャック装置に関する。
従来、金属棒等の硬いワークに対して切削加工等を行う場合、コレットチャック装置を使用してワークを把握している(例えば、特許文献1参照)。また、細長いガラス管等の脆弱なワークに対して各種の加工処理を行う場合も、上記と同様な原理のコレットチャック装置を使用してワークを把握している。
特開2001−322014号公報
しかし、従来のコレットチャック装置はワークを把握するための力加減が難しい。また、スプリングコレットの把握面をワーク外周面に平行にして当てることが難しい。そのため、細長いガラス管等の脆弱なワークを壊れないように掴むのが難しく、チャッキングの際にワークが破損しやすいという問題がある。また、コレットチャック装置内でワークが破損した場合に、ワークの破片をコレットチャック装置から取り出し難い等、コレットチャック装置の清掃等メンテナンスが難しいという問題がある。
従って、本発明は上記問題点を解決する手段を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
なお、発明の理解を容易にするため図面の参照符号を括弧書きで付するが、本発明はこれに限定されるものではない。
すなわち、請求項1に係る発明は、中心部に細長い脆弱な棒材であるワーク(Wa,Wb,Wc)が貫通するストレート穴(3d)が形成され、両端に夫々テーパ面(1,2)が形成された拡縮可能なスプリングコレット(3)と、このスプリングコレット(3)を覆うスリーブ(4)と、上記両テーパ面(1,2)に夫々当接するように上記スリーブ(4)内に挿入された環状テーパ部(5,6)とを具備し、両環状テーパ部(5,6)の一方又は双方を上記スプリングコレット(3)に対し相対的にスライドさせることにより、上記スプリングコレット(3)を縮径又は拡径させるようにしたコレットチャック装置において、上記両テーパ面(1,2)及び両環状テーパ部(5,6)のテーパは、両端のものが軸方向外側に向かって拡開するように形成され、上記スリーブ(4)は両端が開口した筒形に形成され、上記両環状テーパ部(5,6)の一方が上記スリーブ(4)に対し取り外し可能に螺合すると共に他方が上記スリーブ(4)内にスライド可能に挿入され、上記スリーブ(4)内における上記両環状テーパ部(5,6)間には、両環状テーパ部(5,6)を互いに離反方向に付勢することによって各環状テーパ部(5,6)と上記スプリングコレット(3)とを夫々各テーパ面(5a,6a,1,2)で接触させる圧縮コイルスプリング(7)が設けられ、ワーク(Wa,Wb,Wc)挿入前は、上記圧縮コイルスプリング(7)の付勢力で上記各環状テーパ部(5,6)と上記スプリングコレット(3)の各テーパ面(5a,6a,1,2)が当接することによって、上記スプリングコレット(3)が上記スリーブ(4)内に拘束され、ワーク(Wa,Wb,Wc)把握時は、上記圧縮コイルスプリング(7)の付勢力で上記各環状テーパ部(5,6)と上記スプリングコレット(3)の各テーパ面(5a,6a,1,2)が当接することによって、上記スプリングコレット(3)の両端部がワーク(Wa,Wb,Wc)の外周面にワーク(Wa,Wb,Wc)に破損を来さないクランプ力で当たるように縮径し、ワーク(Wa,Wb,Wc)解放時に、上記他方の環状テーパ部(5,6)を上記圧縮コイルスプリング(7)の付勢力に抗するようにスライドさせると、上記各環状テーパ部(5,6)と上記スプリングコレット(3)の各テーパ面(5a,6a,1,2)の当接が緩められることによって、スプリングコレット(3)が拡径するようにしたコレットチャック装置を採用する。
請求項3に記載されるように、請求項1に記載のコレットチャック装置において、上記スプリングコレット(3)には一方のテーパ面(1又は2)側から他方のテーパ面(2又は1)側へと伸びるすり割り(8)が交互に形成され、ワーク(Wa,Wb,Wc)把握時に、上記圧縮コイルスプリング(7)の付勢力、及び上記各環状テーパ部(5,6)と上記スプリングコレット(3)の各テーパ面(5a,6a,1,2)での当接によって、上記スプリングコレット(3)の全体がワーク外周面に略平行に縮径した後、上記スプリングコレット(3)の両端部の内周面がワーク外周面を把握するが、上記スプリングコレット(3)の中央部の内周面はワーク(Wa,Wb,Wc)に接触しない状態となるようにしたものとすることができる。
請求項1に係る発明によれば、中心部に細長い脆弱な棒材であるワーク(Wa,Wb,Wc)が貫通するストレート穴(3d)が形成され、両端に夫々テーパ面(1,2)が形成された拡縮可能なスプリングコレット(3)と、このスプリングコレット(3)を覆うスリーブ(4)と、上記両テーパ面(1,2)に夫々当接するように上記スリーブ(4)内に挿入された環状テーパ部(5,6)とを具備し、両環状テーパ部(5,6)の一方又は双方を上記スプリングコレット(3)に対し相対的にスライドさせることにより、上記スプリングコレット(3)を縮径又は拡径させるようにしたコレットチャック装置において、上記両テーパ面(1,2)及び両環状テーパ部(5,6)のテーパは、両端のものが軸方向外側に向かって拡開するように形成され、上記スリーブ(4)は両端が開口した筒形に形成され、上記両環状テーパ部(5,6)の一方が上記スリーブ(4)に対し取り外し可能に螺合すると共に他方が上記スリーブ(4)内にスライド可能に挿入され、上記スリーブ(4)内における上記両環状テーパ部(5,6)間には、両環状テーパ部(5,6)を互いに離反方向に付勢することによって各環状テーパ部(5,6)と上記スプリングコレット(3)とを夫々各テーパ面(5a,6a,1,2)で接触させる圧縮コイルスプリング(7)が設けられ、ワーク(Wa,Wb,Wc)挿入前は、上記圧縮コイルスプリング(7)の付勢力で上記各環状テーパ部(5,6)と上記スプリングコレット(3)の各テーパ面(5a,6a,1,2)が当接することによって、上記スプリングコレット(3)が上記スリーブ(4)内に拘束され、ワーク(Wa,Wb,Wc)把握時は、上記圧縮コイルスプリング(7)の付勢力で上記各環状テーパ部(5,6)と上記スプリングコレット(3)の各テーパ面(5a,6a,1,2)が当接することによって、上記スプリングコレット(3)の両端部がワーク(Wa,Wb,Wc)の外周面にワーク(Wa,Wb,Wc)に破損を来さないクランプ力で当たるように縮径し、ワーク(Wa,Wb,Wc)解放時に、上記他方の環状テーパ部(5,6)を上記圧縮コイルスプリング(7)の付勢力に抗するようにスライドさせると、上記各環状テーパ部(5,6)と上記スプリングコレット(3)の各テーパ面(5a,6a,1,2)の当接が緩められることによって、スプリングコレット(3)が拡径するようにしたコレットチャック装置であることから、スプリングコレット(3)、環状テーパ部(5,6)、圧縮コイルスプリング(7)等を含む内蔵物がスリーブ(4)と一体化される。したがって、ワーク(Wa,Wb,Wc)の処理・加工のための機械装置に対し、このコレットチャック装置の内蔵物を簡易に着脱することができ、清掃等のメンテナンス上非常に有利である。また、細長いガラス管等のような脆弱なワーク(Wa,Wb,Wc)であっても圧縮コイルスプリング(7)の付勢力を使ってワーク(Wa,Wb,Wc)を適度なクランプ力で安定的に把握することができる。したがって、脆弱なワーク(Wa,Wb,Wc)であってもそのクランプ時における破損を防止することができる。また、一方の環状テーパ部(5)がスリーブ(4)に取り外し可能に螺合するので、コレットチャック装置の組立・分解を簡易に行うことができ、コレットチャック装置内の清掃等、コレットチャック装置のメンテナンスを簡易に行うことができる。例えば、スプリングコレット(3)内に破片等の異物があっても、スプリングコレット(3)、環状テーパ部(5,6)、圧縮コイルスプリング(7)等からなる内蔵物をコレットチャック装置から一体で取り外すことによって、コレットチャック装置内から容易に異物を除去することができる。
また、両環状テーパ部(5,6)を互いに離反方向に付勢する手段が圧縮コイルスプリング(7)とされ、スリーブ(4)内の限られたスペースの中に設置しやすい。また、コレットチャック装置の構造を簡素化し、組立・分解を簡易に行うことができる。
請求項に記載されるように、請求項1に記載のコレットチャック装置において、上記スプリングコレット(3)には一方のテーパ面(1又は2)側から他方のテーパ面(2又は1)側へと伸びるすり割り(8)が交互に形成され、ワーク(Wa,Wb,Wc)の把握時に、上記圧縮コイルスプリング(7)の付勢力、及び上記各環状テーパ部(5,6)と上記スプリングコレット(3)の各テーパ面(5a,6a,1,2)での当接によって、上記スプリングコレット(3)の全体がワーク外周面に略平行に縮径した後、上記スプリングコレット(3)の両端部の内周面がワーク外周面を把握するが、上記スプリングコレット(3)の中央部の内周面はワーク(Wa,Wb,Wc)に接触しない状態となるようにしたものとすると、スプリングコレット(3)の両端部の内周面がワーク外周面に対し平行面となって接触する。したがって、スプリングコレット(3)の内径サイズをワーク(Wa,Wb,Wc)の外径毎に準備・交換する必要が無く効率的な装置を実現することができるのはもちろんのこと、テーパや段差の存在等により外径寸法に差があるワーク(Wc)であってもその前後部を安定的に把握することができる。また、スプリングコレット(3)の中心穴をストレート内径の穴とした場合においても、テーパや段差の存在等により外径寸法に多少の差があるワーク(Wc)を的確に把握することができる。


以下、図面を参照して発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1乃至図5に示すように、このコレットチャック装置は、両端に夫々テーパ面1,2が形成され、かつ、両端が拡縮可能に形成されたスプリングコレット3と、このスプリングコレット3を覆うスリーブ4と、上記両テーパ面1,2に夫々当接するようにスリーブ4内に挿入された環状テーパ部5,6とを具備する。
また、両環状テーパ部5,6のうち一方の環状テーパ部5がスリーブ4に固定されると共に他方の環状テーパ部6がスリーブ4内にスライド可能に挿入され、両環状テーパ部5,6間には、環状テーパ部5,6同士を離反方向に付勢することによって各環状テーパ部5,6とスプリングコレット3の各テーパ面5a,6a,1,2とを夫々接触させる弾性体として圧縮コイルスプリング7が設けられる。
これにより、両環状テーパ部5,6のうち一方の環状テーパ部6をスリーブ4に対し相対的にスライドさせると、図12又は図13に示すように、スプリングコレット3の両端が縮径してスプリングコレット3内に挿入されたワークWa、Wb、Wcを把握し、又は拡径してワークWa、Wb、Wcを解放する。この作用については後に詳述する。
スプリングコレット3は、図5乃至図9に示すように、円筒部3aと、その円筒部3aの両端に夫々円筒部3aと一体的に設けられた円錐台部3b,3cとを有する。
スプリングコレット3の中心部では、一方の円錐台部3bから円筒部3aを通って他方の円錐台部3cへとストレート穴3dが貫通する。ストレート穴3dの内径は各種ワークWa、Wb、Wcの外径の最大寸法よりも所定寸法αだけ大きくなるように形成される。
両円錐台部3b,3cの外周には、軸方向外側に向かって拡開するテーパ面1,2がそれぞれ形成される。両円錐台部3b,3cは、スリーブ4内に収納することができるように、外径がスリーブ4の内径よりも小さくなるように形成される。
また、円錐台部3bは、最も縮めた状態で環状テーパ部5の中心を通過しないように形成される。円錐台部3cは、最も縮めた状態で環状テーパ部5の中心を通過でき、スライダ9の中心を通過できるが、環状テーパ部6の中心は通過することができないように形成される。
このような円筒部3aおよび両円錐台部3b,3cに対して、一方のテーパ面1又は2側から他方のテーパ面2又は1側へと伸びるスリット状のすり割り8が交互に形成される。また、円筒部3aは比較的薄く形成される。
これにより、図12又は図13に示すように、ワークWa,Wb,Wcが挿入されたうえで上記弾性体である圧縮コイルスプリング7の付勢力が作用すると、全体がワークWa,Wb,Wcの外周面に対し略平行に縮径するが、テーパ面1,2,5a,6a同士の摺接によって、スプリングコレット3の両端部の内周面が先行して縮径し、ワークWa,Wb,Wcの外周面に対し平行面となって接触する。スプリングコレット3の中央部は両端部の縮径にやや遅れて縮径し、ワークWa,Wb,Wcの外周面からはやや離れた位置で停止する。
なお、スプリングコレット3のすり割り8は小径のワークWaを把握することができるまで縮むようにするため、比較的幅広く加工される。また、スプリングコレット3の両テーパ部1,2には、大きく縮んだ時も両環状テーパ部5,6の各テーパ面5a,6aに対し各テーパ部の中心が滑らかに当るようにするため、望ましくはすり割り8の両側にニゲ加工によって逃げ部1a,2aが形成される。
スリーブ4は、図1乃至図5に示すように、略円筒形に形成される。スリーブ4の一方の開口部における内周面には、一方の環状テーパ部5が螺合する雌ネジ4aが形成される。また、スリーブ4の他方の開口部における内周面は、他方の環状テーパ部6を支持する筒状のスライダ9が円滑に摺動することができるように平滑面として形成される。
スリーブ4はこのコレットチャック装置のケーシングともなるもので、このスリーブ4の外側に図示しない軸受、歯車等が組み付けられたうえで、各種加工機械に装着される。
一方の環状テーパ部5はテーパ付きのブッシュとして形成される。この環状テーパ部5の外周面には、上記スリーブ4の雌ネジ4aと螺合する雄ネジ5bが形成される。この環状テーパ部5のスリーブ4から突出する部分の外周面には、複数箇所にわたって平坦部5cが形成される。また、図1および図5に示すように、スリーブ4の外面にも同様な平坦部4bが形成される。これらの平坦部5c,4bにスパナ等の工具を掛けることにより、環状テーパ部5をスリーブ4に対して簡易に着脱することができる。
このように、環状テーパ部5がスリーブ4に取り外し可能に螺合していることから、環状テーパ部5をスリーブ4から抜き取ることにより、スプリングコレット3等の内蔵物をスリーブ4から自在に取り外すことができ、したがって、コレットチャック装置のスリーブ内の組立・分解を簡易に行うことができ、コレットチャック装置内の清掃等、コレットチャック装置のメンテナンスを簡易に行うことができる。
また、環状テーパ部5の内周面には、スプリングコレット3の大径側のテーパ面1に当接可能なテーパ面5aがすり鉢状に形成される。このすり鉢状のテーパ面5aの奥には、弾性体である圧縮コイルスプリング7の一端を受け止める段部5dが設けられる。
他方の環状テーパ部6は、テーパ付きのカラーとして形成される。この環状テーパ部6の内周面には、スプリングコレット3の小径側のテーパ面2に当接可能なテーパ面6aがすり鉢状に形成される。この環状テーパ部6の外周面には、スリーブ4の内面にスライド可能に摺接する円筒形のスライダ9が被せられ、スライダ9との間での嵌合等によってスライダ9の後端に固定される。このスライダ9がスリーブ4の内面に沿ってスライドすることによって、環状テーパ部6は、図4、図12又は図13に示すように、スリーブ4に対し出没自在となる。
スライダ9の奥には、弾性体である圧縮コイルスプリング7の他端を受け止める段部9aが設けられる。上述したように、一方の環状テーパ部5がスリーブ4に固定され、また、両環状テーパ部5,6のテーパ面5a,6aが互いに逆向きに傾斜し、これらのテーパ面5a,6aにスプリングコレット3のテーパ面1,2が当接していることから、圧縮コイルスプリング7の付勢力が両環状テーパ部5,6を互いに離反する方向に作用しても、図4(A)に示すように、スプリングコレット3や環状テーパ部5,6等の内蔵部品はスリーブ4から脱落しないようにスリーブ4内に拘束される。
なお、この環状テーパ部6は、図5に示すように、この実施の形態では、その軸線を含む平面上で二分割されている。これにより、後述するようにコレットチャック装置の組立を簡易に行うことができる。
弾性体は、望ましくは圧縮コイルスプリング7であるが、他の弾性体を使用することも可能である。圧縮コイルスプリング7を使用する場合は、スリーブ4内の限られたスペースの中に設置しやすくなる。また、コレットチャック装置の構造を簡素化し、組立・分解を簡易に行うことができる。
この圧縮コイルスプリング7の弾性変形によって、両環状テーパ部5,6同士が離反する方向に付勢される結果、図2および図3に示すように、スプリングコレット3の両端の円錐台部3b,3cは夫々噛み合うように閉じ、スプリングコレット3の中心を通るストレート孔3dは縮径した状態となる。
また、図4(B)から明らかなように、スプリングコレット3、環状テーパ部5,6、圧縮コイルスプリング7及びスライダ9からなるスリーブ4内の内蔵部品は、環状テーパ部5を回してスリーブ4から抜き取った後においても、一体化された状態を保つ。したがって、コレットチャック装置のメンテナンスが簡易化され、コレットチャック装置内からのワークWa,Wb,Wcの破片等異物の除去も簡易に行うことができる。
次に、上記構成のコレットチャック装置の作用について説明する。
最初にコレットチャック装置の組立方法について説明すると、図5において、スプリングコレット3の小径側の円錐台部3cを縮めながらテーパブッシュである環状テーパ部5の中心穴を通過させ、圧縮コイルスプリング7内を通過させ、スライダ9の中心穴を通過させる。
さらに、圧縮コイルスプリング7を圧縮しながら、二つ割りのテーパカラーからなる環状テーパ部6をスプリングコレット3の小径側の円錐台部3cに被せ、圧縮コイルスプリング7に対する圧縮力を徐々に解除する。
これにより、スプリングコレット3の両円錐台部3b,3cは、圧縮コイルスプリング7の反発力を両環状テーパ部5,6からテーパ面1,2,5a,6aを介して受けることによって収縮した状態となる。
この状態がスプリングコレット3の最も収縮した状態であり、スプリングコレット3の大径側円錐台部3bはテーパブッシュである環状テーパ部5の中心穴を通過できず、スプリングコレット3の小径側円錐台部3cもテーパカラーである環状テーパ部6の中心穴を通過することができない。
そこで、テーパブッシュである環状テーパ部5をスリーブ4内にネジ込むと、スプリングコレット3、圧縮コイルスプリング7、両環状テーパ部5,6、およびスライダ9は、スリーブ4内に組み付けられ一体化される。
これにより、スプリングコレット3、圧縮コイルスプリング7、両環状テーパ部5,6、スライダ9は、コレットチャック装置内において一体化された内蔵物となる。
このコレットチャック装置は、そのスリーブ4の外側に軸受、歯車等が組み付けられることにより、実際の加工装置に組み込まれる。
加工装置によってワークWa,Wb,Wcを加工する際は、図4(A)に示す状態において、図示しない加工装置の駆動部品により、圧縮コイルスプリング7の付勢力に抗するように小径側の環状テーパ部6がスリーブ4内へと押し込まれる。これにより、スライダ9がスリーブ4の奥へとスライドし、圧縮コイルスプリング7が両環状テーパ部5,6間で圧縮され、各環状テーパ部5,6のテーパ面5a,6aとスプリングコレット3の各テーパ面1,2との当接が緩められる。その結果、図6乃至図9に示す如く、スプリングコレット3が拡径し自由状態に戻る。
そこで、図10乃至図12の下半分に示すように、細いワークWaがスプリングコレット3のストレート孔3d内に通される。ワークWaとしては、例えば細長いガラス管等のような脆弱な棒材とすることができる。
続いて、小径側の環状テーパ部6からスリーブ4内への押し込み力が解除されると、圧縮コイルスプリング7の付勢力によって再び各環状テーパ部のテーパ面5a,6aとスプリングコレット3の各テーパ面1,2とが強く当接する。その結果、スプリングコレット3が縮径することによって、ワークWaがスプリングコレット3によって把握される。
このように、圧縮コイルスプリング7の弾性力を利用することによって、ワークWaがスプリングコレット3によって把握されるので、細長いガラス管等のような脆弱なワークであっても適度なクランプ力で安定的に保持され、クランプによるワークWaの破損が防止される。
また、スプリングコレット3には、一方のテーパ面1又は2側から他方のテーパ面2又は1側へと伸びるスリット状のすり割り8が交互に形成され、かつ、スプリングコレット3の円筒部3aは比較的薄く形成されていることから、全体がワーク外径に略平行に縮径する。しかも、スプリングコレット3の両端部の内周面がワークの外周面を二箇所で外周面と平行面となって把握し、スプリングコレット3の中央部の内周面はワークに接触しない状態となる。これにより、ワークWaはぐらつかず安定的に保持され、加工時のワークWaの破損が防止される。
図10乃至図12の上半分に示すように、同じスプリングコレット3によって、上記ワークWaよりも太いワークWbを把握することも可能である。その場合は、圧縮コイルスプリング7が更に縮むので、スプリングコレット3はワークWbをより強いクランプ力で把握することとなる。
この場合もスプリングコレット3の全体がワークWbの外周面に略平行に縮径し、かつ両端部の内周面がワークWbの外周面を二箇所で外周面と平行面となって把握し、中央部の内周面はワークWbに非接触位置を保つ。これにより、ワークWbはぐらつかず安定的に保持される。
また、スプリングコレット3には、一方のテーパ面1又は2側から他方のテーパ面2又は1側へと伸びるスリット状のすり割り8が交互に形成され、かつ、スプリングコレット3の円筒部3aは比較的薄く形成されていることから、図13に示すように、ワークWcが挿入されたうえで圧縮コイルスプリング7の付勢力が作用すると、スプリングコレット3の全体がワークWcの外周面に略平行に縮径し、かつ両端部の内周面がワークWcの外周面を二箇所でこの外周面と平行面となって把握し、中央部の内周面はワークWcに非接触位置を保つ。これにより、ワークWcはぐらつかず安定的に保持される。すなわち、図13に示すように、段差w、テーパ等の存在により外径寸法に差があるワークWcであってもその前後部を把握し、ワークWcの軸心をスリーブ4の軸心に合致させることができる。また、材料通し孔3dがストレート内径のスプリングコレット3であっても、テーパや段差wの存在により外径寸法に多少の差があるワークWcを的確に把握することができる。
ワークWa,Wb,Wcの加工が終了し、ワークWa,Wb,Wcをコレットチャック装置から取り外す場合は、図示しない加工装置の駆動部品により、小径側の環状テーパ部材6がスライダ9と共に圧縮コイルスプリング7の付勢力に抗するようにスリーブ4側に押し込まれる。これによりスライダ9はスリーブ4の奥の方へとスライドし、圧縮コイルスプリング7は圧縮され、各環状テーパ部5,6のテーパ面5a,6aとスプリングコレット3のテーパ面1,2との当接が緩められる。その結果、スプリングコレット3の両端が拡径し、ワークWa,Wb,Wcがスプリングコレット3から解放される。
加工済みのワークWa,Wb,Wcはスプリングコレット3のストレート孔3dから抜き取られ、代わりに未加工のワークWa,Wb,Wcがストレート孔3dに挿入され、再び上記操作が行われてコレットチャック装置にクランプされ、ワークWa,Wb,Wcに対する加工が行われる。
なお、仮にワークWa,Wb,Wcがコレットチャック装置内で破損した場合であっても、環状テーパ部5とスリーブ4との間の雌雄ネジ4a,5bを緩めることにより、このコレットチャック装置内で一体化されたスプリングコレット3等の内蔵物を一体化状態のまま加工機から取り外すことによって、破片等を容易にコレットチャック装置内から除去することができる。
また、この加工機から取り外したスプリングコレット3内からワークWa,Wb,Wcの破片等を容易に除去することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。
本発明に係るコレットチャック装置の最も縮んだ状態の斜視図である。 図1に示すコレットチャック装置の最も縮んだ状態の右側面図である。 図1に示すコレットチャック装置の左側面図である。 (A)は図2中、IV−IV線矢視断面図、(B)は、スプリングコレット等を一体でスリーブから取り出した状態を示す図である。 本発明に係るコレットチャック装置の分解斜視図である。 スプリングコレットの自由状態の斜視図である。 スプリングコレットの自由状態の右側面図である。 スプリングコレットの自由状態の左側面図である。 図7中、IX−IX線矢視断面図である。 上半分は太いワークを把握した状態で示すコレットチャック装置の右側面図であり、下半分は細いワークを把握した状態で示すコレットチャック装置の右側面図である。 上半分は太いワークを把握した状態で示すコレットチャック装置の左側面図であり、下半分は細いワークを把握した状態で示すコレットチャック装置の左側面図である。 図10中、XII−XII線矢視断面図である。 段差のあるワークを把握した状態で示すコレットチャック装置の図12と同様な断面図である。
符号の説明
1,2,5a,6a…テーパ面
3…スプリングコレット
4…スリーブ
5,6…環状テーパ部
7…圧縮コイルスプリング
8…すり割り
Wa,Wb,Wc…ワーク

Claims (2)

  1. 中心部に細長い脆弱な棒材であるワークが貫通するストレート穴が形成され、両端に夫々テーパ面が形成された拡縮可能なスプリングコレットと、このスプリングコレットを覆うスリーブと、上記両テーパ面に夫々当接するように上記スリーブ内に挿入された環状テーパ部とを具備し、両環状テーパ部の一方又は双方を上記スプリングコレットに対し相対的にスライドさせることにより、上記スプリングコレットを縮径又は拡径させるようにしたコレットチャック装置において、上記両テーパ面及び両環状テーパ部のテーパは、両端のものが軸方向外側に向かって拡開するように形成され、上記スリーブは両端が開口した筒形に形成され、上記両環状テーパ部の一方が上記スリーブに対し取り外し可能に螺合すると共に他方が上記スリーブ内にスライド可能に挿入され、上記スリーブ内における上記両環状テーパ部間には、両環状テーパ部を互いに離反方向に付勢することによって各環状テーパ部と上記スプリングコレットとを夫々各テーパ面で接触させる圧縮コイルスプリングが設けられ、ワーク挿入前は、上記圧縮コイルスプリングの付勢力で上記各環状テーパ部と上記スプリングコレットの各テーパ面が当接することによって、上記スプリングコレットが上記スリーブ内に拘束され、ワーク把握時は、上記圧縮コイルスプリングの付勢力で上記各環状テーパ部と上記スプリングコレットの各テーパ面が当接することによって、上記スプリングコレットの両端部がワークの外周面にワークに破損を来さないクランプ力で当たるように縮径し、ワーク解放時に、上記他方の環状テーパ部を上記圧縮コイルスプリングの付勢力に抗するようにスライドさせると、上記各環状テーパ部と上記スプリングコレットの各テーパ面の当接が緩められることによって、スプリングコレットが拡径するようにしたことを特徴とするコレットチャック装置。
  2. 請求項1に記載のコレットチャック装置において、上記スプリングコレットには一方のテーパ面側から他方のテーパ面側へと伸びるすり割りが交互に形成され、ワーク把握時に、上記圧縮コイルスプリングの付勢力、及び上記各環状テーパ部と上記スプリングコレットの各テーパ面での当接によって、上記スプリングコレットの全体がワーク外周面に略平行に縮径した後、上記スプリングコレットの両端部の内周面がワーク外周面を把握するが、上記スプリングコレットの中央部の内周面はワークに接触しない状態となるようにしたことを特徴とするコレットチャック装置。
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