以下の説明及び図面においては、同一の部品には同一の参照符号及び名称を付してある。それらの機能も同様である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
〈構成〉
図2は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置1の正面図であり、図3は、図2に示す画像形成装置1の左側面図である。図2及び図3を参照して、画像形成装置1は、インクジェット方式のプリンタ装置である。画像形成装置1は、画面が正面を向くように設けられる液晶モニタ10、この状態の液晶モニタ10の鉛直方向下端よりも下方に設けられる筺体12、及び、液晶モニタ10を上下方向に回動可能に筺体12と接続するヒンジ部14を含む。
液晶モニタ10は、液晶ディスプレイからなる画面を含む。液晶モニタ10は、PCの表示装置としての機能を有し、PCの処理結果等を表示する。液晶モニタ10の画面サイズとしては、当該分野において一般的なサイズであれば特に限定されないが、液晶モニタ10を上下方向に回動し易いサイズである、15インチサイズ〜24インチサイズであることが好ましい。本実施の形態では、画面サイズが16インチサイズ(縦298mm×横380mm)の液晶モニタ10を使用する。液晶モニタ10は、ユーザの目線の高さ及び作業効率等を考慮して、画面が正面を向いた状態であるときに、液晶モニタ10の鉛直方向下端が、画像形成装置1が設置される作業台の設置面から90mm程度離れて位置するように設けられることが好ましい。
液晶モニタ10は、また、PC本体としての機能を有する。すなわち、液晶モニタ10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read−Only Memory)、及び、RAM(Random Access Memory)等を搭載したPC主要基板(図示せず。)、並びに、PC周辺機器等を接続するための各種インターフェイス(図示せず。)を含み、これらと一体化されている。CPUは、ROM等に記憶される各種コンピュータプログラムに従って、画像形成装置1の各部を制御する。インターフェイスには、ユーザの指示等に応じた各種入力を行なうためのキーボード及びマウス等の入力装置(図示せず。)が接続される。例えば、液晶モニタ10の画面には、「印刷」メニュー、「排紙」メニュー、「裏面印刷」メニュー及び「裏面読取り」メニュー等の各種メニューが表示され、ユーザは、入力装置を用いた入力操作によって、上記した各種メニューの中から所望のメニューを選択できる。
筺体12は、内部空間を有する略直方体状の部材である。筺体12は、液晶モニタ10の画像の正立方向に沿った下側に設けられる。ここで、画像の正立方向とは、液晶モニタ10に正常に表示される正立画像が向く方向である。正立画像とは、画像の上下及び左右方向が被写体のものと同じ画像のことである。筺体12のサイズとしては、画像形成装置1が設置される作業台の一般的な大きさ(幅1200mm×奥行き900mm程度)を考慮して、横幅(D)は液晶モニタ10の横幅と同程度であるかそれよりも小さいことが好ましく、奥行き(L)は200mm程度であることが好ましい。また、筺体12の直方体部分の高さ(H)としては、画面が正面を向いた状態の液晶モニタ10の鉛直方向上端よりも小さいことが好ましく、特には、液晶モニタ10の鉛直方向下端よりも小さいことが好ましい。本実施の形態では、筺体12として、横幅(D)320mm×高さ(H)90mm×奥行き(L)160mmの略直方体状のものを使用する。
図4は、図2に示す画像形成装置1の2−2線断面図である。図4を参照して、筺体12の正面及び上面にわたって、前カバー122が設けられる。前カバー122は、筺体12の上面に設けられる、筺体12の横幅(D)方向に延びる支点軸(図示せず。)を中心として上下方向に回動可能に設けられる。ユーザは、前カバー122を回動させることで、前カバー122を筺体12に対して開状態又は閉状態にすることができる。
筺体12の正面下部には、原稿又は記録用紙(以下これらを単に「用紙」と記す場合がある。)の給紙口及び排紙口として機能する開口である給排紙口124が形成される。給排紙口124は、前カバー122が閉状態のとき、前カバー122の下方に位置するように形成される。本実施の形態において、筺体12は、画面が正面を向いた状態である液晶モニタ10の鉛直方向下端よりも下方に設けられるので、給排紙口124は、上記した状態の液晶モニタ10の鉛直方向下端よりも下方に形成される。
筺体12内部において、給排紙口124の近傍には、給排紙口124に対する用紙の挿入を検知するための入紙検知スイッチ(図示せず。)が設けられる。この入紙検知スイッチは、用紙の挿入を検知すると、液晶モニタ10内部に設けられるCPUに対し、入紙検知信号を送信する。
液晶モニタ10の背面側における筺体12の上面には、鉛直方向上方に向かって延びる上部搬送部126が形成される。上部搬送部126の内部には、用紙を鉛直方向上方又は下方に向かって通過させるための空間である上部搬送経路128が形成される。上部搬送部126は、上部搬送経路128を介して、筺体12の内部空間と外部空間とを連通する。
筺体12内部には、給排紙ローラ20、PS(Paper Stop)ローラ22及び切替ローラ24が、筺体12の正面側から背面側に向けて、この順に並ぶように設けられる。切替ローラ24の上方であって上部搬送部126の下方には、搬送ローラ26が設けられる。給排紙ローラ20、PSローラ22、切替ローラ24及び搬送ローラ26は、筺体12内部に設けられる駆動源であるメインモータ(図示せず。)の回転が、回転伝達機構(図示せず。)を介して伝達されることによって、正回転又は逆回転する。
メインモータが正回転する場合には上記した4つのローラは正回転する。これによって、給排紙口124から挿入される用紙は、給排紙ローラ20及びPSローラ22を通過した後、筺体12背面側の切替ローラ24及び搬送ローラ26の周囲を通過して、上部搬送経路128内に到達する。以下、このメインモータ正回転時の用紙搬送方向を第1の搬送方向と記す。
メインモータが逆回転する場合には上記した4つのローラは逆回転する。これによって、上部搬送経路128内にある用紙は、筺体12背面側の搬送ローラ26及び切替ローラ24の周囲を通過した後、PSローラ22及び給排紙ローラ20を通過して、給排紙口124から排出される。以下、このメインモータ逆回転時の用紙搬送方向を第2の搬送方向と記す。
給排紙ローラ20は、給排紙口124に臨むように設けられるローラ部材である。給排紙ローラ20は、給排紙ローラ20に対して弾性付勢される従動ローラと一対のローラ対を形成し、このローラ対の間に用紙を通すことによって、用紙を所定の搬送方向に搬送する。
給排紙ローラ20とPSローラ22との間であって、用紙の通過位置の上方には、インクキャリッジ28が設けられる。インクキャリッジ28は、用紙に対して画像形成を行なう走査型のインクヘッド282と、インクを貯留するインクタンク284とを含む。インクヘッド282及びインクタンク284は、筺体12に対して着脱可能に設けられる。インクキャリッジ28は、筺体12の横幅(D)方向に延びるシャフト30上を往復運動して印刷を行なうことで、第2の搬送方向に搬送される用紙に対し、第2の搬送方向に対して垂直方向(以下「主走査方向」と記す。)の印刷走査を円滑に行なう。
PSローラ22は、PSローラ22に対して弾性付勢される従動ローラと一対のローラ対を形成し、このローラ対の間に用紙を通すことによって、用紙を所定の搬送方向に搬送するローラ部材である。PSローラ22は、用紙を第2の搬送方向に搬送する際には、用紙の第2の搬送方向先端がPSローラ22に突き当たるまで回転を一時的に停止する。そして、用紙の第2の搬送方向先端と印刷画像の先端とが重なるようにタイミングを調整して回転を開始し、用紙をインクキャリッジ28に向けて送出する。
PSローラ22と切替ローラ24との間であって、用紙の通過位置の下方には、搬送ガイド32が設けられる。搬送ガイド32は、第1及び第2の搬送方向に沿って設けられる板状部材であって、用紙を切替ローラ24又はPSローラ22に対して導く役割を果たす。本実施の形態において、搬送ガイド32には、樹脂からなる板状部材の上面に、板金が貼付けられたものを使用する。
搬送ガイド32の上方であって、用紙の通過位置の上方には、画像読取部34が設けられる。画像読取部34は、スキャナ装置及びファクシミリ装置等において一般的に使用されるものであれば特に限定されない。例えば、LED(Light Emitting Diode)等からなる露光ランプと、セルフォック(登録商標)レンズと、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の密着イメージセンサ(CIS(Contact Image Sensor))とを含むユニットからなるもの等を使用できる。このような画像読取部34において、露光ランプは、搬送される用紙の表面に対して上方から光を照射する。セルフォック(登録商標)レンズは、原稿からの反射光を集光する。CISは、集光した反射光を光電変換し、得られた画像信号をCPUに対して出力する。上記したCISには、例えば、市販品(商品名:HE06G−W01、キャノン・コンポーネンツ株式会社製)等を使用できる。画像読取部34は、その下方を用紙が通過する際に、用紙表面に予め形成される原稿画像を主走査方向に繰返し読取り、光学的に読取った画像情報を画像信号に変換してCPUに対して出力する。
PSローラ22と切替ローラ24との間であって、搬送ガイド32の第1の搬送方向下流側には、案内爪36が設けられる。案内爪36は、用紙の通過位置の下方に、長手方向一端部に設けられる支点を中心に回動可能に設けられる爪状部材である。案内爪36は、用紙が第1又は第2の搬送方向に搬送される際には、搬送方向に沿う姿勢、すなわち、用紙の搬送経路から離間した姿勢に切替えられる。一方、用紙の表裏を反転する際には、第2の搬送方向に搬送される用紙の搬送経路を遮る姿勢に切替えられる。これによって、案内爪36は、用紙を反転する際には、第2の搬送方向に搬送される用紙を、切替ローラ24の周囲を筺体12の背面側から正面側に向けて周回させるように導いて搬送方向上流側に戻し、上部搬送経路128に再度到達させる。以下、この用紙反転時の用紙搬送方向を第3の搬送方向と記す。
切替ローラ24は、切替ローラ24に対して弾性付勢される従動ローラと一対のローラ対を形成し、このローラ対の間に用紙を通すことによって、用紙を所定の搬送方向に搬送するローラ部材である。切替ローラ24の正回転時には、用紙は第1の搬送方向に搬送される。切替ローラ24の逆回転時において、案内爪36が用紙の搬送経路から離間した姿勢である場合には、用紙は、筺体12の背面側の切替ローラ24の周囲を通過して、第2の搬送方向に搬送される。一方、案内爪36が用紙の搬送経路を遮る姿勢である場合には、用紙は、切替ローラ24の周囲を筺体12の背面側から正面側に向かって周回することで、第3の搬送方向に搬送される。切替ローラ24の外径としては、特に限定されないが、40mm〜60mmであることが好ましい。本実施の形態では、外径50mmの切替ローラ24を使用する。切替ローラ24の外径が40mmより小さい場合、厚紙からなる用紙の搬送が困難になるおそれがある。
搬送ローラ26は、筺体12の背面側において、搬送ローラ26に対して弾性付勢される従動ローラとローラ対を形成するとともに、筺体12の正面側において、搬送ローラ26に対して弾性付勢される従動ローラとローラ対を形成するローラ部材である。搬送ローラは、筺体12の背面側及び正面側に形成されるローラ対の間に用紙を通すことによって、用紙を所定の搬送方向に搬送する。
ヒンジ部14は、上部搬送部126の鉛直方向上方向の先端部に、液晶モニタ10の画面の横方向に所定の間隔を有して2つ設けられる。この2つのヒンジ部14は、液晶モニタ10の背面における対向する部分にそれぞれ接続される。これによって、液晶モニタ10は、ヒンジ部14を支点として上下方向に回動可能に設けられる。ユーザは、例えば手動によって、液晶モニタ10を回動させることで、画面の向く方向を自在に変えることができる。
図5は、液晶モニタ10を上方向に回動させたときの画像形成装置1の正面図であり、図6は、図5に示す画像形成装置1の左側面図である。図5及び図6を参照して、ユーザは、液晶モニタ10を回動させることで、画面が鉛直方向上方を向くようにすることができる。これによって、前カバー122を筺体12に対して開状態となるように回動させ易くなる。したがって、ユーザは、インクタンク284及びインクヘッド282等の部材の交換、紙詰まり状態の用紙の除去、並びに、筺体12内部に設けられる各種ローラ、搬送ガイド32及びインクキャリッジ28等の部材の清掃等をより一層容易に行なうことができる。
画像形成装置1の各部には電源(図示せず。)が接続され、この電源から電力が供給されることで、画像形成装置1の各部が動作する。
〈動作〉
図7〜図14を参照して、画像形成装置1は、以下のように動作する。なお、以下に示す動作を除く画像形成装置1の動作は、従来の一般的な画像形成装置の動作と同じである。また、以下に示す動作において特に断りがない場合には、案内爪36は用紙の搬送経路から離間した姿勢である。
[原稿から原稿画像の読取りを行なう場合]
図7〜図10は、原稿から原稿画像の読取りを行なう場合における画像形成装置1の動作を示す図である。
図7(A)を参照して、ユーザは、まず、原稿Dを給排紙口124に挿入する。入紙検知スイッチは、原稿Dの挿入を検知し、入紙検知信号をCPUに対して送信する。入力検知信号を受信すると、CPUは、メインモータを正方向に回転駆動させる。このメインモータの回転は、回転伝達機構を介して給排紙ローラ20、PSローラ22、切替ローラ24及び搬送ローラ26に対して伝達され、これによって、これらのローラが正回転される。
図7(B)を参照して、原稿Dは、給排紙ローラ20によってPSローラ22に対して送出されるとともに、矢符A1に示す第1の搬送方向に沿って、筺体12背面側の切替ローラ24及び搬送ローラ26の周囲を通過して、上部搬送部126内の上部搬送経路128に到達する。このとき、原稿Dは、液晶モニタ10の背面側において、その第1の搬送方向A1の先端が上部搬送部126から突出した状態となる。
上記した原稿Dの第1の搬送方向A1の搬送途中において、画像読取部34は、原稿Dが画像読取部34の下方を通過する際に、原稿D表面の画像情報を読取り、読取った画像情報に基づく画像信号をCPUに対して出力する。
CPUは、画像読取部34から入力される画像信号に基づいて、原稿D表面に原稿画像が予め形成されているか否かを判定する。CPUは、原稿画像が予め形成されていると判定すると、入力された画像信号に基づくPDFデータを作成し、作成したPDFデータに基づく画像を、液晶モニタ10に対して表示させる。
CPUは、また、画像読取部34から入力される画像信号に基づいて、搬送ガイド32表面の板金と原稿Dとの違いを読取ることで、原稿Dの第1の搬送方向A1における先端と終端とを検知する。そして、検知結果に基づいて原稿Dの搬送位置を求め、求めた結果に基づいて、メインモータの回転を制御する。CPUは、原稿Dの第1の搬送方向A1における終端が、搬送ローラ26を通過したと判定すると、メインモータの正回転を停止させる。
ユーザは、PDFデータの確認後、液晶モニタ10に表示される各種メニューから、入力装置を用いた入力操作によって「排紙」メニューを選択する。「排紙」メニューが選択されると、CPUは、メインモータを逆方向に回転駆動させる。このメインモータの回転は、回転伝達機構を介して給排紙ローラ20、PSローラ22、切替ローラ24及び搬送ローラ26に対して伝達され、これによって、これらのローラが逆回転される。
図8(C)を参照して、原稿Dは、矢符A2に示す第2の搬送方向に沿って、筺体12背面側の搬送ローラ26及び切替ローラ24の周囲を通過した後、PSローラ22及び給排紙ローラ20を通過して、給排紙口124から排紙される。ユーザが原稿Dの片面読取りを所望する場合には、ユーザは排紙された原稿Dを給排紙口124から取出す。一方、原稿Dの両面読取りを所望する場合には、ユーザは、液晶モニタ10に表示される各種メニューから、入力装置を用いた入力操作によって「裏面読取り」メニューを選択する。
図8(D)を参照して、「裏面読取り」メニューが選択されると、CPUは、メインモータを正方向に回転駆動させる。このメインモータの回転は、回転伝達機構を介して給排紙ローラ20、PSローラ22、切替ローラ24及び搬送ローラ26に対して伝達され、これによって、これらのローラが正方向に回転される。原稿Dは、給排紙ローラ20によってPSローラ22に対して送出されるとともに、第1の搬送方向A1に沿って、筺体12背面側の切替ローラ24及び搬送ローラ26の周囲を通過する。
このとき、画像読取部34は、上記と同様にして原稿D表面の画像を読取り、CPUは、上記と同様にして画像読取部34から入力される画像信号に基づいて、原稿Dの第1の搬送方向A1における先端と終端とを検知する。そして、検知結果に基づいて原稿Dの搬送位置を求める。
図9(E)及び図9(F)を参照して、CPUは、原稿Dの第1の搬送方向A1における終端が切替ローラ24を通過したと判定すると、メインモータを逆方向に回転駆動させるとともに、案内爪36の姿勢を、第2の搬送方向A2に向かう原稿Dの搬送経路を遮る姿勢に切替える。上記したメインモータの逆回転は、回転伝達機構を介して切替ローラ24及び搬送ローラ26に対して伝達され、これによって、これらのローラが逆回転される。この切替ローラ24及び搬送ローラ26の逆回転開始時には、原稿Dは、液晶モニタ10の背面側において、その第1搬送方向A1の先端が上部搬送部126から突出した状態である。原稿Dは、この状態から、切替ローラ24及び搬送ローラ26の逆回転に伴って、切替ローラ24及び搬送ローラ26の周囲を筺体12の背面側から正面側に向かって周回することで、矢符A3に示す第3の搬送方向に搬送される。これによって、原稿Dの裏表は反転する。
図10(G)及び図10(H)を参照して、CPUは、原稿Dの第3の搬送方向A3における終端が搬送ローラ26を通過したと判定すると、案内爪36の姿勢を、案内爪36が第2の搬送方向A2に向かう原稿Dの搬送経路から離間した姿勢に切替える。原稿Dは、切替ローラ24及び搬送ローラ26の逆回転に伴って、第2の搬送方向A2に沿って、筺体12背面側の搬送ローラ26及び切替ローラ24の周囲を通過した後、PSローラ22及び給排紙ローラ20を通過して、給排紙口124から排紙される。
上記した原稿Dの第2の搬送方向A2の搬送途中において、画像読取部34は、原稿Dが画像読取部34の下方を通過する際に、原稿D表面の画像情報を読取り、読取った画像情報に基づく画像信号をCPUに対して出力する。
CPUは、画像読取部34から入力される画像信号に基づいて、原稿D表面に原稿画像が予め形成されているか否かを判定する。CPUは、原稿画像が予め形成されていると判定すると、入力された画像信号に基づくPDFデータを作成し、作成したPDFデータに基づく画像を、液晶モニタ10に対して表示させる。ユーザは、PDFデータを確認し、両面読取りされた原稿Dを給排紙口124から取出す。
[記録用紙に対して印刷を行なう場合]
図11〜図14は、記録用紙に対して印刷を行なう場合における画像形成装置1の動作を示す図である。
図11(A)を参照して、ユーザは、まず、記録用紙Pを給排紙口124に挿入する。入紙検知スイッチは、記録用紙Pの挿入を検知し、入紙検知信号をCPUに対して送信する。入力検知信号を受信すると、CPUは、メインモータを正方向に回転駆動させる。このメインモータの回転は、回転伝達機構を介して給排紙ローラ20、PSローラ22、切替ローラ24及び搬送ローラ26に対して伝達され、これによって、これらのローラが正回転される。
図11(B)を参照して、記録用紙Pは、給排紙ローラ20によってPSローラ22に対して送出されるとともに、第1の搬送方向A1に沿って、筺体12背面側の切替ローラ24及び搬送ローラ26の周囲を通過して、上部搬送部126内の上部搬送経路128に到達する。このとき、記録用紙Pは、液晶モニタ10の背面側において、その第1の搬送方向A1の先端が上部搬送部126から突出した状態となる。
上記した記録用紙Pの第1の搬送方向A1の搬送途中において、画像読取部34は、記録用紙Pが画像読取部34の下方を通過する際に、記録用紙P表面の画像情報を読取り、読取った画像情報に基づく画像信号をCPUに対して出力する。
CPUは、画像読取部34から入力される画像信号に基づいて、記録用紙P表面に原稿画像が予め形成されているか否かを判定する。CPUは、原稿画像が予め形成されていないと判定すると、液晶モニタ10に対し、例えば「画像が印刷されていません。」等のメッセージを表示させる。この場合、記録用紙Pの待機中であることを報知するメッセージを表示させてもよい。
CPUは、また、画像読取部34から入力される画像信号に基づいて、搬送ガイド32表面の板金と記録用紙Pとの違いを読取ることで、記録用紙Pの第1の搬送方向A1における先端と終端とを検知する。そして、検知結果に基づいて記録用紙Pの搬送位置を求め、求めた結果に基づいて、メインモータの回転を制御する。CPUは、記録用紙Pの第1の搬送方向A1における終端が、搬送ローラ26を通過したと判定すると、メインモータの正回転を停止させる。
ユーザは、メッセージの確認後、液晶モニタ10に表示される各種メニューから、入力装置を用いた入力操作によって「印刷」メニューを選択する。「印刷」メニューが選択されると、CPUは、メインモータを逆方向に回転駆動させる。このメインモータの回転は、回転伝達機構を介して給排紙ローラ20、切替ローラ24及び搬送ローラ26に対して伝達され、これによって、これらのローラが逆回転される。このとき、PSローラ22にはメインモータの回転は伝達されず、PSローラ22の回転は一時的に停止された状態である。
図12(C)を参照して、記録用紙Pは、第2の搬送方向A2に沿って、筺体12背面側の搬送ローラ26及び切替ローラ24の周囲を通過し、記録用紙Pの第2の搬送方向A2の先端がPSローラ22に突き当たるまで搬送される。PSローラ22は、メインモータの回転の伝達による回転を開始するタイミングを調整することで、記録用紙Pの第2の搬送方向A2の先端と印刷画像の先端とが重なるように、記録用紙Pをインクキャリッジ28に対して搬送する。インクキャリッジ28は、シャフト30上を往復運動して、搬送された記録用紙Pに対して所望の画像の印刷を行なう。この印刷画像は、入力装置を用いた入力操作等によって、ユーザによって予め選択された画像データに基づく画像である。
画像が印刷された記録用紙Pは、給排紙ローラ20の回転によって、給排紙口124から排紙される。ユーザが画像の片面印刷を所望する場合には、ユーザは排紙された記録用紙Pを給排紙口124から取出す。一方、画像の両面印刷を所望する場合には、ユーザは、液晶モニタ10に表示される各種メニューから、入力装置を用いた入力操作によって「裏面印刷」メニューを選択する。
図12(D)を参照して、「裏面印刷」メニューが選択されると、CPUは、メインモータを正方向に回転駆動させる。このメインモータの回転は、回転伝達機構を介して給排紙ローラ20、PSローラ22、切替ローラ24及び搬送ローラ26に対して伝達され、これによって、これらのローラが正方向に回転される。記録用紙Pは、給排紙ローラ20によってPSローラ22に対して送出されるとともに、第1の搬送方向A1に沿って、筺体12背面側の切替ローラ24及び搬送ローラ26の周囲を通過する。
このとき、画像読取部34は、上記と同様にして記録用紙P表面の画像を読取り、CPUは、上記と同様にして、画像読取部34から入力される画像信号に基づいて、記録用紙Pの第1の搬送方向A1における先端と終端とを検知する。そして、検知結果に基づいて記録用紙Pの搬送位置を求める。
図13(E)及び図13(F)を参照して、CPUは、記録用紙Pの第1の搬送方向A1における終端が切替ローラ24を通過したと判定すると、メインモータを逆方向に回転駆動させるとともに、案内爪36の姿勢を、第2の搬送方向A2に向かう記録用紙Pの搬送経路を遮る姿勢に切替える。上記したメインモータの逆回転は、回転伝達機構を介して切替ローラ24及び搬送ローラ26に対して伝達され、これによって、これらのローラが逆回転される。この切替ローラ24及び搬送ローラ26の逆回転開始時には、記録用紙Pは、液晶モニタ10の背面側において、その第1搬送方向A1の先端が上部搬送部126から突出した状態である。記録用紙Pは、この状態から、切替ローラ24及び搬送ローラ26の逆回転に伴って、切替ローラ24及び搬送ローラ26の周囲を筺体12の背面側から正面側に向かって周回することで、第3の搬送方向A3に搬送される。これによって、記録用紙Pの裏表は反転する。
図14(G)及び図14(H)を参照して、CPUは、記録用紙Pの第3の搬送方向A3における終端が搬送ローラ26を通過したと判定すると、案内爪36の姿勢を、案内爪36が第2の搬送方向A2に向かう記録用紙Pの搬送経路から離間した姿勢に切替える。記録用紙Pは、切替ローラ24及び搬送ローラ26の逆回転に伴って、第2の搬送方向A2に沿って、筺体12背面側の搬送ローラ26及び切替ローラ24の周囲を通過し、記録用紙Pの第2の搬送方向A2の先端がPSローラ22に突き当たるまで搬送される。PSローラ22は、メインモータの回転の伝達による回転を開始するタイミングを調整することで、記録用紙Pの第2の搬送方向A2の先端と印刷画像の先端とが重なるように、記録用紙Pをインクキャリッジ28に対して搬送する。インクキャリッジ28は、シャフト30上を往復運動して、搬送された記録用紙Pに対して所望の画像の印刷を行なう。
画像が印刷された記録用紙Pは、給排紙ローラ20の回転によって、給排紙口124から排紙される。ユーザは両面印刷された記録用紙Pを給排紙口124から取出す。
〈作用・効果〉
上記実施の形態によれば、画像形成装置1は、画面が正面を向くように設けられる液晶モニタ10と、液晶モニタ10の画像の正立方向に沿った下側に設けられ、液晶モニタ10の鉛直方向下端よりも下方に給排紙口124が形成される筺体12と、筺体12内部に設けられ、給排紙口124から挿入される用紙を、給排紙口124から第1の搬送方向に向けて搬送する切替ローラ24と、切替ローラ24に対して第1の搬送方向上流側に設けられ、用紙に対して所定の画像を印刷するインクキャリッジ28と、切替ローラ24の回転を制御するCPUとを含み、CPUは、用紙の第1の搬送方向終端が切替ローラ24を通過した後、切替ローラ24を逆回転させる。
このように、切替ローラ24は、筺体12の給排紙口124から挿入される用紙を第1の搬送方向に搬送し、CPUは、用紙の第1の搬送方向終端が切替ローラ24を通過した後に、切替ローラ24を逆回転させるので、用紙は第1の搬送方向の逆方向に搬送されて、給排紙口124から排出される。これによって、用紙の給紙経路と排紙経路とを兼用できるとともに、給排紙口124は給紙口及び排紙口として機能するので、給紙経路及び排紙経路、並びに、給紙口及び排紙口をそれぞれ別々に設ける場合と比較して、装置をより小型化できるとともに、用紙を痛めることなく用紙を搬送できる。また、液晶モニタ10は、一般的に、ユーザの目線の高さ及び作業効率等を考慮して、液晶モニタ10の鉛直方向下端が、作業台の設置面から90mm程度離れた位置に来るように設置される。上記したように、給排紙口124が液晶モニタ10の鉛直方向下端よりも下方に来るように形成されることによって、液晶モニタ10の下方に生じる空間を有効利用することができる。したがって、画像形成装置1の設置面積をより一層縮小化することができる。
また上記実施の形態によれば、インクキャリッジ28は、切替ローラ24及び搬送ローラ26等の逆回転によって、記録用紙が第2の搬送方向に搬送されるときに、記録用紙に対して所定の画像を印刷する。これによって、記録用紙が第1の搬送方向に搬送されるときに印刷が行なわれる場合と比較して、搬送途中に生じる印刷画像の汚れ等を低減できるので、より一層良好な状態で印刷画像を得ることができる。
また上記実施の形態によれば、画像形成装置1は、切替ローラ24に対して第1の搬送方向上流側に設けられ、原稿に予め形成される原稿画像を読取る画像読取部34をさらに含む。これによって、画像形成装置1は、印刷機能に加えて、スキャナ機能を有するようになるので、ユーザの利便性がより一層向上する。
また上記実施の形態によれば、画像形成装置1において、CPUは、画像読取部34から入力される画像信号に基づいて、用紙の所定の搬送方向先端及び終端を検知する。そして、検知結果に基づいて、メインモータの回転を制御することで切替ローラ24を含む各種ローラの回転を制御する。このように、画像読取部34から入力される画像信号に基づいて検知を行なうので、他の構成を設けることなく用紙の所定の搬送方向先端及び終端を検知することができる。したがって、装置の小型化及び低コスト化をより一層達成できる。
なお、上記実施の形態において、CPUは、画像読取部34から入力される画像信号に基づいて用紙の所定の搬送方向先端及び終端を検知したが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、用紙の所定の搬送方向に対して垂直方向の両端を検知してもよい。これによって、用紙の幅を検知することができるので、インクジェット方式の画像形成装置の問題の1つである、用紙のない部分に対するインクの吹出しを低減することができる。したがって、筺体12内部の汚染を防ぐことができる。
また上記実施の形態によれば、画像形成装置1において、CPUは、画像読取部34から入力される画像信号に基づいて、用紙に原稿画像があるか否かを判定する。そして、用紙に原稿画像があると判定した場合に、液晶モニタ10に対し、画像信号に基づくPDFデータに基づいて画像を表示させる。これによって、ユーザは、液晶モニタ10に表示された画像を見ることで、読取られた原稿画像を確認することができる。したがって、ユーザの利便性がより一層向上する。
また上記実施の形態では、インクキャリッジ28及び画像読取部34は、同一の用紙搬送経路に沿って設けられるので、画像読取部34によって読取られた画像を印刷する場合において、読取られた画像と印刷画像との位置ずれをより一層低減できる。したがって、重ね刷りを行なう場合等においてより一層高品質な印刷画像を得ることができる。
また上記実施の形態によれば、画像形成装置1は、「印刷」メニュー等を含む各種メニューからユーザによって選択されたメニューを受付ける入力装置をさらに含み、画像読取部34は、用紙が第1の搬送方向に搬送されるときに原稿画像を読取り、CPUは、用紙の第1の搬送方向終端が切替ローラ24を通過した後であって、入力装置がメニューを受付けたときに、切替ローラ24を含む各種ローラを逆回転させる。これによって、原稿画像が読取られた後ユーザによるメニューの選択がなされるまで、各種ローラの逆回転が待機されるので、ユーザは、液晶モニタ10に表示されたPDFデータに基づく画像等を確認した後に、各種ローラの逆回転を行なうか否かを判断することができる。したがって、ユーザの利便性がより一層向上する。
なお、上記実施の形態では、選択可能なメニューとして、「印刷」メニュー、「排紙」メニュー、「裏面印刷」メニュー、及び、「裏面読取り」メニューが設けられたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、PDFデータのファイリングを行なった後、用紙の排紙を行なう「ファイリング」メニュー、及び、画像データの保存形式を変換した後、用紙の排紙を行なう「変換」メニュー等が設けられてもよい。
また上記実施の形態では、各種メニューを選択する入力装置として、PC用周辺機器であるキーボード及びマウスが使用されたが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。例えば、液晶モニタ10が、タッチパネルと液晶ディスプレイとが重ねて構成されたユーザインタフェイスであり、上記タッチパネルが入力装置として使用されてもよい。
また上記実施の形態によれば、第1の搬送方向は、液晶モニタ10の背面側において、鉛直方向上方に向かう方向である。これによって、搬送中の用紙が鉛直方向に搬送されるようにできるので、第1の搬送方向が水平方向に向かう一方向である場合と比較して、筺体12の奥行きを、一般的な液晶モニタの台座が占めるスペースである200mm以内に収まるように小さくすることができる。したがって、より一層装置の小型化を達成することができ、画像形成装置1の設置面積をさらに縮小することができる。
また上記実施の形態によれば、画像形成装置1は、用紙の表裏を反転させるための用紙反転機構を含む。これによって、両面印刷及び原稿画像の両面読取りが可能になるので、ユーザの利便性がより一層向上する。
また上記実施の形態によれば、用紙反転機構は、第2の搬送方向に搬送される用紙を、切替ローラ24の周囲を周回させるように導いて、搬送方向上流側に戻す案内爪36を含む。このように、大きさの小さい案内爪36を使用するので、装置を大きくすることなく用紙の反転を行なうことができる。したがって、装置の小型化をより一層達成することができる。また、反転用の用紙搬送経路を新たに設ける必要がないので、用紙を痛めることなく用紙の反転及び搬送を行なうことができる。
また上記実施の形態によれば、インクキャリッジ28は、インクを貯留するインクタンク284と、インクを用いて、用紙に対して所定の画像を印刷する走査型のインクヘッド282と、を含む。このように、画像形成装置1は、インクジェット方式を採用するので、消費電力が低く印刷コストをより一層安価に抑えることが可能な画像形成装置を得ることができる。
また上記実施の形態によれば、画像形成装置1は、筺体12に対して開閉可能に形成される前カバー122を含む。これによって、ユーザは、前カバー122を開状態にすることで筺体12内部を開放できる。したがって、インクタンク284及びインクヘッド282等の部材の交換、紙詰まり状態の用紙の除去、並びに、筺体12内部に設けられる各種ローラ、搬送ガイド32及びインクキャリッジ28等の部材の清掃等を容易に行なうことができる。
また上記実施の形態によれば、液晶モニタ10は、上下方向に回動可能に設けられる。これによって、ユーザは、座った状態又は立った状態等の状態に影響されることなく、所望の方向から画面を確認することができる。したがって、台座上に設置され、傾き可能な角度が5度程度の一般的な液晶モニタを使用する場合と比較してより一層ユーザの利便性が向上する。また、画面が鉛直方向上方を向くようにすることによって、前カバー122を筺体12に対して開状態となるように回動させ易くなるので、インクタンク284及びインクヘッド282等の部材の交換、紙詰まり状態の用紙の除去、並びに、筺体12内部に設けられる各種ローラ、搬送ガイド32及びインクキャリッジ28等の部材の清掃等をより一層容易に行なうことができる。
また上記実施の形態によれば、液晶モニタ10は、PCの周辺機器として機能する。これによって、PC用周辺機器の設置面積を縮小することができる。また、PCによって、液晶モニタ10に表示された画像の編集、並びに、印刷動作及び原稿画像の読取り動作等の各部の動作を直接制御できるので、ユーザの利便性がさらに向上する。
また上記実施の形態によれば、給排紙口124の近傍に設けられる入紙検知スイッチによって用紙の挿入が検知されると、CPUは各種ローラを正回転させる。このように、各種ローラは、給排紙口124から挿入される用紙を第1の搬送方向に向けて自動的に搬送する。また、画像読取部34は、第1の搬送方向に搬送される用紙表面の画像を自動的に読取る。したがって、ユーザは、用紙の挿入前に、用紙搬送及び画像読取等を要求する指示等を行なう手間を省くことができ、ユーザの利便性がさらに向上する。
今回開示された実施の形態は単に例示であって、この発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。この発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。