JP5355541B2 - 消臭エアゾール製品 - Google Patents

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Description

本発明は、消臭エアゾール製品、詳しくは、中性パーマ剤や酸性パーマ剤を使用する際に生じる悪臭を防止する消臭エアゾール製品に関する。
一般的なパーマ剤としては、アンモニアやモノエタノールアミンなどのアルカリ剤と、チオグリコール酸等の還元剤とを含む第1剤と、臭素酸塩や過酸化水素などの酸化剤を含む第2剤とからなるパーマ剤が知られている。
このようなパーマ剤を用いて、パーマネントウェーブを施術すると、パーマ剤に含まれるチオグリコール酸やアンモニアなどの成分に起因する不快臭が発生するため、従来から、香水などのマスキング型の消臭剤、マレイン酸誘導体などの吸着型の消臭剤、茶葉から抽出されたカテキンエキスや柿の実から抽出されたエキスなどを配合した置換型の消臭剤などが使用されている(例えば特許文献1を参照)。
特開2004−217571号公報
上記一般的なパーマ剤は、毛髪を膨潤させて還元剤を浸透させる作用を有するアルカリ剤を含んでおり、pH8以上のアルカリ性領域において、高いカール形成力(ウェーブ形成力)を発揮する。しかしながら、パーマネントウェーブ施術の際に、被施術者の頭皮や毛髪および施術者の手指が、上述のようなpH値の高いアルカリ性の状態にさらされることで、大きなダメージを受けることが問題視されていた。
そこで、近年では、原料としてシステアミンや2−メルカプト4ブタノリド等を含み、pH値7付近の中性域やpH値が5〜6の酸性域でも、アルカリ性領域で用いるパーマ剤と同等程度のカール形成力を発揮できるパーマ剤が注目されている。当該パーマ剤は、アルカリ性領域で用いられる一般的なパーマ剤と相違して、中性域や酸性域で用いることができるため、頭皮や毛髪などに対するダメージが低減される。
しかしながら、この中性域や酸性域で用いることのできるパーマ剤にはシステアミンや2−メルカプト4ブタノリド等のメルカプタン類が含まれているため、パーマネントウェーブ施術により、一般的なパーマ剤を使用した場合よりも不快な臭いが発生する。このパーマネントウェーブ施術に起因する不快臭は上述した消臭剤によっては十分に消臭することができないという問題があった。
さらに、中性域や酸性域で用いることのできるパーマ剤を用いた場合、一般的なパーマ剤を用いた場合よりも、パーマネントウェーブの施術により形成したカールが取れやすい(カール維持力が低い)という問題もあった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、パーマネントウェーブ施術に起因する不快臭を十分に防止し、毛髪や頭皮へのダメージを低減するとともにカール維持力に優れた消臭エアゾール製品を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
(1)中性域や酸性域で用いることのできるパーマ剤によるパーマネントウェーブ施術後の毛髪に、所定量のグリオキサールを含む消臭剤溶液を用いると、即座にパーマ剤由来の不快臭が消え、かつ、毛髪にハリを与えてカール維持力を高めることができる。
(2)グリオキサールを含む消臭剤溶液をエアゾール容器に充填する構成とすることで、消臭剤溶液を、そのまま使用する場合よりも体積の大きい状態で噴射でき、かつ、毛髪に対してムラなく均一に浸透させることができる。その結果、消臭剤溶液中のグリオキサールの含有量を大幅に少なくしても十分な消臭効果とカール維持力が得られる。さらに、グリオキサールの含有量を少なくすることで、毛髪や頭皮に与えるダメージを顕著に低減することができる。
本発明は上記新規な知見に基づくものである。
すなわち、本発明は、消臭剤を含む消臭剤溶液および噴射剤を耐圧性のエアゾール容器に充填してなり、前記消臭剤溶液は、前記消臭剤溶液および前記噴射剤の総質量に対して0.5質量%以上1.3質量%以下のグリオキサールと、前記消臭剤溶液および前記噴射剤の総質量に対して0.01質量%以上0.05質量%以下のグリチルリチン酸ジカリウムと、を含み、パーマネントウェーブ施術後の毛髪、皮膚、または双方に用いる消臭エアゾール製品である。
本発明の消臭エアゾール製品は、所定量のグリオキサールを含む消臭剤溶液を噴射剤とともに耐圧性のエアゾール容器に充填してなるものであるので、グリオキサールを含む消臭剤溶液をそのまま使用するときよりも、大きな体積とした状態で噴射できるとともに、消臭剤溶液を毛髪に対して均一に浸透させることができる。その結果、本発明においては、グリオキサール含有量を0.5質量%以上1.3質量%以下としても、毛髪や頭皮に与えるダメージを低減しかつ、十分な消臭効果と高いカール維持力が得られるのである(詳細は実施例を参照)。また、消臭剤溶液が、消臭剤溶液および噴射剤の総質量に対して0.01質量%以上0.05質量%以下のグリチルリチン酸ジカリウムを含んでいるので、グリオキサールが頭皮などに与える刺激を緩和することができる。
以上より、本発明によれば、パーマネントウェーブ施術に起因する不快臭を十分に防止し毛髪や頭皮へのダメージを低減するとともにカール維持力に優れた消臭エアゾール製品を提供することができる。
本発明は以下の構成とするのが好ましい。
消臭剤溶液が、クエン酸、酒石酸、乳酸、レブリン酸およびその誘導体から選ばれる化合物を消臭剤溶液および噴射剤の総質量に対して0.1質量%以上0.5質量%以下添加するとともに、アルカリ金属の水酸化物を添加することによりpHが6.5以上6.8以下に調整されていると、製剤として安定なものとすることができ、かつ、毛髪や頭皮に与えるダメージをさらに小さくすることができるので好ましい。
消臭剤溶液が、消臭剤溶液および噴射剤の総質量に対して0.2質量%以上2質量%以下の毛髪蛋白加水分解物を含んでいると、毛髪の損傷部分を修復することができるので好ましい。
消臭剤溶液が、セルロース誘導体を、消臭剤溶液および噴射剤の総質量に対して0.05質量%以上0.5質量%以下の割合で含んでいると、たとえば、消臭剤溶液を泡状に噴射させる構成とした場合に、発泡状態を持続することができ、これにより消臭効果を持続することができるので好ましい。
本発明によれば、パーマネントウェーブ施術に起因する不快臭を十分に防止し、毛髪や頭皮へのダメージを低減するとともにカール維持力に優れた消臭エアゾール製品を提供することができる。
本発明の消臭エアゾール製品は、消臭剤溶液を噴射剤とともに、耐圧性のエアゾール容器に充填したものである。
本発明において、エアゾール容器は、たとえば、金属製材料からなり、消臭剤溶液を、霧状あるいは泡状等の形態で噴射することができるものであれば、特に限定されないが、消臭剤溶液を液体のままで使用するときの体積の約7倍以上の体積とすることができ、つけムラや液だれを防止できるという観点から泡状の形態で噴射できる構成とするのが好ましい。
本発明において、エアゾール容器に充填される噴射剤としては、プロパン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルブタン等の炭化水素系ガス、ジメチルエーテルなどの液化ガス、炭酸水素ガス、窒素ガス、酸素ガス、亜酸化窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガスなどの圧縮ガスを用いることができる。これらの噴射剤は、単独であるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
噴射剤は、十分な噴射圧が得られかつ製品の安定性に優れるという点で、消臭剤溶液および噴射剤の総質量に対して0.5質量%以上30質量%以下の割合で配合するのが好ましく、5質量%以上15質量%以下であると特に好ましい。噴射剤の配合量が0.5質量%未満であると十分な噴射圧が得られず、噴射剤の配合量が30質量%よりも多いと製品の安定性に問題が生じることがある。
エアゾール容器の噴射圧力は、たとえば噴射剤としてプロパンガスを用いる場合、25℃のときに、0.45atm〜0.50atm(45.60kPa〜50.66kPa)となるように調整するのが好ましい。
本発明において、エアゾール容器に充填される消臭剤溶液は、グリオキサールと他の配合成分を含む。グリオキサールは、パーマネントウェーブ施術の際の不快臭の原因となっているメルカプタン類などと反応して無臭化するとともに、毛髪にハリを与えてパーマネントウェーブ施術により形成されたカールを維持する性能(カール維持力)を高める。
グリオキサールを含む消臭剤溶液を用いることでパーマ剤由来の不快臭が消臭され、かつカール維持力を高めることができる理由は、グリオキサールがパーマ剤に含まれるシステアミンなどのメルカプタン類と反応して、メルカプタン類を無臭化するとともに、毛髪内部のシスチン架橋とは別のアルキレン架橋を作ることで形成されたカール(ウェーブ)を補強することに起因すると考えられる。
グリオキサールの使用量を多くすると、消臭効果が高くなりカール維持力も高まるが、グリオキサールは反応性の高い物質であるので、頭皮や毛髪などとも反応して刺激やダメージを与えることが懸念される。
しかしながら、本発明では、消臭剤溶液をエアゾール容器に充填してエアゾール製品とするので、グリオキサールを含む消臭剤溶液をそのままの状態で使用するときよりも大きな体積にした状態でかつ均一に毛髪等に噴射することができる。その結果、本発明によれば、消臭剤溶液をそのまま使用する場合よりもグリオキサール使用量を少なくしても十分な消臭効果とカール維持力が得られる。
十分な消臭効果とカール維持力を有し、かつ、毛髪などに与えるダメージの低減という点を考慮すると、本発明において、グリオキサールの含有量は、消臭剤溶液および噴射剤の総質量に対して0.5質量%以上1.3質量%以下とするのが好ましい。グリオキサールの含有量が0.5質量%未満であると十分な消臭効果が得られなくなり、グリオキサールの含有量が1.3質量%を超えると毛髪および皮膚に与えるダメージが大きくなる。
消臭剤溶液には、グリオキサール以外の他の成分として、消臭剤溶液のpHを調整するpH調整剤、毛髪蛋白加水分解物、抗炎症剤、防腐剤、および精製水などが含まれていてもよい。
pH調整剤としては、グリオキサールとの反応性の低いクエン酸、酒石酸、乳酸、およびレブリン酸等の有機酸、ならびにその誘導体から選ばれる一種以上の化合物を用いることができる。前述の有機酸およびその誘導体は、グリオキサールとの反応性が低いので、このような化合物を用いることにより、製剤として安定なものとすることができる。これらの有機酸およびその誘導体の添加量は、消臭剤溶液および噴射剤の総質量に対して0.1質量%以上0.5質量%以下であるのが好ましい。
消臭剤溶液のpHは6.5以上6.8以下に調整されているのが好ましい。消臭剤溶液のpHをこのような範囲に調整すると、中性域または酸性域で用いるパーマ剤とのpHの差が小さくなり、毛髪や頭皮のpHの変動を小さくすることができ、毛髪や頭皮に与えるダメージをさらに小さくすることができる。
消臭剤溶液に緩衝性を持たせるという観点から、pH調整剤とともに水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物を用いるのが好ましい。アルカリ金属の水酸化物の添加量は消臭剤溶液および噴射剤の総質量に対して0.05質量%以下とするのが好ましい。
毛髪蛋白加水分解物としては、具体的には毛髪ケラチン蛋白の加水分解物や、その誘導体(ペプチド)であって分子量が400〜2000のものなどを用いることができる。毛髪蛋白加水分解物はパーマ剤による毛髪の損傷部分を修復する機能を有する。毛髪蛋白加水分解物の含有量は、消臭剤溶液および噴射剤の総質量に対して0.2質量%以上2質量%以下とするのが好ましく、0.3質量%以上0.7質量%以下とすると特に好ましい。毛髪蛋白加水分解物の含有量が0.2質量%未満であると、毛髪損傷部分の修復効果が不十分となる場合があり、毛髪蛋白加水分解物の添加量が2質量%を超えるとタンパク質特有の臭いにより製品価値が下がる可能性があるが、毛髪蛋白加水分解物の含有量を前述のような範囲とすると、毛髪の損傷部分を修復する効果が十分に発揮され、かつ、臭いの問題も生じない。
抗炎症剤としては、パーマ剤やグリオキサールに起因する刺激を緩和する機能を有するグリチルリチン酸ジカリウムなどがあげられる。グリチルリチン酸ジカリウムを用いる場合、その含有量は、消臭剤溶液および噴射剤の総質量に対して0.01質量%以上0.05質量%以下とするのが好ましく、0.02質量%以上0.04質量%以下とすると特に好ましい。
防腐剤としてはエチルパラベンやメチルパラベンなどのパラオキシ安息香酸エステル類を用いることができる。
消臭剤溶液がエアゾール容器から泡状の形態で噴射される構成とした場合に、エアゾール容器から噴射された泡状物の発泡状態を持続させるべく、消臭剤溶液には、両性界面活性剤やセルロース誘導体を含ませてもよい。
両性界面活性剤としては、2−アルキルN−カルボキシメチル−n−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等を用いることができる。両性界面活性剤の含有量は、消臭剤溶液および噴射剤の総質量に対して0.05質量%以上0.1質量%以下とするのが好ましく、0.07質量%以上0.09質量%以下とすると特に好ましい。
セルロース誘導体としては、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、エチルセルロース、カルボキシセルロース等があげられる。これらのセルロース誘導体の含有量は、消臭剤溶液および噴射剤の総質量に対して0.05質量%以上0.5質量%以下の割合とするのが好ましい。
次に、本発明の消臭エアゾール製品の使用法の一例について説明する。
たとえば、中性域または酸性域で用いられる公知のパーマ剤を用いて、公知の方法でパーマネントウェーブを施術し、本発明の消臭エアゾール製品を施術後の毛髪全体に噴射する。すると、本発明の消臭剤溶液はエアゾール容器に充填されているので、消臭剤溶液そのものよりも体積が大きくなった状態で泡状あるいは霧状の形態で噴射される。
このようにして噴射された消臭剤溶液を毛髪全体に均一に揉みこみ3分〜5分放置すると、消臭剤溶液に含まれるグリオキサールとパーマ剤に含まれるメルカプタン類が反応して、消臭剤溶液を噴射した直後から不快臭が消えていき、放置処理後には不快臭をほとんど感じなくなる程度まで消臭される。放置処理後に、毛髪を水洗することにより、消臭エアゾール製品は容易に除去することができる。
なお、本発明の消臭エアゾール製品は、パーマ剤が付着した皮膚等に適用しても皮膚等にダメージを与えずに不快臭を十分に消臭することができる。
<実施例>
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
1.消臭エアゾール製品の作製
(1)消臭剤溶液の作製
メチルパラベンを0.1質量部、クエン酸ナトリウムを0.1質量部、水酸化ナトリウムを0.008質量部、2−アルキルN−カルボキシメチル−n−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン(両性界面活性剤)を0.08質量部、グリチルリチン酸ジカリウムを0.02質量部、グリオキサール0.5質量部、ケラチン蛋白加水分解物を0.6質量部、およびエチルセルロース0.1質量部を、加温により60℃にした精製水に溶解してpHが6.5の消臭剤溶液を作製した。精製水の量は消臭剤溶液が90質量部となるように調整した。
消臭剤溶液のpHはpH計[(株)堀場製作所製]で測定した。
(2)実施例1の消臭エアゾール製品の作製
(1)で作製した消臭剤溶液90質量部を耐圧性のエアゾール容器に入れ、プロパンガス10質量部を耐圧性のエアゾール容器に加圧充填して消臭エアゾール製品を作製し、これを実施例1の消臭エアゾール製品とした。
噴射圧力が0.5atm(50.66kPa)となるように噴射剤の加圧充填を行った。
(3)実施例2〜3の消臭エアゾール製品、および比較例2〜5の消臭エアゾール製品の作製
消臭剤溶液の成分の配合を変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜3および比較例2〜5の消臭エアゾール製品を作製した。各実施例および各比較例で用いた消臭剤溶液の成分と配合量(質量部)を表1に示した。
なお、実施例2〜3および比較例2〜5で用いた消臭剤溶液のpHは6.5〜6.8であった。
(4)比較例6の消臭剤溶液の作製
実施例3の消臭エアゾール製品の作製に用いた消臭剤溶液を比較例6とした。比較例6の消臭剤溶液は、エアゾール容器に充填しなかったので、噴射剤(プロパンガス)は使用していない。
2.評価試験
以下の方法によりパーマネントウェーブを施術した後の成人女子に被験者となってもらい、1.で作製した消臭エアゾール製品使用後の残臭、消臭エアゾール製品使用中の頭皮に及ぼす刺激、および数日後のカール維持力についての評価試験を行った。各実施例および各比較例につき被験者は15人とした。
(パーマネントウェーブ施術方法)
毛髪に、第1剤を一部塗布し、次いで、塗布後の毛髪をロッドに巻き付けた後、残りの第1剤を塗布して15〜20分間放置した。次に、毛髪をロッドに巻きつけたままの状態でお湯で洗い流し、水分を拭き取った。次いで、第2剤をロッドを巻いたままの状態の毛髪に塗布した後、5〜10分間放置した。放置後、毛髪からロッドを取り外した。
第1剤および第2剤としては、イコセットNo1(イノコ化学株式会社製)を用いた。イコセットNo1は、第1剤としてチオグリコール酸アンモニウムをチオグリコール酸として2%含むとともに、システアミン塩酸塩をシステアミンとして2%を含み、第2剤としてブロム酸ナトリウムを6%含む、中性領域で用いるパーマ剤である。
(消臭エアゾール製品による処理)
パーマネントウェーブ施術後の毛髪に、エアゾール容器から噴射された泡状物約25g(200cm)を毛髪全体に揉みこんで5分放置し、放置後の毛髪を水洗することで消臭エアゾール製品による処理を完了した。
比較例6の消臭剤溶液については、パーマネントウェーブ施術後の毛髪に消臭剤溶液そのものを25g塗布して5分放置し、放置後の毛髪を水洗することで、消臭剤溶液による処理を完了した。
ここで、消臭エアゾール製品や消臭剤溶液による処理を行わない例を比較例1とした。具体的には、消臭エアゾール製品による処理を行った被験者とは別の被験者15人に対し、パーマネントウェーブ施術後の毛髪を水洗して乾燥させた後、後述の残臭試験とカール維持力の試験を行った。比較例1に関しては消臭エアゾール処理を行わなかったので、表1の消臭剤溶液の成分の欄、プロパンガスの欄に「−」と記載した。
(1)残臭試験
消臭エアゾール製品による処理後の不快臭の有無を、被験者の嗅覚により評価を行い、表1に示した。評価基準は以下の通りである。
◎:不快臭が全く残っていない
○:不快臭がほとんど残っていない
×:不快臭が残っている
(2)頭皮への刺激
消臭エアゾール製品を噴射した際に、頭皮の刺激の有無について、被験者の感覚により評価を行い、表1に示した。評価基準は以下の通りである。
◎:頭皮への刺激が全くない
○:頭皮への刺激がほとんどない
△:頭皮への刺激が少しある
×:頭皮への刺激がある
(3)カール維持力
パーマネントウェーブ施術直後に形成された毛髪のウェーブ(カール)の状態と比較して、消臭エアゾール製品処理後、10日経過したときにどのくらいカールが残っているかについて評価を行い、表1に示した。評価基準は以下の通りである。消臭エアゾール製品処理後から本評価試験を行うまでの間、被験者には洗髪の際に同一のシャンプーを使用してもらい、かつ洗髪の回数も同一にしてもらった。
◎:強く残っている
○:かなり残っている
×:ほとんど残っていない
Figure 0005355541
3.結果と考察
実施例1ないし3の消臭エアゾール製品による処理を行うと、パーマネントウェーブ施術に起因する不快臭を十分に消臭でき、頭皮への刺激を低減し、かつ、カール維持力が高いという結果が得られた。消臭エアゾール製品による処理を行わなかった比較例1では、不快臭が残りカール維持力も低いという結果が得られた。
この結果から、グリオキサールを0.5質量部以上1.3質量部以下(つまり、消臭剤溶液と噴射ガスの総質量に対して0.5質量%以上1.3質量%以下)含有する消臭剤溶液をエアゾール容器に充填してなる実施例1ないし3の消臭エアゾール製品を用いると、パーマネントウェーブ施術に起因する不快臭を十分に消臭することができ、かつ、カール維持力が高く、頭皮への刺激を低減することができるということがわかった。
さらに実施例3で用いた消臭剤溶液をエアゾール容器に充填しない構成とした比較例6では、実施例3と同量を用いても、実施例3と同様の消臭効果およびカール維持力を発揮することができなかった。この結果から、消臭剤溶液をエアゾール容器に充填することにより、そのまま使用する場合よりも、消臭剤溶液中のグリオキサールの含有量が少なくても十分な消臭効果とカール維持力が得られるということがわかった。

Claims (4)

  1. 消臭剤を含む消臭剤溶液および噴射剤を耐圧性のエアゾール容器に充填してなり、
    前記消臭剤溶液は、前記消臭剤溶液および前記噴射剤の総質量に対して0.5質量%以上1.3質量%以下のグリオキサールと、
    前記消臭剤溶液および前記噴射剤の総質量に対して0.01質量%以上0.05質量%以下のグリチルリチン酸ジカリウムと、を含み、
    パーマネントウェーブ施術後の毛髪、皮膚、または双方に用いる消臭エアゾール製品。
  2. 前記消臭剤溶液は、クエン酸、酒石酸、乳酸、レブリン酸およびその誘導体から選ばれる化合物を、前記消臭剤溶液および前記噴射剤の総質量に対して0.1質量%以上0.5質量%以下添加するとともに、アルカリ金属の水酸化物を添加することによりpHが6.5以上6.8以下に調整されていることを特徴とする請求項1に記載の消臭エアゾール製品。
  3. 前記消臭剤溶液は、前記消臭剤溶液および前記噴射剤の総質量に対して0.2質量%以上2質量%以下の毛髪蛋白加水分解物を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の消臭エアゾール製品。
  4. 前記消臭剤溶液は、セルロース誘導体を、前記消臭剤溶液及び前記噴射剤の総質量に対して0.05質量%以上0.5質量%以下の割合で含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の消臭エアゾール製品。
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