JP5354444B2 - 封着材料 - Google Patents

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本発明は、厚みが小さい封着層を形成するための封着材料に関し、特に小型化・薄型化された圧電振動子パッケージ等に好適な封着材料に関する。
一般的に、半導体素子、水晶振動子、弾性表面波素子に代表される圧電振動子は、タングステンやモリブデン等の高融点金属で構成される複数個のメタライズ配線層を有し、且つ中央部に圧電振動子を収容するための凹部を有するアルミナ絶縁体からなる基体と、アルミナ絶縁体からなる蓋体で構成されるパッケージ内に収容されている(例えば、特許文献1参照)。
パッケージ内において、圧電振動子の一端は、導電性エポキシ樹脂等の導電性樹脂により基体に固定されるとともに、圧電振動子の各電極は、メタライズ配線層に電気的に接続されている。そして、基体と蓋体は、パッケージ内に圧電振動子を気密に収納するために、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料により封着されている。
特開2006−261684号公報
近年、携帯電子機器の普及に伴って、圧電振動子パッケージ等の小型化・薄型化の要求が高まっている。圧電振動子パッケージ等を小型化・薄型化するためには、基体と蓋体を小型化・薄型化する必要があるが、封着材料で形成される封着層の厚みも小さくする必要がある。現状、封着層の厚みは、50μm程度であるが、将来的には、35μm以下まで小さくなることが想定される。
従来の封着材料を用いて、厚みが35μm以下の封着層を基体に形成すると、封着層の表面に耐火性フィラー粉末の一部が露出し、封着層に表面突起が形成される。封着層に表面突起が形成されると、封着層の表面突起の近傍に不当な応力が残留するとともに、表面突起に当接される蓋体に不当な応力が残留し、その結果、機械的衝撃により、封着層や蓋体にクラックが生じやすくなり、パッケージ内の気密性が損なわれるおそれがある。
また、耐火性フィラー粉末を含有せず、ガラス粉末のみで構成される封着材料を用いると、封着層に表面突起は生じない。しかし、ガラス粉末のみで構成される封着材料は、熱膨張係数が高くなるため、基体と蓋体の熱膨張係数に整合させることが困難になり、このような場合、基体、蓋体および封着層に不当な応力が残留し、機械的衝撃により、基体、蓋体および封着層にクラックが生じやすくなり、結局のところ、パッケージ内の気密性が損なわれるおそれがある。
そこで、本発明は、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、厚みが小さい封着層を形成しても、封着層や被封着物に不当な応力が残留し難い封着材料を創案することにより、信頼性が高い圧電振動子パッケージ等を得ることを技術的課題とする。
本発明者等は、鋭意努力の結果、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末の含有量を所定範囲に規制するとともに、耐火性フィラー粉末の粒子径を所定範囲に規制することにより、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の封着材料は、(1)厚みが25μm以下の封着層(25μm以下の封着厚み)を形成するための封着材料であって、(2)封着材料が、体積%で、ガラス粉末を50〜99%、耐火性フィラー粉末を1〜50%含有し、(3)耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxが2.5〜20μmであり、(4)耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxが封着層の厚みより小さいことが好ましい。ここで、「封着層」とは、焼成後、つまり封着工程後の厚みを指す。また、「最大粒子径Dmax」とは、レーザー回折法で測定した値を指し、積算粒子径が99%の粒子径(体積)を指す。
本発明の封着材料は、厚みが25μm以下の封着層を形成するための封着材料である。封着層の厚みを小さくすれば、圧電振動子パッケージの小型化・薄型化を達成しやすくなる。特に、封着層の厚みを25μm以下にすれば、封着層や被封着物に残留する応力を緩和することができ、圧電振動子パッケージ等の信頼性を高めることもできる。
本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末の含有量を1〜50体積%に規制している。このようにすれば、被封着物の熱膨張係数に整合するように、封着材料の熱膨張係数を低下させることが可能である。耐火性フィラー粉末の含有量が1体積%より少ないと、封着層や被封着物に不当な応力が残留しやすくなり、場合によっては、封着層や被封着物にクラックが発生し、圧電振動子パッケージ等に気密不良等が発生するおそれがある。一方、耐火性フィラー粉末の含有量が50体積%より多いと、相対的にガラス粉末の含有量が少なくなるため、緻密な封着層を形成し難くなるとともに、封着材料の流動性が乏しくなり、その結果、部材同士の封着強度が低下しやすくなる。
本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxを2.5〜20μm未満に規制することが好ましい。耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxを20μm未満に規制すれば、封着層に表面突起が生じる確率を低下させることができ、その結果、機械的衝撃により、パッケージ内の気密性が損なわれる事態を防止することができる。また、耐火性フィラー粉末の膨張係数が低い場合、耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxを20μm未満に規制すれば、封着層の表面にマイクロクラックが発生し難くなり、機械的衝撃により、パッケージ内の気密性が損なわれる事態を更に防止することができる。一方、耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxを2.5μm以上に規制すれば、耐火性フィラー粉末がもたらす効果、例えば、熱膨張係数を低下させる効果、封着層の機械的強度を向上させる効果等を享受しやすくなる。
本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxが封着層の厚みより小さい。このようにすれば、封着層に表面突起が生じる確率を低下させることができ、その結果、機械的衝撃により、パッケージ内の気密性が損なわれる事態を防止することができる。
発明の封着材料は、被封着物が基板であり、且つ基板の厚みが0.7mm以下であることが好ましい。このようにすれば、圧電振動子パッケージ等の小型化・薄型化を図りやすくなる。また、基板の厚みが小さい程、基板にクラックが発生しやすいことを考慮すれば、本発明の封着材料は、封着層の厚みを小さくしても、表面突起が生じ難いため、更に有利である。
発明の封着材料は、被封着物が、アルミナ基板、無アルカリガラス基板またはSi基板であることが好ましい。ここで、「無アルカリガラス」とは、ガラス組成中のアルカリ金属酸化物の含有量が1000ppm(質量)以下であり、且つASTM C336に準拠した方法で測定した歪点が600℃以上のガラスを指す。
発明の封着材料は、ガラス粉末が、ビスマス系ガラスまたはバナジウム系ガラスであることが好ましい。ここで、「ビスマス系ガラス」とは、ガラス組成中のBiの含有量が30質量%以上のガラスを指す。また、「バナジウム系ガラス」とは、ガラス組成中のVの含有量が20質量%以上のガラスを指す。
発明の封着材料は、ガラス粉末が、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%で、Bi 60〜87%、B 3〜12%、ZnO 1〜20%含有することが好ましい
発明の封着材料は、ガラス粉末が、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%で、V 30〜60%、P 10〜40%、BaO 5〜40%含有することが好ましい
発明の封着材料は、(1)厚みが25μm以下の封着層を形成するための封着材料であって、(2)封着材料が、体積%でガラス粉末を50〜99%、耐火性フィラー粉末を1〜50%含有し、(3)耐火性フィラー粉末の90%粒子径D9015μmであり、(4)耐火性フィラー粉末の90%粒子径D90が封着層の厚みより小さいことを特徴とする。ここで、「90%粒子径D90」とは、レーザー回折法で測定した値を指し、積算粒子径が90%の粒子径(体積)を指す。
本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末の90%粒子径D90を1〜15μm未満に規制している。耐火性フィラー粉末の90%粒子径D9015μm未満に規制すれば、封着層に表面突起が生じる確率を低下させることができ、その結果、機械的衝撃により、パッケージ内の気密性が損なわれる事態を防止することができる。また、耐火性フィラー粉末の膨張係数が低い場合、耐火性フィラー粉末の90%粒子径D9015μm未満に規制すれば、封着層の表面にマイクロクラックが発生し難くなり、機械的衝撃により、パッケージ内の気密性が損なわれる事態を更に防止することができる。一方、耐火性フィラー粉末の90%粒子径D90を1μm以上に規制すれば、耐火性フィラー粉末がもたらす効果、例えば、熱膨張係数を低下させる効果や封着層の機械的強度を向上させる効果等を享受しやすくなる。
本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末の90%粒子径D90が封着層の厚みより小さい。このようにすれば、封着層に表面突起が生じる確率を低下させることができ、その結果、機械的衝撃により、パッケージ内の気密性が損なわれる事態を防止することができる。
本発明の封着材料において、封着層の厚みは25μm以下、好ましくは20μm以下である。封着層の厚みが小さい程、圧電振動子パッケージ等の薄型化を図りやすくなる。また、封着層の厚みを25μm以下に規制すれば、封着層や被封着物に残留する応力を緩和できるため、圧電振動子パッケージ等の信頼性を向上させることもできる。
本発明の封着材料において、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末の混合割合は、体積%で、ガラス粉末50〜99%、耐火性フィラー粉末1〜50%、好ましくはガラス粉末50〜85%、耐火性フィラー粉末15〜50%、更に好ましくはガラス粉末55〜75%、耐火性フィラー粉末25〜45%である。耐火性フィラー粉末の含有量が1体積%より少ないと、耐火性フィラー粉末がもたらす効果が乏しくなる。耐火性フィラー粉末の含有量が50体積%より多いと、相対的にガラス粉末の含有量が少なくなるため、緻密な封着層を形成し難くなるとともに、封着材料の流動性が乏しくなり、その結果、部材同士の封着強度が低下しやすくなる。
本発明の封着材料において、耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxは2.5〜20μm、好ましくは3〜20μm、より好ましくは4〜20μmである。耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxが2.5μmより小さいと、熱膨張係数を低下させる効果が乏しくなることに加えて、熱処理工程で耐火性フィラー粉末がガラスに溶け込みやすくなるため、封着材料の流動性や耐失透性が低下しやすくなる。耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmax20μmより大きいと、封着層に表面突起が生じやすくなり、表面突起の近傍に不当な応力が残留しやすくなるとともに、表面突起に当接される被封着物にクラックが発生しやすくなる。
本発明の封着材料において、耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxは、封着層の厚みより小さく、好ましくは封着層の厚みより5μm以上小さく、より好ましくは封着層の厚みより7μm以上小さい。耐火性フィラー粉末の最大粒子径Dmaxが封着層の厚み以上であると、封着層に表面突起が生じやすくなり、封着層の表面突起の近傍に不当な応力が残留しやすくなるとともに、表面突起に当接される被封着物にクラックが発生しやすくなる。
本発明の封着材料において、耐火性フィラー粉末の90%粒子径D90は1〜15μm、好ましくは2.5〜15μm、より好ましくは4〜15μmである。耐火性フィラー粉末の90%粒子径D90が1μmより小さいと、熱膨張係数を低下させる効果が乏しくなることに加えて、熱処理工程で耐火性フィラー粉末がガラスに溶け込みやすくなるため、封着材料の流動性や耐失透性が低下しやすくなる。耐火性フィラー粉末の90%粒子径D9015μmより大きいと、封着層に表面突起が生じやすくなり、表面突起の近傍に不当な応力が残留しやすくなるとともに、表面突起に当接される被封着物にクラックが発生しやすくなる。
本発明の封着材料において、耐火性フィラー粉末の90%粒子径D90は、封着層の厚みより小さく、好ましくは7μm以上小さく、より好ましくは封着層の厚みより10μm以上小さく、より好ましくは封着層の厚みより12μm以上小さい。耐火性フィラー粉末の90%粒子径D90が封着層の厚みより大きいと、封着層に表面突起が生じやすくなり、封着層の表面突起の近傍に不当な応力が残留しやすくなるとともに、表面突起に当接される被封着物にクラックが発生しやすくなる。
耐火性フィラー粉末は、ガラスの熱的安定性を低下させない程度に反応性が低いことが要求される。また、用途によっては熱膨張係数が低く、機械的強度が高いことも要求される。なお、環境的観点から、耐火性フィラー粉末は、実質的にPbOを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にPbOを含有しない」とは、耐火性フィラー粉末中のPbOの含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50は0.5〜20μmが好ましく、2〜12μmがより好ましい。耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50が0.5μmより小さいと、熱膨張係数を低下させる効果が乏しくなることに加えて、熱処理工程で耐火性フィラー粉末がガラスに溶け込みやすくなるため、封着材料の流動性や耐失透性が低下しやすくなる。また、耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50が20μmより大きいと、封着層の表面にマイクロクラックが発生しやすくなり、圧電振動子パッケージ等に気密不良が生じやすくなる。ここで、「平均粒子径D50」とは、レーザー回折法で測定した値(体積)を指す。
耐火性フィラー粉末として、種々の材料が使用可能である。具体的には、ジルコン、ジルコニア、酸化錫、チタン酸アルミニウム、石英、β−スポジュメン、ムライト、チタニア、石英ガラス、β−ユークリプタイト、β−石英、ウイレマイト、リン酸ジルコニウム化合物(例えば、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム等)、タングステン酸ジルコニウムおよびNZP型結晶(例えばNbZr(PO、[AB(MO]の基本構造をもつ結晶物、
A:Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ni、Mn等
B:Zr、Ti、Sn、Nb、Al、Sc、Y等
M:P、Si、W、Mo等)
若しくはこれらの固溶体が使用可能である。
ガラス粉末がビスマス系ガラスの場合、耐火性フィラー粉末は、コーディエライトまたはウイレマイトが好ましい。これらの耐火性フィラー粉末は、熱膨張係数が低いことに加えて、ビスマス系ガラスと適合性が良好、つまりビスマス系ガラスとの反応性が低く、熱処理工程でビスマス系ガラスを失透させ難い性質を有している。
ガラス粉末がバナジウム系ガラスの場合、耐火性フィラー粉末は、Zr含有耐火性フィラー粉末が好ましい。Zr含有耐火性フィラー粉末は、バナジウム系ガラスと適合性が良好、つまりバナジウム系ガラスとの反応性が低く、熱処理工程でバナジウム系ガラスを失透させ難い性質を有している。Zr含有耐火性フィラー粉末として、ジルコン、ジルコニア、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、NZP型結晶およびこれらの固溶体等が使用可能であるが、その中でも、ジルコンは、安価に生産できるため、コスト的に有利である。
本発明の封着材料において、被封着物は、0.7mm厚以下(好ましくは0.5mm厚以下)の基板が好ましい。基板の厚みが小さい程、封着層に表面突起がある場合に、クラックが基板に発生しやすくなる。したがって、本発明の封着材料は、封着層に表面突起が生じ難いため、基板の厚みが小さい程、本発明の効果を享受しやすくなる。また、基板の厚みが小さい程、圧電振動子パッケージ等を薄型化しやすくなる。
本発明の封着材料は、非封着物が、アルミナ基板、無アルカリガラス基板またはSi基板が好ましい。アルミナガラス基板の熱膨張係数は70〜80×10−7/℃であり、無アルカリガラス基板の熱膨張係数は30〜40×10−7/℃であり、Si基板の熱膨張係数は30〜40×10−7/℃である。封着材料の熱膨張係数をこれらの基板の熱膨張係数に整合させるためには、封着材料の熱膨張係数を低下させる必要がある。本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末の粒度を一定範囲に規制しているため、封着層の厚みが小さい場合であっても、封着層に表面突起を生じさせることなく、封着材料の熱膨張係数を低下させることができる。
本発明の封着材料は、ガラス粉末として、種々のガラス、例えばバナジウム系ガラス、リン酸銀系ガラス、リン酸銅系ガラス、リン酸スズ系ガラス、ビスマス系ガラス、アルカリホウケイ酸系ガラス、鉛ホウ酸系ガラス等を用いることができる。その中でも、ビスマス系ガラスおよびバナジウム系ガラスは、下記の理由で好ましい。ガラスの軟化点が低いと、短時間で封着可能であるとともに、封着強度を高めることができる。しかし、一般的に、ガラスの軟化点を下げると、ガラスの耐水性が低下しやすくなる。したがって、ガラスの低軟化特性と高耐水性を両立させることは困難であるが、ビスマス系ガラスおよびバナジウム系ガラスは、低軟化特性と高耐水性を高いレベルで両立させることができる。
本発明の封着材料において、ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲を上記のように限定した理由は以下の通りである。
Biは、軟化点を下げるための主要成分であり、その含有量は60〜87%、好ましくは70〜85%、より好ましくは72〜83%、更に好ましくは74〜80%である。Biの含有量が少ないと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、低温で封着し難くなる。一方、Biの含有量が多いと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時または熱処理時にガラスが失透しやすくなる。
は、ビスマス系ガラスのガラスネットワークを形成する成分であり、その含有量は3〜12%、好ましくは3〜10%、より好ましくは4〜10%、更に好ましくは5〜9%である。Bの含有量が少ないと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時または熱処理時にガラスが失透しやすくなる。一方、Bの含有量が多いと、ガラスの粘性が高くなり過ぎ、低温で封着することが困難になる。
ZnOは、溶融時または熱処理時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は1〜20%、好ましくは3〜15%、より好ましくは4〜12%、更に好ましくは5〜10%未満である。ZnOの含有量が少ないと、溶融時または熱処理時にガラスの失透を抑制する効果が得られ難くなる。ZnOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。
上記ガラス組成範囲において、上記成分以外にも、例えば、下記の成分をガラス組成中に20%(好ましくは15%)まで含有させることができる。
CuOは、溶融時または熱処理時にガラスの失透を抑制する成分であり、5%まで添加することができる。CuOの含有量が5%より多いと、ガラス組成の成分バランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなり、ガラスの流動性が損なわれやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、CuOを微量添加するのが好ましく、具体的には、CuOの含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
Feは、溶融時または熱処理時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜3%、好ましくは0〜1.5%である。Feの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、Feを微量添加するのが好ましく、具体的には、Feの含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
SiOは、ガラスの耐候性を向上させる成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜3%、より好ましくは0〜1%未満である。SiOの含有量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、低温で封着することが困難となる。
BaO、SrO、MgO、CaOは、溶融時または熱処理時にガラスの失透を抑制する成分であり、これらの成分は合量で15%までガラス組成中に含有させることができる。これらの成分の合量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、低温で封着し難くなる。
BaOの含有量は0〜10%が好ましく、1〜7%がより好ましい。BaOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、BaOの含有量を1%以上とするのが好ましい。
SrO、MgO、CaOのそれぞれの含有量は0〜5%が好ましく、0〜2%がより好ましい。各成分の含有量が5%より多いと、ガラスが失透、或いは分相しやすくなる。
Alは、ガラスの耐候性を向上させる成分であり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜2%である。Alの含有量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、低温で封着することが困難となる。
CeOは、溶融時または熱処理時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜2%、より好ましくは0〜1%である。CeOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなり、ガラスの流動性が損なわれやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、CeOを微量添加するのが好ましく、具体的には、CeOの含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
Sbは、溶融時または熱処理時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜2%、より好ましくは0〜1%である。Sbは、ビスマス系ガラスのネットワーク構造を安定化させる効果があり、ビスマス系ガラスにおいて、Sbを適宜添加すれば、Biの含有量が多い場合、例えばBiの含有量が76%以上であっても、ガラスの熱的安定性が低下し難くなる。ただし、Sbの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、Sbを微量添加するのが好ましく、具体的には、Sbの含有量を0.05%以上とするのが好ましい。
WOは、溶融時または熱処理時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜10%が好ましく、0〜2%がより好ましい。ビスマス系ガラスにおいて、ガラスの軟化点を下げるためには、Biの含有量を多くする必要があるが、Biの含有量が多くなると、熱処理時にガラスから結晶が析出しやすくなり、封着材料の流動性が阻害される傾向がある。特に、Biの含有量が多い場合、例えばBiの含有量が76%以上の場合、その傾向が顕著になる。しかし、ビスマス系ガラスにおいて、WOを適宜添加すれば、Biの含有量が76%以上であっても、ガラスの熱的安定性が低下し難くなる。ただし、WOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。
In、Gaは必須成分ではないが、溶融時または熱処理時にガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は合量で0〜5%が好ましく、0〜3%がより好ましい。In、Gaは、ビスマス系ガラスのネットワーク構造を安定化させる効果があり、ビスマス系ガラスにおいて、In、Gaを適宜添加することによって、Biの含有量が多い場合、例えばBiの含有量が76%以上であっても、ガラスの熱的安定性が低下し難くなる。ただし、In、Gaの合量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。なお、Inの含有量は0〜1%がより好ましく、Gaの含有量は0〜0.5%がより好ましい。
Li、Na、KおよびCsの酸化物は、ガラスの軟化点を低下させる成分であるが、溶融時にガラスの失透を促進する作用を有するため、その含有量は合量で2%以下とするのが好ましい。
は、溶融時にガラスの失透を抑制する成分であるが、その添加量が1%より多いと、溶融時にガラスが分相しやすくなるため好ましくない。
MoO、La、YおよびGdは、溶融時にガラスの分相を抑制する成分であるが、これらの合量が3%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、低温で封着し難くなる。
また、その他の成分であっても、ガラスの特性を損なわない範囲で15%(好ましくは5%)までガラス組成中に添加することができる。
次に、本発明の封着材料において、バナジウム系ガラス粉末のガラス組成範囲を上記のように限定した理由は以下の通りである。
は、ガラスネットワークを形成する成分であるとともに、ガラスの軟化点を低下させるための主要成分であり、その含有量は30〜60%、好ましくは35〜55%、より好ましくは40〜55%である。Vの含有量が少ないと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、低温封着性が損なわれやすくなる。一方、Vの含有量が多いと、ガラス自体が熱的に不安定になり、熱処理工程でバナジウム系の失透(結晶析出)が生じやすくなる。
は、ガラスネットワークを形成する成分として必須であり、その含有量は15〜40%、好ましくは18〜35%、より好ましくは18〜30%である。Pの含有量が少ないと、ガラスネットワークが十分に形成されず、熱処理工程でバナジウム系の失透(結晶析出)が生じやすくなる。一方、Pの含有量が多いと、ガラスの粘性が高くなり過ぎることに加えて、ガラスの耐水性が低下する傾向がある。よって、Pの含有量が多いと、封着温度が不当に上昇するだけでなく、長期に亘って気密性を維持できないおそれがある。
BaOは、ガラスの熱的安定性を向上させて、ガラスの失透を抑制する成分であるとともに、ガラスの粘性を低下させて、ガラスの流動性を高める成分であり、その含有量は5〜40%、好ましくは5〜35%、より好ましくは5〜15%未満、更に好ましくは5〜14%である。BaOの含有量が少ないと、ガラスの熱的安定性を向上させる効果およびガラスの粘性を低下させる効果が得られ難くなる。一方、BaOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスの熱的安定性が低下しやすくなる。
上記ガラス組成範囲において、上記成分以外にも、例えば、下記の成分をガラス組成中に40%(好ましくは35%、より好ましくは25%)まで含有させることができる。
ZnOは、ガラスの熱安定性を向上させて、ガラスの失透を抑制する成分であるとともに、ガラスの熱膨張係数を低下させる成分であり、その含有量は0〜30%、好ましくは0.1〜20%、更に好ましくは1〜15%、特に好ましくは1〜10%である。ZnOの含有量が多いと、ガラスの耐水性が低下し、長期に亘って気密性を維持し難くなる。なお、ZnOの含有量が少ないと、熱安定性を向上させる効果および熱膨張係数を低下させる効果が得られ難くなる傾向にある。
TeOは、ガラスの軟化点を低下させる成分であり、その含有量は0〜40%、好ましくは0〜30%、より好ましくは0〜20%、更に好ましくは0〜10%である。TeOが多いと、TeO原料が高価であるため、バッチの原料価格が高騰するおそれがある。
SrOは、ガラスの熱的安定性を向上させて、ガラスの失透を抑制する成分であるとともに、ガラスの粘性を低下させて、ガラスの流動性を高める成分であり、その含有量は0〜20%、好ましくは1〜15%、より好ましくは1〜10%、更に好ましくは1〜8%、特に好ましくは1〜5%である。SrOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスの熱的安定性が低下しやすくなる。なお、SrOの含有量が少ないと、ガラスの熱的安定性を向上させる効果およびガラスの粘性を低下させる効果が得られ難くなる傾向にある。
CaOは、ガラスの熱的安定性を向上させて、ガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜5%、更に好ましくは0〜2%である。CaOの含有量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、低温封着性が損なわれやすくなる。
Alは、ガラスの熱的安定性を向上させて、ガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜7%、好ましくは0〜2%である。Alの含有量が多いと、ガラスの粘性が高くなり過ぎ、封着温度が不当に上昇するおそれがある。
Feは、ガラスの熱的安定性を向上させて、ガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜7%、好ましくは0〜2%である。Feの含有量が多いと、ガラスの粘性が高くなり過ぎ、封着温度が不当に上昇するおそれがある。
Sbは、ガラスの熱的安定性を向上させて、ガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜5%未満、好ましくは0〜2%である。Sbの含有量が多いと、ガラスの粘性が高くなり過ぎ、封着温度が不当に上昇するおそれがある。
WO、In、Ga、MoO、La、YおよびCeOは、ガラスを熱的に安定化する成分であるが、これらの合量が5%(好ましくは2%)より多いと、ガラスの軟化点が高くなりやすい。
Li、Na、KおよびCsの酸化物は、ガラスの軟化点を低くする成分であるが、ガラスの失透を促進する作用を有し、且つガラスによる白金坩堝の侵食を増長させるため、その含有量を合量で2%以下(好ましくは1%以下)に規制することが好ましい。
上記のガラス組成を有するバナジウム系ガラスは、失透し難く、しかも低温封着性に優れているため、500℃以下の温度領域で良好に封着することができる。
上記のガラス組成において、各成分の好ましい範囲を適宜選択して、好ましいガラス組成範囲とすることができる。その中でも(1)下記酸化物換算で、V 30〜60%、P 15〜40%、BaO 5〜35%、ZnO 1〜20%、SrO 1〜15%、CaO 0〜5%を含有するガラス組成が好ましい。このようにすれば、封着材料の低温封着性を維持した上で、流動性を高めることができ、その結果、部材同士の封着強度を高めることができる。また、(2)下記酸化物換算で、V 30〜60%、P 15〜40%、BaO 5〜40%、ZnO 0.1〜15%、CuO 0.1〜10%含有するガラス組成が好ましい。このようにすれば、封着材料の低温封着性を維持した上で、耐水性等の耐候性を高めることができ、その結果、長期に亘って気密性を維持することができる。
本発明の封着材料において、熱膨張係数は85×10−7/℃以下が好ましく、75×10−7/℃以下がより好ましく、70×10−7/℃以下が更に好ましい。封着材料の熱膨張係数が高いと、被封着物の熱膨張係数が低い場合に、封着層や被封着物に不当な応力が残留し、機械的衝撃により気密不良が発生するおそれがあり、場合によっては、封着層や被封着物にクラックが発生し、圧電振動子パッケージ等に気密不良等が発生するおそれがある。ここで、「熱膨張係数」とは、押棒式熱膨張係数測定(TMA)装置で測定した値を指し、測定温度範囲は30〜300℃である。
本発明の封着材料において、ガラス転移点は300〜440℃が好ましく、345〜370℃がより好ましい。ガラス転移点が300℃より低いと、ガラス粉末の熱的安定性が低下しやすくなる。一方、ガラス転移点が440℃より高いと、ガラス粉末の粘性が高くなり過ぎ、封着温度が不当に上昇しやすくなる。ここで、「ガラス転移点」とは、TMA装置で測定した値を指す。
本発明の封着材料において、軟化点は350〜600℃が好ましく、390〜500℃がより好ましく、410〜470℃が更に好ましい。軟化点が350℃より低いと、ガラス粉末の熱的安定性が低下しやすくなる。一方、軟化点が600℃より高いと、ガラス粉末の粘性が高くなり過ぎ、封着温度が不当に上昇しやすくなる。ここで、「軟化点」とは、示差熱分析(DTA)装置で測定した値を指し、測定は、空気中で行い、昇温速度は10℃/分とする。
本発明の封着材料において、抗折強度は70MPa以上が好ましく、78MPa以上がより好ましく、83MPa以上が更に好ましい。ここで、「抗折強度」は、封着材料を緻密に焼結させた後、3×4×40mmの角柱に加工したものを測定試料として、JIS R1601に準拠した三点荷重測定法で求めた値を指し、測定は各20回行い、その平均値を算出する。抗折強度を85MPa以上に規制すれば、封着層の厚みが小さくても、封着層が破壊し難くなるとともに、封着層にクラックが発生し難くなり、圧電振動子パッケージ等の信頼性、特に気密性を高めることができる。なお、抗折強度を70MPa以上にするためには、耐火性フィラー粉末の含有量を20体積%以上に規制するとともに、耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50を10μm以下、好ましくは7μm以下に規制(望ましくは耐火性フィラー粉末の90%粒子径D9015μm以下および/または最大粒子径Dmax20μm以下に規制)すればよい。
本発明の封着材料は、粉末のまま使用に供してもよいが、ビークルと均一に混練し、ペーストに加工すると取り扱いやすい。ビークルは、主に溶媒と樹脂とからなり、樹脂はペーストの粘性を調整する目的で添加される。また、必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加することもできる。作製されたペーストは、ディスペンサーやスクリーン印刷機等の塗布機を用いて塗布される。
樹脂としては、アクリル酸エステル(アクリル樹脂)、エチルセルロース、ポリエチレングリコール誘導体、ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、ポリエチレンカーボネート、メタクリル酸エステル等が使用可能である。特に、アクリル酸エステル、ニトロセルロースは、熱分解性が良好であるため、好ましい。溶媒としては、N、N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、α−ターピネオール、高級アルコール、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、テトラリン、ブチルカルビトールアセテート、酢酸エチル、酢酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、トルエン、3−メトキシ−3−メチルブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン等が使用可能である。特に、α−ターピネオールは、高粘性であり、樹脂等の溶解性も良好であるため、好ましい。
本発明の封着材料は、必要に応じて、ガラスビーズやガラスファイバー等のスペーサー材、着色剤、還元剤、酸化剤等を含有することができる。
本発明の封着材料は、所定形状に焼結し、タブレット(プレスフリットとも称される)として使用することができる。このようにすれば、被封着物に封着材料を塗布する工程等を省略することができ、作業性を向上させることができる。また、このようにすれば、被封着物の形状が特殊な場合や封着すべき領域が小さい場合でも、部材同士を確実に封着することができる。タブレットは、以下のような製造工程を経て、作製される。まず、封着材料に樹脂や溶剤を添加し、スラリーを形成する。その後、このスラリーをスプレードライヤー等の造粒装置に投入し、顆粒を作製する。その際、顆粒は、溶剤が揮発する程度の温度(100〜200℃程度)で熱処理される。次に、作製された顆粒は、所定の寸法に設計された金型に投入され、リング状に乾式プレス成形され、プレス体が作製される。最後に、ベルト炉等の熱処理炉にて、このプレス体に残存する樹脂を分解揮発し、封着材料の軟化点近傍の温度で焼結すれば、所定形状のタブレットを得ることができる。また、熱処理炉での焼結は、複数回行われる場合がある。焼結を複数回行うと、タブレットの強度が向上し、タブレットの欠損、破壊等を防止することができる。
本発明の封着材料は、有機ELディスプレイに用いることが好ましい。有機ELディスプレイは、有機発光層やTFT等が熱劣化しやすいため、低温で封着する必要がある。このような事情から、有機ELディスプレイでは、構成部材の熱劣化を抑制するために、レーザー光等で封着材料を局所加熱し、ガラス基板同士を封着している。そして、有機ELディスプレイにおいて、封着層の厚みが小さいと、レーザー光等で封着材料を軟化させやすくなるとともに、ディスプレイの薄型化等を図りやすくなる。そこで、本発明の封着材料は、封着層の厚みが小さい場合に好適であるため、有機ELディスプレイの封着に好適に使用可能である。
一般的に、有機ELディスプレイは、ガラス基板として、無アルカリガラス基板(40×10−7/℃以下)が使用される。無アルカリガラスの熱膨張係数は、通常、40×10−7/℃以下であるため、封着材料の熱膨張係数を無アルカリガラスの熱膨張係数に厳密に適合させることは困難である。しかし、封着材料の熱膨張係数をできるだけ小さくすることは重要であり、具体的には、封着材料の熱膨張係数を85×10−7/℃以下(好ましくは80×10−7/℃以下、より好ましくは75×10−7/℃以下)にすることが望ましい。このようにすれば、無アルカリガラス基板や封着層に残留する応力を小さくすることができ、無アルカリガラス基板や封着層の応力破壊を防ぐことができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
表1〜6は、試料No.1〜26を示している。
Figure 0005354444
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表1〜6に記載の各試料は次のようにして調製した。まず、表中に示したガラス組成となるように各種酸化物、炭酸塩等の原料を調合したガラスバッチを準備し、これを白金坩堝に入れて1100℃で2時間溶融した。次に、水冷ローラーにより、溶融ガラスを薄片状に成形した。最後に、薄片状のガラスをボールミルにて粉砕後、空気分級し、平均粒子径D50が5μm、最大粒子径Dmaxが18μmの各ガラス粉末を得た。
耐火物フィラー粉末は、表中に示す耐火性フィラー粉末を用いた。各耐火性フィラー粉末は、表中の粒子径になるように調製した。なお、ガラス粉末および耐火性フィラー粉末の粒子径はレーザー回折法で測定した値である。
表中に示す通り、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を混合し、試料No.1〜26を作製した。試料No.1〜26につき、熱膨張係数、ガラス転移点、軟化点、流動径および失透状態を評価した。
熱膨張係数は、TMA装置で求めた。測定温度範囲は30〜300℃とした。
ガラス転移点および軟化点は、DTA装置で測定した。測定は、大気中において、昇温速度10℃/分で行い、室温から測定を開始した。
流動径は、周知のフローボタンテストにより評価した。まず金型により合成密度に相当する各試料を外径20mmのボタン状に乾式プレスし、表中に示す基板上にて、空気中10℃/分で昇温して、表中に示す温度で表中に示す時間保持した上で室温まで10℃/分で降温した。次に、得られたボタンの直径をデジタルノギス等で測定した。フローボタンテストにおいて、得られたボタンの直径が大きい程、ガラスの流動性が良好であるが、ここでは、ボタンの直径が18mm以上であれば、表中に示す条件で流動性が良好であることを意味する。なお、合成密度とは、ガラス粉末の密度、耐火性フィラー粉末の密度および両者の混合比率から算出される理論上の密度である。
失透状態は、各試料をセラミックス製の角皿内に集積し、表中で示した熱処理温度で20分間保持した後、光学顕微鏡(倍率200倍)を用いて、各試料の失透(結晶析出)状態を観察し、失透が認められなかったものを「○」、失透が認められたものを「×」として評価した。なお、熱処理に際し、昇降温速度は10℃/分とした。
封着層は、次のようにして作製した。まず□25mmで表中の厚みを有する各種基板を用意し、各試料とビークル(アクリル樹脂含有α−ターピネオール)を混合し、ペースト化したものを基板の全面(一方の面のみ)に塗布した。なお、熱処理後に表中の厚みの封着層が得られるように、塗布条件、ビークル組成を調製した。次に、130℃で10分間の条件で塗布膜を乾燥して、ビークル中の溶剤を蒸発除去した後、流動径の欄で示した条件で乾燥膜を熱処理し、表中の封着層を得た。
封着層の表面突起は、上記の方法で得られた封着層の表面を表面粗さ計で測定し、2μm以上の突起物がないものを「○」、2μm以上の突起物があるものを「×」として評価した。
封着層のクラックは、上記の方法で得られた封着層の表面を目視で観察し、クラックがあるものを「○」、クラックがないものを「×」として評価した。
表1〜4から明らかなように、試料No.1〜20は、厚みが35μm以下の封着層を形成することが可能であり、更には封着層に表面突起やクラックが認められなかった。
一方、表5、6から明らかなように、試料No.21は、封着層の厚みより最大粒子径Dmaxが大きいため、表面突起の評価が不良であった。試料No.22は、耐火性フィラー粉末を含有していないため、封着層にクラックが発生していた。試料No.23は、封着層の厚みより最大粒子径Dmaxが大きいため、表面突起の評価が不良であった。試料No.24は、封着層の厚みより最大粒子径Dmaxが大きいため、表面突起の評価が不良であった。試料No.25は、封着層の厚みより最大粒子径Dmaxが大きいため、表面突起の評価が不良であった。試料No.26は、耐火性フィラー粉末の含有量が多過ぎるため、緻密な封着層を形成することができなかった。
耐火性フィラー粉末の粒子径と封着材料の抗折強度の関係を更に調査した。その結果を表7に示す。なお、抗折強度の測定以外は、上記と同様の手順で行った。
Figure 0005354444
抗折強度は、各試料No.27〜29を緻密に焼結させた後、3×4×40mmの角柱に加工したものを測定試料として、JIS R1601に準拠した三点荷重測定法で求めた。なお、測定は各20回行い、その平均値を算出した。
表7から明らかなように、試料No.27、28は、厚みが35μm以下の封着層を形成することが可能であり、更には封着層に表面突起やクラックが認められなかった。また、試料No.27、28は、抗折強度が79MPa以上であった。一方、試料No.29は、封着層の厚みより最大粒子径Dmaxが大きいため、表面突起の評価が不良であった。また、試料No.29は、平均粒子径D50の値が大きいため、抗折強度が69.7MPaであった。
本発明の封着材料は、圧電振動子パッケージ等の電子部品の封着、球レンズキャップ部品等の金属部品の封着、色素増感型太陽電池等の太陽電池の封着、有機ELディスプレイ等の平面表示装置の封着に好適である。

Claims (5)

  1. (1)厚みが25μm以下の封着層を形成するための封着材料であって、
    (2)封着材料が、体積%でガラス粉末を50〜99%、耐火性フィラー粉末を1〜50%含有し、
    (3)耐火性フィラー粉末の90%粒子径D90が1〜15μmであり、
    (4)耐火性フィラー粉末の90%粒子径D90が封着層の厚みより小さいことを特徴とする封着材料。
  2. レーザー光による封着処理に供することを特徴とする請求項1に記載の封着材料。
  3. 有機ELディスプレイの封着に用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の封着材料。
  4. ガラス粉末中のZnOの含有量が3〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の封着材料。
  5. ガラス粉末がビスマス系ガラスまたはバナジウム系ガラスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の封着材料。
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