JP5354105B2 - 距離測定装置および距離測定方法 - Google Patents
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Description
本発明は、周辺環境に存在する測定対象、とりわけ交通環境に存在する測定対象を、光学的に検出することに基づき、装置自身と当該測定対象の間の距離を測定する距離測定装置、及び該距離測定装置に用いるのが好適な距離測定方法に関する。
従来、装置自身と測定対象の間の距離を測定する装置として、可視光と不可視光の中から選択した光を光学的に検出することに基づき自身と測定対象の間の距離を測定する距離測定装置が実用化されている。このような距離測定装置は、たとえば移動体としての車両に搭載されることによって、測定対象たる他車両等と、自車両つまり距離測定装置自体との間の距離(相対距離)を測定する。距離測定装置は、このようにして測定した距離の情報を、たとえば他車両との衝突回避などを支援する運転支援情報の一つとして、運転支援装置などに提供する。
ところで、このように測定対象までの距離を光学的に測定する装置としては、たとえば特許文献1や特許文献2に記載の距離測定装置が知られている。
このうち特許文献1に記載の距離測定装置は、たとえば波長が互いに異なる所定パターンからなる光を測定対象に投影する光源を有し、測定対象に投影した光のパターンを、光源の光軸とは異なる方向から撮像する。そして特許文献1の距離測定装置は、それら投影した光のパターンに対する、撮像した光のパターンの変化に基づき、測定対象までの距離を測定する。このように特許文献1の距離測定装置は、撮像が可能な強度の光を、光源から測定対象に投影する必要がある。このため、このような距離測定装置を車載するとなると、その光源としても、この光源から数十メートル〜数百メートルほど離れることもある測定対象に、上記撮像が可能な強度の光のパターンを投影しなければならないため、光源によって消費されるエネルギーが無視できないものとなる。
このうち特許文献1に記載の距離測定装置は、たとえば波長が互いに異なる所定パターンからなる光を測定対象に投影する光源を有し、測定対象に投影した光のパターンを、光源の光軸とは異なる方向から撮像する。そして特許文献1の距離測定装置は、それら投影した光のパターンに対する、撮像した光のパターンの変化に基づき、測定対象までの距離を測定する。このように特許文献1の距離測定装置は、撮像が可能な強度の光を、光源から測定対象に投影する必要がある。このため、このような距離測定装置を車載するとなると、その光源としても、この光源から数十メートル〜数百メートルほど離れることもある測定対象に、上記撮像が可能な強度の光のパターンを投影しなければならないため、光源によって消費されるエネルギーが無視できないものとなる。
一方、特許文献2には、光源を用いない距離測定装置の一例が記載されている。この特許文献2の距離測定装置は、可視スペクトル域に感応するカメラと、赤外線スペクトル域に感応するカメラとの計2台のカメラを、両カメラの間に所定間隔を空けて配置する。距離測定装置は、それぞれのカメラが撮像した同一の測定対象の像に三角測量法を適用することによって、当該測定対象までの距離を測定するようにしている。
ところで、上記特許文献2に記載の距離測定装置は、特別な光源を必要としないためにエネルギー消費は確かに少ないものの、測定精度を高く維持するためには、三角測量法の基準となる2つのカメラの間の離間距離を精度よく維持することが欠かせない。しかし、車両に搭載した距離測定装置は、車体の振動や歪み等の影響を受けるため、車体に取り付けた2つのカメラの間の離間距離を精度よく維持することは容易ではない。このように、距離測定装置を特に車両に搭載する場合、構成の簡素化などの面で、実用上はなお改良の余地を残すものとなっている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、たとえ車両等に搭載される場合であれ、自身と測定対象の間の距離の測定を簡単な構成のもとに行うことができる距離測定装置、及び該距離測定装置に用いるのが好適な距離測定方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果を記載する。
上記課題を解決するため、この発明は、レンズを用いて測定対象を光学的に検出することによって、前記測定対象までの距離としての対象距離を測定する距離測定装置を提供する。距離測定装置は、前記測定対象からの複数の波長を有する光を、前記レンズによって結像することによって前記測定対象の像を求め、前記レンズから前記像までの結像距離を前記波長ごとに求めることによって、それら前記結像距離同士の相対的な関係を示す量としての結像相対量を算出する結像相対量算出手段と;前記結像相対量と前記対象距離との相関を示すように前記レンズの色収差特性によって定まる情報としての相関情報を、記憶する記憶手段と;前記結像相対量を前記相関情報に照合することによって、前記対象距離を算出する距離算出手段とを備えることを要旨とする。
上記課題を解決するため、この発明は、レンズを用いて測定対象を光学的に検出することによって、前記測定対象までの距離としての対象距離を測定する距離測定装置を提供する。距離測定装置は、前記測定対象からの複数の波長を有する光を、前記レンズによって結像することによって前記測定対象の像を求め、前記レンズから前記像までの結像距離を前記波長ごとに求めることによって、それら前記結像距離同士の相対的な関係を示す量としての結像相対量を算出する結像相対量算出手段と;前記結像相対量と前記対象距離との相関を示すように前記レンズの色収差特性によって定まる情報としての相関情報を、記憶する記憶手段と;前記結像相対量を前記相関情報に照合することによって、前記対象距離を算出する距離算出手段とを備えることを要旨とする。
通常、レンズは、互いに異なる波長の入射光ごとに、互いに異なる屈折率を有する。つまり通常のレンズは、いわゆる色収差を生じるため、入射光が複数の波長を有する場合、レンズが入射光を結像させると、それぞれの波長ごとに、レンズから像までの結像距離が相違する。またひとつの波長を有する光の像の結像距離にあっても、レンズと測定対象の間の距離の変化などによるレンズへの光の入射角の相違によって変化する。更にレンズは、取得したい波長を有する光に限り、たとえば画像用には赤色の波長、青色の波長、緑色の波長のそれぞれ光に限り、それぞれ波長を有する光による像の結像距離がそれぞれ一致するように構成されること、いわゆる色収差が補正されることが一般的である。
このような構成によれば、測定対象までの距離とレンズの特性とから定まる情報である、それぞれ波長を有する光の像の結像距離間の結像相対量と測定対象までの距離との相関を示す情報と、検出に基づき算出した結像相対量とを対比することによって、測定対象までの距離が算出(測定)される。これによって、互いに異なる波長に対応する結像距離同士の差としての結像距離差(つまり色収差)が補正されていないレンズ(光学系)を用いたり、レンズにおいて結像距離差(色収差)の補正されていない波長を有する光を用いたりする場合であれ、測定対象までの距離を測定できる。すなわちこの距離測定装置は、波長ごとの結像距離差(色収差)を補正する必要がないことから、レンズなどの光学系の構造を簡単にすることができる。
またこの構成は、共通のレンズ(光学系)がそれぞれの波長の結像距離を検出することによって、波長ごとの結像距離差(色収差)を求めるように構成されている。このことから、距離測定を、ひとつの光学系、すなわち一台のカメラで行うことができる。これによって、複数のカメラを用いる場合と比較すると、カメラ等の配置の自由度が高められるとともに、カメラの配置位置を高い精度に維持する必要もなく、距離測定装置の構成を簡単にすることができる。
更にこの構成は、結像距離が補正されていない波長を有する光を用いて、距離測定することができる。よって、距離測定装置に用いる波長の選択自由度と設計自由度が高くなるとともに、この距離測定装置に採用する光学系の選択自由度と設計自由度も高くなる。
前記光は、前記結像距離が互いに相違する2つの波長を有し、前記相関情報は、それぞれ前記結像相対量を前記対象距離に対応付けたマップデータを構成するようにしてもよい。
このような構成によれば、レンズからの結像距離が互いに異なる2つの波長を有する光に基づき、測定対象までの距離を測定することができる。このように、2つの波長を有する光からであれ、測定対象までの距離を測定することができる。よって、距離測定の実施が容易である。
前記結像相対量は、前記2つの波長の結像距離同士の差としての結像距離差であるようにしてもよい。
このような構成によれば、結像相対量を、2つの波長を有する光の結像距離差として、つまり色収差として検出する。よって、結像相対量の検出に必要な演算が簡単である。
このような構成によれば、結像相対量を、2つの波長を有する光の結像距離差として、つまり色収差として検出する。よって、結像相対量の検出に必要な演算が簡単である。
前記結像相対量は、前記2つの波長の結像距離同士の比としての結像距離比であるようにしてもよい。
このような構成によれば、結像相対量を、2つの波長を有する光の結像距離の比として検出するので、検出に必要な演算が簡単である。
このような構成によれば、結像相対量を、2つの波長を有する光の結像距離の比として検出するので、検出に必要な演算が簡単である。
前記結像相対量算出手段は、前記結像距離を求めるために、前記レンズと、前記像を撮像するための結像面との間の距離を可変に構成されてもよい。
このような構成によれば、結像距離は、レンズと結像面の間の距離から直接求められるようになる。よって、結像距離の検出が簡単である。
このような構成によれば、結像距離は、レンズと結像面の間の距離から直接求められるようになる。よって、結像距離の検出が簡単である。
前記結像相対量算出手段は、前記レンズに対して前記結像面を移動させるように構成されてもよい。
このような構成によれば、光学系よりも小型な場合が多い結像面の構成素子を移動させるので、距離測定装置の小型化や簡素化が図られるようになる。たとえばCCDなどの画像素子からなる結像面は、光学系に比べて小型且つ軽量であるため、そのような結像面を移動させる構造も簡単なものになる。
このような構成によれば、光学系よりも小型な場合が多い結像面の構成素子を移動させるので、距離測定装置の小型化や簡素化が図られるようになる。たとえばCCDなどの画像素子からなる結像面は、光学系に比べて小型且つ軽量であるため、そのような結像面を移動させる構造も簡単なものになる。
前記結像面は、揺動シャフト周りに揺動するように構成され、前記結像相対量算出手段は、前記結像面の揺動を制御することによって、前記レンズと前記結像面の間の距離を可変するようにしてもよい。
このような構成によれば、揺動シャフトを揺動させることによって、結像面をレンズの表面に遠ざけたり近づけたりすることができるようになる。これによって、レンズに対して結像面を移動させる構造を、簡単な構成にすることができるようになる。
前記距離測定装置は更に、前記レンズと前記測定対象の間に位置する第2レンズを有し、前記結像相対量算出手段は、前記レンズと前記第2レンズの間の距離に基づき前記結像距離を求めてもよい。つまり結像相対量算出手段は、測定対象についての光の像が結像面に結像されるときの2つのレンズの相対距離から、結像距離を求めるようにしてもよい。
このような構成によれば、2つのレンズの相対距離を変化させることに応じて変化するレンズの結像距離に基づき、2つの波長を有する光の結像距離差を算出することができるようになる。
前記レンズは、前記測定対象からの光を検出するスペクトルセンサの一部であるようにしてもよい。つまり、測定対象からの光を検出するスペクトルセンサが検出した光の像が、測定対象についてレンズが結像した像であるように構成してもよい。
このような構成によれば、スペクトルセンサを用いることによって、任意の波長からなる複数の波長を有する光を、検出することができる。よって、それら検出した波長を有する光による像の結像距離に基づき、多くの結像相対量を算出することができる。多くの結像相対量に基づき距離測定を行うようにすることによって、測定される距離の精度を高くすることができる。またスペクトルセンサは、波長の選択性自由度が高いことから、周辺環境や環境光などに応じて、距離測定に適した波長を有する光を適宜選択することも容易となる。更にスペクトルセンサは、もともと複数の波長を有する光を検出することができるので、距離測定装置を簡単に構成することができる。すなわち既存のスペクトルセンサを利用して、距離測定装置を構成することが可能になる。
また上記課題を解決するため本発明は、レンズを用いて測定対象を光学的に検出することによって、前記測定対象までの距離としての対象距離を測定する距離測定方法を提供する。距離測定方法は、前記測定対象からの複数の波長を有する光を、前記レンズによって結像することによって前記測定対象の像を求め、前記レンズから前記像までの結像距離を前記波長のそれぞれに対して検出する結像距離検出工程と;これら前記結像距離同士の相対的な関係を示す量としての結像相対量を算出する相対関係量算出工程と;前記結像相対量と前記対象距離の相関を示すように前記レンズの色収差特性によって定まる情報としての相関情報に、前記結像相対量を照合することによって、前記対象距離を算出する距離算出工程とを備えることを要旨とする。
通常のレンズは、互いに異なる波長の入射光ごとに、互いに異なる屈折率を有する。つまり通常のレンズはいわゆる色収差を生じるため、入射光が複数の波長を有する場合、レンズが入射光を結像させると、それぞれの波長ごとにレンズから像までの結像距離が相違する。レンズと測定対象の間の距離の変化などによってレンズへの光の入射角が相違することよって、ひとつの波長を有する光の像の結像距離も変化する。更にレンズは、取得したい波長を有する光に限り、たとえば画像用には赤色の波長、青色の波長、緑色の波長のそれぞれ光に限り、それぞれの波長を有する光による像の結像距離が互いに一致するように構成されること、いわゆる色収差が補正されることが一般的である。
上記距離測定方法によれば、波長ごとの像の結像距離同士の間の結像相対量と、対象距離との相関を示す相関情報は、対象距離とレンズ特性とから定まる。測定対象を検出することに基づき算出した結像相対量を、相関情報と対比することによって、対象距離が算出つまり測定される。これによって、レンズつまり光学系の色収差が補正されていなくても、つまり互いに異なる波長の結像距離同士の差としての結像距離差が補正されていなくても、対象距離は測定される。つまり上記距離測定方法は、結像距離差つまり色収差が補正されていないレンズからの光を用いる場合でも、対象距離を測定できる。すなわち上記距離測定方法は、波長ごとの結像距離差つまり色収差を補正する必要がない。よって、簡単な構造のレンズを有する光学系でも、上記距離測定方法を実現することができる。
また上記距離測定方法は、共通のレンズつまり共通の光学系によって検出したそれぞれの波長の結像距離に基づき、波長ごとの結像距離差つまり色収差を求める。よって、一つの光学系すなわち一台のカメラが検出した像に基づき、距離測定を行なうことができる。上記距離測定方法は、たとえば複数のカメラを必要な方法と比較すると、カメラ等の配置の自由度を高めることができる。
更に上記距離測定方法は、結像距離が補正されていない光を用いて、距離を測定する。つまり上記距離測定方法は、用いる波長の選択自由度と設計自由度が高い。つまり距離測定方法を実施する装置における、光学系の選択自由度と設計自由度も高くなる。
前記結像距離検出工程は、前記結像距離を2つの波長それぞれに対して検出してもよい。前記距離算出工程は、前記結像相対量を前記対象距離に対応付けたマップデータから、前記相関情報を取得するようにしてもよい。
このような方法によれば、2つの波長を有する光に基づき、測定対象までの距離が測定される。よって距離測定の実施が容易になる。
前記結像距離検出工程は、前記像の鮮明度に基づき、前記波長ごとに前記結像距離を検出するようにしてもよい。
前記結像距離検出工程は、前記像の鮮明度に基づき、前記波長ごとに前記結像距離を検出するようにしてもよい。
像の鮮明度は、たとえば像自身の画素と、像の周囲の画素との間の光量変化の度合いに基づき判定される。像の鮮明度を測定する方法自体は、公知の方法で実施できるため、上記距離測定方法を好適に実施し易い。
(第1実施形態)
図1〜図6は、本発明の距離測定装置を具体化した、第1実施形態に係るスペクトル測定装置11を説明する。図1に示すように、このスペクトル測定装置11は、移動体としての車両10に搭載されている。つまり図1は、移動体としての車両10に搭載された、距離測定装置としてのスペクトル測定装置11のシステム構成の概略を示すブロック図である。
図1〜図6は、本発明の距離測定装置を具体化した、第1実施形態に係るスペクトル測定装置11を説明する。図1に示すように、このスペクトル測定装置11は、移動体としての車両10に搭載されている。つまり図1は、移動体としての車両10に搭載された、距離測定装置としてのスペクトル測定装置11のシステム構成の概略を示すブロック図である。
近年、実用化が検討されている技術としては、スペクトルセンサによって測定した不可視光領域をも含むマルチスペクトルデータから、当該スペクトルセンサの周辺環境に存在する測定対象を認識し、その認識した測定対象もしくは測定対象の状態に応じて、各種の支援を運転者(ドライバー)に提供する技術がある。たとえば自動車等の車両において実用化が検討されている運転支援装置は、ドライバーの運転や意思決定を支援するために、車両に搭載したスペクトルセンサが測定したスペクトルデータに基づき、当該車両周囲の交通環境に存在する歩行者や他車両などを認識する。
また車両のような移動体を操作するドライバーを支援するためには、たとえば移動体が他の物体に衝突することを回避したり防止したりすることを支援するためには、移動体に対する測定対象の相対的な位置を示す情報が欠かせない。そこで従来、車両には、車両自身に対する測定対象の相対的な位置を測定する距離測定装置が設けられており、そのような距離測定装置として上述した特許文献1や特許文献2に記載の装置が知られている。しかしながら、車両にスペクトル測定装置と距離測定装置とを個別に備えることは、車両においてこれら装置が占有する面積が増加したり、車両全体の構成が複雑化したり、コストが上昇したりするなどの不都合を生じさせることとなる。そこで、このようなセンサ類によるシステム構成を、簡素化することが求められている。そのため本実施形態は、車両等に搭載される場合であっても距離測定装置自身と測定対象の間の距離を、簡単な構成のもとに測定できる距離測定装置として、スペクトル測定装置を用いることができるようにした。
図1に示すスペクトル測定装置11は、車両外部の可視光と不可視光を含む光情報を取得することによって、測定対象を認識することができるとともに、スペクトル測定装置11自身と測定対象の間の距離を測定することができるように構成されている。更に車両10は、このスペクトル測定装置11から出力された認識情報や距離情報などを、車両10の搭乗者に伝達するヒューマンマシンインタフェース12と、スペクトル測定装置11から出力された認識情報や距離情報などを車両制御に反映する車両制御装置13とを備えている。なおスペクトル測定装置11は、公知の方法によって測定対象を認識することから、本実施形態では、測定対象を認識するためのスペクトル測定装置11の部分の構成と、測定対象を認識するための認識処理の部分などの冗長な説明は、便宜上、割愛する。
ヒューマンマシンインタフェース12は、光や色、音などを通じて、搭乗者とりわけ操縦者に車両状態等を伝える。更にヒューマンマシンインタフェース12は、搭乗者の意思がボタン等を通じて入力されるように、押しボタンやタッチパネルなどの操作装置が設けられている公知のインタフェース装置である。
車両に搭載した種々の制御装置のうちの一つとしての車両制御装置13は、同じく車両に搭載されているエンジン制御装置などの他の各種制御装置に、必要な情報を相互伝達できるように直接的に、もしくは車載ネットワークなどによって間接的に相互接続されている。なお本実施形態では、車両制御装置13は、接続されているスペクトル測定装置11から、このスペクトル測定装置11が認識した測定対象の情報や測定対象までの距離などの情報が入力されると、その情報を他の各種制御装置に伝達する。更に車両制御装置13は、この認識した測定対象と、測定対象までの距離とに応じて、要求される運転支援をこの車両10において実行するように構成されている。
図1に示すようにスペクトル測定装置11は、測定対象を観測することによって得られる光である観測光のスペクトルデータR0を検出するスペクトルセンサ14と、スペクトルセンサ14からスペクトルデータR0を受信して処理するスペクトルデータ処理装置15とを備えている。
スペクトルセンサ14は、観測光のスペクトル画像を検出することによって、観測光のスペクトルデータR0を生成するように構成されている。スペクトル画像を構成する複数の画素は、それぞれ個別のスペクトルデータを有する。
スペクトルセンサ14は、可視光と不可視光からなる光としての観測光を、所定の波長帯域に分光する機能を有している。スペクトルセンサ14が出力するスペクトルデータR0は、これら分光後の波長帯域を構成する波長を示す情報としての波長情報と、これら波長帯域の波長ごとに観測光の光強度を示す情報としての光強度情報とを有する。本実施形態のスペクトルセンサ14は、距離測定に用いる第1波長(λ1)つまり短波長として予め400nm(ナノメートル)を選択しており、短波長よりも長い第2波長(λ2)つまり長波長として800nmを選択している。つまりスペクトルデータR0は、400nmの光からなるスペクトルデータと、800nmの光からなるスペクトルデータとを含む。
図2に示すように、スペクトルセンサ14は、入射光Lを結像させるレンズ20と、結像した光を検出する検出装置21と、検出装置21を駆動する駆動装置22とを備えている。更にスペクトルセンサ14は、観測光から入射光Lを生成するためのフィルター(図示略)を備えている。つまり本実施形態のフィルターは、入射光Lを構成する種々の光成分のうち主となる波長の光成分を、観測光から選択する。
レンズ20は凸レンズであるため、入射光Lがレンズ20に入射すると、屈折した透過光がレンズ20から出射される。本実施形態では、入射光Lはレンズ20の光軸AXに平行であるため、透過光は、光軸AX上に位置する結像点Fに結像する。一般に、レンズ20の屈折率は、入射光Lの波長ごとに異なる。つまりレンズ20は、いわゆる色収差を有しており、レンズ20への入射光Lの波長に応じて、レンズ20から結像点Fまでの結像距離fが変化する。よってレンズ20への入射光Lは、入射光Lの波長とレンズ20の色収差特性とに基づき定まる屈折率に従って、入射光Lの波長に対応する結像距離fだけレンズ20から離間した結像点Fに結像される。すなわちレンズ20の結像距離fは、入射光Lの波長に応じて、レンズ20の光軸AX上を変化する。具体的には、入射光Lの波長が短くなるほど、レンズ20の結像距離fも短くなる。
検出装置21は、CCDなどの受光素子によって構成されている。それら受光素子の受光面が構成する撮像面としての結像面21aは、レンズ20に対向するように配置されている。検出装置21は、入射光Lの光強度情報を、結像面21aにおいて検出する。
駆動装置22は、レンズ20の光軸AXに沿う方向としての前後方向M1に、検出装置21を移動させる。つまり検出装置21の結像面21aは、任意の結像距離fに配置されるように、駆動装置22によってレンズ20の光軸AX上を移動させられる。よって結像面21aは、レンズ20に近づけられるつまり前方向に移動したり、レンズ20から遠ざけられる方向つまり後方向に移動したりする。よって駆動装置22は、入射光Lの波長に応じて変化する結像距離fに対応するように、結像面21aを配置させることができる。
図3(a)〜図3(c)は、結像距離fと、レンズ20から測定対象Tまでの距離としての対象距離sとの関係を、それぞれ示す模式図である。図3(a)は、測定対象Tがレンズ20から遠方に存在する場合を示し、図3(b)は、測定対象Tが図3(a)の場合よりもレンズ20の近くに存在する場合を示す。図3(c)は、測定対象Tが、図3(b)の場合よりもレンズ20の近くに存在する場合を示す。
図3(a)の測定対象Tは、レンズ20から、無限遠方として評価できる遠対象距離s1に離間して位置する。この場合の測定対象Tからの入射光としての遠入射光L1は、略平行光としてレンズ20に入射する。遠入射光L1が、短波長たとえば400nmの波長の光のみを有する単一波長光であるとすると、遠入射光L1は、波長400nmに対応するレンズ20の屈折率で屈折し、レンズ20からは透過光としての遠短透過光L11が出射する。遠短透過光L11は、レンズ20から結像距離としての遠短結像距離f11だけ離れた遠短結像点F11に結像される。図3(a)は、レンズ20の周縁部から出射する遠短透過光L11の部分が、遠短結像点F11に収束していく収束の急峻度合いを示す収束角つまり集光角としての遠短収束角θ11を示す。
一方、遠入射光L1が、短波長とは異なる長波長たとえば800nmの単一波長光であるとすると、遠入射光L1は、800nmの波長に対応するレンズ20の屈折率に基づき屈折される。この場合の遠長透過光L12は、レンズ20から遠長結像距離f12だけ離間した遠長結像点F12に、遠長収束角θ12で収束して結像される。なお図3(a)の測定対象Tは、レンズ20から無限遠方に存在すると評価できることから、遠短結像距離f11は、レンズ20の短波長の焦点距離を示し、遠短結像点F11は、レンズ20の短波長の焦点を示す。同様に、遠長結像距離f12は、レンズ20の長波長の焦点距離を示し、遠長結像点F12は、レンズ20の長波長の焦点を示す。
一般的に、色収差補正されていないレンズの場合、入射光Lの波長が短いほど、レンズの屈折率は大きくなる傾向がある。つまり入射光Lの波長が短いほど、収束角が大きくなるため、結像距離fが短くなる傾向がある。このことから、図3(a)に示すように、短波長400nmの遠短透過光L11の屈折率は、長波長800nmの遠長透過光L12の屈折率よりも大きい。つまり遠短収束角θ11は、遠長収束角θ12よりも大きい。よって遠短結像距離f11は、遠長結像距離f12よりも短い。このように遠短透過光L11と遠長透過光L12の間には、波長の違いによる結像距離同士の相対量つまり結像相対量として、結像距離同士の差、すなわち遠結像距離差D1(D1=遠長結像距離f12−遠短結像距離f11)が生じる。
図3(b)に示す測定対象Tは、レンズ20から、遠対象距離s1よりも短い中対象距離s2に位置する。図3(b)に示す中拡角θ2は、この場合の入射光としての中入射光L2が、測定対象Tからレンズ20の周縁部に向かって拡がる拡がり度合いを示す拡角つまり取入角を示す。拡角が大きくなるほど、レンズ20への入射角は増大する。図3(a)の場合の拡角である遠拡角θ1は、ほぼゼロである。中入射光L2が短波長400nmの単一波長光である場合、中入射光L2の屈折度合いは、中拡角θ2と、短波長に対応するレンズ20の屈折率とに基づき決まる。たとえばこの場合の中短収束角θ21は、遠短収束角θ11とは異なり、中短透過光L21が結像される中短結像距離f21の中短結像点F21も、図3(a)の場合とは異なる。
一方、中入射光L2が長波長800nmの単一波長光である場合、中入射光L2は、中拡角θ2と、長波長に対応するレンズ20の屈折率とに基づき、屈折される。中長透過光L22は、遠長収束角θ12とは異なる中長収束角θ22で、中長結像距離f22の中長結像点F22に結像される。
図3(b)に示すように、色収差補正されていないレンズ20の短波長400nmに対応する中短透過光L21の屈折率(つまり中短収束角θ21)は、長波長800nmに対応する中長透過光L22の屈折率(つまり中長収束角θ22)よりも大きい。よって中短結像距離f21は、中長結像距離f22よりも短い。そのため、中短透過光L21と中長透過光L22の間には、波長の違いによる結像相対量としての中結像距離差D2(D2=中長結像距離f22−中短結像距離f21)が生じる。
図3(c)に示す測定対象Tは、レンズ20から、中対象距離s2よりも短い近対象距離s3に位置する。図3(c)に示す近拡角θ3は、図3(b)の中拡角θ2よりも大きい。近入射光L3が、短波長400nmの単一波長光であるとすると、近入射光L3の屈折度合いは、近拡角θ3と、短波長に対応するレンズ20の屈折率とに基づき決まる。たとえばこの場合の近短収束角θ31は、中短収束角θ21とは異なり、近短透過光L31が結像される近短結像距離f31の近短結像点F31も、図3(b)の場合とは異なる。
一方、近入射光L3が長波長800nmの単一波長光である場合、近入射光L3は、近拡角θ3と、長波長に対応するレンズ20の屈折率とに基づき屈折される。近長透過光L32は、中長収束角θ22とは異なる近長収束角θ32で、近長結像距離f32の近長結像点F32に結像される。
図3(c)に示すように、色収差補正されていないレンズ20の短波長400nmに対応する近短透過光L31の屈折率(近短収束角θ31)は、長波長800nmに対応する近長透過光L32の屈折率(近長収束角θ32)よりも大きい。よって近短結像距離f31は、近長結像距離f32よりも短い。そのため、近短透過光L31と近長透過光L32の間には、波長の違いによる結像相対量としての近結像距離差D3(D3=近長結像距離f32−近短結像距離f31)が生じる。
また同じ波長を有する光同士であっても、レンズ20に入射される光の角度の違いによって、レンズ20の透過光の結像距離fは互いに異なる。なぜなら、レンズ20から測定対象Tまでの距離としての対象距離sつまり測定距離が短くなるほど、入射光Lの拡角θは大きくなるからである。逆に言えば、対象距離sが長くなるほど、入射光Lの拡角θは小さくなる。そして一般的に、入射光Lの拡角θが大きくなるほど、レンズ20からの透過光の収束角も大きくなるからである。すなわちレンズ20と測定対象Tの間の距離である対象距離sが短くなるほど、入射光Lの拡角θが大きくなり、且つ収束角が大きくなる。その結果、結像距離fは短くなる。逆に言えば、対象距離sが長くなるほど、入射光Lの拡角θが小さくなり、且つ収束角が小さくなる。その結果、結像距離fが長くなる。
そこで、レンズ20と測定対象Tの間の距離としての対象距離sが互いに異なる場合の、結像距離fの変化を説明する。まず、光の波長が短波長である場合の、対象距離sと結像距離f(焦点距離f)との相関を説明する。測定対象Tの像の結像距離は、図3(a)に示すように遠対象距離s1のとき遠短結像距離f11であり、図3(b)に示すように中対象距離s2のとき中短結像距離f21である。図3(b)に示す中入射光L2の中対象距離s2は、図3(a)に示す遠入射光L1の遠対象距離s1よりも短いため、中入射光L2の中拡角θ2は、遠入射光L1の遠拡角θ1よりも大きい。このため、中入射光L2に基づく中短収束角θ21は、遠入射光L1に基づく遠短収束角θ11よりも大きくなる。よって中短結像距離f21が遠短結像距離f11よりも短いため、遠短結像距離f11と中短結像距離f21の間に、結像距離の差としての遠中短差D11(D11=f11−f21)が生じる。
次に、光の波長が長波長の場合の、対象距離sと結像距離f(焦点距離)との相関を説明すると、図3(a)と図3(b)から分かるように、中長結像距離f22は、遠長結像距離f12よりも短い。このため、遠長結像距離f12と中長結像距離f22の間に、遠中長差D12(D12=f12−f22)が生じる。
なおレンズ20の屈折率は、波長ごとに異なる。このため通常は、短波長についてのレンズ20の屈折率による遠短収束角θ11と中短収束角θ21の相対関係(たとえば比)は、長波長についてのレンズ20の屈折率に基づく遠長収束角θ12と中長収束角θ22との相対関係(たとえば比)とは異なるのであり、つまり一致しない。また短波長の場合の遠短収束角θ11が中短収束角θ21に変化したことによる結像距離差としての遠中短差D11は、長波長の場合の遠長収束角θ12が中長収束角θ22に変化したことによる結像距離差としての遠中長差D12とは異なり、やはり一致しないことが通常である。
このことから、測定対象Tまで遠対象距離s1のときの遠結像距離差D1と、測定対象Tまで中対象距離s2のときの中結像距離差D2との相対関係を式で示すと、中結像距離差D2=遠結像距離差D1+遠中短差D11−遠中長差D12と表される。この関係式は、上述のそれぞれ式からf11,f12,f21,f22を削除するようにD1,D2,D11,D12を加減することで確かめられる。
更に、遠結像距離差D1と中結像距離差D2は、通常は互いに異なる値になることも確認される。つまり、測定対象Tまで遠対象距離s1のときの遠結像距離差D1は、測定対象Tまで中対象距離s2のときの中結像距離差D2とは相違することとなるため、遠結像距離差D1は遠対象距離s1に対応し、中結像距離差D2は中対象距離s2に対応すると結論でき、この関係を用いて、距離を測定できることが分かる。
同様に説明を続けて、測定対象Tまで近対象距離s3の場合を説明する。光の波長が短波長であるとき、遠短収束角θ11や中短収束角θ21よりも大きい近短収束角θ31を有する近短透過光L31は、近短結像距離f31の近短結像点F31に結像される。すなわち近短結像距離f31は、遠短結像距離f11よりも短いことに基づき、遠短結像距離f11との間に遠近短差D21が生じる。同様に、光の波長が長波長であるとき、遠長収束角θ12や中長収束角θ22よりも大きい近長収束角θ32を有する近長透過光L32は、近長結像距離f32の近長結像点F32に結像される。すなわち近長結像距離f32は、遠長結像距離f12よりも短いことに基づき、遠長結像距離f12との間に遠近長差D22が生じる。
このときも、レンズ20は、波長ごとに屈折率が互いに異なるため、短波長に対応した屈折率に基づく遠短収束角θ11と近短収束角θ31との相対関係(たとえば比)と、長波長に対応した屈折率に基づく遠長収束角θ12と近長収束角θ32との相対関係(たとえば比)とは、互いに異なり一致しないことが通常である。また短波長において遠短収束角θ11が近短収束角θ31に変化したことによって結像距離に生じる遠近短差D21と、長波長において遠長収束角θ12が近長収束角θ32に変化したことによって結像距離に生じる遠近長差D22とは、これも互いに異なり一致しないことが通常である。このことから、測定対象Tまで遠対象距離s1のときの遠結像距離差D1と、測定対象Tまで近対象距離s3のときの近結像距離差D3との相対関係を式で表すと、近結像距離差D3=遠結像距離差D1+[遠近短差D21−遠近長差D22]と表されるとともに、遠結像距離差D1と近結像距離差D3とが通常は互いに異なる値となることも示される。
説明の便宜上、説明を割愛するが、遠結像距離差D1と近結像距離差D3との関係と同様に、通常、中結像距離差D2と近結像距離差D3とは互いに異なる値となる。すなわち測定対象Tまで遠対象距離s1のときの遠結像距離差D1と、測定対象Tまで中対象距離s2のときの中結像距離差D2と、測定対象Tまで近対象距離s3のときの近結像距離差D3とが相違することとから、近結像距離差D3は近対象距離s3に対応することを算出できるようになっている。
図4(a)に示すように、短波長400nmの遠短透過光L11は、遠短結像距離f11に位置する結像面21aに、測定対象Tの像を結像させる。一方、図4(b)に示すように、遠短結像距離f11よりも長い遠長結像距離f12を有する長波長800nmの遠長透過光L12は、遠短結像距離f11の結像面21aに投影されると、たとえば円環状にボヤけた測定対象Tの像を示す。すなわち遠長透過光L12による測定対象Tの像は、遠短結像距離f11に位置する結像面21aには結像しない。
図4(c)は、同じ測定対象Tでありながら短波長の像と、長波長の像とを、遠短結像距離f11に配置されている結像面21aに同時に投影することによって、結像した短波長の像と、円環状にボヤけた長波長の像とを組み合わせた画像を示す。図4(d)に示すように、遠長結像距離f12に配置された結像面21aは、遠長透過光L12による長波長の結像された測定対象Tの像を示す。このことから、結像面21aを移動させることによって、結像面21aに投影されるそれぞれの波長の光の結像位置を検出することができることが分かる。
このようにスペクトルセンサ14は、測定対象Tを捕捉する短波長に基づくスペクトル画像と、長波長に基づくスペクトル画像とを含むスペクトルデータR0を検出する。そして、スペクトルセンサ14は、スペクトルデータR0と、それぞれスペクトル画像を検出したときの結像距離データF0とを、スペクトルデータ処理装置15に出力する。
スペクトルデータ処理装置15は、演算装置や記憶装置などを有するマイクロコンピュータを中心に構成されている。スペクトルデータ処理装置15は、スペクトルセンサ14に接続されているため、該スペクトルセンサ14から、観測光のスペクトルデータR0と結像距離データF0が入力される。スペクトルデータ処理装置15は、入力されたスペクトルデータR0と結像距離データF0に基づき、測定対象Tまでの距離を算出(測定)する。
図1に示すように、スペクトルデータ処理装置15は、演算装置16と、記憶手段としての記憶部17とを備えている。記憶部17は、公知の記憶装置に設けられている記憶領域の全部もしくは一部からなる。
図5は、記憶部17の記憶領域が記憶するマップデータ18を示す。マップデータ18は、対象距離sに関連付けられる態様で、短波長を有する光の結像距離と、長波長を有する光の結像距離との差を示す。マップデータ18は、測定対象Tまでの遠対象距離s1に関連付けられた短波長の遠短結像距離f11と長波長の遠長結像距離f12との差としての遠結像距離差D1と、測定対象Tまでの中対象距離s2に関連付けられた短波長の中短結像距離f21と長波長の中長結像距離f22との差としての中結像距離差D2とを記憶している。また、マップデータ18は、測定対象Tまでの近対象距離s3に関連付けられた短波長の近短結像距離f31と長波長の近長結像距離f32との差としての近結像距離差D3を記憶している。よって演算装置16は、マップデータ18からたとえば遠結像距離差D1のとき遠対象距離s1が、中結像距離差D2のとき中対象距離s2が、近結像距離差D3のとき近対象距離s3をそれぞれ取得できるようになっている。つまりマップデータ18は、2つの波長を有する光の像の結像距離差と測定対象までの距離との相関を示すように、対象距離sとレンズ20の色収差特性とから定まる情報としての相関情報を示す。
図1に示すように、演算装置16は、測定対象Tの像から、距離測定に用いる画素を選定する注目画素選定部30と、選定した画素ごとに2つの波長それぞれの結像距離を検出する結像距離検出部31とを備えている。また、演算装置16は、2つの結像距離の差を算出する相対関係量算出部としての結像相対量算出部32と、結像距離差に基づき対象距離sを算出する距離算出部33とを備えている。結像距離検出部31と結像相対量算出部32は、結像相対量算出手段を構成する。
注目画素選定部30は、測定対象Tの像から距離測定に用いる画素を選定する。注目画素選定部30は、スペクトルセンサ14からスペクトルデータR0と結像距離データF0が入力されるとともに、結像距離データF0と、選定した画素情報を含むスペクトルデータR1とを、結像距離検出部31に出力する。画素の選定は、別途行なわれた対象認識処理に基づき、認識した測定対象の中から優先度の高い測定対象に対応する画素を選定するようにしてもよいし、多くの領域を占有するものに対応する画素を選定するようにしてもよい。
結像距離検出部31は、注目画素選定部30によって選定した画素について、2つの波長を有する光のそれぞれ結像距離を検出する。結像距離検出部31は、注目画素選定部30から結像距離データF0とスペクトルデータR1が入力されるとともに、検出した2つの波長の結像距離を含む結像距離データR2を結像相対量算出部32に出力する。また結像距離検出部31は、検出装置21の結像距離fを変更させるための駆動指令信号R10を駆動装置22に出力する。更に結像距離検出部31は、スペクトルデータR1に基づき選定した画素のボケ量、いわゆる鮮明度を公知の方法によって判定する。鮮明度の判定はたとえば測定対象Tの像が結像している画素と、その像の周囲の画素との間における光量の変化の度合いなどに基づき判定することができる。たとえば像のボケ量が少ない、すなわち像が鮮明である場合、周囲の画素との光量の変化の度合いが大きくなる傾向を有する。一方、像のボケ量が多い、すなわち像がの鮮明度が乏しい場合、周囲の画素との光量の変化の度合いが小さくなる傾向を有する。また鮮明度の判定は、像の境界部分などの画像の周波数成分からも求めることができる。すなわち像の境界部分の周波数成分が多い場合、画像が鮮明であるつまりボケ量が少ないことから、画素間の光量の変化量が大きいと判定できる。一方、周波数成分が少ない場合、画像の鮮明度が乏しいことつまりボケ量が多いことから、画素間の光量の変化量が小さいと判定できる。このようなことから結像距離検出部31は、画像の鮮明度を判定しつつ、駆動装置22を介して検出装置21を移動させることによって、測定対象Tの像の短波長における結像距離(f11等)や、長波長における結像距離(f12等)を検出する。結像距離検出部31は、検出したそれぞれ波長のそれぞれの結像距離(f11,f12等)を、それぞれ波長に関連付けたデータである結像距離データR2として、結像相対量算出部32に入力させる。
結像相対量算出部32は、2つの波長の結像距離の差からなる結像距離差を算出する。結像相対量算出部32は、結像距離検出部31から入力した結像距離データR2に基づき、2つの波長の結像距離(たとえば遠短結像距離f11と遠長結像距離f12)の差を算出する。更に結像相対量算出部32は、算出した差を、2つの波長に関連付けたデータである差データR3として、距離算出部33に出力する。
距離算出部33は、差データR3に基づき、対象距離sを算出する距離算出手段である。距離算出部33は、差データR3から取得される2つの波長(たとえば400nmと800nm)に基づき、記憶部17から当該2つの波長に対応するマップデータ18を選択する。そして距離算出部33は、選択したマップデータ18から、差データR3から取得される結像距離差(たとえば遠結像距離差D1)に対応する対象距離s(たとえば遠対象距離s1)を取得する。そして距離算出部33は、取得した対象距離sを、たとえば測定対象Tに関連付けるなどして距離データR4を生成し、この距離データR4を、ヒューマンマシンインタフェース12や車両制御装置13などに出力する。
図6は、測定対象までの距離を測定する手順を示す。つまり図6のフローチャートは、本実施形態のスペクトル測定装置11が対象距離sを測定する手順を示す。なお本実施形態では、対象距離測定手順は、所定周期で逐次実行される。
図6に示すように、ステップS10において演算装置16は、距離測定のための処理が開始されるとスペクトルセンサ14によって取得したスペクトルデータR0を取得する。スペクトルデータR0が取得されると、ステップS11において演算装置16は、測定対象Tの像を含む画素を注目画素として選定する。なお測定対象Tは、スペクトル測定装置11によって別途認識した測定対象や測定対象の優先度などを条件として選択される。注目画素が選定されると、ステップS12において演算装置16は、距離測定に用いる波長として選択した2つの波長を有する光の像の結像距離を、それぞれ検出する(結像距離検出工程)。結像距離fは、検出装置21を移動させることによって変化する結像面21aにおける像の鮮明度に基づき、求められる。結像距離fが検出されると、ステップS13において演算装置16は、2つの波長を有する光の像の結像距離同士の相対関係量としての結像相対量Dを算出する(相対関係量算出工程)。結像相対量Dは、2つの波長を有する光の像のそれぞれの結像距離に基づく結像距離差(D1,D2,D3)として算出される。結像相対量Dが算出されると、ステップS14において演算装置16は、対象距離sを算出する(距離算出工程)。対象距離sは、結像距離差を算出した2つの波長に対応するマップデータ18から、結像距離差に対応する距離が取得されることによって算出される。
このように本実施形態は、2つの波長の結像距離差を用いる。よって、たとえばひとつの波長の結像距離に基づき対象距離sを求める場合に比較して、結像距離差を、距離測定に好適な変化をするように調整することもできるようになる。すなわち2つの波長を選択することによって、結像距離差を、対象距離sに応じて大きく変化させるようにしたり、測定精度を調整したりすることなどができるようにもなる。
以上説明したように、本実施形態のスペクトル測定装置によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)通常、レンズ20は、それぞれ波長を有する光ごとに互いに異なる屈折率を有する。つまりレンズ20は、いわゆる色収差を生じるため、複数の波長を有する光の像を結像させる際、それぞれ波長を有する光ごとに結像距離を相違させる。またひとつの波長を有する光の像の結像距離も、レンズ20と測定対象Tの間の距離の変化などによるレンズ20への入射光Lの拡角θの相違によって変化する。更にレンズ20は、取得したい波長を有する光に限りたとえば画像用には、赤色の波長、青色の波長、緑色の波長のそれぞれ光に限り、それぞれ波長を有する光による像の結像距離がそれぞれ一致するように構成される、いわゆる色収差が補正されることが一般的である。
(1)通常、レンズ20は、それぞれ波長を有する光ごとに互いに異なる屈折率を有する。つまりレンズ20は、いわゆる色収差を生じるため、複数の波長を有する光の像を結像させる際、それぞれ波長を有する光ごとに結像距離を相違させる。またひとつの波長を有する光の像の結像距離も、レンズ20と測定対象Tの間の距離の変化などによるレンズ20への入射光Lの拡角θの相違によって変化する。更にレンズ20は、取得したい波長を有する光に限りたとえば画像用には、赤色の波長、青色の波長、緑色の波長のそれぞれ光に限り、それぞれ波長を有する光による像の結像距離がそれぞれ一致するように構成される、いわゆる色収差が補正されることが一般的である。
このようなことから、2つの波長を有する光の像の結像距離差と測定対象までの距離との相関を示すように、対象距離sとレンズ20の色収差特性とから定まる情報としての相関情報としてのマップデータ18と、検出に基づき算出した結像距離差とを対比することによって、対象距離sを算出(測定)するようにした。これによって、波長ごとの結像距離差(色収差)が補正されていないレンズ20(光学系)を用いたりする場合であれ、対象距離sを測定できる。すなわちこの距離測定装置は、波長ごとの結像距離差(色収差)を補正する必要がないことから、レンズ20などの光学系の構造を簡単にすることができる。
(2)また本実施形態は、それぞれ波長の結像距離を、同じレンズ20(光学系)を用いて検出することによって、波長ごとの結像距離差(色収差)を求めるように構成されている。このことから、距離測定を、ひとつの光学系すなわち一台のカメラ(スペクトルセンサ14)で行うことができる。よって、たとえば複数のカメラを用いる場合と比較すると、カメラ等の配置の自由度が高められるとともに、カメラの配置位置を高い精度に維持する必要もなく、距離測定装置の構成を簡単にすることができる。
(3)更に本実施形態の距離測定は、結像距離が補正されていない波長を有する光を用いるようにした。よって、距離測定装置に用いる波長の選択自由度と設計自由度が高くなるとともに、この距離測定装置に採用する光学系の選択自由度と設計自由度も高くなる。
(4)レンズ20は、焦点距離(結像距離)が互いに異なる2つの波長を有する光に基づき、対象距離sを測定する。すなわち2つの波長を有する光からであれ、測定対象Tの距離を測定することができるので、距離測定の実施が容易である。
(5)2つの波長を有する光の結像相対量として、結像距離差(D1,D2,D3)すなわち色収差を検出する。よって、検出にかかる演算などが簡単である。
(6)本実施形態は、レンズ20と結像面21aの間の距離を変化させることによって、結像距離を、レンズ20と結像面21aの間の距離から直接求められる。よって結像距離の検出が、簡単である。
(6)本実施形態は、レンズ20と結像面21aの間の距離を変化させることによって、結像距離を、レンズ20と結像面21aの間の距離から直接求められる。よって結像距離の検出が、簡単である。
(7)結像距離を求めるに際し、レンズ20に対して結像面21aを移動させるようにした。これによって、光学系よりも小型となる結像面21aを移動させるので、装置の小型化や簡素化が図られるようになる。CCDなどの画像素子からなる結像面21aは、光学系に比べて小型且つ軽量であり、それを移動させる構造としても簡単なものになる。
(8)スペクトルセンサ14が、レンズ20によって結像される測定対象Tの複数の波長の光の像を検出する。よって、任意の波長からなる複数の波長を有する光を、検出することができる。これによって波長の選択性自由度が高いことから、周辺環境や環境光などに応じて、距離測定に適した波長を有する光を適宜選択することも容易となる。またスペクトルセンサ14は、もともと複数の波長を有する光を検出することができるので、距離測定装置を簡単に構成することができるようにもなる。すなわち既存のスペクトルセンサを用いて、距離測定装置を構成することを可能ともする。
(第2実施形態)
図7〜図9は、本発明に係る距離測定装置を具体化した、第2実施形態に係るスペクトル測定装置を説明する。図7は、スペクトルセンサ14の構造を模式的に示す。図8は、波長400nmの光の像が、結像する態様を模式的に示す。図9(a)は、波長が800nmの光の像が、結像面21aに結像していない態様を示し、図9(b)は、像が結像面21aに結像している態様を示す。なお本実施形態は、スペクトルセンサ14の構造が、結像面21aを直線移動させるのではなく、回転移動させる点が上記第1実施形態と相違し、それ以外の構成は同様であるので、第1実施形態との相違点を主に説明し、同様の部材には同一の番号を付して重複説明を割愛する。
図7〜図9は、本発明に係る距離測定装置を具体化した、第2実施形態に係るスペクトル測定装置を説明する。図7は、スペクトルセンサ14の構造を模式的に示す。図8は、波長400nmの光の像が、結像する態様を模式的に示す。図9(a)は、波長が800nmの光の像が、結像面21aに結像していない態様を示し、図9(b)は、像が結像面21aに結像している態様を示す。なお本実施形態は、スペクトルセンサ14の構造が、結像面21aを直線移動させるのではなく、回転移動させる点が上記第1実施形態と相違し、それ以外の構成は同様であるので、第1実施形態との相違点を主に説明し、同様の部材には同一の番号を付して重複説明を割愛する。
図7に示すように、距離測定装置は、検出装置21を揺動するための揺動シャフトCと、揺動シャフトCを駆動する揺動装置25とを有する。揺動シャフトCは、レンズ20の光軸AXに対して垂直な方向に延びる。揺動シャフトCから延びる支持棒は、検出装置21の端部に連結する。結像距離検出部31は、回転駆動指令信号R11を揺動装置25に指令することによって、揺動シャフトCを、矢印で示す揺動方向M2に回動させる。よって結像面21aは、レンズ20に対して、円弧状ながらも前後に移動する。すなわち揺動シャフトCの揺動に伴って、レンズ20と、検出装置21の結像面21aとの間の距離が変化する。つまり揺動シャフトCを揺動させることによって、レンズ20に入射した短波長を有する光の像と、長波長を有する光の像とのそれぞれの結像距離を、レンズ20と結像面21aの間の距離(結像距離f)から検出することができるようになる。
図8に示すように、結像面21aが光軸AXに対して直交しているとき、短波長400nmの遠短透過光L11が、遠短結像距離f11の遠短結像点F11に結像するとする。図9(a)に示すように、長波長800nmの遠長透過光L12は、遠短結像距離f11に存在する結像面21aには結像しない。そこで、結像面21aを後ろに倒すように揺動シャフトCを角度θaだけ回転させることによって、結像面21aを、光軸AX上において遠長結像距離f12になる位置まで後ろに傾ける。その結果、長波長800nmの遠長透過光L12は、遠長結像距離f12の遠長結像点F12に位置する結像面21aの部分に結像する。これによって、遠短結像距離f11と遠長結像距離f12とから、遠結像距離差D1を求めることができるようになる。なお遠短結像距離f11に対する距離の変化量は、揺動シャフトCと光軸AXとの距離Raと、揺動シャフトCの角度θaとから、Ra×tan θaとして算出することができる。
以上説明したように、本実施形態によっても先の第1実施形態の前記(1)〜(8)の効果と同等もしくはそれに準じた効果が得られるとともに、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(9)揺動シャフトCを揺動させることによって、結像面21aをレンズ20に対して前後に移動させる。よって、レンズ20に対して結像面21aを移動させる構造を、簡単な構成にすることができる。
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・それぞれ上記実施形態では、フィルターを、レンズ20に入射される前の入射光に適用することに限らず、レンズ20から出射した透過光にフィルターを適用してもよい。このように、所定波長を有する光を取得するための構成の自由度を、高めてもよい。
・それぞれ上記実施形態では、フィルターを、レンズ20に入射される前の入射光に適用することに限らず、レンズ20から出射した透過光にフィルターを適用してもよい。このように、所定波長を有する光を取得するための構成の自由度を、高めてもよい。
・それぞれ上記実施形態では、結像距離差に基づき対象距離sを算出するために、マップデータ18を参照することに限らず、演算式に基づき、結像距離差から測定対象までの距離を算出するようにしてもよい。これによって、記憶領域の削減を図ることができるようになる。
・図10に示すように、レンズ20と測定対象Tの間に、第2レンズ27を設けてもよい。駆動装置26は、第2レンズ27を、レンズ20に対して前後方向に移動させる。レンズ20は、固定されている。第2レンズ27は凹レンズであり、第2レンズ27の凹面は、レンズ20を向いている。スペクトルデータ処理装置15は、第2レンズ27の移動量を、駆動指令信号R12によって調整することによって、レンズ20と第2レンズ27の間の距離であるレンズ間距離faを調整する。第2レンズ27は、レンズ20への入射光Lの拡角θを増大させる。つまりレンズ間距離faを増大させることは、レンズ20と結像面21aの間の距離(結像距離f)を減少させることに対応する。
このようにスペクトルデータ処理装置15は、レンズ20と第2レンズ27の間のレンズ間距離faに基づき、それぞれの波長光の像の結像距離を算出するようにしてもよい。つまり、レンズ20と検出装置21の間の距離を変化させることによってそれぞれの波長に対応する結像距離を検出することに限らず、レンズ20と結像面21aの間の距離を一定に保ったまま、それぞれの波長に対応する結像距離を検出するようにしてもよい。これによっても、距離測定装置に採用できる光学系の設計自由度が高められる。
・それぞれ上記実施形態では、検出装置21が光軸AX上を移動する場合を例示した。しかしこれに限らず、光軸を維持しつつレンズが移動してもよい。これによって、距離測定装置に採用できる光学系の設計自由度が高められる。
・それぞれ上記実施形態では、レンズ20の結像点(F11,F12,F21,F22,F31,F32)に検出装置21が配置される場合を例示した。しかしこれに限らず、入射光の結像点となる位置にレンズに対して前後に移動可能なスリットを設けてもよい。このような構成によれば、所定位置に固定したスリットを通過した光をプリズムなどで分光することによって、複数の波長帯域の光強度情報を取得する、いわゆる公知のスペクトルセンサの一態様と同様の構成とすることができる。一方、スリットを移動させると、光収差補正されていない波長を有する光が、それらの結像距離の相違に基づき選択的にスリットを透過するようになる。よって、スリットを通過する波長を有する光の像の鮮明度に基づき、結像距離を検出するとともに結像距離差を算出することによって対象距離sを測定することができるようにもなる。これによって、公知のスペクトルセンサの一態様に対する採用可能性が高められる。
・それぞれ上記実施形態では、2つの波長を有する光の像の焦点距離の差(結像距離差)を結像相対量とする場合を例示した。しかしこれに限らず、2つの波長を有する光の焦点距離の比(結像距離の比)を結像相対量としてもよい。これによって、2つの波長を有する光の結像相対量についてその算出方法について自由度が高められ、好適な測定結果を得られるようにもなる。
・それぞれ上記実施形態では、ひとつの結像距離差に基づき対象距離sを算出する場合を例示した。しかしこれに限らず、複数の結像距離差に基づき測定対象までの距離を算出するようにしてもよい。複数の結像距離差に基づけば、測定対象までの距離を高い精度で求められるようにもなる。特に、スペクトルセンサであれば、それが検出することができる波長を有する光の像の結像距離に基づき、多くの結像距離差を算出することができるようになる。多くの結像距離差に基づき距離測定を容易に行なうことができるとともに、測定される距離の精度を高くすることができるようになる。
・それぞれ上記実施形態は、レンズ20がひとつの凸レンズである場合を例示した。しかしこれに限らず、レンズは、複数のレンズから構成されるものであっても、また凸レンズ以外のレンズが含まれる場合でもあっても、入射光を結像させる光学系であればよい。これによって、レンズの設計自由度が高められこのような距離測定装置の採用自由度が高められる。
・それぞれ上記実施形態では、レンズ20が色収差補正されていない場合を例示した。しかしこれに限らず、レンズ20は、距離測定に用いない波長が色収差補正されてもよいし、もしくは距離測定に用いる波長が色収差補正されていても補正の度合いが小さければよい。このように、距離測定装置を採用できるレンズ20の可能性を高めてもよい。
・それぞれ上記実施形態では、結像距離差(結像相対量)を求める2つの波長のうちの短波長が400nmであり、長波長が800nmである場合を例示した。しかしこれに限らず、結像距離の結像相対量を求める2つの波長は、レンズによって色収差が生じる関係にあれば、可視光と不可視光の中から選択可能である。すなわち短波長は400nmよりも短い波長でも長い波長でもよく、また長波長は800nmよりも短い波長でも長い波長でもよい。これによって距離測定装置としての波長選択自由度が高められ、距離測定に好適な波長の組み合わせを選択することによって距離測定が好適になされるようにすることができるようにもなる。なお不可視光には、紫外線(近紫外線)と赤外線(遠赤外線、中赤外線、近赤外線を含む)が含まれてもよい。
・それぞれ上記実施形態では、対象距離sが遠くなると、結像距離差が大きくなる場合を例示した。しかしこれに限らず、結像距離差は、測定対象までの距離の変化に応じて変化するものであればよい。すなわち結像距離差は、レンズの特性等と、選択した複数の周波数同士の関係とによって様々に変化する。よって、結像距離差と、測定対象までの距離とは、マップデータとして互いに関連付けて設定できる関係にあればよく、測定対象までの距離に対する結像距離差がどのように変化してもよい。このように、距離測定装置に採用できる光学系の選択自由度を高めることができる。
10…車両、11…スペクトル測定装置、12…ヒューマンマシンインタフェース、13…車両制御装置、14…スペクトルセンサ、15…スペクトルデータ処理装置、16…演算装置、17…記憶部、18…マップデータ、20…レンズ、21…検出装置、21a…結像面、22…駆動装置、25…揺動装置、26…駆動装置、27…第2レンズ、30…注目画素選定部、31…結像距離検出部、32…相対関係量算出部としての結像相対量算出部、33…距離算出部、C…揺動シャフト、T…測定対象、AX…光軸、F11,F12,F21,F22,F31,F32…結像点。
Claims (12)
- レンズを用いて測定対象を光学的に検出することによって、前記測定対象までの距離としての対象距離を測定する距離測定装置であって、
前記測定対象からの複数の波長を有する光を、前記レンズによって結像することによって前記測定対象の像を求め、前記レンズから前記像までの結像距離を前記波長ごとに求めることによって、それら前記結像距離同士の相対的な関係を示す量としての結像相対量を算出する結像相対量算出手段と、
前記結像相対量と前記対象距離との相関を示すように前記レンズの色収差特性によって定まる情報としての相関情報を、記憶する記憶手段と、
前記結像相対量を前記相関情報に照合することによって、前記対象距離を算出する距離算出手段と
を備えることを特徴とする、距離測定装置。 - 前記光は、前記結像距離が互いに相違する2つの波長を有し、
前記相関情報は、それぞれ前記結像相対量を前記対象距離に対応付けたマップデータを構成する、
請求項1記載の距離測定装置。 - 前記結像相対量は、前記2つの波長の結像距離同士の差としての結像距離差である、
請求項2記載の距離測定装置。 - 前記結像相対量は、前記2つの波長の結像距離同士の比としての結像距離比である、
請求項2記載の距離測定装置。 - 前記結像相対量算出手段は、前記結像距離を求めるために、前記レンズと、前記像を撮像するための結像面との間の距離を可変に構成されている、
請求項2〜4何れか一項記載の距離測定装置。 - 前記結像相対量算出手段は、前記レンズに対して前記結像面を移動させるように構成されている、
請求項5記載の距離測定装置。 - 前記結像面は、揺動シャフト周りに揺動するように構成され、
前記結像相対量算出手段は、前記結像面の揺動を制御することによって、前記レンズと前記結像面の間の距離を可変する、
請求項6記載の距離測定装置。 - 前記距離測定装置は更に、前記レンズと前記測定対象の間に位置する第2レンズを有し、
前記結像相対量算出手段は、前記レンズと前記第2レンズの間の距離に基づき前記結像距離を求める、
請求項2〜4何れか一項記載の距離測定装置。 - 前記レンズは、前記測定対象からの光を検出するスペクトルセンサの一部である、
請求項1〜8何れか一項記載の距離測定装置。 - レンズを用いて測定対象を光学的に検出することによって、前記測定対象までの距離としての対象距離を測定する距離測定方法であって、
前記測定対象からの複数の波長を有する光を、前記レンズによって結像することによって前記測定対象の像を求め、前記レンズから前記像までの結像距離を前記波長のそれぞれに対して検出する結像距離検出工程と;
これら前記結像距離同士の相対的な関係を示す量としての結像相対量を算出する相対関係量算出工程と;
前記結像相対量と前記対象距離の相関を示すように前記レンズの色収差特性によって定まる情報としての相関情報に、前記結像相対量を照合することによって、前記対象距離を算出する距離算出工程と
を備えることを特徴とする、距離測定方法。 - 前記結像距離検出工程は、前記結像距離を2つの波長それぞれに対して検出し、
前記距離算出工程は、前記結像相対量を前記対象距離に対応付けたマップデータから、前記相関情報を取得する、
請求項10記載の距離測定方法。 - 前記結像距離検出工程は、前記像の鮮明度に基づき、前記波長ごとに前記結像距離を検出する、
請求項10または11記載の距離測定方法。
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