JP2009041928A - 距離計測方法および装置、ならびに距離計測装置を備えた車両 - Google Patents

距離計測方法および装置、ならびに距離計測装置を備えた車両 Download PDF

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Abstract

【課題】計測対象空間内の被検物の距離情報、例えばその被検物が計測装置からある特定の距離だけ離れているかどうかを高速に計測する。
【解決手段】投光器1L,1Rは、計測対象空間内に照射光L11〜L13およびL21〜L23を交差するように、かつそれらの交点からの反射光のパルス間隔が交点までの距離に対応する時間間隔となるようにパルス光を投光する。撮像素子2は、計測対象空間内の被検物からの反射光を検出してその被検物の像を複数回撮像する。同期検波部33Aは、複数枚の画像における各画素から出力される時系列画素信号の中から、計測対象である交点までの距離に対応するパルス間隔を持つ時系列画素信号を検出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、計測用の光を被検物に照射して被検物の距離情報を計測する距離計測技術、およびこの距離計測技術を用いる乗用車等の車両に関するものである。
光を計測対象空間に向けて照射し、被検物からの反射光をCCDなどの撮像装置で撮像し、その撮像情報を処理して、被検物までの距離や被検物の形状などを計測する距離(形状)計測装置が知られている。このような計測装置として、カメラの1フレームの露光時間中に、照射方向毎に照射光量が異なるよう計測対象空間に向けてスリット光を照射し、カメラで撮像して得た画像において、スリット光の照射による露光量の違いから、各画素毎にスリット光の照射方向を算出するようにした計測装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この計測装置においては、各画素毎に算出されたスリット光の照射方向、各画素の撮像方向、およびスリット光の光源の位置とカメラとの位置関係に基づいて、三角測量の原理でスリット光が照射された物体の点や面までの距離を算出している。そして、このようにして算出されたカメラの全画素の距離情報より、計測対象空間内の物体の三次元形状を計測している。
特開2002−131031号公報
しかしながら、この従来の計測装置にあっては、同一物体の像であっても、その像内の各部の露光量が距離に応じて異なるため、その物体の形状を計測するためには、カメラの全画素の像毎に距離算出処理を行い、算出された距離が同じ画素の像を同一物体の画像として抽出した後、三次元形状を計測するという構成になっていた。そのため、例えば画面上で小さく撮像される物体の三次元形状の計測を行う場合でも、背景領域等を含む全画素の距離算出処理を行う必要があり、処理時間が長くなるという問題があった。
本発明では、2つの光を特定の距離に設定した交点で交差するように照射し、2つの光の交点から反射する反射光中に、交点までの距離を表す情報が含まれるようにした。そして、交点からの反射光を光電変換した計測信号の中から、上記距離を表す情報を含む計測信号を抽出し、注目する交点に存在する被検物を検出するようにした。
本発明によれば、従来技術で必要であった三角測量等の原理による距離情報等の中間情報の算出演算処理を行うことなく、光の交点付近の被検物の検出を行うことができ、被検物を高速に計測できる。
[第1の実施形態]
図1〜図6を参照して本発明による距離計測装置の実施形態の一例について説明する。本実施形態は、乗用車等の車両に備えられた距離計測装置に本発明を適用したものである。図1は、本実施形態の距離計測装置を搭載した車両MBを示す。距離計測装置は、第1および第2の投光器1L,1Rと、撮像装置2と、図3のコントロールユニットCUとを備えている。第1および第2の投光器1L,1Rは、車両MBのフロントバンパー3の左端部および右端部の近傍に設置され、計測対象空間に向けて、路面に垂直な方向に細長いスリット状の第1および第2の照射光を投光する。
なお、投光器1L,1Rは車幅方向にある程度以上の間隔で、かつ車両前方に光を照射できるように設置されていればよく、その設置位置は任意である。
撮像装置2は、フロントガラスの上部中央付近、すなわちルーフ4の前端部中央裏側のルームミラー(不図示)の近傍に取り付けられたカメラを含む。カメラは後述するように撮像素子を有し、上記第1および第2の照射光を計測空間に照射したときに被検物から反射する反射光(鏡面反射光および散乱光等を含む)を撮像する。コントロールユニットCUは、撮像装置2の検出情報を用いて被検物の距離情報(形状の情報を含む)を計測する。
図2は、図1の投光器1L,1Rおよび撮像装置2の構成を示す。左側の第1の投光器1Lは、光源5A〜5Cと、ミラー6A〜6Cと、駆動部4Lとを備えている。光源5A〜5Cは、それぞれ路面に垂直な方向に細長いスリット状の照射光L11,L12,L13を出力する発光ダイオード(LED)およびレンズを含む。ミラー6A〜6Cは、照射光L11,L12,L13の投光角度α11,α12,α13(α11<α12<α13)を設定する。ここで、投光角度は反時計周りの角度である。駆動部4Lは、図3のコントロールユニットCUからの投光制御信号TMLによって、光源5A〜5Cを所定の周期Ta(図4(B)参照)で順次パルス発光させる。
右側の第2の投光器1Rは、光源7A〜7Cと、ミラー8A〜8Cと、駆動部4Rとを備えている。光源7A〜7Cは、第1投光器1Lとほぼ対称に、スリット状の照射光L21,L22,L23を出力する。ミラー8A〜8Cは、照射光L21,L22,L23の投光角度α21,α22,α23(α21>α22>α23)を設定する。ここで、投光角度は時計周りの角度である。駆動部4Rは、光源7A〜7Cを、図3のコントロールユニットCUからの投光制御信号TMRによって、光源5A〜5Cと同じ周期Ta(図4(E)参照)で順次パルス発光させる。なお、図4(C)に示すように、照射光L13の発光タイミング信号である投光制御信号TMRから所定時間Tb経過後に、照射光L21の発光タイミング信号である投光制御信号TMLが出力される。
図2において、投光器1Lから投光される照射光L13,L12と投光器1Rから投光される照射光L22,L21との交点P1,P2、および照射光L13,L12,L11と照射光L23,L22,L21との交点P3,P4,P5が、本実施形態において被検物を計測する位置である。以下では交点P1〜P5を観測点P1〜P5と呼ぶ。
照射光L11〜L13と照射光L21〜L23とは、順次、パルス点灯されるため、観測点P1〜P5は、実際に2つの照射光が交差する点ではなく、2つの照射光が順次通過する点である。また、照射光L11〜L13と照射光L21〜L23とは他の交点でも交差しており、これらの全ての交点を観測点とすることが可能である。さらに、本実施形態では、照射光L11〜L13および照射光L21〜L23はスリット光であるため、それらの交点(観測点P1〜P5を含む)は、実際には路面にほぼ垂直な方向に伸びた交線(線分)であり、その仮想的な交線の少なくとも一部に被検物が接することによって、その被検物を計測できる。
図2では、説明を簡略化するために、投光器1L,1Rから投光される照射光L11〜L13,L21〜L23はそれぞれ3本であるが、実際には投光器1L,1Rからはより多くの照射光が照射される。この場合、光源5A〜5C,7A〜7Cについては、同一基板上に形成された多数のLED素子と、共通のレンズ系とを用いることによって、照射光の数が増加しても容易に小型化することができる。
図2において、撮像装置2は、対物レンズ11と、CCDまたはCMOSなどの多数の画素を2次元的に配列した撮像素子12とを有し、投光器1L,1Rから投光された照射光による被検物からの反射光の像を撮像する。撮像装置2はまた、撮像素子12から出力される撮像信号をA/D変換するA/D変換器13と、A/D変換された撮像信号を記憶する画像メモリ14を含んで構成される。
撮像素子12の多数の画素は二次元的に配列されているが、図2においては、水平方向に配列された一列のJ個(Jは2以上の整数)の画素PXj(j=1〜J)のみを示している。以下の説明では、一列の画素PXjの撮像信号sj(t)を処理するものとして説明するが、他の列の画素の撮像信号も同様に処理される。照射光L11〜L13およびL21〜L23の交点である観測点P1〜P5に被検物が存在する場合、観測点P1〜P5からの反射光は、対物レンズ11を介して撮像素子12中のいずれかの画素に入射して受光される。すなわち観測点P1〜P5の像はいずれかの画素上に形成される。
図2では、被検物(不図示)上の観測点P5からの反射光DL(照射光L11およびL21の反射光)が画素PXjに入射している。同様に、被検物(不図示)上の観測点P1からの反射光(照射光L13およびL22の反射光)が画素PXkに入射している。このように、反射光を受光する画素PXj(j=1〜J)または他の列の画素の位置によって、その反射光が観測点P1〜P5のうちのどの観測点から来たものであるのかを識別することができる。
図3は、図2の投光器1L,1Rおよび撮像装置2の動作を制御し、撮像装置2の撮像信号を処理して車両前方の被検物体を検出して警報するコントロールユニットCUを示す。コントロールユニットCUは、RAM、ROM、CPU、および周辺回路などを備えた制御回路であり、コンピュータのソフトウェアによって後述する各種処理を実行する。ASICやFPGAなどのハードウエア構成の論理回路を組合せて実現することも可能である。
コントロールユニットCUは、装置全体の動作を統括的に制御する駆動制御部31と、照射タイミング制御部32とを備えている。駆動制御部31は、カメラ制御信号TMに基づいて、投光器1L,1Rと撮像装置2を駆動制御する。図4(A)〜(C)に示すように、照射タイミング制御部32は、カメラ制御信号TMに同期して、投光制御信号TML,TMRを生成し、図2の投光器1L,1Rをオンオフ制御して順次にパルス発光させる。照射タイミング制御部32は、投光制御信号TML,TMRに基づいて、図4(D)に示す照射タイミング信号SPを生成して後述する同期検波部33A〜33Cに供給する。なお、本実施の形態では、図4(B)、(C)に示す6つの投光制御信号TML,TMRが出力される1つの周期を1計測周期と呼ぶ。
撮像装置2は、駆動制御部31からカメラ制御信号TMが供給されると撮像を開始し、1計測周期中に所定のフレーム周期で連続して撮像を行い、複数枚の画像を画像メモリ14に記憶する。
たとえば、駆動制御部31は、1計測周期中に撮像素子12の電荷蓄積、電荷吐出しを繰り返し行う。すなわち、駆動制御部31は、所定のタイミングで、撮像素子12の各画素PXjから撮像信号sj(t)を読み出し、A/D変換器13を介して画像メモリ14に1枚の画像として記憶する。このようにして画像メモリ14に記憶された複数枚の画像に基づいて、駆動制御部31は画像メモリ14をアクセスし、複数枚の画像を構成する複数の画像信号から、各画素PXj毎の時系列の計測信号Ksj(t)(撮像情報)を読み出す。
コントロールユニットCUは、画像メモリ14から読み出した計測信号Ksj(t)が並列に供給される同期検波部33A,33B,33Cと、同期検波部33A〜33Cからの検波信号がそれぞれ供給される特定距離物体抽出部34A〜34Cも備えている。同期検波部33A〜33Cには、図4(E)に示すような、画像メモリ14に記憶した複数枚の画像信号から時系列に出力される各画素毎の計測信号Ksj(t)と、図4(D)の照射タイミング信号SPが供給される。同期検波部33A〜33Cは、照射タイミング信号SPを用いて計測信号Ksj(t)を検波し、図4(F)に示すように2つのパルス信号からなる検波信号を抽出し、パルス信号の周期を計測する。図4(F)に示されている検波信号の周期はT1である。
同期検波部33Aは、計測した検波信号の周期が、距離30mに対応する基準値T1であれば、対象とした画素信号中に距離30mに被検物が存在することを表す計測信号を特定距離物体抽出部34Aに供給する。同期検波部33Bは、計測した検波信号の周期が、距離25mに対応する基準値T2であれば、対象とした画素信号中に距離25mに被検物が存在することを表す計測信号を特定距離物体抽出部34Bに供給する。同期検波部33Cは、計測した検波信号の周期が、距離20mに対応する基準値T3であれば、対象とした画素信号中に距離20mに被検物が存在することを表す計測信号を特定距離物体抽出部34Cに供給する。以上のような信号処理を撮像素子12の全画素に対して行い、特定距離物体抽出部34A〜34Cは、図2の撮像装置2から車両前方への距離がd1,d2,d3の位置にある物体の形状を抽出する。
コントロールユニットCUは、さらに、近接物検出部35と、ブザー37と、距離情報合成部36と、表示器38とを備えている。近接物検出部35は、特定距離物体抽出部34A,34Bから供給される距離d1,d2(<d1)にある物体の形状(抽出情報)から、自車両に近接しつつある別の車両等を検出する。ブザー37は、近接物を検出した場合に乗員に警告を発する。距離情報合成部36は、特定距離物体抽出部34A〜34Cの抽出情報から、図2の撮像装置2の視野内の像の各部の距離の分布を求めると、その距離の分布情報を表示器38に色分けなどによって表示する。
なお、駆動制御部31は、後述のように、特定距離物体抽出部34A〜34C、近接物検出部35、および距離情報合成部36の動作も制御する。
次に、図2の投光器1L,1Rおよび撮像装置2を用いて、所定の距離に存在する被検物を計測して警報する動作を説明する。
図2に示すように、本実施形態では、投光器1Lからの照射光L13,L12と、投光器1Rからの照射光L22,L21とが、所定時間間隔をおいて観測点P1,P2で交差し、照射光L13〜L11と照射光L23〜L21とが、所定時間間隔をおいて観測点P3,P4,P5で交差している。観測点P1,P2は、撮像装置2からの距離がd1であって、撮像装置2の光軸AXに垂直で、路面に平行な方向に伸びた直線上に配置されている。観測点P3,P4,P5は、撮像装置2からの距離がd2であって、撮像装置2の光軸AXに垂直で、路面に平行な方向に伸びた直線上に配置されている。このような配置は、投光角度α11〜α13およびα21〜α23の設定によって実現できる。距離d2は距離d1より小さく設定されている。本実施形態では、一例として距離d2は25m、距離d1は30mである。
観測点P1〜P5にある被検物を検出する際には、図5(A),(B),(C)に示すように、投光器1Lからの照射光L11,L12,L13を周期Taで順次パルス発光させる。その後、周期Taと同程度の時間Tbをあけた後、図5(D),(E),(F)に示すように、投光器1Rからの照射光L21,L22,L23を周期Taで順次パルス発光させる。照射光L11〜L13,L21〜L23のパルス発光全期間は、撮像装置2のフレーム周期よりも長いとともに、周期Taはパルス発光期間の2倍以上の長さである。この照射光L11〜L13およびL21〜L23が1回ずつ順次全部パルス発光する期間が上述した1計測周期である。
図2の観測点P1〜P5にそれぞれ被検物がある場合、撮像装置2は、観測点P1〜P5のそれぞれからの反射光を撮像する。各反射光は、照射光L11〜L13,L21〜L23が各観測点P1〜P5で所定時間差をもって反射する反射光である。このとき撮像装置2の計測信号Ksj(t)を、図5(G)の計測信号Ks1(t)、図5(H)の計測信号Ks2(t)、図5(I)の計測信号Ks3(t)、図5(J)の計測信号Ks4(t)、図5(K)の計測信号Ks5(t)と表して以下の説明を行う。上述したとおり、計測信号Ks1(t)〜s5(t)は、観測点P1〜P5に対応する位置の画素から読み出される複数フレームの撮像信号を時系列的に並べたものである。なお、例えば図5(G)の計測信号Ks1(t)は、フレーム周期でサンプリングされた複数枚の画像データ中の特定画素(図2のたとえば画素PXk)の時系列デジタルデータDDより構成されている。
図2の観測点P1には、照射光L13(図5(C))およびL22(図5(E))が、順次、照射される。したがって、1計測周期において観測点P1からの反射光が入射する画素から出力される計測信号Ks1(t)は、図5(G)に示すように、パルス間隔T1(=Ta+Tb)の2つのパルス信号となる。同様に、観測点P2には、照射光L12(図5(B))およびL21(図5(D))が、順次、照射されるため、観測点P2からの反射光が入射する画素から出力される計測信号Ks2(t)は、図5(H)に示すように、パルス間隔T1(=Ta+Tb)の2つのパルス信号となる。
観測点P3(またはP4,P5)には照射光L13(またはL12,L11)およびL23(またはL22,L21)が、順次、照射されるため、観測点P3(またはP4,P5)からの反射光を受光する画素から出力される計測信号Ks3(t)(またはs4(t),s5(t))は、図5(I)に示すように、それぞれパルス間隔T2(=2・Ta+Tb)の2つのパルス信号となる。この結果、2つの観測点P1,P2からの反射光による計測信号Ksj(t)は、ともにパルス間隔T1の2つのパルス信号となり、3つの観測点P3,P4,P5からの反射光による計測信号Ksj(t)は、全てパルス間隔T2の2つのパルス信号となる。同様に、図2において、照射光L11とL23との交点に被検物がある場合、その被検物からの反射光による計測信号Ksj(t)は、パルス間隔T3が(4・Ta+Tb)の2つのパルス信号となり、交点までの距離(たとえば、距離d3=20m)に応じて得られる撮像信号の2つのパルス信号のパルス間隔が一義的に決定される。
そこで、本実施形態では、撮像素子12の各画素の1計測周期内の時系列の計測信号Ksj(t)がパルス間隔T1、T2、T3の2つのパルス信号を含む場合には、その計測信号Ksj(t)に対応する被検物は、それぞれ撮像装置2から距離d1、d2、または他の距離d3にあるものと判定する。なお、図2の照射光L11〜L13,L21〜L23には異なる距離の4組の交点があるため、4つの距離にある被検物の検出を行うことができる。さらに、同一の距離にある2つの物体の水平方向、垂直方向の位置は、撮像素子12の対応する画素の位置から識別できる。
距離情報合成部36では、今回の1計測周期で撮像装置2により得られた複数枚の画像の中で距離が同一の被検物を、例えば色分けして表示器38に表示するとともに、各色に対応する距離の情報も表示する。これによって、車両内の運転席の乗員には、撮像装置2で撮像する車両前方の各被検物までの距離を知ることができる。また、被検物の三次元形状等も計測することができる。
次に、本実施形態の距離計測装置を用いて、自車両に距離d1から距離d2まで接近する物体を検出する動作の一例につき図6のフローチャートを参照して説明する。この動作は図3の駆動制御部31によって制御される。以下では、距離d1を30m、距離d2を25mとして説明する。
先ず、図6のステップS100において、図3の駆動制御部31は、図2の投光器1L,1Rから図5(A)〜(F)のタイミングで照射光L11〜L13,L21〜L23をパルス発光させるための時系列の照射タイミングを規定する制御情報を生成する。ステップS101において、図3の照射タイミング制御部32は、その照射タイミングに従って投光器1L,1Rの照射のオン/オフを制御する。また、投光器1L,1Rの照射オン/オフ制御に同期して、ステップS102において、1計測周期内の観測点P1〜P5を含む領域を撮像装置2が連続的に複数回撮像するように、撮像装置2を制御する。また、撮像装置2からの撮像信号をA/D変換器13でA/D変換し、画像メモリ14に記憶する。撮像装置2は、1計測周期毎に複数枚の画像を取得するので、画像メモリ14には複数枚の画像が記憶される。
次に、図2の画像メモリ14から、各画素ごとに上述した時系列の計測信号Ksj(t)を読み出し、並列に図3の同期検波部33A〜33Cに供給する。これに応じて、ステップS103において、同期検波部33Aは、撮像信号中からパルス間隔T1の信号を検出する。パルス間隔T1の時系列の計測信号Ks1(t)および計測信号Ks2(t)は、図2の距離d1(30m)の観測点P1,P2からの反射光によって得られる信号である。ステップS105において、同期検波部33Aで検出された信号に基づいて特定距離物体抽出部34Aは、距離d1にある物体の像のパターン(形状)を抽出し、所定記憶領域に記憶する。
ステップS103およびS105の動作と並行して、ステップS104において、同期検波部33Bは、計測信号Ksi(t)からパルス間隔T2の信号を検出する。パルス間隔T2の時系列計測信号Ks3(t)〜計測信号Ks5(t)は、図2の距離d2(25m)の観測点P3〜P5からの反射光によって得られる信号である。ステップS106において、同期検波部33Bで検出された信号に基づいて特定距離物体抽出部34Bは、距離d2にある物体の像のパターン(形状)を抽出する。またステップS106において、距離d2にある物体の像のパターンを、距離の比の値(d2/d1)で縮小し、所定記憶領域に記憶する。
具体的に、図7に示すように、距離d1の観測点P1,P2に先行車両MB1がある場合には、図3の特定距離物体抽出部34Aにおいて、距離d1にある被検物としての車両MB1のパターンが記憶される。所定時間経過後、車両MB1が距離d2の観測点P3,P4,P5まで接近すると、図3の特定距離物体抽出部34Bにおいて、距離d2にある被検物としての車両MB1のパターンが縮小して記憶される。すなわち、図7に示すように、同じ車両MB1であっても、距離d1にあるときの視野角θ1よりも距離d2にあるときの視野角θ2の方が大きくなって、そのままでは同じ物体とは認識されない。そこで、近似的に、特定距離物体抽出部34Bで抽出した距離d2にある物体の像のパターンの大きさをd2/d1を乗じて縮小し、距離d1における大きさに換算する。すなわち、物体の像のパターンを正規化してパターンマッチングする。
次のステップS107において、近接物検出部35では、ステップS105で記憶して順次蓄積されたパターンとステップS106で縮小したパターンとを比較して、ほぼ合致するパターンがあるかどうかを判定する。そして、ほぼ合致しているパターンがあった場合には、距離d1(30m)から距離d2(25m)に接近している車両があると判定して、ステップS108において、警告のアラームをブザー37から発する。これによって、乗員は、例えば夜間等であっても、接近している別の車両を容易に認識することができ、車間距離を適正化する操作等を行うことができる。
本実施形態の距離計測装置および車両によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)本実施形態の距離計測装置によれば、図2に示すように、計測対象空間内に照射光L11〜L13と照射光L21〜L23とを観測点P1〜P5で交差するように、2つの投光器1L,1Rからパルス光を投光する。撮像装置2は、計測対象空間内の被検物からの反射光を撮像する。このとき、観測点P1〜P5からの反射光は特定画素に入射する。投光器1L,1Rからのパルス光の発光間隔は、特定画素から出力される時系列パルス信号(計測信号Ksi(t))のパルス間隔が、観測点までの距離に応じた値となるように設定する。同期検波部33A〜33Cは、撮像信号から得られた各画素の時系列パルス信号のうち、被検物までの距離に応じて決定される所定のパルス間隔を有する時系列パルス信号を抽出する。同期検波部33A〜33Cで抽出された信号に基づいて、特定距離物体抽出部34A〜34Cはそれぞれ、所定距離に存在する被検物の形状を抽出して記憶する。
このようにして、被検物からの反射光のパルス間隔の情報を用いることにより、所定距離に存在する被検物(形状の情報を含む)を計測できる。従って、三角測量等の原理による距離情報等の中間情報の算出演算処理を行うことなく、被検物を高速に計測できる。
(2)撮像装置2からの距離d1が等しい2つの観測点P1,P2を設定し、それらの観測点P1,P2からの反射光のパルス間隔が等しくなるように、照射光L11〜L13および照射光L21〜L23の発光タイミングを制御する。これにより、同期検波部33A〜33Cは、観測点P1,P2に固有の周期T1の信号パターンを有する時系列計測信号を出力する画素を特定する。特定距離物体抽出部34Aは、撮像装置2からの距離が等しくd1となる被検物の像のパターン(形状)を算出することができる。従って、被検物が複数箇所で同一の距離にあるか、または複数の被検物が同一の距離にあるかどうかを高速に、かつ容易に判定できる。
(3)また、本実施形態において、照射光L11〜L13および照射光L21〜L23の照射パターンは、それらの交点の位置(距離)に応じて、その交点からの反射光のパルス間隔が異なるように定められている。従って、反射光のパルス間隔を用いて被検物を抽出するだけで、特定の距離に被検物が存在するか、あるいは、特定の距離に存在する被検物の形状を計測できる。
(4)投光器1L,1Rは、照射光L11〜L13およびL21〜L23を複数の異なる投光角度α11〜α13およびα21〜α23で、かつ投光角度毎に異なるタイミングで投光している。従って、複数の投光角度の照射光が交差する領域において、交点までの距離に応じたパルス間隔でパルス光が照射されるため、撮像素子12の全画素において距離情報等の中間情報の算出演算処理を行うことなく、特定の時間間隔の反射光が検出された領域を抽出することで物体の抽出が行えるので、高速に処理を行うことができる。
(5)照射光L11〜L13およびL21〜L23は、車両前方の計測対象空間における2次元計測領域の縦方向に延在するスリット光である。そのため、照射光の1回の投光によって、スリット光の長手方向に延在する被検物を計測することができる。
(6)同期検波部33A〜33Cおよび特定距離物体抽出部34A〜34Cは、異なる計測対象距離に応じて複数個備えられているため、並列処理によって、異なる距離の物体を短時間に検出できる。
(7)撮像装置2から距離d1およびd2にある被検物の複数のパターンを正規化してパターンマッチングするようにしたので、同一物体が接近しているか否かを正確に判定することができる。とくに実施の形態では、距離の比に応じた倍率比でパターンを縮小して正規化するようにしたので、物体が距離d1から距離d2に近接したかどうかを容易に検出できる。
(8)また、本実施形態の車両は、本実施形態の距離計測装置を備えており、かつ投光器1L,1Rが車両前方の両端部近傍に設けられているため、車両前方の被検物までの距離を高速に計測できる。
以上説明した第1の実施の形態を次のように変形することができる。
(1)1計測周期中に撮像装置2は、所定のフレーム周期で連続して観測点P1〜P5を含む空間の像を撮像し、各画素毎の計測信号Ksj(t)を、順次、画像メモリ14に格納してもよい。この場合、画像メモリ14には、フレーム毎の1枚ずつの画像を記憶する必要がない。
(2)同期検波部33A〜33Cを次のように変形することもできる。
例えば図5(G)、(H)の距離d1に対応するパルス間隔T1の計測信号Ks1(t)、Ks2(t)は、点線で示すように周期T1の正弦波信号15Aとみなすことができる。同様に、図5(I)〜(K)の距離d2に対応するパルス間隔T2の計測信号Ks3(t)〜Ks5(t)は、点線で示す周期T2の正弦波信号15Bとみなすことができる。このとき、パルス間隔(周期)T1およびT2に対応する周波数をf1(=1/T1)およびf2(=1/T2)とし、別のパルス間隔(周期)T3に対応する周波数をf3(=1/T3)とすると、上記のようにパルス間隔T1〜T3の2つのパルス信号(周波数f1,f2,f3の信号)を抽出する動作は、周波数f1〜f3の正弦波信号を参照信号とする同期検波によって実行することができる。
したがって、図3のコントロールユニットCU内の同期検波部33A,33B,33Cにおいて、それぞれ画像メモリ14から読み出される計測信号Ksj(t)に対して、周波数f1,f2,f3の正弦波信号を参照信号として並列に同期検波を行うことにより、同期検波部33A,33B,33Cのそれぞれが、1計測期間中にパルス間隔T1,T2,T3の2つのパルス信号をそれぞれ検波するようにしてもよい。
すなわち上記変形例による信号処理は次のように行われる。
同期検波部33Aには、画像メモリ14からは、複数フレームの画像信号に基づく全画素ごとの時系列計測信号が供給される。同期検波部33Aは、周波数f1の参照信号により時系列計測信号を検波して後段の特定距離物体抽出部34Aに出力する。したがって、特定距離物体抽出部34Aは、同期検波部33Aから出力される検波信号に基づいて、周波数f1で検波された画素信号による領域を抽出する。同期検波部33Aの周波数f1は予め設定した被検物体までの距離d1に対応付けられているから、特定距離物体抽出部34Aで抽出された領域は、距離d1に存在する被検物体の形状を表す。
同期検波部33B,33Cも同期検波部33Aと同様に、画像メモリ14から入力する各画素毎の時系列計測信号を周波数f2、f3の参照信号で検波し、後段の特定距離物体抽出部34B,34Cにそれぞれ出力する。したがって、特定距離物体抽出部34B,34Cは、それぞれの同期検波部33B、33Cから出力される検波信号に基づいて、周波数f2、f3で検波された画素信号による領域を抽出する。同期検波部33Bの周波数f2は予め設定した被検物体までの距離d2に対応付けられているから、特定距離物体抽出部34Bで抽出された領域は、距離d2に存在する被検物体の形状を表す。同期検波部33Cの周波数f3は予め設定した被検物体までの距離d3に対応付けられているから、特定距離物体抽出部34Cで抽出された領域は、距離d3に存在する被検物体の形状を表す。
(3)第1実施形態の場合には、複数の光源5A〜5C,7A〜7Cを用いる代わりに、それぞれ1つの光源からの照射光をガルバノミラー等で車両前方の左右方向に走査し、かつその光源を所定の投光角度(α11〜α13,α21〜α23等)で順次パルス点灯してもよい。
[第2の実施形態]
次に、図8〜図11を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。上記の第1の実施形態では、投光器からの照射光の照射パターンが、2つの照射光のパルス間隔が交点(距離)に応じて異なるように定められている例を示した。この第2の実施形態では、交点で交差する2つの照射光の色成分の比が交点(距離)に応じて異なるように定められている。以下、図8、図10、図11において、図2、図3、図6に対応する部分には同一または類似の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図8は、本実施形態の距離計測装置の投光器1LC,1RCおよびカラー撮像装置2Cの構成を示し、第1の左側の投光器1LCは、光源5R,5G,5Bと、ミラー6A〜6Cと、駆動部4Lとを備えている。光源5R,5G,5Bのそれぞれは、路面に垂直な方向に細長いスリット状の光を投光する。光源5Rは赤色(波長680nm)の照射光L1Rを、光源5Gは緑色(波長530nm)の照射光L1Gを、光源5Bは青色(波長470nm)の照射光L1Bを出力する発光ダイオード(LED)およびレンズを含む。ミラー6A〜6Cは、照射光L1R,L1G,L1Bの投光角度を所定の角度β11,β12,β13に設定する。駆動部4Lは、図10のコントロールユニットCUAからの投光制御信号TMLによって、光源5R〜5Bを同時にパルス発光させる。
第2の右側の投光器1RCは、第1の投光器1LCとほぼ対称に、スリット状の青色の照射光L2B、緑色の照射光L2G、および赤色の照射光L2Rを出力する光源7B,7G,7Rと、照射光L2B,L2G,L2Rの投光角度を所定の角度β23,β22,β21に設定するためのミラー8A〜8Cと、光源7R〜7Bを、図10のコントロールユニットCUAからの投光制御信号TMRによって、光源5R〜5Bと同じタイミングで投光させる駆動部4Rとを備えている。
本実施形態の照射光L1R〜L1B,L2R〜L2Bの色成分をまとめると図9(A)のようになる。
図8においては、9つの観測点Q1〜Q9が示されている。観測点Q1は、照射光L1Bと照射光L2Bとの交点に設定される。観測点Q2,Q3は、照射光L1B,L1Gと照射光L2G,L2Bとの交点に設定される。観測点Q4は、照射光L1Gと照射光L2Gとの交点に、観測点Q5,Q6は、照射光L1B,L1Rと照射光L2R,L2Bとの交点に、観測点Q7,Q8は、照射光L1G,L1Rと照射光L2R,L2Gとの交点に、および観測点Q9は、照射光L1Rと照射光L2Rとの交点にそれぞれ設定される。
図8に示すように、本実施形態では、撮像装置2Cから観測点Q1、観測点Q4、および観測点Q9までの距離は、それぞれe1,e3,およびe6である。撮像装置2Cから観測点Q2,Q3までは同じ距離e2であり、撮像装置2Cから観測点Q5,Q6までは同じ距離e4であり、撮像装置2Cから観測点Q7,Q8までは同じ距離e5である。これらの距離e1〜e6は既知である。本実施形態では、e1>e2>e3>e4>e5>e6が成立しており、一例として距離e4は30m、距離e2は25mである。
なお、図8では、説明を簡略化するために、投光器1LC,1RCから投光される照射光はそれぞれ3本であるが、実際には投光器1LC,1RCからはより多くの複数の色成分の比が異なる照射光が投光される。
図8において、カラー撮像装置2Cは、光軸AXを持つ対物レンズ11と、カラー撮像素子12Cと、A/D変換器13と、画像メモリ14とを備える。図8では、カラー撮像素子12Cの二次元的に配列された画素のうちで、水平方向に配列された一列のJ組(Jは2以上の整数)の画素PXj(j=1〜J)の撮像信号sj(t)を示す。以下では、撮像信号sj(t)についてその処理を説明するが、他の列の画素の撮像信号も同様に処理される。各画素PXjは、赤色光の輝度を検出する赤色画素PXRj、緑色光の輝度を検出する緑色画素PXGj、および青色光の輝度を検出する青色画素PXBjを含んで構成されている。したがって、撮像信号sj(t)も、赤色、緑色、および青色の光に対応する撮像信号sRj(t),sGj(t)、およびsBj(t)を含んで構成されている。
本例においても、照射光L1R〜L1BおよびL2R〜L2Bの交点である観測点Q1〜Q9に被検物が存在する場合、観測点Q1〜Q9からの反射光は対物レンズ11を介してカラー撮像素子12C中のいずれかの画素に受光される。図8の状態で、観測点Q6が被検物(不図示)上にある場合、観測点Q6からの反射光DL(照射光L1RおよびL2Bの合成光の反射光)が画素PXjに入射している。反射光を受光する画素の位置によって、その反射光が観測点Q1〜Q9のうちのどの観測点から来たものであるのかを識別することができる。
図10のコントロールユニットCUAから供給されるカメラ制御信号TMは、投光器1LC,1RCを駆動するための投光制御信号TML,TMRと同期している。撮像素子12Cは、カメラ制御信号TMに基づいて、電荷蓄積と電荷読み出しを繰り返し行う。すなわち、所定のタイミングで、撮像素子12Cの各画素PXj(PXRj,PXGj,PXBj)から撮像信号sj(t)(sRj(t),sGj(t),sBj(t))を取り出し、A/D変換器13を介して画像メモリ14に記憶する。また、カメラ制御信号TMに基づいて、画像メモリ14から各画素PXj毎の撮像信号sj(t)(撮像情報)が読み出され、図10のコントロールユニットCUAに供給される。
図10は、図8の投光器1LC,1RCおよびカラー撮像装置2Cの動作を制御し、カラー撮像装置2Cの撮像信号を処理して車両前方の被検物までの距離を求めるためのコントロールユニットCUAを示す。
コントロールユニットCUAは、装置全体の動作を統括的に制御する駆動制御部31と、図8の投光器1LC,1RCに投光制御信号TML,TMRを供給する照射タイミング制御部32と、差分処理部49と、波長比算出比較部43A〜43Cと、特定距離物体抽出部34A〜34Cとを有する。本例の照射タイミング制御部32は、図8の投光器1LC,1RCからの照射光の投光がない状態で、まずカラー撮像装置2Cに1回の撮像を行わせる。次に、投光器1LC,1RCから照射光L1R〜L1BおよびL2R〜L2Bを同時に投光させた状態で、カラー撮像装置2Cに2回目の撮像を行わせる。これは図8の観測点Q1〜Q9からの反射光を検出する際に、背景光の影響を除去するためである。これら2回のカラー撮像画像は画像メモリ14に記憶される。第2の実施形態では、画像1枚ごとに各画素ごとの撮像信号sj(t)を読み出して差分処理部49に供給する。差分処理部49では、各画素毎の2つの撮像信号sj(t)の差分を算出して差分計測信号uj(t)(赤色、緑色、青色の3成分がある)を求め、波長比算出比較部43A〜43Cに供給する。
後述のように、波長比算出比較部43A〜43Cは、各画素毎の差分演算後の差分計測信号uj(t)から3つの色成分毎の信号の比(波長比)を求める。波長比算出比較部43A〜43Cはさらに、算出した波長比が特定の値(比較部43A〜43Cごとに異なる比が設定されている)になる場合は、特定距離物体抽出部34A〜34Cに被検物検出信号を供給する。特定距離物体抽出部34A〜34Cは、被検物検出信号を入力した場合、注目画素については、車両の前方への距離がe2,e4,e1の位置に物体があると認識する。撮像素子12Cの全画素について上述した信号処理を行うと、特定距離物体抽出部34A〜34Cは距離e2,e4,e1の位置に存在する被検物の形状を抽出することができる。
なお、より多くの距離の物体の像を抽出するように、波長比算出比較部43A〜43Cおよび特定距離物体抽出部34A〜34Cを4つ以上設けてもよい。これ以外の構成は、図3のコントロールユニットCUと同様である。
次に、図8の投光器1LC,1RCおよびカラー撮像装置2Cを用いて被検物を計測する動作を説明する。
図8において、本実施形態では、観測点Q1〜Q9にある被検物を検出する際には、投光器1LCからの照射光L1R,L1G,L1Bと、投光器1RCからの照射光L2R,L2G,L2Bとを同時にパルス発光させる。この発光時間は、カラー撮像装置2Cのフレーム周期よりも長い時間であり、その発光中にカラー撮像装置2Cの撮像が行われる。なお、この際に得られる撮像信号は、背景光の影響を除去するために、投光器1LC,1RCからの照射がない状態の撮像信号との差分である。
撮像装置2Cは、図8の観測点Q1〜Q9からの照射光L1R〜L1B,L2R〜L2Bの合成光による反射光を撮像して画像メモリ14に記憶する。撮像信号を赤色成分、緑色成分、青色成分に分けると、その比(波長比)は図9(B)に示すように、観測点Q1〜Q9毎に、さらに本実施形態では、観測点Q1〜Q9の距離e1〜e6毎に異なった値になる。
図8に示すように、観測点Q1には照射光L1B(青色)およびL2B(青色)が同時に照射されるため、観測点P1からの反射光の波長比は、図9(B)のように0:0:2(青色)となる。同様に、観測点Q4およびQ9には、それぞれ緑色光および赤色光のみが照射されるため、その反射光の波長比は、0:2:0および2:0:0となる。
観測点Q2には照射光L1B(青色)およびL2G(緑色))が同時に照射されるため、観測点Q2からの反射光の波長比は、図9(B)のように0:1:1(シアン)となる。同様に、同じ距離にある観測点Q3の反射光の波長比も0:1:1(シアン)となる。
観測点Q5およびQ6には、照射光L1B(またはL1R)と照射光L2R(またはL2B)とが照射されるため、観測点Q5,Q6からの反射光の波長比は、図9(B)のように1:0:1(マゼンタ)となる。
さらに、観測点Q7およびQ8には、照射光L1G(またはL1R)と照射光L2R(またはL2G)とが照射されるため、観測点Q7,Q8からの反射光の波長比は、図9(B)のように1:1:0(黄色)となる。
図9(B)において、観測点Q1〜Q9からの反射光の波長比はそれぞれ特定の値であり、かつ観測点Q1〜Q9までの図8のカラー撮像装置2Cからの距離e1〜e6は既知である。しかも、本実施形態では、同じ距離にある観測点Q1〜Q9(例えば距離e2の観測点Q2,Q3)では、波長比が同じであり、かつ距離e1〜e6が異なる観測点Q1〜Q9からの反射光の波長比は互いに異なっている。従って、反射光の波長比を検出することによって、対応する物体までの距離e1〜e6を求めることができる。そこで、本実施形態では、カラー撮像装置2Cの各画素からの差分演算後の差分計測信号uj(t)の波長比を求め、この波長比から対応する物体の距離を求めている。
具体的に、図10の波長比算出比較部43Aでは、差分計測信号uj(t)の波長比が所定の許容範囲で0:1:1に合致するかどうか、すなわち対応する物体までの距離がe2(図9(B)参照)であるかどうかを検出する。また、波長比算出比較部43Bおよび43Cでは、差分計測信号uj(t)の波長比が所定の許容範囲でそれぞれ1:0:1および0:0:2に合致するかどうか、すなわち対応する物体までの距離がe4およびe1(図9(B)参照)であるかどうかを検出する。同様にして、他の波長比が異なる観測点までの距離も求めることができる。
この結果、図10において、波長比算出比較部43A〜43Cから特定距離物体抽出部34A〜34Cに対して、カラー撮像装置2Cの1つの視野の画像中で、距離がe2,e4,e1にある物体に対応する画素の位置でハイレベルとなるような信号が供給される。特定距離物体抽出部34A〜34Cでは、供給された各画素毎の信号に基づいて、距離e2,e4,e1の存在する被検物の形状を抽出する。その後の処理は第1の実施形態と同様である。
次に、本実施形態の距離計測装置を用いて、自車両に距離e2から距離e4まで接近する物体を検出する動作の一例につき図11のフローチャートを参照して説明する。この動作は図10の駆動制御部31によって制御される。以下では、距離e2を30m、距離e4を25m、距離e1を20mとして説明する。
先ず、図11のステップS200において、図10の駆動制御部31は、図8の投光器1LC,1RCから同時に照射光L1R〜L1B,L2R〜L2Bを投光するための照射タイミングを規定する制御情報を生成する。ステップS201において、図10の照射タイミング制御部32は、その照射タイミングに従って投光器1LC,1RCの照射のオン/オフを制御し、これと実質的に並行してステップS202において、撮像装置2が照射中の観測点Q1〜Q9を含む領域の画像と、投光器1LC,1RCからの照射がない状態の画像とを撮像する。
次のステップ203において、図10の差分処理部49において、2つの画像の差分処理を行った後、処理後の各画素の差分計測信号が並列に図10の波長比算出比較部43A〜43Cに供給される。これに応じて、ステップS204において、波長比算出比較部43Aが差分計測信号中から図9(B)の距離e2の波長比の信号を検出し、その信号に基づいて特定距離物体抽出部34Aが距離e2にある物体の像のパターンを検出する。この動作と並行して、ステップS205において、波長比算出比較部43Bが差分計測信号中から図9(B)の距離e4の波長比の信号を検出し、この信号に基づいて特定距離物体抽出部34Bが距離e4にある物体の像のパターンを検出する。距離e4,e2の物体の像のパターンの情報は近接物検出部35に供給される。
近接物検出部35は、ステップS206において、距離e2の物体の像のパターンをメモリに格納し、ステップS207において、距離e4の物体の像のパターンをメモリに格納し、格納したパターンに対して距離の比の値(e2/e1)を乗じて縮小する。次のステップS208において、近接物検出部35では、ステップS206で記憶したパターンとステップS207で記憶した縮小パターンとを比較して、ほぼ合致するパターンがあるかどうかを判定する。そして、ほぼ合致しているパターンがあった場合には、距離e2(30m)からe4(25m)に接近している車両等があると判定して、ステップS209において、警告のアラームをブザー37から発する。
本実施形態の距離計測装置によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の投光器1LC,1RCから照射される各光は、照射光L1R〜L1BおよびL2R〜L2Bの交点の位置に応じて、その交点における合成光の複数の色成分の比が異なるように定められている。従って、反射光の色成分の比を求めるのみで、高速に被検物までの距離を計測できる。
なお、上記の第1の実施形態では、例えば図3では、複数組の同期検波部33A,33B,33Cおよび特定距離物体抽出部34A〜34Bを備えているが、同期検波部33Aおよび特定距離物体抽出部34Aを1組備えるのみでもよい。これは図10の実施形態でも同様である。
上記の第1および第2の実施形態では、本発明を車両に搭載した距離計測装置に適用した例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、例えば鉄道や船舶などの他の乗り物や、産業ロボット・警備ロボット・介護ロボットなどのロボット、あるいは産業機器などの移動する装置に搭載される計測装置に適用できる他、固定して使用される測定機器等(形状測定装置等を含む)にも適用することができる。
さらに、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されない。また、上述した実施形態および変形例は組み合わせてもよい。
なお、特許請求の範囲の構成要素と上述の実施形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、投光手段は、第1、第2の投光器である投光器1L,1Rまたは投光器1LC,1RCおよびコントロールユニットCU,CUAに対応し、光電変換手段は、撮像素子12またはカラー撮像素子12Cに対応し、抽出手段は、同期検波部33A〜33Cまたは、波長比算出比較部43A〜43Cに対応し、画素特定手段および形状算出手段は、特定距離物体抽出部34A〜34Cに対応し、判定手段は近接物検出部35にそれぞれ対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項との対応関係になんら限定も拘束もされない。
本発明の第1の実施形態の距離計測装置が搭載された車両を示す斜視図である。 その距離計測装置の光学系等の構成を示す図である。 その距離計測装置のコントロールユニットCUの構成を示すブロック図である。 カメラ制御信号、投光制御信号、照射タイミング信号、画素信号を示す図である。 第1の実施形態の照射光の発光タイミングと反射光の撮像信号のパルス間隔との関係を示す図である。 第1の実施形態において、接近する物体を検出するための動作の一例を示すフローチャートである。 第1の実施形態において、撮像装置2に次第に接近する物体を示す図である。 第2の実施形態の距離計測装置の光学系等の構成を示す図である。 (A)は第2の実施形態の照射光の色成分を示す図、(B)は第2の実施形態の反射光の波長比を示す図である。 第2の実施形態の距離計測装置のコントロールユニットCUAの構成を示すブロック図である。 第2の実施形態において、接近する物体を検出するための動作の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
CU,CUA:コントロールユニット PXj:画素
1L,1R:投光器 2:撮像装置
12:撮像素子 31:駆動制御部
33A〜33C:同期検波部 34A〜34C:特定距離物体抽出部
35:近接物検出部 43A〜43C:波長比算出比較部

Claims (16)

  1. 計測対象空間内の所定距離に設定した交点で交差する光であって、前記交点に存在する被検物から反射する前記光の反射光中に前記交点までの距離情報が生成されるように前記光を第1および第2の投光器から照射する投光手段と、
    前記反射光を光電変換して計測信号を取得する光電変換手段と、
    前記光電変換手段から出力される前記計測信号の中から、前記距離情報を含む計測信号を抽出する抽出手段とを備えることを特徴とする距離計測装置。
  2. 請求項1に記載の距離計測装置において、
    前記第1および第2の投光器は、前記所定距離が等しい少なくとも2つの交点で交差する光であって、前記2つの交点からそれぞれ反射する反射光に含まれる前記距離情報が互いに等しくなる光を照射することを特徴とする距離計測装置。
  3. 請求項1または2に記載の距離計測装置において、
    前記距離情報は、前記第1および第2の投光器からそれぞれ投光され、互いに交差する第1および第2の光の発光間隔であり、
    前記光電変換手段は、複数の画素を有し、前記計測対象空間を複数回撮像する2次元撮像素子を含み、
    前記計測信号は、前記撮像素子が複数回撮像したときに得られる各画素の時系列画素信号であり、
    前記抽出手段は、前記各画素の時系列画素信号の中から、前記交点に固有の発光間隔に基づく信号パターンを有する時系列画素信号を抽出することを特徴とする距離計測装置。
  4. 請求項3に記載の距離計測装置において、
    前記抽出手段で抽出した時系列画素信号に基づいて、前記被検物からの反射光を受光する画素を特定する画素特定手段をさらに備えることを特徴とする距離計測装置。
  5. 請求項3または4に記載の距離計測装置において、
    前記信号パターンは、前記第1および第2の光の前記交点からの反射光を、前記撮像素子の対応画素がそれぞれ時間差をもって受光して得られる画素信号のパターンであることを特徴とする距離計測装置。
  6. 請求項1または2に記載の距離計測装置において、
    前記距離情報は、第1および第2の投光器からそれぞれ投光され、前記交点において互いに交差する第1および第2の光の波長成分の比であり、
    前記光電変換手段は、複数の画素を有し、前記計測対象空間内の前記交点に存在する被検物からの反射光を色分解して撮像する2次元カラー撮像手段を含み、
    前記抽出手段は、前記撮像手段の各画素から出力される色分解画素信号の中から、前記交点に固有の前記波長成分の比を有する色分解画素信号を抽出することを特徴とする距離計測装置。
  7. 請求項6に記載の距離計測装置において、
    前記抽出された色分解画素信号に基づいて、前記被検物からの反射光を受光する画素を特定する画素特定手段をさらに備えることを特徴とする距離計測装置。
  8. 請求項4または7に記載の距離計測装置において、
    前記画素特定手段で特定された画素に基づいて、前記特定の距離に存在する被検物の形状を算出する形状算出手段をさらに備えることを特徴とする距離計測装置。
  9. 請求項3乃至8のいずれか一項に記載の距離計測装置において、
    前記第1および第2の投光器は、前記第1および第2の光を、複数の異なる投光角度で、かつ投光角度毎に前記信号パターンまたは波長成分の比が異なるように投光することを特徴とする距離計測装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の距離計測装置において、
    前記第1および第2の光は細長いスリット光であることを特徴とする距離計測装置。
  11. 請求項3〜11のいずれか一項に記載の距離計測装置において、
    前記抽出手段は、前記被検物までの複数の距離に基づいて設定される複数の信号パターンまたは複数の波長成分の比に対応してそれぞれ複数個備えられることを特徴とする距離計測装置。
  12. 請求項8に記載の距離計測装置において、
    前記形状算出手段は、前記被検物までの複数の距離に基づく複数の信号パターンまたは複数の波長成分の比に基づいて、複数の距離の被検物の形状を算出し、
    前記検出された被検物のパターンを相違する距離の比率に応じて正規化した後に、異なる距離で検出された複数の被検物が同一物か否かを判定する判定手段をさらに備えることを特徴とする距離計測装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の距離計測装置を備えた車両であって、
    前記第1および第2の投光器を前記車両前方の両端部近傍に設けたことを特徴とする車両。
  14. 計測対象空間内の所定距離に設定した交点で交差する光であって、前記交点に存在する被検物から反射する前記光の反射光中に前記交点までの距離情報が生成されるように第1および第2の投光器から光を照射する投光工程と、
    前記反射光を光電変換して計測信号を取得する取得工程と、
    前記取得工程で取得した前記計測信号の中から、前記距離情報を含む計測信号を抽出する抽出工程とを備えることを特徴とする距離計測方法。
  15. 請求項14に記載の距離計測方法において、
    前記第1および第2の光による同一距離の交点を複数設定し、
    前記複数の交点からの反射光に基づいて得られる前記計測信号については、同一の距離情報を含ませるようにし、
    前記抽出工程は、前記距離情報を含む複数の計測信号を抽出することを特徴とする距離計測方法。
  16. 請求項15に記載の距離計測方法において、
    前記計測工程で抽出した複数の計測信号に基づいて複数の画素を特定して前記被検物を抽出することを特徴とする距離計測方法。
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