図10は、特許文献1に記載されたヨーレートセンサ300において、リードフレーム330を用いてヨーレートセンサ素子320が支持されている一態様を示す(XZ平面又はYZ平面)断面図である。特許文献1に記載されたヨーレートセンサ300は、リードフレーム330が支持基板310の周縁部から中央上方に向かって斜めに立ち上がる立ち上げ部330'を有しており、さらに当該リードフレームを4本用いて基板の中央上方でヨーレートセンサ素子320を4方向から(X軸方向に対して対称、かつY軸方向に対して対称となる様に)支持している。ここで、ヨーレートセンサ素子320を支持している4本のリードフレーム330a,330b,330c,330d(リードフレーム330a,330bのみ図示)のそれぞれの長さは、全て同一である。よって、これらの4本のリードフレーム330a,330b,330c,330dの各々の支持基板310(XY平面)における位置関係は、対称の中心δに対して±90°(4分の1周)の回転を加えた場合であっても、当該位置関係が変化しないように保持される。以後、本明細書では、このような位置関係を「4回転対称」と称する。
そして、特許文献1に記載されたヨーレートセンサ300は、支持基板310、リードフレーム330、及びヨーレートセンサ素子320を各々成形樹脂で固定して取り付ける必要があり、その取り付けに要求される精度が極めて高いことから、その製造は容易ではない。しかも、リードフレームの取り付け精度が十分に高くないと、検出用振動アームの振動の節(振動静止点)を確実に押さえて固定することが困難であり、その場合、検出に不都合な外乱ノイズが不可避的に発生してしまう。また、ヨーレートセンサ300の設置位置における外部振動を吸収する際、XY平面方向の加振が僅かでも加えられると、立ち上げ部330a’,330b’が矢印Mで示すような変位(回転運動)を生じ、ヨーレートセンサ素子320に対して回転方向のノイズを付与してしまうところ、このような回転方向のノイズは、質量体の回転を検出するヨーレートセンサにとって極めて不都合なものである。
ここで、図11は、外乱ノイズ(振動)がヨーレートセンサに与える影響を説明するための、共振周波数と振動伝達率との関係を示すグラフである。一般的には、外乱ノイズがセンサに与える振動の共振周波数がヨーレートセンサの音叉の駆動周波数に近い場合、音叉との間で共振が生じ、故にコリオリ振動の誤検知を招いてしまう。しかしながら、図11のグラフからも判るように、同一の減衰曲線であれば、共振周波数を下げる(低周波側にシフトさせる)ことで、音叉の駆動周波数における外乱ノイズの振動伝達率を低減させることが可能となる。つまり、ヨーレートセンサ等の圧電振動デバイスを備える装置においては、当該装置の共振周波数を下げることが外乱ノイズの抑制に効果的である。しかしながら、特許文献1に記載のヨーレートセンサ300は、リードフレーム330によって4回転対称支持されていることに起因して、回転動作の共振周波数が低下し、X軸方向の外乱振動とY軸方向の外乱振動との振動モードが重なって共振してしまうことにより、結果として外乱ノイズが増大してしまうといった不都合も想起され、ヨーレートセンサの耐振・耐衝撃性能としては未だ不十分である。
また、特許文献2に記載された圧電振動素子を備えるヨーレートセンサは、音叉型振動子を取り付ける固定部の中央部分のみを2つの樹脂製の防振部で支持しており、樹脂製の防振部の長さが、固定部材の長手方向及び(固定部材の長手方向に直交する)圧電振動素子の長手方向の何れに対しても短い。よって、かかる構造による防振動作にも回転運動が生じてしまい、やはり圧電振動素子に対して回転方向の外乱ノイズを付与してしまうこととなり、結果として、ヨーレートセンサの耐振・耐衝撃性能の低下を招いてしまうという問題があった。
ところで、近年、ヨーレートセンサは、カーナビゲーションシステム、デジタル(ビデオ)カメラ、ゲーム機器のコントローラ、携帯電話等の小型電子機器に幅広く搭載されているが、これら機器の更なる小型化に伴い、ヨーレートセンサ自体の更なる小型化が図られている。このように、ヨーレートセンサ自体(センサ素子)を更に小型化していくと、検出振動の振幅は更に小さくなってしまい、その結果、検出信号は当然に更に小さくなることから、ヨーレートセンサに印加される外部振動によるノイズの影響が相対的に大きくなり、そうなると、ヨーレートセンサに対して所望の十分な感度を得られ難くなる虞がある。この点においても、ヨーレートセンサの耐振・耐衝撃性能を更に向上させることが急務となっている。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来に比して外乱振動に対する優れた耐振・対衝撃性能を有する圧電振動デバイス、特に、不要な回転動作を有効に防止することができる圧電振動デバイスを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明による圧電振動デバイスは、半導体基板に設けられた又は形成された圧電素子を含むセンサ部と、センサ部を支持する固定部とを有し、その固定部は、半導体基板の延伸方向に沿って延在している。なお、圧電素子は、半導体基板上に一体に又は別体に設けられていてもよく、或いは、半導体基板と若しくは半導体基板から一体に又は別体に形成されていてもよい。
この構成によれば、圧電振動デバイスのセンサ部が微小振動を検出する際に、その検出方向における外部から衝撃や振動が固定部に印加されたとしても、その外部振動は、固定部で抑止、吸収、低減、相殺される等により(ただし、作用はこれらに限定されない)、センサ部への伝達・伝搬が抑制又は防止される。また、固定部が例えば板状又は略板状をなしている場合、外部振動に対する緩和効果がより高く、耐衝撃性に優れているとともに、上述の如く、センサ部への外部振動の伝達が抑制又は防止されるので、センサ部の歪みエネルギーを減少させていわゆる「温度ドリフト効果」を低減させることもでき、これにより、圧電振動デバイスの動作安定性を高めることも可能となる。
具体的には、固定部が、同一平面上にある第一及び第二の補助固定部と、第一及び第二の補助固定部を接続する梁と、を含む構成を例示でき、更に具体的には、第一及び第二の補助固定部が、センサ部を挟んで互いに対向する位置に延在する構成が挙げられる。このような構成においては、例えば板状をなす第一及び第二の補助固定部でセンサ部を挟み込むことにより、他の形状の場合に比して、回転方向の外部振動に対する緩和効果が極めて高く、耐衝撃性を更に向上させることが可能となる。またさらに、第一の補助固定部、梁、第二の補助固定部、梁の順に取り囲まれて画定された平面空間が画定される構成が挙げられる。
また、半導体基板が、固定部と同一階層にある構成が挙げられる。このような構成においては、半導体基板と固定部との段差(レベル差)が解消され、センサ部が設けられた又は形成された半導体基板と固定部とを収容するケース等の筐体、ひいては、それを含めたヨーレートセンサ装置のパッケージの更なる小型化が可能となるだけでなく、固定部から入力される外乱ノイズをより抑制できる。なお、同一階層とは、固定部の厚みの範囲内で半導体基板と重なり合う部分をもつ状態を意味する。
具体的には、第一及び第二の補助固定部のそれぞれの少なくとも一部を接続するための連結部を有し、この連結部上にセンサ部を搭載される構成が挙げられる。
より具体的には、連結部は、センサ部とその連結部とが接続される部位である接続部の面積よりもよりも広い(大きい)面積(表面積)を有し、センサ部は、その接続部において連結部に接着されている構成が挙げられる。
また、固定部は、センサ部が支持(搭載)されている面(おもて面)とは反対側の面(裏面)に補強部材が貼付(貼合)された構成が挙げられる。この場合、固定部は、裏面に補強部材が貼付されることにより補強され、それ自体の強度を高く保つことができ、しかも、固定部自体の共振周波数を下げることが可能となるので、振動検出方向の外部からの振動に対して、より高い減衰効果を実現することができるとともに、固定部の耐久性を向上させることができる。
さらに、固定部は、例えば、ポリイミド等の樹脂や樹脂組成物等といった有機材料で形成されたもの、又は、センサ部が支持されている面に有機材料がコーティングされたものであってもよい。このようにすれば、一般に、金属材料や半導体材料よりも有機材料の方が弾性率が低いため、有機材料で固定部を形成することによって固定部自体が有する共振周波数を効率よく下げることができ、より高い減衰効果を実現することができる。また、上述した補強部材と組み合わせることで耐久性と外乱ノイズ減衰効果も同時に向上させることができる。たとえば、センサ部が搭載されるポリイミド樹脂板の面とは反対面に金属製の補強板を積層したものが好ましい。
またさらに、固定部は、板状又は略板状をなし、かつ、中心部の幅が両端部の幅よりも小さくなるような傾斜部(壁、辺、面)を有するように構成してもよい。なお、この場合、傾斜部は、両端部から中央部に向かって、その幅が連続的に(段差や凸凹を有さず)かつ徐々に小さくされてもよいし、その幅が断続的(段差や凸凹を有するように)にかつ徐々に小さくされていても構わない。
このようにすれば、固定部の中心部における強度(剛性)を積極的に低下させ、当該中央部を柔らかく構成することが可能となり、外乱振動の発生時に固定部のZ軸方向の変位の程度をより滑らかなものとすることができる。この場合、固定部のZ軸方向の滑らかな動きを積極的に生み出すことにより、XY方向の変位を含むセンサ部(例えば、ヨーレートセンサ素子)への不要振動が防止できる。また、かかるZ軸方向の滑らかな動きによって、センサ部(例えば、ヨーレートセンサ素子)と固定部との間の接続部分にかかる応力を軽減させ、そのセンサ部を備えるヨーレートセンサ装置等の圧電振動デバイスの耐久性を向上させることもできる。加えて、固定部がZ軸方向に滑らかに効率良く変位することにより、固定部内部における歪みの発生を抑えることができ、歪みエネルギーが熱エネルギーに変換されて伝搬し素子本体の温度が上昇してしまうことに起因する「温度ドリフト効果」を有効に防止することができる。
さらにまた、固定部は、センサ部の振動静止点を通りかつセンサ部の延伸方向に対して平行方向に延びる仮想軸、及び、センサ部の振動静止点を通りかつセンサ部の延伸方向に対して垂直方向に延びる仮想軸の何れに対しても、線対称となる形状を有しており、固定部における上記平行方向に沿う長さ及び固定部における上記垂直方向に沿う長さの何れか一方が他方よりも長いように構成してもよい。この場合、固定部が、先述した4回転対称ではなく、後述する2回転対称となる形状を有するので、固定部の延在方向(長手方向)の長さが短手方向の長さよりも長く、これにより、固定部自体の共振周波数を優位に低下させることが可能であり、外部からの不要振動に対してより高い振動減衰効果(音叉の駆動周波数における振動伝達率の低減)を実現することにより、応力緩和効果が高くなるので、圧電振動デバイスの耐衝撃性能も向上させることができる。
本発明の圧電振動デバイスによれば、センサ部を支持する固定部を有するので、圧電振動デバイスのセンサ部が微小振動を検出する際に、その検出方向における外部からの衝撃や振動が固定部に印加されたとしても、その外部振動等を、固定部によって有効に抑止、吸収、低減、相殺等することができ、さらに、固定部が板状又は略板状をなしていれば、固定部が他の形状を有する場合に比して、回転方向の外部振動に対する緩和効果をより一層高めることも可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
<第1実施形態>
図1は、本発明による圧電振動デバイスの固定部の第1実施形態に係るヨーレートセンサ装置1の内部構成を概略的に示す斜視図である。このヨーレートセンサ装置1(圧電振動デバイス)においては、例えば、箱状、枠状等の形状をなすケース4の内部に、段差を有して(階段状に)設けられた窪み41,42が形成されており、それらの窪み41,42は、各々、内部空間G1,G2を画定する。
これらの窪み41,42のうち、より深い方の窪み41の底面43には、集積回路素子3が配置されている。また、底面43にはICチップ(ダイ)等の集積回路素子3を挟んで対向する位置に設けられ、集積回路素子3より(窪み41の深さ方向、すなわち紙面におけるZ軸方向の)高さが高い固定部保持台45,45’が配置されており、固定部保持台45,45’によってヨーレートセンサ素子2を固定・支持する固定部5の両端が保持され、固定部5の下方及び上方には内部空間G1,G2が存在する。なお、固定部5をケース4内部に保持する方法は、ケース4の内部空間G1,G2にて、固定部5がZ軸方向に変位できる程度(振動吸収時に、下方限度において集積回路素子3に衝当(衝突)することなく、また上方限度において図示してないケース4の蓋に衝当しない程度)の空間を保証できるものであればよく、例えば、固定部保持台45,45’を設ける代わりに、窪み42の底面44をケース4の内壁面を取り囲むような環状に形成した上で、その底面44に固定部5の両端を保持させる方式とすることもできる。
図1に示すヨーレートセンサ装置1のケース4の内部には、格納されるべきヨーレートセンサ素子2が、破線で示されている。このヨーレートセンサ素子2は、自身の中央部にて固定部5の中央に設けられたセンサ接続部51と固定されている。センサ接続部51の配置位置は、その上に固定されるセンサの形状の違いに応じてX方向又はY方向に移動する場合があるが、後述するようなH型音叉ヨーレートセンサ素子2の場合では、固定部5の略中央に位置している。また、センサ接続部51の高さは、その上に固定されるセンサのZ軸方向の厚さや、振動吸収時における固定部5のZ軸方向の変位量を勘案して決定される。
集積回路素子3は、ワイヤーボンディングによって、後述する配線560を介してヨーレートセンサ素子2と電気的に接続されており、後述するヨーレートセンサ素子2の各駆動腕21a,21bに設けられた複数の圧電素子に駆動信号を送信すると共に、後述する各検出腕22a,22bに設けられた複数の圧電素子から出力される検出信号を電気的に受信している。ケース4としては、例えば複数のセラミック薄板を積層することによって形成されたものが用いられ、通常、ヨーレートセンサ装置1の使用状態においては、内部空間G2上の開放部分を覆う蓋部(図示せず)によって密閉される。
図2は、図1に示したヨーレートセンサ素子2の構成の一例を示す平面図(上面図)である。ヨーレートセンサ素子2は、中央に位置する基部20と、基部20を挟んで一方(図2では+Y方向)に延びる一対の駆動腕21a,21b、及び、その駆動腕とは反対側(図2では−Y方向)に延びる一対の検出腕22a,22bを備えるものである。本実施形態におけるヨーレートセンサ素子2の基部20は、駆動腕21a,21b間にV字カット23aを有し、更に検出腕22a,22b間に逆V字カット23bを有している。加えて、基部20は、ヨーレートセンサ素子2をセンサ接続部51と接続させるための接続部位である接続島24を残して、その内部に基部20の肉抜きのための切り抜き25a,25bを有している。ここで切り抜き25aは、その上部に傾斜部27a、下部に傾斜部27a’を有しており、各々が、V字カット23a,23bの切り落とし角度と近い傾斜角を有している。同様に切り抜き25bも、その上部に傾斜部27b、下部に傾斜部27b’を有している。
図2乃至図3に示す如く、上記一対の駆動腕21a,21b、検出腕22a,22bの各々は、基部20に対して左右対称に設置されている。なお、本明細書において、「左右」方向とは、図示±X方向、すなわち、ヨーレートセンサ素子2の重心位置を勘案して決定される仮想的な振動静止点α(図2参照)を通り、かつ、駆動腕21a,21b、検出腕22a,22bの各々の延在方向に沿って平行に延びる仮想的な中心軸線βに直交する方向(±X方向)を示す。また、「左右対称」とは、紙面における左右方向の対称性を指すために便宜的に用いたものであり、中心軸線βを対称軸として線対称であることを示す。
なお、本実施形態における、基部20、駆動腕21a,21b、検出腕22a,22bから構成されるヨーレートセンサ素子2は、共通の材料(例えばシリコンや水晶)からなり、基部20における複雑な切り抜き形状も含めて一般的なウェハ(シリコンウェハ等)のパターニング加工(MEMS加工)によって一体に又は一括で形成することが可能である。
ここで、一対の駆動腕21a,21bは、基部20、検出腕22a,22bを含む平面上に、左右対称に、かつ基部20から遠ざかるように+Y方向へ延在しており、一対の検出腕22a,22bは、基部20、駆動腕21a,21bを含む平面上に、左右対称に、かつ基部20から遠ざかるように−Y方向へと延在しており、このとき、駆動腕21a,21b及び検出腕22a,22bの長さ(基部20との接続部位を始点としたY軸方向に沿う長さ)が互いに等しい場合には、検出腕22a,22bの幅(X軸方向に沿う長さ)が駆動腕21a,21bの幅に比して大きい(幅広である)ことが好ましい。
このように構成すれば、コリオリ力の検出時に生じる駆動腕21a,21bのX軸方向への振動等が検出腕22a,22bに伝搬するのに起因して音叉自体が振動してしまうことを抑止でき、これにより、検出腕22a,22bにおけるコリオリ力の検出においてノイズ信号を誤って検知してしまうことをより有効に防止し易くなる。よって、ヨーレートセンサ素子2の角速度検出精度を更に向上させる観点から、駆動腕21a,21bの幅は駆動力を与えることができ電極面積を確保できる範囲で狭くすることが可能であり、検出腕22a,22bの幅は基部20の幅を勘案して可能な限り広くすることが可能である。また、検出腕22a,22bに形成する検出用圧電素子は、検出腕(22a又は22b)の幅を超えない範囲で広くすることがより好ましい。
駆動腕21a,21bのいわゆる根元部分(基部20との接続部位に近い部分)には、それぞれ、各駆動腕21a,21bの延在方向に対して左右対称に配置された一対の振動用圧電素子26a,26b、及び、一対の振動用圧電素子26c,26dが設けられている。これらの一対の振動用圧電素子26a,26b、及び一対の振動用圧電素子26c,26dは、駆動腕21a,21bのそれぞれを、基部20、駆動腕21a,21b、検出腕22a,22b、及び支持腕23a,23bを含む面に沿ってX軸方向に振動させるためのものである。
一方、検出腕22a,22bのいわゆる根元部分(基部20との接続部位に近い部分)の一方面(表面)には、それぞれ、検出用圧電素子26e,26gが設けられている。これらの検出用圧電素子26e,26gは、検出腕22a,22bがZ軸方向に振動したときに、その振動を検出するためのものである。また、各検出腕22a,22bの他方面(裏面)において、検出用圧電素子26e,26gに対応する位置に更なる検出用圧電素子26f,26hを設置してもよく、これらの一対の検出用圧電素子26e,26f、及び一対の検出用圧電素子26g,26hを用いて、一つのコリオリ力に起因して発生する振動を検出することにより、角速度の検出感度及び精度を更に一層高めることも可能である。
図3A及び図3Bは、ヨーレートセンサ素子2が動作している状態を模式的に示す斜視図であり、ヨーレートセンサ素子2による角速度の検出原理を示す図でもある。図3Aに示すように、ヨーレートセンサ素子2は、集積回路素子3からの制御信号により、初期的に、一対の振動用圧電素子26a,26bを逆位相で伸縮させるとともに、振動用圧電素子26c,26dも逆位相で伸縮させることによって、駆動腕21a,21bをX軸方向(厳密には、XY平面内における図示矢印S1で示す方向)に振動させる。この時、振動用圧電素子26a,26dを同位相かつ同期して伸縮させ、振動用圧電素子26b,26cを同位相かつ同期して伸縮させることにより、駆動腕21a,21bは、同一周期で互いに接近と離隔を繰り返すように振動する。
この駆動腕21a,21bの振動中に、ヨーレートセンサ装置1が搭載された物体がY軸方向を回転軸とする回転運動(Y軸周りの回転運動)を行うと、図3Bに示されるように、駆動腕21a,21bにコリオリ力が作用し、駆動腕21a,21bは、Z軸方向(厳密には、YZ平面内における図示矢印S2で示す方向)に逆位相で検出振動を生じる。そして、駆動腕21a,21bに作用するコリオリ力に起因したその振動が基部20へと伝達されると、基部20に接続されている検出腕22a,22bが、それぞれ、駆動腕21a,21bに対して、Z軸方向において逆向き(厳密には、YZ平面内における図示矢印S3で示す方向)に振動することとなり、これらの検出腕22a,22bにおけるZ軸方向の変位を検出することにより、角速度が検出される。
本実施形態では、ヨーレートセンサ素子2の基部20にV字カット23a,23bや切り抜き25a,25bを設けてあることにより、駆動腕21a,21bに生じたZ軸方向(図示矢印S2で示す方向)の検出振動がより効率良く検出腕22a,22bに伝搬することが可能である。また、その際、基部20に生じる捻れが、切り抜き25a,25b、ならびに側方柱28a,28bにおいて吸収されるので、接続島24とセンサ接続部51との間の(電気的な)接続ラインが捻れにより断線したり、固定部分に物理的なダメージを与えて、ヨーレートセンサ素子2を適切な方向に支持することが困難になったり、最悪の場合にはヨーレートセンサ素子2自体が脱落したりすることを防ぐことができる。
なお、本実施例に係るヨーレートセンサ素子2は、一般的なシリコン基板の形成プロセスで形成可能であり、その表面に配線を配設することも容易である。よって、ヨーレートセンサ素子2からの信号(例えばヨー検出信号)は、基部20における接続島24からワイヤーボンディングを介して配線560へと伝わり、その後固定部保持台45を介して集積回路素子3へと伝えられる。一方フリップチップ実装などを用いれば、圧電素子用に別途配線を設ける必要が無いので、かかる配線と駆動腕21a,21bや検出腕22a,22bとの接触等によって生じ得る振動の誤検出といった不都合を抑止し、ヨーレートセンサ素子2の耐久性及び信頼性を向上させることもできる。
図4は、本実施形態に係る固定部5の構成を示す平面図(上面図)である。固定部5は、センサ接続部51上に載せるヨーレートセンサ素子2(図示せず)の駆動腕及び検出腕の延在方向、すなわちヨーレートセンサ素子2の長手方向に沿って、例えば全体として実質的に平行に配置され、同一平面上に存在する一対の板状補助固定部52a,52bを有する。ここで固定部5は、ヨーレートセンサ素子2の振動静止点αを通りヨーレートセンサ素子2の延在方向に延びる中心軸線β、及び同じく振動静止点αを通りヨーレートセンサ素子2の延在方向とは垂直な方向に延びる中心軸線γの双方に対して対称な形状をなし、かつβ軸方向(ヨーレートセンサ素子2の延在方向)長さがγ軸方向長さよりも長いことを特徴としている。具体的には、本実施形態にかかる固定部5は、一対の補助固定部52a,52b各々の位置関係を保ったまま対称の中心である振動静止点αに対して180°(2分の1周)の回転を加えた場合にのみ、当該位置関係が変化しない。本願ではこのような対称関係(直交する二軸各々に対して線対称であり、かつ一方の軸方向長さが他方の軸方向長さよりも長い関係)を「2回転対称」と称する。
補助固定部52aは、ケース4に設けられた固定部保持台45との接続部分である保持端部53aを有しており、中心軸線γに対して線対称となる位置には固定部保持台45’との接続部分である保持端部53a’を有している。ここで各端部のβ軸方向長さは、接続対象となるケース4内部の接地(接続)面の面積に応じて適宜決定すればよい。
補助固定部52aは、その長手方向(すなわちβ軸方向)の中央に長手中心55aを有しているが、長手中心55aにおける補助固定部52aの幅(γ軸方向長さ)は、保持端部53aにおける同様の幅と比較して小さい。よって、補助固定部52aの固定部端58をβ軸方向の開始点(−β方向の移動)とした場合の保持端部53aの終了部位である保持端部終了点57aより、長手中心55aへと向かう補助固定部52aの側面は、緩やかな支持傾斜54aを有している。
本実施形態に係る固定部5は2回転対称であるので、補助固定部52aは、中心軸線γに対して線対称となるように、長手中心55aに向かう支持傾斜54aとは逆方向の角度を有する緩やかな支持傾斜54a’を有する。すなわち、両方の傾斜を考えると、補助固定部52aは、その中央部にV字形の切り落としを有している。また、同様の理由から、補助固定部52bも、各々保持端部終了点57b,57b’より長手中心55bへと向かう支持傾斜54b,54b‘によって形成されたV字形の切り落としを有している。
上述したとおり、本実施例における一対の補助固定部52a,52bは、ヨーレートセンサ素子2の側方に、長手方向に沿って、例えば全体として実質的に平行に配置されているが、保持端部53a,53b間、保持端部53a’,53b’間、並びに長手中心55a,55b間の空隙56にて、γ軸方向と平行に補助固定部52a,52bを接続(連結)する、梁(橋、橋梁)530,530’,550が設けられ、双方の補助固定部52a,52bが一体となっている。また、この3本の梁530,530’,550が存在することにより、固定部5の内部には、補助固定部52a、梁530、補助固定部52b、及び梁550の順に取り囲まれて画定された平面空間59と、補助固定部52a、梁550、補助固定部52b、及び梁530’の順に取り囲まれて画定された平面空間59’とが画定される。
本実施形態において、保持端部53a,53b間で補助固定部52a,52bを連結する梁530は、β軸方向の長さが保持端部53a,53bのβ軸方向の長さと概ね同じであるので、保持端部53aから保持端部53bまでがγ軸方向に延在する一枚の板の如く存在し、ケース4に設けられた固定部保持台45と接続される。同様に、梁530’も、保持端部53a’から保持端部53b’までがγ軸方向に延在する一枚の板の如く存在し、ケース4に設けられた固定部保持台45’と接続される。
長手中心55a,55b間で補助固定部52a,52bを連結する梁550は、中心軸線γに沿ってβ軸方向の幅を有する構造を有し、その中心(中心軸線βと中心軸線γとの交点α:振動静止点)にセンサ接続部51を有し、センサ接続部51の上に基部20の接続島24を固定・接続し、ヨーレートセンサ素子2を固定部5へと固定している。このように固定されると、ヨーレートセンサ素子2の駆動腕21及び検出腕22の各々は、平面空間59,59’上方に配置されることとなる。
図5は、本実施形態にかかるヨーレートセンサ装置1内部の固定部5の耐振動動作原理を示す斜視拡大断面図であり、具体的には、図1におけるヨーレートセンサ装置1を、中心軸線βを含むYZ平面方向に切断した断面を視認し状態を示すものである。本図では特に、ヨーレートセンサ装置1の内部で動作する固定部5の動きを、その最高位置において実線で、その最低位置において二点鎖線で示している。
ヨーレートセンサ装置1は、取付先の装置の設置位置によって様々な方向からの外乱振動を与えられ得る。しかしながら、本実施形態にかかる全体として板状の形態をなす固定部5は、当該外乱振動を吸収する場合に、ヨーレートセンサ装置1内の固定部5が静止状態に存在している平面(XY平面)方向に対する外乱振動成分を、その平面に対して垂直な方向(Z軸方向)へと変換してZ軸方向にのみ変位し、回転運動等のZ方向以外の方向成分への変位を有効に防止することが可能である。
加えて、本実施形態にかかる固定部5は2回転対称形状を有しており、固定部5の長手方向の長さが短手方向の長さよりも長いので、固定部5自体の共振周波数を優位に低下させることが可能であり、コリオリ力の検出方向の振動に対してより高い振動減衰効果(音叉の駆動周波数における振動伝達率の低減)を実現することにより、応力緩和効果が高くなるので、耐衝撃性能も向上される。
さらに、本実施形態にかかる固定部5は中央に向かって固定部5の幅が狭くなるようなV字形の切込みを有しているので、X軸方向に幅狭である長手中心55a,55bにおける固定部5の弾性は幅広である保持端部53a,53b等の固定部5の弾性と比較すると小さい(すなわちたわみやすい)。よって、固定部5の中央部分、長手中心55a,55b周辺における変位量(図5における矢印A)は、端部(図5における矢印C及びC’)における変位量と比較すると大きいものとなる。つまり、本実施形態に於けるV字形の切込みによって生まれる固定部5の幅の変化は、外乱振動発生時の固定部5のZ軸方向の変位量の差となって現れ、固定部5のZ軸方向の動きをより滑らかなものとすることができる。本実施形態では、このようなZ軸方向の滑らかな動きが積極的に生み出されることにより、XY方向の変位を含むヨーレートセンサ素子2にノイズ振動が生じることがなくなり、ヨーレートセンサ装置1のS/N比が著しく向上する。
また、そのような固定部5のZ軸方向の滑らかな動きによって、ヨーレートセンサ素子2と固定部5との間の接続部分にかかる応力は軽減し、ヨーレートセンサ装置1の耐性を向上させて寿命を伸ばすことが可能である。さらに、固定部5がZ軸方向に滑らかに効率良く変位することにより、固定部5内部における歪みの発生を抑えることができ、歪みエネルギーが熱エネルギーに変換されて伝搬し素子本体の温度が上昇してしまうことに起因する「温度ドリフト効果」を有効に防止することができる。
なお、本実施形態において、固定部5の材質やZ軸方向の厚さ、中央部分のV字型の切り込みの大きさ、補助支持部材のX軸方向の幅等の各種条件は、支持対象となるヨーレートセンサ素子2のサイズや重さ、及びヨーレートセンサ装置1を搭載する対象となる装置の使用状況を勘案して適宜決定することができる。かような各種条件を踏まえた固定部5全体の強度は、ヨーレートセンサ素子2が、その振動抑制動作時に最高位置や最低位置に来たときにケース4の蓋や集積回路素子3に衝当しないように、例えば、一般的なコンピュータシミュレーションにより求めることが可能である。
また、本実施例に係る固定部5は、一般的なシリコン基板の形成プロセスで形成可能であり、その表面に配線560を配設することも極めて容易である。さらには、固定部5とヨーレートセンサ素子2とをシリコン基板の形成プロセスを用いて一体形成することも可能である。固定部5とヨーレートセンサ素子2とを一体形成した場合には、ヨーレートセンサ素子2の上面と固定部5の上面とが同一階層になるような構成とすることも可能であり、固定部の厚みの範囲内で半導体基板と重なり合う部分を有するように構成することで、ケース4を含めたヨーレートセンサ装置1のパッケージの小型化を実現することができる。また、梁550におけるセンサ接続部51が上方空間に突出しないように梁550に溝を設け、溝内部に設けたセンサ接続部51に対してヨーレートセンサ素子2を接続することで、ヨーレートセンサ素子2を固定部5に埋め込むことも可能である。
さらに、本実施形態で用いるヨーレートセンサ素子2に対して、基部20より左右(駆動腕等の延在方向と垂直な方向)に延びる一対の支持腕を、シリコンの一体形成によって追加することも可能である。そして、当該左右の支持腕を補助固定部52a及び52bに接続することにより、ヨーレートセンサ素子2を補助固定部間に支持してもよい。
<第2実施形態>
図6は、本発明による圧電振動デバイスの固定部の第2実施形態に係る固定部6の構成を示す平面図(上面図)である。固定部6は、補助固定部間、特に補助固定部の保持端部を結ぶ上下の梁530,530’を有していないこと以外は、前述した固定部5と同様に構成されたものである。よって、図6においては、ヨーレートセンサ素子2と共通する部材には同一の符号を付し、重複した説明を避けるため、ここでは、それらの説明を省略する(図7及び図8において同様とする。)。
この固定部6は、第1実施形態と同様に、例えばシリコンからなり、一般的なウェハのパターニング加工(MEMS加工)によって形成可能である。本実施例では、各補助固定部62a,62bが、その端部で梁構造によって連結されていないので、固定部6が、63a,63a’,63b,63b’の4箇所で、固定部保持台45,45’に保持される。
<第3実施形態>
図7は、本発明による圧電振動デバイスの固定部の第3実施形態に係る固定部7の構成を示す平面図(上面図)である。固定部7は、補助固定部72a,72b間、中央部の梁730寄りの位置に上下3本ずつのバー740,750,760,740’,750’,760’を有すること以外は、前述した固定部5,6と同様に構成されたものである。
この固定部7は、第1実施形態と同様に、例えばシリコンからなり、一般的なウェハのパターニング加工(MEMS加工)によって形成可能である。本実施例では、固定部7が、長手中心75a,75bを通るγ軸に対して線対称となるように、梁730から離れる方向に概ね等間隔に形成されたバー740,750,760,740’,750’,760’を有しており、当該バーの存在によって梁730から離れる方向に概ね等間隔に、補助固定部72a,72b間に形成された、平面空間770,780,790,770’,780’,790’が存在しているので、固定部7の全体としての強度を増加させることが可能となる。
本実施形態におけるバーの設置間隔、設置位置、及び設置本数は、前述したのと同様に、支持対象となるヨーレートセンサ素子2のサイズや重さ、及びヨーレートセンサ装置1を搭載する対象となる装置の使用環境を勘案して適宜決定することができる。特に、本実施形態の場合には、固定部7をZ軸方向に過度に(例えば、バーとヨーレートセンサ素子2の腕とが衝当する程度に)大きく変位させ得る。よって、かかる固定部7の構成は、ヨーレートセンサ用途のみならず、圧電素子を利用する超音波センサ等に用いる場合に特に有用である。
ここで、図9は、固定部7の構成を適用することができる超音波センサ素子9の構成の一例を概略的に示す断面図である。図9に示すように、超音波センサ素子9は、超音波による薄膜160の振動を圧電素子161(例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を一対のPtで挟んだ積層構造の素子)によって電気的に検出するものであり、車両内における人員の有無や車両間隔の測定など、距離測定に応用される。
<第4実施形態>
上述した各実施例では、シリコンからなる固定部について言及してきたが、別実施形態として、当該シリコンからなる固定部を樹脂又は樹脂組成物からなる有機材料に代えてもよい。このように固定部全体を樹脂板で構成することにより、固定部自体が有する共振周波数を更に効率よく下げることができる。また、固定部の一側面にステンレス等の金属の補強材をパターニングして形成してもよい。
これらの場合の樹脂母材料としては、例えば、シート状又はフィルム状に成型可能なものであれば特に制限されず使用可能であり、具体的には、例えば、ビニルベンジル樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、ポリフェニレンエーテル(ポリフェニレンオキサイド)樹脂(PPE,PPO)、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ+活性エステル硬化樹脂、ポリオレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリイミド樹脂、(芳香族)ポリエステル樹脂、(芳香族)液晶ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、若しくは、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム等のゴム材料やゴム成分を一部に含むような樹脂、又は、これらの樹脂に、ガラス繊維、アラミド繊維等の樹脂繊維等を配合した材料、或いは、これらの樹脂をガラスクロス、アラミド繊維、不織布等に含浸させた材料等が挙げられ、これらは、単独で又は複数組み合わせて使用することができ、強度(機械特性)、耐熱性、絶縁性、吸水性等の観点から、適宜選択して用いることができる。
また、これらの樹脂に、適宜のフィラーを添加剤として加えてもよい。かかるフィラーとしては、特に制限されないが、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミウイスカ、チタン酸カリウム繊維、アルミナ、ガラスフレーク、ガラス繊維、窒化タンタル、窒化アルミニウム、又は、マグネシウム、ケイ素、チタン、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、錫、ネオジウム、サマリウム、アルミニウム、ビスマス、鉛、ランタン、リチウム及びタンタルのうち少なくとも1種の金属を含む金属酸化物粉末等が挙げられ、樹脂母材料と同様、これらも、単独で又は複数組み合わせて使用することができ、また、強度(機械特性)、耐熱性、絶縁性、吸水性等の観点から、適宜選択して用いることができる。さらに、これらの樹脂に、安定化剤等の適宜の他の添加剤を加えても構わない。
<第5実施形態>
図8は、圧電振動デバイスの固定部の第5実施形態に係る固定部8の構成を示す平面図(下面図)である。固定部8は、固定部5の裏面に金属薄板800による補強部材が設けられていること以外は、前述した固定部5と同様に構成されたものである。
固定部8は、その裏面(ヨーレートセンサ素子2の設置面とは反対側)に、金属薄板800が設けられたものである。本実施例では、例えば、厚みが10〜20μm程度のステンレスのSUS薄板(薄膜)が用いられている。金属薄板800は、補助固定部52a及び53bの、保持端部53a、梁530、及び保持端部53bの裏側に相当する部分に、金属梁830’、及び梁550の裏側かつ梁550よりもγ軸方向に長い金属梁850を有し、金属梁850の両端を通り、金属梁830,830’,850をβ軸方向(ヨーレートセンサ素子2の長手方向)に連結する二本の補助金属梁820a,820bを有する。ここで、金属薄板800もまた、中心軸線β及び中心軸線γに対して2回転対象の形状をなしている。
本実施形態にかかる固定部8は、裏面から金属薄板で補強されていることにより、固定部8自体の共振周波数を下げつつ固定部自体の強度を向上させることが可能となる。特に、第4実施形態にかかる、樹脂や樹脂組成物等の有機材料(殊に、樹脂母材料のみ)を用いて形成された固定部等を用いる場合には、本実施形態にかかる補強部材の利用が効果的である。なお、本実施形態では、薄板としてSUSを用いたが、所望の強度を得ることができれば、Fe,Ni,Cu等他の金属、合金、複合金属材料等を用いて金属薄板を形成してもよい。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、先に適宜述べたとおり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更(例えば、各実施形態の内容の適宜な組み合わせ等)が可能である。