JP5353578B2 - 穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法に関するものである。
近年においては、自動車の軽量化、燃費改善を目的として、自動車用鋼板の高強度化の適用が進められている。一般に、鋼板の高強度化に伴い、鋼板の延性や穴広げ性といった鋼板の加工性に関する機械的性質は低減する傾向にある。このため、鋼板の高強度化を図りつつ、加工性をバランスよく発揮させることが重要となる。
自動車の車体重量の約20%を占める構造部材や足廻り部材等の自動車部材に用いられる鋼板は、打ち抜き加工や穴あけ加工等のせん断加工によって所定形状に切断された後、伸びフランジ加工を主体としたプレス成形が施されるため、優れた穴広げ性が要求される。穴広げ性とは、鋼板に開けた打ち抜き穴を円錐ポンチにより押し広げ、打ち抜き穴端面で亀裂が発生、板厚貫通した時点の穴径拡大率(穴広げ値(λ))を求めることにより評価される、打ち抜き端面の成形性を表す指標である。
この穴広げ値はばらつきが比較的大きいため、穴広げ性を改善するには、その平均値のみならず、その統計的な下限値、即ち、統計学に基づいて所定数の標本(試験値)から推定した母集団の下限値を上げて、ばらつきを抑えることが必要である。ここでいう統計的な下限値(以下、下限値λminという。)とは、具体的には、穴広げ値の母集団の分布を正規分布と見なして、その正規分布の中で99%の標本が取り得る数値範囲の下限値を、下記式(1)に基づき推定した値である。
λmin=λave−2.5×σ ・・・ (1)
λave:所定数得られた穴広げ値の平均値
σ :所定数得られた穴広げ値の標準偏差
自動車の足回り部品では、現状、多くの場合、引張強度(TS)で440〜590MPa級の熱延鋼板が用いられている。しかし、自動車燃費軽減のためには概ね10%の鋼板重量の軽量化が必要とされており、その達成のためには、引張強度で780MPa以上、穴広げ値の平均値λaveで80%以上、穴広げ値の下限値λminで60%以上、穴広げ値の標準偏差σで10%以下の鋼板が求められている。
しかし、これらの目標を同時に達成する材質を有する高強度熱延鋼板はこれまで得られていない。例えば、特許文献1には、フェライト、ベイナイト等の鋼組織の分率や、フェライト組織中の析出物を最適化することにより強度と穴広げ性のバランスを改善する技術が開示されており、この開示技術によって、引張強度で780MPa以上、穴広げ値の平均値λaveで60%以上の鋼板が得られている。しかし、これでは穴広げ値の平均値λaveがまだ十分とは言えず、更には、穴拡げ値の下限値λmin、標準偏差σについても述べられておらず、十分良好な下限値λmin、標準偏差σの鋼板が得られるという保障はなく、十分な強度、穴広げ性のバランスを有しているとは言い難いものであった。
特開2004−339606号
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて、高強度熱延鋼板の穴広げ値の平均値λave、その下限値λmin及びその標準偏差σを改善するために案出されたものであり、その目的とするところは、穴広げ値の平均値λabeが80%以上、穴広げ値の下限値λminが60%以上、穴広げ値の標準偏差σが10%以下であり、更には優れた引張強度を得ることのできる穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上述した課題を解決するために、以下の穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法を発明した。
第1発明に係る穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板は、質量%で、C :0.02〜0.07%、Si:0.5〜2%、Mn:0.5〜1.5%、P ≦0.03%(但し、0%超)、S ≦0.005%、Al:0.005〜0.05%、N ≦0.005%(但し、0%超)、Ti:0.05〜0.2%、Ca:0.0005〜0.01%、を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板であって、そのミクロ組織がフェライト組織、ベイナイト組織又はこれらの混合組織からなり、圧延面と平行な{211}面のX線ランダム強度比が2.2以下であり、板幅方向を法線に持つ断面において、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm以下の間隔を空けて並んだ円相当径が3μm以上である介在物の集まりからなり、圧延方向長さが30μm以上の介在物群と、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm超の間隔を空け、円相当径が3μm以上であり、圧延方向長さが30μm以上に延伸されてなる介在物との断面1mm2当たりの圧延方向長さの総和が0.25mm以下であり、引張強度が780MPa以上であることを特徴とする穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板。
第2発明に係る穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板は、第1発明において、更に質量%で、Nb≦0.05%(但し、0%超)、を含有することを特徴とする。
第3発明に係る穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板は、第1又は第2発明において、更に質量%で、Cu≦1.0%(但し、0%超)、Cr≦1.0%(但し、0%超)、Ni≦1.0%(但し、0%超)、B≦0.005%(但し、0%超)のうち、何れか一種又は二種以上を含有することを特徴とする。
第4発明に係る穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板は、第1〜第3の何れか1つの発明において、更に質量%で、REM:0.0005〜0.01%を含有することを特徴とする。
第5発明に係る穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法は、第1〜第4の何れか1つの発明の成分を含有する溶鋼を溶製するに際し、二次精錬装置で脱硫用フラックス添加後に溶鋼を3.0回以上環流させた後、当該溶鋼から得られた鋳片を1200℃以上に加熱した後、粗圧延を行い、次に行う仕上げ圧延を960℃以上の温度域で終了させ、その後、20℃/sec以上の冷却速度で400℃以上550℃以下の温度域まで冷却した後巻き取ることを特徴とする第1〜第4の何れか1つの発明に係る穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法である。
第6発明に係る穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法は、第1〜第4の何れか1つの発明の成分を含有する溶鋼を溶製するに際し、二次精錬装置で脱硫用フラックス添加後に溶鋼を3.0回以上環流させた後、当該溶鋼から得られた鋳片を1200℃以上に加熱した後、粗圧延を行い、次に行う仕上げ圧延を960℃以上の温度域で終了させ、その後、20℃/sec以上の冷却速度で冷却し、その冷却中に冷却速度を15℃/sec以下とした緩冷却を550℃以上650℃以下の温度範囲で2秒以上5秒以下行ない、その後に再度冷却速度を20℃/sec以上として400℃以上500℃以下の温度域まで冷却した後巻き取ることを特徴とする第1〜第4の何れか1つの発明に係る穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法である。
第1〜第6の発明によれば、成形性、特に穴広げ性が良好であるうえ、引張強度にも優れた熱延鋼板が得られるため、これを自動車用鋼板として用いた場合、大幅な自動車軽量化、燃費軽減を図ることが可能となる。
L断面について説明するための斜視図である。 介在物の圧延方向長さの総和Mについて説明するための模式図である。 {211}面のX線ランダム強度比と介在物の圧延方向長さの総和Mと穴広げ値の平均値λaveとの関係を示す図である。 {211}面のX線ランダム強度比と介在物の圧延方向長さの総和Mと穴広げ値の下限値λminとの関係を示す図である。 穴広げ値の標準偏差σと介在物の圧延方向長さの総和Mとの関係を示す図である。 仕上げ圧延終了温度と{211}面のX線ランダム強度比との関係を示す図である。 二次精錬時における溶鋼の環流回数と介在物の圧延方向長さの総和Mとの関係を示す図である。 溶鋼を溶製する二次精錬工程を行うにあたって二次精錬装置として用いられるRHの構成を示す模式図である。 本発明に係る熱間圧延工程における温度と時間との関係示す図である。
以下に、本発明を実施するための形態として、穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法について詳細に説明する。
まず、本発明を完成するに至った基礎的研究結果について説明する。
本発明者らは、高強度の熱延鋼板の穴広げ性の改善のため、まず、穴広げ性を劣化させる延性破壊の起点となるパーライトのような硬質相を低減した低C成分からなり、更に、フェライト組織、ベイナイト組織又はその混合組織からなる鋼板を対象として鋭意検討を行った。この結果、このような高強度で、硬質相のない組織、成分系の鋼板において、穴広げ性を改善するためには、集合組織の制御(異方性の抑制)が重要であることを見出した。また、穴広げ値のばらつきを表すその標準偏差σを低減させて下限値λminを向上させるうえでは、鋼中に含まれる延伸した介在物と、これと同等の影響を有する介在物群との抑制が重要であることを見出した。
本発明者らは、表1に示す範囲の様々な鋼成分からなる複数の鋳片に、仕上げ圧延終了温度を940〜1000℃、圧延後のランアアウトテーブルでの冷却速度を30〜40℃/sec、巻き取り温度を480〜500℃の範囲とした条件下で熱間圧延を行い、2.9mm厚の熱延鋼板を得ることとした。得られた熱延鋼板からは、引張強度、穴広げ値等で表される機械的特性の他、ミクロ組織、集合組織、介在物の分布を調べることとした。
なお、ここでいうミクロ組織とは、フェライト組織、ベイナイト組織等のことをいい、集合組織とは、複数の結晶粒の集まりであって、各集合組織におけるそれぞれの結晶粒の結晶方位が一定の関係を満たすもののことをいう。また、介在物とは、鋼中に異相として存在し、延性破壊の起点となるような比較的粗大なもののことをいい、例えば、鋼中のMnS、CaS等の硫化物や、CaO−Al系化合物(カルシウムアルミネート)等の酸化物、TiN等の窒化物、又は製鋼段階で脱硫のために投入する脱硫フラックスの残存物等のことをいう。この残存物は、例えば、フッ化カルシウムを含有している。
Figure 0005353578
引張強度等の引張特性は、得られた熱延鋼板の板幅方向中央部から板幅方向と平行なJIS Z 2201記載の5号試験片を加工し、得られた試験片についてJIS Z 2241記載の試験方法を行なうことによって評価した。以上の製造条件範囲で得られた熱延鋼板の引張強度は全て780MPa〜800MPaの範囲に分布していた。
ミクロ組織、集合組織、介在物の分布の調査は、鋼板の板幅方向中央位置を中心として板幅方向に300mmの範囲で切り出したサンプルにて行った。
穴広げ値の平均値λave、下限値λmin及び標準偏差σは、鋼板の板幅方向中央位置を中心として板幅方向に300mmの範囲で切り出したサンプルから採取した30枚の試験片を用いて日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001−1996記載の打ち抜き穴広げ試験を行なうことにより得られた穴広げ値から求めた。穴広げ値の平均値λaveは試験により得られた30枚の試験片の穴広げ値の算術平均とし、穴広げ値の標準偏差σは下記の式(2)に基づき求め、穴広げ値の下限値λminは上述した式(1)に基づき求めた。なお、式(2)におけるλは、各試験片の穴広げ値である。
Figure 0005353578
打ち抜き穴広げ試験は、初期穴径10mm、打ち抜きクリアランス12.5%で打ち抜きを行い、打ち抜きによるバリが穴広げポンチの反対側となるように試験片をセットし、頂角60°の円錐穴広げポンチにより打ち抜き穴の押し広げ加工を行い、打ち抜き端面に発生した亀裂が板厚貫通した時点の穴径(内径)の拡大率として求めた。ここで、打ち抜きクリアランスとは、打ち抜く際の、ポンチ進行方向と直交する方向におけるポンチとダイとの間隔の、加工対象となる鋼板の板厚に対する割合(%)である。
上述の試験方法で求めた各鋼板についての穴広げ値の平均値λaveは、65〜100%の広い範囲に分布しており、穴広げ値の下限値λminは、28〜85%の範囲に分布しており、穴広げ値の標準偏差σは6〜15%の範囲に分布していた。穴広げ値の平均値λave、その下限値λmin及びその標準偏差σへの影響因子として、鋼板中の集合組織と介在物に着目し、後述のように整理した。
集合組織は、以下の方法で調査を行った。板幅方向中央位置を中心として板幅方向に20mm、圧延方向に20mmの大きさで切り出した試験片の板厚方向中央部についてのX線回折強度を、適切なX線管球を用いたディフラクトメーター法により測定した。この測定したX線回折強度に基づき、ランダムな方位分布をもつ粉末試料のX線回折強度に対する測定対象である試験片のX線回折強度の強度比、即ち、X線ランダム強度比を求めた。ここでは、圧延面と平行な{211}面のX線ランダム強度比を求めた。このX線ランダム強度比が大きいほど、鋼板中にその結晶面を有する集合組織の量が多いことを意味している。
介在物の調査は以下のように行った。板幅方向中央位置を中心として板幅方向に300mmの範囲で切り出したサンプルから試験片を採取し、図1に示す板幅方向を法線に持つ断面(以下、L断面という。)を鏡面研磨し、光学顕微鏡を用いて、×400の倍率でL断面の観察を行い、L断面において圧延方向の長さが10mm、板厚方向の長さが全板厚分の大きさの視野内にある介在物のサイズ、分布の調査を行った。
介在物の調査にあたっては下記のような考えに基づき調査を行った。介在物は、鋼板の変形時にボイドを鋼中に形成して延性破壊を促進するものであり、その形状が延伸形状であるほど介在物近傍の応力集中を増大させて、その結果、延性破壊を促進して穴広げ性を劣化させることが知られている。
ここで、本発明者らは、大きく延伸した1個の介在物のみならず、小さく延伸した介在物や球状の介在物が、亀裂伝搬方向である圧延方向に所定の間隔で分布して構成される介在物の集まりも、1個の大きく延伸した介在物と同じように、鋼板の変形時に介在物近傍に導入される歪の相乗効果によりその近傍に大きな応力集中を生じさせることを見出した。
定量的には、図2(a)に示すように、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm以下の間隔を空けて並んでいる円相当径が3.0μm以上の介在物の集まり(以下、これを介在物群という。)からなる介在物群が、その介在物群の圧延方向長さと同程度の長さに延伸した1個の介在物と同じ効果があることを見出した。なお、ここでいう円相当径とは、介在物の形状と同じ面積の円に換算した場合の直径のことを意味し、また、圧延方向の直線とは圧延方向に伸びる仮想的な直線のことを意味する。
そこで、上述のような介在物群のうち、圧延方向長さが30μm以上の介在物群と、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm超の間隔が空いている介在物であっても、図2(b)に示すように、その形状が、円相当径が3.0μm以上であり、圧延方向の長さが30μm以上の介在物とを、測定対象として扱うこととした。なお、測定対象として、圧延方向長さが30μm以上のものに限定したのは、圧延方向長さがこれ未満の介在物群等では延性破壊に対する影響が小さいと考えられるためである。また、円相当径が3.0μm以上のものに限定したのは、円相当径がこれ未満の介在物では延性破壊に対する影響が小さいと考えられるためである。
なお、図2(c)に示すように、円相当径が3.0μm以上であり、圧延方向の長さが30μm以上の介在物であっても、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm以下の間隔が空いている介在物については、介在物群の一部であるとして扱うこととした。以下においては、この介在物群に含まれず、円相当径が3.0μm以上であり、圧延方向の長さが30μm以上の介在物については、「延伸介在物」と記載する。
これら介在物群、延伸介在物は、その形状が延伸した形状であるほどこれら近傍に発生する応力集中を増大させ、鋼板変形時の亀裂の発生、伝搬を促進することが考えられるので、穴広げ性の評価にあたっては、図2(a)〜図2(c)に示すような、L断面においてのこれらの圧延方向の長さL1、L2を測定することとした。
得られた各介在物群、各延伸介在物の圧延方向長さL1、L2は、下記のような理由に基づき、それらの平均値ではなくそれらの総和Mを求めることとした。
鋼板の変形時においては、介在物群、延伸介在物の個数が少ないと、これら介在物群等の周囲で生じたボイドが途切れながら亀裂が伝搬するのに対し、これら介在物群等の個数が多いと、介在物群等の周囲のボイドが途切れることなく連結して、長く連続的なボイドを形成し、延性破壊を促進するものと考えられる。このような介在物群等の個数の影響は、介在物群等の平均値では表せないので、この点から介在物の圧延方向長さの総和Mを求めることとした。
特に、今回の試験結果で、介在物群等の平均値は、これが30μm以上である場合、穴広げ値に対して大きな相関関係が見られず、その平均値によって穴広げ性の程度を表すことが困難であることが判明した。
また、鋼板の変形時においては、介在物群、延伸介在物の分布が多い箇所ほど歪の相乗効果により応力集中が増大してボイドが発生し易くなるものと考えられる。このため、介在物の圧延方向長さの平均値が小さい場合でも、鋼中の介在物の個数が多い場合、即ち、介在物の圧延方向長さの総和Mが大きい場合、介在物の分布による影響を受け易くなり、穴広げ値のばらつきが大きくなることになる。この点からも介在物の圧延方向長さの総和Mを求めることとした。
以上の観点から、単位面積当たりの介在物の圧延方向長さの総和Mを求めることとしたが、具体的には、下記の式(3)に従い、1視野ごとの各介在物群、延伸介在物についてのL1(mm)及びL2(mm)を総和してL(mm)を求め、得られたLに基づき下記の式(4)に従い数値M(mm/mm)を求め、得られたMによって評価することとした。なお、下記の式(3)におけるL1、L2は、それぞれ1視野中の各介在物群及び各延伸介在物の圧延方向長さのことであり、Sは、観察した視野の面積(mm2)のことである。
Figure 0005353578
Figure 0005353578
以上の試験の結果得られた、穴広げ値の平均値λave、穴広げ値の下限値λminと{211}面のランダム強度比、介在物の圧延方向長さの総和Mの関係を図3、図4に示し、穴広げ値の標準偏差σと介在物の圧延方向長さの総和Mとの関係を図5に示す。尚、ここで得られた供試鋼のミクロ組織は全て、フェライト組織、又はベイナイト組織を主相とするものであった。
これより、{211}面のランダム強度比が2.2以下、介在物の圧延方向長さの総和Mが0.25mm/mm以下となる場合に、穴広げ値の平均値λaveで80%以上、穴広げ値の下限値λminで60%以上、穴広げ値の標準偏差σで10%以下の穴広げ性が改善された鋼板を得られることが判明した。
{211}面のランダム強度比が小さいほど穴広げ値の平均値λave、下限値λminが改善されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下のように説明される。熱延鋼板においては{211}面が多いことにより鋼材の異方性が大きくなる。特に、圧延方向、及び圧延方向に対して45°方向並びに90°方向(板幅方向)の塑性歪み比(r値)をそれぞれr、r45、r90と定義すると、この場合においてはrとr45及びr90との差が大きくなるうえ、r90が大きく低下することになる。これにより穴広げ成形時に、板幅方向に引張歪を受ける圧延方向端面において板厚減少が大きくなり、端面に高い応力が発生して亀裂が発生、伝播しやすくなるためと考えられる。
介在物の圧延方向長さの総和Mが大きい場合に穴広げ値の平均値λave、下限値λminが低下する理由については、前述の通りであり、要約すると下記の2つの理由となる。第1に、総和Mが増大するほど介在物群、延伸介在物が延伸した形状となる結果、応力集中の度合いが高まり、穴広げ成形での端面の亀裂の発生、伝播が促進される点が挙げられる。第2に、総和Mが増大するほど介在物の個数が増大して変形時にボイドが連結し易くなり、その結果、亀裂の伝搬が促進される点が挙げられる。また、総和Mが大きい場合に穴広げ値のばらつきを表す標準偏差σが増大する理由は、前述の通りであり、要約すると、総和Mが増大するほど介在物の個数が増大し、介在物の分布による影響でばらつきが大きくなる点が挙げられる。
また、本発明者らは、図6に示すように、熱間圧延工程における仕上げ圧延終了温度が高温であるほど{211}面のX線ランダム強度比が低減し、仕上げ圧延温度が960℃以上の温度域の条件下であれば{211}面のX線ランダム強度比強度が2.2以下となることを見出した。
この理由は以下のように考えられる。{211}面のX線ランダム強度比は、複数パスからなる仕上げ圧延のパス間又は最終パス以降において再結晶が抑制されて、鋼板中に圧延歪みが蓄積された場合に増大することが知られている。このことから、仕上げ圧延終了温度が高温である場合、仕上げ圧延中又はその終了後における再結晶を促進することになり、これによって、{211}面のX線ランダム強度比が低減されると考えられる。
また、本発明者らは、穴広げ性を劣化させる要因となる圧延方向の直線上に並んだ介在物を調査したところ、これらは主として、圧延により延伸したMnSや、製鋼段階で脱硫のために投入する脱硫フラックスの残存物であることを明らかにした。
これらを抑制するための製造方法について検討した結果、以下が重要であることが判明した。
MnSを抑制するには、まず鋼中に含まれるS量の低減が重要である。また、Ti添加鋼ではTiSの生成によりMnS生成が抑制されることから、Ti添加もMnS抑制に大きな効果を有する。この観点から、穴広げ性を劣化させるようなMnSを抑制するためには、Ti量下限(Ti≧0.05%)、S量上限(S≦0.005%)を設ける必要があることが判明した。特に、Tiを添加せずにS量上限をこれより低減させる手段も考えられるが、Sを低減しすぎると脱硫のために多量の脱硫フラックスを用いる必要が生じ、その分脱硫フラックスの除去のため生産性を著しく劣化させるほど長時間の溶鋼環流を行う必要が生じ、経済性を損なうことになってしまう。このため、経済性を維持した上でMnSを抑制するためにはTiを下限値以上添加することが重要である。
また、脱硫フラックスの残存による介在物の抑制のためには、溶鋼の二次精錬の工程において、脱硫フラックスの添加後十分な環流を行い、脱硫フラックスの除去を図ることが重要であるが、詳しくは後述する。
以下、本発明の構成要素を詳細に説明する。
まず、本発明における化学成分の限定理由について説明する。なお、以下では、組成における質量%を、単に%と記載する。
C :0.02〜0.07%
Cは、Nb、Ti等と結合して析出強化等によって引張強度向上に寄与する元素であるが、Cの含有量が0.02%未満であると強度向上の効果が得られない。また、Cの含有量が、0.07%超であると、鉄炭化物が生成し、穴広げ性が劣化する。このため、Cの含有量は、0.02%以上、0.07%以下とする。
Si:0.5〜2.0%
Siは、予備脱酸に必要な元素であると共に固溶強化元素として引張強度向上に寄与する元素であるが、Siの含有量が0.5%未満であると、十分な強度向上の効果が得られない。また、Siの含有量は、2.0%超であると、加工性が劣化する。このため、Siの含有量は、0.5%以上、2.0%以下とする。
Mn:0.5〜1.5%
Mnは、固溶強化元素として鋼板の引張強度向上に寄与する元素であるが、Mnの含有量が0.5%未満であると、十分な引張強度向上の効果が得られない。また、Mnの含有量は、1.5超であると、熱間圧延時のスラブ割れが生じやすくなる。このため、Mnの含有量は、0.5〜1.5%とする。
P :0.03%以下(但し、0%超)
Pは、溶鋼の精錬時において不可避的に混入する不純物であり、含有量の増加に伴い靭性等の加工性や溶接性に悪影響を及ぼすとともに疲労特性を低下させる元素である。このため、Pの含有量は、低いほど望ましく、Pの含有量が0.03%超の場合、上述のような加工性等への悪影響、疲労特性の低下が著しいものとなる。このため、Pの含有量は、0.03%以下とする。
S :0.005%以下(但し、0%超)
Sは、溶鋼の精錬時において不可避的に混入する不純物であり、含有量が多すぎると、鋼中で延伸したMnSを形成し、これが穴広げ性を劣化させる。このため、Sの含有量は、極力低減させるべきであり、0.005%を上限とする。
Al:0.005〜0.05%
Alは、溶鋼の脱酸に必要な元素である。Alの含有量は、溶鋼を脱酸させる効果を十分に得るために0.005%以上添加する必要がある。一方、Alの含有量は、過剰に添加してもするとその効果は飽和するため、コスト増大を防ぐ観点からその上限を0.05%とする。このため、Alの含有量は、0.005%以上、0.05%以下とする。
N :0.005%以下(但し、0%超)
Nは、Cよりも高温にてTi及びNbと析出物を形成し、鋼を強化するのに有効なTi及びNbを減少させるばかりでなく、穴広げ値のバラツキを増大させる大きなサイズのTi窒化物を形成する。従って、Nの含有量は、極力低減させるべきであるが、0.005%以下ならば許容できる範囲である。
Ti:0.05〜0.2%
Tiは、鋳片の再加熱段階でTiSとして析出することにより延伸した介在物を形成するMnSの析出を抑制する元素である。また、Tiは、圧延後の冷却、巻き取り段階でTiCとして微細に析出して析出強化による鋼板の強度上昇に寄与する元素である。以上の効果を得るために、Tiの含有量が0.05%以上とする必要がある。しかし、Tiの含有量が0.2%超であるとその効果が飽和するだけでなく合金コストの上昇を招く。従ってTiの含有量は、0.05%以上、0.2%以下とする。
Ca:0.0005〜0.01%
Caは、溶鋼の脱硫に必要な元素であり、更には、鋼中のSを球形のCaSとして固定することにより延伸した介在物を形成するMnSの生成を抑制する元素でもあるため、添加することが必須である。これらの効果を発揮させるために、Caの下限は、0.0005%とする。一方、Caが過多に鋼中に含まれると、製造コストの増加を招くので、Caの上限は0.01%とする。
以上が、本発明の基本成分の限定理由であるが、本発明においては、必要に応じて、Nb、Cu、Cr、Ni、B、REMの成分のうち、何れか一種又は二種以上を含有していてもよい。Nb、Cu、Cr、Ni、Bは、析出強化若しくは固溶強もしくは組織微細化強化により熱延鋼板の強度を向上させる効果がある元素である。
Nb;0.05%以下(但し、0%超)
Nbは、微量の添加で組織が微細化し強度を増加させる効果があるので、添加することが好ましい。しかし、Nbは、その添加量が0.05%超であると、Nbには再結晶抑制効果があるため未再結晶域圧延集合組織が増大して、{211}面のX線ランダム強度比が過度に強くなってしまい、穴広げ性の劣化を招くことになる。このため、Nbは、0.05%を上限として添加することが好ましい。
Cu:1.0%以下(但し、0%超)
Cuの含有量は、1.0%超であると強度向上の効果が飽和するため、上限を1.0%として添加することが好ましい。
Cr:1.0%以下(但し、0%超)
Crの添加量は、1.0%超であると強度向上の効果が飽和するため、1.0%を上限として添加することが好ましい。
Ni:1.0%以下(但し、0%超)
Niの添加量は、1.0%超であると強度向上の効果が飽和するため、1.0%を上限として添加することが好ましい。
B :1.0%以下(但し、0%超)
Bの含有量は、0.005%超であると強度向上の効果が飽和するため、0.005%を上限として添加することが好ましい。
REM:0.0005〜0.01%
REM(希土類元素)は、破壊の起点となったり、加工性を劣化させる原因となる非金属介在物の形態を変化させて無害化する元素である。REMの含有量は、0.0005%未満であるとその効果が発揮されず、また、0.01%超添加してもその効果が飽和して経済性が低下する。このため、REMの含有量は、0.005%以上、0.01%以下として添加することが好ましい。
また、本発明においては、必要に応じて、Zr、Sn、Co、Zn、W、Mgのうち、何れか一種又は二種以上を更に添加してもかまわない。
次に本発明を適用した熱延鋼板における集合組織、ミクロ組織の限定理由について説明する。
圧延面と平行な{211}面のX線ランダム強度比 : 2.2以下
本発明において重要な特性値である。この特性値は、熱間圧延を施した熱延鋼板から得られる試料を用いてX線回折強度の測定をすることによって得られる。この{211}面のX線ランダム強度比が2.2超であると穴広げ値の平均値λaveが80%以上、その下限値λminが60%以上の鋼板を得ることができない。
介在物の圧延方向長さの総和M:0.25mm/mm以下
本発明において重要な特性値である。本発明では、穴広げ性を良好とするため、介在物の圧延方向長さの総和Mを0.25mm/mm以下とする必要がある。ここでいう介在物の圧延方向長さの総和Mの意味は、上述した通りである。本発明では、従来より穴広げ性を劣化させる効果があることを知られている延伸介在物のみならず、所定の配列をした介在物群の圧延方向長さを抑制している点に特徴がある。この介在物の圧延方向長さの総和Mが0.25mm/mm超であると、穴広げ値の平均値λaveが80%以上、その下限値λminが60%以上、その標準偏差σが10%以下の鋼板を得ることができない。
本発明における鋼板のミクロ組織は、優れた穴広げ性(バーリング加工性)を確保するために、フェライト組織、ベイナイト組織又はこれらの混合組織である必要がある。より良好な穴広げ性を得る観点からはベイナイト単相が好ましい。これは、フェライト単相組織の場合、組成のばらつきによっては粒界に若干のセメンタイト(鉄炭化物)が生成する可能性もあり、それにより延性破壊が促進されるためと考えられる。また、鋼板のミクロ組織中には、フェライト組織、ベイナイト組織の他のものとして、不可避的に含まれるパーライト、マルテンサイト、残留オーステナイトが、面積分率で5%以下含まれることが許容される。例えば、パーライトが面積分率で5%超含まれてしまうと、穴広げ値の平均値λaveが80%以上、その下限値λminが60%以上の鋼板を得ることができなくなってしまう可能性がある。
次に、本発明を適用した熱延鋼板を得るための好ましい製造方法について説明する。以下、各製造条件の限定理由について、詳細に述べる。
本発明においては、製鋼工程において、鋼成分が上述した所定範囲内となるように調整することと、上述のような介在物の圧延方向長さの総和Mが小さくなるように溶鋼環流の制御を行うこととが必須となる。
製鋼工程においては、高炉等によって溶銑を得た後に、これを転炉にて溶鋼としたうえで、得られた溶鋼を各種の二次精錬で溶製して上述の所定範囲の成分含有量となるよう成分調整を行うことになる。
ここで、溶鋼を溶製するに際して、脱硫フラックスを除去して介在物の圧延方向長さの総和Mを低減するために、RH(Ruhrstahl Heraeus)等の二次精練装置を用いた溶鋼脱硫時に、脱硫フラックス添加後に溶鋼を3.0回以上、二次精練装置内で環流させることが重要となる。この理由について説明する。
図7に、表1に示す成分系の鋼を溶製する際の二次精錬工程における溶鋼環流回数と介在物の圧延方向長さの総和Mとの関係を示す。この図7に示すように、環流回数が3.0回以上の場合に介在物の圧延方向長さの総和Mが0.25mm/mm以下に低減していることが分かる。
溶鋼の環流回数については、単位時間当たりに二次精錬装置内で循環させる溶鋼量のことを意味する溶鋼の環流速度Q(ton/min)と、脱硫フラックス添加後の溶鋼環流時間(min)と二次精錬工程において処理すべき対象の溶鋼量(ton)とから、以下の式(5)、(6)に基づき求めることができる。
Figure 0005353578
Figure 0005353578
ここで、上述の溶鋼の環流速度Qについては、種々の算出式があるが、例えば「大量生産規模における不純物元素の精練限界」((株)日本鉄鋼協会高温精練プロセス部会精練フォーラム 日本学術振興会製鋼第19委員会反応プロセス研究会,平成8年3月,184頁〜187頁)に開示されている下記式(7)に基づき求めればよい。なお、下記式(7)における環流ガス流量は、0℃、1atmの条件下での1分間当たりの環流ガスの流量を意味する。
Figure 0005353578
Q :環流速度(ton/min)
V :環流ガス流量(L/min)
D :浸漬管内径(m)
P0:真空槽内圧力(Pa)
P1:環流ガス吹込位置圧力(Pa)
k :定数(二次精練装置による定数)
図8は、溶鋼を溶製する二次精錬工程を行うにあたって二次精錬装置としてRHを用いた場合のそのRHの構成を示す模式図である。二次精錬装置1は、溶鋼鍋2中に脱ガス槽3内に連通された二本の浸漬管4a、4bが浸漬されて構成されている。また、この二次精錬装置1は、環流ガス吹込管5から溶鋼鍋2内の溶鋼6に供給されるAr等の環流ガスが一方の浸漬管4a内に下方から吹き込まれるよう構成されている。二次精錬装置1における溶鋼鍋2内の溶鋼6は、溶鋼鍋2から一方の浸漬管4aを介して上昇して脱ガス槽3に入り、脱ガス処理後に脱ガス槽3から他方の浸漬管4bを介して溶鋼鍋2に下降して戻るよう構成されている。溶鋼鍋2内の溶鋼6中には、環流ガス吹込管5又は別途設けた管から脱硫フラックスが吹き込まれており、溶鋼6が環流ガスによって攪拌されることによって溶鋼6の脱硫が行なわれることになる。
なお、ここでは二次精錬装置としてRHを用いた例を示したが、他のDH(Dortmund Horde)、LF(Ladle Furnace)等の二次精練装置を用いても構わないことは言うまでもない。
以上の点を除けば、製鋼工程中の他の工程について、特にその条件を限定するものではない。二次精錬後においては、二次精錬によって得られた溶鋼から、通常の連続鋳造、又はインゴット法による鋳造の他、薄スラブ鋳造などの方法で鋳造して鋳片を得るようにすればよい。得られた鋳片は、図9に示すような条件での熱間圧延工程を行う。
鋳片や鋳片を切断して得られる鋼片を加熱するスラブ加熱工程におけるスラブ加熱温度は、例えば、1180℃以上であればよいが、1200℃以上であることが望ましい。これは、1200℃未満で鋳片等を加熱した場合に、TiやNbを含む析出物がスラブ中に十分に溶解せずに粗大化し、TiやNbの析出物による析出強化能が得られず引張強度が低下してしまうためである。更には、再加熱によりMnSを溶解させてSをTiSとして析出させることにより、延伸介在物となるMnSを抑制する観点からも1200℃以上とすることが望ましい。以上の観点からスラブ加熱温度は高いほど好ましく、1250℃以上とすることが更に望ましい。
スラブ加熱工程で加熱する鋳片や鋼片の厚みについては、特に問うものではないが、介在物の圧延方向への延伸を防ぐ観点からは、薄いほうが好ましく、250mm以下とすることが好ましい。
スラブ加熱工程の後に行なう粗圧延工程での圧延終了温度は特に問うものではないが、動的な再結晶を促進し結晶方位のランダム化を促進する観点から1150℃以上であることが望ましい。
粗圧延後の素材厚み(粗バー厚み)は、仕上げ圧延での集合組織の配向を弱める観点からは薄い方が好ましく、35mm以下とすることが望ましい。
粗圧延工程の後は、粗圧延工程によって得られた粗バーに対して更に圧延を施す仕上げ圧延工程を行う。この仕上げ圧延工程における仕上げ圧延終了温度は、未再結晶状態の圧延集合組織が残存するのを避け、{211}面のX線ランダム強度比を2.2以下として穴広げ値を良好とするために、960℃以上の温度域とする必要がある。仕上げ圧延終了温度の上限は、本発明の効果を得るためには特に定める必要はないが、操業上スケール疵が発生する可能性があるため、1000℃以下とすることが好ましい。
なお、仕上げ圧延工程における仕上げ圧延開始温度は、圧延後において再結晶を促進させる観点からは、高温である方が好ましく、1050℃以上とすることが望ましい。
また、粗圧延工程と仕上げ圧延工程とを行なうに際しては、粗バーの圧延方向、板幅方向、板厚方向における温度のバラツキを小さく制御するように、各圧延機内又は圧延機間において加熱装置を設置し、熱間圧延中の温度のバラツキを低減させるように制御してもよい。
また、粗圧延工程と仕上げ圧延工程との間において、粗圧延により得られる複数の粗バーを互いに接合して、この接合した複数の粗バーに連続して仕上げ圧延を行うエンドレス圧延を行うようにしてもよい。
また、粗圧延工程と仕上げ圧延工程との間において、必要に応じて高水圧を用いたデスケーリングを行なうようにしてもよい。
仕上げ圧延工程の後は、仕上げ圧延によって得られた熱延鋼板をランアウトテーブルで冷却する冷却工程を行う。冷却工程における冷却速度(℃/sec)は、例えば、18℃/sec以上であればよいが、20℃/sec以上であることが望ましい。これは、冷却速度が20℃/sec未満であると、ランアウトテーブルでの冷却時に析出したTiCが粗大化することにより、微細なTiCによる析出強化の効果が十分得られず引張強度が低下してしまうためである。
冷却工程では、TiCの析出を促進して引張強度を向上させるために、適宜、図8に示すような、20℃/sec以上の冷却速度での冷却中に、冷却速度を15℃/秒以下とした緩冷却を行ない、その後に再度冷却速度を20℃/sec以上として冷却を行なうようにしてもよい。この緩冷却を行なう温度域、時間は、概ねTiCの析出を促進するため550〜650℃の温度域、5秒以下の時間とするのが最適である。緩冷却の時間が長すぎる場合、パーライトが生成し穴広げ性を劣化させる場合があるので、この時間は必要以上に長くすることは好ましくない。なお、図9においては、冷却工程に行なう20℃/sec以上の冷却速度での冷却を強冷却とし、15℃/sec以下の冷却速度での冷却を緩冷却として示している。
冷却工程の後は、冷却工程を経て得られた熱延鋼板を巻き取る巻き取り工程を行う。巻き取り工程においては、400℃以上550℃以下の温度域で熱延鋼板を巻き取る必要があり、冷却工程ではこのような温度域になるまで冷却する。巻き取り温度が400℃未満であると、Ti等の炭化物が粒界に析出しにくくなり、これら炭化物による析出強化能が十分に得られない。また、巻き取り温度が550℃超であると、加工性に好ましくないパーライト等の粗大炭化物を含む相が生成する恐れがある。従って、巻き取り工程における巻取り温度は、400℃以上550℃以下とする。なお、巻き取り工程の後は、巻き取り温度から室温や所定の温度域にまで徐冷することになる。
なお、可動転位の導入による延性の向上や鋼板形状の矯正を図ることを目的として、全工程終了後において圧下率0.1%以上2%以下のスキンパス圧延を施すようにしてもよい。また、全工程終了後において、熱延鋼板の表面に付着しているスケールの除去を目的として、得られた熱延鋼板を酸洗するようにしてもよい。また、熱間圧延終了後又は酸洗後に、得られた熱延鋼板に対してインライン若しくはオフラインで圧下率10%以下のスキンパス、又は圧下率40%以下の冷間圧延を施してもよい。
また、本発明を適用した熱延鋼板は、鋳造後、各圧延工程後、冷却後の何れかの場合において、溶融めっきラインにて熱処理を施す、若しくは全工程終了後の熱延鋼板に対して溶融めっき法による表面処理を施すようにして、熱延鋼板の耐食性を向上させてもよい。また、溶融めっきに加えて合金化処理を施すようにしてもよいのは勿論である。
次に、本発明を適用した高強度熱延鋼板及びその製造方法の実施例について詳細に説明する。
まず、下記の表2に示す化学成分を有する鋼番A〜Pの溶鋼を転炉の溶製後、二次精錬を行なうとともに、この二次精錬中に脱硫フラックス除去のための環流を行うことによって得た上で、連続鋳造により鋼片を得て、その後に直接又は再加熱した後に、表3に示す製造条件を経て板厚2.9mmの熱延鋼板を得た。ここで、脱硫フラックスはCaO、CaF、MgOが重量比でほぼ等量混合されたものを使用した。環流は図7に示されるようなRHを二次精錬装置として用いて行った。このようにして得られた熱延鋼板の機械的性質並びにミクロ組織等を表4に示す。表2〜4における下線は、本発明の範囲外であるか、好ましい範囲外であることを意味する。また、上述の式(7)における定数kは、4とした。また、表4における「機械的性質評価」では、λaveが80%以上、λminが60%以上、σが10%以下、引張強度が780MPa以上のものに丸印を記載し、λave、λmin、σが同条件を満たすものの引張強度が780MPa未満のものを三角印で記載し、λave、λmin、σの何れかが同条件を満たさないものをばつ印で記載した。
Figure 0005353578
Figure 0005353578
Figure 0005353578
穴広げ値は、上述のように、日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001−1996記載の穴広げ試験方法に従い評価した。ここで、穴広げ試験時には、ばらつきも評価するため、穴広げ値の平均値λaveと標準偏差σを求めた。穴広げ値の平均値λaveは、鋼板の板幅方向中央位置を中心として板幅方向に300mmの範囲で切り出したサンプルから採取した30枚の試験片による試験値の算術平均とした。穴広げ値の下限値λminは、上述の式(1)に基づき求め、穴広げ値の標準偏差σは上記の式(2)に基づき求めた。
引張試験値は、上述のように、得られた熱延鋼板の板幅方向中央部から板幅方向と平行なJIS Z 2201記載の5号試験片を加工し、得られた試験片についてJIS Z 2241記載の試験方法を行なうことによって評価したものである。
集合組織は、圧延面と平行な{211}面のX線ランダム強度比を求めることにより評価した。X線ランダム強度比を求めるにあたっては、板幅方向中央位置を中心として板幅方向に20mm、圧延方向に20mmの大きさで切り出した試験片を板厚tに対して1/2t位置まで研削した後、化学研磨されたサンプルにより測定した。
ミクロ組織は、板幅方向中央部から図1に示すようなL断面が得られるよう切り出した試料を研磨し、ナイタール試薬を用いてこれをエッチングし、板厚中央部を光学顕微鏡を用いて200〜500倍の倍率で観察し、同定した。表4の欄「ミクロ組織」には、フェライト、ベイナイト、パーライトのうち、光学顕微鏡観察により確認できたものを記載することとした。フェライト、ベイナイト、パーライトのうち、二相が確認された場合は、二相のうち面積分率が少ない相の面積分率を表4中に記載することとした。介在物の評価方法は前述と同じである。
本発明に沿うものは、鋼番1〜12、鋼番18、鋼番20及び鋼番22である。これらの熱延鋼板は、所定量の鋼成分を含有し、更に{211}面のX線ランダム強度比が2.2以下であり、かつ介在物の圧延方向長さの総和Mが0.25mm/mm以下であることを特徴とし、穴広げ値の平均値λaveが80%以上であり、また穴広げ値の下限値λminも60%以上が得られており、更にはその大半が780MPaと優れた引張強度が得られている。
鋼番18、鋼番20及び鋼番22は、以下の理由によって本発明の好ましい範囲外である。鋼番18は、スラブ加熱温度が所定より低いため、引張強度が780MPaより低下してしまっている。鋼番20は、ランアウトテーブルでの冷却速度が所定より低いため、微細なTiCによる析出強化の効果が十分得られず、引張強度が780MPaより低下してしまっている。鋼番22は、巻き取り温度が所定より低いため、十分な析出強化が得られず、目的とする引張強度が得られていない。
上記以外の鋼番は、以下の理由によって本発明の範囲外である。鋼番13〜17は、製鋼工程における環流回数が小さいため、介在物の圧延方向長さの総和Mが2.2mm/mm超となっており、目的とする穴広げ値の平均値λave、下限値λmin及び標準偏差σが得られていない。鋼番19は、仕上げ圧延終了温度が所定より低いため、{211}面のX線ランダム強度比が所定より高くなっており、目的とする穴広げ値の平均値λave、下限値λminが得られていない。鋼番21は、巻き取り温度が所定より高いため、パーライト組織が現れており、目的とする穴広げ値の平均値λave、下限値λminが得られてない。鋼番23は、S量が所定より多いため、介在物の圧延方向長さの総和Mが所定以上となっており、目的とする穴広げ値の平均値λave、下限値λmin及び標準偏差σが得られていない。鋼番24は、Nb量が所定より多いため、{211}面のX線ランダム強度比が高くなっており、目的とする穴広げ値の平均値λave、下限値λminが得られていない。鋼番25は、Ti量が所定より低いため、目的とする引張強度が得られていない。また、鋼番25は、Ti量が所定より低いため、介在物の圧延方向長さの総和Mが所定以上となっており、目的とする穴広げ値の平均値λave、下限値λmin及び標準偏差σが得られていない。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C :0.02〜0.07%、
    Si:0.5〜2.0%、
    Mn:0.5〜1.5%、
    P :0.03%以下(但し、0%超)、
    S :0.005%以下(但し、0%超)、
    Al:0.005〜0.05%、
    N :0.005%以下(但し、0%超)、
    Ti:0.05〜0.2%、
    Ca:0.0005〜0.01%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板であって、
    そのミクロ組織がフェライト組織、ベイナイト組織又はこれらの混合組織からなり、
    圧延面と平行な{211}面のX線ランダム強度比が2.2以下であり、
    板幅方向を法線に持つ断面において、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm以下の間隔を空けて並んだ円相当径が3μm以上である介在物の集まりからなり、圧延方向長さが30μm以上の介在物群と、圧延方向の直線上に隣り合う他の介在物に対して50μm超の間隔を空け、円相当径が3μm以上であり、圧延方向長さが30μm以上に延伸されてなる介在物との断面1mm2当たりの圧延方向長さの総和が0.25mm以下であり、
    引張強度が780MPa以上であること
    を特徴とする穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板。
  2. 更に質量%で、
    Nb:0.05%以下(但し、0%超)、
    を含有すること
    を特徴とする請求項1に記載の穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板。
  3. 更に質量%で、
    Cu:1.0%以下(但し、0%超)、
    Cr:1.0%以下(但し、0%超)、
    Ni:1.0%以下(但し、0%超)、
    B :0.005%以下(但し、0%超)、
    のうち、何れか一種又は二種以上を含有すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板。
  4. 更に質量%で
    REM:0.0005〜0.01%
    を含有すること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の成分を含有する溶鋼を溶製するに際し、二次精錬装置で脱硫用フラックス添加後に溶鋼を3.0回以上環流させた後、当該溶鋼から得られた鋳片を1200℃以上に加熱した後、粗圧延を行い、次に行う仕上げ圧延を960℃以上の温度域で終了させ、その後、20℃/sec以上の冷却速度で400℃以上550℃以下の温度域まで冷却した後巻き取ること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  6. 請求項1〜4の何れか1項に記載の成分を含有する溶鋼を溶製するに際し、二次精錬装置で脱硫用フラックス添加後に溶鋼を3.0回以上環流させた後、当該溶鋼から得られた鋳片を1200℃以上に加熱した後、粗圧延を行い、次に行う仕上げ圧延を960℃以上の温度域で終了させ、その後、20℃/sec以上の冷却速度で冷却し、その冷却中に冷却速度を15℃/sec以下とした緩冷却を550℃以上650℃以下の温度範囲で2秒以上5秒以下行ない、その後に再度冷却速度を20℃/sec以上として400℃以上500℃以下の温度域まで冷却した後巻き取ること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
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