JP5353000B2 - ポリエステル樹脂の製造方法及び感圧式接着剤組成物 - Google Patents

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本発明は、各種被着体との接着性、耐熱性、耐湿熱性及び透明性に優れた感圧式接着剤組成物に使用することができるポリエステル樹脂に関するものであり、特に光学部材の積層に好適な前記ポリエステル樹脂を含む感圧式接着剤組成物及びそれを用いてなる積層体に関するものである。
近年のエレクトロニクスの飛躍的な進歩により、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、リアプロジェクションディスプレイ(RPJ)、ELディスプレイ、発光ダイオ−ドディスプレイなどの様々なフラットパネルディスプレイ(FPD)が、様々な分野で表示装置として使用されようになってきた。例えば、これらFPDは、パーソナルコンピューターのディスプレイや液晶テレビをはじめ屋内で使用されるばかりでなく、カーナビゲーション用ディスプレイ等のように車両に搭載して使用されたりする。
LCDを構成する液晶セル用部材には、偏光フィルムや位相差フィルムが積層されている。
又、これらの表示装置には、外部光源からの反射を防ぐための反射防止フィルムや、表示装置の表面の傷付き防止のための保護フィルム(プロテクトフィルム)などが使用されている。
更にFPDを表示装置として利用するだけではなく、それらの表面にタッチパネルの機能を設けて、入力装置としても利用されることがある。このタッチパネルにも、保護フィルム、反射防止フィルムやITO蒸着樹脂フィルムなどが使用されている。
前記表示装置に使用される種々のフィルムは、感圧式接着剤により被着体に貼着され、使用されている。表示装置に用いられるものであるから、感圧式接着剤は、まず透明性に優れることが要求されるので、アクリル系樹脂を主剤とする感圧式接着剤が一般に使用されている。
ところで、前記した種々のフィルムのうち偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系偏光子の両面をトリアセチルセルロース系やシクロオレフィン系の保護フィルムで挟んだ3層構造を呈する。各層を構成する材料の特性故に、そもそも熱や湿度によって、偏光フィルムは伸縮による顕著な寸法変化を生ずる。
又、近年では、光学部材の接着処理おいて、光を有効利用するという観点から、光学部材と被着体との間における屈折率差に基づく界面反射の抑制が求められ、光学部材の屈折率と被着体の屈折率との中間の屈折率を有する感圧接着剤層(以下、「接着剤層」と略す場合もある。)の使用が有利であることが知られている。ちなみに界面での屈折率差が大きいと全反射を生じる入射角が小さくなり、光の有効利用度を低下させる。
しかしながら従来のアクリル系樹脂を用いた接着剤層の屈折率は、1.46前後であるのに対して、光学部材を形成する材料の屈折率は、例えばガラスで1.52前後、メタクリル系樹脂で1.51前後、ポリカーボネート系樹脂で1.54前後、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂で1.60前後であるため、両者の屈折率の差が大きく、又、例えばガラスからなる光学部材とメタクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂、あるいはPET樹脂からなる光学部材とを接着する際に、前記した中間の屈折率を得ることもできない。
従って、偏光フィルムを液晶セル用のガラス部材に貼着するためのアクリル系感圧式接着剤は、偏光フィルム自体の寸法変化を抑えることや、接着剤層の屈折率をより高めることが求められる。
このために、感圧式接着剤層自体を硬くしたり、接着強さを大きくしたりすることによって、比較的小さい寸法の変化、あるいは比較的短期間の寸法の変化を抑制することはできる。又、芳香環含有の単量体を使用したり、芳香族化合物や硫黄原子を含む化合物、あるいは無機化合物を使用したりすることである程度の屈折率向上は可能である。
しかし、近年の液晶パネルの大画面化に伴い、偏光フィルムのサイズも大型化し、偏光フィルムの熱変形量が増大するようになった。従来の感圧式接着剤を使用した場合、接着剤層に残る貼着時の応力の緩和が十分ではないので、偏光フィルムのひずみに接着剤層が十分には追随できず、その結果、大型液晶パネルを高温に曝したり、高湿度に曝したりすると、偏光フィルムの変色や透明性の低下を引き起こしたり、偏光フィルムが大型液晶セルのガラス基板から剥がれたり、偏光フィルムに応力集中が生じ、大型液晶パネルに光漏れが生じたり、あるいは揮発性ガスを発生したりするという問題がある。
又、液晶パネルを長期にわたって使用する間にも偏光フィルムは寸法変化し、その応力が接着剤層に蓄積されることとなる。応力が接着剤層に蓄積され続けると、偏光フィルムと液晶セル用ガラス部材間の接着力の分布が不均一となる。そして、長期間の使用中に特に偏光フィルムの周縁部に応力が集中し、その結果液晶素子の周縁部が中央より明るかったり、あるいは暗くなったりするなどの液晶素子表面に色むら・白ヌケが発生する。
又、液晶セル用のガラス面に偏光フィルムを貼り付けて積層体とした後、検品工程において、積層工程でのエアーや粉塵の巻き込み等のあるものについては、ガラスセル面から偏光フィルム等を剥がして、もう一度新しい偏光フィルム等を貼り直すことが行われる。
しかし、貼着後一般に積層体は、接着性促進のために高温下で一定時間保管し、その後検査されるので、その間に剥離強度が高くなり過ぎ、偏光フィルム等を剥ぎ取り難いばかりでなく、剥がした後に糊残りが生じたりして、再剥離性が不十分である。
上記したように、液晶セル用のガラス部材に偏光フィルムを積層するために使用する感圧式接着剤には、良好な光学特性(透明性)、耐熱性及び耐湿熱性、良好な応力緩和性、屈折率の制御性、再剥離性等が求められる。そして、位相差フィルムや各種ディスプレイのカバーフィルムを積層するための感圧式接着剤にも同様の性能が求められる。
これら種々の要求に対して、従来、様々な感圧式接着剤が提案されてきた。
例えば、アクリル系樹脂を主剤とする種々の感圧式接着剤が知られている(特許文献1〜5参照)。
又、アクリル系樹脂にポリエステルやポリウレタンを併用する感圧式接着剤も知られている(特許文献6〜9参照)。
しかし、一般的にアクリル系樹脂と、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂とは相溶性が悪く、アクリル系樹脂に対し、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂を少量混合する程度であれば透明性をさほど損なうことはないが、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂を多く混合しようとすると、感圧式接着剤自体が白化したり、分離したりする。偏光フィルム等を液晶セル用のガラスに貼着するための感圧式接着剤には、極めて高度な透明性が要求される。そして、上記のような、相溶性の悪い感圧式接着剤を用いて偏光フィルム等を液晶セル用のガラスに貼着しようとしても、接着剤層に相分離や揺らぎが発生してしまうという問題点があった。
ところで、耐薬品性、加工性の良さから、繊維、塗料の他、食品包装用積層体形成用や金属板とプラスチックフィルムとの積層用をはじめとする感圧式接着剤以外の接着剤(以下、単に接着剤という)等の様々な技術分野では、従来からポリエステル系接着剤が使用されてきた。しかし、感圧式接着剤の技術分野では、ポリエステル系感圧式接着剤は講学上検討されたことはあったようであるが、実務上はほとんど検討されてなく、アクリル系感圧式接着剤がその大部分を占めていた。
感圧式接着剤は、感圧式接着シートを形成するために用いられる。
感圧式接着シートの基本的積層構成は、シート状基材/感圧式接着剤層/剥離シートのような片面感圧式接着シート、あるいは剥離シート/感圧式接着剤層/シート状基材/感圧式接着剤層/剥離シートのような両面感圧式接着粘着シートである。使用時に、剥離シートが剥がされ、感圧式接着剤層が被着体に貼付される。感圧式接着剤は、貼着の際被着体に感圧式接着剤層が触れるその瞬間に感圧式接着剤層がタックを有すのみならず、接着剤とは異なり、貼着中も完全に固化することなく、タックと適度な固さを有しつつ、貼着状態を維持するための凝集力を有することが必要である。凝集力は分子量に大きく依存する。
アクリル系樹脂は、付加重合により形成されるので、数十万以上の分子量のものを簡単に形成することができる。一方、ポリエステル系樹脂は重縮合により形成されるので、そのような高分子量のものを形成することは事実上無理である。ポリエステル系樹脂の場合、縮合と分解とが平衡状態に達してしまうと、分子量はもはやそれ以上大きくはならないからであり、反応条件を変え、さらに縮合を進めようとすると劣化との競合となるからである。
従って、タックを有しつつ、凝集力を発現するためには、分子量が比較的大きく、凝集力を発現しやすいアクリル系樹脂を主剤とし、その主剤に対して、比較的少量の硬化剤を用い、タックを発現させやすいアクリル系感圧式接着剤が好適であるといえる。一方、比較的分子量の小さいポリエステル系樹脂は、比較的多量の硬化剤でしっかり架橋させ、接着性能を発現するための接着剤に好適であるといえる。
又、ポリエステル系樹脂の原材料は、アクリル系樹脂の原材料に比して高価である。更に重縮合反応は逐次反応なので付加重合に比して、分子量を大きくするためには必然的に長時間を要する。その結果、ポリエステル系樹脂は、アクリル系樹脂に比して高価となる。
そこで、長年にわたり、ポリエステル系樹脂は接着剤に適用され、アクリル系樹脂は感圧式接着剤に適用されてきた。
しかし、感圧式接着シートの用いられる分野も多岐にわたり、要求レベルが上がったり、新たな要求が追加されたり、従来のアクリル系感圧式接着剤では種々の要求に十分応えられなくなりつつある。そこで、ポリエステル系樹脂の感圧式接着剤への適用が検討されるようになってきた。
例えば、ダイマー酸と、30mol%以上の側鎖にアルキル基を有するグリコール成分とから形成されるガラス転移温度(Tg)が−60〜0℃のポリエステル樹脂に種々の硬化剤を配合してなる感圧式接着剤が知られている(例えば、特許文献10参照)。しかし、エポキシ樹脂を硬化剤とする場合、その反応には比較的高温、長時間を要する。一方、硬化剤としてイソシアネート化合物を用いる実施例7、8は、主剤として無水トリメリット酸を構成成分とするポリエステル樹脂を用いるので、後述する特許文献12、13と同様の問題点があった。
又、側鎖にメチル基を有するグリコールとカルボン酸とのエステルをポリイソシアネートで連結した単位が繰り返されてなり、かつTgが−40℃以下の脂肪族ポリエステルからなる感圧式接着剤が知られている(例えば、特許文献11参照)。特許文献11に開示される感圧式接着剤は生分解性を目的とするものであり、脂肪族系ポリエステルの感圧式接着剤なので、タックも得やすく比較的柔軟な感圧式接着剤層を得ることができるが、耐熱性が不十分である。例えば、液晶セル用のガラス部材に偏光フィルムを積層するための感圧式接着剤として用いた場合には、貼着後高温下や高温高湿度下に長時間置くと、浮きや剥がれが生じる。
又、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分と、側鎖に炭化水素基を有するグリコールを含むジオール成分と、3価以上の多価アルコール及び/又は3価以上の多価カルボン酸を重縮合してなるポリエステル系樹脂であって、3価以上の多価アルコール及び/又は3価以上の多価カルボン酸由来の構造部位が、該ポリエステル系樹脂中に0.1〜5モル%含有するポリエステル系樹脂を含有してなることを特徴とする感圧式接着剤が知られている(例えば、特許文献12参照)。
又、芳香族ジカルボン酸10モル%以上50モル%未満を含むカルボン酸成分と、側鎖に炭化水素基を有するグリコール5モル%以上を含む多価アルコール成分とを重縮合してなり、かつ、数平均分子量が5000以上であるポリエスエテル系樹脂を含有してなることを特徴とする感圧式接着剤が知られている(例えば、特許文献13参照)。
特許文献12、13には、ポリエステル系樹脂を主剤とし、ポリエステル系樹脂中の水酸基及び/又はカルボキシル基と架橋剤との反応を利用し、感圧式接着剤層の凝集力を高める旨、開示されている。
架橋剤との反応を担う水酸基及び/又はカルボキシル基は、多官能のアルコールや多官能のカルボン酸成分を利用して導入されるものと参酌される。感圧式接着剤層の凝集力を大きくするためには、ポリエステル系樹脂中のこれら官能基を増やすことが必要と解される。しかし、多官能のアルコールや多官能のカルボン酸成分の水酸基やカルボン酸は、いずれも一級の官能基であるため、エステル化反応途中に部分凝集等の3次元化を引き起こし易く、ゲル化し易いため、高分子量とすることが困難である。従って、凝集力向上のための官能基を増やしたくても、なかなか増やせないので、期待したほど、感圧式接着剤層の溶剤不溶解分率(ゲル分率)が上げられず、凝集力を向上できない。
又、エステル化の際にゲル化しなかったとしてもポリエステル系樹脂中に残るこれら官能基は一級であるので、架橋剤との反応性に富む。従って、ポリエステル系樹脂に架橋剤を配合した場合、塗工可能な可使時間(ポットライフ)が短いので、作業性がかなり劣る。
更に、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムに適用した場合、形成された感圧式接着剤層に、部分凝集や密度の不均一さに伴う揺らぎ(光学干渉ムラ)が発生する。又貼着後、これら部分凝集等を起点として、発泡やズレ等の現象を引き起こすだけでなく、偏光フィルム等を剥がした後に糊残りが生じたりして、再剥離性が不十分であるため、光学フィルムを貼着するための感圧式接着剤には適さない。
特許文献14及び15にはジメチロールアルカン酸、ジメチロールアルキル酸を接着剤や感圧式接着剤に用いる例が開示されている。しかしながら、特許文献14では合成樹脂にジメチロールアルカン酸を添加したものであり、このような低分子量の酸を感圧式接着剤に添加した場合には耐湿性や耐熱性を損なう。又、特許文献15では脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオール、ジメチロールアルカン酸とを縮合反応させているが、このような脂肪族成分だけで構成された粘着剤では、耐湿性や耐熱性が劣る。
特開平01−066283号公報 特開平10−279907号公報 特開2002−121521号公報 特開2003−013029号公報 特開2002−014225号公報 特開2003−073646号公報 特開2004−002827号公報 特開2004−083648号公報 特開2002−053835号公報 特開平04−328186号公報 特開平11−021340号公報 特開2007−099879号公報 特開2007−045914号公報 特開2006−45336号公報 特開2007−191656号公報
本発明は、エステル化反応時の重合安定性に富み、架橋点として利用可能な官能基を多数含み、かつ高分子量のポリエステル樹脂を提供することを目的とし、更に、架橋剤を配合した場合にポットライフの長いポリエステル系感圧式接着剤であって、タック、基材との密着性、耐熱性、耐湿熱性及び透明性に優れる感圧式接着剤層を形成し得るポリエステル系感圧式接着剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に達した。
即ち、第1の発明は、芳香環及び/又は脂環構造を有する二塩基酸系成分(a1)を含む二塩基酸系成分(A)、
側鎖にアルキル基を有し、カルボキシル基を有しないジオール(b1)を含む、カルボキシル基を有しないジオール(B)、
及び一分子中に一級の水酸基2個と、二級または三級のカルボキシル基1個以上とを有するジオキシカルボン酸(C)の反応により得られる、ガラス転移温度が−80〜0℃のポリエステル樹脂の製造方法であって、
ポリエステル樹脂が、触媒の非存在下に脱水反応させ、次いで、触媒を加え、脱グリコール反応させてなるものであることを特徴とする、ポリエステル樹脂の製造方法に関する。
又、第2の発明は、ポリエステル樹脂が、芳香環及び/又は脂環構造を有する二塩基酸系成分(a1)由来の構造を5〜50mol%含有することを特徴とする第1の発明のポリエステル樹脂の製造方法に関する。
又、第3の発明は、ポリエステル樹脂が、側鎖にアルキル基を有し、カルボキシル基を有しないジオール(b1)由来の構造を5〜40mol%含有することを特徴とする第1又は2の発明のポリエステル樹脂の製造方法に関する。
又、第4の発明は、ポリエステル樹脂が、ジオキシカルボン酸(C)由来の構造を0.1〜10mol%含有することを特徴とする第1ないし3いずれかの発明のポリエステル樹脂の製造方法に関する。
又、第5の発明は、ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、2.0〜6.0であることを特徴とする第1ないし4いずれかの発明のポリエステル樹脂の製造方法に関する。
又、第6の発明は、ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、30,000〜1,000,000であることを特徴とする第1ないし5いずれかの発明のポリエステル樹脂の製造方法に関する。
又、第7の発明は、ポリエステル樹脂の酸価と水酸基価との合計が、0.1〜30mgKOH/gであることを特徴とする第1ないし6いずれかの発明のポリエステル樹脂の製造方法に関する。
又、第8の発明は、第1ないし7いずれかの発明のポリエステル樹脂の製造方法によって得られるポリエステル樹脂、及び該ポリエステル樹脂と反応し得る反応性化合物(E)を含有することを特徴とする感圧式接着剤組成物に関する。
又、第9の発明は、反応性化合物(E)が、多官能エポキシ化合物、多官能アジリジン化合物、多官能カルボジイミド化合物、多官能オキサゾリン化合物、多官能イソシアネート化合物、及び金属キレート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする第8の発明の感圧式接着剤組成物に関する。
又、第10の発明は、第8又は9の発明の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層上に光学部材が積層されてなる積層体に関する。
又、第11の発明は、液晶セル用ガラス部材、第8又は9の発明の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層、及び光学部材が順次積層されてなる液晶セル用部材に関する。
本発明により、架橋点として利用可能な官能基を多数含み、かつ高分子量のポリエステルを安定して再現性良く得ることができるようになり、得られたポリエステルからはポットライフの長いポリエステル系感圧式接着剤であって、タック、基材との密着性、耐熱性、耐湿熱性及び透明性に優れる感圧式接着剤層を形成し得るポリエステル系感圧式接着剤を得ることができるようになった。
本発明の、ガラス転移温度が−80〜0℃であるポリエステル樹脂は、芳香環及び/又は脂環構造を有する二塩基酸系成分(a1)を含む二塩基酸系成分(A)、側鎖にアルキル基を有し、カルボキシル基を有しないジオール(b1)を含む、カルボキシル基を有しないジオール(B)、及び一分子中に水酸基2個とカルボキシル基1個以上とを有するジオキシカルボン酸(C)を重縮合反応させることにより得ることができる。
本発明に用いられる二塩基酸系成分(A)としては、公知のジカルボン酸類やそれらの酸無水物類、更にジカルボン酸類や酸無水物類とメタノールやエタノール等のモノアルコールとのエステル化物類が挙げられるが、本発明は、二塩基酸系成分(A)の中に芳香環及び/又は脂環構造を有する二塩基酸系成分(a1)を含むことを特徴としている。芳香環及び/又は脂環構造を有する二塩基酸系成分(a1)としては、例えば、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ジメチルテレフタル酸、1,3−ジメチルイソフタル酸、5−スルホ−1,3−ジメチルイソフタル酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;
無水フタル酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物等の芳香族ジカルボン酸無水物類;
ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の脂環族ジカルボン酸類;
ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物等の脂環族ジカルボン酸無水物類などが挙げられる。
又、上記のような芳香族ジカルボン酸類や芳香族ジカルボン酸無水物類を低級アルコールによりエステル化した化合物、例えば炭素数1〜4のアルキルアルコールのエステル化物を用いることもできる。芳香族ジカルボン酸類や芳香族ジカルボン酸無水物類の低級アルコールによるエステル化物を用いる場合には、ジオール(B)やジオキシカルボン酸(C)と脱水縮合ではなく、脱アルコールによるエステル交換反応によって、エステル結合を生成する。
更に、芳香族トリカルボン酸無水物や芳香族テトラカルボン酸無水物をモノアルコールでハーフエステル化した化合物を芳香族ジカルボン酸として使用することができる。
芳香族トリカルボン酸無水物としては、例えば、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸無水物等が挙げられる。
モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、n−アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、イソオクタノール、ノナノール、デカノール、イソウンデカノール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の直鎖または分岐脂肪族アルコール類;
ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、フェネチルアルコール等の芳香脂肪族モノアルコール類;
シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環族モノアルコール類が挙げられる。
これら二塩基酸系成分(a1)は、単独で又は2種以上で用いることができる。これらの中でも、耐熱性、耐湿熱性の点から、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。
芳香環及び/又は脂環構造を有する二塩基酸系成分(a1)以外の二塩基酸系成分(A)としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、スベリン酸、マレイン酸、クロロマレイン酸、フマル酸、ドデカン二酸、ピメリン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸類;
無水コハク酸、メチル無水コハク酸物、2,2−ジメチル無水コハク酸、ブチル無水コハク酸、イソブチル無水コハク酸、ヘキシル無水コハク酸、オクチル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、フェニル無水コハク酸、無水グルタル酸、3−アリル無水グルタル酸、2,4−ジメチル無水グルタル酸、2,4−ジエチル無水グルタル酸、ブチル無水グルタル酸、ヘキシル無水グルタル酸、無水マレイン酸、2−メチル無水マレイン酸、2,3−ジメチル無水マレイン酸、ブチル無水マレイン酸、ペンチル無水マレイン酸、ヘキシル無水マレイン酸、オクチル無水マレイン酸、デシル無水マレイン酸、ドデシル無水マレイン酸、2,3−ジクロロ無水マレイン酸、フェニル無水マレイン酸、2,3−ジフェニル無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸、4−メチル無水フタル酸、ダイマー酸、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸、無水ヘッド酸、ビフェニルジカルボン酸無水物、無水ハイミック酸、エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、オクタヒドロ−1,3−ジオキソ−4,5−イソベンゾフランジカルボン酸無水物等の酸無水物類が挙げられる。
これらのジカルボン酸類、その酸無水物類、あるいはそれらのエステル化物類は、それぞれを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。場合によっては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸等の3官能以上のカルボン酸化合物やその無水物を併用することができる。
上記の二塩基酸系成分(A)は、芳香環及び/又は脂環構造を有する二塩基酸系成分(a1)を含むことが重要であり、本発明のポリエステル樹脂中に該二塩基酸系成分(a1)由来の構造を5〜50mol%含有することが好ましく、10〜35mol%含有することが、接着性、耐熱性、耐湿熱性および透明性に優れたポリエステル樹脂を得られるため、最も好ましい。二塩基酸系成分(a1)由来の構造が5mol%よりも少ないか、あるいは50mol%よりも多いと、得られるポリエステル樹脂の接着特性バランス(特に、タックと凝集力との両立)を確保することが困難である場合があり、又、耐熱性及び耐湿熱性が低下する場合がある。
次に本発明に使用するカルボキシル基を有しないジオール(B)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール(付加モル数10以下)、ポリオキシプロピレングリコール(付加モル数10以下)、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、3−ブチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール,トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、ダイマージオール等の脂肪族あるいは脂環族ジオール類;
1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、1,2−インダンジオール、1,3−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,7−ナフタレンジオール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンあるいはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させてなるビスフェノール類等の芳香族ジオール類等を挙げることができる。
これらのジオール(B)は、それぞれを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明におけるジオール(B)は、結晶化を抑制し、接着特性バランス(特に、タックと凝集力との両立)を確保するためには、側鎖にアルキル基を有し、カルボキシル基を有しないジオール(b1)を含有することが重要であり、本発明のポリエステル樹脂中にジオール(b1)由来の構造を5〜40mol%含有することが好ましい。ジオール(b1)由来の構造が5mol%よりも少ないか、あるいは40mol%よりも多いと、得られるポリエステル樹脂の接着特性バランス(特に、タックと凝集力との両立)を維持することが困難である場合があり、又、耐熱性及び耐湿熱性が低下する場合がある。
側鎖にアルキル基を有し、カルボキシル基を有しないジオール(b1)としては、特に限定されないが、上述したジオール(B)中、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、3−ブチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等があげられ、これらを単独で又は2種以上で用いることができる。
本発明に用いられる、一分子中に水酸基2個とカルボキシル基1個以上とを有するジオキシカルボン酸(C)としては、公知のオキシ酸を好ましく使用することができる。
本発明に用いられる、公知のジオキシカルボン酸(C)としては、例えば、ジヒドロキシフマル酸、ジヒドロキシマレイン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エタン酸(別名、ジメチロール酢酸)、2,3−ジヒドロキシプロパン酸(別名、グリセリン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(別名、2,2−ジメチロールプロピオン酸)、3,3−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(別名、3,3−ジメチロールプロピオン酸)、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロパン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(別名、ジメチロール酪酸)、2,2−ジヒドロキシブタン酸、2,3−ジヒドロキシブタン酸、2,4−ジヒドロキシブタン酸(別名、3−デオキシテトロン酸)、3,4−ジヒドロキシブタン酸、2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−エチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−イソプロピルブタン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−ブチルブタン酸、(R)−2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタン酸(別名、バントイン酸)、2,3−ジヒドロキシブタン二酸(別名、酒石酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタン酸(別名、ジメチロール吉草酸)、3,5−ジヒドロキシ−3−メチルペンタン酸(別名、メバロン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ヘキサン酸(別名、ジメチロールカプロン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ヘプタン酸(別名、ジメチロールエナント酸)、3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)オクタン酸(別名、ジメチロールカプリル酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ノナン酸(別名、ジメチロールベラルゴン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)デカン酸(別名、ジメチロールカプリン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ドデカン酸(別名、ジメチロールラウリン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)テトラデカン酸(別名、ジメチロールミリスチン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ペンタデカン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ヘキサデカン酸(別名、ジメチロールパルミチン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ヘプタデカン酸(別名、ジメチロールマルガリン酸)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)オクタデカン酸(別名、ジメチロールステアリン酸)、ジメチロールオレイン酸、ジメチロールリノール酸、ジメチロールリノレン酸、ジメチロールアラコドン酸、ジメチロールドコサヘキサエン酸、ジメチロールエイコサペンタエン酸等の脂肪族系ジオキシカルボン酸類;
2,3−ジヒドロキシ安息香酸(別名、o−ピロカテク酸)、2,4−ジヒドロキシ安息香酸(別名、β−レゾルシン酸)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(別名、ゲンチジン酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸(別名、γ−レゾルシン酸)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(別名、プロトカテク酸)、3,5−ジヒドロキシ安息香酸(別名、α−レゾルシン酸)、2,6−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸、2,4−ジヒドロキシ−6−メチル安息香酸(別名、o−オルセリン酸)、3,5−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸、2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸、2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシ安息香酸、2,4−ジ(ヒドロキシメチル)安息香酸、3,4−ジ(ヒドロキシメチル)安息香酸、4−ブロモ−3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−2,6−ジヒドロキシ安息香酸、5−クロロ−2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシ(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)酢酸(別名、バニルマンデル酸)、D,L−3,4−ジヒドロキシマンデル酸、2,5−ジヒドロキシフェニル酢酸(別名、ホモゲンチジン酸)、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸(別名、ホモプロトカテク酸)、3,4−(メチレンジオキシ)フェニル酢酸、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン酸(別名、ヒドロカフェー酸)、3−(2,4−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸(別名、ウンベル酸)、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アクリル酸(別名、カフェー酸)、4,4’−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、2,4−ジヒドロキシ桂皮酸、2,5−ジヒドロキシ桂皮酸、シンナミル−3,4−ジヒドロキシ―α―シアノ桂皮酸、2−ブロモ−4,5−メチレンジオキシ桂皮酸、3,4−メチレンジオキシ桂皮酸、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロ桂皮酸、2,6−ジヒドロキシイソニコチン酸、DL−3,4−ジヒドロキシマンデル酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、4,8−ジヒドロキシキノリン−2−カルボン酸(別名、キサンツレン酸)3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、2,4−ジヒドロキシピリミジン−5−カルボン酸、2,6−ジヒドロキシピリジン−4−カルボン酸(別名、シトラジン酸)、2,4−ジヒドロキシチアゾール−5−酢酸、2−(1−チエニル)エチル−3,4−ジヒドロキシベンジリデンシアノ酢酸、二プロピオン酸−6−エストラジオール、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼン二酢酸、(2R,3R)−2,3−ジヒドロキシ−3−(フェニルカルバモイル)プロピオン酸等の芳香環あるいはヘテロ環含有系ジオキシカルボン酸類等が挙げられる。
なお、芳香環を有する場合、2つの水酸基は芳香環に直結しないものが好ましい。
本発明に用いられる、公知のジオキシカルボン酸(C)は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ジオキシカルボン酸(C)は水酸基を2個有するので、前述のカルボキシル基を有しないジオール(B)と同様にOH成分として、二塩基酸系成分(A)と重縮合し、本発明のポリエステル樹脂を生成する。そして、ジオキシカルボン酸(C)由来のカルボキシル基がポリエステル樹脂の側鎖のカルボキシル基となる。
エステル化反応の際の活性に富むという点で、ジオキシカルボン酸(C)中の2個の水酸基は共に一級であることが好ましい。一方、ジオキシカルボン酸(C)がエステル化反応の際にCOOH成分として機能すると、反応の際に三次元反応し易く、ゲル化を生じ易かったり、ゲル化せずにポリエステル樹脂が得られても部分的に凝集しやすかったりする。そこで、エステル化反応の際にはジオキシカルボン酸(C)が、専らOH成分として機能し、COOH成分としては機能しないように、ジオキシカルボン酸(C)中のカルボキシル基は、二級又は三級であることが好ましい。エステル化反応の活性が低いので、二級又は三級のカルボキシル基を、ジオキシカルボン酸(C)は1分子中に1個以上有することができる。ただし、場合によっては、ジオキシカルボン酸(C)中のカルボキシル基の一部又は全部をエステル化反応させることにより分岐構造を有するポリエステル樹脂を得ることができる。この反応は、反応温度を上げる、触媒を添加する、減圧反応するなどの反応条件を調整することによって可能である。
ここで本発明のポリエステル樹脂の反応工程を詳細に説明する。まず、二塩基酸系成分(A)と、カルボキシル基を有しないジオール(B)と、ジオキシカルボン酸(C)とを所定の脱水反応によりエステル化反応を行い、中間体(d)を得る。この時点でジオキシカルボン酸(C)は、水酸基が主に反応し、カルボキシル基はほとんど反応しないで側鎖に残る。従って、中間体(d)は、直鎖状となり、分子量は比較的小さく、Mw/Mn比も小さなものとなる。中間体(d)を感圧式接着剤として使用してもその凝集力は弱く実用的ではない。次いで、中間体(d)を5トール以下の真空下で減圧反応を行うと、中間体(d)の両末端水酸基が脱グリコール反応によって外れて、更にエステル化反応することにより分子量が増大し、感圧式接着剤に必要な凝集力をもつポリエステル樹脂(D1)を得ることができる。ポリエステル樹脂(D1)は分子量が増大しても、その形状は直鎖状である。好ましくは、ここで減圧反応時の反応条件を調整することにより、水酸基の脱グリコール反応以外に、ジオキシカルボン酸(C)由来の側鎖カルボキシル基と、中間体(d)由来の水酸基とのエステル化反応を徐々に進行させ、分岐構造を有するポリエステル樹脂(D2)を得ることができる。分岐構造を形成することにより、Mw/Mn比が増大するとともに、末端の水酸基の数が増加し、架橋点として利用可能な官能基を増やすことが出来る。すなわち、ジオキシカルボン酸(C)を用いることにより、高分子量でありながら架橋性に富むポリエステルを得ることが出来る。なお、ポリエステル樹脂(D1)、(D2)いずれも本発明のポリエステル樹脂である。
一方、特許文献12、13に開示されているような多官能のアルコールや多官能のカルボン酸成分を用いた場合には、いずれも一級の官能基であるため脱水反応時にはすでに分岐構造をとり、これを減圧反応するとすべての水酸基が同時に脱グリコール反応するため、高分子量化の速度が非常に速く、ゲル化しやすい。従って、多官能のアルコールや多官能のカルボン酸を用いる場合には、比較的少量を用いて、分子量を大きくするか、比較的多量を用いて分子量を小さくする方法がとられる。この様に、特許文献12、13に開示されているような方法では、高分子量と架橋性の両方を満たすことが出来ない。
上記したように、二塩基酸系成分(A)と、カルボキシル基を有しないジオール(B)と、ジオキシカルボン酸(C)とを重縮合することにより、部分凝集し難く、均一性に富み、良好な流動性を呈するポリエステル樹脂を得ることができる。更にこのようなポリエステル樹脂に後述する反応性化合物(E)を配合した場合、硬化後に凝集力に富む感圧式接着剤層を形成し得るポットライフの比較的長い感圧式接着剤を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、ジオキシカルボン酸(C)由来の構造を0.1〜10mol%含有することが好ましい。即ち、側鎖に導入されるカルボキシル基の量、及び/又は分岐構造を導入した場合の水酸基の量は、ジオキシカルボン酸(C)由来の構造に依存する。側鎖に導入されたカルボキシル基、及び/又は分岐構造を導入した場合の水酸基の量は、後述の反応性化合物(E)と架橋し感圧式接着剤層を形成し、凝集力、接着性、耐熱性、耐湿熱性の向上に寄与する。しかし、ジオキシカルボン酸(C)によって導入されたカルボキシル基及び/又は水酸基が多すぎるとポットライフが短くなる。そこで、感圧式接着剤としてのポットライフと、感圧式接着剤層の性能とのバランスから、ジオキシカルボン酸(C)由来の構造は、ポリエステル樹脂中に0.1〜10mol%であることが好ましい。
二塩基酸系成分(A)、ジオール(B)及びジオキシカルボン酸(C)の重縮合反応により本発明のポリエステル樹脂を形成する際、無触媒でも反応は進行するが、反応をより円滑に進行させるため、触媒を適宜使用することもできる。用いる触媒としては、アンモニア、アミン類、4級アンモニウム塩類、4級ホスホニウム塩類、アルカリ金属水酸化物類、アルカリ土類金属水酸化物類、ルイス酸類、錫、鉛、チタン、鉄、亜鉛、ジルコニウム、コバルト等を含有した有機金属化合物類、金属ハロゲン化物類等が挙げられる。
アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、アニリン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピロリジン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、ジメチルオキサゾリン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等を挙げることができる。
4級アンモニウム塩類としては、例えば、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムフルオライドトリヒドレート、テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラメチルアンモニウムヒドロゲンフタレート、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイドペンタヒドレート、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムアイオダイド、テトラメチルアンモニウムニトレート、テトラメチルアンモニウムパークロレート、テトラメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラメチルアンモニウムトリブロマイド、フェニルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムフルオライドトリヒドレート、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムパークロレート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウム−p−トルエンスルホネート、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムパークロレート、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロゲンスルフェート、テトラ−n−プロピルアンモニウムパールテネート(VII)、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムトリブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムヒドロゲンサルフェート、テトラブチルアンモニウムニトレート、テトラブチルアンモニウムテトラヒドロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムシアノトリヒドロボレート、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルスタンネート、テトラブチルアンモニウムフルオライドトリヒドレート、テトラブチルアンモニウムテトラチオフェネート(IV)、テトラブチルアンモニウムフルオライドヒドレイト、テトラ−n−ブチルアンモニウムジヒドロゲントリフルオライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリブチルアンモニウムビス(2,3−ジメルカプト−2−ブテンジニロリレート−S,S’)ニコレート、テトラ−n−ヘプチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ヘプチルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ヘプチルアンモニウムアイオダイド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムベンゾエート、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムアイオダイド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムパークロレート、テトラオクチルアンモニウムブロマイド、テトラオクタデシルアンモニウムブロマイド等を挙げることができる。
4級ホスホニウム塩類としては、例えば、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラブチルホスホニウムビス(1,2−ベンゼンジチオレート)ニコレート(III)、テトラブチルホスホニウムビス(4−メチル−1,2−ベンゼンジチオレート)ニコレート(III)、テトラブチルホスホニウムビス(4,5−メルカプト−1,3−ジチオール−2−チオネート−S4、S5)ニコレート(III)等を挙げることができる。
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物類;
水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物類;
を挙げることができる。
有機錫化合物類としては、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等を挙げることができる。
有機ジルコニウム化合物類としては、例えば、酢酸ジルコニウム、安息香酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム等を挙げることができる。
有機チタン化合物類としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、テトラブトキシチタネート、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライド等を挙げることができる。
有機鉛化合物類としては、例えば、酢酸鉛、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などを挙げることができる。
有機鉄化合物類としては、例えば、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどを挙げることができる。
有機コバルト化合物類としては、例えば、酢酸コバルト、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト等を挙げることができる。
有機亜鉛化合物類としては、例えば、酢酸亜鉛、蓚酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛等を挙げることができる。
金属ハロゲン化物類としては、例えば、塩化第一錫、臭化第一錫、ヨウ化第一錫等を挙げることができる。
更には、三フッ化ホウ素、酢酸マンガン、酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化チタン等のルイス酸類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。触媒は一種のみを用いても、又は二種以上を併用しても良い。触媒の使用量としては、全反応成分100重量部に対して10重量部以下の量で用いる。0.0001〜1重量部の範囲がより好ましい。10重量部を超える量を用いると、生成物が着色したり、失活していない触媒が残存して負触媒として働き、分解反応を生じたりするという不都合を生じる。
本発明のポリエステル樹脂は、従来公知のポリエステルの反応方法に従って製造することができる。例えば、以下のような方法で得ることができる。
二塩基酸系成分(A)、ジオール(B)、及びジオキシカルボン酸(C)を160〜260℃、好ましくは180〜250℃で脱水反応やエステル交換反応を行い、その後、5Torr以下の減圧下状態で180〜280℃、好ましくは200〜260℃に加熱して脱グリコール反応を行い、冷却後、所定の不揮発分になるように、有機溶剤を加えて調整して作成する。
又、ジオキシカルボン酸(C)は、二塩基酸系成分(A)、ジオール(B)と一緒に最初から反応容器に仕込んでおいても良いし、二塩基酸系成分(A)とジオール(B)の脱水反応やエステル交換反応の後に加えて反応しても良い。
尚、重合温度が上記下限値未満では反応が充分に進行しない。一方重合温度が上限値をこえると分解等の副反応が起こったり、着色し易くなったりして好ましくない。又、反応時間は通常1〜60時間程度とすることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、感圧式接着剤層としてバランスの良い接着特性(特に、タックと凝集力との両立)を発揮し得るように、ガラス転移温度(Tg)が−80〜0℃となるように、二塩基酸系成分(A)、ジオール(B)、及びジオキシカルボン酸(C)の各成分を適宜選択すればよく、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)が−60〜−10℃となるように各成分を選択することがより好ましい。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度が−80℃未満の場合、該ポリエステル樹脂を用いて得られる感圧式接着剤層の凝集力が低下し、浮き剥がれが生じやすくなる。一方、ガラス転移温度が0℃を超えると、感圧式接着層が硬くなりすぎ、十分なタックを発現しなかったり、プラスチック同士やガラス板とプラスチックフィルムとを積層した場合には、接着強度が弱くなったりするだけでなく、溶媒への溶解性が低下し、又、感圧式接着剤の粘度が上昇するため、塗加工時の取り扱いが困難となり、好ましくない。
尚、ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量計)を用いて求めた値である。
本発明におけるポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、30,000〜1,000,000の範囲にあることが接着性の点で好ましく、50,000〜500,000の範囲にあることがより好ましい。このようなポリエステル樹脂を使用すると、密着性、濡れ性に優れる感圧式接着剤が得られる。Mwが30,000未満であると感圧式接着剤層としての凝集力を発現しにくくなったり、耐熱性や耐湿熱性が低下したりする。一方、Mwが1,000,000を超えると、溶剤で希釈しても感圧式接着剤の流動性が不良となって、感圧式接着シートを作製する際、塗工性が低下するので、好ましくない。
又、本発明におけるポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、2.0〜6.0の範囲にあることが好ましく、2.0〜4.0の範囲にあることがより好ましい。Mw/Mnが下限値未満であると、Mwの場合と同様、感圧式接着剤層としての凝集力を発現しにくくなり、耐熱性や耐湿熱性が低下する傾向にある。一方、上限値を超えると、溶剤で希釈しても感圧式接着剤の流動性が低下し、感圧式接着シートを作製する際、塗工性が低下するので、好ましくない。通常、感圧式接着剤の場合は、接着剤とは異なり、Mw/Mn比が2.0以上であることが好ましい。即ち、Mw/Mn比が大きく低分子量成分もある程度含有することによって、感圧式接着シートを作製する際、シート状基材に対する親和性(濡れ生)が向上し、基材密着性が向上する。更に、形成された感圧式接着シートを被着体に貼着する際、硬化状態にある感圧式接着剤層が低分子量成分由来の硬化した成分を含むことによって、感圧式接着剤層の被着体に対する付着性を向上することができる。
本発明におけるポリエステル樹脂の酸価と水酸基価との合計は、0.1〜30mgKOH/gの範囲に制御されていることが好ましく、0.5〜20mgKOH/gの範囲がより好ましい。酸価と水酸基価との合計が、0.1mgKOH/g未満であると、後述の反応性化合物(E)との反応点が少なくなり、形成される感圧式接着剤層の凝集力が不足しやすく、偏光フィルム等を剥ぎ取り難いばかりでなく、剥がした後に糊残りが生じたりして、再剥離性が不十分となる場合がある。又、酸価と水酸基価との合計が、30mgKOH/gを超えると、ポットライフが短くなり、塗加工時や接着加工時の作業性を著しく低下させるため好ましくない。
本発明の感圧式接着剤組成物は、上記ポリエステル樹脂と、当該ポリエステル樹脂と反応し得る反応性化合物(E)とを含有することを特徴とする。即ち、本発明に用いられる反応性化合物(E)とは、前記したポリエステル樹脂中の水酸基及び/又はカルボキシル基と反応しうる官能基を分子内に有する化合物である。反応性化合物(E)としては、主にポリエステル樹脂中の水酸基と反応しうる官能基を有する化合物(e1)と、主にポリエステル樹脂中のカルボキシル基と反応しうる官能基を有する化合物(e2)とが挙げられる。化合物(e1)としては、例えば、多官能イソシアネート化合物、多官能シラン化合物、多官能酸無水物、N−メチロール基含有化合物、及びメラミン化合物等が挙げられる。又、化合物(e2)としては、例えば、多官能エポキシ化合物、多官能アミン化合物、多官能アジリジン化合物、多官能カルボジイミド化合物、多官能オキサゾリン化合物、及び金属キレート化合物などが挙げられる。特にポリエステル樹脂の酸価が1〜30mgKOH/gである場合には、化合物(e2)を使用するのが好ましく、特にエポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、もしくは金属キレート化合物がより好ましく用いられる。又、ポリエステル樹脂の水酸基価が1mg〜30mgKOH/gである場合には、化合物(e1)を使用するのが好ましく、特に多官能イソシアネート化合物、もしくは多官能シラン化合物がより好ましい。これらは、架橋反応後の感圧式接着剤層の被着体への接着性やシート状基材に対する密着性に優れていることから好ましく用いられる。
更に反応性化合物(E)として、化合物(e1)と、化合物(e2)とを併用することも好ましい形態の一つである。
多官能エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1、3−ビス(N、N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
多官能アジリジン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1、3、5−トリアジン、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)ブチレート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−(2−メチル)アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)−2−メチルプロピオネート]、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラ[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ジフェニルメタン−4,4−ビス−N,N’−エチレンウレア、1,6−ヘキサメチレンビス−N,N’−エチレンウレア、2,4,6−(トリエチレンイミノ)−Syn−トリアジン、ビス[1−(2−エチル)アジリジニル]ベンゼン−1,3−カルボン酸アミド等が挙げられる。
多官能カルボジイミド化合物としては、例えば、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に2個以上有する化合物が好ましく用いられ、公知のポリカルボジイミドを用いることができる。
又、多官能カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドも使用できる。このような化合物としては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させたものが挙げられる。
ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートの内の一種、または、これらの混合物を使用することができる。
カルボジイミド化触媒としては、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、あるいはこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドを利用することができる。
このような多官能カルボジイミド化合物としては、例えば、日清紡績株式会社製のカルボジライトシリーズが挙げられる。その中でもカルボジライトV−01、03、05、07、09は有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
多官能オキサゾリン化合物としては、分子内にオキサゾリン基を2個以上有する化合物が好ましく用いられ、具体的には、2’−メチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−プロピレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−フェニレンビス−2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)等を挙げることができる。または、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンや、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリンなどのビニル系単量体と、これらのビニル系単量体と共重合しうる他の単量体との共重合体でもよい。
多官能イソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
又、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体や、イソシアヌレート環を有する3量体等も使用することができる。更には、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(PAPI)、ナフチレンジイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート変性物等を使用し得る。なおポリイソシアネート変性物としては、カルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、水と反応したビュレット基、イソシアヌレート基のうちのいずれかの基、又はこれらの基の2種以上を有する変性物を使用できる。又、ポリオールとジイソシアネートとの反応物も多官能イソシアネート化合物として使用することができる。
これら多官能イソシアネート化合物のうち、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート)、キシリレンジイソシネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(別名:水添MDI)等の無黄変型又は難黄変型のポリイシソアネート化合物を用いると耐候性、耐熱性あるいは耐湿熱性の点から、特に好ましい。
反応性化合物(E)として多官能イソシアネート化合物を使用する場合、反応促進のため、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。例えば三級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられ、単独でもあるいは複数を使用することもできる。
金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウムなどの多価金属がアセチルアセトンやアセト酢酸エチルに配位した化合物が挙げられる。
多官能シラン化合物としては、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどのメタクリロキシ基とアルキル基とアルコキシ基を2つ有するシラン化合物;
γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどのアクリロキシ基とアルキル基とアルコキシ基を2つ有するシラン化合物;
γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシメチルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリロキシアルキル基とアルコキシ基を3つ有するシラン化合物;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランなどのビニル基を有するアルコキシシラン;
5−ヘキセニルトリメトキシシラン、9−デセニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシランなどのアルキル基を有するアルコキシシラン;
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのアミノアルキル基とアルコキシ基とを有するシラン;
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、β−メルカプトメチルフェニルエチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、6−メルカプトヘキシルトリメトキシシラン、10−メルカプトデシルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有する化合物;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン;
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシラザン、ジフェニルジメトキシシラン、1, 3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、ビニルトリス( 2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
N−メチロール基含有化合物としては、アミノ樹脂、フェノール樹脂が挙げられ、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、フェノール、クレゾール類、ビスフェノール類等の化合物とホルムアルデヒドとの付加化合物又は、その部分縮合物が挙げられる。
多官能酸無水物は、カルボン酸無水物基を2つ以上有する化合物であり特に限定されるものではないが、テトラカルボン酸二無水物、ヘキサカルボン酸三無水物、ヘキサカルボン酸二無水物、無水マレイン酸共重合樹脂などが挙げられる。又、反応中に脱水反応を経由して無水物と成りうるポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハーフエステルなどは、本発明でいう多官能酸無水物に含まれる。
更に詳しく例示すると、テトラカルボン酸二無水物としては、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、新日本理化株式会社製「リカシッドTMTA−C」、「リカシッドMTA−10」、「リカシッドMTA−15」、「リカシッドTMEGシリーズ」、「リカシッドTDA」などが挙げられる。
これらの反応性化合物(E)は、単独で用いてもよいし、あるいは複数を使用することもできる。
本発明の感圧式接着剤組成物は、ポリエステル樹脂100重量部に対して、反応性化合物(E)を0.001〜20重量部含有することが好ましく、0.01〜10重量部含有することがより好ましい。反応性化合物(E)の使用量が、20重量部を越えると得られる感圧式接着剤組成物の接着性が低下傾向となり、樹脂層の凝集力が低く、繰り返し使用時での安定性や耐久性に劣り、好ましくない。又、0.001重量部未満では、十分な架橋構造が得られないため、凝集力が低下し、耐熱性、耐湿熱性が低下する傾向にあるため、好ましくない。
ポリエステル樹脂中の水酸基やカルボキシル基と反応性化合物(E)中の反応性官能基との反応により、樹脂組成物が三次元架橋し、各種基材や被着体との密着性を確保するだけでなく、従来よりも過酷な条件下における耐熱性及び耐湿熱性をも向上することができるため、光学部材用として好ましく使用することができる。
本発明の感圧式接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で有れば、各種樹脂、カップリング剤、軟化剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、タッキファイヤ、可塑剤、充填剤および老化防止剤等を配合しても良い。
本発明の感圧式接着剤組成物を使用して、接着剤層とシート状基材とからなる積層製品(以下、「接着シート」という。)を得ることができる。
例えば、種々のシート状基材に本発明の感圧式接着剤組成物を塗工、乾燥・硬化することによって接着シートを得ることができる。
感圧式接着剤組成物を塗工するに際し、適当な液状媒体、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、その他の炭化水素系溶媒等の有機溶媒を添加して、粘度を調整することもできるし、感圧式接着剤組成物を加熱して粘度を低下させることもできる。ただし、水酸基を含有する溶剤は用いることができない。
シート状基材としては、セロハン、各種プラスチックシート、ゴム、発泡体、布帛、ゴムびき布、樹脂含浸布、ガラス板、金属板、木材等の平坦な形状のものが挙げられる。又、各種基材は単独でも用いることもできるし、複数のものを積層してなる多層状態にあるものも用いることができる。更に表面を剥離処理したものを用いることもできる。
各種プラスチックシートとしては、各種プラスチックフィルムともいわれ、ポリビニルアルコールフィルムやトリアセチルセルロースフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂のフィルム、ポリカーボネート系樹脂のフィルム、ポリノルボルネン系樹脂のフィルム、ポリアリレート系樹脂のフィルム、アクリル系樹脂のフィルム、ポリフェニレンサルファイド樹脂のフィルム、ポリスチレン樹脂のフィルム、ビニル系樹脂のフィルム、ポリアミド系樹脂のフィルム、ポリイミド系樹脂のフィルム、エポキシ系樹脂のフィルムなどが挙げられる。
常法にしたがって適当な方法で上記シート状基材に感圧式接着剤組成物を塗工した後、感圧式接着剤組成物が有機溶媒や水等の液状媒体を含有する場合には、液状媒体を除去したり、感圧式接着剤組成物が揮発すべき液状媒体を含有しない場合は、溶融状態にある接着剤層を冷却して固化したりして、シート状基材の上に感圧式接着剤層を形成することができる。
感圧式接着剤層の厚さは、0.1μm〜200μmであることが好ましく、1μm〜100μmであることがより好ましい。0.1μm未満では十分な接着力が得られないことがあり、200μmを超えても接着力等の特性はそれ以上向上しない場合が多い。
本発明の感圧式接着剤組成物をシート状基材に塗工する方法としては、特に制限は無く、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等種々の塗工方法が挙げられる。
乾燥方法には特に制限はなく、熱風乾燥、赤外線や減圧法を利用したものが挙げられる。乾燥条件としては接着剤組成物の硬化形態、膜厚や選択した溶剤にもよるが、通常60〜180℃程度の熱風加熱でよい。
本発明の積層体は、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム等の種々の光学特性を持つ、いわゆるシート(前述の通り「フィルム」ともいう)状の光学部材に、本発明の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層が積層された状態のものである。感圧式接着剤層の他の面には、剥離処理されたシート状基材を積層することができる。
本発明の積層体は、(ア)剥離処理されたシート状基材の剥離処理面に感圧式接着剤組成物を塗工、乾燥し、シート状の光学部材を感圧式接着剤層の表面に積層したり、(イ)シート状の光学部材に感圧式接着剤組成物を塗工、乾燥し、感圧式接着剤層の表面に剥離処理されたシート状基材の剥離処理面を積層したりすることによって得ることができる。
このようにして得た積層体から感圧式接着剤層の表面を覆っていた剥離処理されたシート状基材を剥がし、例えば、感圧式接着剤層を液晶セル用ガラス部材に貼着することによって、「シート状の光学部材/感圧式接着剤層/液晶セル用ガラス部材」という構成の液晶セル部材を得ることができる。
本発明の感圧式接着剤は、ポリエステル樹脂で構成されているため、基材への密着性を向上させており、耐可塑剤性や低温接着性に優れ、発泡体の様な基材に対する密着性が必要とされる用途にも、好適に使用される。特に主鎖骨格に芳香環を含有させた場合、該感圧式接着剤組成物の乾燥及び/又は硬化後の屈折率は、1.45以上を維持することが可能である。光学部材用フィルムやガラス等の光学用部材に使用される材料の屈折率は、先に述べたように、1.50〜1.58程度のものであり、感圧式接着剤組成物を乾燥及び/又は硬化させた後の屈折率が1.45未満であると光学フィルムや光学用部材との屈折率差が大きくなる。そのため、例えば、該感圧式接着剤組成物から得られる接着剤層が光学フィルムの一種であるフィルム導光板上に設けられた場合、浅い角度で全反射が起こり、光の有効的な利用性が低下する場合がある。又、光学フィルムや光学用部材との屈折率差を低減するために、本発明の感圧式接着剤組成物の乾燥及び/又は硬化後の屈折率が1.49〜1.60の範囲で制御できることも重要である。特に1.50〜1.55の範囲で制御が可能である。
以下に、この発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定されない。又、下記実施例および比較例中、「部」及び「%」は、特にことわらない限りそれぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
[ポリエステル樹脂の合成]
(合成例1)
重合槽、攪拌機、温度計、水分離装置、還流冷却器、窒素導入管を備えた重合反応装置の重合槽及び滴下装置に、二塩基酸系成分(A)、ジオール(B)、及びジオキシカルボン酸(C)をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
セバシン酸(A) 40.4部
イソフタル酸(a1) 49.8部
1,4−ブタンジオール(B) 14.8部
1,6−ヘキサンジオール(B) 13.0部
ネオペンチルグリコール(b1) 22.9部
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(C) 8.1部
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下、160℃に昇温した。160℃で脱水を確認した後、約8時間かけて徐々に240℃まで昇温して脱水反応を行った。次いで、酸価が15以下になったら150℃まで温度を下げて、触媒としてテトラブチルチタネート0.02部を加えて、昇温しながら徐々に減圧し、3〜5トール、240℃で5時間反応を行い、所定の分子量になったら、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して反応を終了した。この反応溶液は淡黄色透明で不揮発分50.1%、粘度4,000mPa・sであり、ポリエステル樹脂の酸価5.5mgKOH/g、水酸基価1.2mgKOH/g、ガラス転移温度−40℃、重量平均分子量(Mw)80,000、Mw/Mn=2.96であった。
(合成例2)
重合槽、攪拌機、温度計、水分離装置、還流冷却器、窒素導入管を備えた重合反応装置の重合槽及び滴下装置に、二塩基酸系成分(A)、及びジオール(B)をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
セバシン酸(A) 40.4部
イソフタル酸(a1) 49.8部
1,4−ブタンジオール(B) 14.8部
1,6−ヘキサンジオール(B) 13.0部
ネオペンチルグリコール(b1) 22.9部
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、合成例1と同様に脱水反応を行った。次いで、酸価が15以下になったら、徐々に冷却して、更に150℃になったら、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(C)8.1部を加え、触媒としてテトラブチルチタネート0.02部を加えて、240℃まで昇温しながら、徐々に減圧し、3〜5トール、240℃で5時間反応を行った。所定の分子量になったら、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して反応を終了した。
この反応溶液は淡黄色透明で不揮発分50.2%、粘度4,100mPa・sであり、ポリエステル樹脂の酸価5.2mgKOH/g、水酸基価1.5mgKOH/g、ガラス転移温度−40℃、重量平均分子量(Mw)76,000、Mw/Mn=3.04であった。
(合成例4)
合成例1において用いた(A)、(B)、及び(C)の代わりに、下記の比率とした以外は合成例1と同様にして反応した。
[重合槽]
ダイマー酸(A) 84.0部
ジメチルテレフタル酸(a1) 29.1部
ジメチルイソフタル酸(a1) 34.9部
エチレングリコール(B) 18.6部
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(b1) 48.0部
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(C) 8.1部
冷却後、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、褐色透明で不揮発分49.6%、粘度3,200mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価6.2mgKOH/g、水酸基価2.3mgKOH/g、ガラス転移温度−20℃、重量平均分子量(Mw)65,000、Mw/Mn=2.71であった。
(合成例5)
合成例1において(b1)として用いたネオペンチルグリコールの代わりに、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを38.0部用いた以外は合成例1と同様に反応し、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、淡黄色透明で不揮発分50.0%、粘度4,500mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価5.9mgKOH/g、水酸基価2.2mgKOH/g、ガラス転移温度−45℃、重量平均分子量(Mw)85,000、Mw/Mn=3.40であった。
(合成例6)
合成例1において(C)として用いた2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸の代わりに、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸を7.4部用いた以外は合成例1と同様に反応し、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、淡黄色透明で不揮発分50.2%、粘度4,200mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価5.6mgKOH/g、水酸基価2.1mgKOH/g、ガラス転移温度−35℃、重量平均分子量(Mw)75,000、Mw/Mn=3.41であった。
(合成例7)
合成例1において(C)として用いた2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸の代わりに、2,4−ジ(ヒドロキシメチル)安息香酸を11.1部用いた以外は合成例1と同様に反応し、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、淡黄色透明で不揮発分50.2%、粘度4,800mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価4.7mgKOH/g、水酸基価1.8mgKOH/g、ガラス転移温度−35℃、重量平均分子量(Mw)75,000、Mw/Mn=3.00であった。
(合成例8)
合成例1において用いた(A)として用いたセバシン酸の量を30.3部に変更し、又(C)として使用した2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸を使用せず、新たに無水トリメリット酸9.5部を用いた以外は合成例1と同様に反応したが、減圧反応の際に急激に増粘し、ゲル化したため反応を中止した。
(合成例9)
合成例1において用いた(A)として用いたセバシン酸の量を39.4部に変更し、又(C)として使用した2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸を使用せず、新たに無水トリメリット酸1.9部を用いて仕込んだ。
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下、160℃に昇温した。160℃で脱水を確認した後、約8時間かけて徐々に240℃まで昇温して脱水反応を行った。次いで、酸価が15以下になったら150℃まで温度を下げて、触媒としてテトラブチルチタネート0.008部を加えて、昇温しながら徐々に減圧し、5トール、240℃で3時間反応を行い、所定の分子量になったら、反応を終了した。
冷却後、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、淡黄色透明で不揮発分54.8%、粘度4,300mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価8.4mgKOH/g、水酸基価4.8mgKOH/g、ガラス転移温度−35℃、重量平均分子量(Mw)43,000、Mw/Mn=1.88であった。
(合成例10)
合成例1において(a1)として用いたイソフタル酸を用いずに、二塩基酸系成分(A)としてセバシン酸を40.4部、及びアジピン酸を43.8部用いた以外は合成例1と同様に反応し、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、淡黄色透明で不揮発分50.0%、粘度3,200mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価5.5mgKOH/g、水酸基価1.2mgKOH/g、ガラス転移温度−45℃、重量平均分子量(Mw)60,000、Mw/Mn=3.00であった。
(合成例11)
合成例1において(b1)として用いたネオペンチルグリコールを用いずに、ジオール(B)として、1,4−ブタンジオールを13.9部、1,6−ヘキサンジオールを18.2部、及び1,8−オクタンジオールを29.2部用いた以外は合成例1と同様に反応し、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、淡黄色透明で不揮発分50.1%、粘度3,700mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価6.2mgKOH/g、水酸基価1.3mgKOH/g、ガラス転移温度−45℃、重量平均分子量(Mw)72,000、Mw/Mn=3.43であった。
(合成例12)
合成例1において用いた(A)、(B)、及び(C)の代わりに、下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
セバシン酸(A) 46.4部
イソフタル酸(a1) 43.0部
1,4−ブタンジオール(B) 10.7部
1,6−ヘキサンジオール(B) 14.0部
2−メチル−1,3−プロパンジオール(b1) 15.5部
2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール(b1)19.2部
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(C) 1.2部
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下、160℃に昇温した。160℃で脱水を確認した後、約8時間かけて徐々に240℃まで昇温して脱水反応を行った。次いで、酸価が15以下になったら150℃まで温度を下げて、触媒としてテトラブチルチタネート0.04部を加えて、昇温しながら徐々に減圧し、1〜3トール、260℃で5時間反応を行い、所定の分子量になったら、反応を終了した。
冷却後、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、褐色透明で不揮発分44.3%、粘度4,400mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価0.9mgKOH/g、水酸基価4.3mgKOH/g、ガラス転移温度−27℃、重量平均分子量(Mw)127,000、Mw/Mn=3.26であった。
(合成例13)
合成例12において用いた(A)、(B)、及び(C)の代わりに、下記の比率とした以外は合成例12と同様にして反応した。
[重合槽]
セバシン酸(A) 46.2部
イソフタル酸(a1) 42.8部
1,4−ブタンジオール(B) 10.6部
1,6−ヘキサンジオール(B) 13.9部
2−メチル−1,3−プロパンジオール(b1) 15.4部
2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール(b1) 18.8部
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(C) 2.4部
冷却後、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、褐色透明で不揮発分45.0%、粘度4,600mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価1.8mgKOH/g、水酸基価3.8mgKOH/g、ガラス転移温度−27℃、重量平均分子量(Mw)119,000、Mw/Mn=3.40であった。
(合成例14)
合成例12において用いた(A)、(B)、及び(C)の代わりに、下記の比率とした以外は合成例12と同様にして反応した。
[重合槽]
セバシン酸(A) 46.2部
イソフタル酸(a1) 42.8部
1,4−ブタンジオール(B) 9.6部
1,6−ヘキサンジオール(B) 13.3部
2−メチル−1,3−プロパンジオール(b1) 15.4部
2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール(b1) 18.8部
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(C) 4.0部
冷却後、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、褐色透明で不揮発分44.2%、粘度4,800mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価2.8mgKOH/g、水酸基価2.5mgKOH/g、ガラス転移温度−27℃、重量平均分子量(Mw)122,000、Mw/Mn=3.70であった。
(合成例15)
合成例12において用いた(A)、(B)、及び(C)の代わりに、下記の比率とした以外は合成例12と同様にして反応した。
[重合槽]
セバシン酸(A) 29.3部
ダイマー酸(A) 84.2部
1,4−ブタンジオール(B) 5.8部
1,6−ヘキサンジオール(B) 7.9部
2−メチル−1,3−プロパンジオール(b1) 9.2部
2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール(b1) 11.2部
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(C) 2.4部
冷却後、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、褐色透明で不揮発分44.8%、粘度4,300mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価2.2mgKOH/g、水酸基価2.8mgKOH/g、ガラス転移温度−50℃、重量平均分子量(Mw)124,000、Mw/Mn=3.35であった。
(合成例16)
合成例12において用いた(A)、(B)、及び(C)の代わりに、下記の比率とした以外は合成例12と同様にして反応した。
[重合槽]
セバシン酸(A) 46.3部
イソフタル酸(a1) 43.0部
1,4−ブタンジオール(B) 10.6部
1,6−ヘキサンジオール(B) 14.6部
2−メチル−1,3−プロパンジオール(b1) 15.5部
2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール(b1) 19.8部
冷却後、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、褐色透明で不揮発分53.6%、粘度4,200mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価0.7mgKOH/g、水酸基価4.5mgKOH/g、ガラス転移温度−27℃、重量平均分子量(Mw)63,000、Mw/Mn=1.58であった。
(合成例17)
合成例1において用いた(A)、(B)、及び(C)の代わりに、下記の比率とした以外は合成例1と同様にして反応した。
[重合槽]
セバシン酸(A) 46.5部
イソフタル酸(a1) 43.1部
1,4−ブタンジオール(B) 10.7部
1,6−ヘキサンジオール(B) 14.3部
2−メチル−1,3−プロパンジオール(b1) 15.5部
2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール(b1)19.4部
トリメチロールプロパン 0.5部
冷却後、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、褐色透明で不揮発分55.6%、粘度4,400mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価3.4mgKOH/g、水酸基価6.3mgKOH/g、ガラス転移温度−30℃、重量平均分子量(Mw)73,000、Mw/Mn=1.83であった。
(合成例18)
合成例1において用いた(A)、(B)、及び(C)の代わりに、下記の比率で仕込んだ。
[重合槽]
セバシン酸(A) 46.8部
イソフタル酸(a1) 43.3部
1,4−ブタンジオール(B) 10.2部
1,6−ヘキサンジオール(B) 13.4部
2−メチル−1,3−プロパンジオール(b1) 15.6部
2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール(b1)18.2部
トリメチロールプロパン 2.4部
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下、160℃に昇温した。160℃で脱水を確認した後、約8時間かけて徐々に240℃まで昇温して脱水反応を行った。次いで、酸価が15以下になったら150℃まで温度を下げて、触媒としてテトラブチルチタネート0.008部を加えて、昇温しながら徐々に減圧し、5トール、240℃で3時間反応を行い、所定の分子量になったら、反応を終了した。
冷却後、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、褐色透明で不揮発分62.2%、粘度4,200mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価8.4mgKOH/g、水酸基価11.4mgKOH/g、ガラス転移温度−31℃、重量平均分子量(Mw)32,000、Mw/Mn=1.81であった。
(合成例19)
合成例18と同じ組成で仕込んだ。
重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下、160℃に昇温した。160℃で脱水を確認した後、約8時間かけて徐々に240℃まで昇温して脱水反応を行った。次いで、酸価が15以下になったら150℃まで温度を下げて、触媒としてテトラブチルチタネート0.008部を加えて、昇温しながら徐々に減圧し、3トール、240℃で5時間反応を行い、反応を終了した。
冷却後、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して、褐色透明で不揮発分28.2%、粘度4,800mPa・sのポリエステル樹脂の溶液を得た。ポリエステル樹脂の酸価0.9mgKOH/g、水酸基価3.5mgKOH/g、ガラス転移温度−27℃、重量平均分子量(Mw)186,000、Mw/Mn=7.62であった。
合成例1〜19より得られた各樹脂溶液につき、溶液の外観、不揮発分(TS)、ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg)、酸価(AV)及び水酸基価(OHV)を以下の方法に従って求め、結果を表1に示した。又、1H−NMR、13C−NMR(いずれも日本電子社製:ECX−400)及び誘導体化法を用いた熱分解GC−MS(日本電子社製:DX303HF)により求めた、各ポリエステル樹脂に含まれる各成分由来の構造部位の含有量(mol%)を表2に示す。
<溶液外観>
各樹脂溶液の外観を目視にて評価した。
<不揮発分(TS)の測定>
各樹脂溶液約1gを金属容器に秤量し、150℃オーブンにて20分間乾燥して、残分を秤量して残率計算をし、不揮発分濃度(固形分)とした(単位:%)。
<溶液粘度(Vis)の測定>
各樹脂溶液を25℃中でB型粘度計(東京計器社製)にて、12rpm、1分間回転の条件で測定した(単位:mPa・s)。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
Mwの測定は東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。
GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との決定はポリスチレン換算で行った。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ロボットDSC(示差走査熱量計)「RDC220」(セイコーインスツルメンツ社製)に「SSC5200ディスクステーション」(セイコーインスツルメンツ社製)を接続して測定した。
アルミニウムパンに試料約10mgを秤量してDSC装置にセットし(リファレンス:試料を入れていない同タイプのアルミニウムパンとした。)、300℃の温度で5分間加熱した後、液体窒素を用いて−120℃まで急冷処理した。その後10℃/分で昇温し、得られたDSCチャートからガラス転移温度(Tg)を算出した(単位:℃)。
<酸価(AV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(ポリエステル樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。溶液が淡紅色を呈し、30秒間保持するまで滴定を続けた。酸価は次式により求めた。酸価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)={(5.61×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<水酸基価(OHV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(ポリエステル樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。溶液が淡紅色を呈し、30秒間持続するまで滴定を続けた。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.05}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
Figure 0005353000
Figure 0005353000
(実施例1)
合成例1で得られたポリエステル樹脂溶液を不揮発分換算で50重量部に対して、トルエン25部を加え、更に反応性化合物(E)として、HBAP(2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート])0.25重量部を加えてよく撹拌して、本発明の感圧式接着剤組成物を得た。これを剥離処理されたポリエステルフィルム(以下、「剥離フィルム」という。)上に乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、100℃で2分間乾燥させ、接着剤層を形成した。
乾燥後、接着剤層に、ポリビニルアルコール(PVA)系偏光子の両面をトリアセチルセルロース系保護フィルム(以下、「TACフィルム」という)で挟んだ多層構造の偏光フィルムの片面を貼り合せ、「剥離フィルム/接着剤層/TACフィルム/PVA/TACフィルム」なる構成の積層体を得た。
次いで、得られた積層体を温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成(暗反応)させて、接着剤層の反応を進行させ、接着加工した偏光板(積層体)を得た。
(比較例1)
合成例1で得られた樹脂溶液の代わりに、合成例9で得られた樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接着加工した偏光板を作製しようとしたが、塗工することはできたものの、塗工面に若干揺らぎが発生した。
(比較例2、3)
合成例1で得られた樹脂溶液の代わりに、合成例10、11で得られた樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接着加工した偏光板を作製した。
(実施例2〜7)
合成例1樹脂溶液の代わりに、合成例2〜7で得られた樹脂溶液をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、接着加工した偏光板を作製した。
(実施例8、9)
実施例1で使用した反応性化合物(E)であるHBAPの代わりに、TGMXDA(N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン)(実施例8)、カルボジイミド化合物である「カルボジライトV−05」(日清紡績株式会社製)(実施例9)を、それぞれ0.25重量部使用したこと以外は実施例1と同様にして感圧式接着剤組成物を得た。これらを用いて実施例1と同様にして、接着加工した偏光板を作製した。
(比較例4、5)
実施例8、9で使用した合成例1の樹脂溶液の代わりに合成例9で得られた樹脂溶液をそれぞれ用いたこと以外はそれぞれ実施例8、9と同様にして、接着加工した偏光板を作製した。その際表面に若干の揺らぎが発生した。
(実施例10)
合成例1で得られたポリエステル樹脂溶液を不揮発分換算で50重量部に対して、イソプロピルアルコール(IPA)25部を加え、更に反応性化合物(E)として、Alキレート[アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)]0.25重量部を加えてよく撹拌して、本発明の感圧式接着剤組成物を得た。これを用いて実施例1と同様にして、接着加工した偏光板を作製した。
(比較例6)
実施例10で使用した合成例1の樹脂溶液の代わりに合成例9で得られた樹脂溶液を用いたこと以外は実施例10と同様にして、接着加工した偏光板を作製した。その際表面に若干の揺らぎが発生した。
(実施例11)
合成例12で得られたポリエステル樹脂溶液を不揮発分換算で50重量部に対して、トルエン25部を加え、更にポリイソシアネート化合物であるトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体を1.0重量部加えてよく撹拌し、本発明の感圧式接着剤組成物を得た。これを用いて実施例1と同様にして、接着加工した偏光板を作製した。
(実施例12、13)
実施例11のポリエステル樹脂溶液を合成例13及び14で合成したポリエステル樹脂溶液に置き換えた以外は、実施例11と同様の方法で本発明の感圧式接着剤組成物を得た。これを用いて実施例1と同様にして、接着加工した偏光板を作製した。
(比較例7)
実施例11で使用した合成例12の樹脂溶液の代わりに合成例15で得られた樹脂溶 液を用いたこと以外は実施例11と同様にして、接着加工した偏光板を作製した。
(比較例8)
実施例1で使用した合成例1の樹脂溶液の代わりに合成例16で得られた樹脂溶液を 用い、合成例16で得られたポリエステル樹脂溶液を不揮発分換算で50重量部に対し て、トルエン25部を加え、更に反応性化合物(E)として、HBAP(2,2’−ビ スヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]) 0.25重量部とDMBA(2,2'−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸)1.0重 量部を加えてよく撹拌して、感圧式接着剤組成物を得た。この接着剤組成物を用いて実 施例1と同様にして、接着加工した偏光板を作製した。
(比較例9〜11)
実施例11で使用した合成例12のポリエステル樹脂溶液の代わりに、それぞれ合成例17、18、19で得られたポリエステル樹脂溶液を用いたこと以外は、実施例11と同様にして、接着加工した偏光板を作製した。
実施例および比較例で得られた感圧式接着剤組成物のポットライフ及び塗加工性について以下の方法で評価した。結果を表3に示す。
<ポットライフの評価方法>
各実施例および比較例で得られた感圧式接着剤組成物について、25℃で1時間おきに10時間までB型粘度計(東京計器社製)にて、12rpm、1分間回転の条件で粘度を測定し、可使時間(ポットライフ)を3段階で評価した。
○:「全く問題がない。8時間までの粘度上昇率が2倍未満。」
△:「若干粘度上昇が認められ、5時間までの粘度上昇率が2倍未満。」
×:「急激な粘度上昇が認められ、5時間未満でゲル化。実用上問題あり。」
<塗加工性の評価方法>
各実施例、比較例で得られた感圧式接着剤組成物を、剥離処理されたポリエステルフィルムにコンマコーターにて速度2m/minで、乾燥後の厚さが25μmとなるように塗工し、100℃オーブンにて乾燥させ、厚さ50μmのポリエステルフィルムを貼り合わせて積層させ、感圧式接着シートを作製した。その塗工面の状態について目視にて観察し、3段階で評価した。
○:「全く問題がない。」
△:「塗工面の端部に若干のハジキや発泡が認められるが、実用上問題無し。」
×:「塗工面にハジキ、発泡やスジ引きが認められ、実用上問題あり。」
実施例および比較例で得られた感圧式接着剤組成物ないしは接着加工した偏光板(積層体)について、塗膜の屈折率、耐熱性、耐湿熱性、光学特性、および再剥離性を以下の方法で評価した。結果を表3に示す。
<塗膜の屈折率の評価方法>
実施例および比較例で得られた感圧式接着剤組成物を剥離フィルム上に塗工し、120℃のオーブンにて乾燥して、厚さ25μmの感圧式接着剤層を設けた後、ポリエステルフィルムを貼り合わせて積層させ、感圧式接着シートを作製した。
その後、アッベ屈折率計「DR−M2」[ATAGO社製]にて、25℃雰囲気下、ナトリウムD線を照射して、接着シート上の接着剤層の屈折率を測定した。
<光学特性の評価方法>
各実施例、比較例で得られた感圧式接着剤組成物を、剥離処理されたポリエステルフィルムに塗工して乾燥させ、厚さ25μmの感圧式接着剤層を設けた後に、更に剥離処理されたポリエステルフィルムを貼り合わせた。この剥離処理されたポリエステルフィルムに挟持された感圧式接着剤層を温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成させた後、両方の剥離処理ポリエステルフィルムを取り除き、感圧式接着剤層単体の外観を目視判定するとともに、HAZEを「NDH−300A」[日本電色工業(株)社製]で測定した。
○:「実用上全く問題がない。HAZE:1未満。」
△:「曇り等は認められない、かつHAZE:1以上3未満。」
×:「若干曇りが認められる、光学干渉ムラが認められる、またはHAZE:3以上。実用上問題がある。」
<耐熱性、耐湿熱性の評価方法>
接着加工した偏光板(積層体)を150mm×80mmの大きさに裁断し、剥離フィルムを剥がし、厚さ1.1mmのフロートガラス板の両面に、それぞれの偏光板の吸収軸が直交するようにラミネーターを用いて貼着した。続いて、この偏光板が貼り付けられたガラス板を50℃−5気圧の条件のオートクレーブ内に20分保持させて、偏光板をガラス板に強固に密着させ、偏光板とガラス板との積層物を得た。
耐熱性の評価として、上記積層物を120℃で1000時間放置した後の浮きハガレ、および積層物に光を透過させたときの光漏れ(白抜け)を目視で観察した。
また、耐湿熱性の評価として、上記積層物を80℃、相対湿度90%で1000時間放置した後の浮きハガレ、および積層物に光を透過させたときの光漏れ(白抜け)を目視で観察した。
耐熱性、耐湿熱性について、下記の3段階の評価基準に基づいて評価をおこなった。
○:「浮きハガレ・白ぬけが全く認められず、実用上全く問題なし。」
△:「若干浮きハガレ・白ぬけが認められるが、実用上問題がない」
×:「全面的に浮きハガレ・白ぬけがあり、実用不可である」
をそれぞれ意味する。
<再剥離性(リワーク性)の評価方法>
接着加工した偏光板(積層体)を25mm×150mmの大きさに裁断し、剥離フィルムを剥がし、厚さ1.1mmのフロートガラス板にラミネーターを用いて貼り付け、50℃5気圧の条件のオートクレーブ内に20分保持させて、偏光板をガラス板に強固に密着させた。この試験片を23℃、相対湿度50%で1週間放置した後に、180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験を実施し、剥離後のガラス表面の曇りを目視で観察し、3段階で評価した。
○:「曇りがなく、実用上全く問題がない」
△:「若干曇りが認められるが、実用上問題ない」
×:「全面的に接着剤層の転着が認められ、実用不可である」
をそれぞれ意味する。
Figure 0005353000
以上のように、本発明の感圧式接着剤組成物は、塗加工性、耐熱性、耐湿熱性、光学特性、再剥離性、及び屈折率の制御性に優れていることが分かる。
これに対して、無水トリメリット酸を使用する合成例9はポリエステル樹脂の重合安定性が良好ではなく、不均一部分を含有するためか比較例1、4、5、6の感圧式接着剤組成物は、塗工することはできたものの、光学特性が良くないことが分かる。又、ほとんどの構成成分が脂肪族系成分である合成例10のポリエステル樹脂を含有する比較例2や、合成例15のポリエステルを含有する比較例7、側鎖にアルキル基を有するジオールを構成成分とはしない合成例11のポリエステル樹脂を含有する比較例3の感圧式接着剤組成物は、塗工することはできたものの、耐熱性や耐湿熱性が良くないことが分かる。
又、ジオキシカルボン酸(C)を用いないで合成した合成例16のポリエステルにDMBAを添加した比較例8の感圧式接着剤組成物は、添加してから3時間で粘度が上昇し、ポットライフに問題がある。又、耐湿熱性の低下がみられた。
本発明の感圧式接着剤組成物は、ポリエステル樹脂特有の凝集力を維持しつつ、主鎖骨格に芳香環や脂環を導入したポリマーを形成することができるため、アクリル系樹脂では得られなかった接着物性を発現させることができる。その例として、本発明の様な光学積層体での耐熱性、耐湿熱性、光学特性、再剥離性等が挙げられる。特に、光学積層体の用途では、光学特性である、光漏れのないことが重要視され、近年のディスプレイの大型化に伴い、屈折率の制御やリワーク時の帯電防止等、その要求性能はますます厳しくなってきている。そこで、本発明の感圧式接着剤組成物は、上述のようにこれまでは困難であった特性を発揮できるため、更に有用になると考えられる。
又、本発明の感圧式接着剤組成物は、光学部材用途として好適であるほか、一般ラベル・シールのほか、塗料、弾性壁材、塗膜防水材、床材、タッキファイヤ、接着剤、積層構造体用接着剤、シーリング剤、成形材料、表面改質用コーティング剤、バインダー(磁気記録媒体、インキバインダー、鋳物バインダー、焼成レンガバインダー、グラフト材、マイクロカプセル、グラスファイバーサイジング用等)、ウレタンフォーム(硬質、半硬質、軟質)、ウレタンRIM、UV・EB硬化樹脂、ハイソリッド塗料、熱硬化型エラストマー、マイクロセルラー、繊維加工剤、可塑剤、吸音材料、制振材料、界面活性剤、ゲルコート剤、人工大理石用樹脂、人工大理石用耐衝撃性付与剤、インキ用樹脂、フィルム(ラミネート接着剤、保護フィルム等)、合わせガラス用樹脂、反応性希釈剤、各種成形材料、弾性繊維、人工皮革、合成皮革等の原料として、又、各種樹脂添加剤およびその原料等としても非常に有用に使用できる。

Claims (11)

  1. 芳香環及び/又は脂環構造を有する二塩基酸系成分(a1)を含む二塩基酸系成分(A)、
    側鎖にアルキル基を有し、カルボキシル基を有しないジオール(b1)を含む、カルボキシル基を有しないジオール(B)、
    及び一分子中に一級の水酸基2個と、二級または三級のカルボキシル基1個以上とを有するジオキシカルボン酸(C)の反応により得られる、ガラス転移温度が−80〜0℃のポリエステル樹脂の製造方法であって、
    ポリエステル樹脂が、触媒の非存在下に脱水反応させ、次いで、触媒を加え、脱グリコール反応させてなるものであることを特徴とする、ポリエステル樹脂の製造方法。
  2. ポリエステル樹脂が、芳香環及び/又は脂環構造を有する二塩基酸系成分(a1)由来の構造を5〜50mol%含有することを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂の製造方法
  3. ポリエステル樹脂が、側鎖にアルキル基を有し、カルボキシル基を有しないジオール(b1)由来の構造を5〜40mol%含有することを特徴とする請求項1又は2記載のポリエステル樹脂の製造方法
  4. ポリエステル樹脂が、ジオキシカルボン酸(C)由来の構造を0.1〜10mol%含有することを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法
  5. ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、2.0〜6.0であることを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法
  6. ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、30,000〜1,000,000であることを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法
  7. ポリエステル樹脂の酸価と水酸基価との合計が、0.1〜30mgKOH/gであることを特徴とする請求項1ないし6いずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法
  8. 請求項1ないし7いずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法によって得られるポリエステル樹脂、及び該ポリエステル樹脂と反応し得る反応性化合物(E)を含有することを特徴とする感圧式接着剤組成物。
  9. 反応性化合物(E)が多官能エポキシ化合物、多官能アジリジン化合物、多官能カルボジイミド化合物、多官能オキサゾリン化合物、多官能イソシアネート化合物、及び金属キレート化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項8記載の感圧式接着剤組成物。
  10. 請求項8又は9記載の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層上に光学部材が積層されてなる積層体。
  11. 液晶セル用ガラス部材、請求項8又は9記載の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層、及び光学部材が順次積層されてなる液晶セル用部材。
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