以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
本発明の家電器具収納庫1は、家電器具2を収納する収納部3と、収納部3内に備えた家電器具2に電力を供給する給電部4と、家電器具2の使用状態を検出する使用状態検出手段5とを備えると共に、収納部3を閉塞開放自在とする扉やシャッター等の閉塞部材6か、もしくは家電器具2を載置し収納部3と使用側手前位置との間で引き出し格納自在とするスライド棚7の、いずれかもしくは両方を備えたものある。また、家電器具収納庫1は、上記閉塞部材6の開閉状態、もしくはスライド棚7の引き出し格納状態を検知する検知手段12と、前記使用状態検出手段5による検出結果に基づいて、前記閉塞部材6の開成状態、もしくは、前記スライド棚7の引き出し状態を維持拘束させるロック手段8を備えている。更に、家電器具収納庫1には、ロック状態からロック解除状態への移行に当たり、前記使用状態検出手段5の検出結果に基づいて前記閉塞部材6の閉成もしくはスライド棚7の格納を遅延して行えるようにロック手段8を制御する制御手段9を備えている。
図1乃至図5には本発明の家電器具収納庫1の一実施例が示してあり、図2には本発明の一実施形態の制御ブロック図を示している。
図1には収納部3の前開口部を閉塞自在とする扉よりなる閉塞部材6を設けた例であり、検知手段12として閉塞部材6の開閉を検知する開閉検知手段12aが設けてある。
収納部3には収納部3内に備えた家電器具2に電力を供給するための給電部4(代表的なものとしてコンセント)と、閉塞部材6を閉成した状態で、収納部3内の空気が外部と連通する吸気口17と排気口18とを備えた通気構造を有している。
また、家電器具収納庫1には更に、家電器具2の運転状態を検出するための使用状態検出手段5と、家電器具2への通電を遮断する通電開閉手段1と、収納部3内に家電器具2のような収納物が存在しているか否かを検知する収納物検知手段25が設けてあり、更に、制御手段9が設けてある。
使用状態検出手段5は閉塞部材6を閉じた時点における家電器具2が複数の運転段階のうちのどの段階であるかを検出するためのものである。使用状態検出手段5としては、例えば、家電器具2に供給する電流(電力)を検出する通電電流(電力)検出手段14や、収納部3内の温度を検出する温度検出手段15があり、通電電流(電力)検出手段14として通電電流(電力)検出手段14と温度検出手段15の両者を用いる場合と、通電電流(電力)検出手段14又は温度検出手段15のいずれか一方を用いる場合とがある。
上記通電電流(電力)検出手段14は、例えば給電部4であるコンセントのコンセント回路で閉塞部材6開閉前後の電流(電力)を検知する。
収納物検知手段25としては、例えば、赤外線反射式に代表される反射型センサ25aや、圧電素子を用いた重量センサ25b等を用いることができる。
上記構成の家電器具収納庫1には、閉塞部材6の開閉状態を維持拘束させるロック手段8が設けてあり、該ロック手段8としては例えば電磁ソレノイドが使用される。
このロック手段8は、開閉検知手段12aにより閉塞部材6が所定以上の開成状態であることを検知した後、使用状態検出手段5がロックに必要な所定の状態を検知した時点で自動的にロックを行うように制御される。また、ロック解除に当たっては、使用状態検出手段5の検出結果に基づいて使用状態検出手段5がロック解除に必要な所定の条件を検知した時点で自動的にロック解除を行うように制御される。
収納部3に収納される家電器具2とは電子レンジやオーブントースター等の加熱機能を備えたものである。
上記家電器具収納庫1は、家電器具2の使用に当たって、閉塞部材6を開いて家電器具2に通電して家電器具2を使用する。また、家電器具2の非使用時には閉塞部材6を閉じて、家電器具2が外部に露出しないようにしている。
ここで、本発明においては、閉塞部材6である扉を開くと、開閉検知手段12aで閉塞部材6が所定以上開成したことを検知する。このように閉塞部材6が所定以上開成したことを検知した後、使用状態検出手段5で加熱運転が開始されたことを検知すると、制御手段9からの制御信号でロック手段8が作動して、閉塞部材6が閉成できないようにする。添付図面に示す実施形態ではロック手段8を構成する電磁ソレノイドのプランジャに設けたロック棒8aが収納部3の開口部よりも突出して閉塞部材6が閉成できないようになる。
従って、閉塞部材6を開成した状態で家電器具2の加熱運転を行っている間は閉塞部材6を誤って閉成しようとしても、閉成することができず、安全性を確保している。
上記閉塞部材6を開成した状態で家電器具2を加熱運転し、該加熱運転が終了すると、本発明においては、上記家電器具2の加熱運転が終了した後、直ちに、ロック解除が行われるのではなく、ロック手段8によるロック解除を、使用状態検出手段5の検出結果に基づいて上記加熱運転終了から遅延して行うようになっている。つまり、家電器具2の加熱運転後、閉塞部材6を閉じても安全上の問題がないという状況になるまでロック手段8によるロックを解除しないようになっている。
図3、図4、図5には具体的制御例の一実施形態が示してある。本実施形態においては、冷却用ファン11を備えた家電器具2が、加熱運転状態、保温/冷却状態、待機状態、切・停電状態を有している場合の例である。ここで、本実施形態においては、保温/冷却状態、待機状態はいずれも非加熱運転状態である。
本例においては、加熱運転状態の際の電力Whが例えば1000W、保温/冷却状態の際の電力Wmが例えば20W、待機状態の電力Wlが例えば2W、切・停電状態の際の電力Woが0Wの場合である。
つまり、本例においては、家電器具2の運転状態と相関した電流値が、加熱運転状態では「高」、保温/冷却状態では「低」、待機状態では「微」、切・停電状態では「零」である。
まず、図3の制御フロー図に基づいて本実施形態の基本制御につき説明する。
なお、図3においては、閉塞部材6を用いた本実施形態及び後述の図6乃至図10に示すスライド棚7を用いた他の実施形態における制御フロー図を示している。以下、閉塞部材6を用いた本実施形態においては、位置検知としては閉塞部材6の「開」、「閉」として説明する。
図3に示すように、本発明においては、通電電流(電力)検出手段12による家電器具2への通電電流(電力)の電流値を常時監視して状態監視を行うようになっており、電流値の検知に基づいて家電器具2の状態判断が行われる。ここで、上記状態判断(例えば、上記のように、加熱運転状態、保温/冷却状態、待機状態、切・通電なし状態(つまり電流値が高、低、微、零)の認識は、家電器具2により異なる値であるため、このように段階があることを制御手段6は学習記憶して上記複数段階のどの段階であるかを認識するようになっている。
そして、使用開始時に、上記電流値が「高」、「低」、「微」、「零」のいずれであっても、温度検出手段13により収納部3内の温度もしくは家電器具2の温度が「高」と検知されると、閉塞部材6の位置が「開」、「閉」のいずれであるかにかかわらず、また、収納物検知手段25による収納物の検出の有無にかかわらず、ロック手段8のロックを解除し、更に、排気ファン16をオンにし、通電開閉手段10により通電遮断を行い、後述の報知手段19により通電遮断を報知するようになっている。つまり、使用開始時に、収納部3内の温度もしくは家電器具2の温度が「高」と検知されれば、いかなるモードであっても異常と判断して安全制御に移り、ロック手段8を解除し、家電器具2への通電を即時遮断するようになっている。
また、使用開始時に電流値が「高」と検知され、収納部3内の温度もしくは家電器具2の温度(表面温度)が「中(〜T1)」、「低(〜)T0」、「室温」のいずれかであると検知され、閉塞部材6の位置が「開」であると検知された場合で、収納物検知手段25で収納物が「有」と検知されるとロック手段8によりロックがなされ、通常運転となる。
一方、使用開始時に電流値が「高」と検知され、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が「中(〜T1)」、「低(〜)T0」、「室温」のいずれかであると検知され、閉塞部材6の位置が「開」であると検知された場合で、収納物検知手段25で収納物が「無」と検知されるとロック解除となる。そして、この場合は、家電器具収納庫1以外の所に設置した家電器具2の電源として家電器具収納庫1に設けた給電部4を使用しているとみなす。
また、軽負荷使用時に電流値が「低」、「微」、「零」のいずれかであると検知され、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が「中(〜T1)」、「低(〜)T0」、「室温」のいずれかであると検知された場合は、閉塞部材6の位置が「開」、「閉」にかかわらず、また、収納物検知手段25による収納物の検出の有無にかかわらず、ロック手段8のロックを解除する。この場合は、家電器具収納庫1以外の所に設置した家電器具2の電源として家電器具収納庫1に設けた給電部4を使用しているか、もしくは、保温運転程度の軽負荷使用であるとみなす。
図3の制御フローにおいて、通常運転時に、電流値が「高」と検知され、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が「高」もしくは「中(〜T1)」と検知され、閉塞部材6が「開」と検知され、収納物が「有」と検知されると、ロック手段8によりロックを行う。
また、通常運転時に、電流値が「低」、「微」、「零」のいずれかであると検知され、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が「低(〜)T0」、「室温」のいずれかであると検知され、閉塞部材6が「開」と検知され、収納物が「有」と検知されると、ロック手段8によるロック解除を行って、閉塞部材6を閉じることが可能な状態にし、終了制御に移行する。
終了制御に移行した場合、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が一時的に「高」となる場合がある。
このように、終了制御において、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が「高」と検知され、更に、閉塞部材6が「閉」と検知されると、収納物の「有」、「無」にかかわらず、異常であると判断して、排気ファン8をオンにし、家電器具2への通電遮断を行い、後述の報知手段19により通電遮断を報知するようになっている。
また、この終了制御において、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が「中(〜T1)」、「低(〜)T0」、「室温」のいずれかであると、閉塞部材6の正常な「閉」であるので、家電器具2への通電遮断の必要はなく、使用開始に戻る。しかしながら、この閉塞部材6を使用する場合は、上記のような正常な「閉」であっても、安全のため閉塞部材6の「閉」時には必ず通電遮断を行い、後述の報知手段19により通電遮断を報知するようにしてもよい。
図4、図5には、図3に示す制御フローにおける通常運転時に、家電器具2に通電して1000Wで加熱運転状態が終了し、引き続き冷却運転になっている状態で、閉塞部材6を閉じる場合のタイムチャートが示してある。
すなわち、閉塞部材6を開成した状態で通常運転時に、家電器具2に通電して1000Wの加熱運転を行うと、使用状態検出手段5で通電電流(電力)を見て加熱運転であることを認識してロック手段8によるロックが行われる。この加熱運転が終了すると、続いて図4に示すように冷却用ファン11を運転している冷却運転となる。冷却運転になると電流値が「低」になり、使用状態検出手段5でこれを検出するが、本実施形態においては、電流値が「高」から「低」になっただけでは直ちにロック手段8のロック解除は行われない。
すなわち、上記のように、閉塞部材6を開成した状態で上記加熱運転をすると、家電器具2からの発熱により収納部3内の温度も上昇するが、冷却用ファン11で家電器具2を冷却していくと、収納部3内の温度も低下していく。そこで、使用状態検出手段5である温度検出手段15により上記収納部3内の温度もしくは家電器具2の温度(表面温度)を監視し、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が安全温度である所定温度T0(例えば40℃)まで低下し、これを温度検出手段15で検出すると、該検出結果に基づいて制御手段9によりロック手段8によるロックを解除する(実施形態ではロック棒8aが後退する)のである。つまり、本実施形態においては、使用状態検出手段5で電流、温度の双方を監視し、電流値が「低」で、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が所定温度T0になった時点で、ロック解除を行うようになっている。図4、図5には収納部3内の温度変化と、家電器具2の表面温度の温度変化とが示してあり、収納部3内の温度変化が2点鎖線で示してあり、家電器具2の表面温度の温度変化が実線で示してある。
上記のようにしてロック解除を行うことで、閉塞部材6を閉成することが可能となる。
ここで、ロック解除がなされた直後に、閉塞部材6を閉成すると、開閉検知手段12aにより閉塞部材6の閉成が検知される。この場合、家電器具2は未だ十分に冷却されていないので、冷却用ファン11の運転を継続しているといえども家電器具2からの放熱で図4、図5のように、収納部3内の温度や家電器具2の温度が上昇するが、閉塞部材6が閉成された状態で収納部3内の温度や家電器具2の温度が上昇しても図4のように、ある設定温度T1(例えば70℃)未満の場合は、排気ファン16の運転は行わない。
一方、閉塞部材6が閉成された状態で収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が急激に上昇してある設定温度T1(例えば70℃)以上になると、図5のように、排気ファン16の運転を行い、収納部3内の温度がロック解除をした際の温度である所定温度T0(例えば40℃)になると排気ファン16の運転停止を行うように制御する。
このように、収納部3の排気をするための排気ファン16を設け、閉塞部材6を閉成した状態における収納部3内の温度に基づいて、排気ファン16を運転しない、あるいは運転するという制御を行うことで、閉塞部材6を閉成した時点で、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が所定温度より高い場合は、排気ファン16を運転して収納部3内の温度を素早く低下させることができ、一方、閉塞部材6を閉成した時点で、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度よりも低い場合は、排気ファン16の運転を行わず、排気ファン16の不必要な運転をしないようにできる。
ところで、通常の使用に当たっては、加熱運転終了後、冷却用ファン11の運転の途中で、ロック手段8によるロックが解除されても直ちに閉塞部材6を閉成することは少ないが、収納部3内を見せたくないといった場合等は、冷却用ファン11の運転の途中で、ロック手段8によるロックが解除された直後、あるいはロック解除後にしばらくして閉塞部材6を閉成する場合がある。
この場合、前述のように、加熱運転終了後、ロック解除を遅延させて行うようにしているので、安全性は確保されるが、ロック解除直後に閉塞部材6を閉じると収納部3内に熱がこもり、図4や図5のように収納部3内の温度や家電器具2の表面温度がロック解除の際の温度である所定温度T0(例えば40℃)よりも高くなり、家電器具2の冷却や収納部3内が常温に戻るのに時間がかかるとともに、家電器具の電子部品にとっても好ましいものではない。
また、閉塞部材6を閉塞した場合、収納部3内で何が起きているかが確認できないという問題もある。
そこで、本発明においては、ロック解除がなされた後、閉塞部材6を閉成すると、開閉検知手段12aにより閉塞部材6の閉塞を検知し、通電開閉手段10により、閉塞部材6の閉成時に家電器具2への通電を維持するか、もしくは閉塞部材6の閉成から遅延させて、前記給電部4に対して家電器具2への通電遮断を行うようになっている。
つまり、図4、図5に示すように、ロック解除を行った後も、冷却用ファン11の運転はタイマーで設定された所定時間経過するまで(又は家電器具2の温度が所定温度に低下するまで)継続され、所定時間経過又は家電器具2が所定温度まで低下すると、冷却用ファン11の運転を停止し、引き続いて家電器具2は待機状態になり、この待機状態を維持するか、又は待機状態を経てロック解除から遅延して通電遮断を行うか、又はロック解除から遅延して直接通電遮断を行う。
これにより、本実施形態においては、加熱運転終了後、遅延させてロック解除をした直後に、仮に閉塞部材6を収納しても、家電器具2の冷却用ファン11等の運転を継続して、閉塞部材6を遮蔽したことによる家電器具2の温度及び収納部3内の温度を早く低下させることができ、しかも、ロック解除後に遅延させて通電遮断することで、不測のトラブルを未然に防止することができて、より安全性を向上することができる。
この場合、上記制御は、閉塞部材6を閉成した際に必ず行うようにしてもよく、また、ロック解除後、閉塞部材6の閉成以降の収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度を温度検出手段15により監視し、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が上記ロック解除のための安全温度であるある所定温度T0以上のある設定温度以上となると上記の制御を行うようにしてもよい。
また、本発明においては、すでに図3の制御フロー図の説明で述べたように、ロック解除後のいかなる状態であっても、収納部3内の温度がある設定温度T1(例えば70℃)を超える状態であれば、異常であると認識して家電器具2への通電を直ちに遮断するように制御して安全性を向上するようになっている。
本実施形態の場合、上記のようにロック解除がなされた後に閉塞部材6の閉成後、家電器具2への通電遮断をした時点で、通電遮断を報知することが好ましい。
すなわち、家電器具収納庫1にランプ又はブザー、あるいはこの両方よりなる報知手段19を設け、ロック解除がなされた直後に上記のように閉塞部材6を閉成すると、前述のようにロック解除後遅延して家電器具2への通電遮断をした時点で、制御手段9により報知手段19で通電遮断を報知するように制御する。
これにより、家電器具2への通電が遮断されて”電気器具2が使えない”状態であることを使用者に早く報知することができる。
また、家電器具2への通電遮断をした場合、再び、閉塞部材6を開成したときに報知手段19により報知するようにしてもよい。これにより、閉塞部材6を開成して、家電器具2の使用再開をする場合に、通電復帰を促すことができる。
また、家電器具収納庫1に報知手段19を設けるものにおいては、上記ロック状態からロック解除状態に移行した際に、ロック解除と同時に報知手段19によりロック解除になったことを報知するようにしてもよい。この場合は、収納部3への家電器具2の収納が可能な安全状態になったことを報知でき、報知以降は、いつでも安心して閉塞部材6を閉成することができ、使い勝手がよくなる。
また、図4、図5に示す実施形態では、使用状態検出手段15である通電電流(電力)検出手段14で加熱運転が終了し、続いて冷却用ファン11の運転による冷却運転となったことを検知し、更に、使用状態検出手段5である温度検出手段15で収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度がある設定温度T0まで低下した時点でロック手段8によるロックを解除するようにした例を示したが、必ずしも、これにのみ限定されるものではない。
加熱運転が終了してもロック手段8によるロックが行われている状態で、使用状態検出手段5である通電電流(電力)検出手段14により、家電器具2に供給する電流(電力)を検出し、家電器具2の電流値が加熱運転の際の電流値よりも低い所定電流値になると、ロック手段8によるロックを解除して閉塞部材6の閉成を可能とする。
上記ロック解除をするための所定電流値とは、例えば、家電器具2の電流値が微小又は零が考えられる。つまり、加熱運転が終了し、引き続いて冷却用ファン11が運転して家電器具2の冷却を行うのであるが、この冷却用ファン11の運転中の電流値は「低」(例えば20W)であり、冷却用ファン11の運転が終了すると、家電器具2は待機状態、又は待機状態を経て切、または切に移行するので、この待機状態又は切における家電器具2の電流値「微」(例えば2W)又は「零」となると、ロック手段8によるロック解除を行うようにしてもよい。
このように、遅延してロック解除するに当って、ロック解除のタイミングを、電流値が微小又は零となる時点で行うと、冷却用ファン11の運転が終了して家電器具2が十分に冷却された後にロック解除がなされることになり、簡単に安全性を確保してロック解除を行うことができることになる。
また、収納部3内の温度を検知するのみで収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度がある設定温度T0まで低下したことを使用状態検出手段5である温度検出手段15で検知した時点でロック手段8によるロックを解除するようにしてもよい。
なお、上記した実施形態においては収納物検知手段25を用いた例で説明したが、本発明においては、収納物検知手段25を設けない場合であってもよい。
次に、本発明の他の実施形態を図6乃至図10に基づいて説明する。本実施形態は、家電器具収納庫1に、家電器具2を載置するスライド棚7を設けた例であり、スライド棚7と閉塞部材6とが異なる点を除けば、他の基本的な構成は前述の閉塞部材6を設けた実施形態と同じである。したがって、前述の実施形態と同じ構成のものには同じ符号を付け、重複する説明は省略し、以下は、異なる点を中心に説明する。
本実施形態においては、図6、図7に示すように、収納部3の底部にはスライドレール21が設けてあり、該スライドレール21を介してスライド棚7が収納部3に対して移動自在となっており、これによりスライド棚7が収納部3から引き出され、且つ、収納部3内に格納される。
検知手段12は、スライド棚2の引き出しを検知する機能と、格納を検知する機能を備えたスライド棚位置検知手段12bにより構成してある。
図6にはスライド棚位置検知手段12bの一実施形態が示してあり、スライド棚7の前部と後部にそれぞれ第1磁石20a、第2磁石20bを設け、収納部3の上記スライド棚7の移動範囲の前部に第1磁気スイッチ20c、第2磁気スイッチ20dを設けることでスライド棚位置検知手段12bを構成している例である。
本実施形態においては、スライド棚7を収納部3内に格納すると第1磁石20aが第1磁気スイッチ20cに近接して第1磁気スイッチ20cを作動することで格納状態を検出し、スライド棚7を収納部3から引き出すと第1磁石20aが第1磁気スイッチ20cから離れ、第2磁石20bが第2磁気スイッチ20dに近接して第2磁気スイッチ20dが作動することで引き出し状態を検出するようになっている。
本実施形態では、スライド棚位置検知手段12bによるスライド棚2の位置検出をスライド方向の2箇所で行うように構成してある。そして、この実施形態においては、完全格納状態、完全引き出し状態を検出できるだけでなく、第1磁石11aが第1磁気スイッチ11cに近接して第1磁気スイッチ11cをオンにしている状態から、スライド棚2を引き出し方向に移動することで第1磁石11aが第1磁気スイッチ11cから離れてオフになると、つまり、引き出し方向への移動の途中位置であっても、「スライド棚2の引き出し」とみなして引き出しと認識させ、後述のロック手段8によるロックを行うようにしてもよい。
また、スライド棚2を完全に収納部3に格納された状態と完全に引き出された位置で磁気スイッチや磁石が近接する例にのみ限定されず、スライド棚2を完全に収納部3に格納された状態と完全に引き出された状態との間の中間の任意の位置で、上記格納や引き出しを検出するようにしてもよい。例えば、スライド棚2が半分だけ格納されたことを検知して、格納とみなすようにしてもよい。
使用状態検出手段5はスライド棚7を格納した時点における家電器具2が複数の運転段階のうちのどの段階であるかを検出するためのものであり、使用状態検出手段5としては、前述の実施形態と同様、例えば、家電器具2に供給する電流(電力)を検出する通電電流(電力)検出手段14や、収納部3内の温度もしくは家電器具2の温度(表面温度)を検出する温度検出手段15があり、そのいずれか、又は両方を用いる。
図6、図7に示す実施形態においては、温度検出手段14は、家電器具2の表面温度を検出するための赤外線による物体表面温度検出センサにより構成してある。該家電器具2の表面温度を検出するための温度検出手段14は収納部3の天井部に設けてあり、スライド棚7を格納した状態、引き出した状態のいずれの場合も、該収納部3の天井部に設けた温度検出手段14によりスライド棚7上に載置してある家電器具2の表面温度を検出できるように、その検出エリアを設定してある。
家電器具収納庫1には、スライド棚7の引き出し状態を維持拘束させるロック手段8が設けてあり、該ロック手段8としては例えば電磁ソレノイドが使用される。
また、本実施形態において家電器具収納庫1に設けた収納物検知手段25は、スライド棚7上に家電器具2のような収納物が存在してあるか否かを検知するようになっている。
図6には収納物検知手段25として赤外線反射式に代表される反射型センサ25aを用いた例が示してあり、図7には収納物検知手段25として圧電素子を用いたや重量センサ25bを用いた例が示してある。
なお、収納物検知手段25が赤外線センサのような反射型センサ25aの場合、この収納物検知手段25をスライド棚位置検知手段12bとしてもよく、また、スライド棚位置検知手段12bとして、前述の磁石、磁気スイッチを用いたものと、収納物検知手段25とを併用するようにしてもよい。
スライド棚7には電子レンジやオーブントースター等の加熱機能を備えた家電器具2が載置され、非使用時にはスライド棚7を収納部3内に格納することで収納してある。
上記スライド棚7に載置して家電器具収納庫1の収納部3内に収納している家電器具2の使用に当たっては、スライド棚7を引き出して家電器具2に通電して家電器具2を加熱運転して使用する。
ここで、本実施形態においては、スライド棚7を引き出すと、スライド棚位置検知手段12bでスライド棚7が所定以上引き出されたことを検知し、その後、使用状態検出手段5で加熱運転が開始されたことを検知すると、制御手段9からの制御信号でロック手段8が作動して、スライド棚7を格納できないようにする。
添付図面に示す実施形態ではロック手段8を構成する電磁ソレノイドのプランジャに設けたロック棒が引き出されたスライド棚7のすぐ後方に突出してスライド棚7を格納する方向に向けて移動させることができないようになる。
従って、スライド棚7を引き出した状態で家電器具2の加熱運転を行っている間はスライド棚7を誤って格納しようとしても、格納することができず、安全性を確保している。
上記スライド棚7を引き出した状態で家電器具2を加熱運転し、該加熱運転が終了すると、本実施形態においては、上記家電器具2の加熱運転が終了した後、直ちに、ロック解除が行われるのではなく、ロック手段8によるロック解除を、使用状態検出手段5の検出結果に基づいて上記加熱運転終了から遅延して行うようになっている。つまり、家電器具2の加熱運転後、スライド棚7を格納しても安全上の問題がないという状況になるまでロック手段8によるロックを解除しないようになっている。
本実施形態の制御フロー図は前述の図3に示す制御フロー図と同じであるので説明は省略する。但し、本実施形態においては、スライド棚7を用いた実施形態であるので、前述の図3の制御フロー図の説明において、閉塞部材6をスライド棚7に読み替え、位置検知の「開」、「閉」を「引出」、「(中間)」、「格納」と読み替えるものとする。
図9、図10には、図3に示す制御フローにおける通常運転時に、家電器具2に通電して1000Wで加熱運転状態が終了し、引き続き冷却運転になっている状態で、スライド棚7を閉じる場合のタイムチャートが示してある。
本実施形態においてはスライド棚7を引き出した状態で家電器具2に通電して1000Wの加熱運転を行うと、使用状態検出手段5で通電電流(電力)を見て加熱運転であることを認識してロック手段8によるロックが行われる。この加熱運転が終了すると、続いて冷却用ファン11を運転している冷却運転となる。冷却運転になると電流値が「低」になり、使用状態検出手段5でこれを検出するが、本実施形態においては、図9、図10に示すように、電流値が「高」から「低」になっただけでは直ちにロック手段8のロック解除は行われない。
すなわち、上記のように、スライド棚7を引き出した状態で上記加熱運転をし、加熱運転終了後、冷却運転になっても直ぐには家電器具2の温度は低下しない。したがって、家電器具2の加熱運転終了直後にロック解除をしてスライド棚7を格納可能にすると、高温状態の家電器具2が収納部3内に格納されるおそれがある。したがって高温状態の家電器具2が安全な温度まで低下した状態になってはじめて格納が可能となるように、温度検出手段15により家電器具2の温度(表面温度)を監視し、家電器具2の表面温度が所定温度T0(例えば40℃)まで低下したことを検出すると、該検出結果に基づいて制御手段9により図9、図10に示すように、ロック手段8によるロックを解除する。つまり、本実施形態においては、使用状態検出手段5で電流、温度の双方を監視し、電流値が「弱」で、家電器具2の表面温度が所定温度T0になった時点で、ロック解除を行うようになっている。このようにロック解除を行うことで、スライド棚7を格納することが可能となる。
ここで、ロック解除がなされた直後に、スライド棚7を収納部3内に格納すると、スライド棚位置検知手段12bでスライド棚7が格納されたことが検知される。この場合、家電器具2は未だ十分に冷却されていないので、冷却用ファン11の運転を継続しているといえども格納により家電器具2の表面温度が一時的に上昇し、また、収納部3内の温度も上昇する。しかしながら、家電器具2の表面温度や収納部3内の温度が上昇しても、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が図9のように設定温度T1(例えば70℃)未満の場合は、排気ファン16の運転は行わない。
一方、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が急激に上昇してある設定温度T1(例えば70℃)以上になると、図10のように、排気ファン16の運転を行い、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度がロック解除をした際の温度である所定温度T0(例えば40℃)になると排気ファン16の運転停止を行うように制御する。
このように、収納部3の排気をするための排気ファン16を設け、スライド棚7を格納した時点における収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度に基づいて、排気ファン16を運転しない、あるいは運転するという制御を行うことで、スライド棚7を格納した時点で、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が所定温度より高い場合は、排気ファン16を運転して家電器具2が格納されている収納部3内の温度を素早く低下させることができ、一方、スライド棚7を格納した時点で、収納部3内の温度もしくは家電器具2の表面温度が所定温度よりも低い場合は、排気ファン16の運転を行わず、排気ファン16の不必要な運転をしないようにできる。
本実施形態においても前述の実施形態と同様、上記のようにロック解除直後にスライド棚7を格納し、スライド棚位置検知手段12bによりスライド棚7の格納を検知し、通電開閉手段10により、スライド棚7の格納時に家電器具2への通電を維持するか、もしくはスライド棚7の格納から遅延させて、前記給電部4に対して家電器具2への通電遮断を行うようになっている。但し、本実施形態においては、ロック解除で安全な状態となっており、且つ、スライド棚7を格納しても収納部3の前開口が開いているため、スライド棚7の格納から遅延させて通電遮断を行うという場合における遅延とは、∞の遅延(つまり通電を維持する)という制御になる。
もちろん、本実施形態においても、ロック解除後のいかなる状態であっても、収納部3内の温度がある設定温度T1(例えば70℃)を超える状態であれば、家電器具2への通電を直ちに遮断するように制御して安全性を向上するようになっている。
また、本実施形態においても、前述の実施形態と同様に、上記のようにロック解除がなされた後にスライド棚7の格納後、家電器具2への通電遮断をした時点で、通電遮断を報知するようにしてもよい。
これにより、家電器具2への通電が遮断されて”電気器具2が使えない”状態であることを使用者に早く報知することができる。
また、家電器具2への通電遮断をした場合、再び、スライド棚7を引き出したときに報知手段19により報知するようにしてもよい。これにより、スライド棚7を引き出して、家電器具2の使用再開をする場合に、通電復帰を促すことができる。
また、本実施形態においても、上記ロック状態からロック解除状態に移行した際に、ロック解除と同時に報知手段19によりロック解除になったことを報知するようにしてもよい。この場合は、収納部3への家電器具2の収納が可能な安全状態になったことを報知でき、報知以降は、いつでも安心してスライド棚7を格納することができ、使い勝手がよくなる。
また、スライド棚7を引き出し、格納自在としたものにおいても、加熱運転が終了してもロック手段8によるロックが行われている状態で、使用状態検出手段5である通電電流(電力)検出手段14により、家電器具2に供給する電流(電力)を検出し、家電器具2の電流値が加熱運転の際の電流値よりも低い所定電流値になると、ロック手段8によるロックを解除してスライド棚7の格納を可能とするようにしてもよい。
例えば、加熱運転終了後に遅延してロック解除するに当って、ロック解除のタイミングを、電流値が微小又は零となる時点で行うようにする。この場合は、冷却用ファン11の運転が終了して家電器具2が十分に冷却された後にロック解除がなされることになり、簡単に安全性を確保してロック解除を行うことができることになる。
なお、図示を省略しているが、家電器具収納庫1に扉やシャッタ等の閉塞部材6で開口部を遮蔽自在とした収納部3と、スライド棚7を引き出し、格納自在に設けた収納部3との両方を備えたものにおいて、前述の各実施形態で説明したような制御を行ってもよい。
なお、本実施形態では、発熱手段を備えた加熱調理家電器具を用いた場合の安全保護手段としているが、ジューサーミキサーや電機掃除機や電気除湿機等の、回転や冷却手段を有した家電器具の収納時に、電源プラグがコンセントに差し込まれた状態で放置されても、一定時間もしくは、一定の運転状態の経過後に通電を全て遮断することができ、使用時の利便性を残しつつ安全な収納状態を提供でき、好適である。