JP5350892B2 - ねじりコイルばねの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性が要求される部位に用いられるねじりコイルばねの製造方法に関する。
従来より、ねじりコイルばねを用いて弁体などの部材を特定の方向に付勢する構造体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この種の構造体では、ねじりコイルばねの一方のアームをハウジングなどの部材(第一部材)に固定するとともに、他方のアームを弁体などの部材(第二部材)に固定し、ねじりコイルばねの軸周りに発生するモーメントを利用して第二部材を付勢する。すると、第二部材の移動量と第二部材に作用する付勢力とが比例し、第二部材の移動量が大きくなると第二部材を付勢する付勢力も大きくなる。
特開2006−275265号公報(第2頁、図1)
ところで、周方向への付勢力を発揮するねじりコイルばねは、例えば圧縮コイルばねといった軸方向への付勢力を発揮する他のばねと比べて、その荷重特性が不安定であり、へたりによる荷重低下があまり影響を及ぼさない用途に用いられることが多い。なお、ここでいう「へたり」とは、使用時の応力によって生じたばねの永久変形を云う。
一方、近年、上述のようなねじりコイルばねを備える構造体の用途として期待される自動車用の可変マフラーでは、ねじりコイルばねの荷重特性が自動車の騒音特性や出力特性に影響を及ぼすため、製品のバラツキが小さいこととへたり量が極力小さいことが要求される。
しかしながら、従来のねじりコイルばねは、高温条件下での使用時におけるへたりによる荷重低下が大きいという問題があり、上述の自動車用の可変マフラーのような耐熱性が要求される部位への使用には適さないと一般的には考えられている。
なお、このような問題を解決するために、圧縮コイルばねに対してクリープ処理(図6(a)参照)を行うのと同様に、ねじりコイルばねに対してもクリープ処理を行うことも考えられるが、次のような問題が生じる。
(1)変形問題
ねじりコイルばねでは、回転軸とコイル中心軸とのズレが生じているケースが一般的である(図6(b)参照)。これは、ねじりコイルばねのねじりによりコイル径が小さくなっていくため、芯金とのクリアランスを設けて作動時の巻締りを防止しているからである。そして、この取付状態において、クリープ処理を実施すると、コイル部に曲げ応力が発生し、負荷除去後にコイル部の胴曲がりが生じるという問題があった(図7(a)参照)。また、応力負荷時にはアーム部へも曲げ応力が発生しているため、クリープ処理時にアームの変形が発生するという問題があった(図7(b)参照)。
(2)耐熱ばね材料における問題
一般的な耐熱ばね材料では、スプリング成形後の熱処理により、材料組織中に炭化物・窒化物・金属間化合物を生じさせて耐熱性を得ている。この熱処理時にクリープ処理(応力負荷)を行うと、十分に耐熱性を得ていない状態であるために大きなクリープ変形が生じ、スプリングの形状のバラツキが大きくなって工業的に安定した品質を得ることができないという問題があった(図2(c)および図8(b)参照)。また、クリープ処理温度については、初期ひずみを除去するのに十分な高温で行われるべきであるが、温度が高い場合には、析出相の粗大化による耐熱性低下や、クリープ変形量が大きいことによるスプリングの形状のバラツキがさらに大きくなるという問題があった。また、クリープ処理時間が短すぎると昇温/冷却の影響が大きくなるためにねじりコイルばねの製造を安定して行うためにはクリープ処理をある程度の長時間で行うべきであるが、温度が低い場合には、クリープ処理に必要な処理時間が非常に長くなるという問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、耐熱性が要求される部位に用いられるねじりコイルばねの耐高熱性能を高め、高温条件下での使用時における荷重特性の変化を問題ないレベルに抑えることにある。
上記課題を解決するためになされた請求項1に係るねじりコイルばねの製造方法は、析出強化型合金製のばね用線材をコイリングされたコイル部と、前記コイル部の一端から延出する第一のアーム部と、前記コイル部の他端から延出する第二のアーム部と、を備えるねじりコイルばねを製造する方法であって、前記ばね用線材のコイリング後に、材料強度を向上させるための第一の熱処理を500〜900℃の処理温度で行い、前記コイル部のコイル径方向および軸方向を拘束しながら、前記第一のアーム部と前記第二のアーム部とを前記コイル部が縮径するよう付勢した状態で、第二の熱処理を前記第一の熱処理の処理温度よりも20℃以上低い処理温度で60〜600分間行うことを特徴とする。
このように構成された本発明のねじりコイルばねの製造方法によれば、図2(b)および図8(a)に例示するように、ねじりコイルばねの各種変形を防止するための規制をしながら第二の熱処理を行うことによって上述の変形問題を回避できる。なお、図2(b)は、クリープ処理の工程順序とねじりコイルばねの形状のバラツキとの関係を示す説明図であり、スプリング成形後に時効処理を行い、さらにクリープ処理を行った場合を示す。また、図8(a)は、クリープ処理方法とクリープ処理による変形量との関係を示す説明図であり、時効処理後にクリープ処理を行った場合を示す。また、第一の熱処理に続いて第二の熱処理を行うことによってねじりコイルばねの形状のバラツキを小さくすることができる。さらに、第二の熱処理の処理温度を、第一の熱処理の処理温度よりも20℃以上低くすることでねじりコイルばねのバラツキを少なくでき、且つ二段階の熱処理によって微細析出相による強度向上も同時に期待できる。また、第二の熱処理を高温で行うことができ、第二の熱処理の処理時間を短縮することができる。
つまり、クリープ処理を実施しても上述のような変形問題および耐熱ばね材料における問題が生じず、その耐高熱性能を高めることができる。したがって、高温条件下での使用時における荷重特性の変化を問題ないレベルに抑えることができる。
この場合、上述のねじりコイルばねのコイル部のコイル径方向の拘束については次の(イ)〜(ハ)のような手法が考えられる。
(イ)まず、コイル部の外径面の少なくとも2点を支持することでコイル部のコイル径方向を拘束することが考えられる(請求項2)。このようにすれば、ねじりコイルばねの各種変形を防止するための規制をより効果的に行うことができる。
(ロ)また、第一のアーム部および第二のアーム部それぞれをコイル部との付け根から0〜30mmの何れかの位置で押えることでコイル部のコイル径方向を拘束することが考えられる(請求項3)。このようにすれば、ねじりコイルばねの各種変形を防止するための規制をより効果的に行うことができる。
(ハ)また、コイル部の内径寸法との差が0.5mm以下である外径寸法を有する金属製の棒材をコイル部の内部に配置することでコイル部のコイル径方向の拘束を行うことが考えられる(請求項4)。このようにすれば、ねじりコイルばねの各種変形を防止するための規制をより効果的に行うことができる。
(a)は本実施形態のねじりコイルばねのクリープ処理時の拘束方法を示す説明図であり、(b)は他の実施形態のねじりコイルばねのクリープ処理時の拘束方法を示す説明図である。 クリープ処理の工程順序とねじりコイルばねの形状のバラツキとの関係を示す説明図であり、(a)はスプリング成形後に時効処理を行った場合を示し、(b)はスプリング成形後に時効処理を行い、さらにクリープ処理を行った場合を示し、(c)はスプリング成形後に時効処理およびクリープ処理を同時に行った場合を示す。 (a)はクリープ処理の処理温度とクリープ処理による変形量との関係を示す説明図であり、(b)はクリープ処理温度と同一変形量を得るのに必要な時間との関係を示す説明図である。 (a)はクリープ処理の処理時間とクリープ処理による変形量との関係を示す説明図であり、(b)はクリープ処理の処理時間と処理時間の変化に対する自由角度のバラツキ幅との関係を示す説明図であり、(c)はアーム拘束位置の適正化による効果を説明するための説明図である。 高温曝露後のスプリングトルクのへたりを示す説明図である。 (a)は圧縮コイルばねのクリープ処理を説明するための説明図であり、(b)はねじりコイルばねの取付時の軸ずれを説明するための説明図である。 (a)はねじりコイルばねのクリープ処理によるコイル部の変形を説明するための説明図であり、(b)はねじりコイルばねのクリープ処理によるアームの曲がり変形を説明するための説明図である。 クリープ処理方法とクリープ処理による変形量との関係を示す説明図であり、(a)は時効処理後にクリープ処理を行った場合を示し、(b)は時効処理およびクリープ処理を同時に行った場合を示す。
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[1.ねじりコイルばね1の構成の説明]
図1(a)に示すように、本実施形態のねじりコイルばね1は、析出強化型合金製のばね用線材をコイリングされたコイル部2と、前記コイル部2の一端から延出する第一のアーム部3と、前記コイル部2の他端から延出する第二のアーム部4と、を備える。
このねじりコイルばね1は、例えば自動車用の可変マフラーなどの耐熱性が要求される部位に用いられ、コイル部2を用いて弁体などの部材を特定の方向に付勢する作用を有する。例えば、ねじりコイルばね1の第一のアーム部3または第二のアーム部4の何れか一方のアームを自動車用の可変マフラーのハウジングなどの部材(第一部材)に固定するとともに、他方のアームを自動車用の可変マフラーの弁体などの部材(第二部材)に固定し、ねじりコイルばね1の軸周りに発生するモーメントを利用して第二部材を付勢する。すると、第二部材の移動量と第二部材に作用する付勢力とが比例し、第二部材の移動量が大きくなると第二部材を付勢する付勢力も大きくなるのである。
[2.ねじりコイルばね1の製造方法の説明]
次に、本実施形態のねじりコイルばね1の製造方法について説明する。
(1)まず、ばね用線材のコイリング後に、材料強度を向上させるための時効処理(第一の熱処理に相当)を500〜900℃の処理温度で行う。なお、時効処理の処理時間は、30〜600分に設定される。
(2)次に、コイル部2の軸方向の両端および外径面を拘束するとともに、第一のアーム部3および第二のアーム部4の付け根を拘束する。そのため、本実施形態では、コイル部2を治具10に嵌め込むことで上述のような拘束を行う。
ここで、治具10について説明する。この治具10は、側方の一部が開放された略筒形状の治具本体11を備えている。治具本体11は、4つの内壁面11a,11b,11c,11dを有し、これら4つの内壁面11a,11b,11c,11dのうち両端の内壁面11aと内壁面11dとが互いに対向するように配置される。なお、このように互いに対向する一組の内壁面11a,11d間の距離寸法は、コイル部2の径寸法とほぼ等しく設定されている。また、上述の互いに対向する一組の内壁面11a,11dは、治具本体11の内部にコイル部2を配置した際に、第一のアーム部3および第二のアーム部4それぞれの付け根を拘束する。なお、拘束する位置は、第一のアーム部3および第二のアーム部4それぞれの付け根から0〜30mmの位置であることが望ましい。
また、治具10は、コイル部2の軸方向の両端それぞれを拘束可能な二つの拘束部材12,13を備えている。具体的には、二つの拘束部材12,13は、治具本体11の内部に配置されたコイル部2の軸方向の両端それぞれに当接することで、協働してコイル部2の軸方向の両端それぞれを拘束する。
また、治具10は、コイル部2の外径面を拘束可能な拘束部材14を備えている。具体的には、拘束部材14は、治具本体11の内部に配置されたコイル部2の外径面に当接することで、内壁面11c,11dと協働してコイル部2の外径面を3点で拘束する。
(3)さらに、コイル部2の内径面を拘束する。そのため、本実施形態では、コイル部2の内径寸法との差が0.5mm以下である外径寸法を有する金属製の棒材(図示省略)をコイル部2の内部に配置する。
(4)そして、このようにねじりコイルばね1を治具10で拘束しながら第一のアーム部3と第二のアーム部4とをコイル部2が縮径するよう付勢した状態で、クリープ処理(第二の熱処理に相当)を上述の時効処理の処理温度よりも20〜100℃低い処理温度で60〜600分間行う。
[3.ねじりコイルばね1の製造方法の各種設定条件について]
次に、本実施形態のねじりコイルばね1の製造方法の各種設定条件について説明する。
(1)図2(b)は、クリープ処理の工程順序とねじりコイルばねの形状のバラツキとの関係を示す説明図であり、スプリング成形後に時効処理を行い、さらにクリープ処理を行った場合を示す。本実施形態のねじりコイルばね1の製造方法では、スプリング成形後に時効処理を行い、さらにクリープ処理を行っているために、図2(a)に例示するようなスプリング成形後に時効処理を行った時点に比べてバラツキが大きくなるものの、図2(c)に例示するようなスプリング成形後に時効処理およびクリープ処理を同時に行った場合に比べてバラツキが小さくなることが明らかである(図2(b)参照)。
(2)また、本実施形態のねじりコイルばね1の製造方法では、時効処理後に行うクリープ処理を、時効処理の処理温度よりも20〜100℃低い処理温度で60〜600分間行うが、これは次のような理由による。
(2−1)すなわち、図3(a)に示すように、クリープ処理の処理温度が時効処理の処理温度に近づくに従ってクリープ変形量が大きくなり、特に、クリープ処理の処理温度が時効処理の処理温度より0〜20℃低い場合には、その傾向が顕著となる。また、図3(b)に示すように、クリープ処理の処理温度が時効処理の処理温度より0〜20℃低い場合には、クリープ処理の処理時間が、昇温および冷却の影響が無視できない程の短時間となる。
よって、本実施形態のねじりコイルばね1のように、時効処理後に行うクリープ処理については、時効処理の処理温度よりも20℃以上低い処理温度で行うことが好ましい。
(2−2)なお、スプリングアームの自由時角度は、JISによると±8〜40(deg)で管理するのが一般的であるが、機能上トルク特性の精度が求められる場合、±8(deg)前後で管理する必要があり、この点からも、時効処理後に行うクリープ処理については、時効処理の処理温度よりも20℃以上低い処理温度で行うことが好ましい。
(2−3)また、図3(b)に示すように、クリープ処理の処理温度が時効処理の処理温度より100℃以上低い場合には、クリープ処理の処理時間が工業的に処理不可能な処理時間となる。
よって、本実施形態のねじりコイルばね1のように、時効処理後に行うクリープ処理については、時効処理の処理温度よりも100℃未満低い処理温度で行うことが好ましい。また、クリープ処理の処理時間については、工業的実現性の観点から、10(h(時間)(600分)以下であることが望ましい。
(2−4)また、±0.1(h)の処理時間バラツキが生じると仮定すると、それぞれの処理時間における処理時間変動による自由角度のバラツキ幅は図4(b)に示すようになる。
また、上述のように自由角度のバラツキを±8(deg)前後に抑えたい場合、コイリングのバラツキを考慮すると処理時間のバラツキによる影響は、レンジで2〜3(deg)程度に抑えておくことが望ましい。よって、あまりにクリープ処理の処理時間を短時間に設定するとこの要件を満足できず、少なくとも1(h)以上の処理時間に設定することが望ましい。
なお、クリープ処理の処理時間が1(h)以上となるためのクリープ処理の処理温度については、図3(b)によって時効処理の処理温度より20℃以上低い場合となる。このことからも、クリープ処理を時効処理の処理温度よりも20℃未満低い処理温度で行うことは、クリープ処理の処理時間が短くなってしまって不適切であると判断できる。
(3)図4(c)は、アーム拘束位置の適正化による効果を説明するための説明図であり、図中の表は、所定条件下でのアーム拘束位置L(mm)とアーム変形量θ(deg)との関係を示す表である。図4(c)に示すように、アーム拘束位置Lの値が大きい程、アーム変形量θの値が大きくなる傾向にある。よって、アーム拘束位置Lの値としては、理想的にはL=0が望ましいが、コイル部2のコイル径のバラツキおよび治具10の拘束部材14の強度面を考慮し、本実施形態では、Lの値を0〜30mmの範囲内で設定している。
[4.ねじりコイルばね1のへたり量の測定結果について]
次に、本実施形態のねじりコイルばね1のへたり量の測定結果について説明する。
(1)図5に示すように、クリープ処理を実施した場合には、クリープ処理を実施しない場合に比べて、スプリングトルクのへたりが低下することが明らかである。
(2)また、実際の熱処理においては、ワーク投入時の炉温や外気温、ワーク投入量の多少により実質的な処理時間にバラツキが生じる。このように処理時間が変化することによってクリープ変形量も変動するために製品の精度が悪化する。図4(a)は、ある温度条件にてクリープ処理の処理時間に対応するクリープ変形量を示すグラフである。処理時間に対してクリープ変化量が対数的に増加するため、処理時間が短い領域では処理時間の変動に対してクリープ変化量が大きくなることが明らかである。
[5.実施形態の効果]
このように本実施形態のねじりコイルばね1によれば、ねじりコイルばねの各種変形を防止するための規制をしながらクリープ処理を行うことによって上述の変形問題を回避できる。また、時効処理に続いてクリープ処理を行うことによってねじりコイルばねの形状のバラツキを小さくすることができる。さらに、クリープ処理時の処理温度を、時効処理時の温度よりも少なくとも20℃以上低くすることでねじりコイルばねのバラツキを少なくでき、且つ二段階の熱処理によって微細析出相による強度向上も同時に期待できる。また、クリープ処理を適切な温度設定とすることで、クリープ処理の処理時間を短縮することができる。
つまり、クリープ処理を実施しても上述のような変形問題および耐熱ばね材料における問題が生じず、その耐高熱性能を高めることができる。したがって、例えば自動車用の可変マフラーなどの耐熱性が要求される部位に用いられる場合など、高温条件下での使用時における荷重特性の変化を問題ないレベルに抑えることができる。
[6.他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
(1)上記実施形態のねじりコイルばね1の製造方法では、コイル部2の軸方向の両端および外径面を拘束するために図1(a)に例示するような治具10を用いているが、これには限られず、コイル部2の軸方向の両端および外径面を拘束可能な手法であれば他の手法を用いても良い。例えば、治具10の代わりに、次のような治具20を用いてコイル部2の軸方向の両端、外径面および内径面を拘束することが考えられる。なお、治具10の代わりに治具20を用いる点以外は製造方法および製造時の各種設定条件については同一である。
この治具20は、図1(b)に例示するように、コイル部2の内径寸法との差が0.5mm以下である外径寸法を有する金属製の棒状の治具本体21を備えている。この治具本体21をコイル部2の内部に配置することで、コイル部2の内径面を拘束する。
また、治具20は、コイル部2を拘束可能な二つの拘束部材22,23を備えている。具体的には、二つの拘束部材22,23は、それぞれ棒状の治具本体21から径方向に延出し、治具本体21に対して着脱可能に構成されている。そして、二つの拘束部材22,23は、治具本体21に外挿されたコイル部2の軸方向の両端それぞれに当接することで、協働してコイル部2の軸方向の両端それぞれを拘束する。
また、二つの拘束部材22,23は、治具本体21にコイル部2が外挿される際に、第一のアーム部3および第二のアーム部4それぞれの付け根を拘束する。なお、拘束する位置は、第一のアーム部3および第二のアーム部4それぞれの付け根から0〜30mmの位置であることが望ましい。
また、二つの拘束部材22,23は、治具本体21に外挿されたコイル部2の外径面に当接することで、協働してコイル部2の外径面を2点で拘束する。
このような治具20を用いた場合にも、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
1…ねじりコイルばね、2…コイル部、3…第一のアーム部、4…第二のアーム部、10…治具、11…治具本体、11a,11b,11c,11d…内壁面、12,13,14…拘束部材、20…治具、21…治具本体、22,23…拘束部材

Claims (4)

  1. 析出強化型合金製のばね用線材をコイリングされたコイル部と、前記コイル部の一端から延出する第一のアーム部と、前記コイル部の他端から延出する第二のアーム部と、を備えるねじりコイルばねを製造する方法であって、
    前記ばね用線材のコイリング後に、材料強度を向上させるための第一熱処理を500〜900℃の処理温度で行い、前記コイル部のコイル径方向および軸方向を拘束しながら、前記第一のアーム部と前記第二のアーム部とを前記コイル部が縮径するよう付勢した状態で、第二熱処理を前記第一熱処理の処理温度よりも20℃以上低い処理温度で60〜600分間行ったことを特徴とするねじりコイルばねの製造方法。
  2. 前記コイル部の外径面の少なくとも2点を支持することで前記コイル部のコイル径方向を拘束することを特徴とする請求項1に記載のねじりコイルばねの製造方法。
  3. 前記第一のアーム部および前記第二のアーム部それぞれを前記コイル部との付け根から0〜30mmの何れかの位置で押えることで前記コイル部のコイル径方向を拘束することを特徴とする請求項2に記載のねじりコイルばねの製造方法。
  4. 前記コイル部の内径寸法との差が0.5mm以下である外径寸法を有する金属製の棒材を前記コイル部の内部に配置することで前記コイル部のコイル径方向の拘束を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のねじりコイルばねの製造方法。
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