JP5350892B2 - ねじりコイルばねの製造方法 - Google Patents
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Description
この種の構造体では、ねじりコイルばねの一方のアームをハウジングなどの部材(第一部材)に固定するとともに、他方のアームを弁体などの部材(第二部材)に固定し、ねじりコイルばねの軸周りに発生するモーメントを利用して第二部材を付勢する。すると、第二部材の移動量と第二部材に作用する付勢力とが比例し、第二部材の移動量が大きくなると第二部材を付勢する付勢力も大きくなる。
ねじりコイルばねでは、回転軸とコイル中心軸とのズレが生じているケースが一般的である(図6(b)参照)。これは、ねじりコイルばねのねじりによりコイル径が小さくなっていくため、芯金とのクリアランスを設けて作動時の巻締りを防止しているからである。そして、この取付状態において、クリープ処理を実施すると、コイル部に曲げ応力が発生し、負荷除去後にコイル部の胴曲がりが生じるという問題があった(図7(a)参照)。また、応力負荷時にはアーム部へも曲げ応力が発生しているため、クリープ処理時にアームの変形が発生するという問題があった(図7(b)参照)。
一般的な耐熱ばね材料では、スプリング成形後の熱処理により、材料組織中に炭化物・窒化物・金属間化合物を生じさせて耐熱性を得ている。この熱処理時にクリープ処理(応力負荷)を行うと、十分に耐熱性を得ていない状態であるために大きなクリープ変形が生じ、スプリングの形状のバラツキが大きくなって工業的に安定した品質を得ることができないという問題があった(図2(c)および図8(b)参照)。また、クリープ処理温度については、初期ひずみを除去するのに十分な高温で行われるべきであるが、温度が高い場合には、析出相の粗大化による耐熱性低下や、クリープ変形量が大きいことによるスプリングの形状のバラツキがさらに大きくなるという問題があった。また、クリープ処理時間が短すぎると昇温/冷却の影響が大きくなるためにねじりコイルばねの製造を安定して行うためにはクリープ処理をある程度の長時間で行うべきであるが、温度が低い場合には、クリープ処理に必要な処理時間が非常に長くなるという問題があった。
(イ)まず、コイル部の外径面の少なくとも2点を支持することでコイル部のコイル径方向を拘束することが考えられる(請求項2)。このようにすれば、ねじりコイルばねの各種変形を防止するための規制をより効果的に行うことができる。
[1.ねじりコイルばね1の構成の説明]
図1(a)に示すように、本実施形態のねじりコイルばね1は、析出強化型合金製のばね用線材をコイリングされたコイル部2と、前記コイル部2の一端から延出する第一のアーム部3と、前記コイル部2の他端から延出する第二のアーム部4と、を備える。
次に、本実施形態のねじりコイルばね1の製造方法について説明する。
(1)まず、ばね用線材のコイリング後に、材料強度を向上させるための時効処理(第一の熱処理に相当)を500〜900℃の処理温度で行う。なお、時効処理の処理時間は、30〜600分に設定される。
次に、本実施形態のねじりコイルばね1の製造方法の各種設定条件について説明する。
(1)図2(b)は、クリープ処理の工程順序とねじりコイルばねの形状のバラツキとの関係を示す説明図であり、スプリング成形後に時効処理を行い、さらにクリープ処理を行った場合を示す。本実施形態のねじりコイルばね1の製造方法では、スプリング成形後に時効処理を行い、さらにクリープ処理を行っているために、図2(a)に例示するようなスプリング成形後に時効処理を行った時点に比べてバラツキが大きくなるものの、図2(c)に例示するようなスプリング成形後に時効処理およびクリープ処理を同時に行った場合に比べてバラツキが小さくなることが明らかである(図2(b)参照)。
(2−2)なお、スプリングアームの自由時角度は、JISによると±8〜40(deg)で管理するのが一般的であるが、機能上トルク特性の精度が求められる場合、±8(deg)前後で管理する必要があり、この点からも、時効処理後に行うクリープ処理については、時効処理の処理温度よりも20℃以上低い処理温度で行うことが好ましい。
次に、本実施形態のねじりコイルばね1のへたり量の測定結果について説明する。
(1)図5に示すように、クリープ処理を実施した場合には、クリープ処理を実施しない場合に比べて、スプリングトルクのへたりが低下することが明らかである。
このように本実施形態のねじりコイルばね1によれば、ねじりコイルばねの各種変形を防止するための規制をしながらクリープ処理を行うことによって上述の変形問題を回避できる。また、時効処理に続いてクリープ処理を行うことによってねじりコイルばねの形状のバラツキを小さくすることができる。さらに、クリープ処理時の処理温度を、時効処理時の温度よりも少なくとも20℃以上低くすることでねじりコイルばねのバラツキを少なくでき、且つ二段階の熱処理によって微細析出相による強度向上も同時に期待できる。また、クリープ処理を適切な温度設定とすることで、クリープ処理の処理時間を短縮することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
このような治具20を用いた場合にも、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
Claims (4)
- 析出強化型合金製のばね用線材をコイリングされたコイル部と、前記コイル部の一端から延出する第一のアーム部と、前記コイル部の他端から延出する第二のアーム部と、を備えるねじりコイルばねを製造する方法であって、
前記ばね用線材のコイリング後に、材料強度を向上させるための第一熱処理を500〜900℃の処理温度で行い、前記コイル部のコイル径方向および軸方向を拘束しながら、前記第一のアーム部と前記第二のアーム部とを前記コイル部が縮径するよう付勢した状態で、第二熱処理を前記第一熱処理の処理温度よりも20℃以上低い処理温度で60〜600分間行ったことを特徴とするねじりコイルばねの製造方法。 - 前記コイル部の外径面の少なくとも2点を支持することで前記コイル部のコイル径方向を拘束することを特徴とする請求項1に記載のねじりコイルばねの製造方法。
- 前記第一のアーム部および前記第二のアーム部それぞれを前記コイル部との付け根から0〜30mmの何れかの位置で押えることで前記コイル部のコイル径方向を拘束することを特徴とする請求項2に記載のねじりコイルばねの製造方法。
- 前記コイル部の内径寸法との差が0.5mm以下である外径寸法を有する金属製の棒材を前記コイル部の内部に配置することで前記コイル部のコイル径方向の拘束を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のねじりコイルばねの製造方法。
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