JP5350215B2 - 複合タンパク質混合物中の被分析タンパク質および/または被分析ペプチドを検出および/または濃縮するための方法 - Google Patents

複合タンパク質混合物中の被分析タンパク質および/または被分析ペプチドを検出および/または濃縮するための方法 Download PDF

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Description

本発明は、タンパク質および/またはペプチドを含むタンパク質混合物中の種々の被分析タンパク質および/または被分析ペプチドを検出および/または濃縮するための方法に関する。
本発明はさらに、種々の被分析ペプチドの末端に対して特異的な結合分子に関し、タンパク質混合物中の種々の被分析タンパク質および/または被分析ペプチドを検出および/または濃縮するための方法におけるその使用に関する。
このような方法および結合分子は、先行技術において広く知られている。
既知の方法は、たとえば、複合試料中のタンパク質の解析および検出、特に、プロテオーム解析のための一般的方法の分野において使用されている。
「プロテオーム」とは、細胞、組織または生物におけるタンパク質の定量的総体、すなわち、あらゆるアイソフォーム、多型および翻訳後修飾において発現しているすべてのタンパク質、ならびにそれぞれの濃度に関する情報、特に、ある時点およびある外部条件下におけるそれらの情報を意味している。
したがって、細胞、組織または生物の状態は、特に、そのタンパク質の定量的プロフィールによって示される。たとえば、ある疾患において、ある種のタンパク質の発現は減少し、他のタンパク質の発現は増加する。また、ある種のタンパク質は該疾患時にのみ発現し、またある種の翻訳後タンパク質修飾は改変される。したがって、タンパク質プロフィールは、細胞、組織、器官または生物それぞれの現状を示す直接的指標として好適であり、したがって、疾患または健康の指標として好適である。
さらに、タンパク質プロフィールの変化を通じて、薬剤の効果を追跡することおよびその副作用を推定することも可能である。
この目的のために同様にしばしば使用されるmRNAプロフィールに対し、タンパク質プロフィールを測定することの利点は、変化するタンパク質プロフィールにより、関与する機構についての直接的な判断が可能なことであるが、これは細胞プロセスが通常タンパク質の直接関与に伴って進行し、それによって該細胞の機能が働くことによる。
タンパク質プロフィールの定性的かつ定量的検出のためには、タンパク質を検出する方法において、ほとんどのタンパク質が、たとえ複合試料中にあっても検出されることが必要であり、タンパク質の量を、できる限り大きなダイナミックレンジで定量的に検出することが可能でなければならない。
これに伴う1つの問題点は、ほとんどの天然試料において、種々のタンパク質の濃度が9〜12倍も異なり得ることである。また、DNAやRNAとは対照的に、タンパク質は増幅することができない。
さらに、すべてのタンパク質、すなわち、強酸性、強塩基性、超大型、超小型、疎水性、および親水性のタンパク質をすべて検出し得る方法は、今のところ存在しない。
現在、複合プロテオームの検出には、原理的には以下の2つの方法が使用されている。
− 二次元電気泳動を用いて種々のタンパク質を電気泳動により二次元に分離した後、分離したタンパク質について規定のタンパク質分解を行い、それぞれのタンパク種をペプチド質量による質量分析によって同定する、方法。
− あるプロテオームにおけるすべてのタンパク質に対して規定のタンパク質分解を行い、これから一次元または多次元クロマトグラフ分離によりペプチドを分離し、タンデム質量分析により分離したペプチドを同定した後、タンパク質またはゲノムデータベースを介したバイオインフォマティクスにより、ペプチド断片をプロテオームの元のタンパク質に割り当てる、方法。
これらの方法は、対応する抗体への特異的結合によって定性的かつ定量的にタンパク質を検出する抗体ベースの方法により補足される。例として、ウエスタンブロット、ELISAまたは抗体マイクロアレイが挙げられる。
2次元ゲル電気泳動(2D‐PAGE)では、1次元目では等電点、2次元目では分子量によってタンパク質が分離される。これにより、10000種類もの複合タンパク質混合物を非常に高い分離効率で解析することが可能となる。この方法の欠点は、調査対象の試料からタンパク質の一部しか検出されないことであり、非常に大型のタンパク質、非常に小型のタンパク質、強塩基性または強酸性のタンパク種は、標準的な条件下では検出されない。
また、この方法には時間がかかり、再現が困難である。タンパク質によって染色効率が異なること、および検出ダイナミックレンジが小さいことから、定量的解析は困難であり、多大な労力と試料消費なしには不可能である。さらに、試料に対して相対的に少量のタンパク質の解析に限られる場合も多く、したがって、試料中に少量しか存在しないタンパク質の検出は不可能か、検出できたとしても不明瞭なものとなる。
クロマトグラフィによるタンパク質分離は、通常、分子サイズ(サイズ排除クロマトグラフィ)、分子の電荷(イオン交換クロマトグラフィ)または疎水性(逆相クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ)によって行われる。クロマトグラフ法の分離効率は、タンパク質の2D−PAGEの分離効率よりも低い。このため、プロテオーム解析では、しばしば非常に手の込んだ多次元分離が行われる。現在、複合タンパク質混合物中の個々の被分析タンパク質を同定できるのは、抗体ベースの検出方法のみである。しかしながら、ELISA等の従来の方法は、1つの試料から多くの被分析物を分析するには不適当である。抗体アレイベースの方法は、現時点では、特に、高度に選択的で好適な抗体の数が少ないことにより、複合混合物からの多くの異なるタンパク質の並列検出に関しては限界がある。
現在のところ、利用可能なプロテオーム解析方法はいずれも、複合試料からの被分析タンパク質の並列、迅速、再現可能かつ高感度な検出に関して限界があるため、タンパク質試料を再現可能な方法で分別することは、プロテオーム解析にとって非常に重要な操作である。
プロテオーム解析のためのストラテジーに関しては、数多くが文献に公開され、知られている。
中でも、たとえば、Grahamらによる“Broad−based proteomic strategies:a practical guide to proteomics and functional screening”,J.Physiol.563(1),(2005),pp.1−9には、総説においてプロテオーム解析の手順が記載されており、定性対定量アプローチのための種々のストラテジーが開発されている。
Conradsら、“Cancer Proteomics:many technologies,one goal”,Expert Rev.Proteomics 2(5),(2005),pp.693−703では、プロテオーム解析法によって得られた莫大な量のデータから、癌またはその他の疾患に特異的なバイオマーカーを同定することの重要性が強調されている。
WO2004/031730には、試料中の標的タンパク質の量を測定するためのフロースルー法が開示されている。抗体のような特異的結合試薬を使用して、複合タンパク質試料のタンパク質分解による消化物中の特異的モニターペプチドと、モニターペプチドと同じ化学構造を有するが標識されている内部標準ペプチドとを捕捉し、濃縮する。質量分析計内への溶出時に、両方のペプチドが定量される。
前記特異的結合剤または抗体は、たとえば、タンパク質分解酵素によるヒト血清の特異的切断により生じたペプチド混合物中の特異ペプチドを捕捉する能力を有するように、約5〜20アミノ酸残基から成る特異的ペプチド配列に逆に結合するものであるのがよい。
モニターペプチドは、標的に対して高度に特異的である必要がある。すなわち、標的生物のいかなる他のタンパク質とも相同性を共有してはならない。
これにより、たとえば、最初にN末端抗体を、続く第2の濃縮工程ではC末端抗体を使用し、ある特定のペプチドを濃縮することが可能となる。
文献に記載され、また上述したプロテオーム解析の態様、ならびにこれに関する新規な診断方法、有効成分および治療法の可能性に照らし、既知の解析方法の欠点を回避できる新規な技術はきわめて重要である。
したがって、本発明の目的は、プロテオームまたはサブプロテオームの定性的かつ/または定量的解析を補助し得る新規な方法またはツールを提供することである。
本発明によれば、この目的は、冒頭で記載した方法において、
a) 試料混合物を提供する工程、および、該混合物に含有されるタンパク質を必要に応じて規定のペプチドに断片化する工程、
b) 前記種々の被分析タンパク質および/または被分析ペプチドのうち少なくとも1種類のペプチドエピトープに特異的な第1の結合分子を提供する工程であって、このペプチドエピトープに含まれるアミノ酸が5個以下、好ましくは2〜3個である工程、
c) 前記第1の結合分子を前記試料混合物とともにインキュベートする工程、ならびに
d) 前記第1の結合分子に結合した種々の被分析タンパク質および/または被分析ペプチドを検出および/または濃縮する工程、
によって達成される。
本発明の基礎をなす目的は、このようにして完全に達成される。
本発明は、本発明に従って使用される結合分子が、その認識配列が規定のアミノ酸をただ5つ、好ましくは4つ、3つまたは2つの位置にしか有しないにもかかわらず、これによって多数の被分析タンパク質または被分析ペプチドに、すなわちある程度非選択的に結合し、種々の被分析タンパク質および/または被分析ペプチドが複合試料混合物中にある場合にも、それらの検出および/または濃縮に利用できるという、本発明者らによる驚くべき発見に基づいている。
認識配列内の個々の位置は、さらに、部分的にしか規定されていないアミノ酸、すなわちあるアミノ酸群に属するアミノ酸、のみで占められていることもある。このような認識配列における規定のアミノ酸および部分規定のアミノ酸の分布の一例は、OOXXO、OOXXXまたはOXOXOである。ここで、Oは規定のアミノ酸を表し、Xはアミノ酸群、たとえば、疎水性、脂肪族または芳香族のアミノ酸群などを表す。
このように、本発明に従って使用される結合分子は、有するアミノ酸が5個以下であるエピトープを特異的に認識する。
「結合分子」は、本明細書において、ペプチド/タンパク質に結合し得るまたはペプチド/タンパク質が結合し得る任意の分子または任意の物質を意味する。
本発明において、この場合、有するアミノ酸が5個以下であるペプチドエピトープを特異的に認識するものであれば、いかなる結合分子も使用可能であることを理解されたい。
このような結合分子により、複合タンパク質混合物から、きわめて特殊なタンパク質またはペプチドだけでなく、含むアミノ酸が5個以下であるこのエピトープを有する多数の異なるタンパク質またはペプチドもまた捕捉することが可能となる。ここで、サブプロテオームが濃縮されている。
したがって、この新規な方法により、ただ1つの結合分子を用いてタンパク質またはペプチドの複合混合物中に存在する多くの異なるタンパク質および/またはペプチドを特異的に結合させること、ならびに、必要に応じて混合物から非結合成分を除去した後、さらにその後の手順においてこれらの結合タンパク質またはペプチドを解析することが可能になる。
本発明において、「被分析タンパク質/ペプチド」は、複合試料混合物/タンパク質混合物中に含まれ、工程c)で結合分子に結合するタンパク質/ペプチドを意味する。
本発明による方法に使用される結合分子は、有するアミノ酸が5個以下のペプチドエピトープを認識するため、多くのペプチド/タンパク質がこのエピトープを有する確率は高く、その結果、個々の場合において、多くのペプチド/タンパク質がある特定の結合分子に結合する状況になる。複数の異なる被分析タンパク質またはペプチドに結合する結合分子は、先行技術において、生物学的/生化学的研究用には不適切なものとして分類されている。
本発明において、あるプロテオームにおいて特定のエピトープを有するペプチド/タンパク質が多いということは、結合分子が特異的に認識するアミノ酸が該当エピトープ内に少なく、各位置において許容されるアミノ酸の種類が多いことを意味する。
これは、たとえば有するアミノ酸残基が3個だけであるエピトープに特異的な結合分子を使用すると、たとえば有するアミノ酸残基が5個であるエピトープを特異的に認識する結合分子の使用時よりもはるかに多くのペプチド/タンパク質に対して結合が起こることを意味する。
さらに、本発明において、結合される被分析タンパク質/ペプチドの量をさらに増加させる目的で、工程b)で2種以上の異なる第1の結合分子を提供することも可能であることが理解されよう。このことから、あるプロテオームにおけるすべてのタンパク質/ペプチドが、当該技術分野の現在の技術水準に従って調製可能な限られた数の結合分子と結合するという驚くべき可能性が浮上する。20種のタンパク質構成アミノ酸を使用すると、規定のアミノ酸3個に対して特異的に結合する結合分子の理論上の必要数は、20=8000種類である。これと比較して、規定のアミノ酸を5個有するエピトープを介した結合の場合、理論上可能なすべてのタンパク質エピトープに結合させるためには、20=320万種類もの結合分子が必要となる。
好ましい一実施形態において、変性被分析タンパク質および/または変性被分析ペプチドを含む試料混合物が工程a)で使用される。
この実施形態は、変性タンパク質を使用することによって試料混合物中のタンパク質が変性型となり、少なくとも1種類の結合分子にとってアクセスがより容易になるため、該結合分子との結合が良好になるという利点を有する。
本発明の方法の別の一実施形態においては、試料混合物中に存在するタンパク質および/またはペプチドは、工程a)で少なくとも1種類の特異的プロテアーゼおよび/または化学的断片化により切断され、規定のペプチドとなる。
したがって、この方法では、最初にタンパク質および/またはペプチドを含む複合試料混合物/タンパク質混合物を提供し、この試料混合物は、任意の組織または体液(たとえば、組織ホモジネート、血清など)から得られる任意の試料/タンパク質混合物であってよい。このタンパク質混合物は、変性剤(たとえば、尿素または塩酸グアニジニウム)の添加、ならびに還元およびその後のアルキル化によって変性させ、好ましくは、プロテアーゼにとって利用可能な変性タンパク質鎖が存在するようにしてもよい。天然または変性の試料/タンパク質混合物を選択的切断プロテアーゼ(たとえば、トリプシンまたはエンドプロテイナーゼLys C)によって処理すると、試料中に存在するペプチド/タンパク質は切断され、プロテアーゼの特異性によって規定される小断片になる。また、当業者に既知の非常に多くの一連のエンドプロテアーゼまたはエキソプロテアーゼも存在し、特異的タンパク質分解に使用され得る。タンパク質試料の変性の選択により、タンパク質分解において切断されるペプチドの種類を制御すること、および解析試料の複雑度を調整することが可能である。たとえば、臭化シアンを用いて、さらなる化学的断片化を行うことができる(MetのC側)。
1種類以上のプロテアーゼおよび/または化学的断片化による消化の結果、工程a)で提供するペプチド混合物が得られる。工程b)で結合分子を提供した後、ペプチド混合物を該結合分子とともにインキュベートし、その間に、該結合分子はペプチドの適合するエピトープに結合するため、該結合分子と結合した対応する被分析ペプチドが検出/濃縮される。
この方法、すなわち、工程a)において試料混合物が特異的タンパク質分解および/または化学的断片化を受けるようなペプチド混合物の使用もまた、特に、タンパク質分解により結合分子が個々の被分析ペプチドの末端を利用できるようになるという利点を有する。
結合分子はペプチド内エピトープに特異的であり得るが、好ましい一実施形態において使用される結合分子は、C末端またはN末端に直接結合するため、短い結合エピトープとの交差反応性をさらに顕著に低下させることが可能になる。同時に、被分析タンパク質がタンパク質分解を受けて断片化されることにより、検出可能な複数の被分析タンパク質が生成し、重複検出が可能になる。
さらにまた別の一実施形態では、工程b)において、該ペプチドエピトープの1つ以上の位置でアミノ酸群特異的認識を示す第1結合分子を提供する。
したがって、この実施形態は、有するアミノ酸が5個以下のエピトープに特異的な結合分子であって、該アミノ酸の少なくとも1つが、単に群特異的に、すなわち、たとえば、該アミノ酸の疎水性脂肪族特性などによる該アミノ酸の正または負の電荷に基づいて認識される結合分子が提供されるという利点を有する。当該技術分野の技術水準において、アミノ酸を類似/同一特性を有する群に分類することは既知である。たとえば、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンは脂肪族疎水性アミノ酸であり、トリプトファン、チロシンおよびフェニルアラニンは芳香族アミノ酸であり、アスパラギン酸およびグルタミン酸は酸性アミノ酸であり、リシン、ヒスチジンおよびアルギニンは塩基性アミノ酸である。したがって、このような群分類に従い、たとえば、適合するエピトープの第3位においてグリシンだけでなくアラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンもまた認識し、したがって、全体として、ペプチドの少なくとも1つの位置に対して群特異的認識を示さない結合分子よりも多くのペプチドに結合する結合分子を作製および提供することが可能となる。本発明の方法のまた別の実施形態では、工程b)において、被分析タンパク質および/または被分析ペプチドの2つの末端ペプチドエピトープの一方に特異的な第1の結合分子を提供し、ここで該末端ペプチドエピトープは、遊離NH基または遊離COOH基を有し、いずれの場合においても含むアミノ酸は5個以下である。
この実施形態の利点は、本発明に従って使用される結合分子とともに、それぞれの末端に特異的かつ安定に結合する有効なツールが提供されることである。これに寄与したのは、本発明者らによる発見、すなわち、安定した結合に必要なアミノ酸が5個に過ぎないこと、および、末端官能基の結合に対する影響が非常に強いため、末端エピトープがアミノ酸をほとんど有しない場合には、同じアミノ酸配列を有する内部エピトープに対して交差反応性がないことの発見である。ペプチドの末端への結合は、さらに、その後の工程において、単離/同定された被分析ペプチドの他方の末端ペプチドエピトープに結合し得るさらなる結合分子を使用する可能性をもたらし、その結果、さらなる結合分子の使用によってペプチドのさらなる選択が可能になる。
各々が5個以下のアミノ酸からなる2つの短い末端エピトープ(C末端およびN末端)に結合分子が複合結合することにより、驚くべきことに、たとえ結合分子自体があるプロテオームに含まれる比較的種々のペプチドと個々に結合しても、ペプチドを特異的に検出することが可能となる。したがって、記載の方法により、切断特異的エピトープによって特定のペプチドを明瞭に検出することが可能になる。
本発明の方法の一実施形態において、少なくとも第1の結合分子を支持体に固定化することが好ましい。これに関して、支持体は、マイクロアレイ、アフィニティカラム用支持体材料、クロマトグラフィ材料、マイクロチャネル構造物、キャピラリー表面、センサー表面、高分子多孔質海綿状構造物、ミクロスフェア(またはビーズ)を含む群から選択されることが特に好ましい。
この実施形態の利点は、結合分子を支持体に固定化することによって工程b)における結合分子の操作および提供が容易になり、したがって、全体として、本発明の方法のための実用的なツールを提示できることである。これに関して、たとえば、結合分子の量ならびに支持体上での配置および整列(これらのパラメータは、各場合において使用する支持体材料に依存する)のいずれをも正確に定義付けた上で、結合分子を支持体上のアレイに適用することが可能である。好都合なことに、結合分子を介して支持体に結合された被分析ペプチドをさらに解析することが可能となる。
本発明の場合、ビーズ(または「ミクロスフェア」)の好適な例は、特に、コードビーズ(たとえば、蛍光コードもしくは着色コード)または磁気ビーズであり、具体的な特定用途にどのビーズが適するかは当業者には明白であろう。
さらに、本発明との関連において、個々のビーズに各場合で同じ結合分子を存在させてもよく、また、1つのビーズに異なる複数の結合分子を存在させることによって、異なる複数の被分析ペプチドが個々のビーズとの結合によって試料混合物から取り出されるようにしてもよい。
結合分子の支持体への固定化は、当該技術分野の技術水準において既知の方法(たとえば、Stollらによる概説、FBS 2000,Hermanson,Greg.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Pressを参照のこと)によって行うことができる。
また、本発明の方法において、後に続く解析工程および工程d)の検出は、質量分析、イムノアッセイ、クロマトグラフィ、電気泳動、電気化学的手法、表面プラズモン共鳴、水晶発振器を含む群から選択される方法によって行われることが好ましい。
これらの方法はすべて、当該技術分野の技術水準において十分に知られており、それぞれ固有の利点を有している。これに関して、検出方法の選択は、特に、どの程度正確に、どの、または何種類のタンパク質もしくは被分析ペプチドを、さらに特徴付け、単離、濃縮または検出するか、ならびに工程b)でどのような形態の結合分子を提供するか(すなわち、たとえば、支持体に結合させているか否か、支持体に結合させている場合は、支持体がどのような型か)に依存する。
したがって、たとえば、結合分子が親和性マトリックスに結合しており、被分析ペプチドが、該親和性マトリックスに結合した結合分子と結合する場合、同定方法として質量分析が好適である。結合した被分析ペプチドは、その後の工程において親和性マトリックスから溶出され、質量分析またはキャピラリーHPLCエレクトロスプレー質量分析による解析に供される。たとえば、当該技術分野の技術水準においては、親和性チップ(マイクロアレイ)が、その後のMALDI質量分析(SELDI)による一般的なMS解析に適している。ビーズは、イムノアッセイにおける使用が増加している。
本発明の方法によるまた別の一実施形態において、第1の結合分子に結合した被分析タンパク質および/または被分析ペプチドの検出および/または濃縮は、第1の結合分子に結合された被分析タンパク質および/または被分析ペプチドを特異的に認識する第2の結合分子によって行われることが好ましい。
このような検出方法において、第2の結合分子が、たとえば標識され得ること、および第1の結合分子に結合した被分析タンパク質/ペプチドの検出が、同様に被分析タンパク質/ペプチドに結合する第2の結合分子の標識によって行われ得ることは好都合である。これに関して、標識は、たとえば、直接的であっても間接的であってもよい。すなわち、たとえば、蛍光もしくは放射性標識、または、さらなる物質/化学薬品を使用することによってのみ検出可能となる標識(たとえば、ビオチン−ストレプトアビジンなど)であってよい。
本発明の方法によるこの実施形態においてもまた、1つの特異性を有する結合分子だけでなく、逆に、異なる特異性を有する2種類以上の異なる第2の結合分子を使用することもまた可能であることが理解されよう。
この実施形態においては、一般的に、ある特定の被分析タンパク質もしくは被分析タンパク質ファミリーにおける内部エピトープに特異的であるか、または、ある特定の被分析タンパク質または被分析タンパク質ファミリーにおける他方の末端エピトープに特異的である第2の結合分子を使用することが可能である。その一方で、非特異的であって複数の被分析タンパク質に結合するという点で第1の結合分子と類似した結合分子を使用することもまた可能である。
さらに、ペプチド内部エピトープに特異的なこのような第2の結合分子を、最初は捕捉分子として使用し、その後普遍的検出因子として使用することが可能であり、少なくとも1つの第1の結合分子は、上述の仕様を有し、好ましくは標識されている。
これに関して、該ペプチドエピトープの1つ以上の位置でアミノ酸群特異的認識を示す第2の結合分子を工程d)において提供することがさらに好ましい。
この実施形態は、上記の第1の結合分子に相応じて、有するアミノ酸が5個以下のエピトープに特異的な結合分子であって、該アミノ酸の少なくとも1つが、単に群特異的に、すなわち、たとえば、該アミノ酸の疎水性脂肪族特性などによる該アミノ酸の正または負の電荷に基づいて認識される結合分子が提供されるという利点を有する。
これに関して、工程d)の検出および/または濃縮は、第1および第2の結合分子が、被分析タンパク質および/または被分析ペプチドの異なるエピトープに、たとえば、FRET、近接ライゲーションアッセイなどの方法によって同時に結合することによって行われることが好ましく、第1および第2の結合分子が、溶液状態で試料とともにインキュベートされることがさらに好ましい。
本発明による方法のこの実施形態において、両方の結合分子が液相で被分析タンパク質/ペプチドと結合することは有利である。これに関して、該2つの結合分子は、たとえば、色素対(フルオロフォア/クエンチャーもしくはフルオロフォア1/フルオロフォア2)、または当該技術分野の技術水準における種々のアッセイ(蛍光転移(FRET)アッセイもしくは近接ライゲーションアッセイなど)による被分析分子に対して対をなす結合の検出に適したオリゴヌクレオチドなどの標識によって修飾されることが特に好ましい。これに関しては、Gustafsdottirら、Proximity ligation assays for sensitive and specific protein analyses,in Anal Biochem.2005 Oct 1;345(1):2−9.Epub 2005 Feb 7、およびAraiら、Fluorolabeling of antibody variable domains with green fluorescent protein variants:application to an energy transfer−based homogeneous immunoassay,in Protein Eng.2000 May;13(5):369−76を参照のこと。
本発明の方法の開発において、第2の結合分子は、それぞれの他方の末端ペプチドエピトープに特異的であることが好ましく、それぞれの他のペプチドエピトープは、遊離NH基またはCOOH基および各場合において5個以下のアミノ酸を含むことが特に好ましい。
この実施形態は、第1の結合分子に結合した多数の異なる被分析ペプチドのうち、特定の被分析ペプチドのみが、特に、正確には、他の末端ペプチドエピトープが第2の結合分子によって特異的に認識されるものだけが第2の結合分子によって結合されるという利点を有する。したがって、被分析タンパク質/ペプチドを、標的化様式によってさらに分類または選択することが可能である。対応する第2の結合分子の特異性は、第1の結合分子に結合される被分析タンパク質/被分析ペプチドの量を標的化してさらに制限するのに使用できる。すなわち、第2の結合分子が特異的であるほど、結合するペプチドの量は減少し、逆もまた同様である。
工程b)で使用される第1の結合分子は、被分析ペプチドの2つの末端ペプチドエピトープの一方に特異的であり、この末端ペプチドエピトープが遊離NH基または遊離COOH基および3〜5個のアミノ酸を含むこと、ならびに第2の結合分子は、該被分析ペプチドの他方の末端ペプチドエピトープに特異的であり、該他方の末端ペプチドエピトープが遊離NH基または遊離COOH基および3〜5個のアミノ酸を含むことが特に好ましい。
これは、本願の発明者らが、たとえば、各場合において3個のアミノ酸に特異的な2つの結合分子を使用することによって、少なくとも、6個のアミノ酸に特異的な結合分子の特異性を得ることが可能であることを発見したことに基づいている。3個のアミノ酸以外のパラメータが特異性に影響するためである。この場合、各ペプチド断片のC末端およびN末端が認識される事実と合わせると、被分析ペプチド/タンパク質の特異的検出は、2つの短いエピトープの組み合わせによって可能となる。したがって、被分析ペプチド/タンパク質に対する特異性/選択性は、この2つの結合分子の併用によってもたらされるのであり、その理由は、多くの被分析ペプチド/タンパク質は第1の結合分子によって意図的に結合され、第2の結合分子の使用によってのみ、「全体的特異性」が有意に増大し、6アミノ酸に特異的な結合分子の特異性と少なくとも同等レベルに達するからである。
この場合、6連子エピトープを2つの3連子エピトープ(好ましくは、一方をC末端用、他方をN末端用)に「分割」することで、可能性のあるすべてのペプチドを解析するために必要な結合分子を劇的に減少させることができる。本発明の場合、可能性のあるすべてのペプチドを検出するために必要な異なる結合分子は、6連子エピトープの場合の20種類ではなく、2×20種類にすぎない。したがって、特許請求の範囲に記載のアプローチでは、必要な抗体は2×8000種類のみであり、すなわち、各場合において、ペプチドのN末端に対して8000種類、C末端に対して8000種類である。したがって、2×8000種類の結合分子ライブラリを提供することにより、ペプチド混合物から任意の所望の被分析ペプチドを検出することが可能となる。これと比較すると、6連子エピトープでは、同一の解析に対して10種類を超える結合分子が必要となる。
したがって、冒頭で触れたWO2004/031730に記載の方法とは異なり、本発明の概念は、被分析タンパク質または被分析ペプチドに対して同時に結合し、それにより被分析タンパク質/ペプチドの特異的濃縮および/または分析を可能にする、自体は非特異的な2つの結合分子を使用することにある。
本発明の方法のさらなる利点は、2×20種類の結合分子で、生物種と無関係に、任意のプロテオームのすべてのペプチドタンパク質形成アミノ酸に対して理論上考え得るすべてのN/C末端を検出できることである。
3連子アミノ酸の選択、つまりアミノ酸の選択が、実質的に調査対象の試料に依存することは理解されよう。このように、調査対象の試料にもよるが、修飾アミノ酸、あるいはヒト以外の試料、すなわち動物、植物または微生物試料にのみ見られるアミノ酸についても考慮すべきである。この点において、どの試料の解析にどのアミノ酸を考慮すべきかは、利用可能な先行技術から当業者には明らかであろう。
したがって、本発明のアプローチにより、アレイによるプロテオーム解析が初めて可能となる。
本発明の方法の別の実施形態において、検出および/または濃縮のために、第1の結合分子に結合した被分析タンパク質/被分析ペプチドを特異的に認識する第2の結合分子が使用され、該第2の結合分子はペプチドの内部エピトープに特異的であることが好ましい。
この実施形態は、第1の結合分子を使用して多様性の限定された被分析ペプチド/タンパク質を「予備選択」することにより試料の複雑度を低下させることが可能であり、その後、タンパク質/ペプチド特異的内部エピトープを介した第2の結合分子を使用した明瞭な検出によって、試料バックグラウンドの低下した複合混合物からただ1つの標的タンパク質またはペプチドを検出することが可能であるという利点を有する。
これに関して、別の実施形態では、第2の結合分子が少なくとも6個のアミノ酸を有するエピトープであるペプチド内部エピトープまたは末端エピトープに特異的であることが好ましい。
この実施形態は、高い特異性を有する第2の結合分子の使用により、高度に標的化された様式で個々のペプチドを同定できる点で有利である。
一般的に、本発明による方法では、第1および第2の結合分子は、抗体、抗体断片、アプタマー、組換え結合分子を含む群から選択されることが好ましい。
本発明はさらに、種々の被分析ペプチドの末端ペプチドエピトープに特異的な結合分子であって、該末端結合分子が遊離NH基または遊離COOH基、プロテアーゼ特異性によって規定される1個以上のアミノ酸、および3個以下のさらなる末端アミノ酸、ならびに必要に応じてさらに群特異的認識部位を含む、結合分子に関する。
これに関して、結合分子は、抗体、抗体断片、アプタマー、組換え結合分子を含む群から選択されることが好ましい。
本発明はさらに、本発明の方法における本発明の結合分子の使用に関する。
本発明はさらに、支持体に結合され、5個以下のアミノ酸を有するペプチドエピトープが免疫付与法、選択法および親和性成熟法に使用される、本発明の方法で使用される結合分子の調製方法に関する。
これに関して好ましくは、結合分子の調製において、第1の工程でC末端またはN末端に3連子を有するペプチドが提供され、この3連子は、20種のタンパク質形成アミノ酸から構成されるあらゆる可能なアミノ酸の組み合わせを示すものであって、その後の工程においてこれらのペプチドが免疫付与法、選択法および親和性成熟法に使用される。
これに関して、たとえば、当該技術分野の技術水準においても十分満足に記述されている古典的免疫付与法を使用することが可能である(たとえば、Antibodies:A Laboratory Manual,Ed Harlow,David Lane編を参照のこと)。その一方で、結合分子をインビトロで作製することもまた可能であり、この場合、結合ポケットは、末端NH /COO官能基が、たとえば適合する逆電荷と凹部の形態で最適に結合し得るように構築される。
免疫付与に使用されるペプチドの合成に使用される方法もまた、同様に当該技術分野の技術水準において十分によく知られている(たとえば、Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis,A Practical Approach by W.C.ChanおよびP.D.White(編),Oxford University Pressを参照のこと)。
本発明のさらにまた別の実施形態においては、工程a)の試料混合物を第1の結合分子とともにインキュベートする前に、ペプチド内部エピトープに特異的な第3の結合分子が該試料混合物とともにインキュベートされる。
これに関連して、ペプチド内部エピトープは少なくとも6個のアミノ酸を有することが好ましい。
したがって、第3の結合分子は、いくつかの実施形態においては第2の結合分子と同様に捕捉分子としての役割を果たし、これに対して、第1の結合分子はこのとき、好ましくは標識されている一種の普遍的検出分子として使用される。
上述し、また以下で説明する特徴および利点は、記載の組み合わせだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、単独または他の組み合わせでも使用可能であることは理解されよう。
本発明を、以下の図面および実施例によってさらに説明する。
図1は、試料混合物中に存在する被分析ペプチドの結合を示す図である。図1の左側に、(オリゴ)ペプチドが混合物中に存在するように、事前に特異的プロテアーゼで処理した試料混合物を示す。ここでは、ペプチドのN末端をH、C末端をCOOで示している。
この図の右側に、支持体上に固定化された第1の結合分子に種々のペプチドが結合する様子を示す。ここでは、結合分子を参照番号10および12で、支持体を14で示している。
したがって、本発明の方法および図1に関して、試料混合物と第1の結合分子とを提供した後、これら2種を合わせてインキュベートする。このとき、試料混合物中に存在するペプチドの一部が結合分子に結合する。結合していない試料物質は洗い流す。
図1および図2a〜2cはそれぞれ、使用される第1の結合分子が、遊離NH基または遊離COOH基と各場合において3個のアミノ酸とを含むエピトープに特異的であるということを、単なる一例として示す図である。本発明の方法の図1および図2a〜2dに示す代表的な実施形態は例として示したものにすぎず、本発明の範囲において他にも多くの具体的な実施形態が考えられる。特に、結合分子および該結合分子によって認識されるエピトープは、別の構成であってもよい。
図2aは、工程d)における結合した被分析ペプチドの検出に関する、本発明の方法の一実施形態を示す図である。ここでは、結合分子に結合した被分析ペプチドが溶出され、次いで質量分析に供される。ペプチド亜集団は、ここではHPLC−MS/MSによって解析され、配列タグ+ペプチド質量+部分エピトープ親和性分別+プロテアーゼ特異性による組み合わせ評価によって、配列データベースにおいて明瞭な同定が行われる。
本発明の方法の別の実施形態において、結合分子は、親和性マトリックスアレイ上、たとえば親和性チップ上に固定化される。試料混合物とのインキュベートによって、種々の親和性マトリックスアレイに被分析ペプチドまたはペプチド亜集団が結合する。その後の検出工程において、親和性アレイの各点を、直接MALDI質量分析(SELDI)によって分析する。
図2bは、工程d)に関する、本発明の方法のさらなる実施形態を示す図である。ここでは、結合分子は支持体に結合されている。試料混合物とのインキュベートの後、被分析ペプチドは、自体の両末端のいずれかで結合分子と結合する。次いで、ペプチド亜集団を第2の結合分子とともにインキュベートし、その結果、第2の結合分子が被分析ペプチドと結合する(図2bの右側AおよびBを参照のこと)。第2の結合分子の特異性に応じて、たとえば、ペプチド内部エピトープ(6〜7個のアミノ酸)に特異的な特異的結合分子によって明瞭な同定を行うことが可能である(図2bの右側「A」を参照のこと)。また、被分析ペプチドの他方の末端エピトープを特異的に指向する結合分子によって不明瞭な同定もまた行われ得る。これを図2b、右側「B」に示す。この場合、図2bに示すように、結合分子は、他方の遊離NH基または遊離COOH基と各場合において3個のアミノ酸とを含むエピトープに対して同様に特異的であり得る。結果として、あたかも計6個のアミノ酸(第1の結合分子に関する3個のアミノ酸+第2の結合分子に関する3個のアミノ酸)の「切断特異的エピトープ」のようになる。この場合の特異性は、2種の結合分子の結合特異性の組み合わせに由来する。
最後に、図2cは、工程d)に関する、本発明の方法のさらなる実施形態を示す図である。図2cの左側では、ペプチド亜集団が第1の結合分子を介してビーズに結合されている。次いで、これを、種々の空洞上に分散させ、種々の第2の結合分子とともにインキュベートする。ここで、第2の結合分子は、図2bと同様、ペプチド内部エピトープまたは遊離NH基もしくは遊離COOH基と各場合において3個のアミノ酸とを含む他方の末端エピトープに対して特異的であり得る。ここでもまた、被分析ペプチドは、2つの非特異的結合分子を組み合わせて使用することによって特異的に同定され得る。
カルボキシル末端の3個のアミノ酸に選択的なモノクローナル抗体3D5の特性決定
市販の抗体である抗C末端Hisタグ抗体3D5(Invitrogen、Carlsbad、CA)の結合選択性について調査した。この抗体は、6個のヒスチジンをC末端に有する融合タンパク質でマウスに免疫付与することによって作製したものである(Lindnerら、“Specific detection of his−tagged proteins with recombinant anti−His tag scFv−phosphatase or scFv−phage fusions”,Biotechniques 22,140−149(1997)参照)。該抗体が認識するエピトープ、および個々のアミノ酸残基に対する結合の選択性を、ペプチドアレイを用いて調べた。末端6ヒスチジンペプチドのバリアントを提示するペプチドライブラリを、ミクロスフェア上に指向性を有するよう固定化した(Poetzら、“Protein microarrays for antibody profiling:Specificity and affinity determination on a chip”,Proteomics 5,2402−2411(2005)参照)。これには、6個の末端ヒスチジンの各々に対して規定のアミノ酸ではなく、可能な20種のあらゆる組み合わせを有するペプチド位置ライブラリの使用が必要となる。完全な6ヒスチジン配列を有するがその末端に遊離COOH基ではなくアミド化C末端を有するペプチドを使用することにより、結合に対するカルボキシル末端の影響を調べることができた(表1参照)。
Figure 0005350215
表1のペプチドを、ビオチン化ペプチドとして合成し、N−アビジンでコートされたミクロスフェア上に固定化した。結合試験では、ミクロスフェアを抗体と混合し、ペプチドに対する抗体の結合を、フィコエリトリンコンジュゲート抗マウスIgGを用いて検出し、Luminex L100(Austin、TX、USA)を用いて選択した。(C末端から)1、2および3位(すなわち、それぞれ、配列番号16、15、14を有するペプチド)のヒスチジンを無作為化すると、測定されるシグナルが減少し、これらのアミノ酸が結合に必要であることが示された。アミド化による遊離カルボキシル基のブロック(配列番号10を有するペプチド)についても、同様である。この修飾により、抗体の結合が15%未満まで低減された。すなわち、遊離カルボキシル基の負の電荷は、抗体とその抗原との反応に必須である。20種すべてのアミノ酸の混合物による4、5および6位のヒスチジンの置換(それぞれ、配列番号13、12、11を有するペプチド)においては、結合の変化は見られなかった。したがって、記載の抗体の認識エピトープは、3個の末端アミノ酸および遊離末端からなる。
選択性評価の結果を、以下の図表1に示す。
図表1
Figure 0005350215
このように、驚くべきことに、該抗体は、C末端の3個のヒスチジンに対してのみ選択性を示した。X位におけるそれ以降のヒスチジンの置換は、抗体の結合に対して、ほとんどまたは全く効果を示さなかった。さらに、アミド化によってC末端の負の電荷をブロックした場合も、同様に抗体の結合が妨げられる。この抗体から得られた、6ヒスチジンペプチドを有するscFvの結晶構造によってこの結果が裏付けられる(Kaufmannら、“Crystal structure of the anti−His tag antibody 3D5 single−chain fragment complexed to its antigen”,J Mol Biol 318、135−147(2002)参照)。該抗体は、C末端の4個のヒスチジンの主鎖、C末端の3個のヒスチジンの側鎖、および末端ヒスチジンのカルボキシル基に結合する。これらのペプチド解析とその結晶構造とに基づき、この市販の抗体は、C末端トリペプチド特異的抗体であるといえる。
抗体3D5の特性決定の結果に基づき、C末端またはN末端の3つのヒスチジンとともにペプチドエピトープを有する種々のペプチドを合成した。また、対応するペプチドが質量分析によって互いに識別され得るように、C末端ヒスチジン標識を有するペプチドのN末端をグリシンで標識し、N末端ヒスチジン標識を有するペプチドのC末端をセリンで標識した(表2参照)。
Figure 0005350215
イムノアッセイによる検出
ペプチドエピトープ(表2参照)に特異的な抗体(1種類または複数種)を、標準的な手順によってミクロスフェア上に固定化した。上記のペプチドを個々に、種々の濃度で血清に添加した。該ペプチドは、最初にペプチドエピトープ特異的抗体によって、次いでHisタグ抗体によって検出した。
質量分析による検出
Hisタグ抗体3D5をカルボキシメチルセルロース上に化学的に固定化した。この物質は、上記のペプチドを複合混合物から精製するための親和性マトリックスとしての機能を果たした。C末端Hisタグおよび遊離カルボキシル基を有するペプチドのみが、その後、質量分析計において検出された。
β−カテニンを用いたインシリコ(in silico)消化実験
Wntシグナル伝達経路は、どの動物種の胚発生過程においても、非常に重要である。このシグナル伝達経路が異常に活性化されると、腫瘍の形成に至る。大腸腺腫性ポリポーシス(APC)またはβ−カテニンタンパク質における変異により、β−カテニンタンパク質の核蓄積が生じる。T細胞因子/リンパ系増強因子(TCF/LEF)との複合体において、β−カテニンは、細胞増殖に正の影響を及ぼす転写因子の遺伝子を活性化し、無制御な細胞増殖を促進する。
このように、β−カテニンは、古典的なプロトオンコジーンを提示する。このタンパク質のモデルタンパク質としての利点は、腫瘍学との関連性および異種間でも配列が高度に保存されることである。ヒトと古典的なモデル生物体(マウス、ラット)では、1つのアミノ酸を除いて配列は同一である。
インシリコ消化
β−カテニンタンパク質をトリプシンにより、EDPプログラム(http://www.expasy.org/tools/peptidecutter/)を用いてインシリコで消化した。断片を長さの順に並べた(表3参照)。
Figure 0005350215
末端の選択とその後のデータベース検索
断片および末端を種々の観点から調査した。第一に、サンドイッチ型イムノアッセイの構築を可能にするため、断片が20以上のアミノ酸長を有することが意図された。断片がこれより短いと、立体構造上の理由により検出できないようであるが、これは、ペプチド抗原の2つのエピトープが、アッセイにおける必要時に、第1および第2の結合分子(捕捉および検出抗体)による結合に対して、同時には利用可能でないからである。
該タンパク質の構造上の特性により、N末端またはC末端付近の断片を選択することは、さらに好都合であった。N末端とC末端はいずれも、結晶構造の調査および他の方法(Huberら、Cell 1997,90,871−882参照)に基づくと、タンパク質分解に容易に利用される。このため、変性条件なしのタンパク質分解によって標的ペプチドを作製することが可能となる。
断片bcat_TTF1(配列番号70)を、腫瘍発生の原因となる変異がこの領域内で起こるという理由で選択した。
断片bcat_TTF1(配列番号70)は、トリプシン消化断片ではなく、エンドプロテイナーゼLysC消化によって生成される断片である。該消化のために別の酵素もまた択一的に使用できるように、この断片の末端を選択した。
Figure 0005350215
断片のデータベース検索
ヒトの非重複タンパク質データベースを、選択したペプチド断片の末端特異的配列(N末端の3個のアミノ酸およびC末端の4個のアミノ酸)について検索した。その結果、ヒトプロテオームのトリプシン消化によって生成され得る可能なあらゆるN末端およびC末端が示された。このようなサブプロテオームは、親和性精製の後、作製した末端特異的抗体によって、たとえば質量分析を用いて解析できる。
両末端を同時検索することによって、データベース検索をさらに絞り込んだ。該検索で、両末端間を限定しない場合、許容されるアミノ酸は100種であった。アミノ酸長が107までのトリプシン断片およびそのそれぞれの特異的末端を、データベースから検索した。しかしながら、組み合わせ検索では、ソフトウェア上の理由で、出力される断片から内部トリプシン切断部位を除外することはできなかった。組み合わせ検索によるヒットから内部トリプシン切断部位を除外することにより、1回にヒットするタンパク質、すなわち標的タンパク質であるβ−カテニン、の数を減少させることができた。すなわち、それぞれ該3つおよび4つのアミノ酸に対して末端特異的である2つの抗体は、考え得るあらゆる場合に標的タンパク質のヒット率100%を達成するのに十分であると言える。
検索の結果を以下(表5)にまとめる。
Figure 0005350215
β−カテニンを用いたインビトロ実験
β−カテニンのインシリコ消化により同定された断片末端を、該ペプチドの最後の3個または4個のアミノ酸および末端に結合する末端特異的抗体の作製に使用した。これらの抗体は、ペプチドアレイとインキュベートすることによって特性決定した。
表6に、成功した免疫付与を示す。
Figure 0005350215
免疫付与ストラテジー
表5に示す断片末端(トリプシン消化ペプチド断片のC末端またはN末端における最後の3個または4個のアミノ酸)を、標準的なペプチド化学により合成した。3つのスペーサ(8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸、DOA)を、標的とする3個または4個のアミノ酸の抗原に付加した。該ペプチドの非標的末端には、システイン基を付加した(たとえば、C−Doa−Doa−Doa−AMTR;配列番号86)。システインのチオール基により、二官能性リンカー(たとえば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、スルホ−MBS)を介した担体タンパク質(たとえば、キーホールリンペットヘモシアニンまたはオボアルブミン)への指向型コンジュゲートが可能となった。ペプチド担体タンパク質コンジュゲートを用いて標準的な免疫付与手順を実行し、ウサギおよびラットにおいてポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を生成させた。
末端特異的抗体の特性決定
生成した抗血清またはモノクローナル抗体を、ペプチドアレイを用いて特異性および交差反応性について試験した。各アレイは、mycペプチドおよびhaペプチドに融合させた標的配列である免疫原(遊離末端および3個または4個のアミノ酸およびスペーサ)を含有するペプチドから構成されたものであった。また、他のペプチドに融合させた標的配列のN−またはC−末端を、それぞれ、アセチル化またはアミド化によりブロックした。
これらのペプチドにより、適合する抗体の結合に対する遊離末端の影響/寄与を解析することが可能となった。さらに、異なるペプチドライブラリを1組合成した。標的末端の特異的アミノ酸それぞれの位置を、20種類すべてのアミノ酸のうちの1個が存在するように無作為化した。このようなX−位置ライブラリのペプチドにより、抗原−抗体結合に対する個々の位置の影響に関する情報が得られる。結合シグナルの劇的な減少は、その位置が抗原−抗体相互作用に対して強く寄与するか否かを示し、結合シグナルの減少がないことは、この位置が抗原−抗体相互作用に対して有意に寄与しないことを示す。
Figure 0005350215
すべての抗血清および抗体を、記載のペプチドアレイとともにインキュベートした。その結果、免疫付与プロセスの評価、他の末端配列に対する交差反応性の測定、抗体−抗原反応に対するスペーサの影響の測定、遊離末端に特異的な抗体の特異性の測定、および抗原−抗体結合に対する個々のアミノ酸位置の影響が可能となった。
図3に、交差反応性の測定を示す。標的末端を合成し、ミクロスフェア上に固定化した。標的末端特異的ポリクローナル血清(ここでは、AMTR)を、種々のミクロスフェアとともにインキュベートした。抗体は、その標的末端にのみ結合し、他の標的末端には結合しない。これは、この抗体がその標的末端に特異的であることを示す。
図4に、末端特異性の測定を示す。免疫原性末端に遊離カルボキシル官能基を有する標的ペプチドおよびアミド官能基として有するものを合成した。ペプチドをミクロスフェア上に固定化し、標的末端特異的ポリクローナル血清とともにインキュベートした。該抗体は、アミド型の標的末端には結合しない。これは、該抗体が末端特異的であり、遊離カルボキシル官能基が抗体結合に必要であることを示す。該抗体は、該配列(ここではAMTR)がペプチドまたはタンパク質のC末端に存在する場合にのみ結合する。
図5に、X−位置ペプチドライブラリスキャンを示す。標的末端AMTRのアミノ酸すべてを、20種のどのアミノ酸も存在可能とすることにより無作為化した、種々のペプチドライブラリを1組合成した。X−位置ライブラリペプチドを含むアレイにより、抗原−抗体反応に対するその単一アミノ酸残基の影響に関する情報が得られる。元のエピトープと比較して結合シグナルが劇的に減少した場合、この位置が抗原−抗体相互作用に対して強く寄与するか否かが明らかになる。結合シグナルの減少がないことは、この位置が抗原−抗体相互作用に対して有意に寄与しないことを示す。この抗体では、アミノ酸A、TおよびRの側鎖が、結合事象に対して非常に強い影響を示している。
精製
ポリクローナルウサギ抗体ならびにモノクローナルラット抗体を、ペプチドまたはプロテインGアフィニティカラムのいずれかを使用し、標準的な手順に従って精製した。
免疫捕捉アッセイ
該精製抗体の捕捉能を、単純なイムノアッセイ装置において試験した。インシリコ消化により同定された標的化ペプチド断片を、ビオチン化形態で合成した。該ペプチドを、複合ペプチド混合物(6量体ペプチドライブラリ)の存在下、ミクロスフェア上に固定化した抗体とともにインキュベートした。捕捉されたペプチドを、蛍光標識ストレプトアビジンを用いて検出した。
図6に、免疫捕捉アッセイの結果を示す。C末端AMTRに対して生成させた末端特異的抗体を、ミクロスフェア上に固定化した。AMTRをC末端に含むビオチン化ペプチドを、種々の濃度で、該固定化抗体とともにインキュベートした。捕捉されたペプチドを、蛍光標識ストレプトアビジンを用いて検出した。特異的被分析ペプチドは、低ナノモル領域で検出できる。
親和性質量分析によるアプローチ
該抗体を、親和性質量分析実験により試験した。AMTR特異的末端抗体をカラム上に固定化した。AMTRをC末端に含むペプチドを4種類の異なるペプチドと混合し、アフィニティカラムに負荷した。グリシン緩衝剤(pH2.5)で溶出後、フロースルー分である溶出画分および出発混合物(注入した試料)を、質量分析計により分析した。AMTR特異的標的ペプチドを混合物から定量的に捕捉し、グリシン緩衝剤を用いて溶出した。その他のペプチドはいずれも、抗AMTR Abアフィニティカラムからの溶出画分中から検出できなかった。さらに、抗AMTR AbカラムにおけるAMTRペプチドの親和性捕捉の結果、HPLC−ESI質量分析において5倍を超えるシグナルの増大が見られた。
Figure 0005350215
親和性質量分析によるアプローチの概念研究証明に使用したペプチド一覧。ペプチド標識、ペプチド配列およびESI質量スペクトルにおける種々の考え得るプロトン化ペプチドシグナルのペプチドのモノアイソトピック質量の計算値を示す。ペプチドは精製せず、粗製ペプチドとして使用した。したがって、ペプチド合成の副反応に由来する非同定夾雑物が混合物に一部存在した。
結合分子を試料混合物とともにインキュベートする本発明の方法の工程c)を示す図である。 本発明の方法の工程d)の一実施形態を示す図である。 工程d)のさらなる実施形態を示す図である。 工程d)のさらなる実施形態を示す図である。 他の末端特異的抗体に対する末端特異的抗体(AMTR)の交差反応性測定を示す図である。 図3の抗体の末端特異性測定を示す図である。 図3の抗体のX−位置ペプチドライブラリスキャンを示す図である。 図3の抗体の免疫捕捉アッセイの結果を示す図である。

Claims (8)

  1. タンパク質および/またはペプチドを含む試料混合物中から種々の被分析タンパク質および/または被分析ペプチドを検出および/または濃縮するための方法であって、
    a)試料混合物を提供する工程および、該混合物中に含有されるタンパク質を規定のペプチドに断片化する工程、
    b)前記種々の被分析タンパク質および/または被分析ペプチドの少なくとも1種類のペプチドエピトープに特異的な第1の結合分子を提供する工程であって、該ペプチドエピトープに含まれるアミノ酸が5個以下である工程、
    c)前記第1の結合分子を前記試料混合物とともにインキュベートする工程、ならびに
    d)種々の被分析タンパク質および/または被分析ペプチドのペプチドエピトープに特異的であり、前記第1の結合分子に結合された被分析タンパク質および/または被分析ペプチドを特異的に認識する第2の結合分子を使用して、前記第1の結合分子に結合された被分析タンパク質および/または被分析ペプチドを検出および/または濃縮する工程であって、前記ペプチドエピトープに含まれるアミノ酸が5個以下である工程、
    を含み、前記工程b)において使用される前記第1の結合分子が前記被分析ペプチドの2つの末端ペプチドエピトープの一方に特異的であり、該末端ペプチドエピトープが遊離NH基または遊離COOH基および3〜5個のアミノ酸を含むこと、ならびに前記第2の結合分子が前記被分析ペプチドの他方の末端ペプチドエピトープに特異的であり、該他方の末端ペプチドエピトープが遊離NH基または遊離COOH基および3〜5個のアミノ酸を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記工程a)において、変性被分析タンパク質および/または被分析ペプチドを含む試料混合物を提供することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程a)において、前記試料混合物中に存在するタンパク質および/またはペプチドを、少なくとも1種類の特異的プロテアーゼおよび/または化学的断片化によって切断し、規定のペプチドとすることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第1の結合分子が支持体上に固定化されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  5. 前記支持体が、マイクロアレイ、アフィニティカラム用支持体材料、クロマトグラフィ材料、マイクロチャネル構造物、キャピラリー表面、センサー表面、高分子多孔質海綿状構造物、ビーズを含む群から選択されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  6. 前記工程d)における検出および/または濃縮を、FRET及び近接ライゲーションアッセイからなる群から選ばれる方法による前記被分析タンパク質および/または被分析ペプチドの異なるエピトープに対する2つの異なる結合分子の同時結合によって行うことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  7. 前記第1および第2の結合分子を溶液状態で試料とともにインキュベートすることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  8. 抗体、抗体断片、アプタマー、組換え結合分子が第1および/または第2の結合分子として使用されることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
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