JP5349689B2 - ガス高純度化装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス高純度化装置及び方法に関し、特に、融点以上の温度に維持された融液状態の溶融塩を保持する容器から取り出されたガスを、高純度化するガス高純度化装置及び方法に関する。
一般的に、融点以上の高温状態にある溶融塩を取り扱う必要がある事業設備においては、溶融塩から発生する蒸気、ミスト及び微粉末により、フィルタの閉塞、製品ガスの汚染及び配管の閉塞といった現象が生じ得るため、設備構成上や処理工程上で配慮すべき事項が極めて多い。
例えば、チタンの製造においては、四塩化チタンを金属マグネシウムにより還元してチタンを得るという工程が採用されるが、かかるプロセスでは、使用されたマグネシウムが塩化マグネシウムとして回収されると共に、その塩化マグネシウムを溶融塩として電気分解することで再度金属マグネシウムを得ることができ、金属マグネシウムのリサイクル化が成されている。
かかる塩化マグネシウムの溶融塩電解の際には、塩化マグネシウムの融点が714℃である一方でマグネシウムの融点が約650℃であるので、溶融塩の温度が650℃以上であればマグネシウムを溶融金属として取り出し得る。そのため650℃以上であって、かつ、できるだけ低い温度で電気分解するために、塩化マグネシウムにアルカリ金属を加えて共融体として溶融しながら電気分解を行っている。
このように、より低温で塩化マグネシウムの溶融塩電解を行う理由としては、省エネルギー化を図ることももちろんであるが、塩化マグネシウム融液を高温にすることで発生する蒸気、ミスト及びヒュームによるガス抜き出し配管の閉塞、装置の汚染及び塩化マグネシウムのロス等を低減することが挙げられる。しかし、実際には、このように添加物を入れることにより融点を下げて電気分解を行っても、配管部分において塩化マグネシウムによる閉塞等が発生することを確実には抑えきれない現状にある。
また、シリコンの製造においては、四塩化珪素を還元する際に金属亜鉛が用いられるため、副生する塩化亜鉛を溶融塩電解することが必要になるが、かかる場合、塩化亜鉛の融点が約280℃であるのに対して亜鉛の融点が413℃であるため、亜鉛を融体で取り出すためには、413℃以上という塩化亜鉛の融点より100℃以上も高い温度で電気分解をすることが必要となり、溶融塩から発生する蒸気、ミスト及び微粉末によるガス抜き出し配管の閉塞等の発生が、より避けがたい現状にあるといえる。
また、このように溶融塩から発生する蒸気、ミスト及び微粉末により、ガス抜き出し配管の閉塞等が発生するという事象は、チタンやシリコンを製造する場合のみならず、高温の溶融塩を扱うプロセス全般において見られるものであり、かかるプロセスに本質的に内在する重要な検討課題の1つであるともいえる。
かかる状況下で、特許文献1は、電解液上部において、発生する電解生成ガスが滞留する空間を設けて、発生する蒸気やミストを電解液に戻すことにより、ガス抜き用の配管に電解ガスのみを送ることを企図した電解槽を提案している。
特開2005−200758号公報
しかしながら、本発明者が検討するところでは、特許文献1が開示する装置よりも更に大型化した装置を用いて長時間運転しようとすると、電解生成ガスの発生量が多くなるため、電解液上部に設ける空間をより大きな容積で設定する必要があり、装置構成がより大型化してしまう等の煩雑さが見受けられる傾向がある。
また一般的に、水溶液系においてガスとミストとを分離し、液滴として回収するための装置としては、金属や樹脂製のデミスタが使用されるのであるが、高温の溶融塩設備に適用できる仕様のデミスタは現存していない。また、このような高温下で長時間使用できるデミスタを新たに開発することは、耐熱性や耐腐食性に優れた材料の開発から始めなければならず、現実的なものとはいえない。
つまり、現状では、融点以上の温度に保持された融液状態の溶融塩を保持する容器からガスを取り出す際に、ガスに蒸気、ミスト及び微粉末の混在した状態で同伴してくる塩成分をガスから確実に除去して、高純度化したガスを確実に得ることのできる現実的な構成のガス高純度化装置及び方法が待望された状況にある。
本発明は、以上の検討を経てなされたもので、融点以上に保持された融液状態の溶融塩を保持する容器からガスを取り出す際に、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の大部分を融液として容器内の溶融塩に戻しながら、その後段に設置したフィルタにガスを通過させることにより、フィルタの寿命を飛躍的に伸ばすことでメンテナンスにかかる作業工数を最少とすると共に、排気ガス中の塩を極めて少なくすることでガスの高純度化を行うガス高純度化装置及び方法を提供することを目的とする。
以上の目的を達成すべく、本発明の第1の局面においては、容器内に溜められた溶融塩に由来する塩を含んだガスを高純度化するガス高純度化装置であって、前記ガスに含まれた前記塩を液体にして前記容器内の前記溶融塩に戻す還流機構と、前記ガスの排出流路において、前記還流機構の後段に配設された濾過機構と、を備えたガス高純度化装置である。
また、本発明の第2の局面においては、かかる第1の局面に加えて、前記還流機構は、前記容器に連通する前記ガスの前記排出流路に配設された多孔体と、前記ガスに含まれた前記塩を溶融自在なように前記多孔体の温度を前記塩の融点以上に設定自在なヒータと、を備えたガス高純度化装置である。
また、本発明の第3の局面においては、かかる第2の局面に加えて、前記多孔体が有する表面積が、単位時間あたりに前記多孔体に流入する前記塩の単位重量あたり、5000cm・min/g以上に設定されたガス高純度化装置である。
また、本発明の第4の局面においては、かかる第2又は第3の局面に加えて、前記多孔体に流入する前記塩を含んだ前記ガスのガス流速が、0.1cm/sec以上100cm/sec以下の範囲内に設定されたガス高純度化装置である。
また、本発明の第5の局面においては、かかる第2又は第3の局面に加えて、前記多孔体を通過した前記ガスに含まれた塩を前記多孔体に返送するガス高純度化装置である。
また、本発明の第6の局面においては、かかる第2から第5のいずれかの局面に加えて、前記多孔体の主成分が、アルミナ、カーボン、シリカ、窒化珪素、炭化珪素及び窒化ホウ素の少なくとも1種を含むガス高純度化装置である。
また、本発明の第7の局面においては、かかる第2から第6のいずれかの局面に加えて、前記多孔体が、多孔性形成物、繊維状形成物及び充填材から成る充填物の少なくとも1種を含むガス高純度化装置である。
また、本発明の第8の局面においては、かかる第2から第7のいずれかの局面に加えて、前記塩を含んだ前記ガスが前記多孔体に流入する直前領域の温度が、前記塩の前記融点以上に設定されたガス高純度化装置である。
また、本発明の第9の局面においては、かかる第8の局面に加えて、前記塩を含んだ前記ガスが前記多孔体に流入する前記直前領域の前記温度が、前記塩の前記融点よりも200℃高い温度以下に設定されたガス高純度化装置である。
また、本発明の第10の局面においては、かかる第1から第9のいずれかの局面に加えて、前記容器には、前記容器内に溜められた前記溶融塩の上方で内部空間を画成するカバー部材が載置され、前記内部空間の上部温度を前記塩の前記融点未満に設定したガス高純度化装置である。
また、本発明の第11の局面においては、かかる第1から第10のいずれかの局面に加えて、前記濾過機構は、前記ガスに含まれた前記塩を濾過自在なフィルタと、前記フィルタの温度を100℃以上に設定自在なヒータと、を備えたガス高純度化装置である。
また、本発明の第12の局面においては、かかる第11の局面に加えて、前記フィルタの前記温度が、前記塩の前記融点未満に設定されたガス高純度化装置である。
また、本発明の第13の局面においては、かかる第11又は12の局面に加えて、前記フィルタの通気度が、1.0cm/(cm/sec)以上5.0cm/(cm/sec)以下の範囲に設定されたガス高純度化装置である。
また、本発明の第14の局面においては、かかる第11から第13のいずれかの局面に加えて、前記フィルタが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びアラミドの少なくとも1種を用いて形成されたフェルト材、織物材及び多孔質材、ガラスクロス、並びにアルミナシリケートを主成分とする多孔体の少なくとも1種を含むガス高純度化装置である。
また、本発明の第15の局面においては、かかる第1から第14のいずれかの局面に加えて、前記還流機構の後段における前記ガスの排出流路が、分岐流路を有するガス高純度化装置である。
また、本発明の第16の局面においては、かかる第15の局面に加えて、前記分岐流路の路壁の温度が、前記塩の前記融点以上に設定されたガス高純度化装置である。
また、本発明の第17の局面においては、かかる第1から第16のいずれかの局面に加えて、前記ガスが、前記容器内に溜められた前記溶融塩を電気分解することによって得られるガス高純度化装置である。
また、本発明の第18の局面においては、かかる第1から第17のいずれかの局面に加えて、前記溶融塩が、塩化亜鉛を含むガス高純度化装置である。
また、本発明の第19の局面においては、容器内に溜められた溶融塩に由来する塩を含んだガスを高純度化するガス高純度化方法であって、前記ガスの排出流路において、前記ガスに含まれた前記塩を液体にして前記容器内の前記溶融塩に戻す還流工程と、前記還流工程の後段の工程で、前記ガスに含まれた前記塩を濾過する濾過工程と、を備えたガス高純度化方法である。
本発明の第1の局面におけるガス高純度化装置によれば、ガスに含まれた塩を液体にして容器内の溶融塩に戻す還流機構と、ガスの排出流路において、還流機構の後段に配設された濾過機構と、を備えることにより、融点以上に保持された融液状態の溶融塩を保持する容器からガスを取り出す際に、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の大部分を融液として容器内の溶融塩に戻しながら、その後段で濾過することができ、濾過機能の寿命を飛躍的に伸ばすことでメンテナンスにかかる作業工数を最少とすると共に、排気ガス中の塩を極めて少なくすることでガスの高純度化を行うことができる。
また、本発明の第2の局面におけるガス高純度化装置によれば、還流機構が、容器に連通するガスの排出流路に配設された多孔体と、ガスに含まれた塩を溶融自在なように多孔体の温度を塩の融点以上に設定自在なヒータと、を備えることにより、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の大部分を融液として容器内の溶融塩に戻すことができる。
また、本発明の第3の局面におけるガス高純度化装置によれば、多孔体が有する表面積が、単位時間あたりに多孔体に流入する塩の単位重量あたり、5000cm・min/g以上に設定されることにより、還流機構が、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の大部分を融液として容器内の溶融塩に戻す機能を確実に発揮することができる。
また、本発明の第4の局面におけるガス高純度化装置によれば、多孔体に流入する塩を含んだガスのガス流速が、0.1cm/sec以上100cm/sec以下の範囲内に設定されることにより、還流機構が、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の大部分を融液として容器内の溶融塩に戻す機能をより確実に発揮することができる。
また、本発明の第5の局面におけるガス高純度化装置によれば、多孔体を通過したガスに含まれた塩を多孔体に返送することにより、多孔体の内部に形成される塩の液膜の量を増大させることができ、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩がかかる液膜に取り込まれることにより、還流機構が、塩を融液としてより効率的に容器内の溶融塩に戻すことができる。
また、本発明の第6の局面におけるガス高純度化装置によれば、多孔体の主成分が、アルミナ、カーボン、シリカ、窒化珪素、炭化珪素及び窒化ホウ素の少なくとも1種を含むことにより、融点以上の高温である溶融塩の蒸気、ミストや微粉末に暴露され続ける条件下においても、多孔体の材質的劣化を確実に抑制し得て、還流機構が、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の大部分を融液として容器内の溶融塩に戻す機能をより確実に発揮することができる。
また、本発明の第7の局面におけるガス高純度化装置によれば、多孔体が、多孔性形成物、繊維状形成物及び充填材から成る充填物の少なくとも1種を含むことにより、還流機構が、簡便な構成で、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の大部分を融液として容器内の溶融塩に戻す機能を確実に発揮することができる。
また、本発明の第8の局面におけるガス高純度化装置によれば、塩を含んだガスが多孔体に流入する直前領域の温度が、塩の融点以上に設定されることにより、それ以前のガス流路の温度条件によらず、還流機構が、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の大部分を融液として容器内の溶融塩に戻す機能を確実に発揮することができる。
また、本発明の第9の局面におけるガス高純度化装置によれば、塩を含んだガスが多孔体に流入する直前領域の温度が、塩の融点よりも200℃高い温度以下に設定されることにより、装置全体の消費電力等を抑えながら、還流機構が、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の大部分を融液として容器内の溶融塩に戻す機能を確実に発揮することができる。
また、本発明の第10の局面におけるガス高純度化装置によれば、容器には、容器内に溜められた溶融塩の上方で内部空間を画成するカバー部材が載置され、内部空間の上部温度を塩の融点未満に設定することにより、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の量を低減しながら、還流機構が、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の大部分を融液として容器内の溶融塩に戻す機能を確実に発揮することができる。
また、本発明の第11の局面におけるガス高純度化装置によれば、濾過機構が、ガスに含まれた塩を濾過自在なフィルタと、フィルタの温度を100℃以上に設定自在なヒータと、を備えることにより、還流機構を通過して蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩を濾過し得て、フィルタに付着した水分の影響で、還流機構を通過して蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩が含水塩の状態でフィルタに付着することを抑制し得て、装置内の圧力が過剰に上昇することを防止しながら、排気ガス中の塩を極めて少なくすることでガスの高純度化を行うことができる。
また、本発明の第12の局面におけるガス高純度化装置によれば、フィルタの温度が、塩の融点未満に設定されることにより、還流機構を通過して蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩をフィルタ内で不要に溶融することを抑制し得て、フィルタの目詰まりを防止しながら、濾過機構が、還流機構を通過して蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩を濾過する機能を確実に発揮することができる。
また、本発明の第13の局面におけるガス高純度化装置によれば、フィルタの通気度が、1.0cm/(cm/sec)以上5.0cm/(cm/sec)以下の範囲に設定されることにより、フィルタが、0.1μm以上0.5μm以下の範囲の粒子径にある塩を95%以上捕集し得て、濾過機構が、還流機構を通過して蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩を濾過する機能を、より確実に発揮することができる。
また、本発明の第14の局面におけるガス高純度化装置によれば、フィルタが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びアラミドの少なくとも1種を用いて形成されたフェルト材、織物材及び多孔質材、ガラスクロス、並びにアルミナシリケートを主成分とする多孔体の少なくとも1種を含むことにより、フィルタの長寿命化を図りながら、濾過機構が、簡便な構成で、還流機構を通過して蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩を濾過する機能を確実に発揮することができる。
また、本発明の第15の局面におけるガス高純度化装置によれば、還流機構と濾過機構との間におけるガスの排出流路が、分岐流路を有することにより、かかる排出流路に還流機構を通過して蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩が固着した場合でも、分岐流路を切り離して内部に固着した塩を除去し得て、濾過機構が、還流機構を通過して蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩を濾過する機能を確実に発揮しながら、排気ガス中の塩を極めて少なくすることでガスの高純度化を行うことができる。
また、本発明の第16の局面におけるガス高純度化装置によれば、分岐流路の路壁の温度が、塩の融点以上に設定されることにより、分岐流路を切り離すことなく内部に固着した塩を溶融して除去し得て、濾過機構が、還流機構を通過して蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩を濾過する機能を確実に発揮しながら、排気ガス中の塩を極めて少なくすることでガスの高純度化を行うことができる。
また、本発明の第17の局面におけるガス高純度化装置によれば、ガスが、容器内に溜められた溶融塩を電気分解することによって得られることにより、溶融塩を電気分解する際に発生する電解生成ガスを取り出す際であっても、排気ガス中の塩を極めて少なくすることで電解生成ガスの高純度化を行うことができる。
また、本発明の第18の局面におけるガス高純度化装置によれば、溶融塩が、塩化亜鉛を含む場合であっても、排気ガス中の塩化亜鉛に由来する塩を極めて少なくすることでガスの高純度化を行うことができる。つまり、かかるガス高純度化装置においては、塩化亜鉛を溶融塩電解する際に用いられる電解槽のような融点より100℃以上高い高温で溶融塩を保持することが求められる容器が適用される際に、特に有意性が発揮されるものであるといえる。
また、本発明の第19の局面におけるガス高純度化方法によれば、塩を含んだガスの排出流路において、ガスに含まれた塩を液体にして容器内の溶融塩に戻す還流工程と、還流工程の後段の工程で、ガスに含まれた塩を濾過する濾過工程と、を備えることにより、融点以上に保持された融液状態の溶融塩を保持する容器からガスを取り出す際に、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の大部分を融液として容器内の溶融塩に戻しながら、その後段で濾過することができ、濾過機能の寿命を飛躍的に伸ばすことでメンテナンスにかかる作業工数を最少とすると共に、排気ガス中の塩を極めて少なくすることでガスの高純度化を行うことができる。
本発明の実施形態におけるガス高純度化装置の構成を示す概略縦断面図である。 本実施形態の変形例におけるガス高純度化装置の分岐配管の構成を示す部分拡大縦断面図である。 本実施形態におけるガス高純度化装置を用いて、ガスの高純度化を行った試験条件及び試験結果を示す表である。 本実施形態におけるガス高純度化装置を用いて、ガスの高純度化を行った結果を示すグラフである。
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態におけるガス高純度化装置及び方法につき、詳細に説明する。なお、図中、x、z軸は、2軸直交座標系をなし、z軸に平行な方向が、鉛直方向であり、適宜、z軸の正方向を上方、z軸の負方向を下方というものとする。
図1は、本実施形態におけるガス高純度化装置の構成を示す概略縦断面図である。
図1に示すように、ガス高純度化装置Sは、溶融塩保持容器10と、溶融塩保持容器10上に載置されたカバー20と、カバー20の上方に載置された排気塔30と、を備える。
具体的には、溶融塩保持容器10は、典型的には、カーボン製で閉底円筒状の形状を有して立設され、その内部に溶融塩12を貯留する。なお、かかる溶融塩12としては、限定的なものではないが、典型的には、溶融塩化亜鉛等の溶融金属塩が適用自在である。
かかる溶融塩保持容器10内に貯留された溶融塩12に対しては、1対の平板電極14a、14bと、1対の平板電極14a、14bに挟まれた中間平板電極14c、14dと、を備える電極体14が浸漬される。平板電極14a、14b及び中間平板電極14c、14dは、典型的には、カーボン製であり上下方向に延在し互いに対応して対向する。また、1対の平板電極14a、14bに対しては、一対の対応する導電線16a、16bを介して、電源16が接続される。併せて、溶融塩保持容器10の円筒壁の外周を囲んで、その内部に貯留された溶融塩12を溶融温度以上に維持して溶融状態に維持するヒータ18が配設されている。なお、中間平板電極14c、14dの総個数は、図1中では2個のみ示すが、限定的なものではなく、必要に応じて3個以上設けてもよい。また、電極体14においては、中間平板電極14c、14dを設けずに1対の平板電極14a、14bのみを設けた構成を採用して、構成を簡素化してもよい。
このように溶融塩保持容器10内に貯留された溶融塩12に対して、導電線16a、16bを介し、電源16から電極体14に電流を流して電気分解を行うと、溶融塩保持容器10内において、電解生成物である溶融状態の金属が生成されて溶融塩12との比重差に応じ上方又は下方に移動すると共に、電解生成ガスが発生して上方に移動する。この際、高温の溶融塩12からは、蒸気が発生すると共に液滴も飛散し得る。
カバー20は、典型的にはSUS鋼等の金属製で円筒状の形状を有するものであるが、その上部が閉じられるように頂壁を備える。また、カバー20は、その下端部に形成されたフランジ20a及び溶融塩保持容器10の上端部に形成されたフランジ10aを当接させた状態で、溶融塩保持容器10上に載置されて固定される。
かかるカバー20は、溶融塩保持容器10内に貯留された溶融塩12の液面の上方で内部空間22を画成すると共に、カバー20の頂壁には、排気塔30の下端が挿通される挿通孔24が形成される。併せて、カバー20の頂壁に形成された図示を省略する挿通孔を介して、一対の導電線16a、16bが対応して上下方向に延在している。
ここで、溶融塩保持容器10内で発生して上方に移動した電解生成ガスは、カバー20の内部空間22に満たされて、カバー20の頂壁に形成された挿通孔24に至る。この際、カバー20の円筒壁等の外壁は、一般的には、全体的に温度の安定した空気に接しているために特異的に壁温が変化する領域を有さず、下方から上方に連続的にその温度が低下するから、その内部空間22に存在する電解生成ガスの温度も、下方から上方に連続的に低下することになる。
また、一般的に何等の積極的な制御を加えない場合においても、例えばカバー20の高さを充分大きく設定すれば内部空間22の上部における電解生成ガスの温度が、溶融塩12の融点未満の温度となる場合もあるので、かかる場合には、高温の溶融塩12から生じ得る蒸気や飛散し得る液滴等は、ミストや微粉末となって溶融塩保持容器10内の溶融塩12に戻ることが期待されるのである。しかし、現実的には、一旦発生した溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末の大部分が、電解生成ガス中に同伴されて後段の排気塔30に吹き送られてしまう可能性もある。
つまり、溶融塩保持容器10内の溶融塩12から生じた蒸気や飛散した液滴に起因するミストや微粉末が、溶融塩12内に可能な限り戻り、電解生成ガスに同伴されて排気塔30に不要に吹き送られないように、カバー20の内部空間22の上部の電解生成ガスの温度は、内部空間22の高さを充分に大きくとったり、図示を省略する冷却機構を設ける等の構成を採用するにより、均一に溶融塩12の融点未満に維持することが好ましい。しかしながら、このようにカバー20の内部空間22の上部の電解生成ガスの温度を制御したとしても自ずと限界はあり、溶融塩保持容器10内の溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末が、電解生成ガスに同伴されて排気塔30に不要に吹き送られる現象を完全に無くすことは、現実的な装置構成を考えると難しい場合が多い。
排気塔30は、下方から上方に向かって順に、それぞれが典型的にはカーボン製である電解生成ガスの抜き出し用の第1の配管32、第2の配管34、第3の配管36、第4の配管38及び排出配管40を備える。かかる第1の配管32、第2の配管34、第3の配管36及び排出配管40は、それぞれが上下方向に延在する円筒状の単管である一方で、第4の配管38は、上下方向に延在する円筒状の単管であって、その上部は頂壁により閉じられた構成を有する。
かかる排気塔30において、第1の配管32は、その下端部をカバー20の頂壁に形成された挿通孔24に挿通して固定されると共に、第2の配管34は、第1の配管32の上端部に形成されたフランジ32a及び第2の配管34の下端部に形成されたフランジ34aを当接させた状態で、第1の配管32上に載置されて固定される。 第3の配管36は、第2の配管34の上端部に形成されたフランジ34b及び第3の配管36の下端部に形成されたフランジ36aを当接させた状態で、第2の配管34上に載置されて固定される。 第4の配管38は、第3の配管36の上端部に形成されたフランジ36b及び第4の配管38の下端部に形成されたフランジ38aを当接させた状態で、第3の配管36上に載置されて固定される。また、第4の配管38の頂壁には、挿通孔38bが形成されて、かかる挿通孔38bには、電解生成ガスを外部に排出する排出配管40の下端部が挿通されて固定されている。
更に、第1の配管32、第2の配管34、及び第4の配管38には、それぞれの円筒壁の外周を囲んで、その内部を所定温度に保持するヒータ33、35及び39が対応して配設される。また、第2の配管34の内部には、多孔体42がその外周を第2の配管34の内壁に当接させた状態で配設されると共に、第4の配管38の内部には、フィルタ44がその外周を第4の配管38の内壁に当接させた状態で配設される。そして、排出配管40には、第1の配管32、第2の配管34、第3の配管36、第4の配管38及び排出配管40の内部を上昇する電解生成ガスに対して、かかる電解生成ガスが所定の流速を呈して下方から上方に移動自在な圧力を付与する電解生成ガスの抜き出し用のポンプ46が連絡されている。なお、第1の配管32、第2の配管34、第3の配管36及び第4の配管38には、図示を省略するが、それぞれの円筒壁の外周に沿った所要の位置に断熱材が配設されている。また、図示を省略するが、第3の配管36に、その円筒壁の外周を囲んで、その内部を所定温度に保持するヒータを配設してもかまわない。
さて、第2の配管34の内部に配設された多孔体42及び第4の配管38の内部に配設されたフィルタ44の構成につき、以下、より詳細に説明する。ここで、多孔体42、及び第2の配管34の周囲に配設されたヒータ35が、溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末中に含まれる塩を液滴として、溶融塩保持容器10内に戻す機能を実現する還流機構に相当する。また、フィルタ44、及び第4の配管38の周囲に配設されたヒータ39が、かかる還流機構の後段で、溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末中の塩を濾過して捕集する機能を実現する濾過機構に相当する。
まず、第2の配管34の内部に配設された多孔体42は、溶融塩保持容器10内の溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末が、電解生成ガスに同伴されて、カバー20の頂壁に設けられた挿通孔24を介して排気塔30に流入してくることに対する対策として、第2の配管34の周囲に配設されたヒータ35と協働しながら、特に、かかる溶融塩12に由来するミストを捕捉し、微粉末を溶融して、それぞれ塩の液滴とし、第1の配管32を介して、溶融塩保持容器10内に戻す機能を有するものである。そこで、具体的には、かかる機能からいえば、多孔体42は、溶融塩12の融点以上に温度が保たれ、かつ、電解生成ガスとの接触面積が大きい多孔体であることが必要である。
具体的には、かかる多孔体42としては、多孔性形成物、繊維状形成物、及び任意の形状を有する充填材を充填した充填物の少なくとも1種を使用して、より小さな容積で電解生成ガスとの接触面積が多く取れるような比表面積が大きい構成のものであることが原理的に要請される。かかる多孔体42の材質としては、それが融点以上の高温である溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末に暴露され続ける条件で使用されることを考慮すると、アルミナ、シリカ、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、カーボンの少なくとも1種が適用できるが、多孔体42の材質的劣化を最小にするという観点からは、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素及び窒化ホウ素を単独で又は適宜組み合わせて用いることがより好ましい。
また、多孔体42に流入する溶融塩12に由来したミストや微粉末は、多孔体42自体のみならず、多孔体42の内部に形成された塩の液膜とも接触して、かかる液膜に取り込まれることにより、更に効率的に除去される。かかる液膜は、多孔体42に流入した電解生成ガス中の塩が多孔体42の表面や孔に付着して形成されるものであるから、多孔体42の材質や形状は、安定した液膜を形成できるものであることが好ましい。このような観点においても、以上の構成の多孔体42は好適に実用に供し得るものである。
ここで、かかる多孔体42における機能をより充分かつ確実に発揮させるには、溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末が、その多孔体42内で多孔体構成物と接触することで液滴となり溶融塩保持容器10内に戻る現象が効率的に起こるように、かかる蒸気、ミストや微粉末に接触し得る多孔体42の外面積及び内面積から成る総表面積(以下、適宜、単に表面積という)が、単位時間あたりに多孔体42に流入する溶融塩12に由来する塩の単位重量に対して最適に制御されていることが極めて重要である。かかる点からは、多孔体42における多孔体が有する表面積を、単位時間あたりに多孔体42内に飛散して流入してくる溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末における塩の単位重量(以下、適宜、単に塩の単位重量という)あたり、5000cm・min/g以上に設定することがより好ましいといえる。
また、多孔体42に流入する電解生成ガスのガス流速に関しては、その多孔体が有する表面積を単位時間あたりに多孔体42内に飛散して流入してくる塩の単位重量あたり、5000cm・min/g以上に設定していても、電解生成ガスのガス流速が大き過ぎる場合には、多孔体42に保持された液滴をその後段の第3の配管36側に吹き送る現象が生じる一方で、逆にかかるガス流速が小さすぎると、理論上の電解生成ガスにおける溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末の同伴量は小さくなるものの、多孔体42内の溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末の透過率が上昇して、かかる蒸気、ミストや微粉末に対する多孔体42の除去能力としては低下する傾向が見られる。かかる観点からは、多孔体42に流入する電解生成ガスのガス流速を、つまり、排気塔30を構成する第1の配管32、第2の配管34、第3の配管36、第4の配管38及び排出配管44における電解生成ガスのガス流速を、0.1cm/sec以上で100cm/sec以下の範囲内に設定することが好ましい。なお、かかる多孔体42に流入する電解生成ガスのガス流速の制御は、第1の配管32、第2の配管34、第3の配管36、第4の配管38及び排出配管40の内部に連絡したポンプ46の排出能力を適宜設定することにより行われる。
また、多孔体42が有する表面積を単位時間あたりに多孔体42内に飛散して流入してくる塩の単位重量あたり、5000cm・min/g以上に設定し、かつ、多孔体42に流入する電解生成ガスのガス流速を典型的には0.1cm/sec未満のような低い値に設定した場合には、電解生成ガスに同伴して多孔体42に流入する溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末を効率的に処理できるような構成が採用し得る。
具体的には、かかる構成は、多孔体42の孔に主として形成される塩の液膜の量を増加できるように、多孔体42を通過した電解生成ガスに含まれる塩を多孔体42に返送して、結果的に多孔体42に流入する塩の量を増加するものである。つまり、かかる構成は、多孔体42を用いた還流機構の後段に配設された濾過機構のフィルタ44に捕集された塩の一部や、還流機構と濾過機構との間に配設された第3の配管36に捕捉された塩の一部を、還流機構の多孔体42に返送する機能を有するものである。ここで、かかる塩は、フィルタ44の表面や第3の配管36の内壁面に固着又は粉体状で付着しているものであるから、機械的に剥落させたり、塩の融点以上に加熱して溶融流下させる等して、多孔体42に返送すれば足りる。粉体として付着した塩を機械的に剥離させる構成としては、濾過機構のフィルタ44に振動を印加自在な図示を省略する加振機構を採用すればよいし、融点以上に加熱して溶融させる構成としては、図示を省略する電気ヒータで加熱自在な構成を採用すればよい。また、溶融塩12の電気分解の条件等の処理条件によっては、付着された塩が粉体状で緩く付着した状態になることもあり、かかる場合には付着した塩を自然に重力で落下させることもできる。
また、多孔体42自体の温度に関しては、かかる多孔体42が、電解生成ガスに同伴される溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末に接触して液滴状態とし、溶融塩保持容器10内の溶融塩12に戻す観点からいえば、本質的には、その多孔体42の温度が、常に溶融塩12の融点以上に保持されていることが必要である。より厳密には、かかる多孔体42の温度を、あまりに溶融塩12の融点に近い温度に設定すると、蒸気、ミストや微粉末から得られる液滴の粘度が上昇することや、多孔体42の一部が溶融塩12の融点以下の温度になることが原因で、多孔体42の閉塞につながりかねないため、第2の配管34の円筒壁の壁温を制御する場合には、かかる壁温が溶融塩12の融点より50℃から150℃高い温度で制御することが好ましい。一方で、第2の配管34の円筒壁の壁温を過剰に高温にすると、多孔体42の内部に保有される溶融塩の蒸気圧が上昇することにより、多孔体の能力の低下(多孔体の溶融塩透過率の上昇)を招くと共に、熱強度や消費エネルギー量等の観点から装置構成が煩雑になるため、その温度の上限は、実用上、溶融塩12の融点より150℃高い温度に設定することが好ましい。なお、かかる多孔体42の温度の制御は、第2の配管34の円筒壁の外周を囲んで配設されたヒータ35の発熱量を適宜設定することにより行われる。また、かかる多孔体42の温度の制御は、第2の配管34内に図示を省略する保護管を有するヒータを直接導入して行ってもよく、かかる場合には、制御温度が溶融塩12の融点より20℃以上110℃以下高い温度範囲で制御すればよい。
更に、多孔体42の1次側の温度、つまり、多孔体42の直前領域の温度に関しては、溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末を同伴して第1の配管32に流入してくる電解生成ガスの温度がいかようであろうとも、まず、多孔体42で溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末を液化して液滴状態で溶融塩保持容器10内の溶融塩12に戻す必要があるため、多孔体42における電解生成ガスが流入する直前の領域での温度(以下、適宜、単に1次側の温度という)を、溶融塩12の融点以上に設定することが好ましい。一方で、多孔体42の1次側の温度を過剰に高温にしても、熱強度や消費エネルギー量等の観点から装置構成が煩雑になるため、その温度の上限は、実用上、溶融塩12の融点より200℃高い温度以下に設定することが好ましい。なお、かかる多孔体42の1次側の温度の制御は、第1の配管32の円筒壁の外周を囲んで配設されたヒータ33の発熱量を適宜設定することにより行われる。
次に、第4の配管38の内部に配設されたフィルタ44に関しては、第2の配管34の内部に配設された多孔体42を通過し得る溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末が微少量であるため、かかる蒸気、ミストや微粉末を捕集し得て耐熱性がある構成のバグフィルタを用いれば足りる。かかるフィルタ44としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリプロピレン、ポリエステル及びアラミドを単独で又は適宜組み合わせることにより形成されたフェルト材、織物材及び多孔質材、並びにガラスクロスの少なく主1つを含むフィルタが好適に使用できる。但し、フィルタ44として、アルミナシリケート製の多孔体フィルタを用いると、圧損が上昇するまでの期間が長くなるため、その有効使用期間上からはより好ましいといえる。もちろん、必要に応じて、これらの材質を適宜組み合わせてフィルタ44を構成してもよい。
また、第4の配管38の内部に配設されたフィルタ44自体の温度に関しては、かかるフィルタ44自体の温度が、100℃以上に保たれていることが必要である。というのは、フィルタ44自体の温度が100℃未満であると、装置の設置時や第4の配管38の開放時にフィルタ44に吸着した水分の影響で、溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末が含水塩の状態になってフィルタ44に付着してその内部が閉塞し、溶融塩保持容器10内等の圧力が過剰に上昇する可能性があるためである。また、フィルタ44自体の上限温度は、溶融塩12に由来する蒸気、ミストや微粉末が不要に溶融してフィルタ44に付着してその内部が閉塞しないように、溶融塩12の融点未満に設定することがより好ましい。なお、かかるフィルタ44の温度の制御は、第4の配管38の円筒壁の外周を囲んで配設されたヒータ39の発熱量を適宜設定することにより行われる。
また、第4の配管38の内部に配設されたフィルタ44の通気度は、多孔体42を通過した電解生成ガスに含まれて0.1μm以上0.5μm以下の範囲の粒子径を有する塩を95%以上捕集し得るように、1.0cm/(cm/sec)以上5.0cm/(cm/sec)以下の範囲に設定されることが好ましい。
以上の諸条件は、その範囲内において、設備コスト等の面から考えて実用上充分な効果が得られるように適宜設定自在であり、図示を省略するコントローラでプログラム的に各種構成部品を制御してもよいし、操作者が各種構成部品を手動で操作して適宜逐一設定してもよい。
さて、本実施の形態においては、第2の配管34の内部に配設された多孔体42と第4の配管38の内部に配設されたフィルタ44との間の距離が長く設定されて、第3の配管36の管長が長くなった場合に、以下のような構成を採用することが可能であるので、更に図2をも参照して、詳細に説明する。
図2は、本実施形態の変形例におけるガス高純度化装置の分岐配管の構成を示す部分拡大縦断面図である。
本変形例におけるガス高純度化装置S’は、以上のガス高純度化装置Sの構成に対して、排気塔130において、第2の配管34上に順に配設される第3の配管136、第4の配管138及び排出配管140がそれぞれ分岐管の構成を成すことが主たる相違点であり、残余の構成は同様である。よって、本変形においては、かかる相違点に着目して説明することとし、同様な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
具体的には、 図2に示すように、第3の配管136は、それぞれが典型的にはカーボン製で上下方向に延在する円筒状の単管である第1の分岐管146及び第2の分岐管156を備える。かかる第3の配管136における第1の分岐管146及び第2の分岐管156には、それぞれの円筒壁の外周を囲んで、それらの内部を所定温度に保持するヒータ147及び157が対応して配設される。
また、第3の配管136の第1の分岐管146と第2の配管34との間には、バルブ161が配設されると共に、第3の配管136の第2の分岐管156と第2の配管34との間には、バルブ162が配設される。
第4の配管138は、それぞれが典型的にはカーボン製で上下方向に延在すると共に上部が頂壁により閉じられた円筒状の単管である第3の分岐管148及び第4の分岐管158を備える。かかる第4の配管138における第3の分岐管148及び第4の分岐管158には、それぞれの円筒壁の外周を囲んで、それらの内部を所定温度に保持するヒータ39が配設されると共に、第3の分岐管148及び第4の分岐管158の内部には、フィルタ44がそれぞれ配設されている。
排出配管140は、それぞれが典型的にはカーボン製で上下方向に延在する円筒状の単管である第5の分岐管151及び第6の分岐管152を備える。かかる排出配管140における第5の分岐管151及び第6の分岐管152は、第4の配管138における第3の分岐管148及び第4の分岐管158の頂壁に形成された挿通孔148b、158bにそれぞれ対応して挿通されて固定される。なお、第5の分岐管151及び第6の分岐管152は、それらの上方で1つの排出流路にまとめられてもかまわない。
また、排出配管140における第5の分岐管151及び第6の分岐管152には、バルブ171、172がそれぞれ対応して配設されている。
かかる構成においては、多孔体42とフィルタ44との間の距離が長く設定されて、第3の配管136の長さが長くなった場合やガス高純度化装置S’を長時間運転した場合等に、第2の配管34の内部に配設された多孔体42を通過した溶融塩12に由来する微少量の蒸気、ミストや微粉末における塩が、第3の配管136の内部や第4の配管138に配設されたフィルタ44に固着し、それらが閉塞して圧損が急に増大するような事態が生ずると予想されるときであっても、ガス高純度化装置S’の運転を停止することなく、かかる事態の発生を確実に排し得るものである。
具体的には、例えば、第3の配管136の第1の分岐管146と第2の配管34との間に配設されたバルブ161及び排出配管140における第5の分岐管151に配設されたバルブ171を開き、かつ、第3の配管136の第2の分岐管156と第2の配管34との間に配設されたバルブ162及び排出配管140における第6の分岐管152に配設されたバルブ172を閉じた状態でガス高純度化装置S’を運転している際に、運転開始から所定時間が経過したならば、バルブ161、171を閉じ、かつ、バルブ162、172を開いた状態に切り替えて、ガス高純度化装置S’の運転を維持したままで、第1の分岐管146及び第3の分岐管148を系外に切り離し、第1の分岐管146の円筒壁の内面における固着物を機械的に剥離して除去し、併せて第3の分岐管148のフィルタ44を交換する。そして、また所定時間が経過すると、順次、バルブ161、171を開き、かつ、バルブ162、172を閉じた状態に切り替えて、ガス高純度化装置S’の運転を維持したままで、第2の分岐管156及び第4の分岐管158を系外に切り離し、第2の分岐管156の円筒壁の内面における固着物を機械的に除去し、併せて第4の分岐管158のフィルタ44を交換することになる。
また、例えば、第3の配管136における第1の分岐管146及び第2の分岐管156にそれぞれ配設されたヒータ147及び157により、第1の分岐管146及び第2の分岐管156の円筒壁を溶融塩12の融点以上に過熱して、それらの内面の固着物を溶融して除去することも可能である。かかる場合には、第1の分岐管146及び第2の分岐管156の円筒壁の内面の固着物を除去する際に、第1の分岐管146及び第2の分岐管156を切り離して開放する必要がなくなるため、より好ましい構成であるといえる。この際、第4の配管138における第3の分岐管148及び第4の分岐管158の内部にそれぞれ配設されたフィルタ44については、対応するヒータ39により、それらの固着物を溶融塩12の融点以上に過熱し溶融して除去してもよいし、それらの固着物を機械的に剥離してもよい。
(実験例)
以下、図1に示す本実施形態のガス高純度化装置Sを用いてガスの高純度化を行った実験例につき、更に図3及び図4をも参照して、詳細に説明する。
図3は、本実施形態におけるガス高純度化装置を用いて、ガスの高純度化を行った試験条件及び試験結果を示す表である。また、図4は、本実施形態におけるガス高純度化装置を用いて、ガスの高純度化を行った結果を示すグラフである。
図3の表にまとめて示すように、本実験例における試験条件は、まず、条件Aから条件F(図3中、条件Aから条件Fと表記する)である。そして、本実験例では、かかる試験条件にそれぞれ則って、溶融塩12として溶融塩化亜鉛を用い電極体14に所定の電流を流して10時間の試験時間で(図3中、試験時間と表記する)電気分解を行い、電解生成金属である亜鉛を溶融塩保持容器10内に溜める一方で、電解生成ガスである塩素ガスを、排気塔30を介して上方に排出しながら、多孔体42の後段である排出配管40にどの程度の塩化亜鉛が飛散して流出するかを、フィルタ44に捕集された塩化亜鉛の重量を測定して評価したものである。
試験条件としては、具体的には、溶融塩保持容器10は、カーボン製で、内径が340mmで高さが780mmのるつぼであり、かかる溶融塩保持容器10内において、塩化亜鉛(ZnCl)を575℃から585℃の温度範囲(図3中、ZnCl温度と表記する)に維持して溶融塩化亜鉛とした溶融塩12を貯留した。カバー20は、内径が404mmで高さが285mmであり、SUS鋼製とした。また、電極体14は、平板電極14a、14b及び中間平板電極14c、14dの計4枚のカーボン電極で構成し、導電線16a、16bは、それぞれSS鋼製の電極棒で構成した。この際の電解生成ガスである塩素ガスの単位時間あたりの発生量(図3中、Clと表記する)は、10l/minであった。
また、排気塔30の第1の配管32、第2の配管34、第3の配管36及び第4の配管38は、それぞれ内径(図3中、内径と表記する)を108mmの単管とし、第1の配管32及び第3の配管36の管長をそれぞれ142mm、第2の配管34の管長を700mm、及び第4の配管38の管長を250mmとした。この際の第1の配管32、第2の配管34、第3の配管36、第4の配管38及び排出配管40内の塩素ガスのガス流速(図3中、ガス流速と表記する)は、3.76cm/secであった。ここで、単位時間あたりに多孔体42内に飛散して流入してくる塩化亜鉛の単位重量(図3中、流入ZnCl重量と表記する)は、計算値で3.9g/minであった。
また、第2の配管34の円筒壁の表面は380℃に維持し、その内部にはカーボン又はアルミナの材質(図3中、材質と表記する)から成る多孔体42を配設して、その前段である第1の配管32内における多孔体42の直前領域の塩素ガスの温度(1次側の温度:図3中、1次側ガス温度と表記する)を340℃から360℃の温度範囲に維持すると共に、その後段である第3の配管36内における多孔体42の直後領域の塩素ガスの温度(2次側の温度:図3中、2次側ガス温度と表記する)を180℃から220℃の温度範囲に維持した。かかる多孔体42としては、条件Aから条件Cではカーボン製の多孔体とし、条件Dから条件Fではアルミナ製の多孔体とした。条件Aから条件Fにおける多孔体42は、それぞれ図3の表に示される厚み(第2の配管34の管長方向の長さ:図3中、厚みと表記する)、空孔率(図3中、空孔率と表記する)、比表面積(図3中、比表面積と表記する)及び表面積(総表面積:図3中総表面積と表記する)を有するもので、結果として得られる単位時間あたりに多孔体42内に飛散して流入してくる塩化亜鉛の単位重量に対する多孔体42の表面積(総表面積:図3及び図4中、総表面積/流入ZnCl重量と表記する)も、図3の表にそれぞれ示される。
また、第4の配管38の円筒壁の表面を110℃に維持し、その内部にはPTFE及びガラスクロスから成るバグフィルタであるフィルタ44を配設した。かかるフィルタ44は、その通気度を3±1cm/(cm/sec)に設定して、その捕集効率を0.1μm以上0.5μm以下の範囲の粒子径を有する粒子に対して99.4%としたものを用いた。
以上の各試験条件における試験結果は、図3の表の下段及び図4のグラフに示されるが、多孔体42の材質がカーボン及びアルミナのいずれにおいても、単位時間あたりに多孔体42内に飛散して流入してくる塩化亜鉛の単位重量に対する多孔体42の表面積(総表面積)が大きくなればなるほど、10時間の試験時間の後にフィルタ44に捕集された塩化亜鉛の重量(図3中、捕集ZnCl重量と表記する)が減少して、多孔体42における塩化亜鉛の透過率(図3及び図4中、ZnCl透過率と表記する)が減少していることが分かる。また、いずれの試験条件においても、多孔体42を通過した電解生成ガスである塩素ガスの圧力降下(図3中、ガス圧力降下と表記する)も充分に小さな値であった。
そして、いずれの試験条件においても、フィルタ44には、実質的な目詰まりが発生していなかった。また、いずれの試験条件においても、フィルタ44を透過した塩素ガスを10リットル程捕集して純水に通気し、その水溶液中の亜鉛濃度を、発光分光分析装置(ICP−AES)を用いて分析したところ亜鉛の検出限界(0.2ppm)以下の結果となり、フィルタ44を通過した塩素ガスは、塩化亜鉛成分を実質的に含まないものといえるほどの高純度なものとなっていた。このことは、いずれの試験条件においても、多孔体42の直前領域の温度、多孔体42自体の温度、フィルタ44自体の温度、及び第1の配管32、第2の配管34、第3の配管36、第4の配管38及び排出配管40内の塩素ガスのガス流速等の諸条件が適切に設定されているためであると考えられる。
また、単位時間あたりに多孔体42内に飛散して流入してくる塩化亜鉛の単位重量に対する多孔体42の表面積(総表面積)を5000cm・min/g以上の範囲内に設定した条件C、条件E及び条件Fにおいては、10時間の試験時間の後にフィルタ44に補足された塩化亜鉛の重量が格段に減少しており、特に条件Fにおいては、多孔体42がなければ飛散してくるはずの塩化亜鉛の重量の99.5%が、フィルタ44に飛散してこないことを示しており、フィルタ44の寿命を飛躍的に延ばすことが可能であることが分かる。
また、多孔体42としては、条件Aから条件Cではカーボン製の多孔体を用い、条件Dから条件Fではアルミナ製の多孔体を用いたが、単位時間あたりに多孔体42内に流入してくる塩化亜鉛の単位重量に対する多孔体42の表面積を指標とするとき、多孔体42としての能力はカーボン製の方が高い結果が得られた。一方で、多孔体42をカーボン製とした場合には、その比表面積が小さいために、必要な表面積を確保するにはその体積が大きくなってしまう傾向にある。つまり、現実的には、より比表面積が大きな材料である程、多孔体42が必要とする体積が小さくなるため、比表面積が大きな形状のものが適度な体積で安価に入手できるかという点も考慮して、多孔体42の材質を適宜決定していくことになる。
(条件Aから条件Fの比較例)
一方で、比較例として、以上の実験例の各試験条件において多孔体42を省略した構成で実験を行ったところ、図3の条件Gに示すように、10時間の試験時間の後にフィルタ44に補足された塩化亜鉛の重量が格段に増加していることが分かる。かかるレベルの塩化亜鉛の重量であると、数十時間でフィルタ44が目詰まりしてしまうため、実用上は、フィルタ44の寿命が不足するものと評価される。
(ガス流速を異ならせた実験例)
更に、第1の配管32、第2の配管34、第3の配管36、第4の配管38及び排出配管40内の電解生成ガスである塩素ガスのガス流速をより小さな値とした実験も行った。具体的には、図3の条件Hに示すように、かかるガス流速を0.08cm/secとして450時間の試験時間で電気分解を行い、残余の試験条件は条件Fと同じものに設定した。
かかる条件Hでは、フィルタ44で捕集した塩化亜鉛の一部が自然に剥離してアルミナ多孔体42に返送される設定となっており、多孔体42がなければ飛散してくるはずの塩化亜鉛の重量の94.7%がフィルタ44に飛散してこない結果が得られた。これは、多孔体42に対して、循環比として15%以上30%以下の範囲で塩化亜鉛を返送しながら運転できたものと評価できる。
(条件Hの比較例)
更に、比較例として、条件Hにおいて、フィルタ44の配設位置を多孔体42の直上部から偏位させて、塩が多孔体に戻らないようにした構成で実験を行ったところ、図3の条件Iに示すように、多孔体42により除去された塩化亜鉛の重量の比が、条件Hにおける94.7%から変化して77.6%の値を示した。
かかるガス流速を異ならせた実験例及びその比較例における結果からは、塩素ガスのガス流量を実用化できる範囲において低流量化して、塩化亜鉛を多孔体42に返送することによりフィルタ44の寿命を更に延長できることが分かる。
以上の構成によれば、ガスに含まれた塩を液体にして容器内の溶融塩に戻す還流機構と、ガスの排出流路において、還流機構の後段に配設された濾過機構と、を備えることにより、また、塩を含んだガスの排出流路において、ガスに含まれた塩を液体にして容器内の溶融塩に戻す還流工程と、還流工程の後段の工程で、ガスに含まれた塩を濾過する濾過工程と、を備えることにより、融点以上に保持された融液状態の溶融塩を保持する容器からガスを取り出す際に、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の大部分を融液として容器内の溶融塩に戻しながら、その後段で濾過することができ、濾過機能の寿命を飛躍的に伸ばすことでメンテナンスにかかる作業工数を最少とすると共に、排気ガス中の塩を極めて少なくすることでガスの高純度化を行うことができる。
なお、本発明においては、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
以上のように、本発明においては、融点以上に保持された融液状態の溶融塩を保持する容器からガスを取り出す際に、蒸気、ミスト及び微粉末の状態でガスに同伴してくる塩の大部分を融液として容器内の溶融塩に戻しながら、その後段に設置したフィルタにガスを通過させることにより、フィルタの寿命を飛躍的に伸ばすことでメンテナンスにかかる作業工数を最少とすると共に、排気ガス中の塩を極めて少なくすることでガスの高純度化を行うガス高純度化装置及び方法を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から溶融塩の電気分解装置等に広範に適用され得るものと期待される。

Claims (19)

  1. 容器内に溜められた溶融塩に由来する塩を含んだガスを高純度化するガス高純度化装置であって、
    前記ガスに含まれた前記塩を液体にして前記容器内の前記溶融塩に戻す還流機構と、
    前記ガスの排出流路において、前記還流機構の後段に配設された濾過機構と、
    を備えたガス高純度化装置。
  2. 前記還流機構は、前記容器に連通する前記ガスの前記排出流路に配設された多孔体と、前記ガスに含まれた前記塩を溶融自在なように前記多孔体の温度を前記塩の融点以上に設定自在なヒータと、を備えた請求項1に記載のガス高純度化装置。
  3. 前記多孔体が有する表面積が、単位時間あたりに前記多孔体に流入する前記塩の単位重量あたり、5000cm・min/g以上に設定された請求項2に記載のガス高純度化装置。
  4. 前記多孔体に流入する前記塩を含んだ前記ガスのガス流速が、0.1cm/sec以上100cm/sec以下の範囲内に設定された請求項3に記載のガス高純度化装置。
  5. 前記多孔体を通過した前記ガスに含まれた塩を前記多孔体に返送する請求項3に記載のガス高純度化装置。
  6. 前記多孔体の主成分が、アルミナ、カーボン、シリカ、窒化珪素、炭化珪素及び窒化ホウ素の少なくとも1種を含む請求項2に記載のガス高純度化装置。
  7. 前記多孔体が、多孔性形成物、繊維状形成物及び充填材から成る充填物の少なくとも1種を含む請求項2に記載のガス高純度化装置。
  8. 前記塩を含んだ前記ガスが前記多孔体に流入する直前領域の温度が、前記塩の前記融点以上に設定された請求項2に記載のガス高純度化装置。
  9. 前記塩を含んだ前記ガスが前記多孔体に流入する前記直前領域の前記温度が、前記塩の前記融点よりも200℃高い温度以下に設定された請求項8に記載のガス高純度化装置。
  10. 前記容器には、前記容器内に溜められた前記溶融塩の上方で内部空間を画成するカバー部材が載置され、前記内部空間の上部温度を前記塩の融点未満に設定した請求項1に記載のガス高純度化装置。
  11. 前記濾過機構は、前記ガスに含まれた前記塩を濾過自在なフィルタと、前記フィルタの温度を100℃以上に設定自在なヒータと、を備えた請求項1に記載のガス高純度化装置。
  12. 前記フィルタの前記温度が、前記塩の融点未満に設定された請求項11に記載のガス高純度化装置。
  13. 前記フィルタの通気度が、1.0cm/(cm/sec)以上5.0cm/(cm/sec)以下の範囲に設定された請求項11に記載のガス高純度化装置。
  14. 前記フィルタが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びアラミドの少なくとも1種を用いて形成されたフェルト材、織物材及び多孔質材、ガラスクロス、並びにアルミナシリケートを主成分とする多孔体の少なくとも1種を含む請求項11に記載のガス高純度化装置。
  15. 前記還流機構の後段における前記ガスの排出流路が、分岐流路を有する請求項1に記載のガス高純度化装置。
  16. 前記分岐流路の路壁の温度が、前記塩の前記融点以上に設定された請求項15に記載のガス高純度化装置。
  17. 前記ガスが、前記容器内に溜められた前記溶融塩を電気分解することによって得られる請求項1に記載のガス高純度化装置。
  18. 前記溶融塩が、塩化亜鉛を含む請求項1に記載のガス高純度化装置。
  19. 容器内に溜められた溶融塩に由来する塩を含んだガスを高純度化するガス高純度化方法であって、
    前記ガスの排出流路において、前記ガスに含まれた前記塩を液体にして前記容器内の前記溶融塩に戻す還流工程と、
    前記還流工程の後段の工程で、前記ガスに含まれた前記塩を濾過する濾過工程と、
    を備えたガス高純度化方法。
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