JP5348099B2 - ポリマーエマルジョンの製造方法およびそれを含んでなるインク組成物 - Google Patents
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Description
また、顔料を水性媒体に分散させたインクが提供されている。顔料を水性媒体に分散させたインクは、水溶性染料に比べて耐水性や耐光性に優れるという特徴を有する。
一価の無機水酸化物を添加して、pH値を中性〜アルカリ性の範囲に調製することを含んでなるものである。
「ポリマーエマルジョン」とは、連続相が水であり、分散粒子がポリマー微粒子である水性分散液を意味する。「ポリマーエマルジョン」は、樹脂エマルジョンと呼ばれることがある。「ポリマー微粒子」とは、ポリマー成分の微粒子を意味する。ポリマー微粒子を構成するポリマー成分の具体例としては、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、などが挙げられる。
a)モノマー
本発明にあって、モノマーは、好ましくは、不飽和ビニルモノマーを用いる。
不飽和ビニルモノマーの具体例としては、一般的に乳化重合で使用されるアクリル酸エステルモノマー類、メタクリル酸エステルモノマー類、芳香族ビニルモノマー類、ビニルエステルモノマー類、ビニルシアン化合物モノマー類、ハロゲン化モノマー類、オレフィンモノマー類、ジエンモノマー類が挙げられる。その具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、等のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル、等のハロゲン化モノマー類;スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー類;エチレン、プロピレン、イソプロピレン、等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニルモノマー類が挙げられる。カルボキシル基を有さないモノマーには、カルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーの利用が必須となるが、好ましいその例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸が挙げられ、メタクリル酸の利用が好ましい。
乳化剤の具体例としては、アルキルアリルスルホン酸塩または硫酸塩、アルキルスルホン酸塩または硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ソルビタンモノラウリン酸エステル等のノニオン性界面活性剤などが挙げられる。また、本発明において、「乳化剤」は保護コロイドをも包含するものである。保護コロイドの具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、トラガントガム、ゼラチン、等が挙げられる。
ポリマー微粒子は、モノマーと、乳化剤と、重合開始剤と、その他の任意成分を混合し乳化重合反応させて製造することができる。これら成分の添加量は、適宜定めることができる。乳化重合反応温度は60〜90℃であり、好ましくは70〜80℃程度である。
本発明にあっては、上記した乳化重合によって得られたポリマーエマルジョンは、一価の無機水酸化物を添加することによって、pH値を中性〜アルカリ性の範囲に調製されてなる。
ポリマーエマルジョンの製造法は、概説すれば以下の通りである。水、乳化剤を仕込み、重合開始剤を添加して、所定温度に調整された攪拌機、環流コンデンサー、滴下装置、温度計等を具備した反応容器に、乳化したモノマーを加えて反応させてポリマーエマルジョンを得る。これに、所望のpHとなるように一価の無機水酸化物を添加する。これによって、本発明によるポリマーエマルジョンが製造される。
本発明によって製造されるポリマーエマルジョンは、ポリマー微粒子と水との割合が、1:1〜4程度であり、好ましくは1:1〜3程度の範囲である。なお、本発明の好ましい態様によれば、ポリマー微粒子は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つポリマー成分からなるものが好ましい。また、ポリマー微粒子の重量平均分子量は、10,000程度以上である。ポリマー微粒子の平均粒子径は400nm程度以下が好ましく、より好ましくは10〜200nm程度、さらに好ましくは50〜200nm程度である。
本発明におけるインク組成物は、顔料と、ポリマーエマルジョンと、水と、水溶性有機溶剤とを含んでなるものであって、ポリマーエマルジョンが、上記した製造方法によって製造されたポリマーエマルジョンであることを特徴とするものである。本発明によるインク組成物は、インク組成物を用いた記録方法に用いられる。インク組成物を用いた記録方法とは、例えば、インクジェット記録方法、ペン等による筆記具による記録方法、その他各種の印字方法が挙げられる。特に本発明によるインク組成物は、インクジェット記録方法に好ましく利用される。
ポリマーエマルジョンは、上記した本発明による製造方法によって製造されたポリマーエマルジョンを用いる。ポリマーエマルジョンの添加量は、ポリマーエマルジョンを構成するポリマー微粒子のインク組成物に対する添加量によって適宜定めることができる。よって、ポリマー微粒子の添加量は、インク組成物全量に対して0.1〜30重量%であり、好ましくは5〜30重量%である。
本発明におけるインク組成物は着色剤として顔料を用いる。顔料は耐光性、耐水性の面で優れた着色剤である。
本発明の好ましい態様の一つとしては、顔料は、分散剤なしに水に分散可能なものを利用することが好ましい。そのような顔料は、その表面に、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはスルホン基の少なくとも一種の官能基またはその塩が結合するような表面処理により、分散剤なしに水に分散可能とされたものが挙げられる。具体的には、例えば、真空プラズマなどの物理的処理や化学的処理(例えば、次亜塩素酸、スルホン酸などによる酸化処理)により、官能基または官能基を含んだ分子をカーボンブラックの表面にグラフトさせることによって得ることができる。本発明において、一つのカーボンブラック粒子にグラフトされる官能基は一種または二種以上であってもよい。グラフトされる官能基の種類およびその程度は、インク中での分散安定性、色濃度、およびインクジェットヘッド前面での乾燥性等を考慮しながら適宜決定されてよい。
スルホン化処理は、親水性基付与剤としてスルホン化剤を利用して、顔料粒子の表面にスルホン酸基(−SO2OH)および/またはスルフィン酸基(−RSO2H:RはC1〜C12のアルキル基、または、フェニル基およびその誘導体)を付与する処理をいう。
この後加熱処理し、顔料粒子のスラリーから、溶剤および残留する硫黄を含む処理剤を除去する。この除去は、水洗,限外濾過,逆浸透等の方法、遠心分離,濾過等を繰り返して行うことによってなされる。
カルボキシル化処理は、親水性基付与剤としてカルボキシル化剤を利用して、顔料粒子の表面に、カルボン酸基(−COOH)を付与する処理をいう。カルボキシル化剤の具体例としては、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カリウム等が挙げられ、これらの処理剤は顔料粒子の表面の一部の結合、例えばC=C、C−Cを切断し酸化してカルボキシル化処理を行う。
本発明の好ましい別の態様によれば、顔料(前記した表面処理顔料も含む)は分散剤で水性媒体中に分散させた顔料分散液としてインクに添加することが好ましい。顔料分散液を調製するのに用いられる分散剤の具体例としては、例えば高分子分散剤、界面活性剤が挙げられる。
本発明におけるインク組成物は水、水溶性有機溶媒を主成分として用いる。
〈浸透剤〉
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は、浸透剤をさらに含んでなるものが好ましい。前記した水溶性有機溶媒のある種のものは浸透剤として機能しうるが、本発明にあっては、以下のものが好ましくは浸透剤として利用される。
そのような界面活性剤の具体例としては、アニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、ノニオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)、両性界面活性剤(例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビスポリオキシエチレンアンモニウム硫酸エステルベタイン、2−アルキル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)等が挙げられる。これらは一種または二種以上を併用することができる。
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は、湿潤剤をさらに含んでなるものが好ましい。前記した水溶性有機溶媒のある種のものは湿潤剤として機能しうるものであるが、本発明にあっては、以下のものが湿潤剤として好ましくは利用される。
本発明によるインク組成物は、pH調整剤をさらに含んでなるものであってもよい。pH調整剤はインク組成物の粘度等の物性を長期間安定に保つ目的で添加される。pH調整剤の具体例としては、一価の無機水酸化物であり、より好ましくは、アルキル金属の水酸化物であり、その中でも水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムが好ましい。pH調整剤の添加量は、インク組成物のpH値が7.5〜8.5の範囲となるように適宜決定されてよい。
本発明によるインク組成物は、必要に応じて、防腐剤、防かび剤、酸化防止剤、表面張力調整剤、ノズルの目詰まり防止剤等の添加剤をさらに含んでなるものであってもよい。防腐剤・防かび剤としては、例えば安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)などから選択することができる。
本発明によるインク組成物は、前記成分を適切な方法で分散、混合することによって製造することができる。適切な分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなど)により、顔料を均一に分散させた顔料分散液を調製する。次に、この分散液に、ポリマーエマルジョン、水溶性有機溶媒、浸透剤、湿潤剤、pH調整剤、防腐剤、防かび剤等を加えて充分攪拌してインク溶液を調製する。充分に攪拌した後に、目詰まりの原因となる粗大粒子および異物を除去するためにろ過または遠心分離を行って目的のインク組成物が製造される。
本発明において記録媒体は、紙などのインク組成物に対して吸収性を有するもの、また、インク受理層を有するものが好適には用いられる。さらに、印刷後に加熱工程を設ける場合には、インク組成物に対して実質的に非吸収性の記録媒体も用いられる。記録媒体の具体例としては、普通紙、再生紙、上質紙、インクジェット記録用専用紙などの記録紙;ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリサルフォン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等を基材とするプラスチックシート;黄銅、鉄、アルミニウム、SUS、銅等の金属表面または非金属の基材に蒸着等の手法により金属コーティング処理をした記録媒体;紙を基材として撥水処理などがなされた記録媒体;布等の繊維表面に撥水処理等がなされた記録媒体;無機質の材料を高温で焼成した、いわゆるセラミックス材料からなる記録媒体;などが挙げられる。
ポリマー微粒子を分散粒子とするポリマーエマルジョンを下記の方法によって調製した。また、得られたポリマーエマルジョンの諸特性を以下の方法によって測定した。
攪拌機、温度計、還流冷却器、および滴下漏斗を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、過硫酸カリウム0.5重量部と純水80重量部とを加えて溶解し攪拌しながら、内温を70℃まで加熱した。一方、下記の表A1および表A2(表A1および表A2中、数値の単位は重量部を表す)に示した各成分を混合し攪拌して乳化物を調製した。この乳化物を滴下漏斗を用いて上記フラスコ内に3時間かけて徐々に滴下し乳化重合反応を行った。得られたポリマーエマルジョンの一部にをKOH、NaOH、およびLiOH(例)を添加して、また残りのものにアンモニア(比較例)を添加して、固型分40重量%、pH8に調製したポリマーエマルジョンの形態とした。得らたポリマーエマルジョンは、最低成膜温度が20℃程度で、その平均粒子経が150nmであった。
最低成膜温度測定装置を用いて測定した。アルミニウム製の試料板上の温度勾配が平衡に達したところで、ポリマーエマルジョンを薄く延ばして乾燥させた。
乾燥終了後に試料板上を観察したとき、最低成膜温度以上の温度領域では透明な連続フィルムが形成されるが、最低成膜温度以下の温度領域では白色粉末状となる。この境界の温度を最低成膜温度として測定した。
接触角測定装置を用いて25℃で測定した。ポリマー微粒子が10重量%となるように調製したポリマーエマルジョンの一滴を、表面が平滑な四フッ化エチレン樹脂(テフロン(登録商標))板上に滴下し、その時の接触角を顕微鏡で読み取る方法で測定を行った。
ポリマー微粒子が35重量%となるように調製したポリマーエマルジョンを、25℃において、全自動平衡式エレクトロ表面張力ディジオマチックESB−IV型(協和科学株式会社製)を使用して測定を行なった。
ポリマー微粒子が0.1重量%となるように調製したポリマーエマルジョン3mlを、分光光度計用セルに気泡の入らないように入れ、分光光度計の試料室にセットした。セル内に1mol/lの塩化マグネシウム水溶液1mlを滴下すると同時に波長700nmでの透過率の時間変化を測定した。初期の透過率に対する所定時間の透過率が50%となる時間を求めた。
平均粒径は、リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて測定した。
下記の表A3〜表A6(表A3〜表A6中、数値の単位は重量%を表す)に示した各成分を次の操作を行うことによってインク組成物を調製した。先ず、顔料と分散剤と水とを混合し、サンドミル(安川製作所製:充填剤としてジルコニア(直径1mm、充填率60%))で2時間分散させた。その後、遠心分離機で粗粒分を除去して顔料の水系分散液を調製した。一方、ポリマーエマルジョンおよびその他の成分を混合し常温で20分間撹拌して攪拌物を得た。この攪拌物に上記顔料の水系分散液を徐々に滴下し、さらに20分間撹拌した。これを、5μmのメンブランフィルターでろ過してインク組成物を得た。
〈ポリマーエマルジョンの評価試験A〉
上記で調製したポリマーエマルジョンを50mlをポリプロピレン容器に室温(約20℃)で入れた。その後、60℃で4週間放置した後、ポリマーエマルジョンのpHおよび粘性を調べて、下記の基準に従って評価した。その結果は、下記表1または表2に示した通りであった。表A1および表A2において、MFTはポリマーエマルジョンの最低成膜温度を示し、γは表面張力を示す。
評価A:初期値と比較して、pH、粘度に変化がなかった。
評価B:初期値と比較して、pHが1割低下して、粘度が1割上昇した。
評価C:初期値と比較して、pHが2割以上低下して、粘度が2割以上昇した。
上記のインク組成物について、下記のインク評価試験を行った。なお、評価A2およびA3における印刷方法は以下の通りであった。インクジェットプリンタMJ−700C(セイコーエプソン株式会社製)によって、以下の各紙に文字の印刷を行った。インクの吐出量は0.07μg/dot、密度は360dpiであった。用いた印刷試験用紙は以下の通りであった。各評価の結果は、下記表A3〜表A6に示した通りであった。
Xerox P紙(ゼロックス株式会社)
Xerox 4024紙(ゼロックス株式会社)
Xerox R紙(ゼロックス株式会社:再生紙)
やまゆり紙(本州製紙株式会社:再生紙)
上記で調製したインク組成物を50mlをポリプロピレン容器に室温(約20℃)で入れた。その後、60℃で4週間放置した後、ポリマーエマルジョンのpHおよび粘性を調べて、下記の基準に従って評価した。
評価A:初期値と比較して、pH、粘度に変化がなかった。
評価B:初期値と比較して、pHが1割低下して、粘度が1割上昇した。
評価C:初期値と比較して、pHが2割以上低下して、粘度が2割以上昇した。
プリンタにインク組成物を充填し、10分間連続して英数文字を印刷した。その後、プリンターを停止し、キャップをせずに、温度40℃、湿度25%の環境下で、1週間放置した。放置後に再び英数文字を印刷し、放置前と同等の印刷品質が得られるまでに要した復帰動作の回数を調べて、下記の基準に従って評価した。
評価A:0〜2回の復帰動作で初期と同等の印字品質が得られた。
評価B:3〜5回の復帰動作で初期と同等の印字品質が得られた。
評価C:6回以上の復帰動作で初期と同等の印字品質が得られなかった。
プリンタにインク組成物を充填し、英数文字を連続印刷して、ドット抜けおよびインクの飛び散りを観察する。ドット抜けおよびインクの飛び散りが発生する記録紙の枚数を調べて、下記の基準で評価した。
評価A:1,000枚未満であった。
評価B:1,000以上5,000枚以内であった。
評価C:5,000枚超過であった。
ポリマー微粒子を分散粒子とする水性エマルジョンを下記の方法によって調製した。また、得られた水性エマルジョンの特性を以下の方法によって測定した。
最低成膜温度測定装置を用いて測定した。アルミニウム製の試料板上の温度勾配が平衡に達したところで、水性エマルジョンを薄く延ばして乾燥させた。乾燥終了後に試料板上を観察したとき、最低成膜温度以上の温度領域では透明な連続フィルムが形成されるが、最低成膜温度以下の温度領域では白色粉末状となる。
この境界の温度を最低成膜温度として測定した。
接触角測定装置を用いて25℃で測定した。10重量%に調製した水性エマルジョン一滴を表面が平滑な四フッ化エチレン樹脂(テフロン(登録商標))板上に滴下し、その時の接触角を顕微鏡で読み取る方法で測定を行った。
水性エマルジョンの固形分を35重量%に調製し、25℃において、全自動平衡式エレクトロ表面張力ディジオマチックESB−IV型(協和科学株式会社製)を使用して、測定を行なった。
ポリマー微粒子が0.1重量%となるように調製した水性エマルジョンの3mlを分光光度計用セルに気泡の入らないように入れ、分光光度計の試料室にセットした。セル内に1mol/lの塩化マグネシウム水溶液1mlを滴下すると同時に波長700nmでの透過率の時間変化を測定した。初期の透過率に対する所定時間の透過率が50%となる時間を求めた。
平均粒径は、リーズ&ノースロップ社製のレーザードップラー方式粒度分布測定機マイクロトラックUPA150を用いて測定した。
攪拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900gおよびラウリル硫酸ナトリウム4gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌し70℃まで昇温し、内温を70℃に保持して、重合開始剤として過硫酸カリウム2gを添加し、溶解した。予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3g、アクリルアミド20g、スチレン435g、ブチルアクリレート475g、メタクリル酸30g、エチレングリコールジメタクリレート2gを攪拌下に加えて乳化物を調製した。この乳化物を前記反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間の熟成を行った。得られたポリマー微粒子B1のポリマーエマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化カリウムとを添加して固形分35重量%、pH8に調製した。得られたポリマー微粒子のポリマーエマルジョンは、最低成膜温度が22℃、表面張力が53×10-3N/m(53dyne/cm)、接触角が83°、平均粒子径が100nm、Mg2+イオンとの反応における半減期が150秒であった。
攪拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900gおよびラウリル硫酸ナトリウム4gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌し70℃まで昇温し、内温を70℃に保持して、重合開始剤として過硫酸カリウム2gを添加し、溶解した。予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3g、アクリルアミド20g、スチレン435g、ブチルアクリレート475g、メタクリル酸30g、エチレングリコールジメタクリレート40gを攪拌下に加えて乳化物を調製した。この乳化物を、反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間の熟成を行った。得られたポリマーエマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウムを添加して固形分35重量%、pH8に調製した。得られたポリマー微粒子B2の水性エマルジョンは、最低成膜温度が22℃、表面張力が57×10-3N/m(57dyne/cm)、接触角が95°、平均粒子径が102nm、Mg2+イオンとの反応における半減期が90秒であった。
攪拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900gおよびラウリル硫酸ナトリウム4gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌し70℃まで昇温し、内温を70℃に保持して、重合開始剤として過硫酸カリウム2gを添加し、溶解した。予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3g、アクリルアミド20g、スチレン435g、ブチルアクリレート475g、メタクリル酸30g、エチレングリコールジメタクリレート10gを攪拌下に加えて乳化物を調製した。この乳化物を反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間の熟成を行った。得られたポリマーエマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウムを添加して固形分35重量%、pH8に調製した。得られたポリマー微粒子B3のポリマーエマルジョンは、最低成膜温度が22℃、表面張力が54×10-3N/m(54dyne/cm)、接触角が85°、平均粒子径が101nm、Mg2+イオンとの反応における半減期が134秒であった。
攪拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900gおよびラウリル硫酸ナトリウム4gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌し70℃まで昇温し、内温を70℃に保持して、重合開始剤として過硫酸カリウム2gを添加し溶解した。予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3g、アクリルアミド20g、スチレン435g、ブチルアクリレート475g、メタクリル酸30g、およびテトラエチレングリコールジメタクリレート10gを攪拌下に加えて乳化物を調製した、反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間の熟成を行った。得られたポリマーエマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウムを添加して固形分35重量%、pH8に調製した。得られたポリマー微粒子のポリマーエマルジョンは、最低成膜温度が22℃、表面張力51×10-3N/m(51dyne/cm)、接触角80°、平均粒子径190nm、Mg2+イオンとの反応における半減期が3860秒であった。
攪拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900gを仕込み、素雰囲気下で攪拌し70℃まで昇温し、内温を70℃に保持して、重合開始剤として過硫酸カリウム2gを添加し、溶解した。予めイオン交換水70g、ラウリル硫酸ナトリウム1.0gにスチレン53g、ブチルアクリレート59g、グリシジルメタクリレート48g、さらに分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.16gを攪拌下に加えて乳化物を調製した。この乳化物を反応容器内に連続的に1時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間の熟成を行った。続いて、予めイオン交換水70g、ラウリル硫酸ナトリウム1.0g、アクリルアミド1gにスチレン79g、ブチルアクリレート80g、およびt−ドデシルメルカプタン0.16gを攪拌下に加えて乳化物を調製した。この乳化物を反応容器内に連続的に1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間の熟成を行った。続いて、重合開始剤として過硫酸アンモニウム2gをイオン交換水20gに溶解した水溶液を反応容器内に添加した。さらに予めイオン交換水300g、ラウリル硫酸ナトリウム2g、アクリルアミド16gにスチレン298g、ブチルアクリレート297g、メタクリル酸29g、エチレングリコールジメタクリレート10g、およびt−ドデシルメルカプタン0.65gを攪拌下に加えて乳化物を調製した。この乳化物を反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で時間の熟成を行った。得られたポリマーエマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化カリウムを添加して固形分35重量%、pH8に調製した。得られたポリマー微粒子B5のポリマーエマルジョンはコアシェル構造を有した平均粒子径90nmのポリマー微粒子からなり、最低成膜温度が24℃、表面張力が58×10-3N/m(58dyne/cm)、接触角が108°、平均粒子径が90nm、Mg2+イオンとの反応における半減期が10秒であった。
攪拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌し70℃まで昇温し、内温を70℃に保持して、重合開始剤として過硫酸カリウム2gを添加し、溶解した。
予めイオン交換水70g、ラウリル硫酸ナトリウム0.5gにスチレン53g、ブチルアクリレート59g、グリシジルメタクリレート48g、さらに分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.16gを攪拌して乳化物を調製した。
この乳化物を反応容器内に連続的に1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間の熟成を行った。続いて、予めイオン交換水70g、ラウリル硫酸ナトリウム0.5g、アクリルアミド1gにスチレン79g、ブチルアクリレート80g、およびt−ドデシルメルカプタン0.16gを攪拌して乳化物を調製した。この乳化物を、反応容器内に連続的に1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間の熟成を行った。続いて、重合開始剤として過硫酸アンモニウム2gをイオン交換水20gに溶解した水溶液を反応容器内に添加した。さらに予めイオン交換水300g、ラウリル硫酸ナトリウム2g、アクリルアミド16gにスチレン298g、ブチルアクリレート297g、メタクリル酸29g、テトラエチレングリコールジメタクリレート10g、およびt−ドデシルメルカプタン0.65gを攪拌下に加えて乳化物を調製した。この乳化物を反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後同温度で、3時間の熟成を行った。得られたポリマー微粒子のポリマーエマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化カリウムとを添加して固形分35重量%、pH8に調製した。得られたポリマー微粒子B6のポリマーエマルジョンはポリマー微粒子がコアシェル構造を有したものであった。ポリマーエマルジョンは、最低成膜温度が24℃、表面張力が55×10-3N/m(55dyne/cm)、接触角が92°、平均粒子径が180nm、Mg2+イオンとの反応における半減期が3620秒であった。
攪拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水400gおよびラウリル硫酸ナトリウム4gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌し70℃まで昇温し、内温を70℃に保持して、重合開始剤として過硫酸カリウム1gを添加し、溶解した。予めイオン交換水300g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにブチルアクリレート470g、メタクリル酸30gを攪拌下に加えて乳化物を調製した。この乳化物を反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間の熟成を行った。得られたポリマー微粒子のポリマーエマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニアとを添加して固形分35重量%、pH8に調製した。得られたポリマー微粒子B7のポリマーエマルジョンは、最低成膜温度が5℃、平均粒子径が180nmであった。
攪拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900gおよびラウリル硫酸ナトリウム4gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌し70℃まで昇温し、内温を70℃に保持して、重合開始剤として過硫酸カリウム2gを添加し、溶解した。予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにスチレン435g、ブチルアクリレート475g、メタクリル酸30gおよびエチレングリコールジメタクリレート60gを攪拌下に加えて乳化物を調製した。この乳化物を反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間の熟成を行った。得られたポリマー微粒子B8のポリマーエマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニアとを添加して固形分35重量%、pH8に調製した。
攪拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900gおよびラウリル硫酸ナトリウム4gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌し70℃まで昇温し、内温を70℃に保持して、重合開始剤として過硫酸カリウム2gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにスチレン435g、ブチルアクリレート475g、メタクリル酸3gを攪拌下に加えて乳化物を調製した。この乳化物を反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間の熟成を行った。得られたポリマー微粒子のポリマーエマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニアとを添加して固形分35重量%、pH8に調製した。得られたポリマー微粒子B9のポリマーエマルジョンは、最低成膜温度が12℃、表面張力が37×10-3N/m(37dyne/cm)、接触角が60°、平均粒子径が150nmであった。
攪拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器に、イオン交換水300gおよびラウリル硫酸ナトリウム4gを仕込み、窒素雰囲気下で攪拌し70℃まで昇温し、内温を70℃に保持して、重合開始剤として過硫酸カリウム1gを添加し、溶解後、予めイオン交換水100g、ラウリル硫酸ナトリウム0.3gにアクリルアミド2gにスチレン260g、ブチルアクリレート47.5g、メタクリル酸2gを攪拌下に加えて乳化物を調製した。この乳化物を反応容器内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で3時間の熟成を行った。得られたポリマー微粒子のポリマーエマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニアとを添加して固形分35重量%、pH8に調製した。得られたポリマー微粒子B10のポリマーエマルジョンは、最低成膜温度が75℃、平均粒子径が120nmであった。
〈ブラック顔料B1〉
市販の酸性カーボンブラック「MA−100(三菱化学社製)」300gを水1000mlに良く混合した後、これに次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)450gを滴下して、80℃で15時間攪拌した。得られたスラリーを東洋濾紙No.2で濾過しながら、繰り返しイオン交換水で水洗した。水洗完了時の目安としては、濾紙を通過したイオン交換水に硝酸銀0.1規定水溶液を加えた場合に白濁がなくなるまで行った。この顔料スラリーを水2500mlに再分散し、電導度0.2マイクロシーメンス以下になるまで逆浸透膜で脱塩を行い、さらに顔料濃度15重量%程度になるよう濃縮した。得られた表面処理顔料分散液を酸処理(塩酸水で酸性化)、濃縮、乾燥及び微粉砕して、粉末とした。この表面処理カーボンブラックの粉末について、後記の方法で表面活性水素含有量を測定した。その結果は、2.8mmol/gであった。
カーボンブラック(三菱化学社製「MA−7」)15部をスルホラン200部中に混合し、アイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)で、ビーズ充填率70%及び回転数5000rpmの条件下で1時間分散し、分散した顔料ペーストと溶剤の混合液をエバポレーターに移し、30mmHg以下に減圧しながら、120℃に加熱して、系内に含まれる水分をできるだけ留去した後、150℃に温度制御した。次いで、三酸化硫黄25部を加えて6時間反応させ、反応終了後、過剰なスルホランで数回洗浄した後、水中に注ぎ濾過し、ブラック顔料を得た。得られたブラック顔料の親水性基の導入量は、顔料1g当たり120×10-6当量であった。
フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)20部をキノリン500部と混合し、アイガーモーターミルM250型(アイガージャパン社製)でビーズ充填率70%及び回転数5000rpmの条件下で2時間分散し、分散した顔料ペーストと溶剤の混合液をエバポレーターに移し、30mmHg以下に減圧しながら120℃に加熱し、系内に含まれる水分をできるだけ留去した後、160℃に温度制御した。次いで、スルホン化ピリジン錯体20部を加えて8時間反応させ、反応終了後に過剰なキノリンで数回洗浄した後に水中に注ぎ、濾過することで、親水性基を表面に有するシアン顔料を得た。得られたシアン顔料の親水性基の導入量は、顔料1g当たり40×10-6当量であった。
前記シアン顔料Bにおいて、「フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)20部」を「イソインドリノン顔料(C.I.ピグメントイエロー110)20部」に代えた以外は、同様な処理方法により、親水性基を表面に有するイエロー顔料を得た。得られたイエロー顔料の親水性基の導入量は、顔料1g当たり45×10-6当量であった。
前記シアン顔料Bにおいて、「フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)20部」を「イソインドリノン顔料(C.I.ピグメントレッド122)20部」に代えた以外は、同様な処理方法により、親水性基を表面に有するマゼンタ顔料を得た。得られたイエロー顔料の親水性基の導入量は、顔料1g当たり60×10-6当量であった。
「顔料粒子の表面における親水性基の導入量」の定量は、以下の方法によって求めた。
ツアイゼル法を用い手定量した。ジアゾメタンを適切な溶剤に溶解し、これを滴下して顔料粒子表面の活性水素を全てメチル基に交換した。その後、比重1.7のヨウ化水素酸を加え加熱し、メチル基をヨウ化メチルとして気化させた。このヨウ化メチルの気体を硝酸銀溶液でトラップしヨウ化メチル銀として沈殿させた。このヨウ化銀の重量より元のメチル基の量、即ち活性水素の量を測定した。
スルホン化剤によって表面が処理された顔料粒子を酸素フラスコ燃焼法で処理し、0.3%過酸化水素水溶液に吸収させた。その後、イオンクロマトグラフ法(ダイオネクス社;2000i)で硫酸イオン(2価)を定量し、この値をスルホン酸基に換算して、顔料1g当たりの当量として示した。
表B1に示す組成に基づいて、例B1〜B6のインク組成物および比較例B1〜B6のインク組成物を調製した。インクの調製は、水と表B1の浸透剤、湿潤剤、固体湿潤剤、その他の添加剤を所定量加えて混合溶解し、これを攪拌下の所定量のポリマー微粒子を分散粒子とするポリマーエマルジョンに徐々に加えた。
こうして得られた混合液を、上記で得られた親水性基を表面に有する顔料の分散液に徐々に滴下し、充分に撹拌した。これを、5μmのメンブランフィルターでろ過し、インク組成物とした。なお、表B1中、ポリマー微粒子の添加量は、それを分散粒子として含んでなるポリマーエマルジョンの固形分濃度から算出して行った。
表B1で調製したインク組成物について、下記のインク評価試験を行った。印刷は、インクジェットプリンタPM−980C(セイコーエプソン株式会社製)を用いて行った。印刷試験用紙は、下記のものを使用した。各評価結果は表B2に示した通りであった。
Xerox P紙(ゼロックス株式会社製)
Ricopy 6200紙(リコー株式会社製)
Xerox 4024紙(ゼロックス株式会社製)
Neenah Bond紙(キンバリークラーク社製)
Xerox R紙(ゼロックス株式会社製・再生紙)
やまゆり紙(本州製紙株式会社製・再生紙)
印刷物を24時間自然乾燥させた後、ゼブラ社製イエロー水性蛍光ペン ZEBRA PEN2(商標)を用いて、印刷文字を筆圧4.9×105N/m2で擦り、汚れの有無を目視で観察し、その結果を以下の基準で評価した。
評価A:2回擦っても全く汚れが生じなかった。
評価B:1回の擦りまでは汚れが生じないが、2回の擦りでは汚れの発生する用紙があった。
評価C:1回の擦りで汚れの生じる用紙があった。
10分間連続して英数文字を印刷した。その後、プリンターを停止し、キャップをせずに、温度40℃、湿度25%の環境下で、プリンターを1週間放置した。放置後に再び英数文字を印刷し、放置前と同等の印字品質が得られるまでに要した復帰動作の回数を調べて、その回数を次の基準で評価した。
評価A:0〜2回であった。
評価B:3〜5回であった。
評価C:6回以上であった。
インク組成物を、インクジェットプリンタEM−900C(セイコーエプソン株式会社製)で、スーパーファイン用紙(セイコーエプソン株式会社製)に1mmの罫線パターン(図1参照)を、1000枚ずつ印刷した。下記に示す評価基準によって、記録ヘッドからのインクの吐出安定性を下記に示す基準により評価した。
評価A:1000枚を通じて、罫線の曲がりは発生しなかった。
評価B:1000枚を通じて、時折罫線の曲がりが発生して、正常に罫線を印字させるために、5回未満のクリーニング動作を必要とした。
評価C:1000枚を通じて、頻繁に罫線の曲がりが発生して、正常に罫線を印字させるために、5回以上のクリーニング動作を必要とした。
インク組成物を印刷した印刷物を乾燥し、その後、印刷物の文字におけるにじみを下記の基準で評価した。
評価A:一部の用紙で僅かにひげ状のにじみの発生があったが、その他の用紙は鮮明な印刷画像であった。
評価B:全紙にひげ状のにじみの発生があった。
評価C:文字の輪郭がはっきりしないほどにじみが発生した。
インク組成物を、インクジェットプリンタEM−900C(セイコーエプソン株式会社製)で、上質普通紙KA4250NP(セイコーエプソン株式会社製)にベタ印字を行った。印刷物の印字部分の濃度を分光光度計(グレタグマクベス社製、GRETAG SPM−50)を用いて測定して評価し、得られた結果を下記に示す基準により評価した。
評価A:ブラックインクのOD値が1.4以上であり、かつ、カラーインクのOD値が1.2以上であった。
評価B:ブラックインクのOD値が1.3以上1.4未満であり、かつ、カラーインクのOD値が1.15以上1.2未満であった。
評価C:ブラックインクのOD値:1.3未満であり、かつ、カラーインクのOD値:1.15未満であった。
インク組成物をガラス瓶に50cc入れ密栓して、60℃で2週間放置した。
その後の粘度の変化および異物(沈降物)の有無を調べ、その結果を下記の基準で評価した。
評価A:異物の発生および粘度の変化がない。
評価B:異物の発生はないが、粘度が僅か(1.0cps未満)に変化した。
評価C:異物の発生はないが、粘度が変化した。
評価D:異物が発生した。
インク組成物を、インクジェットプリンタMJ-930C(セイコーエプソン株式会社製)で、Xerox P紙に10mm×10mmの領域に100%dutyでベタ印刷をした、それから10秒後にその印刷部分に新品の同紙を置いて300gの重りを乗せて10秒放置後に取外し、後者の用紙にインクが付着しているかどうかを確認し、その結果を以下の基準で評価した。
評価A:インクの付着が無った。
評価B:インクの付着があった。
Claims (5)
- ポリマー微粒子を含んでなるポリマーエマルジョンの製造方法であって、
水と、モノマーと、乳化剤と、重合開始剤とを混合して乳化重合反応させ、その後に、一価の無機水酸化物を添加して、pH値を中性〜アルカリ性の範囲に調製することを含んでなり、
前記ポリマー微粒子が、カルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーに由来する構造を1〜10重量%含んでなり、かつ、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーによって架橋された構造を有し、該架橋性モノマーに由来する構造を0.2〜4重量%含有してなるものである、方法。 - 前記pH値が7〜10の範囲となるようにpH値を調整する、請求項1に記載の方法。
- 顔料と、ポリマーエマルジョンと、水と、水溶性有機溶剤とを混合するインク組成物の製造方法であって、
前記ポリマーエマルジョンが、請求項1又は2に記載の方法によって製造されたものである、方法。 - インク組成物を付着させて記録媒体に印刷を行う記録方法であって、前記インク組成物として請求項3によって製造されたものを用いる、記録方法。
- 請求項4に記載の記録方法によって印刷された、記録物。
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