JP5347983B2 - ガス分析装置 - Google Patents

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本発明は、レーザ吸収分光法を利用して測定対象ガス中の特定ガスの分圧を測定するガス分析装置に関する。
近年、測定対象ガス中の特定ガスの分圧を測定する方法として、波長可変レーザを用いたレーザ吸収分光法が提案されている(例えば特許文献1を参照)。この方法は、測定対象ガスが導入されたサンプルセルに所定の波長範囲内で波長を変化させつつレーザ光を照射し、透過したレーザ光を解析して、測定対象ガス中の特定ガスによる吸収の程度から該特定ガスの分圧を算出するものである。この装置は、測定対象ガスに対して光源や受光部が接触しないため、場を乱すことなく測定が可能であること(非接触測定)、応答時間が極めて短いこと(高時間分解能)、といった利点を有している。
図1に、レーザ吸収分光法を用いた従来型のガス分析装置の一例を示す。このガス分析装置は、測定対象ガスが流通するガス流路2の途中に、ガス流路2と略直交方向にサンプルセル1を備え、サンプルセル1の両端に、対向して反射鏡3及び4を備えている。反射鏡3には光のみが通過可能な透明窓5が設けられ、その透明窓5を挟んだサンプルセル1の外側に、略密閉構造で略大気圧雰囲気である光学チャンバ6が設置されている。この光学チャンバ6内には、波長可変レーザ7と光検出部8とが収納されている。
また、サンプルセル1には圧力センサ9とガス温度センサ10が取り付けられ、圧力センサ9により測定対象ガスの圧力(全圧)が、ガス温度センサ10により測定対象ガスの温度が測定される。
図1のガス分析装置では、まず波長可変レーザ7が、レーザ制御部11の制御の下に特定ガスの吸収スペクトルの中心波長を含む所定の波長範囲で波長を変化させつつ、レーザ光を発振する。波長可変レーザ7より発振されたレーザ光は、透明窓5を通過してサンプルセル1に入射され、反射鏡3及び4の間で往復する。この間、測定対象ガス中の特定ガスによる吸収を受けたレーザ光は、透明窓5を通って再び光学チャンバ6内に戻り、光検出部8でその透過光強度が測定される。
この光検出部8で測定された透過光強度と、圧力センサ9及びガス温度センサ10で測定された測定対象ガスの圧力及び温度は、ノイズ除去やアナログ/デジタル変換等の信号処理を経て演算部12に入力され、所定の演算処理を経て特定ガスの分圧が算出される。
特開平5-99845号公報
J.J. Olivero and R.L. Longbothum, Empirical fits to the Voigt line width: a brief review, Journal of Quantitative Spectroscopy and Radiative Transfer, Vol. 17 (1977), pp. 233-236.
上記のように、レーザ吸収分光法を用いた従来型のガス分析装置では、レーザ測定系の他に圧力センサやガス温度センサが設けられ、透過光強度の測定と並行して測定対象ガスの圧力と温度を測定することが行われる。
一方、例えば半導体プロセス装置の排気ライン中での分圧測定のように、所定の高真空領域を対象としてガス分析装置を用いることがある。このような限定された用途では、特定ガスの分圧の算出にあたり、測定対象ガスの正確な圧力ではなく測定環境が高真空であるか否かが重要であり、圧力センサは必ずしも必要でない。また、測定対象ガスの温度が既知でほぼ一定に保たれているというような環境下では、ガス温度センサも必ずしも必要でない。
しかしながら、これらを備えていない構成では、測定環境の異常により測定対象ガスの圧力や温度が急激に変化してもそれを検知することができず、誤った分圧値を正しい測定結果として与えてしまう危険性がある。従来のガス分析装置では、用途が限定され、測定対象ガスの圧力や温度の測定が必要でない状況であっても、測定環境の異常を検知するために圧力センサやガス温度センサを備えていた。しかしながら、圧力センサやガス温度センサは一般的に安価ではなく、また物理的にもスペースを取ってしまう。
本発明が解決しようとする課題は、圧力センサとガス温度センサのどちらか一方又は両方を用いることなく測定環境の異常を検知することができるガス分析装置を提供することである。
上記の課題を解決するために成された本発明に係るガス分析装置は、
測定対象ガスにレーザ光を照射するレーザ照射手段と、前記レーザ光の発振波長が前記測定対象ガスに含まれる特定ガスの吸収スペクトルの中心波長を含めた所定の波長範囲で変化するよう前記レーザ照射手段を制御するレーザ制御手段と、前記測定対象ガスを通過したレーザ光を受光する受光手段と、を備えるガス分析装置において、
a)前記受光手段で受光されたレーザ光の検出信号から吸収スペクトルを作成するスペクトル作成手段と、
b)前記吸収スペクトルのピークの広がり量を測定する広がり量測定手段と、
c)前記広がり量が所定の範囲内に含まれているか否かに基づいて、吸収スペクトルのピークの形状が温度のみに依存して圧力には依存しない高真空領域内に前記測定対象ガスの圧力があるか否かを判別する判別手段と、
を備えていることを特徴とする。
本願発明者は、測定対象ガスの圧力が低真空領域(例えば略1[Torr]=133Pa以上)にある場合には、吸収スペクトルの形状が圧力と温度の両方に依存する一方、測定対象ガスの圧力が高真空領域(例えば略1[Torr]=133Pa未満)にある場合には、吸収スペクトルのピークの形状が温度のみに依存し、圧力には依存しないことに着目した。本発明に係るガス分析装置では、レーザ光の検出信号から吸収スペクトルを作成し、該吸収スペクトルの半値半幅や半値全幅などの広がり量を常時測定することにより、測定対象ガスの圧力が高真空領域内にあるか否かを監視することができる。これにより、圧力センサを装置構成から省くことができるため、装置の低コスト化と省スペース化が可能となる。
また、本発明に係るガス分析装置では、ガス温度が既知且つ一定であり、測定対象ガスの圧力が大気圧から高真空領域まで変化するというような測定環境において、ガス温度の異常検知を行うといった用途にも用いることができる。このような用途では、本発明のガス分析装置ではガス温度センサを装置構成から省くことができるため、上記と同様に装置の低コスト化と省スペース化が可能となる。
さらに、測定対象ガスの圧力が高真空領域にあり、さらにガス温度が既知且つ一定である場合には、圧力センサとガス温度センサの両方を装置構成から省くことができる。この場合、本発明に係るガス分析装置では、測定対象ガスの圧力又は温度の異常を検知することができる。
従来のガス分析装置の概略構成図。 測定対象ガスの圧力と吸収スペクトルの半値半幅との関係を表すグラフ。 本発明に係るガス分析装置の第1実施例である水分測定装置の概略構成図。 第1実施例の水分測定装置の制御系及び信号処理系の概略構成図。 第1実施例の水分測定装置の演算部の構成を示すブロック図。 第1実施例の水分測定装置の演算部における処理の手順を示すフローチャート。 第1実施例の水分測定装置の受光部より検出される透過光強度Iのスペクトル波形の模式図(a)、ピーク両側の非吸収帯域のデータから近似により作成される、水分子による吸収を受ける前のレーザ光強度I0を示す模式図(b)、及び吸収量A=ln(I/I0)のスペクトルを示す模式図(c)。 第1実施例の水分測定装置の第1の変形例を示す概略構成図。 第1実施例の水分測定装置の第2の変形例を示す概略構成図。 本発明に係る水分測定装置の第2実施例の演算部の構成を示すブロック図。 第2実施例の水分測定装置の演算部における処理の手順を示すフローチャート。 第2実施例の水分測定装置の変形例における演算部の構成を示すブロック図。 本発明に係る真空度判定装置の演算部の構成を示すブロック図。
まず、レーザ吸収分光法の一般的な理論について説明する。ある周波数νにおける、測定対象ガス中の特定ガスによる吸収を受ける前後のレーザ光の強度をそれぞれI0(ν), I(ν)とし、その吸収量を
A(ν)=ln(I0(ν)/I(ν)) … (1)
で表すと、Lambert-Beerの法則より次式が成立する。
A(ν)=PS×L×S(T)×K(ν)/(kBT) … (2)
ここで、PSは特定ガスの分圧、Lは測定対象ガスを通過する光路の長さ、S(T)は吸収線強度でガス温度Tの関数、K(ν)は吸収スペクトル(吸収量Aのスペクトル)のピークの形状を表す吸収特性関数、kBはボルツマン定数である。
吸収特性関数K(ν)の振舞いは、測定対象ガスの圧力領域によって変化する。例えば測定対象ガスが大気圧近傍の圧力領域にある場合、吸収特性関数K(ν)はガス分子の衝突による効果が支配的となり、次のローレンツ関数により表されることになる。
K(ν)=γL/[π{(ν−ν0)2+γL 2}] … (3)
ここで、ν0は吸収スペクトルの中心周波数である。また、γLはK(ν)及びA(ν)の半値半幅であり、ローレンツ幅と呼ばれるものである。このローレンツ幅γLは次式のように近似的に表される。
γL=γL0(P/P0)(T0/T)α … (4)
ここで、Pは測定対象ガスの圧力(全圧)、Tは測定対象ガスの温度、γL0は標準状態(標準圧力P0, 標準温度T0)におけるA(ν)及びK(ν)の半値半幅、αはローレンツ幅温度係数である。
式(3)及び(4)から、吸収スペクトルのピーク形状が測定対象ガスの圧力と温度に依存することが分かる。また、γL0, αが予め分かっている特定ガスに対しては、測定対象ガスの圧力及び温度を測定することにより、K(ν)が計算可能であることが分かる。
一方、吸収線強度S(T)は、標準状態における吸収線強度S(T0)に対して温度Tに関する補正項を乗じたもので近似される。
Figure 0005347983
ここで、hはプランク定数、cは光速、Ejは吸収線の遷移前エネルギー準位、Qは分配関数である。従って、S(T0), Ej及びQが予め分かっている特定ガスに対しては、測定対象ガスの温度の測定値から吸収線強度S(T)を計算することができる。
以上に示したように、測定対象ガスの圧力及び温度を測定することにより、γL0, α, S(T0), Ej及びQが既知の特定ガスに対して、吸収特性関数K(ν)及び吸収線強度S(T)を計算することができる。さらに光路長Lは既知であるため、所定の周波数ν(例えば吸収中心周波数ν0)における吸収量Aを測定することで特定ガスの分圧PSの算出が可能となる。
一方、極めて低い圧力領域では、吸収スペクトルのピークの広がりは上述のローレンツ関数に比べて数分の1から数十分の1程度に狭くなる。この圧力領域においては、吸収スペクトルのピークの広がりは主にドップラ効果により決まり、吸収特性関数K(ν)は次のガウス関数で表されることになる。
K(ν)=1/[γED×π1/2×exp{(ν−ν0)/γED}2] … (6)
式(6)のγEDはドップラ幅と呼ばれるものであり、高真空領域におけるA(ν)及びK(ν)の半値半幅を示している。ここで、γEDは特定ガスの分子量Mを用いて次式で表される。
γED=ν0/c×(2kBT/M)1/2 … (7)
式(7)より、γEDは測定対象ガスの圧力に依存していないことが分かる。すなわち、所定の高真空領域では、特定ガスの分圧の算出にあたって測定対象ガスの圧力の測定を必要としない。
なお、大気圧と高真空領域の間の中間圧力領域では、吸収特性関数K(ν)は式(3)のローレンツ関数と式(6)のガウス関数の畳み込み関数で表される。また、中間圧力領域における吸収量A(ν)及び吸収特性関数K(ν)の半値半幅γVは以下の式で近似的に表されることが多い(非特許文献1)。
γV=0.5346γL+{0.2166γL 2+ln(2)×γED 2}1/2 … (8)
ここで、γVはフォークト幅と呼ばれる。式(8)に示すようにγVにもγLが含まれていることから、この中間圧力領域においては、高真空領域と異なり、特定ガスの分圧測定にあたって測定対象ガスの圧力を測定する必要があることが分かる。
以上に示すように、中間圧力領域及び大気圧近傍の圧力領域では、吸収スペクトルの半値半幅及びピーク形状が圧力と温度の両方に依存し、高真空領域では温度のみに依存することになる。実際、測定対象ガスの種類と温度を一定として、測定対象ガスの圧力の変化と吸収特性関数K(ν)の半値半幅の変化を実験により調べると、図2のような結果が得られた。この図2のグラフから、略1[Torr]以上の圧力領域では半値半幅が変化すること、略1[Torr]未満の高真空領域では半値半幅が圧力に依存しないことが分かる。
本発明では、高真空領域では特定ガスの分圧測定に測定対象ガスの圧力が必要でないことを利用し、測定環境を略1[Torr]未満の高真空領域に限定することで、ガス分析装置から圧力センサを省く構成とした。本発明に係るガス分析装置では、測定対象ガスの圧力が高真空領域より高い圧力領域にある場合には、それを測定環境の異常として検知する構成としているため、分圧測定の結果に対する信頼性を高めることができると共に、装置の省スペース化と低コスト化が可能となる。
本発明に係るガス分析装置の第1実施例である水分測定装置について、各図を参照して説明する。
図3は本実施例の水分測定装置の概略構成図である。この水分測定装置の測定光学系は、前述した図1の従来型のガス測定装置と同じである。すなわち、測定対象ガスが流通するガス流路2と、ガス流路2の途中に、ガス流路2と略直交方向に設けられたサンプルセル1と、サンプルセル1の両端に対向して設けられた反射鏡3及び4と、反射鏡3に設けられた光のみが透過可能な透明窓5と、その透明窓を挟んでサンプルセル1の外側に設けられた、略密閉構造で内部空間が略大気圧雰囲気である光学チャンバ6と、光学チャンバ6内に収納された、レーザ制御部11により発振波長を制御可能な波長可変レーザ(レーザ照射部)7と、同じく光学チャンバ6内に収納された、吸収光強度を測定する光検出部(受光部)8と、を有している。
なお、波長可変レーザ7としては、水分子が吸収スペクトルを持つ1.3μmで発振するDFB(Distributed Feedback)型レーザを使用することができる。これ以外でも、水分子の吸収スペクトルが存在する波長で発振するような波長可変レーザであれば使用することができる。もちろん、水ではなく別の特定ガスの分圧を測定する場合には、その特定ガスの吸収スペクトルが存在する波長で発振するような波長可変レーザを用いればよい。
光検出部8は、フォトダイオード等の光電変換素子34と、その光電変換素子で得られる電流信号を電圧信号に変換するI/V変換アンプ35と、を含む(図4)。なお、光学チャンバ内の水分(妨害水分)は除湿剤やパージガスなどにより除去されており、その分圧は無視できる程度に小さいものとする。
一方、本実施例の水分測定装置では、従来のガス分析装置と異なり圧力センサを備えておらず、ガス温度センサ10のみを備えている。また演算部20は、光検出部8により検出された検出信号の強度から、特定ガスの吸収スペクトルを作成するスペクトル作成部21、前記スペクトルのピークの広がり量を測定する広がり量測定部22、前記広がり量が所定の範囲内に含まれているか否かを判別する判別部23、所定波長の吸収スペクトルの強度とガス温度センサ10による温度の測定値とから、式(2)、(5)、(6)及び(7)に基づき水蒸気の分圧PSを算出する分圧算出部24、を備えている(図5)。これら判別部23及び分圧算出部24による結果はモニタ等から成る出力部13に送信される。
なお、ガス温度センサ10には、白金測温抵抗体やサーミスタ、熱電対などを用いることができる。
図3において、レーザ制御部11による制御の下に波長可変レーザ7から出射されたレーザ光L1は、透明窓5を通過してサンプルセル1内に入射され、反射鏡3及び4の間で反射を繰り返す。図3に記載の光路では、レーザ光はガス流路2を横切って反射鏡3及び4の間を2往復するが、さらに往復回数を増やす光学系としても良い。ガス流路2を通過する際に、レーザ光は測定対象ガス中の水分による吸収を受ける。そうして吸収を受けた後のレーザ光L2が透明窓5を通って光学チャンバ6内に戻り、光検出部8に到達する。光検出部8で取り出された電気信号は、ノイズ除去やアナログ/デジタル変換等の信号処理を経て、演算部20に入力される。また、サンプルセル1中の測定対象ガスの温度はガス温度センサ10により電気信号に変換され、所定の信号処理を経た後、演算部20に入力される。これらの入力信号に基づき、演算部20において後述する所定の処理が実行され、測定環境の異常の検知と特定ガスの分圧の算出が行われ、出力部13にこれらの結果が出力される。
本実施例の水分測定装置における各部の制御系及び信号処理系を、図4を用いて説明する。
レーザ制御部11は、電流制御部31、デジタル/アナログ変換器(DAC)32、電圧/電流変換器(V/I)33から成る。DAC32は、電流制御部31から出力される、水分子の吸収スペクトル付近の波長領域に渡るスイープ(掃引)を繰り返し行うためのデジタルデータを、スイープ電圧に変換して出力する。このスイープ電圧がV/I33により電流信号に変換され、波長可変レーザ7に鋸波のような駆動電流が供給される。これにより、波長可変レーザ7は時間経過に伴って、所定の波長範囲で繰り返し波長が変化するレーザ光を出射する。
波長可変レーザ7より出射され、水分子による吸収を受けて戻ってきたレーザ光L2は、光検出部8で電圧信号として取り出される。この電圧信号はアンプ41で増幅された後、ローパスフィルタ(LPF)42でノイズ成分が除去され、アナログ/デジタル変換器(ADC)43でデジタル値に変換された後、演算部20に入力される。
また、サンプルセル1中の測定対象ガスの温度はガス温度センサ10により電圧信号に変換され、ADC44によりデジタル値に変換されて演算部20に入力される。
次に、演算部20における具体的な処理手順について、図6のフローチャートを用いて説明する。
まずステップA1として、スペクトル作成部21において、レーザ光の発振波長とADC43から入力された透過光の信号強度とに基づき、吸収スペクトルを作成する。この吸収スペクトルの作成は、次のように行われる。まず、図7の(a)に示すように、透過光強度I(ν)のスペクトルを作成する。次に、水分子による吸収の影響を受けていない非吸収帯域における透過光強度I(ν)のデータから、I0(ν)を近似により作成する(図7(b))。この近似により得られたI0(ν)と透過光強度I(ν)のデータとを用いることにより、吸収量Aのスペクトル(吸収スペクトル)を作成することができる(図7(c))。
次に、広がり量測定部22により、図7(c)の吸収スペクトルのピークに対する広がり量Wが測定される(ステップA2)。本実施例では、広がり量として該ピークの半値全幅を用いる。なお、広がり量としては、半値半幅やピークの両裾間の幅など、ピーク幅の変化を有意に判別できる量であればどのようなものを用いても良い。
ステップA3では、ステップA2で測定された広がり量である半値全幅Wを用いて、判別部23により測定環境が高真空領域にあるか否かの判別を行う。図2や式(4)及び(8)に示すように、測定対象ガスの圧力が高真空領域より高い圧力領域にある場合、吸収スペクトルのピーク幅は圧力の上昇に応じて単調に増加する。従って、予め広がり量の閾値Dを与えておき、広がり量測定部22で測定された広がり量Wと閾値Dの大小を比較することで、測定環境が所定の高真空領域にあるか否かを判別することができる。具体的には、W>Dの場合には測定環境が高真空領域でないとして、異常を出力部13を通じて外部に送信し(ステップA4)、それ以外の場合には測定環境が高真空領域にあるとして、分圧算出部24で分圧の算出を行う(ステップA5)。
なお、測定対象ガスの温度変化が大きい場合、温度変化も考慮して閾値Dを与える必要がある。この場合、例えば式(7)にガス温度センサ10で測定された温度を代入してD=2γEDとすることにより、温度変化に応じた閾値を与えることができる。
本実施例では、高真空領域を略1Torr未満の圧力領域としたが、この数値に特に限定されない。例えば、圧力変化による吸収スペクトルのピーク形状や半値半幅に有意な変化が認められないのであれば、さらに広い圧力領域を高真空領域として与えても良い。
本実施例の水分分析装置の第1の変形例を図8に示す。この第1変形例の水分分析装置は、上記実施例の水分分析装置とは逆に、圧力センサ9を備え、ガス温度センサ10が省かれた構成となっている。その他の構成は上記実施例と同じである。
この図8の構成の水分分析装置を用いることにより、ガス温度が既知且つ一定であり、測定対象ガスの圧力が大気圧から高真空領域まで変化するというような測定環境においても、広がり量Wと閾値Dの大小を比較することで、同様にガス温度の異常検知を行うことができる。
また、測定対象ガスの圧力が高真空領域にあり、さらにガス温度が予め分かっている場合には、図9に示す第2の変形例のようにガス温度センサも装置構成から省くことができ、測定対象ガスの圧力又は温度の異常を検知することが可能となる。
上記実施例では、広がり量Wが所定の範囲内に含まれていない場合に外部に異常を知らせるだけであったが、この際、広がり量と温度の測定値から測定対象ガスの圧力を算出し、出力部13に出力させる構成とすることもできる。これを図10のブロック図及び図11のフローチャートを用いて説明する。
本実施例の水分測定装置の構成は、演算部20が図10に示す演算部20Aに置き換わっている点を除いて図3に示す第1実施例のものと同じである。また、演算部20Aの構成についても、全圧算出部25が新たに設けられている点を除いて演算部20と同じである。
本実施例の水分測定装置の演算部20Aにおける具体的な処理の手順について説明する。本実施例の演算部20Aの処理手順も第1実施例の演算部20のものとほぼ同様であるが、ステップB3で異常と判断された場合に、全圧算出部25で広がり量Wと温度Tの測定値を用いて測定対象ガスの圧力Pを算出する点が異なっている(ステップB4)。ここで、異常が生じているということは、測定対象ガスの圧力が高真空領域から中間圧力領域に移行しているということであるため、第1実施例と同様に測定される広がり量Wを半値全幅とすると、W/2はフォークト幅γVと等しくなる。従って、ガス温度センサ10で測定された温度Tとフォークト幅γV=W/2から、式(3)、(6)及び(8)に基づいて、測定対象ガスの圧力Pを算出することができる。
なお、第1実施例の第1変形例に示した構成においても、上記実施例と同様に、広がり量Wと圧力Pの測定値を用いてガス温度Tを算出することができる。本変形例の装置構成は図8とほぼ同じであり、演算部20が図12に示す演算部20Bに置き換わっている点のみが異なっている。なお、演算部20Bについても、上記実施例に示した全圧算出部25が温度算出部26に置き換わっているだけである。
本変形例の水分分析装置では、圧力センサ9によって測定された圧力の存在する領域に応じて、温度算出部26における温度の算出に用いる式が、式(4), (7), (8)の中から選択される。そして、選択された式に基づき、圧力Pと広がり量Wの測定値から温度Tが算出される。
なお、本発明の第1実施例及び第2実施例に係るガス分析装置は、サンプルセル(測定空間)1内の真空度を判定する真空度判定装置としても用いることができる。本実施例で示す真空度判定装置は、図13(a)の演算部20C又は図13(b)の演算部20Dのように、演算部20又は20Aの構成から分圧測定部24を省いた以外は、第1実施例及び第2実施例のガス分析装置とほぼ同じ構成であり、サンプルセル(測定空間)1内の圧力が所定の高真空領域に含まれているか否かを、非接触かつ高い時間分解能で常に監視することができる。
1…サンプルセル
2…ガス流路
3…反射鏡
5…透明窓
6…光学チャンバ
7…波長可変レーザ(レーザ照射部)
8…光検出部(受光部)
9…圧力センサ
10…ガス温度センサ
11…レーザ制御部
12、20、20A、20B、20C、20D…演算部
13…出力部
21…スペクトル作成部
22…広がり量測定部
23…判別部
24…分圧算出部
25…全圧算出部
26…温度算出部
31…電流制御部
32…デジタル/アナログ変換器(DAC)
33…電圧/電流変換器(V/I)
34…光電変換素子
35…I/V変換アンプ
41…アンプ
42…ローパスフィルタ(LPF)
43、44…アナログ/デジタル変換器(ADC)

Claims (6)

  1. 測定対象ガスにレーザ光を照射するレーザ照射手段と、前記レーザ光の発振波長が前記測定対象ガスに含まれる特定ガスの吸収スペクトルの中心波長を含めた所定の波長範囲で変化するよう前記レーザ照射手段を制御するレーザ制御手段と、前記測定対象ガスを通過したレーザ光を受光する受光手段と、を備えるガス分析装置において、
    a)前記受光手段で受光されたレーザ光の検出信号から吸収スペクトルを作成するスペクトル作成手段と、
    b)前記吸収スペクトルのピークの広がり量を測定する広がり量測定手段と、
    c)前記広がり量が所定の範囲内に含まれているか否かに基づいて、吸収スペクトルのピークの形状が温度のみに依存して圧力には依存しない高真空領域内に前記測定対象ガスの圧力があるか否かを判別する判別手段と、
    を備えていることを特徴とするガス分析装置。
  2. 前記広がり量が所定の範囲内に含まれていない場合に、前記広がり量と温度の測定値から前記測定対象ガスの圧力を算出する手段を有することを特徴とする請求項1に記載のガス分析装置。
  3. 前記広がり量が所定の範囲内に含まれていない場合に、前記広がり量と圧力の測定値から前記測定対象ガスの温度を算出する手段を有することを特徴とする請求項1に記載のガス分析装置。
  4. 測定空間内の圧力が所定の高真空領域内に含まれているか否かを判定する真空度判定装置であって、
    a)前記測定空間内にレーザ光を照射するレーザ照射手段と、
    b)前記レーザ光の発振波長が所定の波長範囲で変化するよう前記レーザ照射手段を制御するレーザ制御手段と、
    c)前記測定空間を通過したレーザ光を受光する受光手段と、
    d)前記受光手段で受光されたレーザ光の検出信号から吸収スペクトルを作成するスペクトル作成手段と、
    e)前記吸収スペクトルのピークの広がり量を測定する広がり量測定手段と、
    f)前記広がり量が所定の範囲内に含まれているか否かに基づいて、吸収スペクトルのピークの形状が温度のみに依存して圧力には依存しない高真空領域内に前記測定空間内の圧力があるか否かを判別する判別手段と、
    を備えていることを特徴とする真空度判定装置。
  5. 前記広がり量が所定の範囲内に含まれていない場合に、前記広がり量と温度の測定値から前記測定空間内の圧力を算出する手段を有することを特徴とする請求項4に記載の真空度判定装置。
  6. 前記高真空領域が133Pa未満の圧力領域であることを特徴とする請求項4又は5に記載の真空度判定装置。
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