JP5347830B2 - レーダ装置 - Google Patents
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Description
この発明に係る実施の形態1によるレーダ装置について、図を用いて説明する。
図1は実施の形態1におけるレーダ装置の電波の送受信の様子を示す図である。図1において、レーダ装置3を搭載した航空機(自機1)と、目標となる航空機(目標機2)とが向かい合って飛行し、両航空機の飛行中にレーダ装置3が電波を送受信することを前提としている。自機1は、目標機2を発見するために、自機1の機首にレーダ装置3を搭載し、レーダ装置3を用いて目標の捜索を行う。自機1のレーダ装置3からの送信波4が目標である目標機2にて反射し、返ってくる目標信号を受信して、目標の探知が行われる。このとき、目標機2から送出される送信波5や、JEMによる不要波が、レーダ装置3にて受信される状況が生じる。
図2において、レーダ装置3は、アンテナ6と、励振受信機7と、信号処理器8によって構成される。信号処理器8は、信号処理部9とデータ処理部10から構成される。アンテナ6は励振受信機7によって発振及び周波数変調された送信電波を空間に放射し、目標信号を含む空間から入射する電波を受信する。アンテナ6によって受信され、励振受信機7によって周波数混合及び復調処理された信号は、信号処理器8の信号処理部9に送られる。
FMレンジング処理では、信号処理部9によって励振受信機7の生成する送信周波数が制御され、励振受信機7から少なくとも3種類以上の複数種類の送信パターンから成る送信波が出力されて、目標の捜索が行われる。図3は、周波数が一定または周波数の時間変化が直線的となる3種類の送信パターンを用いることによって、送信周波数を時間に応じて連続的に変化させた例を示す図である。
Cフェーズで信号が受信されると、次に信号処理部9からの命令により、Bフェーズ、Aフェーズが起動する。BフェーズとAフェーズでは励振受信機7により送信周波数にチャープが与えられている。
これにより、送信周波数は図3に示すように連続的に変化した状態で送信が行われ、受信時にデチャープ処理を行うことでドップラ周波数データおよび強度データが取り出されて、データ処理部10のデータ格納領域に格納される。
なお、送信パターンはこのA、B、Cの3種類のフェーズに限ることはなく、4種類以上のフェーズを用いても良い。
まず、励振受信機7による送信波及び受信信号の送受信によって得られたドップラ周波数データは、送信パターンのフェーズ毎に、図4のようにデータ処理部10のデータ格納領域における取得データファイル13に格納される。図4において、例えば、C、B、Aの各フェーズそれぞれN個のデータを受信したとして、fc(n)、fb(n)、fa(n)、(n=1、2、3、・・・、N−1、N)と表している。ただし、同じ周波数を持ったデータが受信された場合、新規データとして追加しないため、同一フェーズ内で同じ値のデータは存在しない。
次に、目標判定アルゴリズム50のデータ抽出処理の詳細について説明する。
一つ目の条件判定処理では、周波数の傾きが正(fkb>0)であるとき、目標信号はCフェーズからBフェーズに移行した際に、周波数の低い方へ変位することを利用する(fkb<0であれば周波数の高い方へ変位する)。
つまり、ドップラ周波数データの差分をfcb=fc−fbとしたとき、「0<fcb」となるfc、fbの組合せは目標信号である可能性があるということになる。これを一つ目の条件(J1)とする。なお、この一つ目の条件(J1)では、図1に示すように自機1と目標機2とが向かい合って飛行している状態を前提としている。
この条件判定処理の結果、fcbが一つ目の条件を満たせば、次の二つ目の条件判定処理に移行する。
また、最後のドップラ周波数データfb(N)まで一つ目の条件判定処理が終了したら、ドップラ周波数データfc(n)をfc(n+1)にして、ドップラ周波数データfc(n+1)を固定し、それに対してドップラ周波数データfb(1)、fb(2)、・・・、fb(N)と順にドップラ周波数データの差分fcbを算出して、再び一つ目の条件判定処理動作を順次繰り返して行く。
式(1)に示すレンジ計算式から、ドップラ周波数データの差分fcbは目標までの距離と比例していることが分かる。そこで、目標を観測する最大距離を設定すれば、そのときのドップラ周波数データの差分fcbは一意に定まる。
この最大距離をfcbMとおけば、二つ目の条件(J2)では、「fcb<fcbM」となるドップラ周波数データfc、fbを目標信号候補として抽出する。最大距離fcbMは、例えば送信電力や遠方の地表までの距離などから決定することができる。
一つ目の条件(J1)を満たしたドップラ周波数データfb(n)についてfcbを算出し、二つ目の条件(fcb<fcbM)による二つ目の条件判定処理を行う。ドップラ周波数データfb(n)がこの二つ目の条件(J2)を満たした場合、次の条件判定処理へ移行する。
また、ドップラ周波数データfb(n)がこの二つ目の条件(J2)を満たさなかった場合は、ドップラ周波数データfb(n)をfb(n+1)にして一つ目の条件判定処理、及び二つ目の条件判定処理を再開する。
一つ目の条件(J1)及び二つ目の条件(J2)の二つの条件を満たした最初のドップラ周波数データの差分fcbに対して、ドップラ周波数データfa(1)、fa(2)、・・・fa(N)と、順次三つ目の条件(fcb:fca=fkb:fka)による判定処理を行い、この三つ目の条件(J3)を満たすfaが存在すれば、fcbの値とその強度データPcを目標信号候補として、目標候補ファイル14に登録する。なお、目標候補ファイル14は、データ処理部10のメモリにおける別のデータ格納領域に構成されており、そのデータ容量が所定の大きさに限られている。
また、三つ目の条件判定処理の結果、このようなドップラ周波数データfaが存在しなければ、ドップラ周波数データfbをfb(n+1)にして一つ目の条件判定処理、二つ目の条件判定処理、及び三つ目の条件判定処理を再開する。
そこで、目標信号を中心とした高調波群の強度が、総じて目標信号より小さいことを利用する。
すなわち、四つ目の条件判定処理では、目標候補ファイル14に同値のfcbが複数登録されていた場合、四つ目の条件(J4)として「最もPcの強度が大きいデータを残し、他は除外する」ことで、目標信号を抽出する。なお、この手法はFMレンジングだけでなく、一般的なパルスドップラレーダの処理にも応用可能である。
例えば図4の例では、ドップラ周波数データfc(1)、fc(4)、fc(5)が目標信号と判断され、それらに対応したC、Bフェーズのドップラ周波数データの差分fcb(1)(=fc(1)−fb(l))、fcb(2)(=fc(4)−fb(m))、fcb(3)(=fc(5)−fb(n))、及び強度データPc(1)、Pc(4)、Pc(5)が格納されている。
すなわち、式(1)、(2)に示したB、Aフェーズのレンジ計算を両方とも行ってRcb、及びRcaを求める必要がなく、式(1)に示すBフェーズのみのレンジ計算によって、レンジRcbのみを算出することができる。
このとき、fcとfbは総当りで判定を行っていくので、ループの開始時には取得データファイル13からfcとfbの最初のデータ(例えばfc(1)、fb(1))を選択する(S100、S101)。
また、fcとfbの最初のデータについて各判定処理が行われた後、次に判定処理を再開する際には、fcとfbの次のデータ(例えば前のデータがfc(n)ならばfc(n+1)、前のデータがfb(m)ならばfb(m+1))が選択される(S108、S109)。
このfcとfbの次のデータが選択される際には、全てのデータに対して判定が終了したかどうかが逐一判定され(S110、S111)、全てのデータに対して判定が終了していない場合に限り、S108、S109にてfcとfbの次のデータが選択されることとなる。
また、S102の判定処理にて、fcとfbの差分fcbが条件J1、J2を満たしていない場合にも、fcとfbの次のデータが選択されることとなる(S108、S109)。
このとき、取得データファイル13中のfaの最初のデータが選択され(S103)、三つ目の条件(J3)による判定処理が実行される(S104)。
三つ目の条件(J3)による判定処理は、faの最初のデータからfaの次のデータ、更にfaのその次のデータと選択が行われ(S106)、faについて一つずつ条件J3の判定処理が実行されて行く(S104)。
S104にて、条件3を満たした場合は、fcbを目標候補ファイル14に格納する(S107)。
そして全てのfcに対して条件J3による判定処理が終了すると(S111)、目標候補ファイル14の確認を行う(S112)。
最終的に、目標候補ファイル14に格納されているデータに対してレンジ計算を実施し、目標として登録し(S114)、終了する。
図3に示した実施の形態1によるFMレンジングのCフェーズでは、通常、一定の送信周波数を用いている。しかし、この実施の形態2では、送信周波数を励振受信機7によって変調させ、Cフェーズにおいて2種類以上の送信周波数を用いることによって、目標機2の目標機送信波5の影響を低減することを特徴とする。なお、この実施の形態2では、励振受信機7及び信号処理部9に追加機能があることを除き、実施の形態1と同一のレーダ装置を構成している。
図6の(a)、(b)に示すように、送信周波数を変化させても、受信領域は送信周波数を中心に定まるため、送信周波数の違いに関わらず目標信号15は同じ位置に現れる。
このことを利用して、実施の形態2による信号処理部9は、複数(図6の例では2種類)の送信周波数により得られた受信信号の積を取る。この結果、同じ位置に存在する目標信号15の強度が大幅に増加するのに対して、目標送機信信号とその高調波16のレベルはほぼ0まで低下するので、信号処理部9にて高調波16を除去することができる。
なお、この手法はFMレンジング処理のみならず、一般的なレーダに応用することが可能である。
Claims (4)
- 周波数の時間変化率がそれぞれ異なる少なくとも3つの連続したフェーズで、周波数の時間変化率がそれぞれ一定となる周波数変調を施した送信波を発生する励振受信機と、
上記励振受信機の受けた目標信号を含む受信信号を検波し、ドップラ周波数データと強度データを得て、FMレンジング処理を施す信号処理器と、
を備え、
上記信号処理器は、フェーズ間で組み合わせたドップラ周波数データの差分結果と周波数の時間変化率との相関関係から規定される、目標信号に特有の判定条件に基づき、目標信号候補のドップラ周波数データを選択し、選択したドップラ周波数データと周波数の時間変化率とから目標の距離情報を求める、
ことを特徴としたレーダ装置。 - 観測すべき最大距離を周波数データに変換して予め比較基準値として設定し、上記ドップラ周波数データの差分結果が当該比較基準値以内となるドップラ周波数データを、目標信号として抽出することを特徴とした請求項1記載のレーダ装置。
- 目標信号候補となるドップラ周波数データの中から、受信信号強度の最も大きい信号のみを目標信号として抽出することを特徴とした請求項1記載のレーダ装置。
- 送信周波数が一定となる第1のフェーズと、送信周波数が互いに異なる一定の周波数の時間変化率を有して当該第1のフェーズに連続した第2、第3のフェーズと、から成る3つのフェーズを有して、周波数変調を施した送信波を発生する励振受信機と、
励振受信機の受けた目標信号を含む受信信号を検波し、ドップラ周波数データと強度データを得て、FMレンジング処理を施す信号処理器と、
を備え、
上記信号処理器は、上記第1、第2のフェーズ間のドップラ周波数データの差分結果と上記第1、第3のフェーズ間のドップラ周波数データの差分結果との比が、上記第2、第3のフェーズの周波数の時間変化率の比に概ね等しくなる条件に基づいて、目標信号候補となる第1、第2のフェーズ間のドップラ周波数データの差分結果を選択し、選択したドップラ周波数データの差分結果と第2のフェーズでの周波数変化率とから目標の距離情報を求める、
ことを特徴としたレーダ装置。
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