JP5344945B2 - 上部圧入式溝型加熱成型乾燥機 - Google Patents
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Description
このような処理手法の一つとして、汚泥等の被処理物を乾燥させて粒状物・固形物を得る装置に、いわゆるバンド型通気乾燥装置がある。この装置は、ネットコンベヤに載置された被処理物間に、上方または下方から熱風を強制通過させて乾燥を図るものであり、熱風と被処理物との接触面が受熱面となるため、被処理物の表面面積が大きいほど有効伝熱面積が増して乾燥効率が高くなるものである。
このため汚泥等を被処理物とした場合には、このものをまず一辺数mm角から10mm角程度のスティック状に予備成型し、バンド型通気乾燥装置によって乾燥処理できるような形態が採られている。
すなわち溝型加熱成型乾燥機D′における乾燥ローラ1A′と乾燥ローラ1B′との接触部位は、図9(b)に示すような状態となっており、他方のローラの側周面1c′によって被処理物H1が溝10′内に押し込まれるようにして圧入されるものである。
この際、含水率の高い被処理物H1の場合、溝10′内に圧入されて溝10′の内面(底面10a′、側壁面10b′)に接触して位置する被処理物H1が溝10′内を流下してしまい、この結果図9(a)に示すように被処理物H1が下方に抜け落ちてしまうことがあった。
このような抜け落ちは、含水率の高い被処理物H1の場合には、溝10′の内面(底面10a′、側壁面10b′)に接触して沸騰することもあり、被処理物H1と溝10′の内面との間の接触面積が減少して抵抗値が低下することも要因となっている。
なおこのような溝10′からの被処理物H1の抜け落ちは、低含水率の被処理物H1を扱う場合には発生してなかった。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
また伝熱(加熱)範囲を乾燥ローラの180°以上の範囲にわたって確保することができるため、所望の乾燥状態の乾燥品を得ることができる。
更にまた溝内への被処理物の圧入は、圧入部材により行われ、従来の装置のように乾燥ローラは他の乾燥ローラへの圧入を担うことがないため、側周部に対する被処理物の付着・かみ込みが低減され、乾燥ローラの回転動力負荷の軽減、あるいはクリアランスの調整等のメンテナンス作業性が大幅に向上することとなる。
また、装置構成を簡素化しながらも、溝への被処理物の圧入を円滑に行うことができる。
以下、上部圧入式溝型加熱成型乾燥機Dの構成を詳しく説明し、続いてその作動態様を説明する。
なお前記溝10の形状は、被処理物H1の性状(含水率や減容率)に応じて、底面10aの幅や側壁面10bの高さが適宜設定される。
そして乾燥ローラ1A及び乾燥ローラ1Bは、機枠Fに具えられる軸受14によって軸支されるものであり、これら二基のローラは双方の側周面1c及び動力伝達部11が密接した状態とされる。
またこれら圧入ローラ20A、20B及び貯留部28は、前記乾燥ローラ1A及び乾燥ローラ1Bの上方に配されるホッパ4の内部に位置するものであり、ホッパ4の側板40から圧入ローラ20A、20Bの端部が突出した状態となる。なお貯留部28に対して適宜の攪拌機構を具え、溝10への被処理物H1の圧入がより円滑に行われるようにすることもできる。
またこの実施例では前記圧入ローラ20A、20B対して、その表面に当接するようにして圧入ローラスクレーパ29を具えるようにした。
なお前記爪35は基板31に対して櫛歯状に具えられるものであり、この実施例では1枚の基板31に対して溝10の数に対応した数の爪35を具えるようにした。
また前記付勢板32の下面にはリンク36が接続され、このリンク36の他端側に具えられたナットと、ハンドル37に具えられたボルトとの螺合位置を変化させることにより、溝10内での爪35の高さを調節可能としている。なお付勢板32の上面には、機枠Fに吊持されたスプリング38が係止されており、付勢板32等の重さによる負荷を軽減させている。
(1)乾燥機の準備
まず被処理物H1の投入に先立って、上部圧入式溝型加熱成型乾燥機Dにおける乾燥ローラ1A、1B並びに圧入ローラ20A、20Bを昇温しておくものであり、モータM1を起動して乾燥ローラ1A、1Bを回転させ( 1/6rpm)、更にモータM2を起動して圧入ローラ20A、20Bを回転させた状態で、ロータリージョイント19に蒸気(一例として0.5MPa(約160℃))を供給する。そしてロータリージョイント19に供給された蒸気は乾燥ローラ1A、1B内を通過しながらこれらを内側から昇温し、やがてドレンとなって他端側のロータリージョイント19から外部に排出される。また乾燥ローラ1A、1Bの熱は圧入ローラ20A、20Bに伝達され、これらを昇温する。
次いでホッパ4に被処理物H1を投入すると、このものは貯留部28に溜まり、乾燥ローラ1A(1B)と圧入ローラ20A(20B)との接触個所において、圧入ローラ20A(20B)の作用によって溝10内(台形状の閉空間)に順次円滑に圧入される(図5(a)に示す縦断面図参照)。
なお、被処理物H1の性質によっては、圧入ローラ20A(20B)と乾燥ローラ1A(1B)との間に微小の空間を設けた場合、圧入ローラ20A(20B)の周速を乾燥ローラ1A(1B)の周速以上とすることにより、圧入がより円滑に行われることもある。
ただし、圧入ローラ20A(20B)の周速を、乾燥ローラ1A(1B)の周速よりも10%を超えて速くしても、被処理物H1の性質によっては圧入ローラ20A(20B)の表面に同伴され易くなってしまい、乾燥ローラ1A(1B)の溝10に圧入されるべき被処理物H1が減少してしまったり、逆に、溝10への圧入速度を過大にして圧入ローラ20A(20B)より下流(下方)の乾燥ローラ1A(1B)の溝10から被処理物H1が溢れてしまうこともある。
このとき、本発明の上部圧入式溝型加熱成型乾燥機Dにあっては、乾燥ローラ1A(1B)への圧入ローラ20A(20B)の作用部位すなわち溝10への被処理物H1の圧入部位から乾燥品スクレーパ3の位置までの、約225°の範囲に亘って被処理物H1が加熱されるため、充分に加熱が行われて所望の水分値まで含水率を低下させることが可能となる。
因みに図9に示す従来装置において乾燥が行われるのは、乾燥ローラ1A′と乾燥ローラ1B′との接触部位から、乾燥品スクレーパ3′の位置までの約180°の範囲となっている。
すなわち、溝10への被処理物H1の圧入部位に位置していた底面10aが、略垂直状態となるまでに約45°の回転(約45秒)を要するものであり、この間に乾燥が進むため、被処理物H1の抜け落ちが回避されることとなる。
なお被処理物H1の含水率が高いと粘度が低くなり、室温に置かれた被処理物H1の粘度として1Pa・s以上であれば、被処理物H1の抜け落ちを効果的に防止することができる。
因みに被処理物H1の粘度が5Pa・sを超える場合は、図9(a)に示すように乾燥ローラ1A′と乾燥ローラ1B′とホッパ4′とが成す貯留部28′に被処理物H1を留める従来の方法を用いても、抜け落ちを生ずることはない。
そして図4に示すように、乾燥ローラ1A、1Bの回転にともなって乾燥品スクレーパ3に至った被処理物H1は、乾燥品スクレーパ3によって掻き出され、この際受ける衝撃や重力の作用によって一辺4〜10mm角程度の角棒状に分断され、乾燥品H2となって回収されることとなる。
〔他の実施例〕
まず図7、8に示すように、一基の乾燥ローラ1のみが単独で具えらるようにしてもよい。そしてこの場合、図6(b)に示すように一本の乾燥ローラ1に形成することのできる溝10の数を、図6(a)に示す二本の乾燥ローラ1A、1Bを接触させて具えた場合と比べて多く形成することができるため、小規模の装置によってほぼ同等の処理能力を発揮することができ、イニシャルコストの低減を図ることが可能となる。
すなわち溝10内への被処理物H1の圧入は、圧入部材2により行われ、従来の装置のように乾燥ローラ1が他の乾燥ローラ(1B)への圧入を担うことがない構成が採られるため、乾燥ローラ1の側周面1cに形成される溝10のピッチを短くすることが可能となるものである。
なお前記溝10の数は、側壁面10bを通じて伝導される熱量が充分に確保できるように、設定されることはいうまでもない。
なおこの場合、乾燥ローラ1A及び乾燥ローラ1Bに対してそれぞれ駆動機構を具える構成を基本とするが、適宜スプロケットやチェーンを組み合わせることにより、一台のモータM1によって乾燥ローラ1A及び乾燥ローラ1Bを回転するようにしてもよい。
この場合であっても、側周部1c同士は非接触状態となるため、溝10のピッチを、図6(a)に示したものよりも狭くすることができる。
なお上部圧入式溝型加熱成型乾燥機Dを、三基以上の乾燥ローラ1を具えたものとして構成することも可能である。
ここで前出の前記圧入部材2としての圧入板21について説明する。
具体的には図4中に拡大して示すように、圧入部材2として圧入板21を採用するものであり、前記圧入ローラ20と同様に、乾燥ローラ1A及び乾燥ローラ1Bの上部、一例として頭頂部から回転方向に約45°の位置に、乾燥ローラ1A、1Bの側周に接触するように圧入板21A、21Bが設けられる。
そして圧入板21A(21B)と、前記乾燥ローラ1A(1B)との接点(ローラの長手方向の接線)よりも上方の部分を被処理物H1の貯留部28とする。
このように圧入部材2として圧入板21を採用した場合には、部品点数が少ないため装置構成を簡素なものとして、イニシャルコストの低減を図ることができる。
因みに前記角度が10°よりも小さい場合には、圧入板21A(21B)の圧入面と反対側の面に、被処理物H1が大きな盛り上がりとなって付着・成長し易くなってしまう。そしてこの付着物が剥離して落下した場合には、乾燥ローラ1Aと乾燥ローラ1Bとの間にかみ込まれ、動力が過負荷状態になり易い。
一方、前記角度が20°よりも大きい場合には、被処理物H1が圧入されにくくなってしまう。
なおこの押圧ベルト5は、支持ローラ50によって軌道が設定されるものであり、圧入部材2の下流側における溝10の側面視における傾斜が急な部位に設けることが効果的である。
また前記押圧ベルト5は、被処理物H1の乾燥を阻むことがないように通気性を有するものによって形成される。
1 乾燥ローラ
1A 乾燥ローラ
1B 乾燥ローラ
1c 側周面
10 溝
10a 底面
10b 側壁面
11 動力伝達部
12 側板
13 フランジ
13a 孔
13b 軸
14 軸受
15 駆動スプロケット
16 従動スプロケット
17 チェーン
18 減速機
19 ロータリージョイント
2 圧入部材
20 圧入ローラ
20A 圧入ローラ
20B 圧入ローラ
21 圧入板
21A 圧入板
21B 圧入板
22 軸
23 軸受
24 従動スプロケット
25 駆動スプロケット
26 チェーン
27 減速機
28 貯留部
29 圧入ローラスクレーパ
3 乾燥品スクレーパ
30 軸
31 基板
32 付勢板
33 スリーブ
35 爪
36 リンク
37 ハンドル
38 スプリング
4 ホッパ
40 側板
5 押圧ベルト
50 支持ローラ
F 機枠
H1 被処理物
H2 乾燥品
M1 モータ
M2 モータ
Claims (3)
- 円筒状の乾燥ローラに対し、その側周部に円周方向に沿って複数の溝が形成され、この溝内に被処理物を圧入し、乾燥ローラからの伝導熱によって前記被処理物を乾燥させ、その後、乾燥した被処理物を乾燥品スクレーパによって前記溝内から掻き出して乾燥品を得る装置において、前記乾燥ローラの上部には、被処理物を前記溝内へ圧入するための圧入板が具えられるものであり、この圧入板と、前記乾燥ローラとの接点(ローラの長手方向の接線)よりも上方の部分を被処理物の貯留部とすることを特徴とする上部圧入式溝型加熱成型乾燥機。
- 前記乾燥ローラは、一基のみが単独で具えられていることを特徴とする請求項1記載の上部圧入式溝型加熱成型乾燥機。
- 前記乾燥ローラの溝のピッチは、溝の幅寸法よりも狭く設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の上部圧入式溝型加熱成型乾燥機。
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