例えば画像情報に基づいて記録ヘッドのインク吐出口(ノズル)からインク滴を用紙等の記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェット記録装置で大容量のインクカートリッジを使用した場合、キャリッジに搭載された記録ヘッドに直接インクカートリッジを搭載して記録ヘッドにインクを供給しようとすると、インクカートリッジの重さが原因でキャリッジ動作に支障をきたし、画像品質が下がってしまう。そこでキャリッジに搭載した記録ヘッドにインクを供給する小容量のインク収容容器であるサブタンクを搭載し、大容量のインクカートリッジを装置本体側に設置し、サブタンクにインクカートリッジからインクを補充供給するようにして、大容量のインクを保持するものが使用されている。
この画像記録装置のサブタンクは、図10(a)の正面図と(b)の側面図と(c)の上面図に示すように、タンク本体のインク収容部352の側面開口を可撓性を有するフイルム部材353で封止し、インク収容部352の内部にはフイルム部材353を外方に付勢するスプリング354を設け、フイルム部材353とスプリング354によって負圧発生機構を構成している。インク収容部352を大気に開放するための大気開放機構356とインク収容部352にインクカートリッジからインクを供給するためのインク供給口部377を有するとともにインク収容部352内のインクを検出するための2本のインク検知電極358を有する。そしてインクカートリッジからサブタンク35にインクを供給するときは、大気開放機構356によりインク収容部252内を大気開放してフイルム部材353をスプリング354に対抗させて押し付けた状態でインク収容部352にインクを供給し、その後、大気開放機構356を閉じてインク収容部352内に負圧を発生させて記録ヘッドのノズルからインク滴を吐出させて画像を記録する状態にする。
大容量のインクカートリッジから供給されたインクを一時的に貯蔵しておくサブタンクを搭載するインクジェット記録装置において、例えば記録ヘッドに2つのノズル列を有し、サブタンク35に2色のインクを貯蔵するインク収容部352a,352bを有する場合、サブタンク35内の負圧状態を解除して双方の色のインクをインク収容部352a,352bに供給した後に負圧状態に戻す際に、双方のインク収容部352a,352b内の液面レベルを合わせておく必要がある。図10(b)に示すように、双方のインク収容部352a,352b内で液面レベルが合っていない状態のまま、双方のインク収容部352a,352bを負圧にすると、双方のインク収容部352a,352b内の負圧に相違が生じて吐出不良やインク漏れが生じ、良質な画像を記録できなくなる。
これらの問題点を解決するために、従来からいくつかの提案がなされている。特許文献1に示されたインクジェット記録装置は、インクカートリッジと記録ヘッドの間に中間インクタンクと、記録ヘッド内のインクの負圧を検出する圧力センサを設け、圧力センサで記録ヘッド内のインクの負圧を検出して中間インクタンクを上下動させて記録ヘッド内のインクを所望の負圧に維持するようにしている。
また、特許文献2に示されたインク供給装置は、インクを貯蔵しておく主タンク室に付随したメニスカス形成部材を有した副タンク室から、主タンク室の圧力がインクを消費することにより低下した場合、低下した圧力に相当するインクを自動的に供給して、所望の負圧を保つようにしている。
特許文献3に示されたインクジェットペンは、密閉したインクタンク内にインクを充填し、このインクタンクに一端が大気に開放された通気孔を設け、インクタンク内のインクが消費されると、通気孔を通じて空気がインクタンク内に供給されインクタンク内を所望の負圧に保つようにしている。
特許文献1に示されたインクジェット記録装置では、記録ヘッドと中間インクタンク及び背圧センサとそれぞれが離れた場所に配置されているために、構成が煩雑で大型化してしまう。また、中間インクタンクを上下動させるための機構やその制御が必要であり、装置自体が複雑化してしまう。さらに、負圧形成の際に何らかの要因で気泡が中間インクタンクに入り込んだときには負圧制御を正確に行うことは困難である。
また、特許文献2に示されたインク供給装置では、メニスカス形成部材の劣化により、所望の負圧を維持することが困難になる。また、負圧形成の際に何らかの要因で気泡が副タンク室に入り込んだときには負圧制御が困難になる。
さらに、特許文献3に示されたインクジェットペンでは、インクタンクが通気孔を介して常に大気に開放されているため、気泡混入の可能性が高く、負圧形成の際に何らかの要因で入り込んだ気泡がヘッド流路内に入り込む可能性があり、その場合の負圧制御が困難となる。
この発明は、このような問題を解消し、2色以上のインクを貯蔵することができるサブタンク内の負圧を再形成するときに各色の液面レベルを確実に一致させて液面レベルの相違による画像劣化やインク漏れを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
この発明の画像形成装置は、ノズルから記録液の液滴を吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに搭載され、前記記録ヘッドに記録液を供給し、装置本体側のメインタンクから記録液が補充供給されるサブタンクからなるヘッドユニットをキャリッジに1つまたは複数搭載する画像形成装置において、前記記録ヘッドは複数列のノズル列を有し、前記サブタンクは前記ノズル列に対応して複数のインク収容部を有し、前記複数のインク収容部は、前記インク収容部を大気に開放するための大気開放通路を開閉する大気解放機構、前記インク収容部に前記メインタンクからインクを供給するためのインク供給口部、前記インク収容部内の液面を検出するための液面検知電極をそれぞれ有し、前記装置本体側のメインタンクから記録液を前記サブタンクに補充供給する記録液供給機構と制御部とを有し、前記記録液供給機構は、前記複数のインク収容部に対応して複数設けられ、前記記録液供給機構は、前記記録液を前記メインタンクから前記サブタンクに正転液送する正転送液機能と、前記サブタンクから前記メインタンクに記録液を逆転送液する逆転送液機能とを備え、前記制御部は、前記サブタンクの前記複数のインク収容部内を大気に開放して記録液を補充供給してから負圧を形成する際に、前記サブタンクの前記複数のインク収容部内を大気に開放したときに、前記サブタンクの前記複数のインク収容部にそれぞれ設けた記録液の液面を検知する液面検知電極のいずれかで記録液の液面を検知した場合、記録液の液面が検知された、前記サブタンク内の前記インク収容部の記録液を、前記記録液供給機構の逆転送液機能で前記メインタンクに逆送して前記インク収容部内の液面を低下させ、前記液面検知電極で記録液の液面を検知しなくなった後に前記逆転送液の動作を停止し、前記逆転送液動作により前記サブタンクの前記複数のインク収容部の前記液面検知電極のそれぞれが記録液の液面を検知しなくなってから、前記記録液供給機構の正転送液機能により前記サブタンクの前記複数のインク収容部内のそれぞれに前記メインタンクから記録液を補充供給し、前記正転送液動作により前記サブタンクの前記複数のインク収容部の前記液面検知電極が記録液の液面を検知するのに基づいて前記記録液供給機構の駆動を停止し、前記サブタンクの前記複数のインク収容部内のそれぞれを負圧にすることを特徴とする。
また、前記サブタンクの前記複数のインク収容部は、互いに異なる色の記録液を貯蔵し、前記制御部は、前記複数のインク収容部の各色毎の前記インク収容部に設けられた前記液面検知電極で記録液の液面を検知する処理と、前記液面検知電極で液面が検知された各色毎の前記インク収容部内の記録液を前記記録液供給機構の逆転送液機能で前記メインタンクに逆転送液する処理とを、各色毎に順次繰り返すことを特徴とする。
さらに、前記制御部は、前記記録液供給機構の前記逆転送液機能で前記サブタンクの前記インク収容部内の記録液を前記メインタンクに送液する前記逆転送液の動作の停止する制御を、前記液面検知電極で記録液の液面を検知しなくなったときから所定時間経過時に行い、かつ、前記所定時間を、装置本体内の温度に応じて可変したり、あるいは記録液の粘度に応じて可変することを特徴とする。
また、前記制御部は、前記記録液供給機構の前記逆転送液機能で前記サブタンクの前記インク収容部内の記録液を前記メインタンクに送液する前記逆転送液の動作の停止する制御を、前記液面検知電極で記録液の液面を検知しなくなったときから所定時間経過時に行い、かつ、前記所定時間を、記録液の粘度に応じて可変することを特徴とする。
この発明は、サブタンク内を大気に開放して記録液を補充供給してから負圧を形成する際に、サブタンク内を大気に開放したときに、前記サブタンクに設けた記録液の液面を検知する液面検知電極で記録液の液面を検知した場合、サブタンク内の記録液を記録液供給機構の逆転送液機構で一定量メインタンクに送液した後に、記録液供給機構の正転送液機構によりサブタンク内にメインタンクから記録液を補充供給してからサブタンク内を負圧にするから、サブタンク内を負圧にしたとき、サブタンク内の記録液の液面を常に一定レベルにすることができ、意図しない負圧再形成動作実施を防止して記録液を無駄に消費することを防止することができる。
また、サブタンクに複数色の記録液を貯蔵するインク収容部を有する場合、いずれかのインク収容部に設けられた記録液の液面を検知する液面検知電極で記録液の液面を検知した場合、液面検知電極で記録液の液面を検知したインク収容部内の記録液を記録液供給機構の逆転送液機構で一定量メインタンクに送液することにより、サブタンク内を負圧にしたとき、全てのインク収容部内の記録液の液面を一定レベルにすることができ、液面レベルの相違による画像劣化やインク漏れを防止するとともに意図しない負圧再形成動作実施を防止して記録液を無駄に消費することを防止することができる。
また、複数色の記録液をそれぞれ貯蔵するインク収容部の記録液の液面検知処理とインク収容部内の記録液をメインタンクに送液する処理を各色毎に順次繰り返すことにより、各色毎の記録液をメインタンクに送液するとき、送液ポンプを同時に駆動させないで済み、メインタンクに送液を省電力で制御することができる。さらに、各色毎のインク液面の検知も同時に行わずに順次行うことにより、制御部に設けた1つの液面検知回路により複数色のインク液面検知処理を行うことができ、制御部の回路構成を簡略化して低コスト化を図ることができる。
さらに、記録液供給機構の逆転送液機構でサブタンクのインク収容部内の記録液をメインタンクに送液開始して液面検知電極で記録液の液面を検知しなくなってから所定時間だけインク収容部内の記録液をメインタンクに送液することにより、サブタンクのインク収容部内の記録液をメインタンクに送液した後にインク収容部内の記録液の液面レベルを一定にすることができ、液面レベルの相違による画像劣化やインク漏れを防止するとともに意図しない負圧再形成動作実施を防止して記録液を無駄に消費することを防止することができる。
また、記録液供給機構の逆転送液機構でサブタンクのインク収容部内の記録液をメインタンクに送液する所定時間を、装置本体内の温度や記録液の粘度に応じて可変することにより、サブタンク内を負圧にしたとき、全てのインク収容部内の記録液の液面を一定レベルにすることができ、液面レベルの相違による画像劣化やインク漏れを防止するとともに意図しない負圧再形成動作実施を防止して記録液を無駄に消費することを防止することができる。
さらに、記録液供給機構の正転送液機構によりサブタンクのインク収容部内にメインタンクから記録液を補充供給しているとき、液面検知電極で記録液の液面を検知したら記録液の補充供給を停止してサブタンクのインク収容部内を負圧にすることにより、全てのインク収容部内の記録液の液面を一定レベルにすることができ、液面レベルの相違による画像劣化やインク漏れを防止するとともに意図しない負圧再形成動作実施を防止して記録液を無駄に消費することを防止することができる。
図1〜図3は、この発明の画像形成装置の構成を示し、図1は画像形成装置を前方側から見た斜視図、図2は画像形成装置の機構部の全体構成を示す概略構成図、図3は機構部の要部平面図である。
図1に示すように、画像形成装置は、装置本体1と、装置本体1に装着された記録用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に装着され画像が記録(形成)された記録用紙を排紙してストックするための排紙トレイ3とを備えている。装置本体1の前面4の一端部側には、前面4から前方側に突き出し、上面5よりも低くなったカートリッジ装填部6を有し、このカートリッジ装填部6の上面に操作キーや表示器などの操作部7を配置している。
このカートリッジ装填部6には、色の異なる記録液(インク)、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数のメインタンクであるインクカートリッジ10k、10c、10m、10yを、装置本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部6の前面側には、液体カートリッジ10を着脱するときに開く前カバー(カートリッジカバー)8を開閉可能に設けている。
この画像形成装置の機構部は、図3に示すように、フレーム21を構成する左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材であるガイドロッド31とステー32とでキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによって図3で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。このキャリッジ33には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、の各色の液滴を吐出する複数のノズル列を有する記録ヘッド34を複数のノズル(吐出口)を主走査方向と交叉する方向に配列し、液滴吐出方向を下方に向けて装着している。記録ヘッド34は、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、インク滴を吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ33には、各記録ヘッド34にそれぞれ各色のインクを供給するための各色のサブタンク35k、35c、35m、35yを搭載している。このサブタンク35には各色のインク供給チューブ36を介してカートリッジ装填部6に装着された各色のインクカートリッジ10からインクを補充供給するようにしている。このカートリッジ装填部6にはインクカートリッジ10内のインクを送液するための送液ポンプ23のユニットが設けられている。また、インクカートリッジ装填部6からサブタンク35に至るまでのインク供給チューブ36は這い回しの途中でフレーム21を構成する後板21Cに本体側ホルダ25にて固定保持されている。さらに、キャリッジ33上でも固定リブ26にて固定されている。
サブタンク35は、図4の斜視図に示すように、記録ヘッド34の上部にフィルタユニット37を介して設けられている。このサブタンク35は、タンク本体351のインク収容部352の側面に開口を有し、開口には可撓性フイルム部材353を接着又は溶着などで貼り付けて封止し、インク収容部352の内部には、図5の断面図に示すように、タンク本体351とフイルム部材353との間にフイルム部材353を外方に付勢するスプリング354を設け、フイルム部材353とスプリング354によって負圧発生機構を構成している。また、タンク本体351にはフイルム部材353の変位に応じて変位する負圧検知レバー355を揺動可能に装着している。また、タンク本体351の上部にはインク収容部352を大気に開放するための大気開放通路を形成し、この大気開放通路を開閉する大気開放機構356を備えている。また、タンク本体351の上面にはインク収容部352にインクカートリッジからインクを供給するためのインク供給口部357を有するとともにインク収容部352内のインクを検出するための2本のインク検知電極358を有するインク検知機構359が設けられている。
記録ヘッド34に複数列例えば2列のノズル列を有する場合は、図6(a)の正面図と(b)の側面図と(c)の上面図に示すように、サブタンク35は2色のインクを貯蔵するインク収容部352a,352bを有し、各インク収容部352a,352bに大気開放機構356やインク供給口部357やインク検知機構部359を有する。
また、図2に示すように、給紙トレイ2の用紙積載部(底板)41上に積載した記録用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から記録用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向して摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。そして、この給紙部から給紙された記録用紙42を記録ヘッド34の下方側で搬送するための搬送部として、記録用紙42を静電吸着して搬送するための搬送ベルト51と、給紙部からガイド45を介して送られる記録用紙42を搬送ベルト51との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ52と、略鉛直上方に送られる記録用紙42を略90度方向転換させて搬送ベルト51上に倣わせるための搬送ガイド53と、押さえ部材54で搬送ベルト51側に付勢された先端加圧コロ55とを備えている。また、搬送ベルト51表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ57とテンションローラ58との間に掛け渡されて、図3のベルト搬送方向に周回するように構成している。帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に各2.5Nをかけている。また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド54による印写領域に対応してガイド部材61を配置している。このガイド部材61は、上面が搬送ベルト51を支持する搬送ローラ57とテンションローラ58の接線よりも記録ヘッド34側に突出している。これにより、搬送ベルト51は印写領域ではガイド部材61の上面にて押し上げられてガイドされるので、高精度な平面性を維持される。
さらに、記録ヘッド34で記録された記録用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から記録用紙42を分離するための分離爪71と、排紙ローラ72及び排紙コロ73とを備え、排紙ローラ72の下方に排紙トレイ3を備えている。ここで、排紙ローラ72と排紙コロ73との間から排紙トレイ3までの高さは排紙トレイ3にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。
また、装置本体1の背面部には両面給紙ユニット81が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット81は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される記録用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ52と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面給紙ユニット81の上面には手差し給紙部82を設けている。
さらに、図3に示すように、キャリッジ33の走査方向の一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復装置90を配置している。この維持回復装置90には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための4個の吸引キャップ92を有する回復装置91と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード93と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しないインク滴を吐出させる空吐出を行なうときのインク滴を受ける空吐出受け94などを備えている。
また、図3に示すように、キャリッジ33の走査方向の他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しないインクを吐出させる空吐出を行うときのインクを受ける空吐出受け98を配置し、この空吐出受け98には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部99などを備えている。
このように構成した画像形成装置においては、給紙トレイ2から記録用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ52との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド53で案内されて先端加圧コロ55で搬送ベルト51に押し付けられ、略90度搬送方向を転換される。このとき、図示しない制御回路によって高圧電源から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラスとマイナスが交互に帯電した搬送ベルト51上に記録用紙42が給送されると、記録用紙42が搬送ベルト51に静電的に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって記録用紙42が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している記録用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、記録用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は記録用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、記録用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ33は維持回復装置90側に移動されて、回復装置91の各吸引キャップ92で記録ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、吸引キャップ92で記録ヘッド34をキャッピングした状態でノズルからインクを吸引し、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
この待機中にはキャリッジ33を維持回復装置90側に移動して回復装置91の各吸引キャップ92で記録ヘッド34がキャッピングされた状態でインクカートリッジ10からサブタンク35にインクを補填供給するインク供給機構38は、図7の構成図に示すように、インクカートリッジ10とサブタンク35のインク供給口部357はインク供給チューブ36と送液ポンプ23により連結されている。送液ポンプ23と、維持回復装置90の吸引キャップ92で記録ヘッド34をキャッピングした状態でノズルからインクを吸引して廃液タンク911に送る吸引ポンプ912とは、サブタンク35のインク検知機構356のインク検知電極358の状態に応じて制御部100により駆動制御される。
記録ヘッド34に2列のノズル列を有し、サブタンク35に2個のインク収容部352a,352bを有する場合は、それぞれのインク収容部352a,352bに対応してインク供給機構38を有する。
送液ポンプ23は、図8の構成図に示すように、内部に弾力性を有する例えばゴム製の送液チューブ231が円弧状に這い回され、複数例えば4個のポンプロータ232をポンプ駆動モータで回転することにより送液チューブ231を局部的に順次押し潰してポンプロータ232の回転方向にインクを移動して送液するチューブポンプからなり、ポンプロータ232を矢印Aで示すように正転させたとき、インクカートリッジ10からサブタンク35にインクを送液し、ポンプロータ232を矢印Bで示すように逆転させたとき、サブタンク35からインクカートリッジ10にインクを送液する正逆送液機能を有する。
例えば記録ヘッドに2つのノズル列を有し、サブタンク35に2色のインクを貯蔵するインク収容部352a,352bを有する場合、インク供給機構38でインクカートリッジ10からサブタンク35のインク収容部352a,352bにインクを供給するときは、大気開放機構356によりインク収容部352内を大気開放して負圧検知レバー355でフイルム部材353をスプリング354に対抗させて押し付けた状態でインク収容部352にインクを供給し、その後、大気開放機構356を閉じて負圧検知レバー355を復帰させてインク収容部352a,352b内に負圧を発生させて記録ヘッド34で画像を記録する状態にする。
この2色のインクを収容するインク収容部352a,352bにインクを供給して負圧を形成するときの動作を図9のフローチャートを参照して説明する。
負圧形成動作に入ると、制御部100はサブタンク35のそれぞれの大気開放機構356によりインク収容部352a,352b内を大気に開放する(ステップS1)。この状態で制御部100は1色目のインク収容部352aのインク検知電極358でインク収容部352a内のインク液面を検知しているかどうかを判定する(ステップS2)。この判定の結果、図6(b)のサブタンク35の側面断面図に示すように、1色目のインク収容部352aのインク検知電極358でインク液面を検知しているときは、1色目の送液ポンプ23を逆転動作させてインク収容部352a内のインクをインクカートリッジ10側に戻してインク収容部352a内のインク液面を低下させる(ステップS3)。このインク収容部352a内のインク液面が低下してインク検知電極358でインク液面を検知しなくなったときからあらかじめ定めた所定時間経過すると送液ポンプ23の逆転動作を停止させる(ステップS4,S5,S6)。
また、制御部100は1色目のインク収容部352aのインク検知電極358でインク収容部352a内のインク液面を検知しているかどうかを判定して、インク収容部352a内のインク液面をインク検知電極358で検知していないとき(ステップS2)及びインク収容部352a内のインク液面をインク検知電極358で検知しなくなって送液ポンプ23の逆転動作を停止したとき(ステップS6)、2色目のインク収容部352bのインク検知電極358でインク収容部352b内のインク液面を検知しているかどうかを判定し(ステップS7)、図6(b)に示すように、インク収容部352bのインク検知電極358でインク液面を検知していないときは、1色目と2色目の送液ポンプ23を正転駆動してインク収容部352a,352bに各インクカートリッジ10からインクを供給する(ステップS12)。このインクの供給によりインク収容部352a,352bのインク検知電極358でインク液面を検知すると、送液ポンプ23の駆動を停止する(ステップS13,S14)。その後、インク収容部352a,352bを負圧にする(ステップS15)。
また、インク収容部352bのインク検知電極358でインク液面を検知しているときは、2色目の送液ポンプ23を逆転動作させてインク収容部352b内のインクをインクカートリッジ10側に戻してインク収容部352b内のインク液面を低下させる(ステップS8)。このインク収容部352a内のインク液面が低下してインク検知電極358でインク液面を検知しなくなったときからあらかじめ定めた所定時間経過すると送液ポンプ23の逆転動作を停止させる(ステップS9,S10,S11)。
その後、1色目と2色目の送液ポンプ23を正転駆動してインク収容部352a,352bに各インクカートリッジ10からインクを供給する(ステップS12)。このインクの供給によりインク収容部352a,352bのインク検知電極358でインク液面を検知すると、送液ポンプ23の駆動を停止する(ステップS13,S14)。その後、インク収容部352a,352bを負圧にする(ステップS15)。
このように、インク収容部352a,352bのいずれかでインク検知電極358でインク液面を検知しているときは、インク検知電極358でインク液面を検知してインク収容部352に対応する送液ポンプ23を逆転動作させてインク収容部352内のインクをインクカートリッジ10側に戻してから、双方の送液ポンプ23を正転動作させてインク収容部352a,352bに各インクカートリッジ10からインクを供給した後、インク収容部352a,352bを負圧にするから、インク収容部352a,352bを負圧にしたとき、図6(d)に示すように、インク収容部352a,352b内のインク液面を一定レベルにすることができ、インク収容部352a,352b内のインク液面レベルの相違による画像劣化やインク漏れを防ぐことができるとともに意図しない負圧再形成動作実施を防止してインクを無駄に消費することを防止できる。
また、1色目のインク収容部352aのインク検知電極358でインク液面を検知していることを検知したとき、1色目の送液ポンプ23を逆転動作させてインク収容部352a内のインクをインクカートリッジ10側に戻してインク収容部352a内のインク液面を低下させた後、2色目のインク収容部352bのインク検知電極358でインク液面を検知していることを検知したとき、2色目の送液ポンプ23を逆転動作させてインク収容部352b内のインクをインクカートリッジ10側に戻してインク収容部352b内のインク液面を低下させるから、1色目の送液ポンプ23と2色目の送液ポンプ23を同時に逆転動作させないで済み、送液ポンプ23の逆転するとき大容量の電力を同時に使用しないで済み、小さな電力で送液ポンプ23の逆転制御をすることができる。さらに、1色目のインク収容部352aに設けたインク検知電極358によるインク液面の検知と2色目のインク収容部352bに設けたインク検知電極358によりインク液面の検知を同時に行わずに1色目のインク液面を検知してから2色目のインク液面を検知するから、制御部100に設けた1つの液面検知回路により1色目と2色目のインク液面検知処理を行うことができ、制御部100の回路構成を簡略化して低コスト化を図ることができる。
なお、1色目の送液ポンプ23と2色目の送液ポンプ23を同時に逆転動作させても良い。
前記説明ではインク収容部352a,352b内のインクをインクカートリッジ10側に戻してから、1色目と2色目の送液ポンプ23を正転動作させてインク収容部352a,352bに各インクカートリッジ10からインクを供給した場合について説明したが、1色目の送液ポンプ23を正転動作させてインク収容部352aにインクカートリッジ10からインクを供給した後、2色目の送液ポンプ23を正転動作させてインク収容部352bにインクカートリッジ10からインクを供給して、大容量の電力を同時に使用しないようにしても良い。
前記説明ではサブタンク35に2色のインク収容部352a,352bを有する場合について示したが、サブタンク35に1色のインク収容部352を有する場合も、インク検知電極358でインク液面を検知しているとき、インク検知電極358でインク液面を検知して送液ポンプ23を逆転動作させてインク収容部352内のインクをインクカートリッジ10側に戻してから、送液ポンプ23を正転動作させてインク収容部352にインクカートリッジ10からインクを供給した後、インク収容部352を負圧にすることにより、インク収容部352を負圧にしたとき、インク収容部352内のインク液面を常に一定レベルにすることができる。
また、前記説明では送液ポンプ23を逆転動作させてインク収容部352内のインクをインクカートリッジ10側に戻すとき、インク収容部352内のインク液面が低下してインク検知電極358でインク液面を検知しなくなったときからあらかじめ定めた所定時間経過したとき送液ポンプ23の逆転動作を停止させる場合について説明したが、この送液ポンプ23の逆転動作を停止させる所定時間をインクの粘度に応じて可変すると良い。すなわちインクの粘度が高いときは送液ポンプ23から送り出す単位時間当たりのインク流量が少なくなり、インク粘度が低いとき送液ポンプ23から送り出す単位時間当たりのインク流量が多くなるからである。このインクの粘度は温度により変化する。そこで画像形成装置内の温度を温度センサで検出し、制御部100は温度センサで検出した温度が高い場合はインクを逆送する所定時間を短くし、温度が低い場合はインクを逆送する所定時間を長くして温度に応じて所定時間を可変すれば良い。また、インクの粘度を粘度センサで直接検出し、検出した粘度に応じてインクを逆送する所定時間を可変しても良い。