JP5344026B2 - 電波受信機器 - Google Patents
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Description
一方、上記特許文献2に記載の電波時計においては、ねじ部同士の螺合面積が小さくなるとは言え、裏蓋側のねじ部とケース本体側のねじ部とが金属接触していることから、ケース本体と裏蓋との電気的な絶縁を確実には図れないという問題がある。また、ねじ部が形成される突起部に切欠きを設けるため、その分、ケース本体と裏蓋との結合力が弱くなってしまうという問題がある。
筒状の金属製の機器本体、この機器本体の一端開口を閉塞する金属製の第1の閉塞部材、前記機器本体の他端開口を閉塞する電波透過性の第2の閉塞部材、および、前記機器本体内に配置されたアンテナを備えている電波受信機器において、
前記機器本体と前記第1の閉塞部材とを、互いの螺合によってねじ結合する第1のねじ部および第2のねじ部を備え、
前記第1のねじ部は、前記機器本体の金属壁面に形成され、
前記第2のねじ部は、前記第1の閉塞部材に接合樹脂部材を介して取り付けられた金属製の環状部材に形成され、
前記接合樹脂部材は、前記第1の閉塞部材の内面に設けられた環状凹部の金属壁面に形成されたナノメートルサイズの多数の凹凸部を介して前記環状凹部の金属壁面に接合されているとともに、前記環状部材の金属壁面に形成されたナノメートルサイズの多数の凹凸部を介して前記環状部材の金属壁面に接合されていることを特徴とする電波受信機器である。
さらに、金属壁面に形成されたナノメートルサイズの多数の凹凸部に接合樹脂部材が強固に接合されているため、結合、分解を繰り返しても接合樹脂部材が脱落する虞がなく、長期に亘って確実な電気絶縁を図ることができる。
さらにまた、機器本体と第1の閉塞部材が全周で結合されるため、機器本体と第1の閉塞部材との結合をより一層強固にすることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電波時計の一部を示す断面図、図2は、電波時計におけるケース本体および裏蓋の要部を拡大して示す断面図である。
この第1の実施形態の電波時計1は、筒状の機器本体であるケース本体10、第1の閉塞部材である裏蓋20、および、第2の閉塞部材である時計ガラス30を備えている。そして、ケース本体10の一端開口10aは、裏蓋20によって閉塞されている。一方、ケース本体10の他端開口10bは電波透過性の時計ガラス30によって閉塞されている。また、ケース本体10と裏蓋20との間にはシール部材2が介装されている。一方、ケース本体10と時計ガラス30との間にはシール部材3がそれぞれ介装されている。これによって、ケース本体10の内部の防水性が確保されている。
また、ケース本体10の内部には、時計モジュール4、時刻データを含む標準電波を受信するアンテナ5、見切り部材8、その他図示しない文字板および指針等が収容されている。
この裏蓋20は金属製、例えばチタン製で円盤状に形成されている。
この裏蓋20の内面には、当該裏蓋20の周縁近くに、当該内面に対して起立する環状突起部22が形成されている。この環状突起部22の外径は、上記ケース本体10の壁面10d−2に囲まれる円の直径よりも小さくなっている。そして、この環状突起部22の頂壁面はケース本体10の壁面10d−1に対峙し、一方、環状突起部22の外周壁面はケース本体10の壁面10d−2に対峙している。
また、裏蓋20の内面には、環状突起部22の直ぐ外側に、当該環状突起部22を取り囲むように環状凹部25が形成されている。この環状凹部25の壁面は金属壁面である。この環状凹部25の壁面のうち内周側の壁面は環状突起部22の外周壁面と面一となっている。そして、環状凹部25の壁面と環状突起部22の外周壁面とには、ナノメートルサイズの多数の凹凸部(でこぼこ部)26(図4(B)参照)が形成されている。ここで、ナノメートルサイズとは、10〜300nmのサイズをいう。この実施の形態の場合は、多数の凹凸部26の超微細な穴の直径は、10〜100nmのサイズの穴径であるが、例えば、20〜300nm、20〜30nmのサイズの穴径であってもよい。
なお、この接合樹脂部材40の形成位置は、ケース本体10に裏蓋20を結合した際に外部から視認できない位置とすることが好ましい。
この製造方法には、金属部材と樹脂部材の射出成形による一体成形化技術による製造方法を用いる。
すなわち、この製造方法には、金属部材への表面処理によりナノメートルサイズの微細な凹凸部を金属表面に形成し、この凹凸部に射出成形方法により、硬質樹脂を入れ込み、金属部材と樹脂部材とを一体化する技術を用いる。この技術は、公知であるので、その説明は省略する。
以下、この製造手順について説明する。
次に、この裏蓋母体21をアルカリ液に浸漬して脱脂処理を行ない、その後、酸液に浸漬して中和を図る。
次に、侵食性水溶液または侵食性懸濁液に裏蓋母体21を浸漬して、図4(B)に示すように、環状突起部22の外周壁面と環状凹部25の壁面とに亘ってナノメートルサイズの直径および深さの多数の凹凸部26を形成する。多数の凹凸部26を構成している各くぼみそれぞれの直径および深さは、この実施の形態の場合、20ナノメートル程度の寸法であるが、これに限られず、他の寸法でもよい。
その後、裏蓋母体21を水洗し、乾燥機によって乾燥させる。
ポリフェニレンスルファイド(PPS)は、単独で使用される場合のほか、(A)ポリフェニレンスルファイド70〜99重量%およびポリオレフィン系樹脂1〜30重量%を含む樹脂組成物、(B)ポリフェニレンスルファイド70〜99重量%と、無水マレイン酸変性エチレン系共重合体,グリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体,グリシジルエーテル変性エチレン系共重合体,エチレンアルキルアクリレート共重合体の中から選択される1種以上のポリオレフィン系樹脂1〜30重量%とを含む樹脂分組成物の混合の形で使用される。
この実施の形態の場合、成形樹脂として、ポリフェニレンスルファイド(PPS)を用いたが、これに限られず、ポリフェニレンスルファイド(PPS)に、ガラス繊維20%を含有させた材料を使用したもの、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアリレート(AXG)を用いてもよい。
すなわち、この第1の実施形態の電波時計1によれば、金属製のケース本体10と金属製の裏蓋20とは、ケース本体10側の第1のねじ部11と接合樹脂部材40側の第2のねじ部27とによりねじ結合されている上に、接合樹脂部材40による電気絶縁作用により、両者の確実な電気絶縁を行うことができる。このために、外部からの電波受信の際に、アンテナ5に発生する起電力による電流が金属製のケース本体10から金属製の裏蓋20へ、金属製の裏蓋20から金属製のケース本体10へそれぞれ流れ込む事態を防止し、そこで渦電流損失が発生するような事態を確実に防止することができるので、その分、アンテナ5の受信感度の向上を図ることができる。
また、接合樹脂部材40がナノメートルサイズの多数の凹凸部26(図4B参照)を介して裏蓋20と一体となっているため、ケース本体10に対する裏蓋20の結合作業を簡単に行うことができる。また、電気絶縁性を確保するために、別途部品を必要としないため、電波時計1のサイズを小型化することができ。
また、接合樹脂部材40がナノメートルサイズの多数の凹凸部26を介して裏蓋20と強固に接合されるため、結合,分解を繰返しても接合樹脂部材40が脱落する虞がないので、長期に亘って確実な電気絶縁を得ることができる。
さらに、ケース本体10と裏蓋20が全周で結合されるため、ケース本体10と裏蓋20との結合が強固となり、防水性等に優れた電波時計1を実現することができる。
図5は、第2の実施形態に係る電波時計1におけるケース本体10および裏蓋20の要部断面図である。
この第2の実施形態に係る電波時計1が第1の実施形態の電波時計1と異なる点は、裏蓋20側ではなく、ケース本体10側に接合樹脂部材40が接合されている点である。
すなわち、この第2の実施形態に係る電波時計1では、裏蓋20に、ねじ部27が形成された金属製の環状突起部22Aが設けられている。一方、環状突起部22Aの頂壁面に対峙するケース本体10の壁面10d−1と、環状突起部22Aの外周壁面に対峙するケース本体10の壁面10d−2とに、ナノメートルサイズの多数の凹凸部26が形成されている。そして、ケース本体10には多数の凹凸部26を介して接合樹脂部材40が接合されている。さらに、この接合樹脂部材40にねじ部11が形成されている。
なお、ケース本体10の下端面に形成される環状溝10cは内周側の壁面が接合樹脂部材40の壁面によって構成されている。この環状溝10cは、例えば、環状溝10cの底壁面と外周側の壁面となるべき段部を形成し、その段部にも多数の凹凸部26を形成しておき、その段部の凹凸部26に樹脂ブロック40Aを接合しておいた後、接合樹脂ブロック40Aの一部を切削することにより形成される。
すなわち、第2の実施形態の電波時計1によれば、接合樹脂部材40がケース本体10と一体となっているので、ケース本体10に対する裏蓋20の結合作業が簡単に行えることになる。また、電気絶縁性を確保するために、別途部品を必要としないため、電波時計1のサイズを大きくしなくて済むことになる。
また、接合樹脂部材40がケース本体10と強固に接合されるため、結合,分解を繰返しても接合樹脂部材40が脱落する虞がないので、長期に亘って、確実な電気絶縁が得られることになる。
さらに、ケース本体10と裏蓋20が全周で結合されるため、ケース本体10と裏蓋20との結合が強固となり、防水性等に優れた電波時計1が実現できる。
図6は、第3の実施形態に係る電波時計1におけるケース本体10および裏蓋20の要部断面図である。
この第3の実施形態に係る電波時計1が第1の実施形態の電波時計1と異なる点は、裏蓋20が金属製の環状突起部22を有していない点である。
すなわち、この第3の実施形態に係る電波時計1では、裏蓋20に、環状凹部25Aが形成されており、この環状凹部25Aの壁面に、ナノメートルサイズの多数の凹凸部26が形成されている。そして、裏蓋20には多数の凹凸部26を介して接合樹脂部材40が接合されている。この接合樹脂部材40は、多数の凹凸部26を介して環状凹部25Aの壁面に接合され当該環状凹部25Aを埋め尽くす埋設部40Aと、埋設部40Aに連設されねじ部27が形成された環状突起部40Bから構成されている。そして、この環状突起部40Bにねじ部27が形成されている。
すなわち、第3の実施形態の電波時計1によれば、第1の実施形態に係る電波時計1と同様な効果が得られる上、金属製の環状突起部22を設けていないので、当該金属製の環状突起部22を形成する切削工程を省略できる一方、埋設部40Aおよび環状突起部40Bは同時に成形できるので、裏蓋20の製造のスループットを向上させることができる。
図7は、第4の実施形態に係る電波時計1におけるケース本体10および裏蓋20の要部断面図である。
すなわち、第4の実施形態の電波時計1によれば、第3の実施形態に係る電波時計1と同様な効果が得られる上、環状部材22Bの金属の選択によって、強度や結合力のより高いねじ部27を得ることができる。
5 アンテナ
10 ケース本体(機器本体)
10a 一端開口
10b 他端開口
11 ねじ部
20 裏蓋(閉塞部材)
21 裏蓋主部
22 環状突起部
22A 環状突起部材
25,25A 環状凹部
26 凹凸部
27 ねじ部
30 時計ガラス
40 接合樹脂部材
40A 埋設部
40B 環状突起部
Claims (2)
- 筒状の金属製の機器本体、この機器本体の一端開口を閉塞する金属製の第1の閉塞部材、前記機器本体の他端開口を閉塞する電波透過性の第2の閉塞部材、および、前記機器本体内に配置されたアンテナを備えている電波受信機器において、
前記機器本体と前記第1の閉塞部材とを、互いの螺合によってねじ結合する第1のねじ部および第2のねじ部を備え、
前記第1のねじ部は、前記機器本体の金属壁面に形成され、
前記第2のねじ部は、前記第1の閉塞部材に接合樹脂部材を介して取り付けられた金属製の環状部材に形成され、
前記接合樹脂部材は、前記第1の閉塞部材の内面に設けられた環状凹部の金属壁面に形成されたナノメートルサイズの多数の凹凸部を介して前記環状凹部の金属壁面に接合されているとともに、前記環状部材の金属壁面に形成されたナノメートルサイズの多数の凹凸部を介して前記環状部材の金属壁面に接合されていることを特徴とする電波受信機器。 - 前記機器本体および前記第1の閉塞部材は、チタン、アルミニウム、ニッケル、鉄、マンガン、銅、モリブデン、コバルト、タングステン若しくはマグネシウム、又は、これらの金属元素のうちの少なくとも1つを含有する合金から成るグループのうちから選ばれた少なくとも一種の金属によって形成され、前記接合樹脂部材は、ポリフェニレンスルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリフタルアミドのうちから選ばれた少なくとも一種の樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電波受信機器。
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