本発明のパッド戻し機構を有するディスクブレーキ装置は、4つの形態から構成されるものであり、ディスクロータに対して摩擦パッドの位置が前後にずれても、次の作動時に定位置に戻すことで、摩擦パッドの引きずり現象や戻りすぎ現象を防止することができる。
第1の形態は、図1に示すように、図示しない車輪と共にディスクロータAが回転自在に支持される一方、キャリパ支持体(マウンティングブラケット)Bに摩擦パッドCがディスクロータAに対して前後移動(接近離反)自在に支持されている。また、キャリパ支持体Bには、復元手段Dを介してパッド支持体Eが移動自在に支持されると共に、押圧手段(ピストンまたはキャリパ)Fが移動自在に支持されている。この場合、復元手段Dとパッド支持体Eとの間が摩擦接合される。そして、パッド支持体Eと摩擦パッドCとの間、押圧手段Fと摩擦パッドCとの間に介装されるように荷重伝達手段(変位手段)Gが配置される。そして、荷重伝達手段Gが摩擦パッドCに伝達されるストロークを吸収するストローク吸収手段を有している。
第2の形態は、図2に示すように、ディスクロータAが回転自在に支持される一方、キャリパ支持体Bに摩擦パッドCがディスクロータAに対して前後移動(接近離反)自在に支持されている。また、キャリパ支持体Bには、パッド支持体Eにより復元手段Dが支持され、復元手段Dに摩擦パッドCが支持されると共に、押圧手段Fが移動自在に支持されている。この場合、キャリパ支持体Bとパッド支持体Eとの間が摩擦接合される。そして、復元手段Dと摩擦パッドCとの間、押圧手段Fと摩擦パッドCとの間に介装されるように荷重伝達手段としての逆変位手段G1が配置される。そして、逆変位手段G1が摩擦パッドCに伝達されるストロークを吸収するストローク吸収手段を有している。
第3の形態は、図3に示すように、ディスクロータAが回転自在に支持される一方、キャリパ支持体Bに摩擦パッドCがディスクロータAに対して前後移動(接近離反)自在に支持されている。また、キャリパ支持体Bには、パッド支持体Eにより復元手段Dが支持され、復元手段Dに摩擦パッドCが支持されると共に、押圧手段Fが移動自在に支持されている。そして、パッド支持体Eと摩擦パッドCとの間、押圧手段Fと摩擦パッドCとの間に介装されるように逆変位手段G1が配置される。
第4の形態は、図4に示すように、ディスクロータAが回転自在に支持される一方、キャリパ支持体Bに摩擦パッドCがディスクロータAに対して前後移動(接近離反)自在に支持されている。また、キャリパ支持体Bには、パッド支持体Eが支持されると共に、押圧手段Fが移動自在に支持されている。そして、パッド支持体Eと摩擦パッドCとの間、押圧手段Fと摩擦パッドCとの間に介装されるように逆変位手段G1と復元手段Dが直列に配置される。
以下に、本発明に係るパッド戻し機構及びディスクブレーキ装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは、実質的に同一のものが含まれる。
図5は、本発明の実施例1に係るディスクブレーキ装置を表す概略図、図6は、実施例1のディスクブレーキ装置を表す縦断面図(図5のIV−IV断面図)、図7は、実施例1のディスクブレーキ装置を表す水平断面図、図8は、実施例1のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構を表す要部断面図、図9は、図8のIX−IX断面図、図10は、実施例1のディスクブレーキ装置における作動を説明するための概略図、図11は、実施例1のディスクブレーキ装置におけるパッド戻りすぎ修正作動を説明するための概略図、図12は、実施例1のディスクブレーキ装置におけるパッド引きずり修正作動を説明するための概略図である。
実施例1のディスクブレーキ装置は、図示しないが、車両に回転可能に支持された車輪に制動力を付与する装置であって、この車輪と一体的に回転自在に設けられたディスクロータと、車体側に車輪と相対回転不能に設けられてディスクロータを挟持することで、摩擦抵抗力を付与する一対の摩擦パッドを有している。
即ち、このディスクブレーキ装置は、図5乃至図7に示すように、車輪と一体的となって車軸の回転軸心回りに回転するディスクロータ11と、このディスクロータ11の両側の摩擦面に対向する一対の摩擦パッドとしてのインナパッド12及びアウタパッド13と、この一対のパッド12,13をディスクロータ11の摩擦面に接近離間可能に支持するマウンティングブラケット14と、一対のパッド12,13をピストン15によりディスクロータ11に押付可能なシリンダ機構16とから構成されている。
具体的に説明すると、マウンティングブラケット14は、車体側に固定されており、その両側、つまり、ディスクロータ11の回転方向前後に一対のスリーブ21,22が一体に設けられている。そして、この各スリーブ21,22には、一端部が開口して他端部が閉塞された嵌合孔23,24がそれぞれ形成されている。
キャリパ25は、ディスクロータ11を跨いだU字形状をなし、ピストン15を有するシリンダ機構16が搭載されており、このシリンダ機構16は、ピストン15を前後移動自在なアクチュエータにより構成されている。このキャリパ25は、シリンダ機構16が設けられるシリンダ部26と、このシリンダ部26とディスクロータ11を挟んで対向する位置に配置されるリアクション部27と、シリンダ部26とリアクション部27とを連結する連結部28とから構成されている。
また、キャリパ25は、その両側、つまり、ディスクロータ11の回転方向前後に一対のアーム29,30が一体に設けられている。そして、この各アーム29,30には、スライドピン31,32の基端部が固定ボルト33,34によりそれぞれ固定されている。この各スライドピン31,32は、先端部がマウンティングブラケット14の各スリーブ21,22に形成された嵌合孔23,24に移動自在に嵌合している。なお、アーム29,30とスリーブ21,22との間には、スライドピン31,32と嵌合孔23,24との嵌合隙間を被覆するブーツ35,36が装着されている。この場合、スライドピン31,32とスリーブ21,22によりキャリパ25のスライド機構が構成される。
従って、キャリパ25は、マウンティングブラケット14に対して、ディスクロータ11の回転軸線方向、つまり、回転方向に直交する方向に沿って移動可能となる。
ディスクロータ11の両側の摩擦面に対向して配置される一対のパッド12,13は、キャリパ25におけるシリンダ部26側に配置されるインナパッド12と、リアクション部27側に配置されるアウタパッド13である。このインナパッド12及びアウタパッド13は、摩擦材37,38の基端部が裏金39,40に固定されて構成されている。
また、インナパッド12は、裏金39の前後端部がマウンティングブラケット14に形成された一対のガイド部材41,42に支持されている。そして、キャリパ25のシリンダ部26に装着されたシリンダ機構16のピストン15の前面が、このインナパッド12における裏金39の基端面に接触している。一方、アウタパッド13は、裏金40がキャリパ25におけるリアクション部27に固定されている。
また、シリンダ機構16は、シリンダ部26にピストン15が移動自在に支持されると共に、シリンダ部26の内面にピストン15の外面に対してシール可能なシール機構43が装着されることで構成されている。そして、シリンダ部26とピストン15とシール機構43により液圧室Pが区画され、ピストン15の先端部がインナパッド12の裏金39に対向している。
従って、シリンダ機構16の液圧室Pに作動液を供給して加圧すると、ピストン15が矢印Fa方向に前進し、このピストン15の前面がインナパッド12の裏金39を押圧し、このインナパッド12の前面をディスクロータ11の摩擦面に接近させることができる。また、このとき、キャリパ25は、ピストン15が前進するその移動反力によりこのピストン15とは逆方向、つまり、矢印Fb方向に前進し、アウタパッド13の押圧面をディスクロータ11の摩擦面に接近させることができる。以下、ピストン15及びキャリパ25の前進方向Fa,Fbとは、ディスクロータ11側に移動し、各パッド12,13をディスクロータ11に押圧する方向である。
そして、インナパッド12及びアウタパッド13がディスクロータ11の各摩擦面に押し付けられると、このインナパッド12及びアウタパッド13と、回転するディスクロータ11との間で摩擦抵抗力が発生し、このディスクロータ11に制動力を付与することができる。
実施例1のディスクブレーキ装置では、インナパッド12とピストン15との間に、一対のパッド12,13がディスクロータ11を押圧した後に、この一対のパッド12,13を定位置に引き戻すパッド戻し機構51が設けられている。
実施例1のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構51において、図8及び図9に示すように、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面に左右一対の支持プレート52が配置されている。各支持プレート52は、中間部が裏金39に密着し、一対の爪部52aが裏金39の側面に嵌合している。また、各支持プレート52は、互いに離間する方向に延出する先端側の幅が狭くなって裏金39を超え、係止部52bが形成されている。更に、各支持プレート52は、互いに接近する方向に延出する基端側に、裏金39の平面部から所定距離だけ離間した押圧部52cが形成されている。
また、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された面に左右一対の支持ばね53が装着されている。各支持ばね53は、基端部が裏金39に密着し、一対の爪部53aがこの裏金39の基端部39aに係止している。また、各支持ばね53は、互いに離間する方向に延出する先端側がディスクロータ11から離間する方向に折曲され、ここに係止孔53bが形成されている。更に、各支持ばね53は、先端側がディスクロータ11から離間する方向に折曲されてから、ディスクロータ11に接近する方向に湾曲されることで、ここに接合部53cが形成されている。そして、各支持プレート52の係止部52bが各支持ばね53の係止孔53bに貫入し、係止部52bと係止孔53bとの間にディスクロータ11側に位置してクリアランスSが設定されている。また、各支持ばね53における湾曲した接合部53cは、他の部分より剛性が高い高剛性部として機能し、マウンティングブラケット14の内面に押圧して摩擦接合している。
更に、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面にストローク吸収体54が配置されている。このストローク吸収体54は、例えば、一対の樹脂プレート54aによりゴムなどの弾性部材54bを挟持したプレートとして構成されている。そして、このストローク吸収体54は、裏金39と各支持プレート52の押圧部52cの間に設けられ、両者により挟持されている。また、ピストン15は先端面が各支持プレート52の押圧部52cに接触し、これを押圧可能となっている。
なお、この実施例1は、上述した第3の形態に対応したものであり、ディスクロータ11がディスクロータAに対応し、マウンティングブラケット14がキャリパ支持体Bに対応し、インナプレート12(アウタプレート13)が摩擦パッドCに対応する。また、支持ばね53が復元手段D及びパッド支持体Eとして機能し、ピストン15が押圧手段Fとして機能し、支持プレート52が所定の押圧荷重を各パッド12,13に伝達可能な荷重伝達手段Gとして機能する。
そして、ストローク吸収体54(弾性部材54b)が荷重伝達手段Gにより各パッド12,13に伝達されるストロークを吸収するストローク吸収手段として機能すると共に、吸収したストロークを復元するストローク復元手段としても機能する。また、支持プレート52が支持ばね53を各パッド12,13の前進方向とは逆方向に相対変位させる変位手段(逆変位手段G1)として機能する。この場合、支持プレート52は、中間部から押圧部52c側の長さに対して係止部52b側の長さが長く形成されることから、ストローク吸収体54が吸収するストロークを増幅して支持ばね53を変位させる。
ここで、実施例1のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構51の作動について説明する。
パッド戻し機構51において、図10に示すように、ピストン15が前進すると、各支持プレート52の押圧部52cが押圧され、支持ばね53を弾性変形させながらインナパッド12が前進し、ディスクロータ11に接触する。このとき、各支持プレート52の係止部52bは、支持ばね53の係止孔53b内をクリアランスSだけ移動する。そして、更にピストン15が前進すると、各支持プレート52は、押圧部52cがストローク吸収体54を圧縮し、中間部の爪部52aを支点として係止部52bが押圧部52cとは逆方向に変位する。このとき、ストローク吸収体54は、ピストン15における所定のストロークを吸収し、各支持プレート52の係止部52bは、支持ばね53の係止孔53b内をクリアランスSだけ前述とは逆方向に移動する。
この場合、支持ばね53の変形による復元力がマウンティングブラケット14と支持ばね53の接合力の保持力より低く、ストローク吸収体54(弾性部材54b)の剛性に対して低く設定されていることから、ピストン15の前進に伴って、支持ばね53が弾性変形してから、ストローク吸収体54が弾性変形(圧縮)する。
そして、ピストン15が後退すると、前述とは逆に、ストローク吸収体54の弾性変形が復元し、各支持プレート52は、押圧部52cが戻って係止部52bが押圧部52cに対して相対的に逆方向に変位する。そして、各支持プレート52は、支持ばね53の弾性変形が復元し、インナパッド12を後退し、ディスクロータ11から離間させる。このとき、ストローク吸収体54は、ピストン15の前進時の吸収した所定のストロークを復元し、各支持プレート52の係止部52bは、支持ばね53の係止孔53b内をクリアランスSだけ往復移動する。
この場合、各支持プレート52は、係止部52bの移動量が支持ばね53の係止孔53b内によりクリアランスSとして規定されることから、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を確保することができる。また、このとき、支持ばね53は、接合部53cが高剛性部としてマウンティングブラケット14に摩擦接合し、支持ばね53の復元力より高い保持力で支持されているから、支持ばね53が弾性変形するだけでマウンティングブラケット14との摩擦接合位置は変化しない。その結果、インナパッド12を定位置に位置決めすることができると共に、各パッド12,13をディスクロータ11に対してセンタリングすることができる。
また、パッド戻し機構51において、図11に示すように、インナパッド12がノックバックなどにより定位置より後退位置に停止したとき、ピストン15が前進すると、各支持プレート52の押圧部52cが押圧され、支持ばね53を弾性変形させながらインナパッド12が前進する。このとき、インナパッド12が後退位置から前進したことで、ディスクロータ11に接触せず、各支持プレート52の係止部52bは、支持ばね53の係止孔53b内をクリアランスSだけ移動する。そして、更にピストン15が前進すると、各支持プレート52と共にインナパッド12が前進する。このとき、本実施例では、支持ばね53とマウンティングブラケット14との摩擦荷重Fcより支持プレート52から支持ばね53への伝達荷重FLの方が上まわったとき、各支持プレート52は支持ばね53を押圧してディスクロータ11に接近する方向に、クリアランスS2だけ移動させる。
その後、インナパッド12がディスクロータ11に接触すると、各支持プレート52は、押圧部52cがストローク吸収体54を圧縮し、中間部の爪部52aを支点として係止部52bが押圧部52cとは相対的に逆方向に変位する。このとき、ストローク吸収体54は、ピストン15における所定のストロークを吸収し、各支持プレート52の係止部52bは、支持ばね53の係止孔53b内をクリアランスSだけ前述とは逆方向に移動する。
そして、ピストン15が後退すると、前述とは逆に、ストローク吸収体54の弾性変形が復元し、各支持プレート52は、押圧部52cが戻って係止部52bが押圧部52cとは逆方向に変位する。そして、各支持プレート52は、支持ばね53の弾性変形が復元し、インナパッド12を後退し、ディスクロータ11から離間させる。このとき、ストローク吸収体54は、ピストン15の前進時の吸収した所定のストロークを復元し、各支持プレート52の係止部52bは、支持ばね53の係止孔53b内をクリアランスSだけ往復移動する。
この場合、本実施例では、支持ばね53の復元荷重Frより支持ばね53とマウンティングブラケット14との摩擦荷重Fcの方が大きく設定されていることから、支持ばね53は、接合部53cとマウンティングブラケット14との摩擦接合する位置がクリアランスS2だけディスクロータ11に接近する側に補正されたままとなり、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を修正することができる。その結果、インナパッド12を定位置に位置決めすることができると共に、各パッド12,13をディスクロータ11に対してセンタリングすることができる。
更に、パッド戻し機構51において、図12に示すように、ピストン15の過大な押圧力やインナパッド12の摩耗により、インナパッド12が定位置より前進位置に停止したとき、ピストン15が前進しても、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1がほとんどないことから、インナパッド12が若干前進してディスクロータ11に接触する。そして、更にピストン15が前進すると、各支持プレート52は、押圧部52cがストローク吸収体54を圧縮し、中間部の爪部52aを支点として係止部52bが押圧部52cとは相対的に逆方向に変位する。このとき、ストローク吸収体54は、ピストン15における所定のストロークを吸収し、伝達荷重FLが摩擦荷重Fcを上まわるとき、各支持プレート52の係止部52bは、支持ばね53の係止孔53bを介して支持ばね53を押圧して弾性変形させながら、ディスクロータ11から離間する方向にクリアランスS3だけ移動させる。
そして、ピストン15が後退すると、前述とは逆に、ストローク吸収体54の弾性変形が復元し、各支持プレート52は、押圧部52cが戻って係止部52bが押圧部52cとは逆方向に変位する。そして、各支持プレート52は、支持ばね53の弾性変形が復元し、インナパッド12を後退し、ディスクロータ11から離間させる。このとき、ストローク吸収体54は、ピストン15の前進時の吸収した所定のストロークを復元し、各支持プレート52の係止部52bは、支持ばね53の係止孔53b内をクリアランスSだけ往復移動する。
この場合、支持ばね53は、接合部53cとマウンティングブラケット14との摩擦接合する位置がクリアランスS3だけディスクロータ11から離間する側に補正されたままとなり、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を修正することができる。その結果、インナパッド12を定位置に位置決めすることができると共に、各パッド12,13をディスクロータ11に対してセンタリングすることができる。
このように実施例1のパッド戻し機構にあっては、ピストン15から入力される所定の押圧荷重をインナパッド12に伝達可能な荷重伝達手段としての支持プレート52と、この支持プレート52によりインナパッド12に伝達されるストロークを吸収するストローク吸収手段としてのストローク吸収体54を設けている。
従って、ピストン15の押圧荷重が支持プレート52を介してインナパッド12に伝達されるとき、一部のストロークが吸収されることで、インナパッド12が後退するときに、このインナパッド12を適正位置に戻すことができ、安定した制動動作を可能とすることができる。
また、実施例1のパッド戻し機構では、ストローク吸収体54を、一対の樹脂プレート54aによりゴムなどの弾性部材54bを挟持したプレートとして構成している。従って、構造の簡素化及び薄型化を可能とすることができ、装置の小型化に寄与することができる。
また、実施例1のパッド戻し機構では、ストローク吸収体54により吸収されたストロークを復元するストローク復元手段を、ストローク吸収体54により共用化すると共に、支持ばね53を設けている。従って、通常は、ストローク吸収体54によりピストン15のストロークを吸収すると共に復元し、インナパッド12の位置ずれが発生したときには、支持ばね53が併せて作動することで、インナパッド12を定位置に維持することができる。
また、実施例1のパッド戻し機構では、インナパッド12をディスクロータ11に対して接近離反自在に支持するパッド支持体として支持ばね53と、ストローク吸収体54がストロークを吸収するときに支持ばね53を相対変位させる変位手段として支持プレート52を設けている。従って、ストローク吸収体54がストロークを吸収するときに、支持プレート52により支持ばね53を相対変位させることで、ずれたインナパッド12を定位置に修正することができる。
また、実施例1のパッド戻し機構では、この支持プレート52を、支持ばね53をインナパッド12の前進方向とは逆方向に相対変位させる逆変位手段としている。この場合、支持ばね53に高剛性部としての接合部53cを設け、この接合部53cをインナパッド12の前進方向とは逆方向に相対変位させている。従って、ストローク吸収体54がストロークを吸収するときに、支持プレート52により支持ばね53を逆変位させることで、引きずり状態にあるインナパッド12を定位置に修正することができる。このとき、接合部(高剛性部)53cが逆変位することで、支持ばね53の位置決めを容易に行うことができる。
また、実施例1のパッド戻し機構では、支持プレート52と支持ばね53との間に、支持プレート52による支持ばね53の相対変位量を規定するクリアランスSを設けている。従って、このクリアランスSによりインナパッドとディスクロータ11とのクリアランスS1を規定値に設定することができる。
また、実施例1のパッド戻し機構では、支持プレート52により、ストローク吸収体54が吸収するストロークを増幅して支持ばね53を相対変位可能としている。従って、ストローク吸収体54の小型化(薄型化)を可能とすることができる。
また、実施例1のパッド戻し機構では、支持ばね53の接合部53cをマウンティングブラケット(本体)14に対して摩擦接合により支持している。従って、支持ばね53を介してインナパッド12の位置を適正に修正することができる。
また、実施例1のパッド戻し機構では、ピストン15の前進により、インナパッド12がディスクロータ11に接触した後、ストローク吸収体54を圧縮して支持プレート52により支持ばね53を逆変位させている。従って、インナパッド12の位置を適正に修正することができる。
また、実施例1のディスクブレーキ装置にあっては、ディスクロータ11における各摩擦面に対向する一対のパッド12,13と、インナパッド12をディスクロータ11に押圧可能なピストン15と、ピストン15と相対移動してアウタパッド13のディスクロータに押付可能なキャリパ25と、キャリパ25を移動自在に支持するマウンティング14と、ピストン15から入力される所定の押圧荷重をインナパッド12に伝達可能な荷重伝達手段としての支持プレート52と、この支持プレート52によりインナパッド12に伝達されるストロークを吸収するストローク吸収手段としてのストローク吸収体54を設けている。
従って、ピストン15の押圧荷重が支持プレート52を介してインナパッド12に伝達されるとき、一部のストロークが吸収されることで、インナパッド12が後退するときに、このインナパッド12を適正位置に戻すことができ、安定した制動動作を可能とすることができる。
図13は、実施例2のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構を表す要部断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例2のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構61において、図13に示すように、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面に支持レバー62が配置されている。この支持レバー62は、中間部が裏金39の取付部39bに連結軸62aにより回動自在に支持されている。また、支持レバー62は、マウンティングブラケット14に接近する方向に延出する先端側が裏金39を超え、係止部62bが形成されている。更に、支持レバー62は、マウンティングブラケット14から離間する方向に延出する基端側に、裏金39の平面部から所定距離(クリアランスS)だけ離間した押圧部62cが形成されている。
また、支持レバー62の係止部62bには、支持ばね63が装着されている。この支持ばね63は、基端部63aが係止部62bに密着し、一体に連結(固定)されている。また、支持ばね63は、マウンティングブラケット14に接近する方向に延出して弾性部63bが形成され、弾性部63bの先端側がディスクロータ11から離間してから再び接近する方向に湾曲されることで、接合部63cが形成されている。そして、支持ばね63における湾曲した接合部63cは、他の部分より剛性が高い高剛性部として機能し、マウンティングブラケット14の内面に押圧して摩擦接合している。
更に、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面にストローク吸収体としての圧縮ばね64が配置されている。支持レバー62の押圧部62cと裏金39との間には、空間部(ストローク吸収手段)が設けられ、圧縮ばね64は、この空間部に配置され、裏金39と支持レバー62の押圧部62cの間に張設されている。また、ピストン15は先端面が支持レバー62の押圧部62cに接触し、これを押圧可能となっている。
なお、実施例2にて、上述の説明では、インナパッド12における一方側の支持構造のみ説明したが、実施例1と同様に、他方側も同様の支持構造となっている。
また、この実施例2は、上述した第4の形態に対応したものであり、支持レバー62が荷重伝達手段G及び変位手段(逆変位手段G1)として機能し、支持ばね63が復元手段D及びパッド支持体Eとして機能し、圧縮ばね64がストローク吸収手段(ストローク吸収体)及びストローク復元手段として機能する。また、支持レバー62が荷重伝達手段Gの揺動機構として機能する。
従って、ピストン15が前進すると、支持レバー62の押圧部62cが押圧され、支持ばね63を弾性変形させながらインナパッド12が前進し、ディスクロータ11に接触する。そして、更にピストン15が前進すると、支持レバー62は、押圧部62cが圧縮ばね64を圧縮し、中間部の連結軸62aを支点として係止部62bが押圧部62cとは逆方向に変位する。このとき、圧縮ばね64は、ピストン15における所定のストロークを吸収し、支持レバー62の押圧部62cは、裏金39に当接するまでクリアランスSだけ移動する。この場合、支持ばね63における弾性部63bより圧縮ばね64の方が剛性力が高く設定されていることから、ピストン15の前進に伴って、支持ばね63の弾性部63bが弾性変形してから、圧縮ばね64が弾性変形する。
そして、ピストン15が後退すると、前述とは逆に、圧縮ばね64の弾性変形が復元し、支持レバー62は、押圧部62cが戻って係止部62bが押圧部62cとは逆方向に変位する。そして、支持レバー62は、支持ばね63の弾性変形が復元し、インナパッド12を後退し、ディスクロータ11から離間させる。このとき、圧縮ばね64は、ピストン15の前進時の吸収した所定のストロークを復元し、支持レバー62の押圧部62cは、クリアランスSだけ移動する。
この場合、支持レバー62は、押圧部62cの移動量がクリアランスSとして規定されることから、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を確保することができる。また、このとき、支持ばね63は、接合部63cが高剛性部としてマウンティングブラケット14に摩擦接合していることから、弾性変形するだけでマウンティングブラケット14との摩擦接合位置は変化しない。その結果、インナパッド12を定位置に位置決めすることができると共に、各パッド12,13をディスクロータ11に対してセンタリングすることができる。
また、インナパッド12が定位置より後退位置に停止したときには、ピストン15が前進するとき、支持レバー62の押圧部62cが押圧され、支持ばね63を弾性変形させると共に、ディスクロータ11に接近する方向に移動させる。そのため、支持ばね63は、接合部63cとマウンティングブラケット14との摩擦接合する位置がディスクロータ11に接近する側に補正されることとなり、インナパッド12が後退したとき、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を修正することができる。
更に、インナパッド12が定位置より前進位置に停止したときには、ピストン15が前進するとき、支持レバー62は、押圧部62cが圧縮ばね64を圧縮し、係止部52bを逆変位させることで、支持ばね63を押圧して弾性変形させながら、ディスクロータ11から離間する方向に移動させる。そのため、支持ばね63は、接合部63cとマウンティングブラケット14との摩擦接合する位置がディスクロータ11から離間する側に補正されることとなり、インナパッド12が後退したとき、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を修正することができる。
このように実施例2のパッド戻し機構にあっては、ピストン15から入力される所定の押圧荷重をインナパッド12に伝達可能な荷重伝達手段としての支持レバー62と、この支持レバー62によりインナパッド12に伝達されるストロークを吸収するストローク吸収手段(ストローク吸収体)としての圧縮ばね64を設けている。
従って、ピストン15の押圧荷重が支持レバー62を介してインナパッド12に伝達されるとき、一部のストロークが吸収されることで、インナパッド12が後退するときに、このインナパッド12を適正位置に戻すことができ、安定した制動動作を可能とすることができる。
また、実施例2のパッド戻し機構では、ピストン15の押圧荷重により作動する支持レバー62を設けると共に、支持レバー62とインナパッド12との間に支持レバー62の揺動ストロークを吸収する空間部を設け、この空間部に圧縮ばね64を設けている。従って、簡単な機構によりストローク吸収手段としての空間を確保し、ここに圧縮ばね64を配設することで、ピストン15におけるストロークの吸収と復元を容易に実現することができ、構造の簡素化を可能とすることができる。
図14は、実施例3のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構を表す要部断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例3のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構71において、図14に示すように、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面に支持プレート72が配置されている。この支持プレート72は、一方側のみ図示しているが、左右対称形状となっており、中間部が押圧部72aとして裏金39に連結軸72bにより連結されている。この支持プレート72は、マウンティングブラケット14に接近する方向に延出する両端部(一端部だけ図示)が裏金39を超えて弾性部72cが形成され、弾性部72cの先端部がディスクロータ11から離間してから再び接近する方向に湾曲されることで、接合部72dが形成されている。そして、支持プレート72は弾性変形可能に構成されるものの、接合部72dは、他の部分より剛性が高い高剛性部として機能し、マウンティングブラケット14の内面に押圧して摩擦接合している。
更に、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面にストローク吸収体としての弾性プレート73が配置されている。支持プレート72と裏金39との間には、弾性プレート73が配設されており、この弾性プレート73は、支持プレート72と裏金39に挟持された状態で、連結軸72bが貫通して固定されている。この弾性プレート73は、押圧部72aに対応した低弾性部材73aと、係止部72c側に対応した高弾性部材73bとからなる。そして、ピストン15は先端面が支持プレート72の押圧部72aに接触し、これを押圧可能となっており、この場合、低弾性部材73aの厚さがクリアランスSとなっている。
なお、この実施例3は、実施例2と同様に、上述した第4の形態に対応したものであり、支持プレート72が復元手段D、パッド支持体E、荷重伝達手段G、変位手段(逆変位手段G1)として機能し、弾性プレート73がストローク吸収手段(ストローク吸収体)及びストローク復元手段として機能する。
従って、ピストン15が前進すると、支持プレート72の押圧部72aが押圧され、この支持プレート72の弾性部72cを弾性変形させながらインナパッド12が前進し、ディスクロータ11に接触する。そして、更にピストン15が前進すると、支持プレート72は、押圧部72aが弾性プレート73(低弾性部材73a)を圧縮し、中間部の連結軸72bを支点として接合部72dが押圧部72aとは逆方向に相対変位する。このとき、弾性プレート73は、ピストン15における所定のストロークを吸収する。
そして、ピストン15が後退すると、前述とは逆に、弾性プレート73(低弾性部材73a)の弾性変形が復元し、支持プレート72は、押圧部72aが戻って接合部72dが押圧部72aとは逆方向に相対変位する。そして、支持プレート72は、弾性部72cの弾性変形が復元し、インナパッド12を後退し、ディスクロータ11から離間させる。このとき、弾性プレート73は、ピストン15の前進時の吸収した所定のストロークを復元する。
この場合、支持プレート72は、押圧部72aの移動量がクリアランスS(弾性プレート73の厚さ)として規定されることから、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を確保することができる。また、このとき、接合部72dが高剛性部としてマウンティングブラケット14に摩擦接合していることから、弾性変形するだけでマウンティングブラケット14との摩擦接合位置は変化しない。その結果、インナパッド12を定位置に位置決めすることができると共に、各パッド12,13をディスクロータ11に対してセンタリングすることができる。
また、インナパッド12が定位置より後退位置に停止したときには、ピストン15が前進するとき、支持プレート72の押圧部72aが押圧され、弾性部72cを弾性変形させると共に、接合部72dをディスクロータ11に接近する方向に移動させる。そのため、支持プレート72は、接合部72dとマウンティングブラケット14との摩擦接合する位置がディスクロータ11に接近する側に補正されることとなり、インナパッド12が後退したとき、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を修正することができる。
更に、インナパッド12が定位置より前進位置に停止したときには、ピストン15が前進するとき、支持プレート72は、押圧部72aが弾性プレート73を圧縮し、接合部72dを逆変位させることで、接合部72dをディスクロータ11から離間する方向に移動させる。そのため、支持プレート72は、接合部72dとマウンティングブラケット14との摩擦接合する位置がディスクロータ11から離間する側に補正されることとなり、インナパッド12が後退したとき、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を修正することができる。
このように実施例3のパッド戻し機構にあっては、ピストン15から入力される所定の押圧荷重をインナパッド12に伝達可能な荷重伝達手段としての支持プレート72と、この支持プレート72によりインナパッド12に伝達されるストロークを吸収するストローク吸収手段(ストローク吸収体)としての弾性プレート73を設けている。
従って、ピストン15の押圧荷重が支持プレート72を介してインナパッド12に伝達されるとき、一部のストロークが吸収されることで、インナパッド12が後退するときに、このインナパッド12を適正位置に戻すことができ、安定した制動動作を可能とすることができる。
また、実施例3パッド戻し機構では、支持プレート72に押圧部72a、弾性部72c、接合部72dを設けることで、復元手段D、パッド支持体E、荷重伝達手段G、逆変位手段G1の機能を持たせている。従って、構成部材を減少することで、構造の簡素化、低コスト化を可能とすることができる。更に、弾性プレート73を、低弾性部材73aと高弾性部材73bで構成したことで、弾性率を変更して適正な制動力を得ることができる。
図15は、実施例4のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構を表す要部断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例4のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構81において、図15に示すように、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面に支持レバー82が配置されている。この支持レバー82は、基端部が裏金39の取付部39bに連結軸82aにより回動自在に支持されている。また、支持レバー82は、マウンティングブラケット14に接近する方向に延出する先端側が裏金39を超えて係止部82bが形成され、この係止部82bに係止孔82cが形成されている。更に、支持レバー82は、中間部に押圧部82dが形成されており、裏金39の平面部との間に所定距離(クリアランスS)確保されている。
また、マウンティングブラケット14には、支持ばね83が配置されており、支持レバー82に係合している。この支持ばね83は、L字形状をなし、一端部がマウンティングブラケット14に固定され、他端部が接合部83aとしてディスクロータ11側に延出され、支持レバー82の係止孔82cに摩擦接合されている。なお、マウンティングブラケット14には、支持ばね83の一端部が固定された位置におけるディスクロータ11側に、切欠部14aが形成され、支持ばね83がディスクロータ11側に弾性変形しやすくなっている。
更に、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面にストローク吸収体としての圧縮ばね84が配置されている。支持レバー82の押圧部82dと裏金39との間には、空間部(ストローク吸収手段)が設けられ、圧縮ばね84は、この空間部に配置され、裏金39と支持レバー82の押圧部82dの間に張設されている。また、ピストン15は先端面が支持レバー82の押圧部82dに接触し、これを押圧可能となっている。
なお、この実施例4は、上述した第1の形態に対応したものであり、支持レバー82が荷重伝達手段(変位手段)Gとして機能し、支持ばね83が復元手段D及びパッド支持体Eとして機能し、圧縮ばね84がストローク吸収手段(ストローク吸収体)及びストローク復元手段として機能する。また、支持レバー82が荷重伝達手段Gの揺動機構として機能する。
従って、ピストン15が前進すると、支持レバー82の押圧部82dが押圧され、支持ばね83を弾性変形させながらインナパッド12が前進し、ディスクロータ11に接触する。そして、更にピストン15が前進すると、支持レバー82は、押圧部82dが圧縮ばね84を圧縮し、基端部の連結軸82aを支点として係止部82bが押圧部82dと同方向に変位する。このとき、圧縮ばね84は、ピストン15における所定のストロークを吸収し、支持レバー82の押圧部82dは、裏金39に当接するまでクリアランスSだけ移動する。この場合、支持ばね83より圧縮ばね84の方が剛性力が高く設定されていることから、ピストン15の前進に伴って、支持ばね83が弾性変形してから圧縮ばね84が弾性変形する。
そして、ピストン15が後退すると、前述とは逆に、圧縮ばね84の弾性変形が復元し、支持レバー82は、押圧部82dが戻って係止部82bが押圧部82dと同方向に変位する。そして、支持レバー82は、支持ばね83の弾性変形が復元し、インナパッド12を後退し、ディスクロータ11から離間させる。このとき、圧縮ばね84は、ピストン15の前進時の吸収した所定のストロークを復元し、支持レバー82の押圧部82dは、クリアランスSだけ移動する。
この場合、支持レバー82は、押圧部82dの移動量がクリアランスSとして規定されることから、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を確保することができる。また、このとき、支持ばね83は、接合部83aと支持レバー82の係止孔82cとが摩擦接合していることから、弾性変形するだけで相対変位しない。その結果、インナパッド12を定位置に位置決めすることができると共に、各パッド12,13をディスクロータ11に対してセンタリングすることができる。
また、インナパッド12が定位置より後退位置に停止したときには、ピストン15が前進するとき、支持レバー82の押圧部82dが押圧され、支持ばね83を弾性変形させると共に、この支持ばね83に対して支持レバー82をディスクロータ11に接近する方向に相対移動させる。そのため、支持レバー82は、支持ばね83と摩擦接合する位置がディスクロータ11に接近する側に補正されることとなり、インナパッド12が後退したとき、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を修正することができる。
このように実施例4のパッド戻し機構にあっては、ピストン15から入力される所定の押圧荷重をインナパッド12に伝達可能な荷重伝達手段としての支持レバー82と、この支持レバー82によりインナパッド12に伝達されるストロークを吸収するストローク吸収手段(ストローク吸収体)としての圧縮ばね84を設けている。
従って、ピストン15の押圧荷重が支持レバー82を介してインナパッド12に伝達されるとき、一部のストロークが吸収されることで、インナパッド12が後退するときに、このインナパッド12を適正位置に戻すことができ、安定した制動動作を可能とすることができる。
図16は、実施例5のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構を表す要部断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例5のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構91において、図16に示すように、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面に支持プレート92が配置されている。この支持プレート92は、中間部92aが裏金39に連結され、マウンティングブラケット14に接近する方向に延出する両端部(一端部だけ図示)が裏金39を超えて係止部92bが形成され、この係止部92bに係止孔92cが形成されている。更に、支持プレート92は、中間部92aと係止部92bとの間に押圧部92dが形成されており、裏金39の平面部との間に所定距離(クリアランスS)確保されている。
また、マウンティングブラケット14には、支持ばね83が配置されており、支持プレート92に係合している。この支持ばね83は、L字形状をなし、一端部がマウンティングブラケット14に固定され、他端部が接合部83aとしてディスクロータ11側に延出され、支持レバー92の係止孔92cに摩擦接合されている。なお、マウンティングブラケット14には、支持ばね83の一端部が固定された位置におけるディスクロータ11側に、切欠部14aが形成され、支持ばね83がディスクロータ11側に弾性変形しやすくなっている。
更に、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面にストローク吸収体としての弾性プレート94が配置されている。支持プレート92と裏金39との間には、弾性プレート94が配設されており、この弾性プレート94は、支持プレート92と裏金39に挟持されている。弾性プレート94は、樹脂プレートの間にゴムなどの弾性部材を挟持して構成されている。また、ピストン15は先端面が支持プレート92の押圧部92dに接触し、これを押圧可能となっている。この場合、弾性プレート94の弾性部材の厚さがクリアランスSとなっている。
なお、この実施例5は、上述した第1の形態に対応したものであり、支持プレート92が荷重伝達手段(変位手段)Gとして機能し、支持ばね83が復元手段D及びパッド支持体Eとして機能し、弾性プレート94がストローク吸収手段(ストローク吸収体)及びストローク復元手段として機能する。
従って、ピストン15が前進すると、支持プレート92の押圧部92dが押圧され、支持ばね83を弾性変形させながらインナパッド12が前進し、ディスクロータ11に接触する。そして、更にピストン15が前進すると、支持プレート92は、押圧部92dが弾性プレート94を圧縮し、中間部を支点として係止部92bが押圧部92dと同方向に変位する。このとき、弾性プレート94は、ピストン15における所定のストロークを吸収し、支持プレート92の押圧部92dは、クリアランスSだけ移動する。
そして、ピストン15が後退すると、前述とは逆に、弾性プレート94の弾性変形が復元し、支持プレート92は、押圧部92dが戻って係止部92bが押圧部92dと同方向に変位する。そして、支持プレート92は、支持ばね83の弾性変形が復元し、インナパッド12を後退し、ディスクロータ11から離間させる。このとき、弾性プレート94は、ピストン15の前進時の吸収した所定のストロークを復元し、支持プレート92の押圧部92dは、クリアランスSだけ移動する。
この場合、支持プレート92は、押圧部92dの移動量がクリアランスSとして規定されることから、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を確保することができる。また、このとき、支持ばね83は、接合部83aと支持プレート92の係止孔92cとが摩擦接合していることから、弾性変形するだけで相対変位しない。その結果、インナパッド12を定位置に位置決めすることができると共に、各パッド12,13をディスクロータ11に対してセンタリングすることができる。
また、インナパッド12が定位置より後退位置に停止したときには、ピストン15が前進するとき、支持プレート92の押圧部92dが押圧され、支持ばね83を弾性変形させると共に、この支持ばね83に対して支持プレート92をディスクロータ11に接近する方向に移動させる。そのため、支持プレート92は、支持ばね83と摩擦接合する位置がディスクロータ11に接近する側に補正されることとなり、インナパッド12が後退したとき、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を修正することができる。
このように実施例5のパッド戻し機構にあっては、ピストン15から入力される所定の押圧荷重をインナパッド12に伝達可能な荷重伝達手段としての支持プレート92と、この支持プレート92によりインナパッド12に伝達されるストロークを吸収するストローク吸収手段(ストローク吸収体)としての弾性プレート94を設けている。
従って、ピストン15の押圧荷重が支持プレート92を介してインナパッド12に伝達されるとき、一部のストロークが吸収されることで、インナパッド12が後退するときに、このインナパッド12を適正位置に戻すことができ、安定した制動動作を可能とすることができる。
図17は、実施例6のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構を表す要部断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例6のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構101において、図17に示すように、インナパッド12の裏金39には、支持レバー62が配置されている。この支持レバー62は、中間部が裏金39の取付部39bに連結軸62aにより回動自在に支持され、係止部62bと押圧部62cが形成され、裏金39と押圧部62cとの間にクリアランスSが設けられている。そして、支持レバー62の押圧部62cと裏金39との間には、空間部が設けられ、圧縮ばね64がこの空間部に配置されている。
また、支持レバー62の係止部62bと裏金39との間には、支持ばね102が装着されている。この支持ばね102は、U字形状をなし、一端の第1係止部102aが支持レバー62の係止部62bに密着し、他端の第2係止部102bが裏金39に密着することで、各係止部102a,102bにより支持レバー62(係止部62b)と裏金39を挟持している。また、支持ばね102は、中間部がマウンティングブラケット14側に接近し湾曲することで、接合部102cが形成されている。そして、支持ばね102における湾曲した接合部102cは、他の部分より剛性が高い高剛性部として機能し、マウンティングブラケット14の内面に押圧して摩擦接合している。
なお、この実施例6は、上述した第2の形態に対応したものであり、支持レバー62が荷重伝達手段G及び変位手段(逆変位手段G1)として機能し、支持ばね102が復元手段D及びパッド支持体Eとして機能し、圧縮ばね64がストローク吸収手段(ストローク吸収体)及びストローク復元手段として機能する。
従って、ピストン15が前進すると、支持レバー62の押圧部62cが押圧され、支持ばね102を弾性変形させながらインナパッド12が前進し、ディスクロータ11に接触する。そして、更にピストン15が前進すると、支持レバー62は、押圧部62cが圧縮ばね64を圧縮し、中間部の連結軸62aを支点として係止部62bが押圧部62cとは逆方向に変位する。このとき、圧縮ばね64は、ピストン15における所定のストロークを吸収し、支持レバー62の押圧部62cは、裏金39に当接するまでクリアランスSだけ移動する。
そして、ピストン15が後退すると、前述とは逆に、圧縮ばね64の弾性変形が復元し、支持レバー62は、押圧部62cが戻って係止部62bが押圧部62cとは逆方向に変位する。そして、支持レバー62は、支持ばね102の弾性変形が復元し、インナパッド12を後退し、ディスクロータ11から離間させる。このとき、圧縮ばね64は、ピストン15の前進時の吸収した所定のストロークを復元し、支持レバー62の押圧部62cは、クリアランスSだけ移動する。
また、インナパッド12が定位置より後退位置に停止したときには、ピストン15が前進するとき、支持レバー62の押圧部62cが押圧され、支持ばね102を弾性変形させると共に、ディスクロータ11に接近する方向に移動させる。そのため、支持ばね102は、接合部102cとマウンティングブラケット14との摩擦接合する位置がディスクロータ11に接近する側に補正されることとなり、インナパッド12が後退したとき、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を修正することができる。
更に、インナパッド12が定位置より前進位置に停止したときには、ピストン15が前進するとき、支持レバー62は、押圧部62cが圧縮ばね64を圧縮し、係止部52bを逆変位させることで、支持ばね102を押圧して弾性変形させながら、ディスクロータ11から離間する方向に移動させる。そのため、支持ばね102は、接合部102cとマウンティングブラケット14との摩擦接合する位置がディスクロータ11から離間する側に補正されることとなり、インナパッド12が後退したとき、インナパッド12とディスクロータ11とのクリアランスS1を修正することができる。
このように実施例6のパッド戻し機構にあっては、ピストン15から入力される所定の押圧荷重をインナパッド12に伝達可能な荷重伝達手段としての支持レバー62と、この支持レバー62によりインナパッド12に伝達されるストロークを吸収するストローク吸収手段(ストローク吸収体)としての圧縮ばね64を設けている。
従って、ピストン15の押圧荷重が支持レバー62を介してインナパッド12に伝達されるとき、一部のストロークが吸収されることで、インナパッド12が後退するときに、このインナパッド12を適正位置に戻すことができ、安定した制動動作を可能とすることができる。
図18は、実施例7のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構を表す要部断面図、図19は、実施例7のディスクブレーキ装置における作動を説明するための概略図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例7のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構111において、図18に示すように、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面に支持プレート112が配置されている。この支持プレート112は、中間部が裏金39に密着し、先端部側に係止部112aが形成され、基端部側に裏金39の平面部から所定距離だけ離間した押圧部112bが形成されている。そして、支持レバー112と裏金39との間には、弾性プレート113が配設されており、この弾性プレート113は、樹脂プレートの間にゴムなどの弾性部材を挟持して構成されている。また、ピストン15は先端面が支持レバー112の押圧部112bに接触し、これを押圧可能となっている。この場合、弾性プレート113の弾性部材の厚さがクリアランスSとなっている。
また、支持レバー112の係止部112aと裏金39との間には、支持ばね102が装着されている。この支持ばね102は、U字形状をなし、一端の第1係止部102aが支持レバー112の係止部112aに密着し、他端の第2係止部102bが裏金39に密着することで、各係止部102a,102bにより支持レバー112(係止部112a)と裏金39を挟持している。また、支持ばね102は、中間部がマウンティングブラケット14側に接近して湾曲することで、接合部102cが形成されている。そして、支持ばね102における湾曲した接合部102cは、他の部分より剛性が高い高剛性部として機能し、マウンティングブラケット14の内面に押圧して摩擦接合している。この場合、支持ばね102は、係止部102a,102bの挟持力が、接合部102cがマウンティングブラケット14に押圧する押圧力よりも大きいもので設定されている。
なお、この実施例7は、上述した第2の形態に対応したものであり、支持レバー112が荷重伝達手段G及び変位手段(逆変位手段G1)として機能し、支持ばね102が復元手段D及びパッド支持体Eとして機能し、弾性プレート113がストローク吸収手段(ストローク吸収体)及びストローク復元手段として機能する。
従って、図19に示すように、ピストン15が前進すると、支持プレート112の押圧部112bが押圧され、インナパッド12が前進し、ディスクロータ11に接触する。そして、更にピストン15が前進すると、支持プレート112は、押圧部112bが弾性プレート113を圧縮し、中間部を支点として係止部112aが押圧部112bとは逆方向に変位し、弾性プレート113は、ピストン15における所定のストロークを吸収する。
この支持レバー112が押圧されてインナパッド12がディスクロータ11に接近する方向に移動するとき、支持ばね102は、弾性変形せずにインナパッド12と共に移動し、接合部102cとマウンティングブラケット14との摩擦接合する位置がディスクロータ11に接近する側にずれる。その後、支持プレート112が逆変位すると、支持ばね102は、弾性変形しながらインナパッド12と共に逆方向に移動し、接合部102cとマウンティングブラケット14との摩擦接合する位置がディスクロータ11から離間する側にずれる。即ち、支持ばね102の接合部102cがマウンティングブラケット14に摩擦接合するための保持力(摩擦力)Fcより、支持プレート112の作動力Fa・a/bが大きくなったとき、支持ばね102の接合部102cは、ディスクロータ11から離間する方向に移動を開始する。
そして、ピストン15が後退すると、前述とは逆に、弾性プレート113の弾性変形が復元し、支持プレート112は、押圧部112bが戻って係止部112aが押圧部112bとは逆方向に変位する。このとき、支持プレート112は、支持ばね102の接合部102cとマウンティングブラケット14との摩擦接合する位置をディスクロータ11に接近する側に移動する。続いて、支持ばね102の弾性変形が復元し、これによりインナパッド12が後退し、ディスクロータ11から離間させる。そのため、インナパッド12を定位置に位置決めすることができると共に、各パッド12,13をディスクロータ11に対してセンタリングすることができる。
このように実施例7のパッド戻し機構にあっては、ピストン15から入力される所定の押圧荷重をインナパッド12に伝達可能な荷重伝達手段としての支持プレート112と、この支持プレート112によりインナパッド12に伝達されるストロークを吸収するストローク吸収手段(ストローク吸収体)としての圧縮ばね64を設けている。
従って、ピストン15の押圧荷重が支持プレート112を介してインナパッド12に伝達されるとき、一部のストロークが吸収されることで、インナパッド12が後退するときに、このインナパッド12を適正位置に戻すことができ、安定した制動動作を可能とすることができる。
図20は、実施例8のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構を表す要部断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例8のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構121において、図20に示すように、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面に支持プレート122が配置されている。この支持プレート122は、中間部122aが裏金39に連結され、マウンティングブラケット14に接近する方向に延出する両端部(一端部だけ図示)が裏金39を超えて係止部122bが形成され、この係止部122bに係止孔122cが形成されると共に、中間部122aと係止部122bとの間に押圧部122dが形成されている。そして、この支持プレート122は、厚さ方向における中間部に、ゴムなどの弾性部材124が挟持されおり、この弾性部材124は、中間部122aに対応した高弾性部材124aと、押圧部122dに対応した低弾性部材124bとからなる。そして、ピストン15は先端面が支持プレート122の押圧部122dに接触し、これを押圧可能となっており、この場合、低弾性部材124bの厚さがクリアランスSとなっている。
また、マウンティングブラケット14には、支持ばね123が配置されており、支持プレート122に係合している。この支持ばね123は、L字形状をなし、一端部がマウンティングブラケット14に固定され、他端部が接合部123aとしてディスクロータ11側に延出され、支持レバー122の係止孔122cに摩擦接合されている。
なお、この実施例8は、上述した第1の形態に対応したものであり、支持プレート122が荷重伝達手段(変位手段)Gとして機能し、支持ばね123が復元手段D及びパッド支持体Eとして機能し、支持プレート122の弾性部材124(低弾性部材124b)がストローク吸収手段(ストローク吸収体)及びストローク復元手段として機能する。
上述した実施例8は、実施例5に対して、支持プレート122(支持プレート92)と弾性部材124(弾性プレート94)を一体形成すると共に、この弾性部材124を、高弾性部材124aと低弾性部材124bとから構成したものであり、その作動はほぼ同様であることから、詳細な説明は省略する。
このように実施例8のパッド戻し機構にあっては、支持プレート122と弾性部材124とを一体形成することで、構造の簡素化低コスト化を可能とすることができる。
図21は、実施例9のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構を表す要部断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例9のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構131において、図21に示すように、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面に支持プレート132が配置されている。この支持プレート132は、中間部132aが裏金39に連結され、マウンティングブラケット14に接近する方向に延出する両端部(一端部だけ図示)が裏金39を超えて係止部132bが形成されると共に、中間部132aが押圧部となっている。そして、この支持プレート132は、厚さ方向における中間部に、ゴムなどの弾性部材134が挟持されおり、この弾性部材134は、中間部(押圧部)132aに対応した低弾性部材134aと、係止部132b側に対応した高弾性部材134bとからなる。そして、ピストン15は先端面が支持プレート132の中間部(押圧部)132aに接触し、これを押圧可能となっており、この場合、低弾性部材124aの厚さがクリアランスSとなっている。
また、支持レバー132の係止部132bと裏金39との間には、支持ばね102が装着されている。この支持ばね102は、U字形状をなし、一端の第1係止部102aが支持レバー132の係止部132bに密着し、他端の第2係止部102bが裏金39に密着することで、各係止部102a,102bにより支持レバー132(係止部132b)と裏金39を挟持している。また、支持ばね102は、中間部がマウンティングブラケット14側に接近して湾曲することで、接合部102cが形成されている。そして、支持ばね102における湾曲した接合部102cは、他の部分より剛性が高い高剛性部として機能し、マウンティングブラケット14の内面に押圧して摩擦接合している。
なお、この実施例9は、上述した第2の形態に対応したものであり、支持プレート132が荷重伝達手段(逆変位手段G1)Gとして機能し、支持ばね102が復元手段D及びパッド支持体Eとして機能し、支持プレート132の弾性部材134(低弾性部材134a)がストローク吸収手段(ストローク吸収体)及びストローク復元手段として機能する。
上述した実施例9は、実施例7に対して、支持プレート132(支持プレート112)と弾性部材134(弾性プレート113)を一体形成すると共に、この弾性部材134を、低弾性部材124aと高弾性部材124bとから構成したものであり、その作動はほぼ同様であることから、詳細な説明は省略する。
このように実施例9のパッド戻し機構にあっては、支持プレート132と弾性部材134とを一体形成することで、構造の簡素化低コスト化を可能とすることができる。
図22は、実施例10のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構を表す要部断面図、図23−1及び図23−2は、実施例10のディスクブレーキ装置における作動を説明するための概略図、図24は、実施例10のディスクブレーキ装置におけるパッドシムの平面図で、図25−1は、実施例10のディスクブレーキ装置におけるパッドを表す平面図、図25−2は、実施例10のディスクブレーキ装置におけるパッドシムの平面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例10のディスクブレーキ装置におけるパッド戻し機構141において、図22に示すように、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面に支持プレート142が配置されている。この支持プレート142は、中間部142aが裏金39に連結され、押圧部142bを介して接合部142cが形成されている。そして、支持プレート142は弾性変形可能に構成されるものの、接合部142cは、他の部分より剛性が高い高剛性部として機能し、マウンティングブラケット14の内面に押圧して摩擦接合している。
更に、インナパッド12の裏金39には、摩擦材37が装着された反対側に面にストローク吸収体としてのシム143が配置されている。支持プレート142と裏金39との間には、シム143が配設されており、このシム143は、支持プレート142と裏金39に挟持された状態で固定されている。このシム143は、図24に示すように、2枚のシムプレート144,145が重ねられて構成されている。即ち、一方のシムプレート144には、左右一対の孔144aが形成され、他方のシムプレート145には、左右一対の切欠145aが形成され、2枚のシムプレート144,145が重ねられることで、図22に示すように、シム143に孔部143aが形成される。この場合、孔部143aに限らず、凹部や切欠部であってもよい。そして、支持プレート142の押圧部142bにシム143の孔部143aが対応しており、ピストン15は先端面が支持プレート142の押圧部142bに接触し、これを押圧可能となっており、この場合、シム143の厚さがクリアランスSとなっている。
なお、この実施例10は、上述した第2の形態に対応したものであり、支持プレート142が復元手段D、パッド支持体E、荷重伝達手段G、変位手段(逆変位手段G1)として機能し、シム143がストローク吸収手段(ストローク吸収体)及びストローク復元手段として機能する。
なお、ストローク吸収手段(ストローク吸収体)及びストローク復元手段の構成は、この構造に限定されるものではない。例えば、図25−1及び図25−2に示すように、摩擦パッド12の裏金39に対してシムプレート145を重ね、裏金39に、左右一対の孔39cを形成し、シムプレート145に、左右一対の切欠145aを形成し、支持プレート142の押圧部142bに対応する孔部(凹部)を形成してもよい。
従って、ピストン15が前進すると、支持プレート142の押圧部142bが押圧され、シム143が圧縮変形してストロークを吸収すると共に、シム143の孔部143aによりこの支持プレート142の押圧部142bを弾性変形させながらインナパッド12が前進し、ディスクロータ11に接触する。このとき、図23−1に示すように、支持プレート142は、押圧部142bを支点として接合部142cが逆方向に変位し、ピストン15における所定のストロークを吸収する。この支持プレート142が押圧されてインナパッド12がディスクロータ11に接近する方向に移動するとき、接合部142cとマウンティングブラケット14との摩擦接合する位置がディスクロータ11から離間する側にずれる。
そして、ピストン15が後退すると、図23−2に示すように、前述とは逆に、支持プレート142の弾性変形が復元し、押圧部142bが戻って接合部142cが押圧部142bとは逆方向に相対変位する。このとき、支持プレート142は、弾性変形が復元し、これによりインナパッド12が後退し、ディスクロータ11から離間させることで、ディスクロータ11から離間する方向にクリアランスS3だけ移動させる。続いて、接合部142cとマウンティングブラケット14との摩擦接合する位置をディスクロータ11に接近する側に移動する。そのため、インナパッド12を定位置に位置決めすることができると共に、各パッド12,13をディスクロータ11に対してセンタリングすることができる。
このように実施例10のパッド戻し機構にあっては、復元手段D、パッド支持体E、荷重伝達手段G、逆変位手段G1として支持プレート142を設け、ストローク吸収手段、ストローク復元手段としてシム143(孔部143a)を設けている。従って、構造の簡素化及び部品点数の低減を可能とすることができる。