JP5342492B2 - ポリウレタンスラブフォームの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の解決しようとする課題は、スズ触媒の使用量を0〜0.01重量%としてもフォーム内部にクラックが発生せず、黄変しにくい軟質ポリウレタンスラブフォームの製造方法を提供することである。
すなわち本発明は、以下の発明である。
ポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、発泡剤(C)及びウレタン化触媒(D)の存在下に反応させてなるポリウレタンスラブフォームの製造方法において、ポリオール成分(A)が下記ポリオキシアルキレンポリオール(S)を含有し、有機スズ触媒の含有量が、ポリオール成分(A)の重量を基準として、0〜0.01重量%であるポリウレタンスラブフォームの製造方法を要旨とする。
ポリオキシアルキレンポリオール(S):下記一般式(2)で表される活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物であって、末端に位置する水酸基の40%以上が下記一般式(1)で表される1級水酸基含有基であり、一般式(2)中の−(AO)q−の部分が、下記一般式(7−1)で表される化合物、(7−2)で表される化合物及び(7−3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒(C)の存在下で、炭素数3〜12のアルキレンオキサイドを開環付加重合させることで得られ、アルキレンオキサイドを開環付加重合させる際に、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(t)を連続的又は断続的に除去する工程を含み、水酸基価xと総不飽和度yとエチレンオキサイド含有量zが数式(1)の関係を満たすポリオキシアルキレンポリオール。
y≦28.3×x-2×(100−z)/100 (1)
[数式(1)中、xは単位mgKOH/gで表される水酸基価、yは単位meq/gで表される総不飽和度を表す。zは、(S)の重量を基準とするエチレンオキサイド含有量であり、0〜50重量%である。]
y≦(9.0×10-9)w2×(100−z)/100 (2)
y≦28.3×x-2×(100−z)/100 (1)
本発明において、ポリオキシアルキレンポリオール(S)は、イソシアネートとの十分な反応性及び疎水性を持つという特徴がある。この(S)を用いて得られるウレタン樹脂は、製造時の反応性が高く、軟質ポリウレタンスラブフォームの機械物性(硬さ、破断伸び、引張り強度、引裂強度)と耐湿性が良好となる。
y≦18.9×x-2×(100−z)/100 (3)
数式(3)を満たすポリオキシアルキレンポリオール(S)は、数式(1)を満たすときに比べて不飽和モノオール量が低減されており、このようなポリオキシアルキレンポリオールを用いて製造した軟質ポリウレタンスラブフォームの機械物性は更に向上する。
上記式(1)及び(3)の左辺は、総不飽和度yである。
ところで、ポリオキシアルキレンポリオールの不飽和基は、この製造過程でエチレンオキサイド以外のアルキレンオキサイド(特にプロピレンオキサイド)が転位反応して生成するので、ポリオキシアルキレンポリオール中のエチレンオキサイド含有量が小さいほど総不飽和度yが大きくなる傾向があり、分子量が大きいほど総不飽和度yが大きくなる傾向がある。したがって、エチレンオキサイド含有量が小さい、又は分子量が大きいポリオキシアルキレンポリオールは、式(1)及び(3)を満たすことが困難な傾向にある。
すなわち、式(1)又は(3)は、水酸基価x及びエチレンオキサイド含有量zに比べて、総不飽和度yが小さい領域を示すものである。なお、上記式(1)及び(3)は、実験的に見出した本発明の効果が得られる範囲を表したものである。
総不飽和度yはOH基当たりの分子鎖長が長くなるほど、すなわち水酸基価xが小さくなるほど指数関数的に高くなる。これはAOの付加反応時に、AOが不飽和化合物に転位する反応速度は一定であるが、系中のOH基濃度が低くなるほど付加反応速度が遅くなるためである。この理論的解析および実験データとのカーブフィッティングから数式(1)及び(3)のx-2の係数を決定した。また図1はEO含有量z=0の場合であるが、EOは転位反応しないため、水酸基からEOを除く部分の分子鎖長に補正する項として(100−z)/100 を追加し、数式(1)とした。
活性水素化合物(H)としては、2個以上の活性水素を含有する化合物、例えば水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物、リン酸化合物;分子内に2種以上の活性水素含有官能基を有する化合物;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味し、以下において同様である。
リン酸化合物としては燐酸、亜燐酸及びホスホン酸等が挙げられる。
mは、(S)の粘度等の性状の観点から、50以下が好ましく、さらに好ましくは10以下である。
ポリオキシアルキレンポリオール(S)の粘度の観点から、p+q+rは1〜400の整数が好ましく、さらに好ましくは200以下である。
例えば、(S)が上記一般式(2)で表される場合、末端に位置する水酸基含有基としては、上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基と、r=0の時に見られる下記一般式(10)で表される2級水酸基含有基の2種類が考えられるが、(S)は上記一般式(2)中のrの値に関係なく、末端に位置する水酸基の40%以上が上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基である。
(S)において、その末端の全水酸基に対して、上記一般式(1)で表される1級水酸基含有基が占める比率(これを本明細書中、1級水酸基率とする。以下において同様である)は、ポリオキシアルキレンポリオール(S)の全末端水酸基の量を基準として40%以上であり、(S)の反応性の観点から、好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上である。1級水酸基率が40%未満の場合には、ポリオール成分としての反応性が不十分である。
R1として、具体的には、水素原子;メチル基、エチル基及びプロピル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基等の分岐アルキル基;フェニル基及びp−メチルフェニル基等の置換フェニル基;クロロメチル基、ブロモメチル基、クロロエチル基及びブロモエチル基等の置換アルキル基;p−クロロフェニル基及びp−ブロモフェニル基等の置換フェニル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基等;並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。R9として、具体的には、R1で例示した基のうち、水素原子以外のものが挙げられる。
<試料調製法>
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し、分析用試料とする。上記重水素化溶媒としては、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド及び重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択する。
<NMR測定>
通常の条件で1H−NMR測定を行う。
上に述べた前処理の方法により、ポリオキシアルキレンポリオールの末端の水酸基は、添加した無水トリフルオロ酢酸と反応してトリフルオロ酢酸エステルとなる。その結果、1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基が結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測される(重水素化クロロホルムを溶媒として使用)。1級水酸基率は次の計算式により算出する。
1級水酸基率(%)=[a/(a+2×b)]×100
但し、式中、aは4.3ppm付近の1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値;bは5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチン基由来の信号の積分値である。
本発明において、ポリオキシアルキレンポリオール(S)は、(J)に炭素数3〜12のアルキレンオキサイドを触媒(C)の存在下で開環付加重合させ下記一般式(12)で表される活性水素化合物(K)とすることで得ることができる。また、必要により、その後、(K)の末端にEOを0〜50重量%開環付加重合してもよい。(K)にEOを開環付加重する際の方法は通常知られている条件で良く、特に触媒は限定されない。EOを(K)の末端に付加重合しない場合は、(K)が(S)であり、得られた(S)の水酸基価xと総不飽和度yが数式(1)の関係を満たしていればよい。
一般式(12)中、R2、Z、A、p、q、mは、一般式(2)と同じであり、上述の物を同様に例示することができる。
例えば、(J)の具体例としては、(H)への、EO、PO及びブチレンオキサイド等の付加物が挙げられ、さらに具体的には、水のEO付加物、水のPO付加物、グリセリンのEO付加物、グリセリンのPO付加物、アンモニアのエチレンオキサイド付加物、アンモニアのプロピレンオキサイド付加物、水のEO・PO共重合付加物、水のPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのEO・PO共重合付加物、グリセリンのEO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、アンモニアのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド共重合付加物、水のEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物及びグリセリンのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物、アンモニアのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物等が挙げられる。
例えば(K)は、(J)へのPO、ブチレンオキサイド等の付加物が挙げられる。
また、kは0〜5の数を表す。
一般式(8)で表されるフェニル基又は置換フェニル基の具体例としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−メチルフェニル基、p−シアノフェニル基及びp−ニトロフェニル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基及びp−シアノフェニル基であり、さらに好ましくはフェニル基、ペンタフルオロフェニル基である。
すなわち、ポリオール成分(A)の少なくとも一部として、ポリオキシアルキレンポリオールポリオール(S)を使用する。
重合体アルコール(W)は、(S)中にポリマー粒子(P)が分散された重合体アルコールである。
重合体アルコール(W)は、(S)中でビニルモノマー(g)を公知の方法で重合して製造することができる。例えば、(S)中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(g)が重合され、得られた(g)の重合体が安定分散されたものが挙げられる。重合方法の具体例としては、米国特許第3383351号明細書及び特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。
(g)としては、スチレン及び/又はアクリロニトリルが好ましい。
(S)以外のポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びその他のポリオールが挙げられる。
(s)のうち、ポリエステルポリオールとしては、下記の(1)〜(5)のものが挙げられる。
(1)多価アルコールとポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とのエステル化物
多価アルコールは、2価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール並びにネオペンチルグリコール等)、ポリエーテルポリオール(好ましくはジオール)、3価以上の多価アルコール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)及びこれらの混合物である。ポリカルボン酸のエステル形成性誘導体は、酸無水物及び低級アルキル(アルキル基の炭素数:1〜4)エステル等である。ポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及びテレフタル酸ジメチル等が挙げられる。
(2)カルボン酸無水物及びAOとの縮合反応物
(3)上記(1)及び(2)のAO(EO、PO等)付加物
(4)ポリラクトンポリオール:例えば多価アルコールを開始剤としてラクトン(ε−カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるもの。
(5)ポリカーボネートポリオール:例えば前記多価アルコールとアルキレンカーボネートとの反応物。
(s)のうち、アミンとしては前述のものが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI等が挙げられる。
発泡剤(C)としては、公知の発泡剤が使用でき、例えば、水、水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素及び液化炭酸ガス等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
水素原子含有ハロゲン化炭化水素の具体例としては、塩化メチレンやHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えばHCFC−123及びHCFC−141b);HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えば、HFC−245fa及びHFC−365mfc)等が挙げられる。
低沸点炭化水素は、沸点が通常−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタンが挙げられる。
なお、上記及び以下において、部は重量部を意味する。
アミン触媒の具体例としてはトリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール及び1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7等が挙げられる。
金属触媒としては、有機スズ触媒、有機鉛触媒が挙げられる。有機スズ触媒の具体例としてはオクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル、テトラフェニルスズ等が挙げられ、有機鉛触媒の具体例としては第二スズオクチル酸鉛等が挙げられる。
一例を示せば、ポリウレタン低圧若しくは高圧注入発泡機又は撹拌機を使用して、ポリオール組成物(A)と発泡剤(C)及びウレタン化触媒(D)並びに必要により添加剤を所定量混合する。次いで、この混合物とポリイソシアネート(B)とを急速混合する。得られた混合液を上部が開放された箱(金属製又は樹脂製)中又はベルトコンベアー上に吐出して発泡させる。所定時間静置して硬化させ、ポリウレタンスラブフォームを得る。
図2に示した態様のように、容量2,500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、酸化マグネシウム(顆粒、直径2〜0.1mm)を400g充填した反応塔(2)(ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ30cmを2基使用)及び蒸留塔(3)(理論段数30段、ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ2m)を、循環ライン(6)、(7)、(8)で接続した。
反応槽(1)に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)(GA−1)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、反応槽(1)と反応塔(2)及び循環ライン(6)、(7)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いて反応槽(1)内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→循環ライン(6)→反応塔(2)→循環ライン(7)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。反応塔(2)を75℃、0.08〜0.15MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的に酸化マグネシウムと接触させて高沸点化合物とし、蒸留塔(3)にてPOと分離することで系外に除去した。分離した高沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(4)から抜き取った。反応槽(1)内液量が2,000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。その後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(S−1)を得た。
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてグリセリンにPOを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩[商品名「キョーワード600」、協和化学(株)製、以下同じ。]を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
図3に示した態様のように、容量2,500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、蒸留塔(3)(理論段数50段、ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ3m)とを、循環ライン(6)、(8)で接続した。
反応槽(1)に、(GA−1)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、反応槽(1)と反応塔(2)及び循環ライン(6)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いて反応槽(1)内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→循環ライン(6)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。蒸留塔(3)にて副生低沸点化合物をPOと分離することで系外に除去した。分離した副生低沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(4)から抜き取った。反応槽(1)内液量が2,000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。その後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(S−2)を得た。
図4に示した態様のように、2,500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、モレキュラーシーブ4Aを500g充填した吸着塔(9)(ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ30cm)を、循環ライン(6)、(8)で接続した。
(GA−1)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、反応槽(1)と吸着塔(9)及びライン(6)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いて反応槽(1)内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→減圧ライン(6)→吸着塔(9)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。吸着塔(9)を25℃、0.1〜0.3MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的にモレキュラーシーブに吸着させ系外に除去した。反応槽(1)内液量が2,000mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。その後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(S−3)を得た。
図5に示した態様のように、2,500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、減圧ライン(10)を接続した。反応槽(1)に、(GA−1)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gとを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は10分間かけて投入した後、減圧ライン(10)より減圧(0.01MPa)とし、15分間低沸点の揮発成分を留去する工程を、20回繰り返して実施した。反応槽(1)内液量が2,000mlとなるまで投入した時点でPOの投入を停止し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。その後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(S−4)を得た。
(GA−1)400gを用いる代わりに、グリセリンのPO付加物(水酸基価168)(GA−2)666gを用いる以外は、製造例1と同様の方法で合成し、液状のグリセリンPO付加物(S−5)を得た。
なお、原料として用いた(GA−2)は、(GA−1)と同様に既知の方法で合成されたものである。
図2に示した態様のように、容量2,500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブと、酸化マグネシウム(顆粒、直径2〜0.1mm)を400g充填した反応塔(2)(ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ30cmを2基使用)、及び、蒸留塔(3)(理論段数30段、ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ2m)を、循環ライン(6)、(7)、(8)で接続した。
反応槽(1)に、(GA−1)400gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、反応槽(1)と反応塔(2)及び循環ライン(6)、(7)、(8)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いてオートクレーブ{反応槽(1)}内の気相を5L/minの流量で、反応槽(1)→循環ライン(6)→反応塔(2)→循環ライン(7)→蒸留塔(3)→循環ライン(8)→反応槽(1)の順に循環させた。反応塔(2)を75℃、0.08〜0.15MPaとなるように制御しながら副生低沸点化合物を連続的に酸化マグネシウムと接触させて高沸点化合物とし、蒸留塔(3)にてPOと分離する事で系外に除去した。分離した高沸点化合物は蒸留塔(3)の釜下ライン(4)から抜き取った。反応槽(1)内液量が1920mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を170g加え130〜140℃で1時間加熱した。水を2時間かけて常圧留去した後、水酸化カリウム2gを加え130〜140℃にてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら残りの水を減圧留去した。引き続き、原料供給ライン(5)を通じてEO80gを反応温度が130〜140℃を保つように制御しながら2時間かけて投入した後、2時間熟成した。90℃まで冷却した後、12gのキョーワード600と水40gを加え1時間処理した。反応槽(1)より取り出した後、1ミクロンのろ紙を用いてろ過した後、減圧脱水し、液状のグリセリンPOEO付加物(S−6)を得た。
(GA−1)400gを用いる代わりに、(GA−2)666gを用いる以外は、製造例6と同様の方法で合成し、液状のグリセリンPOEO付加物(S−7)を得た。
図6に示した態様のように、2,500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、グリセリン80gと水酸化セシウム4gを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が90〜100℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は6時間かけて連続して実施した。反応槽(1)内液量が2,000mlとなるまで投入した後、100℃で3時間熟成した。次に、30gの合成珪酸塩と水40gを加えて90℃で1時間処理した。反応槽(1)より取り出した後、1ミクロンのフィルターで濾過した後2時間脱水し、液状のグリセリンPO付加物を得た。得られたグリセリンPO付加物1,530gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを再び反応槽(1)に仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が70〜80℃を保つように制御しながら3時間かけて投入した。反応槽(1)内液量が2,000mlとなるまで投入し、70℃で3時間熟成した。引き続いて、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。その後、水を2時間かけて常圧留去したのち、引き続いてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら3時間かけて残りの水を減圧留去し液状のグリセリンPO付加物(n−1)を得た。
水酸化セシウム4gの代わりに水酸化カリウムを4g用いる以外は比較製造例1と同様の方法で液状のグリセリンPO付加物(n−2)を得た。
図6に示した態様のように、2,500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、グリセリン61gと水酸化カリウム4.0gを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が90〜100℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は6時間かけて連続して実施した。反応槽(1)内液量が2,000mlとなるまで投入した後、100℃で3時間熟成した。次に、30gの合成珪酸塩と水40gを加えて90℃で1時間処理した。反応槽(1)より取り出した後、1ミクロンのフィルターで濾過した後2時間脱水し、液状のグリセリンPO付加物(n−3)を得た。
図6に示した態様のように、2,500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、グリセリン84gと水酸化セシウム4gを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が90〜100℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は6時間かけて連続して実施した。反応槽(1)内液量が2,000mlとなるまで投入した後、100℃で3時間熟成した。次に、30gの合成珪酸塩と水40gを加えて90℃で1時間処理した。反応槽(1)より取り出した後、1ミクロンのフィルターで濾過した後2時間脱水し、液状のグリセリンPO付加物を得た。得られたグリセリンPO付加物1460gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを再び反応槽(1)に仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が70〜80℃を保つように制御しながら3時間かけて投入した。反応槽(1)内液量が1,920mlとなった時点でPOの投入を停止し、70℃で4時間熟成し、水を170g加え130〜140℃で1時間加熱した。水を2時間かけて常圧留去した後、水酸化カリウム2gを加え130〜140℃にてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら残りの水を減圧留去した。引き続き、原料供給ライン(5)を通じてEO80gを反応温度が130〜140℃を保つように制御しながら2時間かけて投入した後、2時間熟成した。90℃まで冷却した後、12gの合成珪酸塩と水40gを加え1時間処理した。反応槽(1)より取り出した後、1ミクロンのろ紙を用いてろ過した後、減圧脱水し、液状のグリセリンPOEO付加物(n−4)を得た。
水酸化セシウム4gの代わりに水酸化カリウムを4g用いる以外は比較製造例4と同様の方法で液状のグリセリンPOEO付加物(n−5)を得た。
図6に示した態様のように、2,500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(5)付きの反応槽(1)としてのステンレス製オートクレーブに、グリセリン61gと水酸化カリウム4.0gを仕込んだ後、原料供給ライン(5)を通じてPOを反応温度が90〜100℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は6時間かけて連続して実施した。反応槽(1)内液量が1,860mlとなるまで投入した後、100℃で3時間熟成した。引き続き、原料供給ライン(5)を通じてEO140gを反応温度が130〜140℃を保つように制御しながら2時間かけて投入した後、2時間熟成した。90℃まで冷却した後、12gの合成珪酸塩と水40gを加え1時間処理した。反応槽(1)より取り出した後、1ミクロンのろ紙を用いてろ過した後減圧脱水し、液状のグリセリンPOEO付加物(n−6)を得た。
従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールが満足する特許文献4(特許3688667号公報)記載の式1[下記、数式(4)]についての検証結果も記載した。
y≦(1.9×10-8)w2 (4)
数式(4)は水酸基当量wと総不飽和度yの関係を表す式であり、本発明における数式(1)、(3)に対応する形、つまり、(S)の水酸基価xと総不飽和度yの関係式に変形すると数式(4’)となる。
y≦60×x-2 (4’)
水酸基価:JIS K1557 に準拠、単位はmgKOH/g
総不飽和度:JIS K1557に準拠、単位はmeq/g
(水酸基当量w)=(数平均分子量)/(平均水酸基数) (5)
X軸:ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価x
Y軸:ポリオキシアルキレンポリオールの総不飽和度y
○印:本発明の製造例記載のポリオキシアルキレンポリオールであり、末端にEOを含有していないものを表す。
×印:比較製造例記載のポリオキシアルキレンポリオールであり、末端にEOを含有していないものを表す。
曲線1:本発明の数式1を表す。
曲線2:本発明の数式3を表す。
曲線3:従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールに関する特許文献4(特許3688667号公報)記載の式1(数式4’)を表す。
表3〜6に示した発泡処方に従って、下記の発泡条件によりポリウレタンスラブフォームを発泡させて作成し、一昼夜静置後ポリウレタンスラブフォームの諸物性を測定した。物性の測定値も表3〜6にそれぞれ記載した。
発泡箱サイズ:30cm×30cm×80(高さ)cm天空き箱
発泡箱材質:木材
面材:クラフト紙(箱の内側にクラフト紙製の袋をセットした。)
ミキシング方法:ハンドミキシング
1.重合体アルコール(P)
(1)重合体アルコール(P−1):S−6中でスチレンとアクリロニトリル(重量比30/70)を共重合させた重合体アルコール(重合体含量30%水酸基価40)
(2)重合体アルコール(P−2):n−4中でスチレンとアクリロニトリル(重量比30/70)を共重合させた重合体アルコール(重合体含量30%水酸基価40)
(1)ウレタン化触媒(U−1):エアプロダクツジャパン(株)製「DABCO−33LV」(トリエチレンジアミンの33重量%ジプロピレングリコール溶液)
(2)ウレタン化触媒(U−2):東ソー(株)製「TOYOCAT ET」[ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70重量%ジプロピレングリコール溶液]
(3)ウレタン化触媒(U−3):日東化成(株)製「ネオスタン U−28」(スタナスオクトエート)
(1)発泡剤(F−1):水
(2)発泡剤(F−2):塩化メチレン
(1)整泡剤(D1−1):東レ・ダウコーニング(株)製「L−540」
TDI:日本ポリウレタン工業(株)製「コロネート T−80」(トリレンジイソシアネート)
1.コア密度:JIS K6400に準拠、単位はkg/m3
2.硬さ(25%ILD):JIS K6400に準拠、単位はN/314cm2
3.引張強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm2
4.伸び:JIS K6400に準拠、単位は%
5.引裂強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm
6.圧縮残留歪率:JIS K6400に準拠、単位は%
7.湿熱圧縮残留歪率:JIS K6400に準拠、単位は%
8.硬化性:発泡後30分後にフォームから面材を剥がして判定
<評価基準>
○:フォーム表層部がフォームブロックから剥がれない
×:フォーム表層部がフォームブロックから剥がれ落ちる
9.密度の均一性:中央部(フォーム底を基準に高さ65〜515mmの間)の密度に対する底部(フォーム底を基準に高さ15〜65mmの間)の密度比
10.成形性:フォーム内部のクラックの長さ、単位はmm
11.臭気:120mlの蓋付きガラス容器12本に前記各ポリウレタンフォームから切り出した30×30×30mmの試料をそれぞれ入れ、これらガラス容器を80℃の恒温槽内に静置して20時間加熱した。室温まで放冷後、10人のパネラーにより前記実施例および比較例のポリウレタンフォームの試料が入ったガラスビンの蓋を開けて臭気評価を行った。なお、前記パネラーによる評価基準は下記のとおり。
<評価基準>
1:10人中1〜2人が弱い臭気を感じる。
2:10人中3〜5人が弱い臭気を感じる。
3:10人中6〜9人が弱い臭気を感じる。
4:全員が強い臭気を感じる。
12.紫外線変色性:フェードメーター試験機にて、紫外線を40時間連続で照射し、色差(△YI)を比較した。
特に、特許3688667号公報記載の式1を満足する従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られるポリウレタンフォーム(比較例1及び4)と比較しても、本発明により得られるポリウレタンフォームのフォーム物性は向上している。
さらに実施例1〜10のポリウレタンフォームは、比較例1〜6のポリウレタンフォームよりも、硬化性、密度の均一性、成形性が良好である。
特に、特許3688667号公報記載の式1を満足する従来技術であるポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られるポリウレタンフォーム(比較例7及び10)と比較しても、本発明により得られるポリウレタンフォームのフォーム物性は向上している。
また、実施例10及び13のポリウレタンフォームと比較例6及び10のポリウレタンフォームはともにフォーム物性、硬化性、密度の均一性、成形性が良好であるが、実施例のポリウレタンフォームの方が黄変性において優れている。
2:反応塔
3:蒸留塔
4:釜下ライン
5:原料供給ライン
6:循環ライン
7:循環ライン
8:循環ライン
9:吸着塔
10:減圧ライン
Claims (7)
- ポリオール成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、発泡剤(C)及びウレタン化触媒(D)の存在下に反応させてなるポリウレタンスラブフォームの製造方法において、ポリオール成分(A)が下記ポリオキシアルキレンポリオール(S)を含有し、有機スズ触媒の含有量が、ポリオール成分(A)の重量を基準として、0〜0.01重量%である軟質ポリウレタンスラブフォームの製造方法。
ポリオキシアルキレンポリオール(S):下記一般式(2)で表される活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物であって、末端に位置する水酸基の40%以上が下記一般式(1)で表される1級水酸基含有基であり、一般式(2)中の−(AO)q−の部分が、下記一般式(7−1)で表される化合物、(7−2)で表される化合物及び(7−3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒(C)の存在下で、炭素数3〜12のアルキレンオキサイドを開環付加重合させることで得られ、アルキレンオキサイドを開環付加重合させる際に、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(t)を連続的又は断続的に除去する工程を含み、水酸基価xと総不飽和度yとエチレンオキサイド含有量zが数式(1)の関係を満たすポリオキシアルキレンポリオール。
y≦28.3×x-2×(100−z)/100 (1)
[数式(1)中、xは単位mgKOH/gで表される水酸基価、yは単位meq/gで表される総不飽和度を表す。zは、(S)の重量を基準とするエチレンオキサイド含有量であり、0〜50重量%である。] - 一般式(2)中、rが0である請求項1に記載の軟質ポリウレタンスラブフォームの製造方法。
- 一般式(2)中の(AO)qの部分のうち、末端に位置するAの構造の40%以上が、一般式(6)で表される構造である請求項1又は2に記載のポリウレタンスラブフォームの製造方法。
- ポリオキシアルキレンポリオール(S)の水酸基価xが10〜115mgKOH/gである請求項1〜3のいずれかに記載の軟質ポリウレタンスラブフォームの製造方法。
- ポリオキシアルキレンポリオール(S)の末端に位置する水酸基含有基の60%以上が一般式(1)で表される1級水酸基含有基である請求項1〜4のいずれかに記載の軟質ポリウレタンスラブフォームの製造方法。
- ポリオキシアルキレンポリオール(S)の含有量が、ポリオール成分(A)の重量を基準として、30〜100重量%である請求項1〜5のいずれかに記載の軟質ポリウレタンスラブフォームの製造方法。
- ポリオール成分(A)の水酸基価が20〜100mgKOH/gである請求項1〜6のいずれかに記載の軟質ポリウレタンスラブフォームの製造方法。
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