JP5342412B2 - 環境情報の集計方法および環境情報集計装置 - Google Patents

環境情報の集計方法および環境情報集計装置 Download PDF

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Description

本発明は、製品の環境情報を評価する環境情報の集計方法および環境情報集計装置に関し、特に部品や材料などの調達品の供給業者(以下、サプライヤという)から入手した環境情報を、製品単位に集計する技術に関する。
近年欧州を中心として、製品を対象とした環境規制が強化されている。例えば製品の含有物質に関する規制としては、RoHS指令やREACH規則などがある。前者は製品中の特定物質の含有量が一定以上となることを禁止する規制であり、後者は欧州域内で販売した製品に含まれる物質が一定の量を超える場合に、該物質に関する情報の伝達や登録を義務付ける規制である。
このような環境規制を遵守するためには、設計段階で製品の環境情報を把握し、規制の要件を満たすように対策を講じる必要がある。例えばRoHS指令では、製品を構成する部品に含まれる物質の種類や量を把握し、規制値を満たさない場合は部品を交換する必要がある。またREACH規則では、高懸念物質(SVHC;Substance of Very High Concern)が、製品重量に対して一定量を越えるか否かを判定する必要がある。
このような判定を行なうためには、製品を部品や素材にまで展開して環境情報を把握する必要がある。しかし電機電子製品や機械製品などは多くの部品や素材で構成されるため、全ての部品や素材について製造業者が自ら環境情報を測定することは難しい。
このため多くの製造業者は、部品や素材などの購入品の環境情報をサプライヤから入手し、自社製品単位に集計を行なっている。
このような環境情報の集計方法として、特許第3931689号公報(特許文献1)には、サプライヤから入手した環境情報と製品の部品表とを突き合わせることにより、製品の環境情報を集計する方法が示されている。このシステムを用いることにより、製造業者は数百〜数千におよぶ環境情報の集計を自動で行なうことができ、容易に規制の遵守状況を確認することができる。
しかしながら、このようなサプライヤから環境情報を入手する方法では、複数のサプライヤによる製品のサプライチェーンの途中で情報伝達が滞ると、後の業者が環境情報を入手できないという問題がある。
このためサプライチェーンの末端の製造業者においては、設計の初期段階で全ての調達品の環境情報を入手することが難しい。このため自社測定等の対策を行なっているが、設計後半で規制に適合しないことがわかった場合には手戻りが発生し、設計期間が長期化するという問題があった。
そこで、従来、特開2006−277426号公報(特許文献2)に記載されたような、サプライヤから入手できない環境情報を、類似部品の環境情報を統計的に処理することによって類推する手法があった。
特許第3931689号公報 特開2006−277426号公報
前述のように、電気電子製品や機械製品などはサプライチェーンの末端に位置づけられる製品であり、調達品のサプライチェーンは多種多様である。例えば、半導体集積回路や電子部品などは、素材を加工することによって製造するためサプライチェーンが比較的短い。逆にこれらの部品を組み上げて作られる電源基板などのユニット品は、相対的にサプライチェーンが長くなる。
ここで、ユニット品のようなサプライチェーンが長い調達品は、サプライチェーンの短い調達品と比較して製造業者間で環境情報を伝達する回数が多いため、環境情報が入手し難いという問題がある。
特許文献2に記載のものでは、類似部品の環境情報が存在する調達品については有効であるが、前述のようにサプライチェーンが長い調達品や調達量が少ない部品などでは、統計処理に必要なデータが十分に集まらないため適用できない場合がある。
また、製品の環境情報集計結果に推定値が含まれる場合は、対策要否を判断するためには、推定誤差により規制値から外れる確率(リスク)がどの程度あるかを把握する必要があった。
そこで、本発明の目的は、類似部品や調達量の少ない部品の環境情報を精度よく推定すると共に、製品の環境情報が規制値を外れるリスクを評価可能な、環境情報の集計方法および集計装置を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
すなわち、代表的なものの概要は、調達品の環境情報が存在しない場合には、予め部品カテゴリにより部品の親子関係を記述した仮想的な部品表を用いて、調達品の構成部品を把握し、構成部品の環境情報を類似部品の環境情報を用いて類推し、類推結果を仮想的な部品表に従って集計することによって、調達品の環境情報を集計するものである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、環境情報の入手が難しい部品や調達量の少ない調達品でも、該調達品を構成する部品や材料に展開し、これらの構成部品・構成材料について類似部品を用いた環境情報を推定し、構成部品・構成材料の環境情報の和として該調達品の環境情報を推定することにより、高い確率で調達品の環境情報を推定できる。
これにより設計の早い段階でより多くの調達品の環境情報推定が可能となり、手戻りによる設計遅延を防止できるという効果がある。
本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置の構成を示す構成図である。 本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置の基礎となる部品表を用いた環境情報の集計方法の概念図である。 本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置のデータ記憶装置内に記憶される規制情報の具体例を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置のデータ記憶装置内に記憶される製品の部品表の具体例を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置のデータ記憶装置内に記憶される製品の部品表の具体例を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置のデータ記憶装置内に記憶される調達品の部品表の具体例を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置のデータ記憶装置内に記憶される環境情報の具体例を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置のデータ記憶装置内に記憶される調査情報の具体例を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置の環境情報の集計途中の結果を記録する中間ファイルの具体例を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置の環境情報の集計処理を示すフローチャートである。 図10の処理ステップS914でのリスク評価処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置のリスク評価処理を説明するための説明図である。 本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置の画面表示例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
なお、本実施の形態では、環境情報の例として化学物質の含有量を取り上げるが、二酸化炭素の発生量など他の環境情報の集計も同様の方法で実施できる。
図1により、本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置の構成について説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置の構成を示す構成図である。
図1において、環境情報集計装置は、制御装置への命令を入力する入力装置101、環境情報の集計結果を表示する表示装置102、環境情報の集計に必要な入力データを記憶するデータ記憶装置103、入力装置101からの命令を受け付けて、データ記憶装置103からデータを収集し、製品の環境情報を集計する制御装置104から構成されている。
ここで入力装置101は、通常のパソコンなどで入力装置として用いられるキーボードやマウスなどであり、表示装置102はCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid crystal Display)等である。また、データ記憶装置103は、制御装置104に接続された磁気記録装置などのディスクドライブ装置や、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介したデータ受信装置であり、規制情報1051、製品の部品表1052、仮想的な部品表である調達品の部品表106、調達品の環境情報107、調査情報108が記録されている。これらの情報は1つの記録装置に記録しても複数の記録装置に分散して記録してもよい。
また、制御装置104は、演算処理装置とメモリ(図示省略)により構成され、これらの演算装置とメモリが一体となって、調達品の環境情報の検索部109、調達品の部品表検索部110、末端部品の環境情報推定部111、調達品の環境情報推定部112、調査情報検索部113、製品の環境情報集計部114、リスク評価部115を形成する。より具体的には、図1の109〜115で示す各処理部は、制御装置104のメモリに記憶され、演算処理装置によって実効されるプログラムである。
ここで、図2により、本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置の基礎となる部品表を用いた環境情報の集計方法について説明する。図2は本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置の基礎となる部品表を用いた環境情報の集計方法の概念図である。
図2において、製品の部品表には、製品を構成する調達品が示されている。図2は製品としてサーバを取り上げた例であり、サーバが筐体、ハードディスク、マザーボード、被覆電線から構成されることを示している。
調達品の環境情報107は調達品の環境情報が記録されたデータベースである。ここでSVHC(Substances of Very High Concern)とはREACH規則で指定されている化学物質の総称であるが、本実施の形態では化学物質を示す表記として用いることにする。
図2に示す例は、筐体、ハードディスク、マザーボード、被覆電線に、SVHCがそれぞれ0mg、7.5mg、7.7mg、1mg含まれていることを示している。
製品の環境情報は、これらの2つの情報を部品ごとに突き合わせ、製品全体について集計することにより求める。図2に示す例では、サーバに含まれるSVHCは16.2mg(0+7.5+7.7+1)である。
本実施の形態では、図2に示すような、製品の部品表として、調達品が全て把握されている場合だけではなく、サプライヤから情報を調達品の情報が入手できない場合などでも、予め用意した仮想的な調達品の部品表106を備えることにより、環境情報を集計することができるようにしている。
次に、図3〜図9により、本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置のデータ記憶装置内に記憶される各データの具体例および環境情報の集計途中の結果を記録する中間ファイルの具体例について説明する。図3は規制情報の具体例を示す図、図4および図5は製品の部品表の具体例を示す図、図6は調達品の部品表の具体例を示す図、図7は環境情報の具体例を示す図、図8は調査情報の具体例を示す図、図9は環境情報の集計途中の結果を記録する中間ファイルの具体例を示す図である。
図3において、規制情報1051は、規制への適合判定に必要な情報種別と規制値とを規制名ごとに記録する。図3に示す例では、REACH規則にはSVHCの情報が必要であり、規制値は製品重量に対して0.1%であることを示している。
図4および図5において、製品の部品表1052は、部品の親子関係を示すファイル301と、各部品の属性を示すファイル401の2つのファイルで構成する。
図4に示す部品の親子関係を示すファイル301において、「部品番号」とは、該調達品に対応する図面の番号やサプライヤが設定した製品型番など、調達品に固有に付された番号を示す。図4の1行は、部品の親子関係を示しており、「員数」とは親部品に含まれる子部品の数を示している。
すなわち、図4は、製品P00001が部品A00001〜A00004の4種類の部品で構成されており、各々の部品が1個ずつ使われていることを示している。
図5に示す部品の属性情報を示すファイル401において、部品の属性情報とは、部品の調達先や仕様などを示す情報であり、部品番号ごとに記録するものであり、部品の属性情報として部品のカテゴリのみを示した例を示している。
すなわち、図5は、部品番号がA00001〜A00004の各部品はそれぞれ、筐体、ハードディスク、マザーボード、被覆電線であることを示している。
図6において、調達品の部品表106は、調達品の環境情報を構成部品や材料の環境情報から推定するための仮想的な情報である。調達品の部品表106はサプライヤから入手することが望ましいが,全ての調達品について入手できるわけではない。このため入手できない調達品については代替手段が必要である。
そこで本実施の形態では、同種の調達品は構成部品や材料も類似すると仮定し,調達品の種別ごとに作成する部品表(以下、代替用部品表)を用いることにした。代替用部品表は、例えば、サプライヤから入手した部品表や、調達品を分解するなどにより、同種の調達品の部品構成を複数調査し、それらを集計することによって作成する。
また、代替用部品表は、実際の部品表の中で引用元となる部品(親部品)が限定できないこと、子部品は自社部品でないため部品番号が特定できないこと、から各部品の親子関係は部品番号ではなく、部品カテゴリを用いて記述する。
例えば、図6に示す例では、「マザーボード」は「プリント基板」と「電子部品」で構成されており、各部品の員数は複数の「マザーボード」を調査した結果「プリント基板」が1個、「電子部品」が10個とすることができることを示している。
ここで構成部品や部品の員数は、製品の環境情報の集計におけるリスクを考慮して設定する必要がある。例えば、化学物質の含有量が過小評価となるリスクを避けるには、調査結果から得られる量の最大値に設定する、といった方法が考えられる。
図7において、調達品の環境情報107は、調達品のサプライヤから入手する情報であり、「部品番号」ごとに部品カテゴリや、含有物質、含有量、部品の重量、等を記録する。
図7に示す例では、部品番号がA00001の調達品は、部品カテゴリが「筐体」であり、SVHCを含んでおらず(0ppm)、部品重量が1.0kgであることを示している。
また、部品番号がA00002の調達品は「ハードディスク」であるが、「ハードディスク」は他に部品番号がA00011やA00012の部品がある。これらの部品についてはサプライヤからSVHC情報が提供されており、それぞれ10ppm、20ppmである。同様に部品カテゴリが「プリント基板」「電子部品」についても複数の部品が存在しており、サプライヤからSVCH情報が提供されている。
なお、部品番号がA00002〜A00004の調達品の「物質」「含有量」の項に示す記号(−)は、これらの化学物質情報がサプライヤから入手できていないことを示している。
図8において、調査情報108は、サプライヤから環境情報を入手できず、かつ調達品の部品表106が存在しない調達品の環境情報107を設定するのに使用する情報であり、調達品に含まれる物質を自社測定した結果や、文献などに示された一般情報を記録する。
調査情報108には、少なくとも含有物質の名称と含有量または含有率とを部品のカテゴリごとに記述する。図8に示す例では、被覆電線、接着材、潤滑材にSVHCが10ppm、1ppm、5ppm含まれていることを示している。
本実施の形態では、サプライヤから入手した環境情報がない調達品については推定値を用いており、この推定値を用いた環境情報の集計途中の結果を記録する中間ファイル801を生成している。
この中間ファイル801は、データ記憶装置103に記憶されるようにしてもいいし、環境情報の集計の際に、制御装置104内で中間ファイル801として保持するようにしてもよい。
図9において、中間ファイル801は、部品番号ごとに推定方法、含有物質名の他、推定結果として含有量等の情報を記録する。図9に示す例では、「推定方法」が「確定」と記された部品は、サプライヤから入手した環境情報があることを示す。
また、「推定(部品)」は類似部品からの類推を、「推定(ユニット)」は調達品の部品表106を用いた推定を、「推定(調査)」は調査情報108を用いて環境情報を設定したことを示す。
ここで、環境情報を類似部品から推定した場合や調達品の部品表106を用いて推定した場合は、該調達品の環境情報として平均値と標準偏差の結果を記録する。また、サプライヤから環境情報を入手できた場合は、環境情報が一意に特定できるので平均値の列に結果を記録する。
次に、図10により、本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置の環境情報の集計処理について説明する。図10は本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置の環境情報の集計処理を示すフローチャートであり、規制情報1051、製品の部品表1052、調達品の部品表106、調達品の環境情報107、調査情報108を用いて、環境情報を集計する処理を示している。
環境情報集計装置は、入力装置101を介して製品名と規制名を入力し、評価実行の命令を受けると、以下の処理を行なう。
まず、入力された製品名と規制名を読み込み(S900)、データ記憶装置103の製品の部品表1052から、指定された製品名の構成情報ファイル301と部品の属性ファイル401を読み込む(S901)。
次に、該製品の構成情報ファイル301において最下層の部品を探索し、該製品に使用される調達品の部品番号を特定する。このようにして取得した部品番号を用いて環境情報107を検索し、該調達品の環境情報を取得する(S902)。この処理は、調達品の環境情報の検索部109で行われる。
この処理ステップS902において、該調達品に対応するデータが調達品の環境情報107に存在する場合は、物質名と含有量を取得して該部品の環境情報を確定し、中間ファイル801に記録する(S910)。このとき環境情報の推定方法は「確定」とする。図4および図5に示した製品において、本処理フローに該当するのは部品番号A00001の「筐体」である。
一方、処理ステップS902において環境情報107に該当するデータがない場合は、該調達品の環境情報に推定値を用いることになる。
本実施の形態で用いる環境情報の推定方法は、類似部品の環境情報から類推する方法、調達品の部品表106を用いて推定する方法、調査情報108を用いて設定する方法、の3種類であるが、確度の高い方法から順に適用する。本実施の形態では、上記の順で適用する例について説明する。
類似部品の環境情報を用いた類推処理(S903)は、以下の処理により行なう。
まず、該部品のカテゴリを部品属性ファイル401から取得し、取得したカテゴリと一致するデータを調達品の環境情報107から検索する。調達品の環境情報107から該当するデータが複数検索された場合は、検索された全部品の化学物質と含有量データを取得すると共に、その平均値と標準偏差を求めて(S906)、中間ファイル801に記録する(S908)。
このとき環境情報の推定方法は「推定(部品)」とする。図4および図5に示した製品において、本処理フローに該当するのは部品番号A00002の「ハードディスク」である。この処理は、末端部品の環境情報推定部111で行われる。
次に、処理ステップS903において、調達品の環境情報107から該調達品と同じ部品カテゴリのデータを検索できなかった場合は、調達品の部品表106を用いた推定を行なう(S904)。
以下、調達品の部品表106を用いた環境情報推定の処理内容を説明する。
まず、該調達品の部品カテゴリを部品属性ファイル401から取得し、カテゴリが一致するデータを調達品の部品表106の「親部品」から検索する。ここで一致するカテゴリが検索された場合は、調達品の部品表106を参照し、子部品のカテゴリを取得する。この処理は、調達品の部品表検索部110で行われる。
以上の処理により調達品を部品や材料に展開したのち、該部品や該材料の環境情報を推定する。
この環境情報の推定は、処理ステップS903と同様の処理により行なう(S905)。すなわち該部品や該材料と部品カテゴリが一致する調達品を環境情報107から検索し、検索された全ての部品について化学物質と含有量のデータを取得する。
次に、取得した化学物質データを用いて平均値と標準偏差を求め(S906)、計算結果を中間ファイル801に記録する(S909)。
このとき環境情報の推定方法は、「推定(ユニット)」とする。図4および図5に示した製品において、本処理フローに該当するのは部品番号A00003の「マザーボード」である。この処理は、調達品の環境情報推定部112で行われる。
最後に処理ステップS904において、調達品の部品表106が検索できなかった調達品については、調査情報108を検索する。調査情報108の検索は、部品の属性ファイル401から該部品の部品カテゴリを取得し、調査情報108のカテゴリとの一致により判定する(S907)。
調査情報108が検索された場合は、該当する部品の物質名と含有量を取得して中間ファイル801に記録する(S911)。
このとき環境情報の推定方法は、「調査情報」とする。図4および図5に示した製品において、本処理フローに該当するのは部品番号A00004の「被覆電線」である。この処理は、調査情報検索部113で行われる。
次に、S901〜S911の処理により作成した中間ファイル801を参照し、製品の環境情報を集計する(S912)。
ここで製品の環境情報は、各購入品の環境情報が統計分布の形で得られていることを考慮して計算する。製品の環境情報が正規分布に従うとした場合、パラメータである平均と分散は以下の(式1)および(式2)により求める。
(式1)
平均値=Σ{[確定値]+[推定(部品)の平均値]+[推定(ユニット)の平均値]+[推定(調査)の平均値]}
(式2)
分散=[推定(部品)の標準偏差]+[推定(ユニット)の標準偏差]
次に、ステップS900で指定された規制名に対応する規制値を規制情報1051から読み込み、ステップS912で計算した製品の環境情報を比較し、規制判定を行なう(S913)。規制判定は、例えば(式1)の結果が規制値以下となった場合は「規制適合」とし、逆に規制値以上となった場合は「規制不適合」とする。この処理は、製品の環境情報集計部114で行われる。
さらに、ステップS912で求めた製品の環境情報と規制値とを比較することにより、製品の環境情報が規制値を越える確率(リスク)を計算する(S914)。この処理は、リスク評価部115で行われる。
次に、図11および図12により、図10の処理ステップS914でのリスク評価処理について説明する。図11は図10の処理ステップS914でのリスク評価処理を示すフローチャート、図12は本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置のリスク評価処理を説明するための説明図である。
リスク評価部115は、まず、規制情報1051から、図10の処理ステップS900で指定された法規制の規制値を読み込み(S9141)、図10の処理ステップS912で求めたパラメータをもとに、製品の環境情報の統計分布を推定する(S9142)。
次に、規制値と分布を比較し、環境情報が以下の(式3)を満たす確率を計算する(S9143)。
(式3)
環境情報>規制値
処理ステップS9142における分布は、図12に示すような分布で、図12の横軸は環境情報であり、本実施の形態ではSVHCの含有量である。図12の分布はステップS912により求めた製品の環境情報である。上記(式3)を満たす確率は、図12のリスクとして図示した領域の面積として求めることができる。
そして、S9143での計算結果を、表示装置102にリスクとして表示する(S9144)。
次に、図13により、本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置の画面表示例について説明する。図13は本発明の一実施の形態に係る環境情報集計装置の画面表示例を示す図であり、環境情報の集計結果1102と法規制への適合判定結果1103とを表示した例を示している。
図13において、環境情報の集計結果1102には、図10の処理ステップS912の結果である製品全体の化学物質の集計結果1104の他に、集計結果の不確定性を示すために推定方法別の集計結果を表示する。
図13に示す例では、確定分の集計値1105、類似部品を用いた類推による集計値1106、調達品の部品表を用いた推定による集計値1107、調査情報を用いた推定値1108を個別に表示した例を示している。
また、法規制への適合判定結果1103には、適合判断に必要なSVHCの含有率中間ファイル801に記録されたSVHC含有量の総和を製品重量で除することで求めて表示する他、ステップS913により求めた法規制への適合判定結果を表示する。
図13に示す例では、製品中のSVHCの含有率は8.5ppm(0.00085%)であり、REACH規則の規制値(0.1%)を下回るため規制に適合していることを示している。
さらに、図10の処理ステップS914の結果として、リスクの評価結果1109を表示する。このようにリスクを表示することで、環境情報集計装置の利用者は推定によるリスクを考慮して対策の要否を判断することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明は、製品の環境情報を評価する環境情報集計装置に関し、サプライヤから入手できない環境情報がある集計装置などに広く適用可能である。
101…入力装置、102…表示装置、103…データ記憶装置、104…制御装置、1051…規制情報、1052…製品の部品表、106…調達品の部品表、107…調達品の環境情報、108…調査情報、109…調達品の環境情報の検索部、110…調達品の部品表検索部、111…末端部品の環境情報推定部、112…調達品の環境情報推定部、113…調査情報検索部、114…製品の環境情報集計部、115…リスク評価部。

Claims (2)

  1. データ記憶装置および制御装置を有し、前記制御装置により、前記データ記憶装置に記憶された製品の部品表と調達品の環境情報とを突き合わせることによって前記製品の環境情報を集計する環境情報集計装置における環境情報の集計方法であって、
    前記制御装置により、前記調達品の環境情報が存在しない場合には、予め部品カテゴリにより部品の親子関係を記述した仮想的な部品表を用いて、前記調達品の構成部品を把握し、前記構成部品の環境情報を類似部品の環境情報を用いて類推し、類推結果を前記仮想的な部品表に従って集計することによって、前記調達品の環境情報を集計し、
    前記調達品の環境情報が存在せず、かつ、前記仮想的な部品表に存在しない調達品について、部品カテゴリ別の環境情報を用いて、前記調達品の環境情報を設定し、
    前記調達品の環境情報の類推結果に基づいて、前記類推結果の平均値および標準偏差を計算し、前記類推結果の平均値および標準偏差を用いて、前記製品の環境情報の統計分布を推定し、前記統計分布と規制値とを比較することにより、前記製品の環境情報が規制値を外れる確率を求めることを特徴とする環境情報の集計方法。
  2. データ記憶装置に記憶された製品の部品表と調達品の環境情報とを突き合わせることによって製品の環境情報を集計する環境情報集計装置であって、
    前記調達品の環境情報が存在しない場合に、部品カテゴリにより部品の親子関係を記述した仮想的な部品表を用いて、前記調達品の構成部品を検索する調達品の部品表検索部と、
    前記調達品の部品表検索部で検索された前記構成部品の環境情報を、類似部品の環境情報を用いて類推し、類推結果を前記仮想的な部品表に従って集計し、前記類推結果に基づいて、前記類推結果の平均値および標準偏差を計算する調達品の環境情報推定部と、
    前記調達品の環境情報が存在せず、かつ前記仮想的な部品表に存在しない調達品について、部品カテゴリ別の環境情報を用いて、前記調達品の環境情報を設定する調査情報検索部と、
    前記類推結果の平均値および標準偏差を用いて、前記製品の環境情報の統計分布を推定する製品の環境情報集計部と、
    前記統計分布と規制値とを比較することにより、前記製品の環境情報が規制値を外れる確率を求めるリスク評価部とを備えることを特徴とする環境情報集計装置。
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