JP2006277426A - 成分情報の信頼性評価方法、システム及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】設計初期段階で設計者が部材の成分情報を確認することを支援する
【解決手段】評価対象部材の識別情報を元に、成分情報テーブルを参照して該評価対象部材に含まれる成分及び該成分の含有量を算出し、該含有量を元に該成分の環境適合性を評価し、環境認定情報テーブルを参照して、前記評価対象部材に類似する類似部材を抽出し、該類似部材に含まれる成分及び該成分の含有量を算出し、評価対象部材に含まれる成分のうち、環境適合性の評価に用いられた成分について、該成分の該評価対象部材における含有量と、類似部材における含有量との差に基づいて、環境適合性の評価の信頼性を評価する。
【選択図】 図1
【解決手段】評価対象部材の識別情報を元に、成分情報テーブルを参照して該評価対象部材に含まれる成分及び該成分の含有量を算出し、該含有量を元に該成分の環境適合性を評価し、環境認定情報テーブルを参照して、前記評価対象部材に類似する類似部材を抽出し、該類似部材に含まれる成分及び該成分の含有量を算出し、評価対象部材に含まれる成分のうち、環境適合性の評価に用いられた成分について、該成分の該評価対象部材における含有量と、類似部材における含有量との差に基づいて、環境適合性の評価の信頼性を評価する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、部材に関する情報の信頼性を評価する方法と、該方法を用いて信頼性を評価するシステムとに関する。
現在、欧州連合のRoHS指令(Restriction on Hazardous Substances:特定物質使用禁止指令)やELV指令(End of Life Vehicles Directive:使用済み自動車に関する指令)といった、特定の成分の使用を制限する法規制が各国で成立・施行されつつある。これを受けて、製品製造メーカでは製品含有成分の管理が急務となっており、特に禁止対象成分の非含有保証方法が各社とも課題となっている。
組立メーカ等では、自社の工場内では部材を製造せず、部材メーカ等から部材を購入し、製品を組み立てていくプロセスが一般的に採用されている。この場合、例えば組立メーカは、自社の製造している製品の成分情報を知るために、製品を構成する部材の成分情報を取引先から提供してもらう必要がある。そこで、近年、各メーカにおいて推し進められているグリーン調達は、部材取引先(以下「取引先」、これには部材ベンダーと部材製造元とを含む)に部材の成分情報の調査・提供を促している。提供された情報は、製品製造メーカにおいて部材情報データベースに蓄積される。
製造メーカ等における設計者は、部材の成分情報を確認する場合、この部材情報データベースから目的の部材の情報を検索し、部材情報を確認したうえで製品構成部材として採用する。しかし、設計者が知りたい全ての部材情報が取引先から提供されている場合は少ないばかりか、たとえ部材情報が登録されていたとしてもその登録内容が不十分だったり、その情報精度において取引先間の相違があったり、さらには取引先によっては十分な調査を経て部材情報を提供していない場合もある。また、取引先ごとに成分情報に対する考え方が相違することなどから、提供される成分情報の質に、提供元の取引先によって隔たりがある場合が多い。しかし、このような部材情報精度を検証する手段は現状において存在せず、そのため目的の部材が法規制に対応しているかどうかを十分に検証することができず、部材の環境規制への適合性(以下「適合性」)を正確には知ることができない。
そこで、組立メーカは不含有保証書の提出を取引先に義務付けるなどの方法により情報の信頼性を保証しようとしているが、設計初期の段階で入手できる情報量には限界がある場合が多い。そこで組立メーカでは、設計初期段階に取引先から提供される限られた成分情報によって、部材の信頼性を評価し、環境規制への適合性を確認する必要がある。
このための技術として、特開2004-038656号公報「製品設計支援装置及び方法」では、仕様値の範囲を指定し、前記仕様値の範囲を満たす部材を推奨部材として検索する機能と、設計者の推奨部材の登録を受け付け、次回の部材検索時に前記推奨部材を優先して推奨部材とする機能を持つ製品設計支援装置が提案されている。
また、特開平11-238069号公報「部材選定装置」では、部材の品目コードを指定すると、データベースから代替部材を検索し、さらに前記部材と代替部材の信頼性、コスト、在庫状況等のデータをもとに部材の優先度を導く機能を持つ部材選定装置が開示されている。
特開2002-049649号公報「環境情報シミュレーションシステムと装置及び方法並びに記録媒体」には、ある部材の成分情報が未登録でも、類似部材の成分情報の加重平均値を前記部材の成分情報として前記部材の環境適合状況を評価する機能を持つ環境情報シミュレーションシステムが記載されている。
また、特開2003-203105号公報「製品調査システム、情報設定チェック装置、製品関連情報提供装置、製品調査支援装置」では、部材の種類ごとにそれに含まれる可能性の高い成分を集めたデータベースを構築し、取引先に報告すべき成分を入力させるときに部材の種類を入力させ、当該データベースから含まれる可能性の高い成分を拾い出して入力された成分内容と比較し、報告に該当する成分がない場合に報告者にメッセージを流して再確認を求める機能を持つ製品調査システム等が開示されている。
なお、本明細書において、「部材」とは、製品を構成しその製品の機能の一部を発揮する「部品」と、その部品の製造のために必要な素材を意味する「材料」との両方をさす。また、「成分」とは、材料を生産するために必要な物理的な構成要素をさす。たとえば、化学物質は成分の一つである。
これらの文献に記載されたシステム・装置は、評価対象部材の類似部材情報を基に評価対象部材の部材情報を類推したり(特開2002-049649号公報)、設計者が指定する仕様から推奨部材を抽出したり(特開2004-038656号公報、特開平11-238069号公報)するものであるが、それぞれの類似部材情報の信頼性、すなわち、取引先が提供する部材情報の正確性を評価し、その結果を出力することはできない。
また、類似部材情報を用いて評価対象部材情報の成分情報を類推し、前記評価対象部材の適合性を検証した場合、この適合性評価結果が信頼できる値かどうかを検証する手段はない。したがって、適合性の評価結果を得られたとしても、その信頼性が明らかではないため、法規制リスクを完全に回避することは難しい場合がある。
さらに、評価対象部材の適合性の評価結果を得ても、評価対象部材が法規制リスクを回避できることを保証する手段はない。また、これらの従来技術では、評価対象部材が法規制に適合していないことが判明した場合、設計者は再度評価対象部材を選定する必要があるため、設計者の部材選定作業に工数がかかるという非効率が発生する。
そこで本発明は、設計初期段階で設計者が部材の成分情報を確認することを支援するための方法と、該方法を用いて評価対象部材の成分情報及び環境適合性の評価を行う装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明では、部材の環境適合性についての評価結果の信頼性を評価するための成分情報評価システムにおいて、入力部、出力部、演算部及び記憶部を有し、記憶部は、部材の品目を示す識別情報を保持する部材基本情報テーブル、前記部材に含まれる成分及び該成分の含有量を保持する成分情報テーブル、並びに、部材の品目ごとに該部材に含まれる成分と、該部材の環境適合性の評価結果とを保持する環境認定情報テーブルを備え、演算部は、入力部を介して評価対象部材の選択を受け付ける手段と、評価対象部材の識別情報を元に、成分情報テーブルを参照して該評価対象部材に含まれる成分及び該成分の含有量を算出し、該含有量を元に該成分の環境適合性を評価する手段と、環境認定情報テーブルを参照して、評価対象部材に類似する類似部材を抽出し、該類似部材に含まれる成分及び該成分の含有量を算出する手段と、評価対象部材に含まれる成分のうち、環境適合性の評価に用いられた成分について、該成分の該評価対象部材における含有量と、前記類似部材における含有量との差に基づいて、前記環境適合性の評価の信頼性を評価する手段とを備える成分情報の信頼性評価システムが提供される。さらに本発明では、この成分情報の信頼性評価システムに用いられる成分情報の信頼性評価方法及びプログラムが提供される。
なお、本発明では、演算部が、入力部を介して評価対象部材の再調査、採用または不採用のステータスの選択を受け付ける手段と、再調査が選択された場合、前記部材の製造元に前記評価対象部材の再調査結果を添付して再調査依頼をする手段と、採用が選択された場合、部材最終確認担当者に前記評価対象部材の認定依頼をする手段と、不採用が選択された場合、再び評価対象部材の基本情報の入力部へ戻る手段とを、さらに備えることができる。すなわち、本発明では、評価した評価対象部材の適合性や部材情報の信頼性、設計者の評価対象部材の検証結果を部材情報の一部として保存し、以後前記評価対象部材の情報が検索されたときには前記検証結果を出力し、また設計者が環境規制に適合しないと認定した評価対象部材について、取引先に適合性を保証するよう情報の再提供を依頼するような連絡することにより、成分情報に関する業務を支援することができる。
また、本発明では、評価対象部材に類似する部材の抽出は、部材基本情報テーブルを参照して、類似部材の定義に基づき、評価対象部材の識別情報を元に類似部材を検索することにより行なうことができる。また、評価対象部材に含まれる成分及び該成分の含有量の算出は、成分情報テーブルより取得した前記評価対象部材の類似部材の成分情報を、環境認定情報テーブルより取得された該類似部材の環境認定情報に基づいて重み付けし、この重み付けされた成分情報に基づいて行なうことが望ましい。
さらに本発明では、演算部に、評価対象部材の類似部材を検索し、評価対象部材と類似部材の成分情報を成分情報テーブルまたは成分情報計算結果より取得し、取得した少なくとも一部の成分情報を説明変数に、環境認定情報テーブルより取り出した評価対象部材と類似部材との環境認定情報を被説明変数にして、前記評価対象部材の環境認定情報を推定する手段と、この推定の信頼度を計算する手段とを設けることができる。
また、演算部には、記評価対象部材の類似部材を検索し、評価対象部材と類似部材の取引先について、各取引先の提供する部材の情報品質及び部材の品質に関する情報の少なくとも一部を基に、各取引先の信用度を計算する手段と、各取引先の信用度の計算結果と、評価対象部材と類似部材の環境認定情報の推定結果より、評価対象部材と類似部材の推奨順位を求める手段とをさらに設けることができる。このようにすれば、本発明により評価した評価対象部材の成分情報の適合性と、取引先が提供する部材情報の登録率と、取引先が提供する部材の適合率を基に、前記評価対象部材と類似部材の推奨度を計算し設計者の部材選択を支援することができる。
本発明によれば、設計者は部材の仕様値のように抽象的な情報から採用候補部材の検索ができ、設計者は採用候補部材の環境規制への適合性を、取引先の提供情報が少なくても評価することができる。また、本発明によれば、複数の採用候補部材の推奨順位を明確にすることにより、設計者は容易に採用部材を選択することができる。さらに、本発明によれば、採用候補部材の情報収集を取引先に依頼する作業や、品質保証担当者に認定依頼する作業をシームレスに提供することができる。
以下、本発明の一実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 本実施例では、設計者が評価対象部材の適合性を評価し、最も環境規制リスクの少ない部材を選択することを支援する成分情報信頼性評価システムの詳細について説明する。
(1)全体構成
本実施例の成分情報信頼性評価システム100のハードウエア構成を図17に、機能構成を図1に示す。
(1)全体構成
本実施例の成分情報信頼性評価システム100のハードウエア構成を図17に、機能構成を図1に示す。
本実施例のシステム100は、図17に示すように、主記憶装置1701、中央演算処理装置(演算部)1702、外部記憶装置(記憶部)1703及び入出力装置(入力部及び出力部)1704を備える情報処理装置(コンピュータ)である。外部記憶装置1703には、部材情報データベース112及び材料情報データベース113が保持されている。また、システム100を構成する各手段101〜107は、外部記憶装置1703に保持され主記憶装置1701に読み込まれたプログラムを中央演算処理装置1702が実行することにより実現される。中央演算処理装置1702による実行結果は、外部記憶装置1703に格納されたり、入出力装置1704を介して出力されたりする。なお、本実施例では、各手段101〜107をこのような汎用情報処理装置によるソフトウエアの実行により実現しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、専用ハードウエアを組み合わせるなどして実現しても構わない。
製品の設計者は、製品に用いる部材を選択するときに、環境負荷の低い採用候補部材を求めたい。設計者は部材の識別情報として仕様値や部材固有の部材番号などをシステム100に入力し、部材情報データベース112を検索する。設計者は、ステップ102で検索された部材から評価対象部材を選択する場合、環境適合性を評価するために、その成分情報を確認することが必要である。しかし、必ずしも前記部材情報データベースは成分情報を常に持っているわけではなく、中には成分情報が取引先より提供されていないケースもある。そこで本実施例の成分情報信頼性評価システム100は、評価対象部材の材料構成情報と材料情報データベース113とを参照するか、または評価対象部材の類似部材の成分情報を参照することによって、ステップ103で評価対象部材の成分情報を類推し、ステップ104でその評価対象部材の適合性を評価する。
また、評価対象部材の成分情報が取引先から提供されていたとしても、成分情報が誰の承認も得ていない場合、その成分情報が信頼できるかどうかは不明である。そこで、本実施例の成分情報信頼性評価システム100は、評価対象部材の類似部材の中でも既に認定合格している類似部材の成分情報と比較して、評価対象部材の成分情報の信頼性を評価し、その評価結果を出力する。設計者は、ステップ105で前記評価結果を確認し、評価対象部材の採否を決定することができる。
なお、設計者が部材情報の再調査を選択した場合、本実施例の成分情報信頼性評価システム100は、この選択を受け付け、ステップ106で取引先へ再調査(ステップ108)依頼を送信する。また、設計者が評価対象部材の採用を選択した場合、成分情報信頼性評価システム100は、ステップ107で品質保証担当者へ部材認定(ステップ110)依頼を送信する。また、設計者が前記部材の不採用を選択した場合、成分情報信頼性評価システム100はこの選択を受け付け、ステップ114で部材の再検索を行いステップ102へ処理を戻す。
再調査(ステップ106)の場合、部材情報データベース112は取引先の再調査した結果である部材情報109を受け付け、保存する。部材採用(ステップ107)の場合、部材情報データベース112は品質保証担当者の部材認定結果を含んだ情報を受け付け、保存する。これらの部材情報109、認定情報111は、設計者が部材検索時にリアルタイムで利用できるように成分情報信頼性評価システムと連携している。
(2)採用候補部材の検索
はじめに、採用候補部材を検索する手段について説明する。まず、システム100は、検索したい部材の識別情報を受け付ける。システム100が受け付ける識別情報は取引先品目コードであることがもっぱらであるが、入力する情報は評価対象部材の仕様値や、該評価対象部材を構成する各部材の品目コードや、部材の一般的な呼称であってもよい。ここで、「仕様値」とは、部材の性能を定量的に表現する値のことで、例えばコンデンサであれば静電容量やサイズ、温度特性などがそれに当たる。「品目コード」は取引先の公表している部材名に対応するその部材固有の識別番号、または設計者が図面などに記載している部材固有の識別番号である。
(2)採用候補部材の検索
はじめに、採用候補部材を検索する手段について説明する。まず、システム100は、検索したい部材の識別情報を受け付ける。システム100が受け付ける識別情報は取引先品目コードであることがもっぱらであるが、入力する情報は評価対象部材の仕様値や、該評価対象部材を構成する各部材の品目コードや、部材の一般的な呼称であってもよい。ここで、「仕様値」とは、部材の性能を定量的に表現する値のことで、例えばコンデンサであれば静電容量やサイズ、温度特性などがそれに当たる。「品目コード」は取引先の公表している部材名に対応するその部材固有の識別番号、または設計者が図面などに記載している部材固有の識別番号である。
識別情報が入力されると、システム100は、該識別情報をもとに、部材情報データベースから該当する部材を検索する。検索キーが取引先名や品名などの場合、取引先名や品名の完全一致や部分一致で識別情報を検索する。検索キーが取引先コードや品目コードなど、記号で構成される場合、スペースや大文字/小文字の区別を無視して検索するいわゆる「あいまい検索」を実施する(このときの画面イメージを図2に示す)。
次にシステム100は、検索された部材のリストを検索結果画面に出力する。このとき、部材のリストは画面の他に表計算ソフトなどの別ファイルでの出力という形式もありえる。この検索結果画面においてシステム100は、ヒットした複数の部材の中から、成分情報の適合性と信頼性を評価したい評価対象部材の選択を受け付ける。
一方、類似部材は主に部材の仕様値、部材コードなど、部材を特定しない情報を基に部材情報データベースから検索される。評価対象部材、類似部材の検索結果画面イメージを図3に示す。
(3)環境適合性の評価
次に、評価対象部材の環境規制への適合性を評価する手段を説明する。部材情報データベースには少なくとも各部材の成分情報を保持する成分情報テーブル、材料構成情報テーブルがある。
(3)環境適合性の評価
次に、評価対象部材の環境規制への適合性を評価する手段を説明する。部材情報データベースには少なくとも各部材の成分情報を保持する成分情報テーブル、材料構成情報テーブルがある。
ここで言う成分情報は、たとえば成分として化学物質が採用されれば、部材の品目コードをキーとして、部材が含有している化学物質コード、化学物質名、含有量または率と関連付けられている。なお、化学物質コードは化学物質を特定するための識別番号であり、一般的に用いられるものを使用可能である。本実施例では、米国化学会の定めるCAS番号を用いる。
材料構成情報は、部材の品目コードをキーとして、部材を構成している材料コード、材料名、材料重量または率と関連付けられている。材料コードは材料を特定するための識別番号であり、一般的に用いられるものを使用可能である。本実施例では、材料コードとしてJISコードを用いる。
適合性の評価手段の一つ目として、まず、評価対象部材の成分情報が取引先より提供されている場合に評価対象部材の適合性を評価する手段について、図4を用いて説明する。
システム100は、評価対象部材または類似部材の情報を、部材情報データベースを構成する部材情報テーブル407より検索する。ここで材料構成情報が既に登録されている部材の場合、図5示すように評価対象部材または類似部材の材料構成情報510から材料情報データベース520を参照して成分情報530を類推する。
材料情報データベースを構成する材料情報テーブル408には、材料コードに対して、その材料の成分組成情報が登録されている。材料情報データベースの中身の一例を図6に示す。各成分の含有率は一定であってもよく、図6のように下限と上限とにより規定される範囲であってもよい。
システム100は、部材コード511に関連付けられている材料構成情報の材料コード512をキーとして、材料情報データベースを検索し、成分コード522と成分の含有率523とを材料コード521に対応付け、評価対象部材または類似部材を構成する材料重量と、各材料の成分組成比率とを掛け合わせることにより、評価対象部材の成分情報533における各成分とその含有量とを算出(類推)する。
なお、この成分情報の類推結果は、前記評価対象部材の成分情報が取引先から別に提供されているとき、ステップ406で類推された成分情報と取引先が提供する成分情報とを比較し、取引先が提供する部材情報の信頼性を検討する際に用いられる。また、ステップ405で成分情報の類推結果を法規制情報と照らし合わせ、環境規制への適合性を評価するのにもこの類推結果が用いられる。なお、この場合、取引先から成分情報が提供されているかどうかは考えなくてもよい。
この手段の効果は、材料構成情報の成分情報への変換を可能にし、これにより成分情報の検討手段を与え、設計者の迅速な部材採用を支援することができる。
次に、評価対象部材の成分情報が無くても、その部材分類に属する類似部材から成分情報を類推し、評価対象部材の適合性を評価する手段を説明する(図7)。この場合、評価対象部材の成分情報や材料構成情報はなくてもよい。
まずシステム100は、ステップ702で設計者による部材情報の入力を受け付け、ステップ703で上述の類似部材検索方法で評価対象部材の類似部材を検索し、ステップ704で類似部材の成分情報を、部材情報データベース112を構成する成分質情報テーブル708より検索し、システム内に一時保存する。続けて、システム100は、ステップ705で成分情報のあった類似部材の環境認定情報を、部材情報データベース112を構成する環境認定情報テーブル709より検索し、この結果を基に、ステップ706で評価対象部材の成分情報を類推する。
類推方法の一例を以下に説明する。図8に示すように、同一の部材には複数の認定情報がある。そこで認定結果が「未調査」ではないレコード数を認定済事業部数(図8の例では3事業部)とし、これをその類似部材の成分情報の重み付けに反映させる。すなわち、類似部材がi個あり、部材iの成分jの含有量をqij、類似部材iの認定済事業部数をxiとすると、評価対象部材に含まれる成分jの含有量Qjは下記数式(数1)のように計算される。
評価対象部材の成分含有量推定値の合格率Rpは次のように評価できる。類似部材iの認定済事業部数xi、認定結果が「合格」である総数yiを用いて下記数式(数2)で求める。合格率の計算例を図8に示す。
(4)環境認定情報の評価
次に、評価対象部材と類似部材の成分情報を取り出して評価対象部材の環境認定情報を評価する手段を、図10を用いて説明する。評価対象部材の成分情報は、もともと取引先が登録した情報である場合が望ましいが、上述の手段で材料構成情報または類似部材の成分情報から類推した成分情報であってもよい。
本実施例では、成分情報として物質群情報を採用する。ここで、物質群情報について簡単に説明する。これは成分情報の一種であるが、成分情報が具体的な成分ごとの含有量のデータであるのに対し、物質群情報は成分を構成元素ごとに纏めたカテゴリー(例えば鉛、一酸化鉛はどちらも鉛及びその化合物というカテゴリーに纏められる)ごとの含有情報である。カテゴリーの作成方法には、例えば「鉛及びその化合物」のように特定の元素を含む成分で纏める方法や、「オゾン層破壊物質」のように成分の性質で纏める方法、「欧州RoHS規制対象物質」のように法規制により纏める方法などが考えられる。含有情報は含有量または率という形をとるのが通常であるが、含有の有無といった不連続な情報をとってもよい。
本実施例の成分情報信頼性評価システム100における環境認定情報の評価処理の流れを、図10を用いて説明する。まず、システム100は、評価対象部材の類似部材を検索する。この類似部材の検索手段については既に説明してあるので、ここでは省略する。
次にシステム100は、ステップ1004で部材情報データベース112を構成する物質群情報テーブル1011から類似部材の物質群情報を取得する。ここで用いる物質群情報は、ある物質群の含有が「有」、「無」または「調査中」の計3つの変数を取りうる情報である。
次にステップ1005でシステム100は、禁止物質群以外で、「調査中」の割合が少ない順にx個(xは任意)の物質群を抽出し、この抽出された評価対象部材と類似部材の物質群情報をシステムに格納する。
さらに、ステップ1006でシステム100は、類似部材の環境認定情報(この場合環境認定情報のとりうる値は「合格」または「不合格」のみであるが、「限定合格」などどちらにも属さない値があってもよい)を取得し、さらに評価対象部材の物質群情報を取得する(ステップ1009)。これには、取引先から提供された物質群情報を1011から取り出す方法、または図4、図7で推計された成分情報を基に物質群情報を作成する方法がある。
以上により、図11で示したような情報が集められたところで、システム100は、評価対象部材の環境認定情報の推定値を求める(ステップ1007)。ここで用いられる環境認定情報の推定方法の一例としては、数量化第II類を用いた分析がある。これは、説明変数(ここでは物質群情報)と被説明変数(ここでは環境認定情報)がどちらも質的変数である場合、類似部材の物質群情報と、類似部材と評価対象部材の物質群情報を基に、評価対象部材の環境認定情報を推定するものである。詳細の計算方法の説明はここでは省略する。
続いてシステム100は、このようにして求められた評価対象部材の環境認定情報に対し、その信頼度を数量化第II類の判別効率の算出によって求める(ステップ1008)。なお、信頼度とは、評価結果の信頼性を表す値である。
この手段の効果は、無数にある成分をいくつかのカテゴリーに分け、成分情報の種類数を限らせることで、情報提供者の負担をより少なく、そして分析をより容易にすることである。物質群という成分の上位の概念で評価したり、含有有無のような不連続なデータを活用したりして、取引先の提供情報の範囲が小さくても設計者が環境規制への適合度を評価できるようにすることで、取引先の負担をより少なくして設計者が設計初期段階で環境規制リスクを回避できるようになる。
(5)成分情報の合格可能性の評価
次に、評価対象部材と認定合格した類似部材の物質群情報を取り出して評価対象部材の類似部材との類似度を計算し、そこから評価対象部材の成分情報の合格可能性を評価する手段を説明する(図12)。
(5)成分情報の合格可能性の評価
次に、評価対象部材と認定合格した類似部材の物質群情報を取り出して評価対象部材の類似部材との類似度を計算し、そこから評価対象部材の成分情報の合格可能性を評価する手段を説明する(図12)。
部材間の成分情報の類似性は、ある特定の成分の含有量を比較する方法もあるが、その成分に固有の機能は、成分そのものだけではなくその成分を構成する元素の特徴である場合が多い。そのため、物質群にまとめて類似性を検討するのが望ましい。
評価対象部材の類似部材を検索する手段における処理については、上述の通りである。このとき、類似性評価に用いる類似部材は認定に合格した部材に絞るため、本実施例のシステム100は、類似部材を検索した次のステップ1204で環境認定情報テーブル709を検索する。次にシステム100は、禁止物質群以外で、「調査中」の割合が少ないx個(xは任意)の物質群を抽出し(ステップ1205)、評価対象部材と類似部材の物質群情報より、類似度を計算する(ステップ1206)。システム100は、このとき求めた類似性を評価対象部材の成分情報の信頼性とし、ユーザに部材選定の参考値として提供するため、入出力装置1704を介して出力する。
類似度の計算方法の一例を説明する。抽出された物質群をi(iは1からxの自然数)で表し、認定合格部材の物質群含有確率をPi、評価対象部材の物質群含有有無の値(例えば、有の場合1、調査中の場合0.5、無の場合0に数値化した値)をyiとし、前記評価対象部材の類似度Rを下記数式(数3)により求める。
この手段の効果は、取引先からのデータ提供がなかったり、少なかったりしても、類似部材の認定情報を参考に評価対象部材の認定合格可能性を推計することにより、設計者が設計初期段階で環境規制リスクを回避できるようになることである。
(6)推奨度の算出
次に、評価対象部材の成分情報の合格率と、取引先が提供する部材情報の登録率と、取引先が提供する部材の認定合格部材との類似度を基に、前記評価対象部材と類似部材の推奨度を計算し設計者の部材選択を支援する手段について、図15を用いて説明する。ここで、類似度は図12の処理で求めた類似度をさすが、図10で求めた信頼度など、部材の認定合格可能性を表現する値であれば何でも良い。
本実施例のシステム100は、ステップ1401で評価対象部材の類似部材を検索し、部材基本情報テーブル1410を参照して各取引先の類似部材を検索し(ステップ1402)、ステップ1403で各取引先の合格率を、ステップ1404で登録率を求め、得られた合格率と登録率との積を各取引先の信用度とする(ステップ1405)。ある取引先Aの信用度の計算例を図15に示す。
さらにシステム100は、部材ごとに合格事業部数、合格率、類似度を計算する(ステップ1406、1407、1408)。合格事業部数は部材を認定合格とした事業部の数、合格率は認定結果(合格、不合格など。未認定ではないステータス)の中の合格率である。合格事業部数、合格率の計算例を図8に示す。類似度は図12に記載した前述の方法で求める。
ステップ1409で、評価対象部材と類似部材の推奨度を与える。以下は推奨度の計算方法の一例である。各部材には、合格事業部数、安全率、信頼度、信用度が与えられる。推薦順位の与え方は、合格事業部数の多いものを最優先とし、そこで判断できない場合は安全率、安全率で判断できない場合は信頼度、最終的に信用度、といった順番に与える。計算例を図16に示す。
この手段の効果は、部材の推奨順位を与えることによって、設計者の部材選択を円滑化することである。
(7)出力
成分情報信頼性評価システム100は、ステップ104の処理により求められた評価対象部材の適合性/信頼性の評価結果を、入出力装置1704を介して出力する。本実施例によれば、設計者は、この出力結果を、部材を選択する際の参考値として利用することができる。
(7)出力
成分情報信頼性評価システム100は、ステップ104の処理により求められた評価対象部材の適合性/信頼性の評価結果を、入出力装置1704を介して出力する。本実施例によれば、設計者は、この出力結果を、部材を選択する際の参考値として利用することができる。
次に、システム100は、設計者による評価結果の確認内容の入力を受け付け(ステップ105)、その内容に応じて、評価対象部材の再調査を依頼するか(ステップ106)、不採用として再検索を行うか(ステップ114)、評価対象部材を採用として部材認定依頼を送信する(ステップ107)。
100…成分情報信頼性評価システム、101…仕様値・部材情報入力、102…類似部材検索、103…成分含有量推計、104…適合性評価/信頼性評価、105…設計者による評価結果確認、106…適合性調査依頼送信、107…部材認定依頼送信、108…取引先による部材情報調査、109…部材情報、110…品質保証担当者による部材認定、111…認定情報、112…部材情報データベース、113…材料情報データベース、402…部材分類コード・仕様値入力、403…評価対象部材検索・選択、404…材料構成情報から成分情報を計算するステップ、405…評価対象部材の適合性評価、406…取引先が提供する成分情報と比較するステップ、407…部材情報テーブル、408…材料情報テーブル、409…法規制情報テーブル、410…成分情報テーブル、510…部材情報、511…部材コード、512…材料コード、513…材料含有率、520…材料情報、521…材料コード、522…成分コード、523…成分含有率、530…成分情報集計部、531…部材コード、532…成分コード、533…成分含有量、702…部材分類コード・仕様値入力、703…部材分類コード・仕様から類似部材を検索するステップ、704…類似部材から成分情報を取得するステップ、705…類似部材から環境認定情報を取得するステップ、706…類似部材に重み付け・成分含有量集計、707…部材基本情報テーブル、708…成分情報テーブル、709…環境認定情報テーブル、1002…部材分類コード・仕様の入力ステップ、1003…部材分類コード・仕様から類似部材を検索するステップ、1004…類似部材の物質群情報を取得するステップ、1005…物質群情報を抽出するステップ、1006…類似部材の環境認定情報を取得するステップ、1007…環境認定情報を推定するステップ、1008…環境認定情報の信頼度を推定するステップ、1009…評価対象部材の物質群情報を取得するステップ、1010…部材基本情報テーブル、1011…物質群情報テーブル、1012…環境認定情報テーブル、1013…成分情報推計結果、1201…部材分類コード・仕様の入力ステップ、1202…部材分類コード・仕様から類似部材を検索するステップ、1203…認定合格した類似部材を抽出するステップ、1204…物質群情報を取得するステップ、1205…物質群情報を抽出するステップ、1206…類似度計算するステップ、1207…部材基本情報テーブル、1208…環境認定情報テーブル、1209…物質群情報テーブル、1401…類似部材検索、1402…各取引先の部材検索、1403…合格率を計算するステップ、1404…情報提供率を計算するステップ、1405…信用度を計算するステップ、1406…合格事業部数を計算するステップ、1407…合格率を計算するステップ、1408…類似度を計算するステップ、1409…部材推奨順位を求めるステップ、1410…部材基本情報テーブル、1411…環境認定情報テーブル、1701…主記憶装置、1702…中央演算処理装置、1703…外部記憶装置、1704…入出力装置。
Claims (8)
- 部材の環境適合性についての評価結果の信頼性を評価するための成分情報評価システムにおいて、
入力部、出力部、演算部及び記憶部を有し、
前記記憶部は、
部材の品目を示す識別情報を保持する部材基本情報テーブル、前記部材に含まれる成分及び該成分の含有量を保持する成分情報テーブル、並びに、部材の品目ごとに該部材に含まれる成分と、該部材の環境適合性の評価結果とを保持する環境認定情報テーブルを備え、
前記演算部は、
前記入力部を介して評価対象部材の選択を受け付ける手段と、
前記評価対象部材の識別情報を元に、前記成分情報テーブルを参照して該評価対象部材に含まれる成分及び該成分の含有量を算出し、該含有量を元に該成分の環境適合性を評価する手段と、
前記環境認定情報テーブルを参照して、前記評価対象部材に類似する類似部材を抽出し、該類似部材に含まれる成分及び該成分の含有量を算出する手段と、
前記評価対象部材に含まれる成分のうち、前記環境適合性の評価に用いられた成分について、該成分の該評価対象部材における含有量と、前記類似部材における含有量との差に基づいて、前記環境適合性の評価の信頼性を評価する手段とを備えることを特徴とする成分情報の信頼性評価システム。 - 前記演算部は、
前記入力部を介して前記評価対象部材のステータスの選択を受け付ける手段と、
前記ステータスとして再調査が選択された場合、前記部材の製造元に前記評価対象部材の再調査結果を添付して再調査依頼をする手段と、
前記ステータスとして採用が選択された場合、部材最終確認担当者に前記評価対象部材の認定依頼をする手段と、
前記ステータスとして不採用が選択された場合、再び評価対象部材の基本情報の入力部へ戻る手段とを、さらに備えることを特徴とする、請求項1記載の成分情報の信頼性評価システム。 - 前記評価対象部材に類似する部材の抽出は、
前記部材基本情報テーブルを参照して、類似部材の定義に基づき、評価対象部材の識別情報を元に類似部材を検索することにより行われることを特徴とする請求項1記載の成分情報の信頼性評価システム。 - 前記評価対象部材に含まれる成分及び該成分の含有量の算出は、
成分情報テーブルより取得した前記評価対象部材の類似部材の成分情報を、
環境認定情報テーブルより取得された該類似部材の環境認定情報に基づいて重み付けし、
前記重み付けされた成分情報に基づいて行われることを特徴とする請求項1記載の成分情報の信頼性評価システム。 - 前記演算部は、
前記評価対象部材の類似部材を検索し、前記評価対象部材と前記類似部材の成分情報を成分情報テーブルまたは成分情報計算結果より取得し、取得した少なくとも一部の成分情報を説明変数に、環境認定情報テーブルより取り出した前記評価対象部材と前記類似部材との環境認定情報を被説明変数にして、前記評価対象部材の環境認定情報を推定する手段と、
前記推定の信頼度を計算する手段とを、さらに有することを特徴とする請求項1記載の成分情報の信頼性評価システム。 - 前記演算部は、
前記評価対象部材の類似部材を検索し、前記評価対象部材と前記類似部材の取引先について、各取引先の提供する部材の情報品質及び部材の品質に関する情報の少なくとも一部を基に、各取引先の信用度を計算する手段と、
各取引先の信用度の計算結果と、前記評価対象部材と前記類似部材の環境認定情報の推定結果より、前記評価対象部材と前記類似部材の推奨順位を求める手段とをさらに有することを特徴とする請求項1記載の成分情報の信頼性評価システム。 - 部材の環境適合性についての評価結果の信頼性を評価するための方法において、
評価対象部材の識別情報を元に、成分情報テーブルを参照して該評価対象部材に含まれる成分及び該成分の含有量を算出し、該含有量を元に該成分の環境適合性を評価するステップと、
環境認定情報テーブルを参照して、前記評価対象部材に類似する類似部材を抽出し、該類似部材に含まれる成分及び該成分の含有量を算出するステップと、
前記評価対象部材に含まれる成分のうち、前記環境適合性の評価に用いられた成分について、該成分の該評価対象部材における含有量と、前記類似部材における含有量との差に基づいて、前記環境適合性の評価の信頼性を評価するステップとを備えることを特徴とする成分情報の信頼性評価方法。 - 部材の環境適合性についての評価結果の信頼性を評価するためにコンピュータを、
部材の品目を示す識別情報を保持する部材基本情報テーブル、前記部材に含まれる成分及び該成分の含有量を保持する成分情報テーブル、並びに、部材の品目ごとに該部材に含まれる成分と、該部材の環境適合性の評価結果とを保持する環境認定情報テーブルを備える記憶手段と、
前記入力部を介して評価対象部材の選択を受け付ける手段と、
前記評価対象部材の識別情報を元に、前記成分情報テーブルを参照して該評価対象部材に含まれる成分及び該成分の含有量を算出し、該含有量を元に該成分の環境適合性を評価する手段と、
前記環境認定情報テーブルを参照して、前記評価対象部材に類似する類似部材を抽出し、該類似部材に含まれる成分及び該成分の含有量を算出する手段と、
前記評価対象部材に含まれる成分のうち、前記環境適合性の評価に用いられた成分について、該成分の該評価対象部材における含有量と、前記類似部材における含有量との差に基づいて、前記環境適合性の評価の信頼性を評価する手段
として機能させるための成分情報の信頼性評価プログラム。
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