以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明による含有化学物質調査データ評価システムの一実施形態を示す構成図であって、1は含有化学物質調査データ評価システム、2は類似部品データベース、3は部品含有化学物質データベース、4は信用度判定・評価部、5は類似部品調査・検索手段、6は報告書評価結果、7は総合評価部、8は報告書信用度データベース、9は含有化学物質分析結果データベース、10はロット不良結果データベース、11は報告書総合評価結果、12は成分分析部、13は製造現場、14は顧客クレーム、15は部品のサプライヤ、16は部品含有化学物質報告書である。
なお、以下では、部品や材料や薬品や油脂類や製造工程で使う薬液など単体で外部から購入するものであって、最終製品に含まれると考えられるもの全てを総称して部品ということにする。
同図において、最終製品の製造元である製品メーカが部品サプライヤ15から部品を購入すると、この部品サプライヤ15からこの購入部品の部品含有化学物質報告書16が、ディスクなどの記録媒体やメールなどで、あるいは書面でこの製品メーカに提出される。この製品メーカでは、含有化学物質調査データ評価システム1において、信用度判定・評価部4が、類似部品データベース2や部品含有化学物質データベース3の情報を用いることにより、この提供された部品含有化学物質報告書16の評価処理を行ない、この評価結果が、報告書評価結果6として、図示しない画面に表示され、また、報告書信用度データベース8に格納される。
また、総合評価部7により、報告書信用度データベース8や含有化学物質分析結果データベース9,ロッド不良結果データベース10の情報を用いて、部品サプライヤ16の評価を加味した部品含有化学物質報告書16の評価処理が行なわれ、その評価結果が、この部品含有化学物質報告書16に対する報告書総合評価結果11として、図示しない画面に表示される。
含有化学物質調査データ評価システム1は、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータシステムであって、CPUやメモリ,外部入出力装置,ハードディスクなどの記憶装置,表示装置などからなり、部品サプライヤ15から提供される部品含有化学物質報告書16は記憶装置に保存される。上記各データベース2,3,8,9,10は記憶装置に設定され、図示しないデータベースシステムによって管理されている。また、信用度判定・評価部4は、CPUにより、部品別の部品含有化学物質報告書16の評価処理を行ない、その報告書評価結果6を表示装置に表示させる。総合評価部7も、CPUにより、部品サプライヤ毎に部品含有化学物質報告書16の総合評価処理を行ない、そのサプライヤ別報告書評価11を表示装置に表示させる。
ここで、部品含有化学物質データベース3には、これまで購入した部品に関する部品含有化学物質報告書16の内容が格納されており、この場合も、部品サプライヤ15から製品メーカに購入部品とともに部品含有化学物質報告書16が提供されると、この部品含有化学物質報告書16の情報がこの部品含有化学物質データベース3に追加格納(登録)されることになる。
図2は部品含有化学物質データベース3のデータベース構造の一具体例の一部を示す図である。
同図において、部品含有化学物質データベース3は、項目「会社名」3a,「会社コード」3b,「部品名」3c,「部品番号」3d,「化学物質名称」3e,「CAS」3f,「量」3g,「検査済」3h,「対応済」3iからなるものであって、項目「会社名」3aは製品に使われる部品のメーカ(ここでは、部品サプライヤ)の名称を表わし、項目「会社コード」3bは検索を容易にするために部品サプライヤ15毎にユニークに割り振られた識別番号を表わす。これら項目「会社名」3a,「会社コード」3bは一対一に対応している。項目「部品名」3cは部品のメーカが公表している部品の名称であり、項目「部品番号」3cは部品メーカ、即ち、部品サプライヤ15が公表している部品名に対応するその部品固有の識別番号である。製品メーカが購入する部品は、この部品名,部品番号によって特定される。項目「化学物質名称」3eは部品メーカの部品に含まれる化学物質の名称を表わし、「CAS」3fは化学物質を特定するための世界共通の識別番号を表わし、項目「量」3gは部品での化学物質の含有量を表わす。即ち、項目「会社名」3a,「会社コード」3b,「部品名」3c,「部品番号」3dの特定の部品メーカの特定の部品に対応する「化学物質名称」3e,「CAS」3f,「量」3gの情報を表わしている。
また、部品含有化学物質データベース3は、補足的な情報として、項目「検査済」3h,「対応済」3iを有している。項目「検査済」3hは、製品メーカが自社内で当該部品の化学物質の成分分析や他の確認手段により、部品サプライヤ15から提供された部品の含有物とこれに該当する部品含有化学物質報告書16の内容との一致を確認したものであるか否かを示すものであって、確認(検証)済みであれば、項目「検査済」3hに確認済み情報が付加され(これを○印で示す)、確認が済んでいない場合には、確認済み情報が付加されない(これを×印で示す)。○印である場合には、契約や認定工場方式によって運用上その報告の内容が正確であることを保証されたものであることを示すことになる。
項目「対応済」3iは、特定の法律や規制で制限される化学物質がその制限内に収まっているか否か、即ち、法律や規制を順守したものであるか否かを表わすものであって、対応済であれば、項目「対応済」3iに対応済み情報が付加され(これを○印で示す)、済んでいない場合には、対応済み情報が付加されない(これを×印で示す)。この項目「対応済」3iが○印である場合には、契約や認定工場方式によって運用上その報告の内容が正確であることを保証されたものであることを示すことになる。
項目「検査済」3h,「対応済」3iがともに○印である場合には、その部品含有化学物質報告書16の内容が信用できるレベルが高いものとして扱われる。
部品含有化学物質報告書16は、この部品含有化学物質データベース3と同じ形式のものであって、項目「会社名」,「会社コード」,「部品名」,「部品番号」,「化学物質名称」,「CAS」,「量」からなるものである。図2は部品サプライヤ15から購入部品とともに送られてきた部品含有化学物質報告書16での部品含有化学物質データベース3に格納(登録)された情報内容を示しており、従って、このとき製品メーカに納品した部品サプライヤ15は、「会社コード」3bが12300のA社であり、このとき製品メーカに提供した部品は「製造番号」3dがA−67の抵抗ということになる。そして、この抵抗は、ヒ素,鉛,一酸化鉛,アンチモン,コバルト,フェノール及びカーボーンを項目「量」3gに示す量ずつ含んだものとなる。部品サプライヤ15から送られてきた部品含有化学物質報告書16が部品含有化学物質データベース3に登録されたばかりのときには、上記の検査も対応もなされていないので、項目「検査済み」3hも、また、項目「対応済み」3iも、×印が付されている。
図3は図1における類似部品データベース2のデータベース構造の一具体例の一部を示す図である。
同図において、類似部品データベース2には、類似部品に関する情報が格納(登録)されている。通常の製品メーカでは、通常マルチ購買と呼ばれる部品の購入方法がとられる。これは、同一仕様の部品を複数の部品サプライヤから購入するものであって、製品メーカの立場を強くして購入費用の節約になったり、特定の部品サプライヤが何らかの理由で部品の提供をすることができなくなったりした場合の保証として通常行なわれているものである。このようにマルチ購買が行なわれると、製品メーカでは、異なる部品メーカから同種の類似部品を取得することができる。類似部品データベース2では、このような方法で部品が購入されることを利用して、部品メーカが異なっても、また、形式が異なっても、類似部品は類似部品として検索できるようにした情報が登録されているものである。また、電子商取引である特定の部品の仕様をもとに、インタネットで入札するようなシステムも存在する。このようなシステムでは、ある特定の部品の仕様をある分類やある仕様の様式で第三者に伝達する必要があり、このような情報を取得して類似部品データベース2に登録することもできる。
類似部品データベース2は、図3に示すように、項目「大分類」2a,「中分類」2b,「小分類」2c,「会社名」2d,「会社コード」2e,「部品名」2f及び「部品番号」2gで構成されている。そのうち項目「会社名」2d,「会社コード」2e,「部品名」2f,「部品番号」2gは部品含有化学物質データベース3(図2)での項目「会社名」3a,「会社コード」3b,「部品名」3c,「部品番号」3dと同じである。従って、かかる項目をキーとして部品含有化学物質データベース3から部品の「化学物質名称」,「CAS」,「量」を参照することができる。
項目「大分類」2a,「中分類」2b,「小分類」2cは類似部品を検索するためのキーとなるものである。ここで、項目「大分類」2aは電機部品や鉄材,樹脂といった部品の大きな分類であり、項目「中分類」2bには、これを細かくした分類、例えば、「大分類」の電機部品を例に取ると、抵抗,コンデンサ,コイルなどといったこの「大分類」の電気部品に従属して細かく分類した「中分類」が設定される。そして、さらに、項目「小分類」2cには、この「中分類」をさらに細かくした分類、例えば、「中分類」の抵抗を例にとると、その性能や大きさ,構造などからチップ抵抗などのより細かい分類である「小分類」が設定されている。
ここでは、「大分類,中分類,小分類」の3つの分類が一致する部品同士を類似部品として扱う。従って、類似部品データベース2の図3に示す内容は、図示されるA〜G各社の抵抗は全て類似部品ということになる。
製品メーカ側では、部品サプライヤ15からの購入部品とともに部品含有化学物質報告書16が提供されると、この部品含有化学物質報告書16の会社名,会社コード,部品名及び部品番号の情報内容が類似部品データベース2に登録されるとともに、製品メーカの担当者などがこの購入部品の「大分類,中分類,小分類」の分類付けを行ない、その分類結果を項目「大分類」2a,「中分類」2b,「小分類」2cに登録する。
なお、ここでは、分類の一例を示しているが、これに限らず、仕様的な、例えば、抵抗値や大きさ,実装形式,抵抗を生じる物理的な原理などで分類するようにしてもよい。
次に、図1における信用度評価判定4について説明する。
ここでは、製品メーカが部品名が抵抗で部品番号がA−67の部品をA社(部品サプライヤ15)から購入し、これとともに、この部品の部品含有化学物質報告書16が送られてきたものとし、この部品含有化学物質報告書16の情報内容は、項目「検査済み」3h,「対応済」3iがないことを除いて、図2に示す内容と同じとする。この部品含有化学物質報告書16の情報内容は部品含有化学物質データベース3に登録されるが、検査済みでも、また、対応済みでもないから、部品含有化学物質データベース3でのこの購入部品に対する項目「検査済」3h,「対応済」3iでは、×印が付されている。
信用度判定・評価部4では、まず、部品サプライヤ15から提供された部品含有化学物質報告書16が読み込まれると、この部品含有化学物質報告書16などをもとにして、製品メーカの担当者が購入部品の大分類,中分類,小分類の分類付けを行ない、この購入部品に対する類似部品の検索を指示する。この指示により、類似部品調査・検索手段5が、分類付けされたこれら大分類,中分類,小分類をキーとして、類似部品データベース2で類似部品の検索を行なう(ステップ4a)。この検索の結果、類似部品のリストが得られる(ステップ4b)。なお、上記の検索指示とともに、このA社の購入部品(部品番号A−67の抵抗)に関する情報(大分類,中分類,小分類や会社名,会社コード,部品名,部品番号)も類似部品データベース2に登録される。ここで、図3に示すように、B〜F各社の抵抗が大分類,中分類,小分類ともA社の抵抗と等しく、A社の抵抗と類似部品とすると、類似部品データベース2からこれらA〜F各社の会社名,会社モード,部品名,部品番号が読み出されて類似部品リストが作成される。
そして、この類似部品リストの各部品について、会社名,会社コード,部品名,部品番号をキーとして部品含有化学物質データ3の検索が行なわれ、この検索結果をもとに一致度の作成処理が行なわれる(ステップ4c)。この処理では、A〜F各社の類似部品リストで指定される部品名,部品番号の部品(即ち、類似部品)毎に部品含有化学物質データ3の項目「化学物質名称」3eが読み出され、図4に示すような一致度表20が作成される。
この一致度表20は、類似部品とされたA〜F各社の「抵抗」間での含有化学物質の一致の度合いを表わすものであって、A〜F各社の「抵抗」の少なくともいずれかに含まれる化学物質は物質A〜Gの7種類としている。A〜F各社の抵抗毎に、それが含有する化学物質については○印を付し、含有しない化学物質に×印を付す。例えば、A社の抵抗には、物質A〜C,E,Fが含まれ、物質D,Gが含まれておらず、B社の抵抗には、物質A,C〜Eが含まれ、物質B,F,Gが含まれていないことになる。
なお、ここでは、少しでも含有する化学物質に対しては、○印を付すものとしたが、各化学物質毎に規定量を設定し、この規定量を超す化学物質に対して○印を付すようにしてもよい。この場合には、勿論各化学物質毎に部品含有化学物質データベース3の項目「量」3gの内容も読み出す。
次に、この一致度表20をもとに、類似度行列の処理が行なわれる(ステップ4d)。これは、A〜F各社の抵抗毎に、他社の抵抗と化学物質の含有状態がどの程度類似しているかを示すものであって、比較する2社の抵抗間でいずれも○印の物質の個数といずれも×印の物質の個数の合計が、これら2社の抵抗の類似度を表わする。
図5はかかる処理によって得られた類似度行列21を示すものであって、例えば、A,B社の抵抗間では、図4に示す一致度表20から、いずれも物質A,C,Eを含んでおり(○印)、また、いずれも物質Gを含んでいないから(×印)、類似度が「4」となる。また、C,D社の抵抗間では、図4に示す一致度表20から、いずれも物質A,Dを含んでおり(○印)、また、いずれも物質Gを含んでいないから(×印)、類似度が「3」となる。このように、含有する化学物質が7種類の場合、類似度の最大値は7であり、最小値は0であるが、この例では、A,E社の抵抗間及びB,D社の抵抗間で類似度が最大の6、F社とA,B,E社との抵抗間で類似度が最小の1となっている。
次に、この類似度行列21をもとに、部品含有化学物質報告書16の評価の一例として、図6に示すような樹形図22が作成される(ステップ4e)。図5に示す類似度行列21の場合、A,E社の抵抗は類似度が6と最も類似しており、同様に、B,D社の抵抗も類似度が6と最も類似しているので、A社とE社、B社とD社を夫々直接関連付ける。次に、C社の抵抗がこれらA,B,D,E社の抵抗に類似しているから、C社をこれらA,B,D,E社に関連付け、最後にF社をこれらA〜E各社に関連付ける。この樹形図22でもって類似度による評価がなされ(ステップ4f)、その評価結果が、部品含有化学物質報告書の評価6として、画面表示されるとともに、報告書信用度データベース8に登録される。
以上の手法はクラスタ分析と言われるものであり、この手法では、どの要素(指標)を比較に用いるか,類似の評価方法,計算方法が種々提案されており、何百という派生的な解析手法が存在する。本発明では、このような数学的な解析手法に特徴があるわけではなく、上記の手法で類似度を求めるものである。勿論上記とは別な解析方法で同様の類似度の比較ができるものであれば、その方法を用いてもよい。
また、図5に示すような類似度行列21をもとに、類似する部品同士を1つの群(クラスタ群)にまとめ、図7に示すように、幾つかの類似の群に分かれた分析結果が得られ、これをもとに評価を行なうこともできる。図7では、クラスタA群とクラスタB群とに部品をまとめた場合を示している。サンプル数が少ないが、図5に示す類似度行列21の場合、図6に示す樹形図22を参照して説明すると、A社とE社を同じクラスタA群にまとめ、B社とD社も同じクラスタB群にまとめる。C社,F社は夫々別のクラスタ群を形成することになる。図5に示す類似度行列21で言えば、類似度が最も大きいサンプルが同じクラスタ群にまとまり、クラスタA群とクラスタB群とが生ずることになる。この場合、これらクラスタA群とクラスタB群は、最大の類似度6をもとに形成されるものであるから、これらクラスタ群A,Bは類似度強の群になる。これよりも低い類似度(例えば、類似度5)を用いると、得られるクラスタ群はA社,B社,D社,E社を含む大きなものとなるが、類似度弱の群になる。
同じクラスタ群の中で最も離れたサンプル間の距離を最遠距離といい、クラスタ群の強度を示している。最遠距離が少ない方がクラスタ群内でのサンプルの類似度が高い。異なるクラスタA群とクラスタB群との間で一番近いサンプル間の距離を最近距離といい、クラスタ群同士の分離の強度を示している。このように、2以上の複数のクラスタ群に分かれた場合には、仕様が同一であっても、性能の達成手段が異なるか、製造方法が異なる2つ以上の種類があるものと考えられる。ここでは、このような2つのクラスタ群に分かれた場合には、評価対象の部品に対してより近いクラスタ群を選んで評価を行なうことにより、評価を実行できる。ここでの距離は、
距離=7(項目)−(類似度)
であり、不一致度を表わすことにもなる。
図8は今回の類似度の結果を模式的に示すものであって、白丸は部品含有化学物質報告書16をもって購入された評価対象の部品を表わし、黒丸はこの評価対象部品の類似部品を表わしている。
ここで、類似度に応じて類似度強の群と類似度弱の群とが区分されており、白丸(評価対象部品)が類似度強の群の中に含まれる評価点5の場合には、部品含有化学物質報告書16は「信用可」する。白丸が類似度弱の群の中に含まれる評価点4の場合には、「一般同様」とする。白丸が類似度弱の群から外れる場合には、外れる距離に応じて評価点3「多少難」,評価点2「難」,評価点1「強い難」と評価する基準を設ける。
図6や図7に示す分析の場合も、所定の基準に従って、同様の評価点を設けるようにすることができる。
図6に示す樹形図22で表現すると、A社,E社,B社,D社の部品含有化学物質報告書16は類似度弱の群の中に含まれる評価点4「一般同様」とすることができ、C社の部品含有化学物質報告書16は評価点3「多少難」、F社の部品含有化学物質報告書16は評価点「強い難」と評価する。
このように、類似部品の類似度によって評価することにより、成分が類似した部品の集まりでその数が多いところ(密なところ)が高めに評価される。つまり一般的に成分が類似した集まりの群の部品に対しては、その部品含有化学物質報告書16の信用度が高めに評価される。換言すると、部品含有化学物質報告書16が高めの評価を受けた部品はサプライヤの数が多いことになる。この結果、一部規制対象物質が含まれていたとしても、他の代替え部品を選定し易く、部品選定のやり直しや設計のやり直しの手間を省くことができる。
F社の部品(抵抗)の場合には、図4において、その部品含有化学物質報告書16によって登録された化学物質は2種であって、他社と共通する物質は、A社の物品と一致する物質Fの1種しかない。従って、上記の評価によると、評価点1「強い難」と評価されることになる。このように、部品含有化学物質報告書16によって報告される化学物質の種類が少ない場合には、物品の類似度が低下するため、低い評価になる。これは、一般的な感覚からしても、整合性がある。
また、例えば、B社に関し、部品含有化学物質データベース3(図2)の項目「検査済」3hに○印が付されており、即ち、製品メーカが自社内で成分分析などを行なった結果、B社のこの部品に関する部品含有化学物質報告書16の内容の確証がとれているものとすると、図5での類似度行列21や図6での樹形図22に示すように、このB社の部品と一番類似しているD社の部品の部品含有化学物質報告書16の内容はかなり信用性が高いと判断できる。このように、部品含有化学物質データベース3で検証済みのデータがある、即ち、項目「検査済」3hに○印が付された部品に対して高い類似度の部品に関する部品含有化学物質報告書16の評価が評価点4「一般同様」である場合には、その評価のランクを高めて評価点5「信用可」とする。従って、上記の場合、D社の類似部品に対する部品含有化学物質報告書16は、評価点5「信用可」と判断することができる。図5に示す類似度行列21からみて、D社の部品に次いでB社と類似度が高いE社、さらには、A,C社の部品に対しても、その部品含有化学物質報告書16の評価も高めるようにする。このことは、類似部品の一部メーカのサンプルを標本的に成分分析して、部品含有化学物質データベース3において、項目「検査済」3hに○印を付すことができるようにした情報を「大分類,中分類,小分類」の種類毎に用意しておくことにより、部品含有化学物質報告書16の信用性の評価を高めることができる。このように、既に報告された部品含有化学物質報告書16の内容に対し、部品含有化学物質データベース3の項目「検査済」3hに○印が付されている場合、この部品の類似部品に対する部品含有化学物質報告書16は、その信頼性の評価も高めることになる。
また、図9に示すように、図5に示すような類似度行列21で高い類似度の部品からなる類似度強の群を選定する場合、即ち、精密な成分分析や他の確認手段を行なう部品を選定し、その確認をとって購入部品とする場合、この類似度強の群の中から1つの部品を選んでその確認をすることにより、この同じ類似度強の群内の他社の部品の部品含有化学物質報告書16も信用性が高まり、部品選定を行なう場合の部品サプライヤの選択範囲が広がる効果がある。これは、部品の機能を達成する原理が一般的に確立され、製法も確立されているものと推量できる。また、この部品のロット単位の成分の安定性もあると推量される。また、何らかの原因で当該部品メーカの部品が入手できなくなった場合、代替えの部品が容易に見つかる機会が広くなることでもあり、コストリスクを下げる効果がある。このような部品を使用することは製品メーカにとってメリットがある。このように、検査対象とする部品の選定にも利用できる。
以上のように、評価の高い部品を選定すれば、自然に類似度が高い群の部品を選定することになり、上記の効果が得られ、このように、他社の部品と類似度が高く、部品含有化学物質報告書16の内容の信用度の高いサプライヤの部品を購入候補として選定して推奨する機能を実現することができる。
また、このような類似度強の群から少し離れたサプライヤの部品でも、部品含有化学物質データベース3(図2)での該当する項目「対応済」3iに○印が付されている場合には、例えば、図4での対象部品が防錆鋼板であって、物質Eが六価クロムであり、C社の部品だけがこの六価クロムを含まない防錆鋼板であって、それ以外の部品メーカの部品が全て六価クロムを含んでいる防錆鋼板とすると、C社の部品含有化学物質報告書16の類似度の評価は下がるが、六価クロムを含まないで環境に対応するという点では、C社の部品を採用する確率は高くなる。
このように、部品含有化学物質データベース3の項目「対応済」3iに○印が付されている場合には、項目「対応済」3iに×印が付されている部品の群と少し距離がある理由が推測できる。また、これと同時に、部品含有化学物質データベース3の項目「検査済」3hに○印が付されており、六価クロムを含まない部品の場合、適正な部品と判断できる。このように、評価する部品の化学物質の種類に規制対象物質があり、これが含まれていないという確証がある場合には、図2の部品含有化学物質データベース3の項目「対応済」3iに○印が付される。この場合、このような部品に対しては、図4に示す一致度表20での一致する化学物質の個数と一致しなくとも、図5に示すような類似度行列21において、他の各社に対する類似度夫々を、例えば、意図的に1ずつ増やすことにする。これにより、法規制対象などの物質が含まれていない対応済みの部品を推奨する確率を高めることができる。このように、法規制への対応がなされた部品は、これがなされていない他社の部品と比べて類似度が少し低いものであっても、購入候補として選定して推奨するようにすることができる。
また、例えば、図4に示すような一致度表20で対象となる物質の種類が多く、各社の部品の類似度が平均して低い場合には、物質の種類が分散していて、上記の信用度判定・評価部4が使用できず、図7,図8に示すような分析をした場合には、類似部品のクラスタ群あるいは類似度強,類似度弱がない状態である。このような場合には、評価点0の「判定不能」とする。また、購入部品に対して部品含有化学物質報告書16がなく、部品含有化学物質データベース3にこの部品に対するデータが存在しない場合も、評価点0「判定不能」とする。このような場合には、類似部品には、類似した化学物質が含まれる、という前提が崩れた部品の種類であると判断できる。従って、評価点0「判定不能」の評価は正当性がある。
部品サプライヤ15の会社名,会社コードと部品名,部品番号とに以上のような評価点が付加されて部品含有化学物質報告書16に対する報告書評価結果6が形成されるものであり、これが、画面表示されるとともに、報告書信用度データベース8に登録されることになる。
また、この実施形態とは主旨が異なるが、サプライヤからの部品含有化学物質報告書16(図1)から購入部品に規制対象物質が含まれていることが明確である場合には、不利な情報も公開していると言う意味で、この部品含有化学物質報告書16の信用度は高いとする。この物質が規制の量的な判定基準をオーバーしている場合には、購入対象部品として選定できないが、下まっている場合には、選定できる可能性がある。判定基準、即ち、スレッシュホールドに近い値の場合には、注意深い管理が必要である。このような要素も、評価のランク付けに影響を与える様にすることもできる。また、そのままでは規制対象物質を含んでいるので、購入対象部品として選定はできないが、部品サプライヤに対して対象となった物質を取り除く要求をし、これに対応してもらうことも可能である。部品サプライヤが、この要求に対して、改めて部品の含有化学物質の内容を更新するものであれば、このようにサプライヤ側で物質の対応が済んだ部品の部品含有化学物質報告書16に対しては、部品含有化学物質データベース2(図2)において、項目「対応済」3iに○印が付される。また、さらに、製品メーカ側でこの部品含有化学物質報告書16の内容の確認が取れると、項目「検査済」3hにも○印が付されることになる。これにより、この部品含有化学物質報告書16の評価は、非常に高いものとなる。
ここで、以上の評価は部品含有化学物質報告書16の内容に対するものであったが、その拡張として、部品サプライヤの実績や部品の価格などを含めて評価する総合評価部7(図1)も行なうようにすることもできる。以下、この総合評価部7について説明する。
製品メーカが同じ部品サプライヤから複数種類の部品を購入するなど、取引関係が密な場合には、部品サプライヤから複数の部品の部品含有化学物質報告書16が提出される。製品メーカでは、これら複数の部品含有化学物質報告書16に対して、夫々上記の評価を行ない、それら評価を総合することにより、部品サプライヤからの部品含有化学物質報告書16の信用度の平均を把握することができる。
図10は図1における信用度判定・評価部4で得られた報告書評価結果6(図1)の一覧23の一具体例を示すものであって、なお、ここで示す評価点23aは、先に説明した部品含有化学物質報告書16の信用度を示す評価点である。
先に説明したように、信用判定評価部4で部品サプライヤ15からの部品含有化学物質報告書16の評価がなされて評価点23aが決まると、部品サプライヤ15の会社名や会社コード、このときの購入部品の部品名、部品番号にこの評価点23aが付加されて報告書評価結果6が作成され、画面表示されるとともに、報告書信用度データベース8に登録されるので、この報告書信用度データベース8には、各部品サプライヤから購入した部品の部品含有化学物質報告書16に対する報告書評価結果6が登録されている。図10は報告書信用度データベース8に登録されている各部品含有化学物質報告書16の報告書評価結果6の一部の一覧23を示すものであり、ここでは、A社の各部品のみを示している。報告書信用度データベース8に登録されている報告書評価結果6は、先に説明し、また、図10に示すように、部品を提供した部品サプライヤの会社名,会社コードと、部品の部品名,部品番号と、評価点23aとから構成されている。
また、報告書評価結果6に基づいて、部品サプライヤ毎に評価点23aの平均値を求め、図11に示すように、会社名と会社コードとこの評価の平均値(サプライヤ評価点)24aとからなるサプライヤ別報告書評価24を作成する。この例では、C社の部品含有化学物質報告書16に対するサプライヤ評価点24aが最も高いものとなっている。サプライヤ評価点24aの求め方としては、各社について、部品別報告書評価23(図10)での全部品の評価点23aの合計を部品数で除するものであるが、例えば、特性が類似した部品については、例えば、抵抗についてみた場合、抵抗値が非常に近い複数の抵抗については、そのうちの1つを代表としてサプライヤ評価点24aの計算に用いるようにして、計算に用いる部品数を低減するようにしてもよい。このサプライヤ別報告書評価24も、図10に示す報告書評価結果6とともに、報告書信用度データベース8に登録され、総合評価部7のために用いられる。
この報告書評価結果6での評価点23a(図10)をもとにした部品の信用度とサプライヤ別報告書評価24での部品サプライヤの評価点24aとを参照しながら、購入する部品の選定を行なうことにより、よりリスクの低い部品を選定できることになる。
また、部品サプライヤが提出した部品含有化学物質報告書16の内容を確認するために、成分分析部12(図1)により、部品の含有化学物質の分析・検査を行ない、部品別の検査結果を含有化学物質分析結果データベース9に格納する。
図12はその部品別検査結果のデータ25の一具体例の一覧の一部を模式的に示すものであって、ここでは、A社の各部品の検査結果を示している。
同図において、かかる部品別検査結果のデータ25は、部品を提供した部品サプライヤ15の会社名,会社コードと、部品の部品名,部品番号と、検査結果25aとからなっている。ここで、分析結果による物質の量と部品含有化学物質報告書16で報告されているこの物質の量との差が許容範囲内にあり、満足できる場合には、検査結果25aを「○」とし、多少差があるが、各種規制などの規制値内には収まっていて問題が発生しない場合には、検査結果25aを「△」とし、差があり過ぎて許容できない場合には、検査結果25aを「×」とするなど、分析結果と部品含有化学物質報告書16の報告内容との比較結果を管理したものである。
なお、検査結果25aが「○」の部品に対しては、部品含有化学物質データベース3(図2)での項目「検査済」3hに○印を付加する(図1の総合評価部7でのステップ7a)。
この部品別検査結果のデータ25を用いて、部品サプライヤ15毎の検査結果を求める。図13はかかるサプライヤ別検査結果のデータ26の一具体例を示すものであって、ここで、A〜G各社の総合的な検査結果を示している。
このサプライヤ別検査結果のデータ26は、部品サプライヤ15の会社名,会社コードと、部品別検査結果のデータ25(図12)の検査結果25aに基づく評価点26aとからなるが、この評価点26aは、例えば、部品別検査結果のデータ25での「○」の検査結果25aを評価点+5に、「△」の検査結果25aを評価点+4に、「×」の検査結果25aを評価点−5に夫々換算し、各社毎に全部品に渡る評価点を平均化したものである。
これら部品別検査結果のデータ25とサプライヤ別検査結果のデータ26は、図10に示す報告書評価結果6や図11に示すサプライヤ別報告書評価24が報告書の評価だけであるのに対し、実際に部品を分析した結果をもとにしたものであるため、部品サプライヤ15の化学物質の管理や把握の能力を正確に反映している。これも、また、部品サプライヤ15の選定に有用である。
このサプライヤ別検査結果のデータ26も、図12に示す部品別検査結果のデータ25とともに、含有化学物質分析結果データベース9に格納・保存され、総合評価部7(図1)のために用いられる。
さらに、納入実績のある部品サプライヤ15の部品には、製品の生産現場13(図1)からその購入時の品質検査や製造時の不良,製品出荷後の不良などのデータやフィールドクレーム14を収集することが可能である。これに化学物質の内容も含めることができるし、性能や信頼性と合わせた評価でもよい。このようなデータをもとに、図14に示すような部品別ロット単位の不良検出結果のデータ27を得ることができる。ここでは、A社から購入した部品のロット単位の不良などが発生した件数(不合格数)27bと問題が発生しなかった件数(合格数)27aとを示している。ロットの単位の内容は、ここでは、問題にしないし、また、ロットではなく、部品の実際の個数で表わすようにしてもよい。購入実績のない部品は、合格数27aの欄,不合格数27bの欄を「−」で表わし、空欄であることを示している。
この部品別ロット単位の不良検出結果のデータ27の内容を部品サプライヤ15毎にまとめ、図15に示すようなサプライヤ別ロット単位の不良検出結果データ28を求める。このサプライヤ別ロット単位の不良検出結果データ28は、部品サプライヤ15の会社名,会社コードと評価点28aとからなっている。この評価点28aは最高点を5とし、部品別ロット単位の不良検出結果のデータ27(図14)の合格数,不合格数をもとに、
評価点28=5×合格数/(合格数+不合格数)
によって求められる。
サプライヤ別ロット単位の不良検出結果データ28の評価点28aは、実際の実績に基づいた評価を表わすものであり、部品サプライヤでの部品の製造現場における部品の品質管理,化学物質の管理,把握の能力を正確に反映している。ここでも、購入実績のない部品サプライヤ15に対しては、評価点28の欄が「−」で表わされ、空欄であることを示す。これも、また、部品サプライヤ15の選定に有用である。
部品別ロット単位の不良検出結果のデータ27(図14)とサプライヤ別ロット単位の不良検出結果データ28(図15)とは、ロット不良結果データベース10(図1)に蓄積保存され、この総合評価部7(図1)の参考に用いられる。
また、図16に示すように、図15に示すサプライヤ別ロット単位の不良検出結果データ28の評価点28aに対し、製品メーカの不良検出に対する検査基準とコスト29を定めるようにすることも可能である。ここでは、例えば、評価点28aが2.5未満の部品サプライヤに対しては、「検査レベル」を全数検査とし、購入した部品を全数を検査するものとして、このときの「検査コスト」を100とする。評価点28aが2.5以上,3.5以下のときには、「検査レベル」をロット検査とし、購入部品をロット毎に検査するものとして、このときの「検査コスト」を50とする。評価点が3.5を越え、4.5以下のときには、「検査レベル」を抜き取り検査とし、このときの「検査コスト」を20とする。評価点が4.5を越えるときには、「検査レベル」を無検査として、購入部品の検査を不要とし、このときの「検査コスト」を0とする。このように、製品メーカの検査規準を定め、この検査のための費用を算出したデータをまとめることができる。
なお、部品サプライヤと製造メーカとの日常業務の実績を部品選定の参考として利用できる。勿論旧来から行なわれている納期の厳守率や部品の不良率,部品サプライヤの財務体質などもサプライヤ別ロット単位の不良検出結果データ28に付加し、評価点28aに影響させるようにすることも可能である。
図1における総合評価部7は、以上の報告書信用度データベース8,含有化学物質分析結果データベース9及びロット不良結果データベース10に保存されているデータを用いて、部品サプライヤ毎の部品含有化学物質報告書の総合的な評価を行なう。この総合評価のためには、上記のように、各部品サプライヤについて、成分分析部12による部品の分析結果に基づくデータが含有化学物質分析結果データベース9に保存されており、また、部品サプライ毎の部品に関する生産現場13からのデータやフィールドクレーム14がロット不良結果データベース10に保存されている。
納品された部品は、検査済みでないとき(ステップ7a),対策済みでないとき(ステップ7b)、上記のように、検査や対策が行なわれ、その結果が含有化学物質分析結果データベース9やロット不良結果データベース10に保存されている。そして、部品サプライヤの評価を加味した部品含有化学物質報告書の評価、即ち、報告書総合評価結果11が必要なとき、総合評価部7により、評価式による総合評価処理が行なわれる(ステップ7c)。この処理を図17により説明する。
同図において、上記のように、報告書信用度データベース8には、図10に示す各部品の報告書評価結果6と図11に示すサプライヤ別報告書評価24とが保存されており、含有化学物質分析結果データベース9には、図12に示す部品別検査結果データ25と図13に示すサプライヤ別検査結果データ26とが保存されており、ロット不良結果データベース10には、図14に示す部品別ロット単位の不良検出結果データ27と図15に示すサプライヤ別ロット単位の不良検出結果データ28とが保存されている。かかるデータベース8〜10に保存される適宜のデータを用い、次の数1の演算により、評価指数が求められる。
ここで、
検査コスト:図16をもとにした図15での評価点に対する検査コスト
購入コスト:部品サプライヤが要求する部品のコスト
報告書評価点:図10に示す購入部品に対する報告書の評価点24a
報告書評価:図11に示すサプライヤに対する報告書の評価点24a
検査結果評価:図13に示すサプライヤに対する検査結果の評価点26a
不良検出結果:図15に示すサプライヤに対する不良検出の評価点28a
である。
この演算処理によって得られた結果が、図示する報告書総合評価結果11である。この報告書総合評価結果11は、図10に示す部品別報告書評価23と同様の部品に関する項目「会社名」,「会社コード」,「部品名」,「部品番号」,「報告書評価点(評価点)」と、上記の「報告書評価」,「検査結果評価」,「不良検出結果」,「検査コスト」と、さらに、上記数1によって得られる評価指数に基づく「総合評価」とからなっている。
ここで、報告書総合評価結果11では、このときの部品サプライヤ15(図1)としてのA社からの購入部品(部品番号「A−67」の抵抗)と図3に示すこれとの類似部品であるB〜G各社の抵抗とについて示している。A社の抵抗(部品番号A−67)の場合、報告書評価点=5(図10)、報告書評価=4.2(図11)、検査結果評価=2.5(図13)、不良検出結果評価=3.5(図15)、検査コスト=50(図15及び図16)であり、この抵抗の購入コストを110とすると、上記の評価指数は10.5となる。同様にして、図示する評価点に対して、B〜G各社の抵抗について評価指数を求めると、
B社=7.6 C社=6.0 D社=6.6 E社=24.8
F社=48 G社=72
となる。但し、不良検出結果の欄で「−」を示す部品に対しては、そこでの評価点を0とした。
以上のようにして求めた評価指数が小さい順に順位を求め、この順位を総合評価とするものである。上記の評価指数によると、1位がC社,2位がD社,3位がB社,……,6位がG社,7位がF社となり、A社の部品(抵抗)とその類似部品との各社の評価を加味した部品含有化学物質報告書の報告書総合評価結果11が得られることになる。
この報告書総合評価結果11において、総合評価が1位の部品は、最も推奨できる部品ということになり、また、その部品含有化学物質報告書が総合的に見て最も信用度が高いものとなる。この場合、C社の部品が総合評価1位となったのは、その部品含有化学物質報告書の類似度は低く、価格も高いが、「報告書評価」や「検査結果評価」,「不良検出結果」の評価が高く、その結果として、全体のコストが抑えられると考えられるためである。数3に示す単純な評価式でも、感覚的に有効な選択をすることができる。
この評価式は、部品の特性やメーカの戦略などによって変化するものである。部品が規制対象物質が含まれてしまう危険の高い性質のものであれば、「報告書評価」よりの「検査結果評価」,「不良検出結果」の重みを増す必要がある。このような場合には、評価式の関係する項目に重みをつける定数を付加すればよい。また、評価式の形を変更してもよい。逆に、規制対象物質が含まれる危険性の少ない部品であれば、「購入コスト」の差が生かされるような評価式、即ち、各評価結果の重みを下げるために、評価式の各項目に重みを下げる定数を用いればよい。このように、評価式は個々の事情に合わせて適宜の形に設定することができる。
そして、評価結果や含有物質の内容確認したときの正確性、納入後の実績などを蓄積して部品サプライヤ毎の信用度を求め、それを個々の部品の選定時の評価に加える機能を実現することができる。信用度の高い部品サプライヤと長期に渡って取引することは、製品メーカにとっても好ましいことである。これにより、部品含有化学物質報告書に記載のない規制物質が購入部品に含まれるという危険性を下げる効果も得られることになる。
なお、上記の総合評価の処理(ステップ7c)には、これに用いるデータとして、上記のデータベース8,9,10のデータにさらに他のデータを追加するようにしてもよい。追加可能なデータには、特に制約はないが、各メーカの経営戦略に従って、または、評価に使用可能な正確なデータを選定するようにしてもよい。