JP5341148B2 - 光共振器構造および作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、現在の標準的な光部品よりも数桁程度サイズが小さく、ナノフォトニクスと呼ばれる次世代光部品に関する。より詳細には、次世代光部品を他の光波回路や電子回路へ集積し組み込むのを容易にする光共振器構造およびその作製方法に関する。
ナノフォトニクスとは、サブマイクロメートルの寸法の要素からなる光部品、配線および集積回路のことである。ナノフォトニクスは、次世代の光回路および光機器のプラットフォームとなることが期待されている。とりわけ、部品サイズの圧倒的な小型化による(1)機器の小型化、(2)省資源化、(3)低コスト化、および(4)シリコンチップ(電子集積回路)との融合および混載が、ナノフォトニクスに期待されている。
ナノフォトニクスにおける代表的な要素技術は、フォトニック結晶である。フォトニック結晶は、穴または柱等のサブミクロン要素部材を周期的に配置することによって特有の光学特性を創出し、光の伝搬や分散等を制御できる人工結晶である。その微細さのために、フォトニック結晶の作製には高精度な微細加工技術を必要し、作製が容易とはいえない。しかしながら、近年の関連する技術の進歩により、実用的な性能を持ったフォトニック結晶が実現されつつある。
特に、ナノ共振器と呼ばれる超小型光共振器は、非常に高いQ値を有することに特徴がある。光共振器のQ値は、光の漏れの少なさを表し、捕獲時間に逆比例する指標である。高いQ値を有する超小型光共振器は、基幹的な光部品であるレーザ、変調器、光メモリ、光受光器への応用が期待されている。
サブミクロン要素部材が周期的に配置される方向、すなわち周期が1つの方向にのみ存在するフォトニック結晶を、1次元フォトニック結晶と呼ぶ。ここで、用語「周期」は、要素部材の繰り返し距離を意味しており、格子定数aとも呼ばれる。2次元、3次元などのより高次元の周期構造を持つフォトニック結晶と比較して、1次元フォトニック結晶は構造がシンプルでサブミクロン要素部材の数もはるかに少ない。フォトニック結晶の作製の難易度もより小さくなる。従来からの課題であったフォトニック結晶としての性能についても、発明者らは、高次元の結晶に劣らない性能を1次元フォトニック結晶で実現する手法を示している。
図4は、従来技術における1次元フォトニック結晶を用いた光共振器の構成を示した図である。図4の(a)に示したように、フォトニック結晶12の底面が低屈折率媒体(屈折率1.4)であるシリコン酸化膜17に接しているSOI(Silicon On Insulator)構造が利用されている。SOI構造では、厚いシリコン基板上に所定の厚さのシリコン酸化膜層(buried oxide:BOX)11およびシリコン薄膜デバイス層(SOI層)12が載ったSOI基板を利用する。SOI層12によって1次元フォトニック結晶が構成される。1次元フォトニック結晶12は概ね直方体の形状を持っており、直方体の長手方向には、穴13などの複数の周期構成要素(要素構造)が結晶を貫通して形成され、1つの方向に配列されている。
1次元フォトニック結晶においては、代表的な技術課題の1つとして、フォトニック結晶を電気駆動するときの効率的な電圧印可および電流供給があった。穴などの周期構成要素が並んでいる方向に沿った電気駆動は、電極間の距離が大きくなるため効率的ではない。周期構成要素が並んでいる方向に対して横方向からの電気駆動については、導線を配置した状態でフォトニック結晶への光閉込をいかに実現するかが課題であった。非特許文献2には、細線状のシリコン構造中に少数個の穴を配置した1次元フォトニック結晶において、結晶の両脇に薄いサイドスラブを配置し電気導線の役割をさせることで、高速な電気駆動を可能とする構造が報告されている。
図1の(b)は、サイドスラブを有する1次元フォトニック結晶を用いた光共振器の構成を示す。フォトニック結晶12の側面にサイドスラブ14を有するこの構造には、光共振器のQ値が低い問題があった。発明者らは、光共振器構造を改良することによって高い共振器性能を実現できることを報告している(非特許文献3)。
Eiichi Kuramochi et al.,"Ultrahigh-Q one-dimensional photonic crystal nanocavities with modulated mode-gap barriers on SiO2 claddingsand on air claddings," OPTICSEXPRESS, Vol.18, No.15,pp.15859-15869 B. Schmidt et al., "Compact electro-optic modulator on silicon-on-insulator substrates using cavities with ultra-small modal volumes," OPTICS EXPRESS, Vol.15, No.6, pp3140-3148 倉持栄一、谷山秀昭、盧永瑾、納富雅也、"サイドスラブ付き高Q値SOI1次元フォトニック結晶共振器"、第71回応用物理学会学術講演会、2010年 17a-J-6
フォトニック結晶素子を光部品へ応用展開する場合に、重要な課題の1つは作製工程をできるかぎり簡単にすることである。例えば、フォトニック結晶の構造上に特有の理由のためにエッチング加工を2回以上に分けて実施する必要があると、光部品全体の製作における工程数の増加を招く。
図4の(b)でサイドスラブを有する1次元フォトニック結晶を用いた光共振器について例示した構造は、結晶穴13がフォトニック結晶12全体を上下方向に貫通している構造であった。このような構造の場合、サイドスラブ部分および結晶穴部分の両方を、同一の工程を使用して一括して加工することは困難であった。例えばこの構造を平坦な半導体薄膜からドライエッチング加工によって作製する場合、深さの異なるエッチングを行う方法として、3次元レジストマスクを用いる手法がある。しなしながら、フォトニック結晶は100nmオーダの非常に微細な構造であるため、3次元レジストマスクを用いた手法による高精度な加工は困難であった。
結局、フォトニック結晶に必要とされる高精度な加工を行うためには、サイドスラブ部分と結晶穴部分とを、独立に別々の工程で作製する必要があった。このように、フォトニック結晶の構造上に特有の理由によって工程数が増えてしまうと、作製プロセスの複雑化および高コスト化を招き、他の光波回路または電子回路とフォトニック結晶との集積化を行なう上でも不利であった。
Q値は、光共振器において性能を表す重要な指標である。Q値は、共振器モードからの光漏れの少なさを表す指数であって、光捕獲時間に逆比例する値である。従来、サイドスラブの有無にかかわらず、1次元フォトニック結晶共振器において数万以上のQ値を実現する構造設計は、周期的構造素材(結晶穴)が結晶全体または高屈折率半導体層を貫通する構造でしか報告例がなかった。例えば、穴が高屈折率半導体層の途中で終端している構造の1次元フォトニック結晶で、高性能な共振器の報告はこれまでなかった。
フォトニック結晶の中でもより複雑な構造を持つ2次元または3次元フォトニック結晶に対して、1次元フォトニック結晶は、構造が単純で加工が容易なことが特徴であり優位点である。しかしながら、電気駆動を容易にするために1次元フォトニック結晶にサイドスラブを導入した場合に、高い共振器性能と単純な加工工程とを両立する構造は未だ示されていなかった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、SOI基板などの既存技術とよく整合し、作製が比較的容易な1次元フォトニック結晶を利用した光共振器を提案する。1次元フォトニック結晶にサイドスラブが設けられている場合に、共振器の性能を維持したままで作製工程数を減らし作製をより容易にすることを目的とする。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、1次元フォトニック結晶を用いた光共振器において、低屈折率材料層の上に形成された高屈折率材料層をエッチングすることによって形成された概ね直方体形状のフォトニック結晶であって、その内部に、前記直方体の長手方向に周期的に配列された低屈折率の複数の要素構造を備え、前記複数の要素構造の底面が前記低屈折率材料層と一定の間隔を置いて配置されたフォトニック結晶と、前記フォトニック結晶の前記長手方向に平行な両側面に接して、前記高屈折率材料層をエッチングすることにより前記高屈折率材料が除去されて残存する前記高屈折率材料により形成されたサイドスラブであって、その上面の高さが、前記複数の要素構造の底面と概ね同一の高さとなるように形成された厚さ60nm以下のサイドスラブとを備え、前記低屈折率材料層および前記高屈折率材料層は、それぞれ、SOI(Silicon On Insulator)基板のシリコン酸化膜層およびSOI層を利用して構成されることを特徴とする光共振器である。前記複数の要素構造の底面と前記低屈折率材料層との間は、前記高屈折率材料で充たされていれば良い。サイドスラブによって、フォトニック結晶を電気駆動することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1の光共振器であって、前記複数の要素構造は、前記サイドスラブを形成するのと同時に、前記高屈折率材料層をエッチングすることによって前記フォトニック結晶内に形成された柱状もしくは円柱の穴であることを特徴とする。前記複数の要素構造は多角柱であっても良い。前記柱状もしくは円柱の穴の深さは、フォトニック結晶の厚さの3/4以上であれば良い。
請求項3に記載の発明は、請求項1の光共振器であって、前記フォトニック結晶の上方および前記複数の要素構造の内部が、第2の低屈折率材料層で覆われていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、1次元フォトニック結晶を用いた光共振器の作製方法において、基板、低屈折率材料層および高屈折率材料層が順次形成された多層構造上にレジスト層を形成するステップと、前記レジスト層をパターニングして、フォトニック結晶の外形、および、前記フォトニック結晶の長手方向に周期的に配置される複数の要素構造を形成するためのマスクを形成するステップと、前記マスクを通して、前記高屈折率材料層をエッチングするステップであって、エッチングによって、前記複数の要素構造、および、前記フォトニック結晶の前記長手方向に平行な両側面に接して該エッチングの後で残存する前記高屈折率材料層によって形成される厚さ60nm以下のサイドスラブを同時に形成し、前記複数の要素構造の底面の高さと前記サイドスラブ上面の高さが概ね一致する、エッチングするステップとを備え、前記低屈折率材料層および前記高屈折率材料層は、それぞれ、SOI(Silicon On Insulator)基板のシリコン酸化膜層およびSOI層を利用して構成されることを特徴とする光共振器の作製方法である。
請求項に記載の発明は、請求項の方法であって、前記複数の要素構造は、前記サイドスラブを形成するのと同時に、前記高屈折率材料層をエッチングすることによって前記フォトニック結晶内に形成された柱状もしくは円柱の穴であることを特徴とする。前記複数の要素構造は多角柱であっても良い。前記柱状もしくは円柱の穴の深さは、フォトニック結晶の厚さの3/4以上であれば良い。
以上説明したように、本発明によって、1次元フォトニック結晶にサイドスラブが設けられている場合でも、光共振器の性能を維持したままで作製工程数を減らし作製をより容易にすることができる。従来技術のサイドスラブ構成で必要とされていた2回のリソグラフィを近接したパターンに行うことに伴う、位置合わせ誤差や相互干渉による加工誤差の問題を解消することができる。高精度のナノフォトニクス光部品の加工を実現する。
図1は、本発明の光共振器の構成を示す図である。 図2は、本発明の光共振器の構造を実際に作製する工程を示した図である。 図3は、本発明に係る光共振器においてサイドスラブの厚さと共振器のQ値との関係の数値シミュレーション結果を示す図である。 図4は、従来技術における1次元フォトニック結晶を用いた光共振器の構成を示した図である。
本発明に係る光共振器は、内部に低屈折率の材料からなる円柱または多角柱構造を周期的に配置した高屈折率の材料からなる棒状構造の1次元フォトニック結晶(棒状構造体)と、棒状構造体を取り巻く低屈折率の媒体と、高屈折率の材料からなり棒状構造体よりも厚さが薄いサイドスラブとから構成される。円柱または多角柱構造は1次元フォトニック結晶を貫かずに途中で終端され、円柱または多角柱構造の底面位置が、サイドスラブの上面の位置と製造誤差の範囲で一致していることを特徴とする。本発明に係る光共振器は、棒状構造体およびサイドスラブを、一括して同時に、特定の作製法による一回の工程で完成することができる。
図1は、本発明の光共振器の構成を示す図である。この光共振器は、シリコンフォトニクスにおいてシリコン細線と呼ばれるサブミクロンスケールの光配線に円孔穴配列を設けた1次元フォトニック結晶3を備えている。1次元フォトニック結晶3は直方体の形状をしており、直方体の長手方向に周期的な要素構造が配列されている。この1次元フォトニック結晶の両側にシリコン薄膜サイドスラブ4をさらに配置した構成を持つ。
シリコン基板1上に、シリコン酸化膜層2が形成されており、さらにシリコン酸化膜層2の上には均一なシリコン層6が形成されている。後述するが、フォトニック結晶3およびサイドスラブ4は、厚さtSOIの均一なシリコン層6から、結晶穴およびサイドスラブ部分を選択的にドライエッチング加工することによって作製される。フォトニック結晶3は周期的に配列された穴5を有している。フォトニック結晶3を残してシリコン層6がエッチングされ、シリコン層6の残った部分でサイドスラブ4が形成されている。
尚、一般に、フォトニック結晶3は高屈折率材料層に相当し、シリコン酸化膜層2は、低屈折率材料層に相当する。屈折率差により光閉込が実現される。
本発明の光共振器は、結晶穴5の底面位置と、サイドスラブ4の上面位置とを一致させているところに特徴がある。すなわち、穴5の底面の高さが、サイドスラブ4の上面の高さと、製造誤差の範囲で一致するように構成されている。言い換えると、複数の要素構造の底面が、低屈折率材料層であるシリコン酸化膜層と一定の間隔を置いて配置されている。本発明の光共振器の構造は、広く市販されコンピュータの量産CPUチップの基板に採用されているSilicon on Insulator(SOI)基板に、ドライエッチングを用いたナノリソグラフィを適用することにより実現できる。SOI基板は、厚いシリコン基板上に所定の厚さのシリコン酸化膜層(buried oxide:BOX)およびシリコン薄膜デバイス層(SOI層)が載った複層基板である。図1においては、シリコン層6がSOI層に相当し、シリコン層6の下層がBOX層2に相当する。
図2は、本発明の光共振器の構造を実際に作製する工程を示した図である。市販のSOI基板においては、基板、BOX層およびSOI層の厚さを製造時に指定できるようになっている。ステップ1のSOI基板完成時において、シリコン基板21、BOX層22およびSOI層23の厚さは、それぞれ所定の値になっている。
ステップ2では、リソグラフィによるパターニングの型となるレジスト層24を塗布形成する。ステップ3では、ガイド溝25および結晶穴26を加工するために、レジスト層24をリソグラフィ装置によって露光および現像し、パターニングを行う。例えば電子線リソグラフィおよびポジ型レジストの組み合わせの場合、ガイド溝25および結晶穴26に該当する部分を真上から見て正確に電子線で塗りつぶす。さらに、引き続きレジストを現像することによって、ガイド溝25および結晶穴26になる部分のレジストが除去され、窓となってマスクパターンが完成する。
ステップ4では、SOI層23に対してドライエッチングを行う。ドライエッチングを行う際、レジスト層24がマスクとして働くため、窓が開いているガイド溝25および結晶穴26の部分のみが選択的にエッチングされる。エッチングの結果、ガイド溝25およびBOX層22に挟まれた部分がサイドスラブとなる。ガイド溝25の深さが、SOI層23の初期厚さtSOIから所定のサイドスラブ厚さshを引いた値に達したところでエッチングを停止する。
ステップ5において、レジストを除去しクリーニングを行うことで本構造が完成する。本発明の光共振器の構成においては、フォトニック結晶の穴26の底面の高さと、サイドスラブの上面との高さが揃っていることによって、一回のドライエッチング工程で両者を同時に加工できる。現状のドライエッチング技術においては、パターン開口に依存したエッチングレートの誤差が生ずるため、同時にエッチングを行った場合、結晶穴26の底面の高さとサイドスラブ上面の高さに若干の誤差が生ずる。しかし製造誤差により若干の高さの不一致があっても、共振器およびサイドスラブの機能は損なわれない。
本発明の光共振器が、所望の光共振器性能を持っていることを実証するために、数値シミュレーションを実施した。以下、シミュレーション結果について説明する。
以下の数値シミュレーションは、電磁界シミュレーション法として確立されており市販ソフトとしても普及しているFDTD法(Finite difference time domain method:有限領域時間差分法)を利用した。FDTD法によって共振器閉込モードを求め、その共振波長、Q値およびモード体積を算出した。計算は現実的で精度の高い3次元計算を使用し、屈折率値を、シリコンは3.46、酸化膜は1.44、空気は1.0とした。
被解析構造のパラメータは以下の通りである。図1において、穴5の周期(繰り返し距離)を350nm、結晶幅W(2つのサイドスラブの間隔)を540nm、 BOX層2の厚さを2μm、フォトニック結晶3およびSOI層6の厚さを210nmとした。結晶穴の半径については共振器の中心の穴(0番目)から数えてn番目の穴半径rnを次式で設定する。
n=r0×{1−(n/m)2)} 式(1)
ここではr0を120nm、mを17とする。mを10以上とし、式(1)にしたがって穴の半径を緩やかに変調して変化させることで、フォトニックバンドギャップ中の導波モードにモードギャップを導入することができる。共振器の中心付近に、非常に漏れを抑制した光閉込を実現できる。(非特許文献1)
サイドスラブ4については幅swを2μmとし、サイドスラブの厚さshを変えるシミュレーションを行った。結晶穴5は、フォトニック結晶3の上面からサイドスラブ4の上面と同じ深さまで達する円柱とする。
図3は、サイドスラブの厚さと共振器のQ値との関係の数値シミュレーション結果を示す図である。図3では、本発明の構成による結晶穴がフォトニック結晶内部の途中で終端された「終端穴」である場合と、従来技術の構成による結晶穴がフォトニック結晶3の底まで貫通している「貫通穴」の場合とで、比較を行った。図3に示したように、サイドスラブ厚さが60nm以下の範囲において、共振器のQ値は「終端穴」の場合でも「貫通穴」の場合であってもほとんど変わらなかった。サイドスラブの厚さが60nmの範囲であれば、フォトニック結晶を電気駆動する場合において十分に有効な範囲である。したがって、従来技術の構成において貫通穴を作製するために工程を複雑化させることなしに、サイドスラブおよび結晶穴のドライエッチングを同時に行う本発明の光共振器でも共振器性能が損なわれることがない。フォトニック結晶の穴の底面の高さと、サイドスラブの上面との高さを同一の高さとして、一回のドライエッチング工程で両者を同時に加工できる。
本発明の光共振器の構成のバリエーションとして、結晶穴5の底面がサイドスラブ4の上面より低い場合、または、サイドスラブの厚さshが0であって結晶穴5の深さがフォトニック結晶全体の厚さの3/4以上である場合にも、ほぼ同様の原理により高い共振器Q値が得られる。
図1に示した本発明の光共振器構造において十分な共振器性能が得られる範囲は、結晶穴5の周期(繰り返し距離)に対し、フォトニック結晶3の厚さが0.5倍から1.25倍の範囲であって、かつ、フォトニック結晶3の幅Wが結晶の厚さの1倍から3倍の範囲である。上述の好ましい範囲におけるフォトニック結晶の厚さおよび幅の下限は、屈折率差によるフォトニック結晶への光閉込が有効に働く範囲で決定される。
本共振器はTE偏光モードを対象としており、フォトニック結晶の厚さの上限は、TM偏光モードが共振器モード付近に存在しない条件で決定される。また、フォトニック結晶の幅の上限は、TE偏光モードがマルチモードとならない範囲で決定される。上述の好ましい範囲を外れると、共振器の発振波長において共振器の動作はマルチモードとなり共振器の性能が低下する。
穴半径については、結晶穴の周期の0.3倍から0.4倍の範囲が好ましい。フォトニックバンドギャップの十分な強度を得るためにr0には上限がある一方、結晶に沿った共振器の閉じ込めを確保するためにr0には下限があるからである。
以上述べたように、本発明の光共振器では、1次元フォトニック結晶に電気駆動を容易にするサイドスラブ配置した時に、結晶穴の底面の高さと、サイドスラブの上面高さとを揃えた構造を採用する。この構造によって、1次元フォトニック結晶である棒状構造体とサイドスラブとを一括して、同時に、特定の作製法による一回の工程で完成することができる。
従来技術では穴をフォトニック結晶の途中で終端せず貫通穴とするのが一般的であったが、フォトニック結晶とサイドスラブとを組み合わせる場合は加工が複雑になり1次元フォトニック結晶を利用するメリットが失われていた。本発明によれば、単純な加工プロセスも維持しながら1次元フォトニック結晶のメリットを受けることができる。
例えば、一般に2次元のフォトニック結晶においては、結晶の上下および左右の対称性が損なわれると性能が大きく損なわれる。フォトニックバンドギャップに偏波依存性があるので、一方の偏波の共振器モードが構造の非対称性を介して、バンドギャップとなっていない他の偏波のモードの影響を受けるためである。
1次元フォトニック結晶を利用する本発明の光共振器では、SOI層の厚さtSOIを設定共振波長の1/(シリコンの屈折率)よりも十分薄くしつつフォトニック結晶の幅WをtSOIよりもずっと広くして、TE偏波モードの単一モードとする。この条件下では、TM偏波モードは共振器波長周辺ではカットオフとなり存在しないため、穴を結晶の途中で終端することによる強い構造非対称があっても、TMモードの影響による性能低下は原理的に発生しない。1次元フォトニック結晶を利用する本発明の光共振器が上下方向の構造非対称性による性能低下に対する堅牢さは、2次元フォトニック結晶を初めとする他のフォトニック結晶を利用した光共振器では実現困難な特性である。その上に、2次元フォトニック結晶等を利用した光共振器に比べて、加工工程を大幅に簡単化することができる。
以上詳細に説明してきたように、本発明に係る光共振器は、SOI基板などの既存技術によく整合し、作製が比較的容易な1次元フォトニック結晶を利用できる。さらに、1次元フォトニック結晶にサイドスラブが設けられている場合、共振器の性能を維持したままで作製工程数を減らし作製をより容易にすることができる優れた効果を持つ。対象とする光の波長の数倍程度のサイズに収まるナノ共振器を採用した光素子の実用化に、非常に有利な方法である。
従来技術のサイドスラブ構成で必要とされていた、2回のリソグラフィを近接したパターンにおいて行うことに伴う、位置合わせ誤差や相互干渉による加工誤差の問題を解消することができる。リソグラフィなどの加工手段そのものの限界性能まで十分にプロセスの特性を引き出すことが可能となり、結果的に高精度のナノフォトニクス光部品の加工を実現することができる。
本発明は、光通信に利用できる。特に、現在の標準的な光部品よりも非常にサイズが小さいナノフォトニクス光部品に利用できる。
1、21 シリコン基板
2、11、22 シリコン酸化膜層
3、12 1次元フォトニック結晶
4、14 サイドスラブ層
5、13、26 穴
6、23 シリコン層

Claims (5)

  1. 1次元フォトニック結晶を用いた光共振器において、
    低屈折率材料層の上に形成された高屈折率材料層をエッチングすることによって形成された概ね直方体形状のフォトニック結晶であって、その内部に、前記直方体の長手方向に周期的に配列された低屈折率の複数の要素構造を備え、前記複数の要素構造の底面が前記低屈折率材料層と一定の間隔を置いて配置されたフォトニック結晶と、
    前記フォトニック結晶の前記長手方向に平行な両側面に接して、前記高屈折率材料層をエッチングすることにより前記高屈折率材料が除去されて残存する前記高屈折率材料により形成されたサイドスラブであって、その上面の高さが、前記複数の要素構造の底面と概ね同一の高さとなるように形成された厚さ60nm以下のサイドスラブとを備え
    前記低屈折率材料層および前記高屈折率材料層は、それぞれ、SOI(Silicon On Insulator)基板のシリコン酸化膜層およびSOI層を利用して構成されることを特徴とする光共振器。
  2. 前記複数の要素構造は、前記サイドスラブを形成するのと同時に、前記高屈折率材料層をエッチングすることによって前記フォトニック結晶内に形成された柱状もしくは円柱の穴であることを特徴とする請求項1に記載の光共振器。
  3. 前記フォトニック結晶の上方および前記複数の要素構造の内部が、第2の低屈折率材料層で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の光共振器。
  4. 1次元フォトニック結晶を用いた光共振器の作製方法において、
    基板、低屈折率材料層および高屈折率材料層が順次形成された多層構造上にレジスト層を形成するステップと、
    前記レジスト層をパターニングして、フォトニック結晶の外形、および、前記フォトニック結晶の長手方向に周期的に配置される複数の要素構造を形成するためのマスクを形成するステップと、
    前記マスクを通して、前記高屈折率材料層をエッチングするステップであって、エッチングによって、前記複数の要素構造、および、前記フォトニック結晶の前記長手方向に平行な両側面に接して該エッチングの後で残存する前記高屈折率材料層によって形成される厚さ60nm以下のサイドスラブを同時に形成し、前記複数の要素構造の底面の高さと前記サイドスラブ上面の高さが概ね一致する、エッチングするステップとを備え
    前記低屈折率材料層および前記高屈折率材料層は、それぞれ、SOI(Silicon On Insulator)基板のシリコン酸化膜層およびSOI層を利用して構成されることを特徴とする光共振器の作製方法。
  5. 前記複数の要素構造は、前記サイドスラブを形成するのと同時に、前記高屈折率材料層をエッチングすることによって前記フォトニック結晶内に形成された柱状もしくは円柱の穴であることを特徴とする請求項に記載の方法。
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