JP5340966B2 - スーパーサイズコーティングを有する研磨材物品及び製造方法 - Google Patents

スーパーサイズコーティングを有する研磨材物品及び製造方法 Download PDF

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Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第60/893,003号(2007年3月5日出願)、名称「レーザー切り込み研磨材物品、及び方法(Laser Cut Abrasive Article, and Methods)」の優先権を主張するものであり、その開示全体を本明細書に組み入れる。
(発明の分野)
本開示は、研磨材物品、そのような研磨材物品の作製方法、及びそのような研磨材物品の使用方法に関する。
研磨材物品は、百年を優に超して、加工物の表面の研磨及び仕上げに使用されてきた。それらの用途は、木材及び金属などの加工物からの大きな材料除去から、眼鏡レンズや光ファイバーやコンピュータの読取り/書き込みヘッドの、微細磨きにまで及んでいる。研磨材物品は、一般に、共に(例えば、結合された研磨材若しくは砥石車)、又は裏材に(例えば、コーティングされた研磨材)、のいずれかで結合された、複数の研磨材粒子を含む。コーティングされた研磨材の場合、通常は単一層の、時には複数層の、裏材に結合された研磨材粒子がある。研磨材粒子は、「メイク」及び「サイズ」コートで、又はスラリーコートとして、裏材に結合されてもよい。
様々な形体の研磨材物品が知られており、例えば、ディスク、エンドレスベルト、研磨スポンジなどがある。研磨材物品の形体は、物品の意図される用途に影響を与える。例えば、幾つかの研磨材物品は、使用中に真空源に接続されて、研磨表面から粉塵及び削り屑を取り去るような形状にされている。
殆ど全てのコーティングされた研磨材物品の場合、使用中に、研磨材粒子の露出された先端が、加工物を研磨する。新しい粒子表面が継続的に露出されて、研磨材物品の耐用期間を伸ばす。ある程度の時間経過後、研磨材物品にもはや十分な量の適当な研磨表面が残されていないとき、コーティングされた研磨材は、本質的に使い尽くされているのであり、通常は廃棄される。
コーティングされた研磨材物品は百年以上も知られているが、物品に対して及び研磨材物品を作製する方法に対して、常に改善がなされてきている。
本開示は、研磨材コーティング上で粉塵及び/又は削り屑が堆積するのを防止するように構成されたスーパーサイズコーティング又は構成要素を包含する、研磨材物品と研磨材物品を作製する方法を目的とする。スーパーサイズ構成要素は、非接触であろうと機械的接触であろうとも、レーザー又は他の変換機構で研磨材物品を変換した後で、研磨材コーティングに対して塗布することができる。幾つかの実施形態では、新しい又は露出された研磨材又は裏材面が存在しない、すなわち、スーパーサイズ構成要素が全表面を覆う。
本開示はまた、レーザーを用いて研磨材コーティングの少なくとも一部分を変換して(例えば、切り込んで)研磨材物品を形成し、次に研磨材コーティングを覆ってスーパーサイズコーティングを塗布する、研磨材物品を作製する方法を目的とする。その方法には、集束するレーザーエネルギーを研磨材物品の裏の面(研磨材コーティングの反対側)上に当てて、レーザーエネルギーを表の面まで貫いて進めることを包含する。そのようなプロセスは、研磨材物品のポリマー構成成分が前の面上の切り込み域(例えば開口部)の周りに隆起する(「再鋳造」とも呼ばれる)影響量を減少させる。
本開示は、1つの特定の態様では、第一面及び第二面を有する裏材の第一面上に研磨材コーティングを提供すること、並びに、研磨材コーティングを貫通する前に裏材の第二面を貫通するレーザーエネルギーを集束して裏材を通過させること、を含む研磨材物品を作製する方法を目的とする。レーザーは、ある内部開口を研磨材コーティング中に形成してもよく、複数の内部開口を研磨材コーティング中に形成してもよい。幾つかの実施形態では、レーザーは、少なくとも10の、少なくとも40又は50の内部開口を研磨材コーティング中に形成し、あるいは少なくとも100の内部開口を研磨材コーティング中に形成する。幾つかの実施形態では、レーザーは、追加的に又は代わりに、研磨材コーティングの外周を形成する。
本開示は、別の特定の態様では、裏材の第一面上の研磨材コーティングであって、研磨材コーティングが40マイクロメートル未満の研磨材粒子を含む、研磨材コーティングと、裏材及び研磨材コーティングを貫く少なくとも1つの開口とを有する、研磨材物品を目的とする。開口の側壁は、融解されたものであり、研磨材コーティングより上に10マイクロメートルを超えて延びない。
研磨材物品の裏材は、ポリマーの裏材(例えば、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂の裏材)であっても、紙の裏材であっても、又は布の裏材などであってもよい。複数の層を有して積層された裏材が、任意に接着剤ないしは別の方法で共に保持されるか、あるいは使用されてもよい。研磨材コーティングは、メイク/サイズの研磨材コーティングであっても、スラリーコーティングであっても、又は正確に成型された複合体などの複合体を含む成型された研磨材コーティングであってもよい。
本開示の物品及び方法を特徴付けるこれらの及び様々な他の特徴は、添付の請求の範囲内で詳細に指摘される。本開示の物品及び方法、それらの利点、それらの使用、及びそれらの使用から得られる目的をより良く理解するために、図面及び添付の明細書が参照されるべきであり、ここでは本開示の発明の好ましい実施形態が図示及び説明されている。
コーティングされた研磨材物品の第一の実施形態の概略的な断面図。 コーティングされた研磨材物品の第二の実施形態の概略的な断面図。 コーティングされた研磨材物品の第三の実施形態の概略的な断面図。 コーティングされた研磨材物品の概略的な平面図。 コーティングされた研磨材物品の概略的な平面図。 研磨材物品中の内部開口の顕微鏡写真のクローズアップ視であり、内部開口は、研磨材物品の裏側を貫くレーザーにより形成されたもの。 研磨材物品中の内部開口の顕微鏡写真のクローズアップ視であり、内部開口は、研磨材物品の前面を貫くレーザーにより形成されている。 従来技術の研磨材物品の開口の顕微鏡写真のクローズアップ視。 レーザーを用いて作製された研磨材物品と従来方法により作製された研磨材物品とを比較する、実施例からの研削結果のグラフ表示。
本開示は、裏材の第一面に結合された(複数の研磨材粒子を有する)研磨材コーティングを有する、研磨材物品を提供する。スーパーサイズコーティングが、研磨材コーティング及び裏材のいかなる露出面も覆って存在する。本開示はまた、研磨材物品を作製する方法及びその物品を使用する方法を提供する。研磨材物品を作製する方法は、レーザーを使用して裏材及び研磨材コーティングを貫いて切り込むことを包含しており、一般に融解された、例えば、ほぼ平滑な表面を有する、粗さ(asperities)が無い、融解域が再凝固した、光沢性でもあり得る、切り込みを提供する。融解切り込みは、研磨材コーティング構成要素の破砕若しくは割れ、又は裏材縁部の崩れなどの、機械的な欠陥を有さない。レーザーは、研磨材コーティングの無い研磨材物品の面が最初にレーザーにより切り込まれるように、すなわち、レーザーエネルギーが研磨材コーティングの無い研磨材物品の面上に集中するような具合に、使用される。レーザーによりなされる切り込みは、研磨材物品中の内部切り込みであってもよい。
図1には、研磨材物品の第一の実施形態が、研磨材物品10として示されている。研磨材物品10は、裏材に結合された複数の研磨材粒子を有して、「コーティングされた研磨材物品」と一般に呼ばれるものである。この研磨材物品10は、第一面12a及び反対側の第二面12bを有する、裏材12を有する。研磨材コーティング14が、裏材12の第一面12a上に存在する。
研磨材コーティング14は、この実施形態では、接着剤マトリックス16により保持された、複数の研磨材粒子15を含む。この接着剤マトリックス16は、研磨材粒子15が少なくとも部分的にその中に埋め込まれたメイクコート18と、上に存在するサイズコート17とを含む。研磨材粒子15は、典型的には、例えば付着させるときの粒子に対する静電界の適用によって、メイクコート18の向きにされる。
研磨材物品10のこの実施形態は、サイズコート17を覆って存在する、スーパーサイズコート19を包含する。スーパーサイズコート又は層は、存在する場合、サイズ層の少なくとも一部の上に塗布されたコーティングであり、一般に、例えば研削助剤を供給するために、及び/又は目づまり防止コーティングとして、追加されるものである。更に、スーパーサイズ層19は、削り屑(加工物から研磨された材料)がサイズコート17上若しくは研磨材粒子15の間で、及び/又は開口45(図4aに関して以下で説明)内外で、堆積するのを防止又は減少する可能性があり、この堆積が、研削能力、及び/又は研磨材物品10によって結果として得られる加工物仕上げを劇的に損なう場合もある。有用なスーパーサイズ層19は、研削助剤(例えば、テトラフルオロホウ酸カリウム)又は脂肪酸の金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛若しくはステアリン酸カルシウム)を包含する。他の物質が、スーパーサイズ層19中に存在してもよい。
多くの実施形態において、スーパーサイズ層19は、研磨材物品の(例えばレーザーによる)変換の後で、サイズコート17を覆って塗布される。(レーザー変換などによる)非接触プロセス又は(機械的打抜きなどの)接触プロセスのいずれかにより変換された後のスーパーサイズ層19の塗布は、例えば研磨材物品又はその中の開口(単数又は複数)の新たに露出された側壁を包含し、新たに作り出された又は新規表面を覆う。研磨材物品の変換(切り込み)後のスーパーサイズ層19の塗布が切断面を覆い、また、一般に、研磨材物品の耐用期間が伸び、及び/又は研磨材物品の研削率が上昇し、露出面により引き起こされるスクラッチが減少する。
研磨材物品10は、メイク/サイズの接着剤マトリックスを有する研磨材物品の一般例である。研磨材物品の代替構成が、メイク/サイズの研磨材物品の範囲から逸脱せずに可能であると理解される。
図2には、研磨材物品の第二の実施形態が、研磨材物品20として示されている。研磨材物品20は、裏材に結合された複数の研磨材粒子を有して、「コーティングされた研磨材物品」と一般に呼ばれるものである。この研磨材物品20は、第一面22a及び反対側の第二面22bを有する、裏材22を有する。研磨材コーティング24が、裏材22の第一面22a上に存在する。図示されていないが、スーパーサイズ層又はコーティングが、研磨材コーティング24の少なくとも一部を覆って存在することも可能であり、このスーパーサイズコーティングは、研磨材物品20の変換の後で塗布することも可能である。
研磨材コーティング24は、この実施形態では、接着剤マトリックス26中に分散されてこれにより保持される、複数の研磨材粒子25を含む。研磨材物品20は、スラリーコーティングの研磨材物品の例である。
図3には、研磨材物品の第三の実施形態が、研磨材物品30として示されている。研磨材物品30は、裏材に結合された複数の研磨材粒子を有して、「成型された研磨材物品」と一般に呼ばれるものである。この研磨材物品30は、第一面32a及び反対側の第二面32bを有する、裏材32を有する。研磨材コーティング34が、裏材32の第一面32a上に存在する。図示されていないが、スーパーサイズ層又はコーティングが、研磨材コーティング34の少なくとも一部を覆って存在することも可能であり、このスーパーサイズコーティングは、研磨材物品30の変換の後で塗布することも可能である。
研磨材コーティング34は、この実施形態では、接着剤マトリックス36中に分散された研磨材粒子35の複合物である、複数の研磨材複合物38を含む。研磨材複合物38は、複合物の形状に関係付けられる境界(単数又は複数)により隔てられて、1つの研磨材複合物38が、別の隣接する研磨材複合物38からある程度は離されるという結果になっている。境界が正確である場合、研磨材複合物38は、「正確に成型された複合物」と呼ぶことができる。正確に成型された研磨材複合物を有する研磨材物品に対する最も早期の参照例の1つに、米国特許第5,152,917号(ピーパー(Pieper)ら)がある。多くの他のものがそれに続いている。
裏材
上述のように、コーティングされた研磨材物品は裏材を有して、その上に研磨材コーティングが塗布される。裏材は、前面表面(例えば面12a)及び裏面表面(例えば面12b)を有し、並びにいかなる研磨材用裏材にもすることができる。好適な裏材の例には、下塗りされた高分子フィルムを包含する高分子フィルム、布、紙、バルカナイズドファイバー、熱可塑性樹脂の裏材、不織布、及びこれらの組合せが挙げられる。所望により、多層の裏材が使用されてもよい。多層の裏材は、通常は層を共に保持する接着剤を有する、1つ以上の既知の裏材材料の積層体であってもよい。繊維状の補強材が、これらの材料のいずれかの中又は表面上に加えられてもよい。幾つかの研磨材物品の場合、金属が、好適な裏材である。
裏材はまた、裏材を封止する及び/又は裏材の幾つかの物理特性を修正する、処理剤(単数又は複数)を含有してもよい。これらの処理剤は、当技術分野において周知である。
裏材は、得られるコーティングされた研磨材を支持パッド又はバックアップパッドに対して固定可能にする取付けシステムを裏面表面上に包含してもよい。この取付けシステムは、感圧性接着剤、フックアンドループ取付けシステムの一表面、噛み合い取付けシステム、又はねじ付き突出部にすることができる。研磨材物品の裏面(例えば面12b)にはまた、滑り抵抗性若しくは摩擦性のコーティングが包含されてもよい。そのようなコーティングの例には、接着剤中に分散された無機微粒子(例えば、炭酸カルシウム又は石英)が挙げられる。
研磨材コーティング
研磨材粒子
研磨材粒子(例えば研磨材粒子15)は、典型的には約0.1〜1500マイクロメートルの範囲の、通常は約0.1〜400マイクロメートルの、粒径を有する。粒径は、幾つかの実施形態では、0.1〜100マイクロメートルであり、別の実施形態では、0.1〜40マイクロメートルである。本開示に従うレーザー変換は、約40マイクロメートル未満の粒径を有する研磨材粒子を利用する研磨材コーティングに対して、特に有益である。
研磨材粒子は、少なくとも約8の、通常は少なくとも9の、モース硬さを有する。普通の研磨材粒子の例には、溶融酸化アルミニウム(褐色酸化アルミニウム、熱処理酸化アルミニウム、及び白色酸化アルミニウムを包含する)、セラミック酸化アルミニウム、緑色炭化ケイ素、炭化ケイ素、クロミア、アルミナジルコニア、ダイヤモンド、酸化鉄、セリア、立方晶窒化ホウ素(CBN)、炭化ホウ素、ガーネット、及びこれらの組合せが挙げられる。
用語「研磨材粒子」は、単一の研磨材粒子が共に結合されて研磨材粒塊を形成する場合をも包含する。研磨材粒塊は、米国特許第4,311,489号、同第4,652,275号、及び同第4,799,939号に記載されており、正確に成型された研磨材粒塊が、米国特許第5,549,962号に記載されている。
研磨材粒子は、例えば、研磨材粒子の接着剤マトリックスに対する接着性を強めるために、研磨材粒子の研磨特性を変更するなどのために、表面コーティングを包含してもよい。表面コーティングの例には、結合剤、ハロゲン化物の塩、シリカを含有する金属酸化物、高融点金属の窒化物、高融点金属の炭化物などが挙げられる。
研磨材物品には、研磨材粒子ではない希釈粒子を包含してもよい。これらの希釈粒子の粒径は、研磨材粒子と同程度であってもよい。そのような希釈粒子の例には、セッコウ、大理石、石灰岩、フリント、シリカ、ガラスバブル、ガラスビーズ、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。
接着剤マトリックス
研磨材粒子は、結合剤で粘着されて、研磨材物品を形成する。大部分のコーティングされた研磨材物品の場合、結合剤は、有機又は高分子の結合剤であり、結合剤前駆体から誘導される。コーティングされた研磨材物品の製造中に、結合剤前駆体はエネルギー源にさらされ、これが結合剤前駆体の重合又は硬化を開始する助けをする。
エネルギー源の例には、熱エネルギー及び照射エネルギーが挙げられ、後者には、電子ビーム、紫外線、及び可視光線が挙げられる。この重合プロセス中に、結合剤前駆体が重合又は硬化されて、固化された結合剤に変換される。結合剤前駆体が固化されると、接着剤マトリックスを形成する。
コーティングされた研磨材物品中で使用される典型的な及び好ましい有機樹脂の例には、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アクリル化ウレタン、アクリル化エポキシ、エチレン系の不飽和化合物、ペンダント不飽和カルボニル基を有するアミノプラスト誘導体、少なくとも1つのペンダントアクリル基を有するイソシアヌレート誘導体、少なくとも1つのペンダントアクリル基を有するイソシアネート誘導体、ビニルエーテル、エポキシ樹脂、並びにこれらの混合物及び組合せが挙げられる。用語「アクリル」は、アクリル及びメタクリルを包含する。
フェノール樹脂は、その熱特性、入手容易性、及びコストのために、研磨材物品結合剤中で広範囲に使用されている。フェノール樹脂には、レゾール及びノボラックという2種類が存在する。レゾールフェノール樹脂は、1:1以上、典型的には1.5:1.0〜3.0:1.0の間のホルムアルデヒドのフェノールに対するモル比を有する。ノボラック樹脂は、1:1未満のホルムアルデヒド:フェノールのモル比を有する。
アクリル化ウレタンは、ヒドロキシ末端イソシアネート延長ポリエステル又はポリエーテルのジアクリレートエステルである。
アクリル化エポキシは、ビスフェノールAエポキシ樹脂のジアクリレートエステルなど、エポキシ樹脂のジアクリレートエステルである。
エチレン系不飽和樹脂としては、炭素原子、水素原子、及び酸素原子、並びに任意に窒素原子、及びハロゲンを含有する、モノマー及びポリマーの両化合物が挙げられる。酸素又は窒素原子、又はその両方は一般に、エーテル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、及び尿素基に存在する。エチレン系不飽和化合物は、好ましくは、約4,000未満の分子量を有し、好ましくは、脂肪族モノヒドロキシ基又は脂肪族ポリヒドロキシ基を含有する化合物と、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸との反応から調製されるエステルである。アクリル樹脂の代表的な例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、及びペンタエリトリトールテトラアクリレートが挙げられる。他のエチレン系不飽和樹脂としては、モノアリル、ポリアリル、及びポリメタリルのエステル、並びに、フタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、及びN,N−ジアリルアジポアミドなどのカルボン酸のアミドが挙げられる。更に他の窒素含有化合物としては、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリ(2−メチルアクリロイルオキシエチル(methyacryloxyethyl))−トリアジン、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルピペリドンが挙げられる。
アミノプラスト樹脂は、分子又はオリゴマー当たり少なくとも1個の、ペンダントα,β不飽和カルボニル基を有する。これらの不飽和カルボニル基は、アクリレート、メタクリレート、又はアクリルアミドのタイプの基とすることができる。このような物質の例としては、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N,N’−オキシジメチレンビスアクリルアミド、オルト及びパラアクリルアミドメチル化フェノール、アクリルアミドメチル化フェノールノボラック、及びこれらの組合せが挙げられる。
少なくとも1つのペンダントアクリレート基を有するイソシアヌレート誘導体、及び少なくとも1つのペンダントアクリレート基を有するイソシアネート誘導体が、米国特許第4,652,274号にて更に記載されている。好ましいイソシアヌレート物質には、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレートがある。
エポキシ樹脂は、オキシランを有し、開環によって重合される。かかるエポキシド樹脂には、モノマーのエポキシ樹脂及びオリゴマーのエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂の例には、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−フェニルプロパン](ビスフェノールのジグリシジルエーテル)及びフェノールホルムアルデヒドノボラックのグリシジルエーテルが挙げられる。
フリーラジカルで硬化可能な樹脂が使用される場合、やはり一般的に含まれるのは、フリーラジカル硬化剤又は反応開始剤である。しかしながら、電子ビームエネルギー源の場合、電子ビーム自体がフリーラジカルを発生させるため、硬化剤がいつも必要とされるわけではない。
フリーラジカル熱反応開始剤の例には、例えば過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、アゾ化合物、ベンゾフェノン、及びキノンが挙げられる。紫外線又は可視光線のいずれかのエネルギー源の場合、この硬化剤は、時に光反応開始剤と呼ばれる。紫外線にさらされたときにフリーラジカル源を発生する反応開始剤の例としては、有機過酸化物、アゾ化合物、キノン、ベンゾフェノン、ニトロソ化合物、アクリルハロゲン化物、ヒドロゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアクリルイミダゾール、ビスイミダゾール、クロロアルキルトリアジン(chloroalkytriazines)、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、及びアセトフェノン誘導体、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
コーティングされた研磨材物品を作製する方法
本開示のコーティングされた研磨材物品は、既知のコーティングプロセスにより作製することができる。
図1の研磨材物品10などの、メイク/サイズコートを有する研磨材物品は、メイクコート前駆体を裏材に塗布し、複数の研磨材粒子をメイクコート上に堆積させ、任意にメイクコート前駆体を少なくとも部分的に硬化させ、研磨材粒子を覆ってサイズコート前駆体を塗布し、及び次にサイズコート前駆体を硬化させてサイズコートを形成することによって、作製される。メイク/サイズコートを有する研磨材物品を作製する方法は、周知である。
図2の研磨材物品20などのスラリーコーティングされた研磨材物品は、結合剤前駆体材料と研磨材粒子のスラリーを形成することによって作製される。そのスラリーが裏材に塗布され、結合剤前駆体材料が硬化される。スラリーコーティングされた研磨材物品を作製する方法は、周知である。
図3の研磨材物品30などの、成型コーティングされた研磨材物品は、結合剤前駆体材料と研磨材粒子のスラリーを形成し、次にスラリーを工具に適用することによって作製される。その工具は、典型的には、結果として得られる所望の複合物のネガである、複数の空隙を有する。スラリーが、空隙の中にあるうちに、裏材に接触させられる。結合剤前駆体材料が硬化されて、工具が複合物から取り外される。そのようなコーティングされた研磨材物品を作製する方法は、周知である。米国特許第5,152,917号が、そのような正確に成型された研磨材物品を作製する様々な方法を記載しており、米国特許第5,435,816号も同様であるが、他の方法を使用することもできる。
コーティングされた裏材は、次に変換(例えば、切り込み、パンチ、スリットなど)されて、研磨材物品を形成する。
本開示に従えば、研磨材物品は、レーザーによって、すなわちレーザーエネルギーによって、変換(例えば、切り込み、スリット、形成など)される。レーザーは、研磨材物品の全体形状を形成(すなわち、外部切断を形成)するのに使用されてもよく、又は研磨材物品中の開口などの内部機構を形成するのに使用されてもよい。図4aは、本開示に従って作製された、開口付き研磨材物品40を示す。
上記説明のように、研磨材物品40の裏材には、取付けシステム又は他のコーティングがその裏面表面上に含まれてもよい。この取付けシステム又は他のコーティングは、レーザーによる変換の前又は後のいずれかに、裏材上に設けられてもよい。
しかしながら、本開示に従うと、スーパーサイズコーティングは、例えば図1のスーパーサイズコート19は、例えば、レーザーによる変換の後で、研磨材物品40に塗布することができる。変換の後でスーパーサイズコーティングを研磨材物品に塗布する場合には、スーパーサイズコーティングの塗布の後、新表面(例えば、研磨材コーティング面又は裏材)が、一般的には、全く露出されていないことが見出された。しかしながら、変換の前にスーパーサイズコーティングが塗布される場合、切り込み縁部に近接するスーパーサイズコーティングの領域が歪み又は損傷を受けて、新表面(例えば、研磨材コーティング又は裏材)が露出されることがある。これらの露出された新表面は、削り屑を集める及び/又はスクラッチを作り出す傾向を有する。変換(例えばレーザー変換)の後でスーパーサイズコーティングを塗布することは、内部開口を有する研磨材物品の場合、特に有益である。
図4aに戻って、研磨材物品40は、具体的には、その前面上に研磨材コーティング42を有する、ディスク41である。ディスク41が本明細書に示されているが、本開示の発明は、ディスク及び類似形状の研磨材物品40に限定されないこと、むしろ研磨剤の、シート、ベルト、ホイール、パッド、及び他の研磨材物品と共にも使用できることが理解される。
ディスク41の前面は、図1、2、及び3並びにそれぞれの研磨材物品10、20、30に関して上述された、第一面12a、22a、32aに相当する。第二面12b、22b、32bに相当する裏面は一般に、研磨材コーティングを有さないが、幾つかの実施形態では、摩擦増大コーティングが、裏面上に存在してもよい。研磨材コーティング42は、上述の研磨材コーティング14、24、34のどの1つでもよく、更に別のタイプの研磨材コーティングでもよい。ディスク41は、外側周囲43と、研磨材コーティング42中で周囲43に包囲されて存在する、複数の開口45とを有する。開口45は、研磨材コーティング42と、コーティング42が上に存在する裏材とを貫通する。
ディスク41は、約7.5cm〜15cmの(外周43により画定される)直径を有することが多いが、研磨材物品の(より大きい及びより小さいの両方の)他の寸法並びに他の形状にさえも、本開示の方法により作製可能である。開口45は、1mm〜30mmの直径を有することが多い。
開口45は、ある種の研磨材物品では普通である。これらの開口は通常、ベント穴、ベンチレーション穴、又は粉塵穴と呼ばれる。開口45は、研磨材物品/加工物の界面で粉塵(削り屑)を保持する及び/又はこれから取り出すための通路を提供して、使用中の研磨材物品の自己洗浄をもたらすことが多い。
図4aのディスク41は、複数の開口45を示しているが、ディスク41の用途及びディスク41の寸法に依存して、開口45の他の数及び形状にすることができる。研磨材物品40はディスク41であり、及び開口45は円形であるが、他の形状の研磨材物品40及び/又は開口45も、本開示の発明により作製可能であることを特記する。例えば、研磨材物品40中には、40より少ない開口が、50まで、100まで、200まで、又は500よりも更に多くの開口45が、存在してもよい。開口45は、研磨材物品40内のどこに存在してもよく、個々の開口部が、例えば1mm、10mm、又は30mmもの寸法であって、約1%〜約50%の開口面積を占めてもよい。
幾つかの実施形態では、開口45は、予め定められたパターンで配置される。好適なパターンの例には、ランダム開口45、半径方向に直線的に配置された開口45、及び同心リングの開口45が挙げられる。図4a及び4bに示される好適なパターンの別の例は、半径方向に配置された弧で少なくとも部分的に配列された、並びにランダムパターンで少なくとも部分的に配列された、一連の開口45である。
この図示される実施形態では、研磨材物品40(例えば、研磨材ディスク41)は、2つの区域に、外側環状区域と中央円形区域とに、分割されている。図4bを参照して、研磨材物品40は、半径Rにより画定される外周区域44と、半径rにより画定される中央円形区域46とを有する。中央円形区域46内では、開口45は、異なる寸法の開口のランダムパターンで配置されている。外側環状区域44内では、開口45は、半径方向に配置された弧48上に位置する。開口45の寸法及び配置は、それぞれの弧48上で交互になっている。
本開示に従えば、外周42及び開口45の少なくとも一方は、レーザーによって形成する(例えば、集中するレーザーエネルギーで切り込む)ことができる。レーザーは、開口45を形成して、融解した切り込み面を提供するのに、特に良く適する。融解した切り込み面は、概ね平滑面であり、粗さ(asperities)が無く、融解域が再凝固しており、光沢性がある場合もある。融解切り込み面は、研磨材コーティング構成要素の破砕若しくは割れ、又は裏材縁部の崩れなどの、機械的な欠陥を有さない。
研磨材物品を変換するためのレーザーの使用は、本出願以前にも試みられているが、結果として得られた研磨材物品は、商業的にも産業的にも受け入れられ得るものではなかった。本出願以前には、研磨材物品を加工する(例えば、変換する)ためのレーザーエネルギーの使用は、研磨材物品中の熱劣化、レーザーによる隆起部、及び表面に関係する欠陥などの問題に帰着していた。これらの問題点が、80%以上の性能損失、受け入れ不能な劣った仕上げ特性、仕上げられている加工物上の多数で形成速度が早い(渦マークで特徴付けられる)主表面スクラッチを有する、損傷されて使用できない製品という結果になった。
以前には、研磨材物品のレーザー切り込みは、切り込まれている材料(例えば、ポリマーの裏材、研磨材コーティングなど)の流動及び再凝固(再鋳造)に起因する残留隆起部を、レーザー切り込み縁部に近接して残していた。例えば、図6は、従来技術のレーザー切り込みによる研磨材物品中の開口を示す。開口は、研磨材コーティング42及び下部の裏材中に、うまく作り出されている。しかしながら、隆起部すなわち再鋳造材料47が形成された。そのような隆起部は、少なくとも20マイクロメートルのことが多く、場合によっては、少なくとも40マイクロメートルであって隣接する研磨材コーティング42よりも高いことがある。比較的少ない(例えば約10未満の)開口45を有する研磨材物品の場合、又は比較的荒い等級の(例えば約40マイクロメートルを超える研磨材粒子を有する)研磨材物品の場合、これらの意図しない隆起部も、研磨材物品及びその性能に悪影響をほとんど有さない。しかしながら、開口の数が増す(例えば、約40を超える)につれて、又は研磨材粒子の寸法が低下(例えば約40マイクロメートル未満に、例えば約35マイクロメートルに)するとき、例えば、研磨材表面を加工物から持ち上げることにより研磨量を減少させることによって、及び/又は隆起部における単位圧力の増加により加工物中に所望しないスクラッチを引き起こすことによって、隆起物が研磨性能を妨げる。
研磨材鉱物の作動面(例えば研磨材コーティング42)の一部を覆うベンチレーション穴(例えば開口45)を有する研磨材物品(例えば研磨材物品40)を製造するのに、レーザーが以前使用されたとき、レーザー加工に伴う問題点は、レーザーをこの機能に使用することがこれまで不可能であった深刻な性質のものであった。本開示の方法が、上述の問題点を軽減する、及びこれにより顧客が使用するための高価値最終製品を達成する、製品及び方法を提供する。
その方法は、研磨材の裏面(すなわち研磨材コーティングの反対面)上で開始して表面(すなわち研磨材コーティング面)まで貫いて進むレーザーエネルギーの衝突で、研磨材物品を変換する(例えば、切り込む)ことを伴う。本開示に従えば、裏から前まで切り込むことによって、(特に開口45の)切り込み縁部周りの隆起の影響が回避される。仮に存在する場合でも、レーザーで裏から前まで貫いて変換することに起因するいずれかの隆起人工物は、研磨材コーティングより上に、10マイクロメートルを超えない高さであり、例えば、5マイクロメートル以下、又は2マイクロメートル以下でさえある。
「レーザー」(すなわち、「誘導放出による光の増幅(light amplification by stimulated emission of radiation)」)は、一般的には、光源であり、具体的には、3×1010cm/sの速度で伝播する、及び振動する電界により特徴付けられる、電磁放射の形態である。研磨材物品を変換(例えば、穿孔又は切断)するのに使われるレーザーは、いかなる好適な従来型レーザーであってもよい。好適なレーザーの例には、ガスレーザー、化学レーザー、エキシマレーザー、及び固体レーザーが挙げられる。多数のレーザータイプが、本明細書で説明される研磨材物品の変換に好適な可能性があるが、COレーザーとして知られる分子ガスレーザーなどの低密度ゲイン媒質のレーザーが、特に有用であり、好ましい。
これらのガスレーザーは、数多くの利点を有する。第一に、レーザー光の放出を生成するのに使用される気体が均質である。加えて、レーザー作用が生じる領域から加熱された気体が流出可能であるので、レーザー設計において重要な考慮点である熱の除去が、比較的容易である。上述のように、好ましいガスレーザーには、COレーザーがあり、これは、分子エネルギーレベルで作用する、並びに二酸化炭素、窒素、及びヘリウムの混合物を使用する、分子レーザーである。COレーザーは、連続又はパルスのいずれのレーザー放出をも提供することができる。二酸化炭素レーザーの動作は、放電中の電子との衝突による窒素分子の振動レベルの励起と、次に二酸化炭素分子の振動レベルへの共鳴エネルギーの伝達とを伴う。
ガスレーザーの例には、二酸化炭素レーザー、アルゴンイオンレーザー、一酸化炭素レーザー、及び金属イオンレーザーが挙げられ、金属イオンレーザーは、ヘリウム銀(HeAg)の224nmレーザー及びネオン銅(NeCu)の248nmレーザーなどの、遠紫外波長を生成するガスレーザーである。これらのレーザーは、3GHz(0.5ピコメートル)未満の特に狭い振動線幅を有する。
化学レーザーは、化学反応によってエネルギー供給されており、高パワーを連続運転で達成することができる。例えば、フッ化水素レーザー(2700〜2900nm)及びフッ化重水素レーザー(3800nm)においては、反応は、三フッ化窒素中における、水素又は重水素ガスとエチレンの燃焼生成物との混合である。
使用可能なガスレーザーの他のタイプに、エキシマ層がある。エキシマレーザーは、光スペクトルの紫外線部分におけるレーザー技術を代表するものであり、高いピークパワーを有するパルス状の短波長レーザーの能力を提供する。エキシマレーザーの先導的な例は、フッ化クリプトンレーザーである。
更に別のタイプのレーザーに、固体レーザー又は色素タイプのレーザーなどの、高密度ゲイン媒質のレーザーがある。これらのレーザーは、光スペクトルの赤外線から紫外線部分までにわたることができるレーザー技術を代表するものであり、やはり高いピークパワーと高い連続パワーとを提供する。このタイプのレーザーの一例に、Nd:YVOすなわちネオジムをドープしたイットリウムバナデートレーザーがあり、そのより短い波長は高調波である。
COレーザーは、特に9.2〜10.6マイクロメートルの波長において、COレーザーのビームを集中させて、研磨材裏材の少なくとも裏面表面層を蒸発及び/又は融解可能であるので、非常に有用である。典型的には、レーザービームの複数パス(トレース)が実施されて、それぞれの切り込みを完成する。レーザーパワー及び集中は、好ましくは、レーザーが下に存在する研磨材まで切り進むように、及び、第一パス中のいずれかの有害な隆起を回避するように、レーザーの走査速度並びに研磨材裏材の厚さ及びエネルギー吸収特性に対して、調節される。レーザービームは、そのようなものとして、例えば裏面のある所定の深さまでだけ切り込む又は刻み目を付けるような具合に、裏面上で集中させることができる。研磨材物品を貫くきれいな切り込みが作り出されるまで、この部分切り込みを繰り返すことができる。
レーザー切り込みの前に取付け層が研磨材物品の裏面に固着される場合、追加層(単数又は複数)のヒート・シンク効果のために、隆起物(ridge artifacts)が減少する。
好適なパルスレーザーの1つの特定例に、次のようなものがある。
製造者:カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara, CA)のコヒーレント社(Coherent Inc.)
モデル名:ダイヤモンド(Diamond)84レーザー
クラス:CO
動作波長:10.6μm
(1kHzで)60%デューティサイクルにおける最大パワー:300w
パルスエネルギーの範囲:10〜450mJ
パルス幅の範囲:10〜1000μS
パルスの上昇及び下降時間:<60μS
説明:無線周波数励起、密封COパルスレーザー
送達方法:スキャナー基準
入力ビーム(直径):7.0mm
最終ビーム直径:0.250mm
Figure 0005340966
好適な連続波レーザーの1つの特定例に、次のようなものがある。
製造者:ワシントン州シアトル(Seattle, WA)のシンラド(Synrad)
モデル名:エボルーション(Evolution)
クラス:CO
波長:10.6μm
最大パワー:
−連続モード:100w
−パルスモード:150W
変調:20kHzまで
上昇時間:<150μS
説明:無線周波数励起、密封COパルスレーザーから連続波出力まで
送達方法:XYプロッタ基準
入力ビーム(直径):4.0mm
最終ビーム直径:0.250mm
Figure 0005340966
米国特許第6,826,204号では、超短パルスQスイッチCOレーザーの例が提供されており、このレーザーは、少なくとも100kHzの繰返し数と、9.2マイクロメートルから10.6マイクロメートルに範囲する波長とを有する。このレーザー及びこの特許で開示された他のものが、本開示に記された縁部影響への助けになるであろうと考えられる。これらのより高い繰返し数(reputation rates)は、融解排除が支配的な機構よりもむしろ蒸発がより支配的な材料除去による作用によって、より少ない再鋳造層及び熱影響域をもたらすであろうと考えられる。
図5は、研磨材物品中の部分開口の顕微鏡写真であり、開口は、研磨材コーティング42に反対の面を貫いて開始された、集束するレーザーエネルギーによって切り込まれた。研磨材面は概ね平らであって、開口を画定する切り込み域49に近接して存在する隆起部、突出部、又は他の隆起機構が無いのを見ることができる。開口から遠い研磨材面は、レーザー変換による影響を受けていない厚さを有する。切り込み域49の縁部は、その上に向けられたレーザーエネルギーによって融解されたものである。
図6は、研磨材物品中の開口の顕微鏡写真であり、開口は、研磨材コーティング42を貫いて開始された、集束するレーザーエネルギーによって切り込まれた。隆起部47が開口を包囲して、不均一な研磨材コーティング面を形成している。開口にじかに隣接する隆起部47の高さは、研磨材コーティング42の面よりも約165マイクロメートル高かった。
図7は、ダイカットを用いて変換された(例えば、切り込まれた)と考えられる、従来技術の研磨材物品中の開口の顕微鏡写真である。研磨材コーティング42中の開口は、研磨材粒子及び裏打ち構造体により形成された、隆起部分付き側壁51を有する。
隆起部(例えば、図6の隆起部47)は、融解された又は別の方法で歪んだ、裏材材料及び/又は研磨材コーティング材料で形成されると理論付けられる。幾つかの実施形態では、例えば熱可塑性高分子の裏材では、裏材材料が、融解され又は歪んで、研磨材コーティング面上に隆起部を形成する可能性がある。非熱可塑性高分子の裏材(例えば、紙の裏材又は布地の裏材)の場合でさえ、依然として、隆起部に接触する。ポリマーで無い裏材を有するこれらの研磨材物品の場合、融解され又は歪んで研磨材コーティング面上に隆起部を形成する可能性があるのは、研磨材コーティング材料の一部分、又は研磨材コーティングの上若しくは下のいずれか他の層である。
図6に示されるような、隆起部を有する研磨材物品は、少なくとも、隆起部が研磨材コーティングの研磨される加工物への接触を妨げるので、望ましくない。研磨材コーティングの加工物表面への接触を減少させると、例えば、加工物の研削率を幾分か又は全く低下させることによって、加工物中のスクラッチの発生を増大させることによって、及び研磨材物品の耐用期間を短縮することによって、研磨材物品の性能が低下する。
1.裏面を貫いて切り込むことの効果
幾つかの研磨材物品が、従来のメイク/サイズコーティング技法を用いて作製された。これらの試験については、スーパーサイズは実施されず、裏材上の取付けシステムも実施されなかった。研磨材物品は、COレーザーの使用で、内部開口を有するディスクに変換された。
それぞれの試験について、1つの研磨材物品が、COレーザーを用いて(本開示の発明により)最初に裏面を貫いて内部開口を切り込んで作製され、1つの研磨材物品が、レーザーを用いて前面(すなわち研磨材コーティング面)を貫いて内部開口を切り込んで作製された。6つの異なる構成の開口が作製された。図8が、性能結果のグラフを示す。最初に裏面を貫いて変換された(切り込まれた)研磨材物品は、隆起部を有さなかったが、最初に前面を貫いて切り込まれた研磨材物品は、隆起部を有した。
約10以上の内部開口の場合、研磨率は、最初に研磨材コーティングを貫いて切り込んだ研磨材物品については、最初に裏面を貫いて切り込んだ研磨材物品(すなわち約2グラム)と比較すると、著しく低かった(すなわち約0.8グラム)ことが、図8で見られる。性能の劇的な低下は、それぞれの開口を包囲する高い隆起部のためであり、これにより、研磨材粒子の先端が、加工物表面に接触されずに、ひいては加工物表面に効果的な研磨ができなくされると、理論付けられる。
2.裏材上での接着剤存在中の裏面を貫く切り込み
従来のメイク/サイズコーティングを有してスーパーサイズコーティングが無い幾つかの市販研磨材物品(3M社(3M Company)からの「360L」グレードP800)に、次の手順を用いて、アクリル転写両面テープ(dual-sided acrylic transfer tape)(3M社からの「3M 9695 5ミルの転写テープ」)を積層した。テープのある長さを母ロールから巻き戻して切断し、接着剤テープの裸面を露出させた。次に、研磨材物品の研磨材面に反対の裏面に、テープの露出した粘着面を手で積層させた。積層された研磨材が、COレーザーで、裏面(すなわち転写テープ面)を貫いて穿孔されて、12.7cm(5インチ)直径のディスクに切断された。比較例は、前面(すなわち研磨材面)を貫いて切り込まれた。
最初に裏面を貫いて切り込まれた研磨材物品は、隆起部を有さなかったが、最初に前面を貫いて切り込まれた研磨材物品は、隆起部を有した。
次に、15〜200マイクロメートルの研磨材粒子を有する「373L」と称される幾つかの研磨材物品(これは、その上のサイズコーティングが着色されている点を除いて、ミネソタ州セントポール(St. Paul, MN)の3M社(3M Company)から入手可能な「372L」研磨材物品と同一である)が、及びまた従来のメイク/サイズコーティングを有してスーパーサイズコーティングが無い、「360L」グレードP220〜P1000(やはり3M社から)が、以下で識別される条件を用いて接着剤(以下で識別される)で積層された。
Figure 0005340966
接着剤は、研磨材物品の研磨材面に反対の裏面に積層された。積層された研磨材が、COレーザーで、裏面(すなわち接着剤面)を貫いて穿孔されて、12.7cm(5インチ)直径のディスクに切断された。比較例は、前面(すなわち研磨材面)を貫いて切り込まれた。
最初に裏面を貫いて切り込まれた研磨材物品は、隆起部を有さなかったが、最初に前面を貫いて切り込まれた研磨材物品は、隆起部を有した。
3.切り込み後のスーパーサイズコーティング塗布
従来のメイク/サイズコーティングを有してスーパーサイズコーティングが無い、幾つかの市販研磨材物品(3M社(3M Company)からの「360L」グレードP800)が、次の試験用の基材として使用された。実施例1の場合、内部穴を有さない標準研磨材物品が、使用された。実施例2の場合、ステアリン酸亜鉛のスーパーサイズコーティングが、内部穴を有さない研磨材物品に塗布された。実施例3の場合、内部真空穴が、ステアリン酸亜鉛のスーパーサイズコーティングを有する研磨材物品の裏面を貫いて、レーザー切り込みされた。実施例4の場合、内部真空穴が、研磨材物品の裏面を貫いてレーザー切り込みされ、その後で、ステアリン酸亜鉛のスーパーサイズコーティングが、塗布された。
4つの実施例が、次の手順により試験された。研磨材物品が、「ダイナブレード(Dynabrade)」の40の真空穴を有する12.7cm(5インチ)バックアップパッドに取り付けられた。「ダイナブレード(Dynabrade)」の40穴の12.7cm(5インチ)インターフェースパッドも使用された。バックアップパッド及び研磨材物品が、「ダイナブレード(Dynabrade)」15.2cm(6インチ)空気圧式自己発生真空サンダーに取り付けられ、サンダーが、920.5kPa(90psi)の空気圧で作動された。透明コーティングされた試験パネル(ACTラボラトリーズ(ACT Laboratories)からの「RK148」)が、その研磨材物品で30秒間サンダー掛けされた。
サンダーを掛ける前と30秒間サンダーを掛けた後の両方のパネルの重量を記録した。その差を「研削」とした。加えて、最初のスクラッチ(すなわち「Q」)を形成する時間を記録した。
Figure 0005340966
これらの結果は、レーザーでの変換の後でスーパーサイズコーティングを塗布すると、より良い研磨率、及びスクラッチに至るまでのより長い持続時間がもたらされることを示している。
上記明細及び実施例は、本発明の特定の実施形態の製造及び使用について、完全な説明を提示していると考える。本発明の多くの実施形態が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実施可能であるので、本発明の真の趣旨及び範囲は、以下に添付する請求の広範囲の意味を有する。
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることは当業者には自明であろう。したがって、本開示の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

Claims (2)

  1. (a)裏材であって、前記裏材の第一面上に研磨材コーティングを有する、裏材と、
    (b)前記裏材及び前記研磨材コーティングを貫く少なくとも10の開口であって、それぞれの開口が側壁を有する、少なくとも10の開口と、
    (c)脂肪酸の金属塩を含むスーパーサイズコーティングであって、前記スーパーサイズコーティングが、前記研磨材コーティング及び前記側壁を覆って存在する、スーパーサイズコーティングと、を含む、研磨材物品であって、
    各開口が、切り込み後に露出した新表面を含む側壁を有し、前記露出した新表面が前記裏材及び前記研磨材コーティングを含み、
    前記スーパーサイズコーティングが、前記研磨材コーティングの前記露出した新表面を覆い、かつ前記裏材の前記露出した新表面を覆う、研磨材物品
  2. (a)第一面及び第二面を有する裏材の第一面上に研磨材コーティングを提供すること、
    (b)前記裏材及び前記研磨材コーティングを貫く少なくとも10の開口であって、それぞれ側壁を有する開口を形成すること、並びに
    (c)脂肪酸の金属塩を含むスーパーサイズコーティングであって、前記研磨材コーティング及び前記側壁を覆って存在するスーパーサイズコーティングを塗布すること、
    を含み、
    前記少なくとも10の開口を形成することが、
    (d)レーザーエネルギーを前記裏材上に集束させることであって、前記レーザーエネルギーが、前記研磨材コーティングを貫通する前に、前記裏材の前記第二面を貫いて通ることを含む、研磨材物品を作製する方法。
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