JP5340876B2 - 弾性波デバイス、フィルタ、通信モジュール、通信装置 - Google Patents

弾性波デバイス、フィルタ、通信モジュール、通信装置 Download PDF

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Description

本願の開示は、弾性波デバイス、フィルタ、通信モジュール、通信装置に関する。
近年、携帯電話に代表される無線機器の急速な普及により、圧電材料を用いた弾性表面波(SAW)や厚み振動波(BAW)を用いた共振子を複数組み合わせることにより特定の周波数帯の電気信号のみを通過させる特徴を持った高周波通信用のフィルタ素子が開発されている。これまでは主として誘電体フィルタとSAWフィルタが使用されてきたが、最近では、特に高周波での特性が良好で、かつ小型化とモノリシック化が可能な素子である圧電薄膜共振子を用いて構成されたフィルタが注目されつつある。
このような圧電薄膜共振子の中には、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)タイプとSMR(Solidly Mounted Resonator)タイプがある。前者は、基板上に、主要構成要素として、上部電極/圧電膜/下部電極の構造を有し、上部電極と下部電極が対向する部分の下部電極下に空隙が形成されている。ここで、空隙は、下部電極が配置された基板表面に設けた犠牲層のウェットエッチング、あるいは裏面からの基板のウェットエッチング、又はドライエッチング等により形成される。また、後者は上記の空隙の代わりに、音響インピーダンスが高い膜と低い膜を交互にλ/4(λ:弾性波の波長)の膜厚で積層し音響反射膜として利用する構造のものである。
圧電薄膜共振子の上部電極と下部電極との間に電気信号としての高周波電圧を印加すると、上部電極と下部電極に挟まれた圧電膜内部に逆圧電効果に起因する弾性波が励振される。また、弾性波によって生じる歪は圧電効果により電気信号に変換される。このような弾性波は、上部電極膜と下部電極膜がそれぞれ空気に接している面で全反射されるため、圧電膜の厚み方向に主変位をもつ縦振動波となる。このような共振現象を利用することで、所望の周波数特性を有する共振子(あるいはこれを複数接続して形成されるフィルタ)を得ることができる。
例えば、FBARタイプの圧電薄膜共振子では、空隙上に形成された上部電極膜/圧電膜/下部電極膜を主要な構成要素とする積層構造部分の総膜厚Hが、弾性波の波長λの1/2(1/2波長)の整数倍(n倍)となる周波数(H=nλ/2)において共振が生じる。ここで、圧電膜の材質によって決まる弾性波の伝搬速度をVとすると、共振周波数Fは、
F=nV/2H
となるから、積層構造の総膜厚Hにより共振周波数Fが制御できる。
このような圧電薄膜共振子を用いたフィルタの構成としては、共振子を直列−並列に梯子状に繋ぐラダー型フィルタがある。ラダー型フィルタは、梯子型に組む段数や、直列−並列に配する共振子の容量比を変えるだけで、挿入損失、帯域外抑圧度等を容易に操作することができ、設計手順も簡便なため、良く用いられている。同様な設計手法としてラティス型フィルタもある。
これらのフィルタ構成においては、直列腕に接続された圧電薄膜共振子(以下、直列共振子と略記)の共振周波数と並列腕に接続された圧電薄膜共振子(以下、並列共振子と略記)の共振周波数は異なり、直列共振子の共振周波数が並列共振子の共振周波数より高くなる様に、同一チップ内で共振周波数の異なる圧電薄膜共振子を形成する必要がある。この共振周波数差を形成するために、従来から様々な方法が考え出されている。なお、圧電薄膜共振子の共振周波数が積層構造部分の質量に反比例することは知られている。すなわち、積層構造部分の質量が重くなれば共振周波数は低周波側にシフトし、積層構造部分の質量が軽くなれば共振周波数は高周波側にシフトする。
特許文献1は、同一基板上に複数の共振周波数を有する圧電薄膜共振子を得るために、圧電薄膜共振子の主要構成膜である下部電極、圧電膜、上部電極の膜厚を変化させる方法や質量負荷膜を追加することによって共振周波数を調整する構成を開示している。また、特許文献2、3は、圧電薄膜共振子の電極上の質量負荷膜をパターニングすることによって共振周波数を調整する構成を開示している。
特許第4008264号公報 米国特許第6657363号明細書 特開2008−172494号公報
特許文献1が開示している構成では、異なる膜厚の質量負荷膜形成が必要となり、複数回の成膜技術、フォトリソグラフィ技術、エッチング技術を行うために、工程が煩雑化する上にデバイスの製造コストを上昇させてしまうという課題があった。特許文献2が開示している構成では、並列共振子の質量負荷膜を用いてパターンを形成した場合には、共振子の周波数を移動することによって共振特性が大幅に劣化するという課題があった。特許文献3が開示している構成では、共振周波数より低周波帯域に不要応答が生じてしまうという課題があった。
本発明は、簡単に製造でき、不要応答を低減して優れた通過特性の弾性波デバイス、フィルタ、通信モジュール、通信装置を提供することである。
本願の開示は、基板と、前記基板上に形成されている下部電極と、前記基板上および前記下部電極上に形成されている圧電膜と、前記圧電膜を挟み前記下部電極と対向して共振部を有するように圧電膜上に形成されている上部電極とを備えた弾性波デバイスであって、前記共振部に質量を付与する複数のパターンを備えた周波数制御膜を、さらに備え、前記周波数制御膜は、少なくとも前記共振部を含む領域に備わり、前記複数のパターンは、等周期配列され、少なくとも2つの群からなり、前記群の間隔は、前記複数のパターンの周期長の(1/2+N)倍〔N:自然数〕である。
本願の開示によれば、簡単に製造でき、不要応答を低減して優れた通過特性の弾性波デバイス、フィルタ、通信モジュール、通信装置を得ることができる。
実施の形態にかかる圧電薄膜共振子の平面図 第一圧電薄膜共振子の断面図 第二圧電薄膜共振子の断面図 ラダー型フィルタの回路図 A〜Dは、第一圧電薄膜共振子の製造工程を示す断面図 A〜Dは、第二圧電薄膜共振子の製造工程を示す断面図 実施例1における周波数制御膜の平面図 実施例1と比較例とにおける圧電薄膜共振子の共振特性を示す特性図 比較例における周波数制御膜の平面図 制御膜群の間隔を5/4Lとした場合と比較例とにおける圧電薄膜共振子の共振特性を示す特性図 制御膜群を4分割した場合と比較例とにおける圧電薄膜共振子の共振特性を示す特性図 制御膜群を4分割した周波数制御膜の平面図 間隔が7μmで直径が3.5μmの周波数制御膜を備えた場合と比較例とにおける圧電薄膜共振子の共振特性を示す特性図 周波数制御膜の平面図 ラダー型フィルタの回路図 ラティス型フィルタの回路図 A〜Fは第一圧電薄膜共振子の変形例の断面図 A〜Fは第二圧電薄膜共振子の変形例の断面図 通信モジュールのブロック図 通信装置のブロック図
(実施の形態)
〔1.弾性波デバイスの構成〕
圧電薄膜共振子を用いたラダー型フィルタおよびラティス型フィルタを形成するためには、2種類の共振周波数の圧電薄膜共振子があればバンドパスフィルタが実現できる。しかしながら、フィルタの特性向上のためには圧電薄膜共振子の共振周波数も一つの設計パラメータとできれば設計自由度が広がる。特許第4008264号公報は、同一基板上に複数の共振周波数を有する圧電薄膜共振子を得る方法として、圧電薄膜共振子の主要構成膜である下部電極、圧電膜、上部電極の膜厚を変化させる方法や質量負荷膜を追加することによって調整する構成を開示している。また、米国特許第6657363号明細書、及び特開2008−172494号公報は、圧電薄膜共振子の電極上の質量負荷膜をパターニングすることによって調整する構成を開示している。
特許第4008264号公報が開示している構成では、複数の共振周波数を有する圧電薄膜共振子を同一チップ内で得るために、圧電薄膜共振子の電極上に新たに質量負荷膜を追加している。したがって、複数の共振周波数を有する圧電薄膜共振子を同一チップ内で得るためには、異なる膜厚の質量負荷膜の形成が必要となり、複数回の成膜技術、フォトリソグラフィ技術、エッチング技術を行うために、工程が煩雑化する上にデバイスの製造コストを上昇させてしまうという課題があった。
米国特許第6657363号明細書が開示する弾性波デバイスでは、複数の共振周波数を有する共振子を同一チップ内で得るためには、共振子の電極上に形成した質量負荷膜について、質量負荷膜のピッチをパターニング工程で制御することにより、共振周波数の調整が可能であることを示している。1回の成膜処理、フォトリソグラフィ処理、エッチング処理で、複数の共振子間で、質量負荷膜に対して異なるパターンを形成することができ、同一チップ内で複数の共振周波数を有する共振子を形成できる。更には、米国特許第6657363号明細書は、1つの圧電薄膜共振子の質量負荷膜のパターンのピッチに関する開示はあるが、パターンに対する要求事項については開示していない。
また、特開2008−172494号公報が開示している圧電薄膜共振子は、米国特許第6657363号明細書が開示している圧電薄膜共振子と同様に、圧電薄膜共振子の電極上に複数の円形パターンが周期的に配置された質量負荷膜が形成されている。質量負荷膜により共振周波数の調整が可能であることを示している。しかしながら、共振周波数より低周波帯域に不要応答が生じてしまう課題があった。
本実施の形態にかかる弾性波デバイスは、同一フィルタチップ内に形成された複数の圧電薄膜共振子の共振周波数を個別に移動させる手段として、質量負荷膜厚の増減ではなく、短い製造工程で共振周波数移動を実現する。そのために、共振部に設けられた周波数制御膜のパターンを調整することにより、不要応答を低減し、優れた通過特性を得ることを目的とする。
(実施例1)
図1A〜図1Cは、本実施の形態にかかる弾性波デバイスの一例である圧電薄膜共振子の一実施例を示す。図1Aは、圧電薄膜共振子の平面図である。図1Bは、図1AにおけるA−A部の断面図であり、第一圧電薄膜共振子の断面図である。図1Cは、第二圧電薄膜共振子の断面図である。
図2は、実施例1にかかる圧電薄膜共振子を直列腕と並列腕とに複数個配置しているフィルタ回路を示す。ここで、直列腕に接続する共振子を第一圧電薄膜共振子(直列共振子)S1〜S4、並列腕に接続する共振子を第二圧電薄膜共振子(並列共振子)P1〜P3と呼ぶこととする。
図1A〜図1Cに示す圧電薄膜共振子は、基板41、空隙42、下部電極43、圧電膜44、上部電極45、メンブレン部46、エッチング媒体導入孔47、エッチング媒体導入路48、質量負荷膜50、周波数制御膜51、周波数調整膜52を備えている。基板41は、本実施例ではシリコン(Si)を用いている。下部電極43は、本実施例ではルテニウム(Ru)/クロム(Cr)の2層構造としている。圧電膜44は、本実施例では窒化アルミニウム(AlN)を用いている。上部電極45は、本実施例ではCr/Ruの2層構造としている。下部電極43、圧電膜44、上部電極45の各膜は、スパッタリング法等などの成膜方法によって形成することができる。例えば、2GHzの共振周波数を有する圧電薄膜共振子の場合、各層のおおよその膜厚は、下部電極43のRuが250nm、Crが100nm、圧電膜44のAlNが1150nm、上部電極45のCrが20nm、Ruが250nmとすることができる。なお、下部電極43及び上部電極45の電極膜としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、チタン(Ti)などを用いることができる。また、圧電膜44としては、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛(PbTiO3)などを用いることができる。また、基板41としては、シリコン(Si)、ガラス、セラミックス等を用いることができる。
図1Cに示すように、第二圧電薄膜共振子P1〜P3は、その共振周波数を、第一圧電薄膜共振子S1〜S4の共振周波数よりも低周波側にするために、質量負荷膜50を備えている。質量負荷膜50は、本実施例では膜厚125nmのチタン(Ti)で形成されている。質量負荷膜50は、上部電極45のCr膜とRu膜との間に備わる。質量負荷膜50は、下部電極43と上部電極45とが対向しているメンブレン部46に質量を負荷する膜として機能させるためには、少なくとも上部電極45と下部電極43とが対向するメンブレン部46を含むように形成されていればよい。また、質量負荷膜50は、上部電極45と下部電極43とが対向するメンブレン部46を含むように形成したものを最小領域とし、上部電極45の形状と一致する形状を最大領域とし、この最小領域と最大領域との間の大きさで任意の形状とすることができる。ここで、第二圧電薄膜共振子P1〜P3の共振周波数を第一圧電薄膜共振子S1〜S4の共振周波数よりも低い周波数にする方法としては、上記の質量負荷膜50を用いる方法の他に、第二圧電薄膜共振子P1〜P3の上部電極45の膜厚を第一圧電薄膜共振子S1〜S4の上部電極45の膜厚よりも厚くする方法がある。
図1B及び図1Cに示すように、第一圧電薄膜共振子S1〜S4および第二圧電薄膜共振子P1〜P3の上部電極Cr/Ruの上には、周波数制御膜51が備わる。周波数制御膜51は、本実施例では膜厚20nmのTiで形成されている。周波数制御膜51は、少なくとも上部電極45と下部電極43とが対向するメンブレン部46を含むように備わる。
周波数調整膜52は、メンブレン部46における最上層に備わる。周波数調整膜52は、本実施例ではSiO2で形成されている。周波数調整膜52は、図1Bに示す第一圧電薄膜共振子S1〜S4、図1Cに示す第二圧電薄膜共振子P1〜P3の共振周波数調整を同時に行うことができる。すなわち、直列腕の第一圧電薄膜共振子S1〜S4の膜構成は、最上層から最下層に向かって、SiO2/Ti/Cr/Ru/AlN/Ru/Cr/Si基板の順番で膜が形成されている。並列腕の第二圧電薄膜共振子P1〜P3の膜構成は、最上層から最下層に向かって、SiO2/Ti/Cr/Ti/Ru/AlN/Ru/Cr/Si基板の順番で膜が形成されている。なお、各層の膜厚は、フィルタの要求仕様に応じて異なり、下部電極43及び上部電極45の膜、圧電膜44、質量負荷膜50、周波数制御膜51も上述以外の構成も可能である。また、下部電極43は、1層構造でもよい。また、質量負荷膜50は、2層構造からなる上部電極45の間に挟むことにより、周波数制御膜51は第一圧電薄膜共振子S1〜S4と第二圧電薄膜共振子P1〜P3ともに同じ材料の上に形成できる。上部電極45と下部電極43とが対向するメンブレン部46の、下部電極43の下と基板41との間にはドーム状の空隙42(膨らみ)が形成されている。「ドーム状の空隙」とは、例えば空隙の周辺部では内部高さが低く、空隙の中央ほど内部高さが高くなるような形状の膨らみである。
図3A〜図3Dは、第一圧電薄膜共振子S1〜S4の製造工程を示す断面図である。図4A〜図4Dは、第二圧電薄膜共振子P1〜P3の製造工程を示す断面図である。図3A〜図3D、図4A〜図4Dは、いずれもメンブレン部46の中心を通る線分(図1AにおけるA−A部)における断面を示す。
まず、図3A及び図4Aに示すように、平坦主面を持つSi基板41上に、例えば酸化マグネシウム(MgO)等からなる膜厚が10〜100nm程度の犠牲層49を、例えばスパッタリング法または蒸着法を用いて形成する。基板41は、Si基板以外にも石英基板、ガラス基板、セラミックス基板、GaAs基板等を用いることができる。特に、基板41は、空隙形成工程においてエッチングにより空隙を形成しないため、エッチングが困難な材料で形成されたものを採用することができる。犠牲層49は、ZnO、Ge、Ti、Cu等、エッチング液あるいはエッチングガスにより容易に溶解できる材料で形成することが好ましい。犠牲層49の形成後、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて、犠牲層49を所定の形状にする。
次に、図3B及び図4Bに示すように、下部電極43として、Ru/Crをスパッタリング法または蒸着法等により成膜する。下部電極43のRuの膜厚は250nmとし、Crの膜厚は100nmとした。ここでは、下部電極43は2層構造としたが、1層構造でもよい。次に、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術により、犠牲層49を覆うように、下部電極43を所望の形状にパターニングする。この時、下部電極43には、犠牲層49をエッチングするためのエッチング媒体を導入するためのエッチング媒体導入路48(図1A参照)が形成され、エッチング媒体導入路48の先端には空隙形成時に犠牲層49をエッチングするためのエッチング媒体導入孔47(図1A参照)が形成されていてもよい。続いて、圧電膜44としてAlNを、スパッタリング法等により成膜する(膜厚1150nm)。次に、上部電極45の第一層45aとしてRuを、スパッタリング法等により成膜する(膜厚250nm)。
次に、図4Bに示すように第二圧電薄膜共振子は、質量負荷膜50としてTiを、スパッタリング法等により成膜する(膜厚125nm)。次に、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術により、質量負荷膜50が少なくとも上部電極45と下部電極43とが対向したメンブレン部46を含むように形成する。ここで、質量負荷膜50のパターニングには、リフトオフ法を用いることができる。なお、質量負荷膜50は、第一圧電薄膜共振子と第二圧電薄膜共振子の両方に成膜されるが、第一圧電薄膜共振子の質量負荷膜50は不要であるため除去される。質量負荷膜50の成膜は、第二圧電薄膜共振子の製造工程においてのみ実施され、第一圧電薄膜共振子の製造工程においては省略することができる。
次に、図3C及び図4Cに示すように、スパッタリング法などで上部電極45の第二層45bとして、Crを成膜する(膜厚20nm)。ここで、第二圧電薄膜共振子における質量負荷膜50は、上部電極45の第一層45aと第二層45bとにより挟まれた状態となる。次に、上部電極45の第二層45bの上に、周波数制御膜51としてTiを成膜する(膜厚20nm)。次に、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて、少なくとも上部電極45と下部電極43とが対向したメンブレン部46を含む領域の周波数制御膜51を、所望の形状にパターニングする。本工程によって、フィルタを構成する各共振子の上部電極上の複数パターンからなる周波数制御膜51の総面積を各々異ならせることによって、複数の共振周波数を有する共振子を一度の工程で形成することができる。複数パターンからなる周波数制御膜51が無ければ、直列共振子の共振周波数と並列共振子の共振周波数は、質量負荷膜50によって共振周波数差が生じているだけで、直列共振子の全てあるいは並列共振子の全てでは各々単一の共振周波数であるが、複数パターンからなる周波数制御膜51により、直列共振子の個々に対して共振周波数を設定することができ、並列共振子の個々に対しても同様に共振周波数を設定することができる。即ち、フィルタを構成する全ての共振子に対して個別に共振周波数を設定することが可能になる。
周波数制御膜51のエッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチングのうちいずれか一方を用いることができる。しかし、微細なパターン形状が容易に得られること、アンダーエッチングが少ないことから、ドライエッチングを用いるほうが好ましい。
周波数制御膜51の形状は、膜厚よりも低い高さであってもかまわない。しかし、各共振子間で複数の共振周波数を有する共振子を得るためには、複数の共振子の上部電極45上で異なる形状のパターンをエッチングする必要がある。したがって、周波数制御膜51の形状は、膜厚に相当する高さを有するように形成することにより、パターン形成時のエッチングのバラツキを低減することができ、精密に所望の周波数に移動させることができる。
また、周波数制御膜51と上部電極45の組み合わせとしては、エッチング選択性のある材料の組み合わせにすれば、エッチング時に他の膜への損傷が少なく、精密に所望の周波数に移動させることができる。したがって、優れた特性の弾性波デバイスを安定して提供することができる。
次に、図3C及び図4Cに示すように、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術により、上部電極45を所望の形状にパターニングする。次に、下部電極43の窓明けおよび共振特性改善のために、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術により圧電膜44を所望の形状にパターニングする。次に、周波数調整膜52(SiO2)をスパッタリング等により成膜する。ここで、周波数調整膜52の材料は、SiO2に限定されず、励起エネルギーなどにより、その一部を漸減できる金属酸化膜や金属窒化膜などの他の絶縁膜であっても構わない。
次に、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術によって、上部電極45上にある周波数調整膜52を除去し、その部分にバンプパッド(不図示)を形成する。
最後に、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術により、下部電極43の一部に形成されているエッチング媒体導入孔47(図1A参照)上の周波数調整膜52を除去する。次に、エッチング媒体導入孔47に、犠牲層49をエッチング可能なエッチング媒体を導入する。エッチング媒体は、エッチング媒体導入路48(図1A参照)を経て、下部電極43の下へ導入され、犠牲層49を除去する。エッチング媒体導入孔47は、下部電極43をエッチングする際に同時に形成しておいてもよい。ここで、下部電極43、圧電膜44および上部電極45からなる積層膜の応力について、例えば、スパッタリング法ではスパッタ時の圧力調整により、圧縮応力となるように設定される。これにより、犠牲層49のエッチング終了時点で積層膜(下部電極43、圧電膜44、上部電極45、質量負荷膜50、周波数制御膜51、周波数調整膜52を積層した膜)が膨れ上がり、下部電極43と基板41との間にドーム形状の膨らみを有する空隙42が形成される。以上の工程を経ることにより、圧電薄膜共振子が完成する。
犠牲層49のエッチング媒体としては、犠牲層49以外の圧電薄膜共振子を構成する材料、特にエッチング媒体が接触する犠牲層49上の電極材料をエッチングしない材料であることが好ましい。
なお、基板41、下部電極43、上部電極45、圧電膜44の各材料は上記に限定されず、他の材料でもよい。また、基板41は、Si基板に代えて石英基板等を用いてもよく、バイアホールの形成が困難な基板も利用可能である。また、空隙42に代えて、音響インピーダンスが高い膜と低い膜とが交互にλ/4(λ:弾性波の波長)の膜厚で積層した音響反射膜を、メンブレン部46における、下部電極43と基板41との間に形成する構造であってもよい。
図5は、周波数制御膜51の平面図である。図5に示すように、共振周波数制御用の複数パターンからなる周波数制御膜51は、概ね上部電極45と下部電極43が対向したメンブレン部46の中で、等周期配列された2つ以上の群からなる。図5に示す例では、2つの制御膜群51a及び51bを備えている。制御膜群51a及び51bの間隔D1は、周波数制御膜51のパターンの周期長をLとしたとき、
D1=(1/2+N)L (N:自然数)
の関係を有する。複数パターンの個々は、概ね同様な形状および大きさで配置されている。所望の共振周波数制御を行うためには、複数パターンからなる周波数制御膜51の総面積を調整することになるが、等周期配列された個々のパターンサイズを増減させてメンブレン部46の面積に対する被覆率を変化させることにより、周波数制御用設計を簡略化することができる。これにより、異なるサイズの共振子に対しても画一的に周波数調整量を算出することが可能になる。
図6は、本実施の形態にかかる圧電薄膜共振子の共振特性の特性図である。図6において、本実施の形態にかかる圧電薄膜共振子と比較するため、図7に示す周波数制御膜(比較例)を備えた圧電薄膜共振子の共振特性もプロットしている。図5に示す周波数制御膜51と図7に示す周波数制御膜151では、複数パターンからなる周波数制御膜の総面積は等しいが、複数パターン配置の一部のパターン間距離が異なっている。複数パターンの等周期配列の周期をLとしたとき、図5に示す周波数制御膜51では1/2Lだけパターンを移動させて形成している。一方、図7に示す周波数制御膜151は、直径2μmの円形のパターンを、周期4μm(パターン間隔2μm)でメンブレン部46の全面に等間隔配置している。図5に示す周波数制御膜51は、制御膜群51aと制御膜群51bとの間隔D1を4μmとし、各々の制御膜群51a及び51bに含まれる直径2μmの円形のパターンを周期4μm(パターン間隔2μm)でメンブレン部46の全面に等間隔配置している。図5に示す周波数制御膜51においてパターン間隔が4μmになっている部分では、周期が3/2Lで配置されていることになる。尚、メンブレン部46は、楕円形状であり、長軸の長さは265μm、短軸の長さは165μmとした。これらの値はいずれも一例である。
図6は、共振周波数近傍における圧電薄膜共振子の通過特性を示すもので、共振周波数付近で損失が最小となり、共振周波数から離れるのに従い損失が増加している。本実施例にかかる圧電薄膜共振子と比較例にかかる圧電薄膜共振子の通過特性を比べると、比較例にかかる圧電薄膜共振子では、共振周波数以下の周波数帯域にスパイク状のリップルが見られるが、本実施例にかかる圧電薄膜共振子によれば、リップルを0.15dB低減できていることが分かる。スパイク状のリップルは、損失増加となり、共振特性の劣化に繋がるため、本実施例のようにリップルを低減することが好ましい。
図8は、共に等周期(周期L)配列された複数パターンの2つの制御膜群の間隔を異ならせた場合の共振特性を示す。図8に示す共振特性は、図5における制御膜群51aと制御膜群51bの間隔D1をパターンの周期長Lに対して(5/4L)とした場合の共振特性を示しているが、一様に等周期配列された複数パターンからなる周波数制御膜が形成された圧電薄膜共振子(図7参照)で生じているスプリアスレベルに対して、変化は見られなかった。
図9は、図10に示すように周波数制御膜51を4つの制御膜群51c、51d、51e、51fで分割した場合の共振特性を示す。図10に示す周波数制御膜51における制御膜群51c、51d、51e、51fは、パターンの周期長Lに対して3/2L周期の間隔D1を有する。図9に示すように、図10に示す周波数制御膜51を備えたとしても、リップルを低減することができる。
図11は、図5に示す周波数制御膜51のパターン配置において、周期Lが7μm、円形の各パターンの直径が3.5μmの場合の共振特性を示す。図11に示すように、周波数制御膜51のパターン周期が異なっていても、リップルを低減することができる。
本実施の形態は、各圧電薄膜共振子の共振周波数の制御量を容易に導出するために、個々のパターンは同一サイズとし、等周期間隔で配置したパターンサイズを一様に増減させている。この時、メンブレン部46における複数パターンからなる周波数制御膜51の配置に着眼し、個々のパターンが全て等周期間隔で配置された圧電薄膜共振子で生じる共振周波数付近のスパイク状のリップルを、等周期間隔の一部にその周期の(1/2+N)だけ間隔D1を変更することにより低減するものである。値Nを増やしても、即ち、等周期配列された個々の制御膜群の距離を離しても、同様な効果は得られるが、メンブレン部46に配置できる実効的なパターン数は減少することになり、周波数制御量が減少することになることから、個々のパターンサイズの再調整が必要となる。
また、本実施の形態は、複数パターンによるメンブレン部46への質量負荷効果をメンブレン部46内で一様な周期としない点に着眼したものであり、図12に示すような配置でも同様な効果が得られるが、パターンサイズが大きくなる場合に中央部分の隣接パターンが繋がるようになり、所望のパターン面積の導出が困難となり汎用性に乏しい。スプリアス低減の観点からは、個々のパターンをランダムに配置することも考えられるが、配置方法やパターン面積設計において容易な設計が困難となることは明らかである。
ここで、周波数制御膜51における複数パターンの形状は、本実施の形態では凸形状としたが、ホール状であってもよい。また、個々のパターン形状は、円形または楕円形で形成することができる。すなわち、周波数制御膜51における複数のパターンの形状は、少なくともメンブレン部46に与える質量を変えることができれば、その形状は問わない。
なお、基板41、電極膜(上部電極45、下部電極43)、圧電膜44、質量負荷膜50、周波数制御膜51の各材料は上記に限定されず、他の材料を使用してもよい。また、上記の膜構成は圧電薄膜共振子の主要構成要素のみを記しており、例えば、下部電極43の下や上部電極45の上に誘電体膜が設けられていてもよい。下部電極43の下の誘電体膜は、例えば、補強材として、あるいはエッチングのストップ層としての役割を担う。上部電極45の上の誘電体膜は、例えば、パシベーション膜あるいは周波数調整用としての役割を担う。
また、空隙42を積層膜側にドーム形状としているため、基板41をエッチングする必要がなく生産性の向上が図れる。また、基板41をエッチングしないため、基板41の機械的強度の劣化防止も図ることができる。更に、空隙42を形成する領域は小さくて済むため集積化を図ることができる。
更に、上部電極45と下部電極43とが対向するメンブレン部46形状を楕円形や非平行からなる多角形にすることにより、平行な辺が存在しないため、電極の外周で反射された弾性波が共振部分で横方向の定在波として存在することを抑制することができる。これにより、通過帯域内にリップルが発生することを抑制することができる。
また、本実施例では、基板41の平坦主面上に形成された空隙42を用いて実施例を説明したが、下部電極43の下に空隙42を持つ圧電薄膜共振子で同様な効果が得られる。下部電極43の下の空隙は、上部電極45/圧電膜44/下部電極43を形成した後の基板41にドライエッチングの手法を用いて形成することができる。
(実施例2)
実施例2は、実施例1に係る圧電薄膜共振子を梯子形に接続したラダー型フィルタである。図13は、ラダー型フィルタの回路図である。図13に示すように、ラダー型フィルタは、入力端子22と出力端子24との間に直列接続されている圧電薄膜共振子S1〜S3(以下、直列共振子と称する)を備えている。直列共振子S1とS2との間とグランドとの間には、圧電薄膜共振子P1(以下、並列共振子と称する)が接続され、直列共振子S2とS3との間とグランドとの間には圧電薄膜共振子P2(以下、並列共振子と称する)が接続されている。なお、直列共振子S1〜S3、並列共振子P1、P2の何れかに、実施例1に係る圧電薄膜共振子を採用している。
図13に示すようなラダー型フィルタにおいて、バンドパスフィルタ特性を得るためには、一般的に直列共振子S1〜S3の共振周波数は、並列共振子P1およびP2の共振周波数より高くする。実施例1に係る圧電薄膜共振子の周波数制御膜51の面積を制御することで、圧電薄膜共振子の共振周波数を制御することができる。よって、直列共振子の周波数制御膜51の面積を、並列共振子の周波数制御膜51の面積より小さくすることで、直列共振子の共振周波数を並列共振子の共振周波数より高くすることができる。つまり、直列共振子および並列共振子を構成する圧電薄膜共振子の共振周波数をそれぞれ独立に制御する目的で、それぞれの圧電薄膜共振子に面積の異なる周波数制御膜51を設けることができる。これにより、所望の周波数特性を有するラダー型フィルタを得ることができる。
周波数制御膜51の面積を異ならせる場合、予め等周期配列された個々のパターンサイズを増減させて被覆率を変化させることにより設計を簡略化することができるが、実施例1に係る圧電薄膜共振子を用いることにより、共振周波数付近に生じるリップルを低減させることができる。一般的なラダー型フィルタでは、通過帯域となる周波数帯が直列共振子の共振周波数付近に概ね一致することから、リップルは通過特性の劣化を招き、望ましくない。実施例1に係る圧電薄膜共振子を用いることにより、通過特性の劣化を低減もしくは解消させることができる。
なお、本実施例では、直列共振子の共振周波数と並列共振子の共振周波数を異ならせるために、複数パターンからなる周波数制御膜51の面積を変化させているが、図4A〜図4Dに示した製造工程に従い、質量負荷膜50を並列共振子に設けることで、直列共振子の共振周波数と並列共振子の共振周波数を異ならせ、更に、複数パターンからなる周波数制御膜51を用いて、直列共振子の共振周波数と並列共振子の共振周波数を異ならせることもできる。この際、質量負荷膜50は、複数パターンからなる周波数制御膜51の上にあっても構わない。この際も、実施例1に係る圧電薄膜共振子を用いることにより、共振周波数付近のリップルを低減させることができ、ラダー型フィルタの通過帯域特性に生じる不要なリップルを低減させることができる。
このように、複数パターンからなる周波数制御膜51が、等周期配列された2つ以上の群(制御膜群51a、51b)からなり、各々の群は(1/2+N)周期離れて配置された個々のパターンサイズを増減させることにより、フィルタ内のそれぞれの圧電薄膜共振子の共振周波数をそれぞれ独立にかつ自在に制御できる。したがって、フィルタの設計自由度が広がると共に、等周期配列により生じていた共振周波数付近のリップルを低減させることができる。
本実施例において、実施例1に係る圧電薄膜共振子をラダー型フィルタに用いた場合を例に示したが、ラティス型フィルタ等他の弾性波デバイスに用いてもよい。図14は、ラティス型フィルタの回路図である。図14に示すように、直列共振子S4およびS5がそれぞれ入力端子22と出力端子24との間に接続されている。直列共振子S4が接続されている入力端子22と直列共振子S5が接続されている出力端子24との間には、並列共振子P3が接続されている。直列共振子S4が接続されている出力端子24と直列共振子S5が接続されている入力端子22との間には、並列共振子P4が接続されている。
また、本実施の形態において、周波数制御膜51は、上部電極45と周波数調整膜52との間に設けたが、他の位置に設けることができる。図15A〜図15Fは、第一圧電薄膜共振子の変形例である。図16A〜図16Fは、第二圧電薄膜共振子の変形例である。まず、図15A及び図16Aに示す圧電薄膜共振子は、下部電極43における空隙42との界面近傍に周波数制御膜51を配置したものである。図15B及び図16Bは、下部電極43の厚さ方向の略中央に周波数制御膜51を配置したものである。図15C及び図16Cは、圧電膜44における下部電極43との界面近傍に周波数制御膜51を配置したものである。図15D及び図16Dは、圧電膜44における上部電極45の第一層45aとの界面近傍に周波数制御膜51を配置したものである。図15Eは、上部電極45の第一層45aにおける第二層45bとの界面近傍に周波数制御膜51を配置したものである。図16Eは、上部電極45の第一層45aにおける質量負荷膜50との界面近傍に周波数制御膜51を配置したものである。図15F及び図16Fは、周波数調整膜52の上に周波数制御膜51を配置したものである。
〔2.通信モジュールの構成〕
図17は、本実施の形態にかかる圧電薄膜共振子を備えた通信モジュールの一例を示す。図17に示すように、デュープレクサ62は、受信フィルタ62aと送信フィルタ62bとを備えている。また、受信フィルタ62aには、例えばバランス出力に対応した受信端子63a及び63bが接続されている。また、送信フィルタ62bは、パワーアンプ64を介して送信端子65に接続している。ここで、受信フィルタ62a、送信フィルタ62bの双方、或いは何れかの一方は、本実施の形態にかかる圧電薄膜共振子を備えている。
受信動作を行う際、受信フィルタ62aは、アンテナ端子61を介して入力される受信信号のうち、所定の周波数帯域の信号のみを通過させ、受信端子63a及び63bから外部へ出力する。また、送信動作を行う際、送信フィルタ62bは、送信端子65から入力されてパワーアンプ64で増幅された送信信号のうち、所定の周波数帯域の信号のみを通過させ、アンテナ端子61から外部へ出力する。
本実施の形態にかかる圧電薄膜共振子を通信モジュールに備えることで、共振特性を損なうことなく、設計性や製造性に優れた通信モジュールを提供することができる。
なお、図17に示す通信モジュールの構成は一例であり、他の形態の通信モジュールに本実施の形態にかかるフィルタを搭載しても、同様の効果が得られる。
〔3.通信装置の構成〕
図18は、本実施の形態にかかる圧電薄膜共振子、または前述の通信モジュールを備えた通信装置の一例として、携帯電話端末のRFブロックを示す。また、図18に示す通信装置は、GSM(Global System for Mobile Communications)通信方式及びW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)通信方式に対応した携帯電話端末の構成を示す。また、本実施の形態におけるGSM通信方式は、850MHz帯、950MHz帯、1.8GHz帯、1.9GHz帯に対応している。また、携帯電話端末は、図18に示す構成以外にマイクロホン、スピーカー、液晶ディスプレイなどを備えているが、本実施の形態における説明では不要であるため図示を省略した。ここで、受信フィルタ73a、77〜80は、本実施の形態にかかる圧電薄膜共振子を備えている。
まず、アンテナ71を介して入力される受信信号は、その通信方式がW−CDMAかGSMかによってアンテナスイッチ回路72で、動作の対象とするLSIを選択する。入力される受信信号がW−CDMA通信方式に対応している場合は、受信信号をデュープレクサ73に出力するように切り換える。デュープレクサ73に入力される受信信号は、受信フィルタ73aで所定の周波数帯域に制限されて、バランス型の受信信号がLNA74に出力される。LNA74は、入力される受信信号を増幅し、LSI76に出力する。LSI76では、入力される受信信号に基づいて音声信号への復調処理を行ったり、携帯電話端末内の各部を動作制御したりする。
一方、信号を送信する場合は、LSI76は送信信号を生成する。生成された送信信号は、パワーアンプ75で増幅されて送信フィルタ73bに入力される。送信フィルタ73bは、入力される送信信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを通過させる。送信フィルタ73bから出力される送信信号は、アンテナスイッチ回路72を介してアンテナ71から外部に出力される。
また、入力される受信信号がGSM通信方式に対応した信号である場合は、アンテナスイッチ回路72は、周波数帯域に応じて受信フィルタ77〜80のうちいずれか一つを選択し、受信信号を出力する。受信フィルタ77〜80のうちいずれか一つで帯域制限された受信信号は、LSI83に入力される。LSI83は、入力される受信信号に基づいて音声信号への復調処理を行ったり、携帯電話端末内の各部を動作制御したりする。一方、信号を送信する場合は、LSI83は送信信号を生成する。生成された送信信号は、パワーアンプ81または82で増幅されて、アンテナスイッチ回路72を介してアンテナ71から外部に出力される。
本実施の形態にかかる圧電薄膜共振子、フィルタ、通信モジュールを通信装置に備えることで、共振特性を損なうことなく、設計性や製造性に優れた通信装置を提供することができる。
なお、図18に示す通信装置は一例であり、少なくとも本実施の形態にかかる圧電薄膜共振子を備えた通信装置であれば、他の構成を有する通信装置であっても本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、同一フィルタチップ内にそれぞれ異なる共振周波数を有する複数の圧電薄膜共振子を備えた弾性波デバイスにおいて、周波数制御膜51のパターンを変更することで容易に各圧電薄膜共振子の共振周波数を、任意の共振周波数に設定することができる。よって、異なる共振周波数を有する複数の圧電薄膜共振子を備えた弾性波デバイスを容易に製造することができる。
また、不要応答を低減した優れた特性の弾性波デバイスを提供することができる。
本実施の形態に関して、以下の付記を開示する。
(付記1)
基板と、
前記基板上に形成されている下部電極と、
前記基板上および前記下部電極上に形成されている圧電膜と、
前記圧電膜を挟み前記下部電極と対向して共振部を有するように圧電膜上に形成されている上部電極とを備えた弾性波デバイスであって、
前記共振部に質量を付与する複数のパターンを備えた周波数制御膜を、さらに備え、
前記周波数制御膜は、少なくとも前記共振部を含む領域に備わり、
前記複数のパターンは、等周期配列された少なくとも2つの群からなり、
前記群の間隔は、前記複数のパターンの周期長の(1/2+N)倍〔N:自然数〕である、弾性波デバイス。
(付記2)
前記周波数制御膜のパターンは、凸形状の孤立パターンである、付記1に記載の弾性波デバイス。
(付記3)
前記周波数制御膜のパターンは、ホール状の孤立パターンである、付記1に記載の弾性波デバイス。
(付記4)
前記周波数制御膜と前記上部電極とは、材料が異なる、付記1〜3の何れか一項記載の弾性波デバイス。
(付記5)
前記周波数制御膜と前記上部電極とは、材料の組み合わせがエッチング選択性のある材料の組み合わせである、付記1〜4の何れか一項記載の弾性波デバイス。
(付記6)
前記周波数制御膜と前記上部電極との間に質量負荷膜を備えた、付記1〜5の何れか一項記載の弾性波デバイス。
(付記7)
前記共振部は、楕円形である、付記1〜6の何れか一項記載の弾性波デバイス。
(付記8)
前記共振部は、非平行からなる多角形である、付記1〜6の何れか一項記載の弾性波デバイス。
(付記9)
前記共振部に対応する下部電極の下方に、前記共振部を包含する空隙を備えた、付記1〜8の何れか一項記載の弾性波デバイス。
(付記10)
付記1〜9のうちいずれか一項に記載の弾性波デバイスを備えた、フィルタ。
(付記11)
付記1〜9のうちいずれか一項に記載の弾性波デバイス、または請求項10に記載のフィルタを備えた、通信モジュール。
(付記12)
付記1〜9のうちいずれか一項に記載の弾性波デバイス、請求項10に記載のフィルタ、または請求項11に記載の通信モジュールを備えた、通信装置。
本願は、弾性波デバイス、フィルタ、通信モジュール、通信装置に有用である。
41 基板
42 空隙
43 下部電極
44 圧電膜
45 上部電極
46 メンブレン部
47 エッチング媒体導入孔
48 エッチング媒体導入路
49 犠牲層
50 質量負荷膜
51 周波数制御膜
52 周波数調整膜

Claims (7)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成されている下部電極と、
    前記基板上および前記下部電極上に形成されている圧電膜と、
    前記圧電膜を挟み前記下部電極と対向して共振部を有するように圧電膜上に形成されている上部電極とを備えた弾性波デバイスであって、
    前記共振部に質量を付与する複数のパターンを備えた周波数制御膜を、さらに備え、
    前記周波数制御膜は、少なくとも前記共振部を含む領域に備わり、
    前記複数のパターンは、等周期配列された少なくとも2つの群からなり、
    前記群の間隔は、前記複数のパターンの周期長の(1/2+N)倍〔N:自然数〕である、弾性波デバイス。
  2. 前記周波数制御膜のパターンは、凸形状の孤立パターンである、請求項1に記載の弾性波デバイス。
  3. 前記周波数制御膜のパターンは、ホール状の孤立パターンである、請求項1に記載の弾性波デバイス。
  4. 前記共振部は、楕円形である、請求項1〜3のうち何れか一項記載の弾性波デバイス。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の弾性波デバイスを備えた、フィルタ。
  6. 請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の弾性波デバイス、または請求項5に記載のフィルタを備えた、通信モジュール。
  7. 請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の弾性波デバイス、請求項5に記載のフィルタ、または請求項6に記載の通信モジュールを備えた、通信装置。
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