JP5340475B2 - 通信制御装置および通信制御方法 - Google Patents
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Description
この発明は、端末に搭載され、端末間の無線通信を効率的に実現する通信制御装置及び通信制御方法に関する発明であり、特に、送信する情報の送信タイミングの分散制御により通信品質を向上させる通信制御装置に関するものである。
従来、端末同士で無線通信を行う通信装置は、端末が自律分散的に無線通信を実現できるように、アクセス方式としてCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式が利用されている。
CSMA/CA方式では、端末が情報を無線送信する場合に、送信前にランダムバックオフ時間待機後、周辺端末が通信中か否かを確認するキャリアセンスを行い、周辺端末の送信中には自端末の送信をランダムバックオフ時間さらに待機し、周辺端末が送信していなければ送信を開始することにより、無線通信が衝突することを回避する手法であることが一般的に知られている。
一方で、路側装置などの固定端末と移動端末で通信を行う路車間通信や、移動端末間で通信を行う車車間通信を行う通信装置を利用して運転支援システムを実用化する手法が検討されている。この場合、通信装置のアプリケーションは、一般的に各端末の位置や移動速度、車両の種別などの端末情報を一定周期ごとに送信し合う通信方法が用いられる。
CSMA/CA方式において、端末情報を周期的に送信する場合、通信範囲内に端末数が多くなると、各端末がバックオフ時間だけ送信待機することを繰り返し、送信できなくなる輻輳が発生したり、バックオフ時間後の送信タイミングが一致する確率が高くなり無線通信パケットが衝突したり、キャリアセンスできない端末となる隠れ端末の無線通信パケットと衝突したりすることで、通信の信頼性が劣化し、運転支援システムの提供ができなくなることが考えられる。
さらに、輻輳が発生したり、パケットが衝突したりしても、端末情報を周期的に送信するアプリケーションは輻輳や衝突の発生を検出できないので、次の周期でも同じタイミングかつ同じ周期でCSMA/CAにより送信を要求するため、送信できない情報が累積したり、送信パケットが衝突する可能性は軽減できないままである。
そこで、特許文献1では、CSMA/CA方式において、無線送信を実行した時間を基準時刻として記憶し、基準時刻から一周期の時間だけ経過した後を次周期の送信タイミングとして設定することにより、パケット衝突が毎周期発生する可能性を低くする無線通信方法が開示されている。
また、特許文献2では、CSMA/CA方式において、周期的に無線通信するタイミングを前回送信タイミングから一周期後を基準時刻として、周期毎に所定期間だけ前後させることにより、パケット衝突が毎周期発生する可能性を低くする通信制御装置が開示されている。
特許文献1に記載の無線通信方法では、キャリアセンス後、送信できた時点を基準時刻として設定しているため、キャリアセンスできない端末同士が同じ基準時刻に設定した場合には、毎周期パケットが衝突してしまう問題点を有しているため、CSMA特性自体の改善にはならなかった。
また、特許文献2に記載の通信制御装置では、基準時刻から所定のランダム時刻だけ前後させているため、毎周期ごとに衝突する可能性は低減できるが、キャリアセンスできない端末との通信に関してはパケット衝突する確率は軽減できない問題点を有しているため、CSMA特性自体の改善にはならなかった。
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、無線通信の衝突を回避するために、キャリアセンスできない端末を考慮して、送信する端末情報の衝突を低減する通信制御装置及び通信制御方法を得ることを目的とする。
この発明にかかる通信制御装置は、所定の端末に搭載され、前記所定の端末以外の少なくとも一つの周辺端末との間で無線通信を行う通信制御装置であって、前記少なくとも一つの周辺端末から送信される端末情報を周辺端末情報として受信し、前記周辺端末情報の受信時における受信電力を測定し、前記所定の端末が所定レベル以上の電波強度で受信している時間割合である自端末通信帯域利用率を測定する受信手段と、前記受信手段から取得した前記周辺端末情報、前記受信電力、及び前記自端末通信帯域利用率を格納情報として格納する情報格納手段と、送信用端末情報を出力するとともに、前記送信用端末情報による送信を要求する送信要求を行う情報処理手段と、前記送信要求に応答して、前記格納情報を参照し、前記送信用端末情報に基づく送信データによるデータ送信処理要求を行う送信タイミング制御手段と、前記送信データを前記少なくとも一つの周辺端末に送信するデータ送信処理を行う送信手段とを備え、前記送信タイミング制御手段は、前記周辺端末情報の最新の受信時刻である直近周辺端末受信時刻と、前記情報処理手段が前記送信要求を行った時刻である送信要求時刻との時間差が所定の時間よりも小さい場合には、前記送信手段が前記データ送信処理を行うタイミングである送信タイミングを変更し、前記時間差が前記所定の時間よりも大きい場合には前記送信タイミングを変更しない。
この発明における通信制御装置の送信タイミング制御手段は、直近周辺端末受信時刻と送信要求時刻との時間差に基づき送信タイミングの変更の有無を決定している。
このため、少なくとも一つの周辺端末が通信中か否かを確認するキャリアセンスと独立して、送信タイミングの変更の有無を制御することができるため、少なくとも一つの周辺端末との間で送信データが衝突する可能性を低減できる効果を奏する。
この発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
<実施の形態1>
この発明に係る実施の形態1について、図1〜図13を用いて説明する。なお、実施の形態1に係る通信制御装置および通信制御方法は、路車間通信システムの通信制御装置としてサービスを提供したり、車車間通信システムの通信制御装置としてサービスを提供したり、それ以外の通信端末としてサービスを提供したりすることができるが、本実施の形態1では、主として車両に搭載される端末の主要部となる通信制御装置と想定して、説明する。
この発明に係る実施の形態1について、図1〜図13を用いて説明する。なお、実施の形態1に係る通信制御装置および通信制御方法は、路車間通信システムの通信制御装置としてサービスを提供したり、車車間通信システムの通信制御装置としてサービスを提供したり、それ以外の通信端末としてサービスを提供したりすることができるが、本実施の形態1では、主として車両に搭載される端末の主要部となる通信制御装置と想定して、説明する。
図1はこの発明の実施の形態1である通信制御装置100の構成を概略的に示すブロック図である。なお、本明細書において、同一または相当する構成には同一の符号を付し、これは明細書の全文において共通する。
通信制御装置100は、複数の端末の各々に搭載される。そして、この通信制御装置100を通じて、各端末間において無線通信が行われる。ここでの、通信制御装置100とは端末に搭載される通信を行う主要部を示し、無線LAN(Local Area Network)端末や携帯電話のように端末を持ち運べる通信端末や、ETC(Electronic Toll Collection System)のように車両に搭載される通信端末や、路側装置や基地局などのインフラのように固定された通信装置の主要部を構成する。
また、無線通信とはDSRC(Dedicated Short Range Communication)を用いても良いし、無線LANや携帯電話で利用される通信方式を用いても良いし、欧米で検討されているIEEE802.11p、またはCALM(Communication Access for Land Mobile)で利用される通信方式などを用いても良い。
また、本明細書においては、通信制御装置100が搭載された「自端末」(第1の端末)と称す第1の端末に注目して説明するものとし、当該「自端末」以外で通信制御装置100を搭載した他の複数の端末を、「周辺端末」(第2の端末)と称する。さらに、周辺端末のうち、自端末から送信を行っているか否かを確認(以下、「キャリアセンス」と呼ぶ場合あり)できない周辺端末を「隠れ端末」と称する。
図1に示すように、通信制御装置100は、送信手段1、受信手段2、送信タイミング制御手段3、情報格納手段4、情報処理手段5、及び情報入力手段6を有する。なお、図1で示す例では情報入力手段6は通信制御装置100の外部に設けられることを想定している。
送信手段1は、周辺端末に搭載された通信制御装置100と同様な通信制御装置と無線通信を行う手段であり、情報処理手段5が情報格納手段4の有する自端末の位置や速度などの情報から生成する端末情報を、CSMA/CA方式により周辺端末に対して無線空間上に送信する。また、送信手段1は、送信タイミング制御手段3によって設定されるバックオフパラメータに基づいて、CSMA/CA方式のランダムバックオフ時間を算出し、制御する。
ここで、端末情報とは、端末の速度、加減速度、位置、走行方向、ウィンカーのON/OFF情報など端末に関する情報や、自端末が周辺端末と交換するアプリケーション情報など、端末が送信要求する情報全てを示す。
受信手段2は、周辺端末に搭載される通信制御装置100と同様な通信制御装置と無線通信を行うものであり、周辺端末から送信された端末情報(以下、単に「周辺端末情報」と称する場合あり)を受信したり、その受信時の受信電力を測定したり、通信帯域が利用中(以下、「ビジー」と称する場合あり)か、利用されていない(以下、「アイドル」と称する場合あり)か否かを判別し、ビジーの時間割合を通信帯域利用率(自端末通信帯域利用率)として測定したりする。
送信タイミング制御手段3は、情報処理手段5から(送信用)端末情報の送信を要求されると、情報格納手段4から過去の自端末の通信帯域情報を取得し、送信タイミングを制御するか否かを判別する。さらに、送信タイミング制御手段3は、情報格納手段4から取得する過去の受信電力情報の履歴に基づいて、制御するバックオフパラメータを算出し、送信手段1に対するバックオフパラメータを設定する。また、送信タイミング制御手段3は、送信手段1が算出したバックオフ時間の通知を受信すると、次の周期の送信タイミングからバックオフ時間シフトするように、受信したバックオフ時間を情報処理手段5に通知する。
情報格納手段4は、情報入力手段6から取得できる端末情報、周辺端末から無線通信により取得する周辺端末情報、周辺端末から周辺端末情報を受信した際の受信電力情報、および通信帯域の利用率情報を格納する。
情報処理手段5は、自端末が周辺端末に対して端末情報の送信要求を生成し、端末情報を情報格納手段4から取得し、送信用端末情報を生成した後、送信タイミング制御手段3に送信する。また、情報処理手段5は、送信タイミング制御手段3からの送信タイミング変更要求に応答して、周期的に出力する送信用端末情報の送信要求タイミングを変更する。なお、情報処理手段5は周期的に送信用端末情報を出力したり、イベント的に送信用端末情報を出力したり、その他要求によって送信用端末情報を送信したりすることも可能である。
情報入力手段6は、自端末に搭載されるセンサーや外部装置などの情報を検出し、検出した端末情報を情報格納手段4に保存する。
図2は図1で示した通信制御装置100の構成をより詳細に示すブロック図である。なお、図2において、同一または相当する構成には同一の符号を付し、これは明細書の全文において共通する。
図2を用いて、通信制御装置100に搭載される各ブロック1〜6の機能を詳細に説明する。
送信手段1は、送信部10とバックオフ算出部11とを有する。送信部10は、送信タイミング設定部32から送信データTDを入力し、周辺端末全部に対してブロードキャスト送信または特定端末に対して送信データTDを送信するユニキャスト送信(データ送信処理)を行う。なお、送信データTDは、送信データ生成部50により生成された端末情報D50(送信用端末情報)に基づき、送信タイミング設定部32で設定されたデータである。
送信部10は、CSMA/CA方式を利用して送信データTDを無線空間に送信する際には、送信対象となる周辺端末が送信しているか否かを確認するキャリアセンスを実行し、送信していなければ送信し、送信していればランダムバックオフ時間経過後に再度キャリアセンスした後、送信を行う。なお、送信部10が利用するバックオフ時間はバックオフ算出部11により設定される。
バックオフ算出部11は、送信タイミング設定部32から、バックオフパラメータBPを入力し、送信部10がバックオフする際のバックオフ時間BOTを算出して設定する。また、バックオフ算出部11は、算出したバックオフ時間BOTを送信タイミング通知部33に通知する。
ここで、バックオフパラメータBPとは、ランダムバックオフ時間そのものではなく、Contention Window(以下、「CW」と略記する)、CWの最小値(以下、「CWmin」と略記する)やCWの最大値(以下、「CWmax」と略記する)、スロットタイム、ランダム値、および再送回数Rなどである。
受信手段2は、受信部20、受信電力検出部21及び通信帯域検出部22を有する。受信部20は、周辺端末の送信部10から送信されたデータを受信し、受信した情報(周辺端末情報)を端末情報蓄積部40に格納する。
受信電力検出部21は、周辺端末の送信部10から送信されたデータを受信した際の電力(以下、「受信電力」と呼ぶ場合あり)と受信時刻とを受信電力蓄積部41に格納する。
通信帯域検出部22は、無線空間上がビジーか、アイドルかを自端末が観測し、一定時間内のビジーの割合である自端末通信帯域利用率を通信帯域蓄積部42に格納する。
なお、無線空間は周辺端末と共有するものであり、自端末以外に複数の周辺端末のいずれかがデータを送信している場合には、無線空間上がビジー状態として検出される。また、「ビジー」か否か判定については、自端末で受信する電力が一定以上の場合を「ビジー」と判定するのが一般的である。
送信タイミング制御手段3は、送信タイミング制御判定部30、送信タイミング算出部31、送信タイミング設定部32、及び送信タイミング通知部33を有する。
送信タイミング制御判定部30は、送信データ生成部50から送信用の端末情報D50を受けると、通信帯域蓄積部42から通信帯域利用率情報D42を取得し、送信タイミングを制御するか否かを判断する閾値(以下、「送信オフセット」と称する場合あり)を算出し、送信タイミングを分布させるか(バックオフパラメータ制御を行う否か)を判定する。
そして、送信タイミング制御判定部30は、受信電力蓄積部41から最も現在時刻に近い時間に受信したデータの受信電力と受信時刻(直近周辺端末受信時刻)を取得し、送信データ生成部50からの端末情報D50が送信された時刻である送信要求時刻と上記直近周辺端末受信時刻との時間差が送信オフセット以内かを判断する。
上記時間差が送信オフセット以内の場合には、送信タイミング制御判定部30は、送信タイミング算出部31にバックオフパラメータの算出を要求し、送信タイミング算出部31より算出された結果を受けると、送信タイミング設定部32に送信用の端末情報D30tとバックオフパラメータ情報D30bを出力する。一方、上記時間差が送信オフセット以上の場合には、送信タイミング制御判定部30は、送信タイミング設定部32に端末情報D30tのみを出力する。
送信タイミング算出部31は、送信タイミング制御判定部30を介して、周辺端末からの受信電力を入力すると、受信電力に応じてバックオフパラメータを算出し、算出した結果(バックオフパラメータ)を送信タイミング制御判定部30に返す。なお、周辺端末からの受信電力は送信タイミング制御判定部30がバックオフパラメータの算出要求の際に併せて送信タイミング算出部31に出力する。
送信タイミング設定部32は、送信タイミング制御判定部30から、端末情報D30tを入力すると、端末情報D30tを含む送信データTDを送信部10に出力することにより送信部10による送信データTDのデータ送信処理要求を行う。また、送信タイミング設定部32は、送信タイミング制御判定部30から、バックオフパラメータ情報D30bを入力すると、バックオフパラメータ情報D30bで規定されたバックオフパラメータBPをバックオフ算出部11に設定する。
送信タイミング通知部33は、バックオフ算出部11から、算出されたバックオフ時間BOTを入力すると、バックオフ時間BOTを入力した時間を規定した送信タイミング通知情報D33を送信要求生成部51に通知する。
情報格納手段4は、端末情報蓄積部40、受信電力蓄積部41、及び通信帯域蓄積部42を有する。
端末情報蓄積部40は、情報入力手段6内の端末情報検出部60が検出した自端末の端末情報や、周辺端末から受信した周辺端末情報を端末情報D40として格納する。また、端末情報蓄積部40は周辺端末との通信台数も端末情報D40として管理する。
受信電力蓄積部41は、受信電力検出部21によって検出された周辺端末から受信した際の受信電力及び受信時刻について、過去の一定期間分の情報を受信電力情報D41として格納する。
通信帯域蓄積部42は、通信帯域検出部22によって検出された無線空間上の通信帯域利用率について、過去の一定期間の平均値やその履歴などを通信帯域利用率情報D42として格納する。上述した端末情報D40、受信電力情報D41及び通信帯域利用率情報D42が情報格納手段4の格納情報となる。
情報処理手段5は、送信データ生成部50及び送信要求生成部51を有する。送信データ生成部50は、送信要求生成部51から送信要求信号S51を受けると、端末情報蓄積部40の端末情報D40から自端末の端末情報を取得し、送信用の端末情報D50を生成する。送信データ生成部50は、生成した端末情報D50を送信タイミング制御判定部30に出力する。送信タイミング制御判定部30への端末情報D50の出力が、端末情報D50による周辺端末へ送信要求となる。
送信要求生成部51は、周期的に自端末の端末情報を送信するタイミングを管理して、周期的に送信要求信号S51を生成したり、イベント的に周辺端末に端末情報の送信要求を指示する送信要求信号S51を生成したりする。さらに、送信要求生成部51は、周期的に自端末の端末情報を送信する場合、送信タイミング通知部33からの要求(送信タイミング通知情報D33)に応じて送信要求タイミング(送信要求信号S51の出力タイミング)を変更する。なお、送信要求生成部51は、アプリケーションとして情報の送信要求を生成するものであり、情報処理手段5内に一つ以上存在しても良い。
情報入力手段6は端末情報検出部60を有する。端末情報検出部60は、自端末に搭載されるセンサーや外部装置などの持つ情報を検出し自端末の端末情報として端末情報蓄積部40に格納する。なお、端末情報検出部60は、検出した情報を周期的に端末情報蓄積部40に格納しても良いし、端末情報が変化した場合に格納しても良い。
次に、実施の形態1に係る通信制御装置の各手段の動作について説明する。図3並びに後述する図5及び図12は実施の形態1による通信制御装置の各手段の動作を示すフローチャートである。以下に、それぞれの手段での動作を説明する。
図3は、実施の形態1による通信制御装置における送信手段1の動作を示すフローチャートである。
同図を参照して、ステップS101で通信制御装置の起動後、ステップS102において、送信手段1の送信部10は、送信タイミング制御手段3から送信データTDの入力(データ送信処理要求)を確認する。
ステップS102でデータ送信処理要求の入力が確認されない場合、ステップS102において、データ送信処理要求の入力待機を継続する。
ステップS102で送信要求を入力した場合、ステップS103において、送信部10は無線帯域上をキャリアセンスして、通信帯域上がアイドルかビジーかを確認し、アイドルに変化した後、一定時間(IFS:Inter Frame Space)経過するのを待機する。なお、ステップS103において、当初から通信帯域上がアイドルの場合、直ちにIFS期間Tifsの経過を待機することになる。また、IFS期間Tifs待機するのは、無線LAN IEEE 802.11規格で規定されており、データの衝突を回避するためや、データの送信順を制御するために利用される。
その後、ステップS104において、バックオフ算出部11はCSMA/CA方式のバックオフ制御により、バックオフ時間BOTを算出し、送信部10および送信タイミング通知部33にバックオフ時間BOTを通知する。
その後、ステップS105において、送信部10はキャリアセンスしながら、アイドル状態でバックオフ時間BOT経過するのを待機し続け、バックオフ時間BOT経過後はステップS106に移行する。
一方、ステップS105において、バックオフ時間BOT経過前に、通信帯域がビジーになった場合、ステップS107において、バックオフ時間の残り時間を保存したまま、再度通信帯域がアイドルになるのを待機する。
そして、ステップS107において、キャリアセンスを行いながら通信帯域がアイドルになるまでは待機を続け、アイドルになれば(YES)、再びステップS105に移動し、再度、ステップS105において残りのバックオフ時間BOTが経過するのを待機する。なお、ステップS107でYES後に、ステップS103と同様、IFS期間Tifsの経過を待つステップを挿入した後にステップS105に戻るようにしても良い。
ステップS105でバックオフ時間BOT経過後に実行されるステップS106において、送信部10は送信データTDを送信した後、ステップS102に戻る。
上述したステップS102〜S107の処理は送信タイミング制御手段3からの送信要求の入力を確認するごとに繰り返し実行される。
図4は3つの端末TM1〜TM3による送受信例を模式的に示す説明図である。図4を用いて、図3で説明したCSMA/CA方式のバックオフ制御の動作について詳細に説明する。図4では各端末TMi(i=1〜3のいずれか)はそれぞれキャリアセンス可能な位置に配置している。
まず、端末TM1が送信中(送信フレームTFM内の期間)に、端末TM2、端末TM3からの同時にデータ送信処理要求(送信タイミング設定部32による送信データTDの出力)が発生すると、端末TM2,TM3は通信帯域がビジー(受信期間Tr)であるため、アイドルになるのまで待機する。
次に、端末TM1の送信が終了し、端末TM2、TM3は通信帯域がアイドルになったと検出できた場合、IFS期間Tifs経過するまで待機し、IFS期間Tifs経過した後、バックオフ時間Tbo(Tbo2,Tbo3)をそれぞれランダムに算出し、バックオフ期間Tbo経過するのを待機する。
図4では、端末TM2が先にバックオフ期間Tbo2経過しているため、端末TM2が送信を開始する(送信フレームTFmR期間に移行する)。この場合、端末TM3は通信帯域が再びビジー(受信期間Tr)となり、残りの残存バックオフ期間PTbo3を保持したまま、再度通信帯域がアイドルになるまで待機する。そして、端末TM2の送信が終了し、端末TM3は通信帯域がアイドルになった後、再度IFS期間Tifsと残存バックオフ期間PTbo3とを待機した後で、送信フレームTFM期間においてデータの送信を開始することができる。
次に、図3のステップS106におけるCSMA/CA方式におけるバックオフ制御とバックオフ時間の算出について詳細に説明する。
CSMA/CA方式では2進指数バックオフアルゴリズムによりバックオフ時間Tbackoff(図1のバックオフ時間BOT、図4のバックオフ期間Tboに相当)は次の式(1)のようにスロットタイムSと、コンテンションウィンドウCWの乱数値との乗算により算出される。
CWは最小値CWminから最大値CWmaxの範囲内の値をとり、最小値CWminと再送回数Rとの乗算により算出され、キャリアセンス時にビジーと判定する度に再送回数Rを"1"インクリメントする。CWは次の式(2)のように示される。
また、式(1)で用いたRand[0,CW]は、0〜CWまでの整数値を一様確率密度でランダムに選択される関数を意味する。
ステップS106では、バックオフ算出部11は送信タイミング設定部32からバックオフパラメータBPとして、CWminや再送回数Rを指定したり、CWを直接指定したり、CWmaxを大きくしたりすることによって、ビジーと判定した回数に関わらず、バックオフ時間を短くしたり、長くしたり制御することができる。
図5は、実施の形態1による通信制御装置の送信タイミング制御手段3の動作を示すフローチャートである。
同図を参照して、ステップS201で通信制御装置の起動後、ステップS202において、送信タイミング制御手段3の送信タイミング制御判定部30は、情報処理手段5の送信データ生成部50から端末情報D50の出力による送信要求の入力確認を待機する。ステップS202で送信要求の入力確認が行えない場合、ステップS202に戻り、入力確認を継続する。
ステップS202で送信要求の入力確認が行えた場合、ステップS203において、送信タイミング制御判定部30は、情報格納手段4の通信帯域利用率情報D42から得た自端末が検出した自端末通信帯域利用率と、受信電力情報D41から得た直近に周辺端末から受信した時刻(以下、「直近周辺端末受信時刻」と略する場合あり)と受信電力を取得する。
次に、ステップS204において、送信タイミング制御判定部30は、取得した自端末通信帯域利用率から送信オフセットを算出する。
図6は(自端末)通信帯域利用率と送信オフセットとの関係を表形式で示す説明図である。送信タイミング制御判定部30は、図6を参照して、取得した(自端末)通信帯域利用率に基づき送信オフセットを算出する。
その後、ステップS205において、送信タイミング制御判定部30は、情報処理手段5からの送信要求を受信した時刻(送信要求時刻)が、上記直近周辺端末受信時刻を起点として送信オフセット時間以内かを確認する。
ステップS205において、送信要求時刻が、直近周辺端末受信時刻から送信オフセット時間以内の場合、ステップS206において、送信タイミング制御判定部30は、バックオフパラメータBPの算出指示と共に取得した周辺端末からの受信電力を送信タイミング算出部31に送信する。
そして、ステップS207において、送信タイミング算出部31は、送信タイミング制御判定部30から受信した周辺端末からの受信電力に基づき、バックオフパラメータBPを算出する。
図7は受信電力と、バックオフパラメータBPとなるCWmin、CWmax及び再送回数Rとの関係を表形式で示す説明図である。
送信タイミング算出部31は、図7を参照して、受信電力に基づき、バックオフパラメータBPとして、CWmin、CWmaxや再送回数Rを算出し、送信タイミング制御判定部30に返信する。
次に、ステップS208において、送信タイミング制御判定部30は、送信タイミング算出部31から、算出されたバックオフパラメータBPを入力すると、送信タイミング設定部32にバックオフパラメータBPを指示するバックオフパラメータ情報D30bとして出力する。
さらに、ステップS209において、端末情報D50に基づく端末情報D30tを送信タイミング設定部32に出力する。
さらに、ステップS210において、送信タイミング設定部32は、入力した端末情報D30tを送信データTDとして送信部10に出力し、さらにバックオフパラメータ情報D30bを入力している場合、バックオフパラメータBPをバックオフ算出部11に設定する。その後、情報処理手段5からの送信要求を受けて実行した送信タイミング処理を完了し、再びステップS202に戻る。
一方、ステップS205において、送信要求時刻が、上記直近周辺端末受信時刻よりも送信オフセット時間を超える場合、ステップS206〜S208を実行することなく、ステップS209に移動し、送信タイミング制御判定部30は端末情報D30tを送信タイミング設定部32に送信する。
したがって、ステップS205,S209の後に実行されるステップS210においては、送信タイミング設定部32は、入力した端末情報D30tを送信データTDとして送信部10に出力するが、バックオフパラメータBPのバックオフ算出部11への出力は行われない。
一方、ステップS201において、通信制御装置の起動後、送信タイミング制御判定部30、送信タイミング設定部32と並行して動作する送信タイミング通知部33は、バックオフ算出部11がランダムに算出したバックオフ時間BOTの入力確認を待機する。
ステップS211において、バックオフ時間BOTの入力確認がなければ、バックオフ時間BOTの入力確認を継続する。
ステップS211でバックオフ時間BOTの入力を確認した場合(YES)には、ステップS212において、送信タイミング通知部33は入力したバックオフ時間BOTに基づく送信タイミング通知情報D33を送信要求生成部51に出力し、送信要求生成部51による送信要求タイミング(送信要求信号S51の出力タイミング)を設定して完了する。
ステップS202〜S210の処理は情報処理手段5からの送信要求の入力確認毎に繰り返し実行され、ステップS211,S212の処理はステップS201で起動後、継続的に実行される。
ステップS204において用いられる送信オフセットToffsetは、図6のようにリスト形式で管理しても良いし、(自端末)通信帯域利用率Oと送信周期Tiから以下の式(3a)を用いて算出したり、端末情報蓄積部40から通信台数Nと送信周期Tiから送信周期内で一様に分布するように以下の式(3b)を用いて算出したり、他の情報を利用して算出したりしても良い。
図8は通信帯域利用率Oと送信オフセットの関係を示すグラフである。図8は、上記式(3a)において、送信周期Tiを100msecとした場合の送信オフセットと通信帯域利用率との関係を示している。
また、ステップS207において算出するバックオフパラメータは図7に示すようなリスト形式で管理しても良いし、CWmin、CWmaxやRではなく、直接CWを算出しても良いし、スロットタイムSを制御してバックオフ算出部11に設定しても良い。
図9が過去の受信履歴を利用したバックオフ時間BOTの算出例を模式的に示す説明図である。ステップS207において、図9に示すように、過去の受信履歴を利用して、通信帯域がアイドルのタイミングで送信できるように、CWを算出して設定しても良い。すなわち、図9において、過去の周期Taにおける複数のビジー期間Tby及び送信フレームTFM内における空き時間T0を考慮し、次の周期Tbにおいて、空き時間T0に対応する時間帯に送信フレームTFMを確保できるようにバックオフ期間Tboが設定されるように、CW等のバックオフパラメータBPを設定しても良い。
図10は周辺端末との相対距離とコンテンションウィンドウCWとの関係を表形式で示す説明図である。
ステップS207において、受信電力だけでなく、図10を参照して、周辺端末との相対距離(または位置関係)に基づいて、近辺の周辺端末に対しては小さなコンテンションウィンドウCW、遠方の周辺端末に対しては大きなコンテンションウィンドウCWとなるようにバックオフパラメータ算出制御を行い、その結果、バックオフパラメータBPに基づく送信タイミングを変更しても良い。
図11は図5で説明した送信タイミング制御の具体例を模式的に示す説明図である。以下、図11を用いて、図5で説明した送信タイミング制御手段3による送信タイミング制御について詳細に説明する。
図11では、2つの端末TM1と端末TM2が存在し、端末TM2が端末TM1からのデータを受信した後、送信要求を発生した場合を例に挙げて示している。
同図に示すように、端末TM1は送信要求に応答してIFS期間Tifs、バックオフ期間Tbo1経過後の時刻t1から、送信フレーム期間TFMにおいてデータ送信処理を行っている。
一方、端末TM2は、時刻t1から端末TM1の送信フレーム期間TFMに対応した期間が受信期間Trとなる。すなわち、端末TM2において、t1は受信開始時刻t1となる。端末TM2が端末TM1から受信し始めた時刻である受信開始時刻t1から始まる受信期間Trにおいて、受信したデータの受信電力PrBを取得することができる。
そして、受信開始時刻t1後の送信要求発生時刻t2において、端末TM2は送信要求を発生したと仮定する。また、送信要求発生時刻t2における(自端末)通信帯域利用率をO(t)とする。
まず、端末TM2は送信要求発生時刻t2における通信帯域利用率O(t)から、送信オフセットToffsetを図6で示すリストを参照して算出する。端末TM2は受信開始時刻t1から送信要求発生時刻t2に至るまでの時間差が送信オフセット時間よりも小さいか、大きいかを判別する(図5のステップS205に相当)。
「Toffset≧(t2−t1)」の場合(ステップS205でYES)、送信タイミングが近いと判断し、送信タイミングを変更するためのバックオフパラメータ算出制御(ステップS206〜S208の処理)を実行する。
バックオフパラメータ算出制御において、端末TM1からの受信電力PrB(ステップS206で取得)からバックオフパラメータBPを算出し(ステップS207)、バックオフパラメータBPが送信タイミング設定部32に出力される(ステップS208)。
その結果、図11に示すように、IFS期間Tifs、バックオフ期間Tbo2経過後に、端末TM2は送信フレームTFMを送信するデータ送信処理を行う。
その後、算出されたバックオフパラメータBPに含まれるCWmin、CWmaxや再送回数Rに基づいて、バックオフ算出部11によってランダムにバックオフ時間が算出される。
一方、「Toffset<(t2−t1)」の場合(ステップS205でNO)、バックオフパラメータ算出制御は行われることはない(ステップS209に移行する)。
図12は、実施の形態1による通信制御装置の情報処理手段5の動作を示すフローチャートである。
同図を参照して、ステップS301で通信制御装置の起動後、情報処理手段5の送信要求生成部51による送信要求信号S51を発生すべきか否かの発生タイミングの有無を確認する。ステップS302で上記発生タイミングであると判断した場合(YES)はステップS303に移行し、上記発生タイミングで無いと判断した場合(NO)はステップS306に移行する。
ステップS302でYESの場合、ステップS303において、送信要求生成部51は、送信データ生成部50に送信要求信号S51を出力する。
その後、ステップS304において、送信データ生成部50は、端末情報蓄積部40の端末情報D40から自端末の端末情報を取得し、送信用の端末情報D50を生成する。
次に、ステップS305において、データ生成部50は生成した端末情報D50を出力ことにより送信タイミング制御判定部30に送信要求を行う。その後、ステップS302に戻り、次の発生タイミングの有無を確認する。
一方、ステップS302でNOの場合、ステップS306において、送信要求生成部51は送信タイミング通知部33からの送信タイミング通知情報D33の入力を確認する。
ステップS306で送信タイミング通知情報D33の入力を確認しなかった場合(NO)、ステップS302へ戻り、上記発生タイミングの入力確認を行う。
一方、S306で送信タイミング通知情報D33の入力を確認した場合(YES)、ステップS307において、周期的に送信要求信号S51を生成している送信要求生成部51は現在の送信要求の発生タイミングの基準を、送信タイミング通知情報D33で規定されたバックオフ時間だけ先延ばしする方向で変更し、ステップS302へ戻る。
ステップS302からステップS305の処理は上記発生タイミングが認められる毎に繰り返し実行される。
なお、ステップS303において、前述したように、送信要求生成部51が送信要求を行い、送信データ生成部50が端末情報蓄積部40の情報から送信データを生成しても良いし、バリエーションとして、送信要求生成部51が送信要求と同時に送信する情報を送信データ生成部50に渡し、送信データ生成部50がこれらの情報に基づき端末情報D50を生成するようにしても良い。
図13は図12で説明したステップS307の処理における具体例を模式的に示す説明図である。図13では端末TM1は図12で示した送信タイミング制御を行っていない場合を示し、端末TM2は送信タイミング制御を行っている場合を示している。
端末TM1では、送信要求は一定周期Taで発生し、バックオフ時間に関わらず、送信要求が出直されるタイミングは変更されない。
一方、端末TM2では、送信要求は一定周期Tbで発生するが、送信タイミング通知部33からバックオフ期間Tbo2を規定した送信タイミング通知情報D33を入力すると、次の送信要求が発生するタイミングで、バックオフ期間Tbo2だけ時間シフトさせて、送信要求を発生させる。すなわち、バックオフ期間Tbo2分送信タイミングが変更される。以降、送信要求するタイミングはバックオフ期間Tbo2だけシフトさせた時刻を基準として、一定周期(周期Tb+バックオフ期間Tbo2)間隔で実行される。以降は、送信タイミング通知情報D33による送信要求のタイミング制御があるたびに、送信要求する時刻のシフトを繰り返し実行する。なお、バックオフ時間が送信周期に対して大きい場合には、送信要求のタイミングのシフトは行わなくても良い。
なお、本実施の形態では、送信タイミング制御手段3と、CSMA/CA方式を動作させる送信手段1とは切り離した構成で示しているが、送信タイミング制御手段3の機能をCSMA/CA方式内で動作させるために送信手段1の内部に組み込んでも良い。
また、本実施の形態では、送信要求生成部51は通信制御装置100内に含めているが、送信要求信号S51等を用いた送信要求タイミングを決定する機能は通信制御装置100と切り離して、外部から送信要求信号S51に相当する信号を含む送信要求に関する情報を入力しても良い。
また、本実施の形態では、送信タイミング制御を行うための契機に、(自端末)通信帯域利用率O(t)を利用して送信オフセット時間を算出しているが、通信帯域利用率O(t)に限らず、通信台数、一定時間内での受信回数、周辺端末の検出した通信帯域利用率、送信するデータの種類や優先度、送信を要求するアプリケーション種別などを用いて送信オフセットを算出するようにしても良い。
さらに、本実施の形態では、CSMA/CA方式の動作に対して送信タイミング制御を行うように記載しているが、CSMA/CA方式に限らず、CSMA方式、ALOHA方式、Persistent方式など自律分散システムで利用される他のアクセス方式に対して適用しても良い。
本実施の形態では、送信タイミングを自端末で判定して制御を行っているが、算出した送信タイミングのシフト時間を、周辺端末に対して、通知しても良いし、変更要求を行っても良い。
例えば、各周辺端末の通信制御装置(通信制御装置100に相当)において、端末情報蓄積部40の端末情報D40内の周辺端末情報に含まれる上記シフト時間に基づき、バックオフ時間を設定する処理を行うようにしても良い。
本実施の形態では、送信タイミング制御を行うためのバックオフパラメータBPの算出に、直近に受信した受信電力を利用して、CWmin、CWmaxや再送回数Rを算出しているが、直近の受信電力に限らず、一定時間の過去の履歴、平均受信電力、直近の受信時刻との差分、周辺端末との位置関係、端末の速度、進行方向、送信するデータの優先度などを用いてバックオフパラメータBPを算出するようにしても良い。
なお、通信制御装置100とは、無線LAN端末や携帯電話のように移動する通信端末でも良いし、基地局のように固定された通信装置も含めても良い。
実施の形態1の通信制御装置100では、送信タイミング制御手段3は、少なくとも一つのバックオフパラメータBPを可変制御可能である。
このため、少なくとも一つの周辺端末が通信中か否かを確認するキャリアセンスと独立して、バックオフ時間を制御して送信タイミングを変更することができるため、少なくとも一つの周辺端末との間で送信データ等を収めたパケットが衝突する可能性を低減できる効果を奏する。
以上のように、本実施の形態に記載の通信制御装置100は、送信タイミング制御判定部30が、通信帯域の混雑状況に応じて送信タイミングが近いか、遠いかを判定するため、CSMA/CA方式において通信帯域の状況を考慮して、パケットが衝突する可能性を低減することができる。
さらに、送信タイミング制御判定部30は、送信するタイミングが分散されている場合には制御を行わない(送信タイミングを変更しない)ことによって、分散された状態を保つことができるので、パケットが衝突する可能性を低いままに維持することができる。
なお、「送信するタイミングが分散されている場合」とは、具体的には「送信データ生成部50からの送信要求時刻と直近の受信時刻との時間差が送信オフセット以上の場合」を意味する。
本実施の形態に記載の通信制御装置100は、送信タイミング算出部31が周辺端末から受信した際の受信電力を利用して、バックオフパラメータBPを設定するため、CSMA/CA方式において、近傍の端末や隠れ端末とパケットが衝突する可能性を低減することができる。なぜならば、「受信電力の小さな端末」は、遠方に位置する可能性が高く、将来的に隠れ端末になる可能性が高い端末であるからである。
さらに、送信タイミング算出部31が受信電力の小さな端末との送信タイミングを大きくシフトさせている。すなわち、受信電力と送信タイミングとの間に負の相関(所定の相関)を持たせている。このため、将来的に隠れ端末になる端末とのパケット衝突確率を低減できるのでCSMA特性の改善ができる。
また、送信タイミング設定部32よりバックオフパラメータBPを送信手段1の外部から設定しているため、既存装置のCSMA/CA方式の動作に影響を与えないので、既存の送信手段を有する通信装置にそのまま適用できる。
さらに、バックオフパラメータBPを周辺端末との相対距離に基づいて設定するため、隠れ端末となりやすい遠方の端末との送信タイミングをずらすことができ、通信品質を向上させることができる。
本実施の形態に記載の通信制御装置100は、バックオフ算出部11が算出したバックオフ時間を送信タイミング通知部33に通知し、送信タイミング通知部33から送信タイミング通知情報D33として送信要求生成部51に通知することにより、周期的に送信するデータの場合、送信タイミングを新たな周期以降からずらすことができるため、送信タイミング制御後も、パケット衝突確率を低減することができ、通信品質を向上させることができる。
本実施の形態に記載の通信制御装置100は、送信タイミングを通信帯域の混雑状況に応じて分散させているため、通信帯域においてビジーが連続的に続くことを回避できることにより、周期的に送信する情報以外を送信する場合にも送信遅延時間を短くすることができる。
なお、「送信タイミングを通信帯域の混雑状況に応じて分散させる」ことは、具体的には、図7に示すように、通信帯域利用率O(t)に基づき送信オフセットを設定することにより実現される。
本実施の形態に記載の通信制御装置100は、バックオフ制御に利用するバックオフパラメータBPとして、CWmin、CWmaxや再送回数Rを変更しているので、標準のCSMA/CA方式よりもパケット衝突の回避確率を高くすることができ、通信信頼性を向上できる。また、バックオフパラメータBPのコンテンションウィンドウCWも直接指定できるため、送信するタイミングを自由に制御することができることにより、パケット衝突の発生しない時間帯を推定して送信することで、通信品質を向上させることができる。
本実施の形態に記載の通信制御装置100は、過去の通信帯域の利用状況を考慮して、利用されていない時間帯に送信できるようにバックオフ時間を制御して送信タイミングを変更することができるので、パケット衝突確率を低減させることができ、通信品質を向上させることができる。
<実施の形態2>
この発明に係る実施の形態2について、図14〜図17を用いて説明する。本実施の形態2では、主として端末を車両に搭載される通信制御装置と想定して説明する。
この発明に係る実施の形態2について、図14〜図17を用いて説明する。本実施の形態2では、主として端末を車両に搭載される通信制御装置と想定して説明する。
図14はこの発明の実施の形態2である通信制御装置101の構成を概略的に示すブロック図である。また、図15はこの発明の実施の形態2による通信制御装置101の構成を詳細に示すブロック図である。なお、実施の形態1と同一の部位には同一の符号を付し、その詳細な説明は適宜省略する。
本発明の実施の形態2は、実施の形態1の図1と同様に送信手段1B(送信手段1に相当)と、受信手段2と、送信タイミング制御手段3と、情報格納手段4と、情報処理手段5と、情報入力手段6とを有するが、図14に示すように実施の形態2は輻輳制御手段7をさらに備えている点が実施の形態1と異なる。
さらに、実施の形態2の通信制御装置101においては、送信手段1B内に送信電力切替部12をさらに有している点が、実施の形態1の通信制御装置100の送信手段1と異なる。また、輻輳制御手段7内に輻輳制御処理部70を有している。
実施の形態2の送信手段1Bは、輻輳制御手段7からの要求(輻輳制御情報D70)に応じて、送信電力切替部12よって送信電力を設定する。
実施の形態2の情報格納手段4は、通信している周辺端末との台数や周辺端末から受信した送信電力や送信周期、(周辺端末)通信帯域利用率なども格納する。
実施の形態2の情報処理手段5は、送信タイミング制御手段3からの要求に応じて送信周期を規定する送信要求タイミング(送信要求信号S51の出力タイミング)を変更する。
実施の形態2の輻輳制御手段7は、情報格納手段4から取得した情報D40〜D42を利用して、送信電力や送信周期を制御したり、送信要求のあった送信データTDの連続的送信を指示する輻輳制御情報D70を送信手段1Bに出力したりする。
前述したように、実施の形態2の送信手段1Bは、送信電力切替部12をさらに備える。
送信電力切替部12は、輻輳制御処理部70から出力される輻輳制御情報D70によって指示(要求)された送信電力に設定し、送信データTDを設定した送信電力にて無線空間上に送信するように、送信部10の送信電力を切り替える。
実施の形態2における送信タイミング設定部32は送信データ生成部50から受ける端末情報D50に基づく送信データTDを送信部10に出力せずに、輻輳制御処理部70に出力し、送信要求を行う。
前述したように、実施の形態2の輻輳制御手段7は、輻輳制御処理部70を備える。輻輳制御処理部70は、送信タイミング設定部32から送信データTDの入力をデータ送信処理要求として入力すると、情報格納手段4から出力した種々の情報とに基づき、輻輳制御情報D70を生成して送信部10及び送信電力切替部12に出力する。なお、種々の情報としては、通信帯域蓄積部42の通信帯域利用率情報D42から取得する自端末及び周辺端末の通信帯域利用率、輻輳制御処理部70が算出した送信電力、送信周期、受信感度、および連送回数等が含まれる。また、輻輳制御処理部70は送信データTDを送信部10に出力して、送信手段1Bに対するデータ送信処理要求を行う。
さらに、輻輳制御処理部70は、情報格納手段4に格納された端末情報D40、受信電力情報D41及び通信帯域利用率情報D42から、自端末および周辺端末の通信帯域利用率と、自端末および周辺端末の位置や速度などに基づいて、送信電力を制御したり、送信データTDを複製して連続的に送信したり、送信要求生成部51の送信要求を発生させる周期であるバックオフ時間BOTを制御したりする情報である輻輳制御情報D70を出力する。
ここで、輻輳制御情報D70とは、自端末の検出する通信帯域利用率、自端末が設定する送信電力、送信周期、受信感度、および連送回数、情報の優先度などを示す。
実施の形態2における送信タイミング通知部33は、輻輳制御処理部70から入力される輻輳制御情報D70に基づき、設定を要求される送信周期を規定した送信タイミング通知情報D33を送信要求生成部51に通知する。
実施の形態2における端末情報蓄積部40は、周辺端末から受信した周辺端末情報に加えて、周辺端末から受信した輻輳制御情報に含まれる送信電力、送信周期、受信感度、および連送回数なども端末情報D40として格納する。
実施の形態2における通信帯域蓄積部42は、通信帯域利用率情報D42として周辺端末から受信した周辺端末情報に含まれる周辺端末通信帯域利用率を格納する。
実施の形態2における送信要求生成部51は、輻輳制御処理部70から送信タイミング通知部33を経由して入力される送信タイミング通知情報D33に基づき、設定を要求される送信周期に認識し、送信要求信号S51を出力する周期を切り換える。
以下、実施の形態2に係る通信制御装置101の動作について詳細に説明する。図16は、実施の形態2による通信制御装置の輻輳制御処理部70の動作を示すフローチャートである。また、図17は、輻輳制御処理部70のフィードバック制御の構成を示す説明図である。
図16を参照して、ステップS401で通信制御装置の起動後、ステップS402において、輻輳制御手段7の輻輳制御処理部70は、送信タイミング設定部32からの送信データTDの出力によるデータ送信処理要求の有無を確認する。
ステップS402でデータ送信処理要求の入力を確認しない場合(NO)、ステップS402においてデータ送信処理要求の入力が確認されるまで待機する。
一方、ステップS402でデータ送信送信要求の入力を確認した場合、ステップS403において、輻輳制御処理部70は情報格納手段4の通信帯域蓄積部42の通信帯域利用率情報D42から自端末および周辺端末の通信帯域利用率を取得し、端末情報蓄積部40の端末情報D40から自端末の通信台数および送信周期を取得する。
次に、ステップS404において、輻輳制御処理部70は、自端末通信帯域利用率Oi(t)とともに、周辺端末通信帯域利用率Oj(t)に基づき、次に式(4)に従い最大の通信帯域利用率Omax(t)を選択する。
ただし、式(4)において、tは時間ステップを示し、Nは自端末iが通信可能な周辺端末台数を示し、j=0ときは、自通信帯域利用率Oi(t)を意味し、j≧1のときは周辺通信帯域利用率Oj(t)を意味する。
次に、ステップS405において、輻輳制御処理部70は、最大通信帯域利用率Omax(t)を目標の通信帯域利用率Orに収束させるために通信帯域利用率の偏差ΔOd(t)にPID制御を適用し、次の式(5)に従いネットワーク全体で増減させる通信トラフィック量Q(t)[%]を算出する。
ただし、式(5)に示す各種パラメータにおいて、Kpは比例ゲインを示し、Kiは積分ゲインを示し、Kdは微分ゲイン、Tiは積分時間、Tdは微分時間を示す。
図18は制御からの経過時間に基づく送信電力変化を示すグラフである。上述した式(5)の各種パラメータを自由に設定することにより、図18に示すように目標値に対する収束の早さを制御することができる。
図18では、積分時間Tiおよび微分時間Tdを固定した場合において、比例ゲインKpの値を例として3パターン設定しているグラフである。送信電力変化L1〜L3の順で比例ゲインKpを大きく設定している。
同図に示すように、比例ゲインKpを大きく設定すると収束するまでの時間が早くなり、Kpを小さく設定すると振動してから収束するため収束までに時間を要する。
その後、ステップS406において、輻輳制御処理部70は、算出した通信トラフィック量Q(t)を自端末が通信している台数n[台]で分担することとし、次の式(6a)を用いて1台当たりが増減させるトラフィック量q(t)[%]を算出し、次の式(6b)を用いて自端末が通信トラフィック量q(t)を満足させるために通信を減らす台数x[台]を算出する。
ただし、式(6b)において、Bは端末1台が1回送信した際に占有する通信帯域利用率B=S/R(データサイズS[bit]、伝送速度R[bps])、Txは自端末と通信中の車両の送信周期を意味する。
そして、ステップS407において、輻輳制御処理部70は、自端末と通信中の周辺端末のうち、自端末から遠い端末x台分の通信エリアを縮小させるため、自端末に近い(n−x)台と通信できる距離d[m]を算出し、その距離d[m]が到達距離となる送信電力P(t+1)[dBm]を次の式(7)に従い算出する。
ただし、式(7)において、P(t)は時刻tにおける送信電力、Prは受信感度[dBm]、Gtは送信アンテナ利得[dBi]、Grは受信アンテナ利得[dBi]、L(d)は距離dの電波伝搬損失[dB]、Loはケーブルロス、誤り訂正利得、フェージングマージンなどの他の増減要素、πは円周率、λは波長を示す。
次に、ステップS408において、輻輳制御処理部70は、算出した送信電力P(t+1)を指示する輻輳制御情報D70を送信電力切替部12に出力することにより、送信電力切替部12による送信電力P(t+1)の設定処理を実行させる。
さらに、ステップS409において、輻輳制御処理部70は、送信周期T(t+1)[msec]を次の式(8)に示すように設定して送信周期制御を行い、目標の通信帯域利用率によって連送制御を行う。
図19は目標通信帯域利用率と連送回数との関係を表形式で示す説明図である。ステップS409の連送制御において、図19を参照して連送回数を設定する連送制御を行うことができる。
最後に、ステップS410において、輻輳制御処理部70は、送信データTDと共に、通信帯域利用率、送信電力、送信周期、受信感度、連送回数などを指示する輻輳制御情報D70を付加する。この際、ステップS409にて算出した連送回数に基づき、送信手段1Bによって送信データTDが複製されて総計R回連続的に送信される。
なお、ステップS405の処理において、最大通信帯域利用率を利用しているが、通信台数や送信電力などに対して、直接、PID制御を適用しても良い。また、ステップS405において、実施の形態2ではPID制御を適用しているが、PID制御以外のフィードバック制御やフィードフォワード制御を適用しても良い。
また、ステップS405において、目標の通信帯域利用率はCSMA特性から所望の通信品質を確保するために算出されるものでも良いし、適切な値を自由に設定してもよい。
ステップS409において、送信周期に対しても送信電力と同様にPID制御を適用しても良いし、他の制御を適用してもよい。
また、ステップS409において、要求される通信品質や通信距離、および送信電力の設定値に応じて、送信周期制御や連送制御を組み合わせて実行しても良いし、組み合わせずに、送信電力だけ制御しても良い。
以下、図16で示した輻輳制御処理部70の動作のより理解すべく図17と関連づけて説明する。まず、図16のフロー処理とは別に、以下の図17の格納部85において、図17の無線空間80(channel)から検出できる自通信帯域利用率Oi(t)を周期的に測定し保存し、周辺端末からの情報(通信台数、周辺通信帯域利用率Oj(t)等)を受信するたびに保存できるものとする。
その後、図16のステップS402でデータ送信処理要求が発生した場合に以下の処理を開始する。
まず、図16のステップS403では、図17において、演算部83は、通信帯域利用率Oi(t),Oj(t)、及び通信台数nを格納部85から取得する。
次に、図16のステップS404では、図17の無線空間80から格納部85を介して取得した自通信帯域利用率Oi(t),周辺通信帯域利用率Oj(t)から、演算部83は、最大の通信帯域利用率Omax(t)を算出する。
図16のステップS405では、図17の算出部84は、演算部83が算出したOmax(t)と予め保持している目標値OrからΔOd(t)を算出する。さらに、図17の制御部81において、ΔOd(t)から増減させる通信量Q(t)を算出する。なお、ΔOd(t)は次の時間ステップ(t+1)で利用するため保持しておき、各種パラメータKp、Ki、Kdは制御部81内で保持している。
さらに、図16のステップS406、S407では、図17の制御部81内で処理を行い、ステップS406に対応して、増減させる通信量Q(t)からq(t)を、q(t)から通信すべき台数xを算出する。
加えて、ステップS407に対応して、制御部81は、台数xから通信距離dを、通信距離dからその距離届くための送信電力P(t+1)を算出する。なお、ここでは、P(t+1)を算出する際には周辺端末情報から位置情報を取得して自端末との相対距離を算出しており、R、Pr、Gt、Gr、Lo、λ等のパラメータは制御部81内で保持している。
最後に、図16のステップS408では、図17の制御部81で算出された送信電力P(t+1)によって送信電力切替部12に設定し、ステップS410において、図17の無線空間80上に送信データTD(端末情報)を送信する。なお、制御部82及び算出部86は周辺端末において、制御部81及び算出部84と同様な制御を行っている。
図17の制御部81において、ステップS404,S405と同様に、送信周期T(t+1)を算出できるが、特に図17と対応付けは行っていない。また、連送回数も同様に図17とは無関係で、図19のように目標の通信大域利用率に基づいて設定することを想定している。
輻輳制御処理部70の処理において、通信台数が多い場合に送信電力制御だけで輻輳を回避し、通信品質を確保しようとすると、送信電力が小さくなり、通信エリアが狭くなってしまう可能性があるため、送信電力が特定の閾値になれば、送信周期制御を開始し、さらに送信周期も特定の閾値になれば、連送制御を開始するなどとしても良い。また、輻輳制御処理部70の処理において、送信電力制御により通信帯域利用率を低く抑圧することにより、通信帯域には空きが発生するため、通信帯域利用率が特定の閾値以下になった場合に、連送制御を適用しても良い。
さらに、輻輳制御処理部70は、周辺端末との位置関係や進行方向、相対位置を考慮して、送信電力や送信周期を制御したり、連送制御を行ったりしてもよい。
なお、本実施の形態では、送信タイミング制御判定部30、送信タイミング算出部31は、実施の形態1と同様の処理を想定しているが、周辺端末から受信した輻輳制御情報D70を利用して、周辺端末通信帯域利用率に基づいて送信タイミングを制御しても良い。
以上のように、本実施の形態に記載の通信制御装置101は、輻輳制御処理部70を備えているため、通信端末数が増加した場合でも、通信の輻輳を回避できるため、送信タイミング制御の効果を低下させずに、パケット衝突を回避できる効果を奏する。
また、本実施の形態通信制御装置101では、周辺端末が検出した混雑状況(周辺通信帯域利用率Oj(t))に基づいて、送信タイミングの変更の有無を判定することにより、自端末が検出できない場所を考慮した制御が可能となる。
また、本実施の形態に記載の通信制御装置101は、通信帯域が混雑した場合に、フィードバック制御により送信電力を小さく制御したり、送信周期を長くしたり、連送回数に基づき同一データを複製して送信することにより、通信の信頼性を向上させることができる。
本実施の形態に記載の通信制御装置101は、通信帯域が混雑した場合に、送信電力を小さく制御するが、送信電力が特定の閾値に到達したことを契機に、送信周期を長くしたり、連送を行ったりすることにより、高い通信品質を保ったまま、通信エリアが小さくなるのを防止したり、通信エリアを拡大したりできる。
本実施の形態に記載の通信制御装置101は、輻輳制御処理部70を備えているため、一時的に通信端末が増加する交差点や高架などにおいても、送信電力や送信周期を高速に大小させることができるため、様々な交通環境においても利用でき、通信品質を確保することができる。
<実施の形態3>
この発明に係る実施の形態3について、図20〜図22を用いて説明する。本実施の形態3では、主として端末を車両に搭載される通信制御装置と想定して、説明する。
この発明に係る実施の形態3について、図20〜図22を用いて説明する。本実施の形態3では、主として端末を車両に搭載される通信制御装置と想定して、説明する。
図20はこの発明の実施の形態3である通信制御装置102の構成を詳細に示すブロック図である。なお、実施の形態1および実施の形態2と同一の部位には同一の符号を付し、その詳細な説明は適宜省略する。
本発明の実施の形態3は、実施の形態2の図15で示す構成とほぼ同様に、送信手段1C(送信手段1Bに相当)、受信手段2、送信タイミング制御手段3C(送信タイミング制御手段3に相当)、情報格納手段4、情報処理手段5C(情報処理手段5に相当)、情報入力手段6、及び輻輳制御手段7から構成される。
従って、実施の形態3の通信制御装置102においては、図15に示した送信タイミング制御手段3と異なり、送信タイミング制御手段3Cは送信タイミング設定部32に代えて送信タイミング付与部34を有する点と、送信手段1Cはバックオフ算出部11を有していない点、送信タイミング制御手段3C内に送信タイミング設定部32を有していない点、及び情報処理手段5C内に送信要求生成部51に代えて送信要求生成部52を有する点が実施の形態2と異なる。
実施の形態3の送信手段1Cは、バックオフ算出部11を有していないため、バックオフ時間の算出は送信部10が行い、標準的なCSMA/CA方式に従って、バックオフ動作を行う。
実施の形態3の送信タイミング制御手段3Cの送信タイミング制御判定部30は、送信要求生成部52が周辺端末から端末情報の受信通知を受けた場合に、送信要求生成部52からの要求(送信要求信号S52)に応じて、送信タイミングの制御を行う否かの判定を行う。
実施の形態3の送信タイミング制御手段3C内の送信タイミング通知部33は、送信タイミング算出部31が算出した送信タイミングの送信シフト時間を送信タイミング制御判定部30から入力し、算出された送信タイミングを規定した送信タイミング通知情報D33を送信要求生成部52に通知する。
実施の形態3の送信タイミング制御手段3Cの送信タイミング付与部34は、送信データ生成部50から端末情報D50の入力により送信要求を確認すると、端末情報D50に、送信要求生成部52の有する送信周期と、端末情報局変換部40の有する通信台数とで構成される送信タイミング制御情報を付加した送信タイミング制御情報D34を輻輳制御処理部70に送信する。
ここで、送信タイミング制御情報D34とは、周期的に送信する情報の送信周期、通信中の周辺端末との通信台数、送信周期を通信台数で一様に分布させるためのオフセット時間などを意味する。
実施の形態3の情報処理手段5の送信要求生成部52は、受信部20から周辺端末の情報受信通知を入力すると、受信した時刻と、次に送信するまでの時刻、および送信周期を含む制御情報D52を送信要求信号S52と共に送信タイミング制御判定部30に通知する。以下では、送信要求信号S52の出力時に制御情報D52も併せて出力されるとして、送信要求信号S52を中心に説明する。
また、送信要求生成部52は、送信タイミング通知部33から送信タイミング通知情報D33によって送信時間シフトを要求されると、次の送信タイミングをシフトして、次の送信要求信号S52の出力に備える。
実施の形態3の情報処理手段5の受信部20は、周辺端末から送信された端末情報や輻輳制御情報に加え、周辺端末の通信台数情報を受信し、端末情報蓄積部40に格納する。また、周辺端末から情報を受信すると、受信した時刻、受信電力を送信要求生成部52に通知する。
実施の形態3による通信制御装置102の動作について詳細に説明する。
図21は、実施の形態3による通信制御装置の送信タイミング制御手段3Cにおける送信タイミング制御の動作を示すフローチャートである。
ステップS501で通信制御装置の起動後、ステップS502において、送信タイミング制御手段3Cの送信タイミング制御判定部30は、送信要求生成部52から送信タイミングをシフトするか否かの判定要求を行う送信要求信号S52の入力の有無を確認する。
ステップS502で送信要求信号S52の入力が確認されない場合、ステップS502において入力確認を待機する。ステップS502で送信要求信号S52の入力が確認された場合、ステップS503において、送信タイミング制御判定部30は情報格納手段4の端末情報蓄積部40から通信している周辺端末の台数を取得する。
次に、ステップS504において、送信タイミング制御判定部30は、取得した通信台数n[台]と、送信要求生成部52から受信した周辺端末からの受信開始時刻t1と、次の送信要求発生時刻t2(送信予定時刻)と、送信周期Tintervalとから、送信オフセット時間Toffsetを算出する。
ここで、送信オフセット時間は次の式(9)によって算出される。
そして、送信タイミング制御判定部30は、次の送信要求発生時刻t2が受信開始時刻t1、オフセット時間Toffset以内かどうかを判定する(S505)。
ステップS505において、「(t2−t1)≦Toffset」の場合(YES)、ステップS506において、送信タイミング制御判定部30は、受信電力PrBを送信タイミング算出部31に通知して、送信シフト時間の算出要求を行う。
その後、ステップS507において、送信タイミング算出部31は受信電力PrBから送信シフト時間Tshiftを算出し、送信タイミング制御判定部30に出力する。
ここで、送信シフト時間Tshiftは、受信電力から算出されるランダム整数値α(以下、シフトパラメータ)に、オフセット時間Toffsetを乗算した値で式(10)によって算出される。式(10)において、さらに、ランダム時間Trandを加算している。
図22は受信電力とシフトパラメータとの関係を表形式で示す説明図である。同図に示すように、受信電力によってシフトパラメータαが設定される。
次に、ステップS508において、送信タイミング制御判定部30は、送信シフト時間Tshiftを送信タイミング通知部33を経由して、送信タイミング通知情報D33として送信要求生成部52に通知される。この際、送信シフト時間Tshiftは送信タイミング通知情報D33に含まれる。その後、送信タイミング制御処理を完了し、ステップS502に戻る。
一方、ステップS505において、「(t2−t1)>Toffset」の場合、送信タイミングをシフトさせないと判断し、送信シフト時間を"0"に設定し、直ちにステップS508に移行する。
ステップS502〜ステップS508の処理は送信タイミング制御の判定要求(送信要求信号S52の出力)を確認するごとに繰り返し実行される。
ステップS504において、送信オフセット時間Toffsetは送信周期と通信台数から算出しているが、これに限らず、通信帯域利用率や一定時間内の情報受信回数、過去の受信履歴などを利用して算出しても良い。また、送信オフセット時間Toffsetは式(9)で算出した値を加工して利用しても良い。
ステップS507において、送信シフト時間Tshiftは送信オフセット時間Toffsetとシフトパラメータαから算出しているが、これに限らず、通信帯域利用率などを利用したり、過去の受信履歴から通信帯域がアイドルなタイミングになるように設定したり、周辺端末との位置関係に応じて設定したりしても良い。また、送信シフト時間はランダム時間を付与しているが、これはランダムバックオフ制御に基づいて算出しても良いし、過去の受信履歴などを利用して算出しても良い。
さらに、ステップS507において、シフトパラメータαは受信電力から算出しているが、通信帯域利用率、一定時間内の受信回数、周辺端末との位置関係に基づいて設定しても良い。また、ランダム時間Trandは、バックオフ時間を利用しても良いし、バックオフ時間の最大値を利用しても良い。
本実施の形態の効果について、図23〜図25を用いて説明する。図23〜図25は、端末A、端末B、および端末Cが送信タイミング制御を行って通信する状況の具体例を模式的に示す説明図である。
図23は、端末A、端末B、および端末Cが互いに通信可能な状態にある場合を示している。すなわち、同図(a)に示すように、端末8Aの通信範囲9A、端末8Bの通信範囲9B及び端末8Cの通信範囲9Cの重複範囲内に端末8A,端末8B及び端末8Cが存在する場合を示している。
図24および図25は、端末Bと端末Cが互いに通信状態を検出できない場合を示している。すなわち、図24(a)及び図25(a)に示すように、通信範囲9Bと通信範囲9Cとの重複範囲内に端末8B及び端末8Cが存在しない場合を示している。
さらに、また、図25は、端末Bは4台と通信し、端末Cは3台と通信している状況を示している。すなわち、図25(a)に示すように、通信範囲9Bに端末8A,8D〜8Fが存在し、通信範囲9Cに端末8A,8G及び8Hが存在する場合を示している。
図23(b)に示すように、送信タイミング制御手段3Cによる送信タイミング制御を行わない場合、バックオフ期間Tboによっては異なる端末間で送信信号TS,TSが衝突する可能性がある一方で、図23(c)に示すように送信タイミング制御を行った場合は、送信タイミング変更用の送信シフト時間Tshiftが適宜設定されることにより、端末8A〜8C間で同じタイミングで送信信号TSが送信される確率が低くなるために、送信信号TS,TSの衝突の可能性を低減することができる。
また、図24(b)に示すように、隠れ端末の関係にある2台(端末8B,端末8C)が送信タイミングを近くに設定した場合には衝突する可能性が残ってしまうため、ランダム時間Trandを利用することにより、送信シフト時間Tshiftを端末8B,端末8C間で異なる値に設定してタイミング変更を行うことにより、衝突の可能性が高くなるのを防止できる。
また、図25(b)に示すように、各端末で送信オフセット時間Toffsetの大きさが異なる場合には、送信シフト時間Tshiftにも時間差が発生し、端末間において送信信号TSの送信タイミングが近くに設定されにくくなるため、ランダム時間Trandに関わらず、衝突の可能性を低減することができる。
以上のように、本実施の形態に記載の通信制御装置102は、周辺端末から情報を受信した際に、送信タイミングのシフトを判定することによって、パケット衝突の可能性が低いタイミングで送信できるため、CSMA/CA方式の機能に依存せずに通信の信頼性を向上できる。
また、本実施の形態に記載の通信制御装置102は、送信タイミングをシフトさせる条件として、自端末が通信中の周辺端末数である通信台数と自端末における送信データの送信周期とを利用することによって、パケット衝突の発生確率が比較的高い場合にだけ、送信タイミングをシフトさせるので、キャリアセンスできない端末が存在した場合でも、パケット衝突の発生を低減させることができる。
さらに、本実施の形態に記載の通信制御装置102は、送信タイミングをシフトさせる時間幅の選択に、通信台数と送信周期から算出される送信オフセットを利用していることによって、送信周期の間に各端末の送信を一様分布させることができるので、パケット衝突の発生を低減させたり、送信遅延を低減させたりできる。
本実施の形態に記載の通信制御装置102は、送信オフセットの整数倍の位置に、次の送信要求タイミング(送信要求信号S52の出力タイミング)を設定しているため、送信周期を効率的に分散させることができる。また、送信オフセットを周辺端末の位置関係に応じて、設定することによって、隠れ端末とのパケット衝突が発生しにくい送信タイミングに設定することができる。
本実施の形態に記載の通信制御装置102は、送信タイミングのシフト時間を受信電力に応じて算出したり、周辺端末との位置関係に基づいて算出したりしているため、近い端末とは送信タイミングを近くして、遠い端末とは送信タイミングを離すことができるので、隠れ端末になりそうな端末とのパケット衝突を低減させ、通信品質を改善することができる。
<実施の形態4>
この発明に係る実施の形態4について、図26及び図27を用いて説明する。本実施の形態4では、主として端末を車両に搭載される通信制御装置と想定して説明する。
この発明に係る実施の形態4について、図26及び図27を用いて説明する。本実施の形態4では、主として端末を車両に搭載される通信制御装置と想定して説明する。
図26はこの発明の実施の形態4である通信制御装置103の構成を詳細に示すブロック図である。なお、実施の形態1から実施の形態3と同一の部位には同一の符号を付し、その詳細な説明は適宜省略する。
実施の形態4の通信制御装置103は、実施の形態1の図2と同様に送信手段1D(送信手段1Aに相当)、受信手段2、送信タイミング制御手段3D(送信タイミング制御手段3に相当)、情報格納手段4、情報処理手段5及び情報入力手段6から構成される。
したがって、実施の形態4の通信制御装置103においては、図2に示した送信手段1とは異なり、送信手段1Dはバックオフ算出部11を有していない点が実施の形態1と異なる。また、送信タイミング制御手段3Dは、送信タイミング算出部31を有していない点が実施の形態1と異なる。
実施の形態4の送信手段1Dは、バックオフ算出部11を有していないため、バックオフ時間の算出は送信部10が行い、標準的なCSMA/CA方式に従って、バックオフ動作を行う。
実施の形態4の送信タイミング制御手段3Dの送信タイミング制御判定部30は、送信データ生成部50から送信用の端末情報D50を受信すると、受信電力蓄積部41の受信電力情報D41から直近周辺端末受信時刻を取得し、端末情報D50が送信された時刻である送信要求時刻と上記直近周辺端末受信時刻との時間差がバックオフ時間の最大値以内かを判断する。
上記時間差がバックオフ時間の最大値以内の場合には、送信タイミング制御判定部30は、バックオフ時間の最大値または最小値を指示するバックオフパラメータ情報D30bを送信タイミング通知部33に出力する。
また、送信タイミング制御判定部30は端末情報D50に基づく送信データTDを送信部10に出力する。
実施の形態4の情報処理手段5の送信要求生成部52は、送信タイミング通知部33から送信時間シフトを要求されると、次の送信タイミングをシフトして、次の送信要求信号S51の出力に備える。
実施の形態4による通信制御装置103の動作について詳細に説明する。
図27は、実施の形態4による通信制御装置の送信タイミング制御手段3Dにおける送信タイミング制御の動作を示す図である。図27の一つ目の最大バックオフ時間TbackoffMAXは、実施の形態1の図11で示した(t2−t1)相当する時間であり、図27の二つ目の最大バックオフ時間TbackoffMAXは、実施の形態1の図13で示したバックオフ期間Tbo2に相当する時間である。すなわち、図27はシフトさせる送信タイミング時間として、実施の形態1の図13で示したバックオフ期間Tbo2を最大バックオフ時間TbackoffMAXに置き換えたものに相当する。
送信タイミング制御判断部30は、図27における送信要求の時間差(t2−t1)が最大バックオフ時間TbackoffMAX以内かどうかを判断する。図27において、t1は端末Aが送信フレームTFMの送信開始時刻であり、t2は送信要求時刻である。
最大バックオフ時間TbackoffMAXは、先に述べた式(1)及び式(2)から算出することができる。例えば、CWmax=1024、再送回数R=1、スロットタイムS=9マイクロ秒を適用すると、CW=1024となり、最大バックオフ時間TbackoffMAXは、9.216msecと算出される。
送信要求の時間差が最大バックオフ時間TbackoffMAX以内の場合には、最大バックオフ時間TbackoffMAXを指示する信号を送信タイミング通知部33より、送信要求生成部52に通知し、次の送信タイミングを当初予定の送信要求時刻tαから最大バックオフ時間TbackoffMAXだけシフトさせたtβにシフトする。
本実施の形態では、送信要求タイミングをシフトさせているが、一定時間経過後は、最大バックオフ時間TbackoffMAX分、時間を前倒しにシフトさせた後、元のタイミングに戻すように制御してもよい。また、シフトさせた時間の累計時間が送信周期を超えた場合には元のタイミングに戻すように制御したり、送信タイミングを遅らせる制御から早める制御に変更したりしても良い。
実施の形態4では、最大バックオフ時間TbackoffMAXに基づいて、送信タイミングをシフトするか判断し、送信タイミングをシフトする例を示したが、バックオフ時間の最大値の代わりに、バックオフ時間の最小値や実施の形態3で算出される送信オフセットなどに基づいて、送信タイミングの有無の判断・シフト量の設定を行っても良い。
また、本実施の形態では送信タイミングを遅らせているが、送信タイミングを早めても良い。
以上のように、本実施の形態に記載の通信制御装置103は、送信タイミング制御判定部30が、CSMA/CA方式により算出される最大時間(最大バックオフ時間TbackoffMAX)を考慮して、バックオフ時間分(例えば、最大バックオフ時間TbackoffMAX)、送信タイミングをシフトさせるか否かを判断するため、CSMA/CA方式に依存せずにパケット衝突する可能性を低減させることができる。
また、本実施の形態に記載の通信制御装置103は、送信タイミングを遅らせる制御から早める制御に切り替えることができるので、送信タイミング制御により生じる送信遅延を低減したり、回復したりすることができる。
<通信制御方法への適用>
実施の形態1〜実施の形態4は通信制御装置100〜103として説明したが、各手段1〜7の動作をステップとした通信制御方法として本発明を位置づけることもできる。
実施の形態1〜実施の形態4は通信制御装置100〜103として説明したが、各手段1〜7の動作をステップとした通信制御方法として本発明を位置づけることもできる。
例えば、実施の形態1〜実施の形態4の通信制御装置100〜103共通の制御内容を想定した場合、以下のように通信制御方法が実現される。
所定の端末(自端末)上で実行され、上記自端末を除く少なくとも一つの周辺端末との間で無線通信を行う通信制御方法であって以下のステップ(a)〜(e)を備える。
ステップ(a)は、上記少なくとも一つの周辺端末から送信される端末情報を周辺端末情報として受信し、上記周辺端末情報の受信時における受信電力を測定し、上記所定の端末が所定レベル以上の電波強度で受信している時間割合である自端末通信帯域利用率を測定する(受信手段2の処理)。
ステップ(b)は、上記ステップ(a)で取得した上記周辺端末情報、上記受信電力、及び上記自端末通信帯域利用率を格納情報として格納する(情報格納手段4の処理)。
ステップ(c)は、送信用端末情報D50による送信を要求する送信要求を行う(情報処理手段5の処理)。
ステップ(d)は、上記送信要求に応答して、上記格納情報を参照し、上記送信用端末情報に基づく送信データによるデータ送信処理要求を行う(送信タイミング制御手段3による処理)。
ステップ(e)は、上記送信データTDを上記少なくとも一つの周辺端末に送信するデータ送信処理を行う(送信手段1の処理)。
そして、上記記ステップ(d)は、上記周辺端末情報の最新の受信時刻である直近周辺端末受信時刻と、前記ステップ(c)において上記送信要求を行った時刻である送信要求時刻との時間差が所定の時間よりも小さい場合には、上記データ送信処理要求を行うタイミングである送信タイミングを変更し、上記時間差が上記所定の時間よりも大きい場合には上記送信タイミングを変更しない制御を行っている。
このため、少なくとも一つの周辺端末が通信中か否かを確認するキャリアセンスと独立して、送信タイミングの変更の有無を制御することができるため、少なくとも一つの周辺端末との間で送信データが衝突する可能性を低減できる効果を奏する。
実施の形態1〜実施の形態3は通信制御装置100〜102として説明したが、各手段1〜7の動作をステップとした通信制御方法として本発明を位置づけることもできる。
さらに、実施の形態1及び実施の形態2の通信制御装置100,101(輻輳制御手段7が無い場合)を想定した場合、以下のように通信制御方法が実現される。
所定の端末(自端末)上で実行され、少なくとも一つの周辺端末との間で無線通信を行う通信制御方法であって以下のステップ(a)〜(e)を備える。
ステップ(a)は、上記少なくとも一つの周辺端末から送信される端末情報を周辺端末情報として受信し、上記周辺端末情報の受信時における受信電力を測定し、上記所定の端末が所定レベル以上の電波強度で受信している時間割合である自端末通信帯域利用率を測定する(受信手段2の処理)。
ステップ(b)は、上記ステップ(a)で取得した上記周辺端末情報、上記受信電力、及び上記自端末通信帯域利用率を格納情報として格納する(情報格納手段4の処理)。
ステップ(c)は、送信用端末情報D50による送信を要求する送信要求を行う(情報処理手段5の処理)。
ステップ(d)は、上記送信要求に応答して、上記格納情報を参照し、上記送信用端末情報に基づく送信データによるデータ送信処理要求を行う(送信タイミング制御手段3による処理)。
ステップ(e)は、上記送信データTDを上記少なくとも一つの周辺端末に送信するデータ送信処理を行う(送信手段1,1Bの処理)。
そして、上記ステップ(e)は、上記ステップ(d)における上記データ送信処理要求に応答して、少なくともバックオフ時間経過後上記データ送信処理を実行し、上記バックオフ時間は少なくとも一つのバックオフパラメータBPにより決定され、上記ステップ(d)は、上記少なくとも一つのバックオフパラメータBPを可変設定するステップを含む。
このような通信制御方法において、ステップ(d)は、少なくとも一つのバックオフパラメータBPを可変設定する。
このため、少なくとも一つの周辺端末が通信中か否かを確認するキャリアセンスと独立して、バックオフ時間を制御することができるため、少なくとも一つの周辺端末との間で送信データが衝突する可能性を低減できる効果を奏する。
また、実施の形態2及び実施の形態3の通信制御装置101,102を想定した場合、以下のように通信制御方法が実現される。
所定の端末で実行され、少なくとも一つの周辺端末との間で無線通信を行う通信制御方法であって、以下のステップ(a)〜(f)を備える。
ステップ(a)は、上記少なくとも一つの周辺端末から送信される端末情報を周辺端末情報として受信し、上記周辺端末情報の受信時における受信電力を測定し、上記所定の端末が所定レベル以上の電波強度で受信している時間割合である自端末通信帯域利用率を測定する(受信手段2の処理)。そして、上記周辺端末情報は送信源である周辺端末の通信帯域利用率を含んでいる。
ステップ(b)は、ステップ(a)で取得した上記周辺端末情報、上記受信電力、及び上記自端末通信帯域利用率を格納情報として格納する(情報格納手段4の処理)。
ステップ(c)は、送信用端末情報D50を出力するとともに、上記送信用端末情報による送信を要求する送信要求を行う(情報処理手段5Cの処理)。
ステップ(d)は、上記送信要求に応答して、上記格納情報を参照し、上記送信用端末情報に基づく送信データによるデータ送信処理要求を行う(送信タイミング制御手段3Cの処理)。
ステップ(e)は、上記データ送信処理時における送信電力、送信周期、上記送信データの連続送信回数である連送回数を設定する(輻輳制御手段7の処理)。
ステップ(f)は、送信データTDを上記少なくとも一つの周辺端末に送信するデータ送信処理を行い(送信手段1Cの処理)、上記ステップ(f)は、上記ステップ(e)で設定した上記送信電力、上記送信周期及び上記連送回数に従い実行される。
上記ステップ(e)は、上記自端末通信帯域利用率と、上記周辺端末情報から取得した上記少なくとも一つの周辺端末における通信帯域利用率である周辺端末通信帯域利用率とに基づいて、上記送信電力、上記送信周期、上記連送回数を設定する。
上記通信制御方法において、ステップ(e)は、周辺端末通信帯域利用率に基づき、送信電力、上記送信周期、上記連送回数しているため、少なくとも一つの周辺端末の数が増加した場合でも、通信の輻輳を回避できるため、送信タイミング制御の効果を低下させずに、送信データの衝突を回避できる効果を奏する。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
Claims (9)
- 所定の端末に搭載され、前記所定の端末以外の少なくとも一つの周辺端末との間で無線通信を行う通信制御装置であって、
前記少なくとも一つの周辺端末から送信される端末情報を周辺端末情報として受信し、前記周辺端末情報の受信時における受信電力を測定し、前記所定の端末が所定レベル以上の電波強度で受信している時間割合である自端末通信帯域利用率を測定する受信手段と、
前記受信手段から取得した前記周辺端末情報、前記受信電力、及び前記自端末通信帯域利用率を格納情報として格納する情報格納手段と、
送信用端末情報を出力するとともに、前記送信用端末情報による送信を要求する送信要求を行う情報処理手段と、
前記送信要求に応答して、前記格納情報を参照し、前記送信用端末情報に基づく送信データによるデータ送信処理要求を行う送信タイミング制御手段と、
前記送信データを前記少なくとも一つの周辺端末に送信するデータ送信処理を行う送信手段とを備え、
前記送信タイミング制御手段は、
前記周辺端末情報の最新の受信時刻である直近周辺端末受信時刻と、前記情報処理手段が前記送信要求を行った時刻である送信要求時刻との時間差が所定の時間よりも小さい場合には、前記送信手段が前記データ送信処理を行うタイミングである送信タイミングを変更し、前記時間差が前記所定の時間よりも大きい場合には前記送信タイミングを変更しないことを特徴とする、
通信制御装置。 - 請求項1記載の通信制御装置であって、
前記所定の時間は所定のオフセット時間を含み、
前記送信タイミング制御手段は、
前記受信手段が測定した前記自端末通信帯域利用率に基づいて、前記所定のオフセット時間を算出する、
通信制御装置。 - 請求項1記載の通信制御装置であって、
前記送信手段は、
前記送信タイミング制御手段からの前記データ送信処理要求に応答して、少なくともバックオフ時間経過後に送信され、前記バックオフ時間は少なくとも一つのバックオフパラメータにより決定され、
前記送信タイミング制御手段は、
前記バックオフパラメータの少なくとも一つを可変制御することにより、前記送信タイミングを変更することを特徴とする、
通信制御装置。 - 請求項2記載の通信制御装置であって、
前記周辺端末情報は送信源である周辺端末の通信帯域利用率を含み、
前記送信タイミング制御手段は、
前記通信帯域利用率における最大値に基づいて、前記所定のオフセット時間を算出することを特徴とする、
通信制御装置。 - 請求項3記載の通信制御装置であって、
前記送信タイミング制御手段は、
前記直近周辺端末受信時刻に受信した前記周辺端末情報の受信電力に基づき、前記少なくとも一つのバックオフパラメータの内容を変更することを特徴とする、
通信制御装置。 - 請求項1記載の通信制御装置であって、
前記送信タイミング制御手段は、
前記所定の端末が通信中の周辺端末数である通信台数と前記所定の端末における送信データの送信周期とに基づいて、前記所定の時間を算出する、
通信制御装置。 - 請求項1記載の通信制御装置であって、
前記送信タイミング制御手段は、
前記送信タイミングを変更する際に、送信タイミングを遅らせる制御を繰り返した後、送信タイミングを早める制御に切り替えることを特徴とする、
通信制御装置。 - 請求項1記載の通信制御装置であって、
前記送信手段は、
前記送信タイミング制御手段からの前記データ送信処理要求に応答して、少なくともバックオフ時間経過後に送信され、
前記送信タイミング制御手段は、
前記バックオフ時間分、送信タイミングを変更制御することを特徴とする、
通信制御装置。 - 所定の端末上で実行され、前記所定の端末以外の少なくとも一つの周辺端末との間で無線通信を行う通信制御方法であって、
(a) 前記少なくとも一つの周辺端末から送信される端末情報を周辺端末情報として受信し、前記周辺端末情報の受信時における受信電力を測定し、前記所定の端末が所定レベル以上の電波強度で受信している時間割合である自端末通信帯域利用率を測定するステップと、
(b) 前記ステップ(a)で取得した前記周辺端末情報、前記受信電力、及び前記自端末通信帯域利用率を格納情報として格納するステップと、
(c) 送信用端末情報による送信を要求する送信要求を行うステップと、
(d) 前記送信要求に応答して、前記格納情報を参照し、前記送信用端末情報に基づく送信データによるデータ送信処理要求を行うステップと、
(e) 前記送信データを前記少なくとも一つの周辺端末に送信するデータ送信処理を行うステップとを備え、
前記ステップ(d)は、前記周辺端末情報の最新の受信時刻である直近周辺端末受信時刻と、前記ステップ(c)において前記送信要求を行った時刻である送信要求時刻との時間差が所定の時間よりも小さい場合には、前記データ送信処理要求を行うタイミングである送信タイミングを変更し、前記時間差が前記所定の時間よりも大きい場合には前記送信タイミングを変更しない、
通信制御方法。
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