JP5340393B2 - 腎細胞癌の治療のための3,3’,4,4’−テトラヒドロキシ−2,2’−ビピリジン−n,n’−ジオキシド - Google Patents

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Description

本発明は、概ね、癌治療に関する。より詳しくは、本発明は、腎臓癌、とりわけ腎近位尿細管細胞起源の腎細胞癌の治療のための、3,3’,4,4’−テトラヒドロキシ−2,2’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド、特に3,3’,4,4’−テトラヒドロキシ−2,2’−ビピリジン−N,N’−ジオキシド(オレラニン)の使用に関する。
癌は、これらは100を超える異なる形態で出現し、身体の殆んどすべての部分を冒す。生涯を通して、身体における健常な細胞は、制御されている様式で分裂し、成長し、自体を置き換える。この細胞分裂を指示する遺伝子が機能不全を起こし、細胞が無制御に増殖及び成長し始めると癌が生じる。これらの異常な細胞の塊又は集団は腫瘍と呼ばれる。腫瘍がすべて癌性であるというわけではない。ほくろなどの良性腫瘍は成長を停止し、身体の他の部分に広がらない。しかし、癌性又は悪性の腫瘍は成長し続け、健常な細胞を包み込み、身体機能を妨害し、身体組織から栄養を抜き取る。悪性腫瘍は、転移と呼ばれる過程を通して身体の他の部分に広がることができる。「母腫瘍」からの細胞は、剥離し、腫瘍に応じて、血管若しくはリンパ管を通って、又は胸部、腹部、若しくは骨盤内を遊走し、これらは最終的に身体の他の場所で新しい腫瘍を形成する。
腎臓における癌は、すべての固形腫瘍の約3%を構成する。腎臓腫瘍の約85%は腎細胞癌(RCC)と分類される。診断されるRCCのおよそ80%は、腎臓の尿生成管である細管の近位部分の内壁である上皮細胞に由来する。顕微鏡下のその外見によって、この癌のタイプは、腎明細胞癌(RCCC、65%)又は腎乳頭細胞癌(RPCC、15%)のいずれかとして知られている。RCCC及びRPCCは診断されるRCCの80%を構成するが、これらは腎細胞癌による死亡の100%近くの原因となっている。
予後を予測する上で最も重要なファクターはステージである。ステージは、癌のサイズ及び癌が腎臓を超えてどのくらい深く広がっているかを記載するものである。米国癌合同委員会(AJCC)のステージ分類システムはTNMシステムとして知られている。Tの文字とそれに続く1から3までの番号は、腫瘍のサイズ及び近くの組織への進展を記載するものである。Tの番号が大きいほど腫瘍は大きく、且つ/又は腎臓付近の組織により広範に広がっていることを示している。Nの文字とそれに続く0から2までの番号は、癌が腎臓付近のリンパ節に広がっているか否か、また広がっているとすればどのくらい多くが罹患しているかを示すものである。Mの文字とそれに続く0又は1は、癌が遠位の器官に広がっているか否かを示すものである。
ステージI:腫瘍は7cm(約2 3/4インチ)以下であり、腎臓に限局する。リンパ節又は遠位の器官への進展はない。
ステージII:腫瘍は7.0cmより大きいが、依然として腎臓に限局する。リンパ節又は遠位の器官への進展はない。
ステージIII:腎臓周囲の脂肪組織への進展がある又はない、腎臓から心臓に至る大静脈中への進展がある又はない、付近の1つのリンパ節への進展はあるが遠位のリンパ節又は他の器官への進展がない、いかなるサイズの腫瘍も含む。ステージIIIはまた、いかなるリンパ節にも他の器官にも進展していない、腎臓周囲の脂肪組織に進展し、且つ/又は腎臓から心臓に至る大静脈中に進展した腫瘍も含む。
ステージIV:このステージは、脂肪組織、及び腎臓を取り囲む筋膜の靭帯様組織を通して直接進展しているいかなる癌も含む。ステージIVは、腎臓付近の1つを超えるリンパ節に、腎臓付近ではないいずれかのリンパ節に、又は肺、骨、若しくは脳などのいずれかの他の器官に進展しているいかなる癌も含む。
腎細胞癌のカテゴリーT、N、M、及びステージのグループ分けの詳細な定義:
原発腫瘍(T):
TX:原発腫瘍の評価が不可能
T0:原発腫瘍を認めない
T1:7cm以下の、腎臓に限局する腫瘍
T2:7cmを超える、腎臓に限局する腫瘍
T3:腫瘍の主静脈/副腎/腎周囲組織中への進展;ジェロタ筋膜を越えない
T3a:腫瘍の副腎/腎周囲の脂肪への浸潤
T3b:腫瘍の(1つ若しくは複数の)腎静脈又は横隔膜下の大静脈中への進展
T3c:腫瘍の横隔膜上の大静脈中への進展
T4:腫瘍のジェロタ筋膜を越えた浸潤
N−所属リンパ節
NX:所属リンパ節の評価が不可能
N0:所属リンパ節の転移なし
N1:1個の所属リンパ節における転移
N2:複数の所属リンパ節における転移
M−遠隔転移
MX:遠隔転移の評価が不可能
M0:遠隔転移なし
M1:遠隔転移
おおざっぱに言って、ステージI又はIIにおける癌は、罹患している腎臓の外科的切除によって治療され、回復に対する予後は良好である。それとは対照的に、ステージIII又はIVの腎臓癌は非常に低い生存率に関連し、国立癌研究所はそのウエブサイト上で、「事実上、ステージIVの腎細胞癌患者を治癒させることはできない」と述べている。
国立癌研究所は、2009年に米国において新しく49096症例の腎臓癌が診断され(住民10人あたり16人)、うち11033人が死亡する(住民10人あたり3.6人)と推定している。欧州連合についての対応する数は(2006年)、診断65051人(住民10人あたり7.8人)及び死亡27326人(住民10人あたり3.3人)である(欧州癌学会(European Cancer Observatory:http://eu−cancer.iarc.fr/cancer−19−kidney.html,en))。世界的には(2006年)、診断209000症例(住民10人あたり3.2人)及び死亡102000人(住民10人あたり1.6人)と推定される(Guptaら、Cancer Treat. Rev.、34巻、193〜205頁、2008年)。米国において発生率が一見高いのは、NCIが腎盂の癌(これは比較的治療し易い)を腎細胞癌と同時報告していることによる。地球規模で発生率及び死亡率が低いのは、少なくとも部分的には、広大な面積の第三世界で過小診断されているためであると思われる。
従来の技術分野での主な問題点は、先に言及した通り、腎臓癌と診断されたいかなる一患者に対する結果が殆んど診断のタイミングによって決まることである。腫瘍が腎臓の外側に広がってしまう前に疾患が診断されれば生存の確率は良いが、そうでなければ殆どの患者が疾患によって死亡する。この主な理由は、腎細胞癌が、シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、パクリタキセル、フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、マイトマイシン、ゲフィチニブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、セレコキシブ、ロフェコキシブ、及び/又はバルデコキシブなどの、細胞分裂阻害薬及び/又は細胞傷害性薬での従来のすべての治療に対して無反応であることである。
先行技術において様々な解決法が記載されている。腎細胞癌に対する従来の化学療法は、有効性が劣り、副作用が広範囲であることにより、概ね禁忌が示される。したがって代替の治療モダリティが求められ、これらはいくつかのカテゴリーに分類することができる。
1)血管新生阻害薬。この戦略においては、腫瘍組織に供給するのに必要な血管の形成の阻害により腫瘍に栄養及び酸素が与えられない。これは、いくつかの方法において達成することができる:1a)VEGF、PDGF、及びPIGFなどの増殖因子に対する抗体で治療することによる、循環するこれらの増殖因子の阻害、1b)標的細胞上における血管増殖因子受容体の、該受容体に対する抗体での阻止、並びに1c)血管増殖因子のその受容体への結合による生理学的な血管新生効果の誘発ができないような方法における、受容体機能を妨害する小型分子での治療。
2)免疫調節性治療。この戦略は内因性の免疫系を刺激して、腫瘍細胞をよそ者として認識させ、それらに対して戦いを開始するよう試みるものである。腎臓癌に対する治療としての免疫の刺激は、主な2つの経路をとる:2a)インターロイキン2(IL−2)での治療、及び2b)インターフェロンα(IFNα)治療法。
先に言及した代替の治療戦略はすべて、進行したステージの腎臓癌患者幾人かの寿命を大幅に改善する。しかし、効果はわずか数カ月程度であり、治療には多くの重い副作用が付随する。腫瘍が治療に順応し、治療をその後中止しなければならないことが非常に多い。これに加速した腫瘍の増殖率が続く。腎臓癌治療に対する最近の戦略は、Garciaら(「進行腎細胞癌の治療における近年の発展(Recent progress in the management of advanced renal cell carcinoma.)」CA Cancer.J.Clin.、57巻(2):112〜25頁(2007年))及びAtkinsら(「腎細胞癌における革新と挑戦:第2回ケンブリッジ会議からの要約報告(Innovations and challenges in renal cell carcinoma:summary statement from the Second Cambridge Conference.)」Clin.Cancer.Res.13巻(2Pt2):667s〜670s頁(2007年))によって総説されている。
ある文献の総説は、治療の取組みの多くが、ある程度特異的な癌のマーカーの同定、及び浸潤する腫瘍組織に対する宿主の免疫反応を誘発するためのこれらのマーカーの使用に端を発することを指摘している。したがって、US2006134708は、診断を目的とする、腎臓癌及び尿路上皮癌のいくつかの分子マーカー、即ちIGFBP−3(インスリン様増殖因子結合性タンパク質3)、ANGPTL4(アンジオポエチン様4)、及びセルロプラスミン、並びに前記マーカーに対するモノクローナル抗体を開示している。開示されたマーカーに対するアンチセンス化合物のペプチド及び核酸のレベル上の使用が記載されている。また、抗体が細胞傷害性物質にコンジュゲートしている、マーカーに対するモノクローナル抗体の使用が、抗体によって提供されるターゲティングのために細胞傷害性物質に重篤な副作用が少ないことに付随する、治療用の実施形態として企図される(「魔法の銃弾」の概念として知られている)。様々な腫瘍に関連する抗原に基づく類似の戦略がCN1359941に採用されている。
US6403373は、そのペプチド生成物が宿主において抗体の生成を生じる、結腸癌、腎臓癌、及び胃癌に関連する核酸分子を開示している。ワクチンの取組みにおけるペプチドの使用が企図される。EP0160250は、腎臓癌の診断用のモノクローナル抗体を開示しており、これらを様々な細胞傷害性物質にコンジュゲートする可能性に言及している。
WO2007059082は、卵巣癌及び腎臓癌において細胞の増殖に付随する、抗原TIM−1(T細胞免疫グロブリン又はムチンドメイン1)の出現を開示している。卵巣癌及び腎臓癌の治療用のTIM−1に対して生じる抗体の使用が教示されており、腫瘍細胞の標的死滅の手段としての前記抗体への治療薬剤(毒素、放射性同位元素、又は化学療法剤)のコンジュゲートも教示されている。
US6440663は腎臓癌細胞によって発現されるいくつかの遺伝子を開示しているが、その生成物は宿主において抗体の生成をもたらす。細胞傷害性T細胞の産生、及び開示されている遺伝子又はそのフラグメントの宿主細胞へのトランスフェクションを含めた、開示されている遺伝子を発現する組織に対する、宿主における免疫反応を誘発又は増大し、その後前記細胞を宿主中に再導入するための様々な取組みが記載されている。
US2005261178は、大多数の腎臓癌上に発現される抗原(炭酸脱水素酵素IX)に対するモノクローナル抗体(G250)、及びサイトカインであるインターロイキン−2又はインターフェロン−αの同時投与を開示している。サイトカインは、サイトカインだけで治療する場合に用いられる投与量よりも低投与量で投与された。22週以上の長期間の疾患の安定化、又は「他覚的反応」が、進行腎臓癌に罹患している群における患者の約30%で達成された。
他の取組みは、新しい治療レジメンにおける、知られている治療用物質の使用に基づくものである。例えば、WO2007044015は、腎臓癌を治療するための新しい投与プロトコールにしたがった、予め知られているジメタンスルホン酸塩化合物、具体的にはNSC−281612の使用を開示している。ヌードマウスにおける異種移植片上で試験した場合、NSC−281612の投与は、いくつかの場合において、腫瘍塊の見かけ上完全な根絶をもたらした。
JP2001288110は、循環半減期を増大し、最小治療有効量を低減する試みにおける、インターフェロンαのポリエチレングリコール(PEG)へのコンジュゲートを開示している。
RU2188026は、ビンクリスチン、アドリアマイシン、及びデポ−プロベラでの多剤併用化学療法のレジメンを開示している。これは、無再発性期間を増大し、転移の形成を減少すると主張されている。
最後に、少数の場合において、示される治療は新しいオリジナルの物質に対して築かれている。このように、WO2004075887は、腎臓癌を含む多くの癌のタイプを治療するための1−(2−クロロエチル)−1−ニトロソ−3−(2−ヒドロキシエチル)尿素(HECNU)の使用を開示している。HECNUの主な特徴は、予め知られている対応化合物であるBis−(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレア(BCNU)に比べて水溶解性が改善していることである。
EP1712234は、腎臓癌の治療における、特に転移の増殖を阻止するためのVEGF受容体阻害物質としての、4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体の使用を開示している。腫瘍細胞が化学療法単独に対して抵抗性であっても、4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体と複数の従来の化学療法剤のいずれかとの同時投与には相乗作用があることが見出された。さらに、併用療法は顕著に少ない副作用を伴った。
Suthpinら、(「腎癌細胞におけるvon Hippel−Lindau癌抑制遺伝子の標的欠失(Targeting the Loss of the von Hippel−Lindau Tumor Suppressor Gene in Renal Carcinoma Cells)」Cancer.Res.、67巻(12)、5896〜5905頁(2007年))は、VHL遺伝子を発現していない腎臓癌に対するクロモマイシンA3の選択的効果を研究した(この腫瘍抑制遺伝子は、腎明細胞癌すべての約70%に非存在である)。クロモマイシンA3は、VHL遺伝子を発現する正常腎組織に影響を及ぼさずに異種移植したヌードマウスにおける腫瘍の増殖を著しく遅らせた。
本明細書に記載の発明は、オレラニン(式I)を利用するものであり、オレラニンは、コルチナリウス(Cortinarius)属のいくつかの真菌種に比較的大量に生じる選択的腎毒素である。コルチナリウス属の菌を食用キノコと混同した後のオレラニン中毒は、ヨーロッパ、ロシア、及び北アメリカを通して定期的に起こる。オレラニン含有菌を摂取した後、無症状又はごく軽症のインフルエンザ様症状のある、数日から3週間までの期間が存在する。医薬的な援助が一般的に捜し求められる場合、次の段階は急性腎不全による尿毒症を特徴とする。科学文献にオレラニン中毒の記載は多いが、まさに記載した腎毒性以外のオレラニンの効果は他には報告されていない(Danel VC、Saviuc PF、Garon D:「コルチナリウス属種中毒の主な特徴:文献総説(Main features of Cortinarius spp. poisoning: a literature review.)」Toxicon、39巻、1053〜1060頁(2004年))。この選択性は、オレラニンが1つの細胞タイプ、即ち尿細管上皮細胞、とりわけ近位尿細管上皮細胞によって特異的に取り込まれるという事実に帰する可能性が最も高い(Prast H、Pfaller W:「キノコ、コルティナリウス−オレラヌス(Fries)の中毒性特性II。ラットにおける腎機能障害。(Toxic properties of the mushroom Cortinarius orellanus(Fries)II.Impairment of renal function in rats)」Arch Toxicol、62巻、89〜96頁(1988年))。オレラニンの毒素のメカニズムは解明されていないが、腎臓が回復するか否かの観察を待ちながら透析を維持する以外の治療は有用ではない。最終的な結果は摂取した毒素の量に決定的に依存し、おおざっぱに言って、1つの菌の摂取により一時的な問題がもたらされ、2つの菌により腎機能の一部分の永久的な喪失がもたらされ、3つ以上の菌により腎機能の全体的な喪失、及び生涯の透析又は腎置換療法の必要性がもたらされる。
本出願者らは、健常ラットにおけるオレラニンの作用機序の最初の研究を最近公開している(Nilsson UAら、「真菌腎毒性物質オレラニンは、同時に、酸化ストレスを増加させ、且つ細胞防衛力を下方制御する。(The fungal nephrotoxin orellanine simultaneously increases oxidative stress and down−regulates cellular defenses)Free Rad.Biol.Med.、44巻:1562〜9頁(2008年))。この研究は、いくつかの主要な抗酸化遺伝子の発現が劇的に低下するとともに腎皮質組織における酸化ストレスが増大することを示している。この研究の間、腎尿細管上皮細胞に対するオレラニンの一見絶対的な特異性は、これらが癌細胞に形質転換した後でも理論的に拡張されてこれらの細胞を含むことがあると理解された。このような仮説は、真実であることが証明されれば、オレラニンが、進行型ステージにおいても、他の組織における転移があっても病気を治療する可能性がある、上皮起源の腎臓癌に対する強力な武器であることを意味している。
この仮説を追求し、驚くべきことに、オレラニンはヒト腎臓癌細胞中にも実際に取り込まれ、腎臓癌細胞が原発腫瘍由来であっても、又は転移性の腫瘍組織由来であっても多大な効率でこれらを死滅させることが見出された。細胞死は、オレラニンに一時的に曝露された後数日間進行し、毒素が細胞によって積極的に取り込まれ、保持されたことを示している。
本発明の主な目的は、上皮細胞に由来する腎臓癌を治療するための方法を提供することであり、この方法は、それを必要とする哺乳動物に少なくとも1つの式Iによる化合物を投与することを含む。
本発明の他の目的は、医薬として用いるための式Iによる化合物を提供すること、及び腎細胞癌の治療において用いるための式Iの化合物を提供することである。
本発明の別の目的は、抗癌活性を有する他の薬剤、並びに組成物の有効性を最適化するのに必要とされる担体及びいかなる他の賦形剤を任意選択で含む、少なくとも1つの式Iによる化合物を含む薬剤組成物を提供することである。
さらに別の目的は、治療している医師又は看護師が容易に上記組成物を使える状態にできるように、適宜希釈剤及び/又は溶媒と一緒に、1つ又は複数の別々のコンパートメント内に上記組成物を含むキットを提供することである。
本明細書及び実施例を読めば、当業者には本発明の他の目的及び利点は明らかになり、これらの目的及び利点は、本発明の範囲内に入るものとする。
オレラニン400μM(培地100μg/ml)に24時間曝露後、7日間、5種の異なるヒト腎細胞癌(原発腫瘍及び転移)からの細胞の生存率を観察した図である。処置した試料中の生存細胞数を、対照試料(n=6)中の生存細胞数で除すことによって生存率を計算する。グラフにおける灰色の領域は、オレラニンインキュベーションの期間を表す(24時間)。翌日、細胞を、オレラニンを含まない完全培地中で培養した。生存率を測定するごとに培地を交換した。 図1と同じパラメータによるオレラニンインキュベーション1週間後のヒト腎臓癌細胞(786−0系統)に対するオレラニンの毒性を示す図である。左の顕微鏡写真はビヒクルに曝露した細胞を示し、右の顕微鏡写真はオレラニン400μMに24時間曝露した細胞を示す。写真は両方とも同じ倍率で、オレラニン/ビヒクルでのインキュベーション1週間後に撮影した。 ヒト腎細胞癌の培地中の様々な濃度のオレラニンの投与量/反応効果を示す図である(786−0及びSKRC7)。5〜200μg/mlの濃度間隔において、オレラニン投与量と細胞死の間に明らかな相関が見られる。 低投与量のオレラニンの繰返し投与の効果を示す図である。第1投与量の24時間後、投与量/反応間隔の下端(20μg/ml)の第2投与量を投与したところ、生存細胞数に強力な低減がもたらされたが、72時間後に第2投与をしたところ、かなり小さいが依然として有意の効果があった。最初の場合は細胞の長時間の曝露に等しいが(48時間)、第2の場合の細胞は、投与量と投与量の間の2日間、オレラニンを含まない培地中で回復させた。第1投与量のオレラニンを加えて96時間後に生存率を測定した。 腎細胞癌(786−0及びSKRC−52)における細胞周期に対するオレラニンの効果を示す図である(ウエスタンブロット)。細胞周期阻害薬p21のタンパク質レベルは、徐々に上方制御され、インキュベーション6時間で最大になる。24時間後、細胞周期刺激性のリン酸化型の網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)は消失した(2つの異なるリン酸化部位を示す)。これらの効果は両方とも、チェックポイントG1/Sで細胞周期を停止するように収束する。同時に、刺激性のファクターcdc2が喪失すると細胞周期はチェックポイントG2/Mで停止し、細胞分裂の開始が防止される。 腎臓癌細胞(786−0)におけるオレラニンによるアポトーシスの誘導:タンパク質の効果を示す図である。アポトーシス性のp38経路はオレラニン曝露(OR)後強力に上方制御され(f−p38)、アポトーシスは切断型カスパーゼ3で検出された。24時間後のERK1/2の強力な上方制御(f−ERK1/2)は、細胞がオレラニンのアポトーシスの影響に対抗する試みと解釈される。ERK1/2及びp38については、総タンパク質に対するリン酸化の割合(f)を比べなければならない。切断型カスパーゼ3はローディング対照であるβアクチンと比べなければならない。 腎臓癌細胞(SKRC−52)におけるオレラニンによるアポトーシスの誘導:mRNAの効果を示す図である。アポトーシスメディエータPUMA、Fasリガンド(FasL)、及び腫瘍壊死因子α(TNF)のmRNA発現のRT−PCR分析は、3つの場合すべてにおいて劇的な上方制御を明らかにした。受容体mRNAの発現における小さな変化だけが注目された。細胞を、オレラニンなしでインキュベーションした対照の細胞と比較する。 オレラニンとのインキュベーションの間のヒト明細胞癌(SKRC52)におけるアポトーシスを示す図である。アポトーシス、空胞化、及び細胞収縮の典型的な徴候が、インキュベーション4時間後にすでに明らかであり、24時間後さらに増悪する。
本発明は、ピリジン−N−オキシド及びビピリジン−N,N−ジオキシド化合物を含む薬剤組成物、並びに腎臓癌に罹患している、又は腎臓癌に感受性である患者に薬剤組成物を投与することによって腎臓癌を治療する方法を提供する。本明細書に記載の発明は、腎臓癌に罹患している、又は腎臓癌に感受性である患者を治療するためのキットも含む。
本発明は、腎臓癌に罹患している、又は腎臓癌に感受性である患者を治療するための方法を提供し、方法は、先に定義した式Iによる化合物、薬学的に許容されるその塩、又は前記化合物を含む薬剤組成物を患者に投与するステップを含む。
患者に投与する式Iの化合物は、R1、R2、R3、及び/又はR4がオレラニンの細胞毒性を実質的に妨害しない化合物を含む(R1=R2=R3=R4=水素)。したがって、R1、R2、R3、及び/又はR4には、限定されるものではないが、水素、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、ハロ(フルオロ、クロロ、及びブロモを含める)、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルカノール、C〜Cアルケノール、C〜Cアルコキシ、及びC〜Cアルケノキシが含まれ、その各々が、限定されるものではないが、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、及びハロ(フルオロ、クロロ、及びブロモを含める)を含めた基でさらに置換されていてよい。本発明の好ましい実施形態において、式Iの化合物はオレラニン、即ちR1=R2=R3=R4=水素である。
腎臓癌に罹患している、又は腎臓癌に感受性である患者を治療する、本発明による方法の一実施形態において、患者に投与する式Iの化合物は、薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物である。本明細書で用いられる、薬学的に許容される塩は、過剰の毒性、刺激作用、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしに、ヒト又は動物の組織と接触させて用いるのに適すると当技術分野において一般的に考えられている酸又は塩基の塩である。このような塩は、アミンなどの塩基性残基の鉱酸又は有機酸の塩を含む。詳しい薬剤用の塩には、限定されるものではないが、塩酸、リン酸、臭化水素酸、リンゴ酸、グリコール酸、フマル酸、硫酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸、硝酸、安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ステアリン酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、パモン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、プロピオン酸、ヒドロキシマレイン酸、ヨウ化水素酸、フェニル酢酸、酢酸などのアルカン酸、nが0〜4であるHOOC−(CH2)n−COOHなどの酸の塩が含まれる。
本明細書に提供する腎臓癌を治療する方法において、式Iの化合物を、単回投与量において、一続きの1日量において、又は間欠投与の様式において(例えば、1日から約30日の間離して、1日から約14日の間離して、若しくは1日から約7日の間離して投与する、複数の投与量若しくは投与量の連続を投与する)投与することができる。ある方法において、投与のプロトコール及び式Iの化合物を、投与のプロトコールの完了後、腫瘍サイズにおける少なくとも50%の低減、又はより好ましくは腫瘍サイズにおける少なくとも75%、90%、若しくは95%の低減をもたらすように選択し、一方、他のある方法において、投与のプロトコール及び式Iの化合物の選択により、腫瘍サイズの95%の低減、腫瘍サイズの99%の低減、又は腫瘍の実質的に完全な排除がもたらされる。単回投与量の投与プロトコールを含むそれらの治療方法において、式(I)による化合物の約1mg/kgと約100mg/kgの間の単回投与量、又は等モル量の薬学的に許容されるその塩を患者に投与するが、式Iの化合物約2mg/kgと約25mg/kgの間、最も好ましくは約5mg/kgと約15mg/kgの間、又は等モル量の薬学的に許容されるその塩を含む好ましい単回投与量を患者に投与する。
腎臓癌を治療する他のある治療方法において、式Iの化合物、又は薬学的に許容されるその塩を、2回以上の投与量において、腎臓癌に罹患している、又は腎臓癌に感受性である患者に投与する。典型的には、投与量を毎日又は間欠的に(例えば、少なくとも1日の非投与日が連続の投与量を分割する)投与する。式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩を複数の投与量投与するある方法において、各投与量は、化合物約0.5mg/kgと約10mg/kgとの間を含み、又はより好ましくは、各投与量は、式Iの化合物若しくは塩の約1mg/kgと約5mg/kgの間を含み、又は最も好ましくは約2mg/kgを含む。
連続の投与量を間欠的に投与するある方法において、連続の投与量を2日から7日の間離して投与するが、式Iの化合物又は塩の間欠投与を含む他の方法において、化合物を患者に、3、4、5、又は6回以上の投与量を投与し、この場合各投与量を3日から5日の間離して投与するが、他の方法において、患者に、3日から4日の間離して、4、5、又は6回以上の投与量を投与し、この場合各投与量は式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩約1mg/kgから約20mg/kgの間、好ましくは2〜10mg/kg、最も好ましくは約5mg/kgを含む。腎臓癌を治療する他のある治療方法において、患者に、少なくとも2日間、1日量の式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩を投与する。患者に投与する典型的な1日量は、0.1mg/kgと10mg/kgの間、好ましくは1mg/kgと5mg/kgの間、最も好ましくは約2mg/kgである。治療のプロトコールは、典型的には、5日から約30日の間、又は好ましくは10日から20日の間、又は最も好ましくは約14日、式Iの化合物、又は薬学的に許容されるその塩を毎日投与することを含む。
ある場合において、先に記載したように、休憩及び/又は回復の期間と組み合わせて、複数の、間欠投与のプロトコール、毎日投与のプロトコール、又はこれらの組合せを行うのが望ましいことがある。したがって、ある場合において、式Iの化合物、又は薬学的に許容されるその塩を、毎日又は本明細書に提供する間欠投与方法にしたがって投与し、治療法に対する腫瘍の反応を測定し、次いで腎臓癌腫瘍を排除し、又はサイズをさらに低減するのに必要であれば、引き続き毎日又は間欠的な投与の治療法を行うのが望ましいことがある。このような投与の戦略は、腫瘍学の分野の通常の技術者にはよく知られている。
本発明のとりわけ好ましい一実施形態において、腎細胞癌に罹患している患者を、連続約7〜12日間、最も好ましくは連続約14日間、オレラニン約0.5〜5mg/kg体重、最も好ましくはオレラニン約2mg/kg体重の毎日注射によって本発明の式Iによる物質で治療する。式Iによる化合物を毎日注射後1時間から5時間、最も好ましくはこのような注射の約2時間後、腫瘍組織中に取り込まれなかったいかなる式Iによる化合物も排除し、それによって細胞外空間中に生じる可能性のある望ましくないいかなる副作用も最小にするために、1〜5時間、最も好ましくは約2時間、患者に血液透析を受けさせる。
先に記載した好ましい投与量及び投薬レジメンは、体重70kgの、全身腫瘍組織量約1kgの腎細胞癌に罹患しているヒトに基づくものである。しかし、癌医薬の技術分野の通常の技術者であれば容易に分かるように、このような好ましい投与量及び投薬レジメンは年齢、性別、体重、全身状態、並びにとりわけ個々の患者の全身腫瘍組織量及び治療に対する反応などの患者の特徴によって大幅に左右される。いつも通り、適正な投与量及び治療戦略を選択することに対する究極的な責任は、患者の担当の医師にある。
本発明は、腎細胞癌に罹患しているか又は腎細胞癌に感受性である患者を治療する方法を提供する。ある方法において、治療すべき腫瘍は、患者の腎臓の片方又は両方に局在している。他のある方法において、腎細胞癌は転移しており、例えば、少なくとも片方の腎細胞癌腫瘍が少なくとも1つの腎臓以外の組織に存在している。典型的には、本明細書に提供する方法は、腎臓、腎臓以外の組織、又はこれらの組合せに存在している、腎細胞癌腫瘍に罹患しているか又は腎細胞癌腫瘍に感受性である患者の治療において用いるのに適する。好ましい実施形態において、腫瘍は腎臓以外の組織、又は腎臓と腎臓以外の組織の組合せに存在する。本発明が提供する治療方法は、治療有効量の式Iの化合物を、腫瘍の近傍に供給することができるいかなる投与経路を企図するものである。本明細書に提供する好ましいある治療方法において、式Iの化合物、又はそれを含む薬剤組成物を、静脈内投与、皮下投与、又は腹腔内投与する。典型的には、式Iの化合物、又はそれを含む薬剤組成物を静脈内投与する。
別の一態様において、本発明は式Iの化合物を提供し、式中、R1、R2、R3、及び/又はR4は、薬物として使用するための、オレラニン(R1=R2=R3=R4=水素)の細胞毒性を実質的に妨害しない。本発明は式Iの化合物の使用も提供し、式中R1、R2、R3、及び/又はR4は、薬物として、オレラニン(R1=R2=R3=R4=水素)の細胞毒性を実質的に妨害しない。R1、R2、R3、及び/又はR4には、限定されるものではないが、水素、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、ハロ(フルオロ、クロロ、及びブロモを含める)、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルカノール、C〜Cアルケノール、C〜Cアルコキシ、及びC〜Cアルケノキシが含まれ、その各々が、限定されるものではないが、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、及びハロ(フルオロ、クロロ、及びブロモを含める)を含めた基でさらに置換されていてよい。本発明の好ましい実施形態において、式Iの化合物はオレラニン、即ちR1=R2=R3=R4=水素である。本発明のこの態様の他の好ましい実施形態は、発明を実施するための形態から明らかである。
さらに別の一態様において、本発明は式Iの化合物を提供し、式中、R1、R2、R3、及び/又はR4は、腎細胞癌の治療における使用のために、オレラニン(R1=R2=R3=R4=水素)の細胞毒性を実質的に妨害しない。本発明は式Iの化合物の使用も提供し、式中、R1、R2、R3、及び/又はR4は、腎細胞癌の治療のための医薬を製造するために、オレラニン(R1=R2=R3=R4=水素)の細胞毒性を実質的に妨害しない。R1、R2、R3、及び/又はR4には、限定されるものではないが、水素、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、ハロ(フルオロ、クロロ、及びブロモを含める)、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルカノール、C〜Cアルケノール、C〜Cアルコキシ、及びC〜Cアルケノキシが含まれ、その各々が、限定されるものではないが、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、及びハロ(フルオロ、クロロ、及びブロモを含める)を含めた基でさらに置換されていてよい。本発明の好ましい実施形態において、式Iの化合物はオレラニン、即ちR1=R2=R3=R4=水素である。本発明のこの態様の他の好ましい実施形態は、発明を実施するための形態から明らかである。
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、及び式(I)による化合物を含む薬剤組成物を提供し、式中、R1、R2、R3、及び/又はR4は、オレラニンの細胞毒性を実質的に妨害しない(R1=R2=R3=R4=水素)。したがって、R1、R2、R3、及び/又はR4には、限定されるものではないが、水素、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、ハロ(フルオロ、クロロ、及びブロモを含める)、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルカノール、C〜Cアルケノール、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルケノキシによって例示され、その各々が、限定されるものではないが、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、及びハロ(フルオロ、クロロ、及びブロモを含める)を含めた基でさらに置換されていてよい。本発明の好ましい実施形態において、式Iの化合物はオレラニン、即ちR1=R2=R3=R4=水素である。
他のある薬剤組成物において、式Iの化合物を、薬学的に許容される塩、水和物、又は溶媒和物として組成物中に組み入れる。本明細書で用いられる、薬学的に許容される塩は、過剰の毒性、刺激作用、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしに、ヒト又は動物の組織と接触させて用いるのに適すると当技術分野において一般的に考えられている酸又は塩基の塩である。このような塩は、アミンなどの塩基性残基の鉱酸又は有機酸の塩を含む。詳しい薬剤用の塩には、限定されるものではないが、塩酸、リン酸、臭化水素酸、リンゴ酸、グリコール酸、フマル酸、硫酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸、硝酸、安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ステアリン酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、パモン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、プロピオン酸、ヒドロキシマレイン酸、ヨウ化水素酸、フェニル酢酸、酢酸などのアルカン酸、nが0〜4であるHOOC−(CH2)−COOHなどの酸の塩が含まれる。
本発明が提供する薬剤組成物は、組成物が用いられる治療方法に企図されるいかなる投与経路において用いるのに適している。本発明の方法において、式Iによる本発明の化合物、及びその薬剤組成物を、非経口的(静脈内、皮下、筋肉内、及び皮内を含む)、局所的(口腔内、舌下を含む)、経口、経鼻などを含めた様々な経路によって対象に投与してよい。本明細書に提供する好ましいある薬剤組成物において、薬剤組成物は、静脈内、皮下、又は腹腔内注射によって投与するために調合される。典型的には、薬剤組成物は静脈内注射によって投与するために調合される。
ある非経口投与経路において、薬剤組成物は、約0.1mg/mLから約25mg/mLの間の式Iの化合物、又は薬学的に許容されるその塩を含む滅菌食塩水溶液である。非経口投与用の好ましいある薬剤組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容される添加剤を任意選択で含む食塩水溶液中に約0.5mg/mLから約10mg/mLの間の式Iの化合物、又は薬学的に許容されるその塩を含む。
好ましいある薬剤組成物において、組成物は、約25mgから約5000mgの間、若しくは約5mgから約2500mgの間の式(I)による化合物、又は等モル量の薬学的に許容されるその塩を含む。本発明の他のある薬剤組成物において、組成物は、約1mgから約1500mgの間の式(I)による化合物、又は等モル量の薬学的に許容されるその塩を含む。さらに他の薬剤組成物は、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、若しくは約100mgの式Iの化合物、又は等モル量の薬学的に許容されるその塩を含むように調合される。
癌に罹患している、又は癌に感受性である患者を治療するある方法において、式Iによる化合物を癌に罹患している、又は癌に感受性である患者に投与することにより、腫瘍サイズを少なくとも50%以上、好ましくは少なくとも約60%、70%、80%、90%、又は約95%低減する。癌に罹患している患者を治療する他のある方法において、式Iによる化合物を癌に罹患している患者に投与することで腫瘍サイズを少なくとも99%低減し、又は検出可能な腫瘍が残らないまで腫瘍サイズを低減する。
癌に罹患している患者を治療する好ましいある方法は、家畜、コンパニオンアニマル(イヌ、ネコ、ウマなど)、霊長動物、及びヒトを含めた哺乳動物患者における癌又は他の腫瘍障害の治療又は防止を含む。
本発明の治療方法は、一般的に、治療有効量の1つ又は複数の式Iの化合物を患者に投与することを含む。本発明の治療方法において、治療有効量は、患者に存在する腎細胞癌腫陽のサイズを低減し、又は患者から腫瘍を排除するのに十分である。適切な患者には、本明細書で同定される障害又は疾患に罹患している対象が含まれる。本発明にしたがって治療するための典型的な患者には、哺乳動物、とりわけ霊長動物、特にヒトが含まれる。他の適切な対象には、飼われているコンパニオンアニマル、例えば、イヌ、ネコ、ウマなど、又は家畜動物、例えば、ウシ、ブタ、ヒツジなどが含まれる。
本発明の好ましい方法には、本明細書に開示した状態に罹患している対象(例えば、哺乳動物、とりわけヒト)、とりわけ1つ又は複数の癌に罹患している対象を、同定及び/又は選択することを含む。本発明の薬剤組成物は、本明細書に開示した癌を治療するための指示(即ち、書面、例えば指示書)、例えば、癌に罹患している対象を治療するための指示書と一緒に包装されてもよい。
本発明の化合物は、水溶性の形態において、例えば、適切な化学変換後に得られる、有機酸又は無機酸の薬学的に許容される塩、例えば、塩酸塩、硫酸塩、ヘミ硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩などとして、対象に適切に投与される。また、酸性基が化合物上に存在する場合、有機塩基又は無機塩基の薬学的に許容される塩、例えば、アンモニウム塩、又は有機アミンの塩、又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩、例えば、カリウム塩、カルシウム塩、又はナトリウム塩を用いることができる。特に適切な薬学的に許容される塩には、非毒性の陽イオン、好ましくはK若しくはNaなどのアルカリ金属陽イオン、Mg若しくはCaなどのアルカリ土類金属陽イオン、Al若しくはZnなどの別の非毒性の金属陽イオン、又はNH4、ピペラジニウム、若しくは2−ヒドロキシエチルアンモニウムなどの非毒性の半金属陽イオンと形成される塩が含まれる。本発明の方法において用いるのに適する好ましいある化合物は、これらが薬学的に許容される塩の前産生なしに送達され得る方法における中性形態で十分に水溶性である。
本発明の方法において用いるのに適する化合物には、ありとあらゆる様々な単一の純粋な異性体、及び2種以上の異性体の混合物が含まれる。異性体の語は、ジアステレオマー、鏡像異性体、位置異性体、構造異性体、回転異性体、互変異性体などを含むものとされる。1つ又は複数の立体中心を含む化合物、例えばキラル化合物に対して、本発明の方法を、鏡像異性体に富む化合物、ラセミ化合物、又はジアステレオマーの混合物で行うことができる。好ましい鏡像異性体に富む化合物の鏡像体過剰率は50%以上、より好ましくは、化合物の鏡像体過剰率は60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%以上である。本発明の方法において用いるための式Iによる本発明の化合物は、従来の賦形剤(即ち、有効化合物と有害反応をせず、そのレシピエントに有害ではない望ましい投与経路に適する薬学的に許容される有機若しくは無機の担体物質)との混合物における薬剤組成物として、単独で、又は1つ若しくは複数の他の治療薬と併用して用いることができる。適切な薬学的に許容される担体には、限定されるものではないが、水、塩の溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、ペトロエスラール(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが含まれる。薬剤調製物は滅菌することができ、所望により有効化合物と有害反応をしない、補助剤、例えば、滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、バッファー、着色剤、香味剤、及び/又は芳香物質などと混合することができる。
非経口適用に対して、溶液剤、好ましくは油性又は水性の溶液、及び懸濁剤、乳剤、又は埋め込み(坐剤を含む)がとりわけ適切である。アンプル剤は便利な単位投与量である。
腸内適用に対して、とりわけ適するのは、タルク及び/又は炭水化物の担体の結合剤などを有する錠剤、糖衣錠剤、又はカプセル剤であり、担体がラクトース及び/又はコーンスターチ及び/又はバレイショデンプンであるのが好ましい。シロップ剤、エリキシル剤などを用いることができ、この場合加糖のビヒクルが用いられる。有効成分が崩壊性の異なるコーティングで保護されているものを含めて、例えば、マイクロカプセル化、多重コーティングなどによって徐放性組成物を調合することができる。錠剤、カプセル剤、及びシロップ剤、又は他の溶液剤が経口投与に一般的に好ましい。
先に明確に言及した成分の他に、本発明の製剤は、例えば、経口投与に適するものは香味剤を含んでいてよいなど、問題の製剤のタイプに関して当技術分野では従来型の他の薬剤を含むことができることを理解すべきである。
ある実施形態によると、式Iの化合物を、例えば、化学療法薬、抗炎症薬、解熱薬、放射線増感剤、放射線防護剤、泌尿器科薬剤、制吐薬、及び/又は止瀉薬、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、パクリタキセル、フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、マイトマイシン、ゲフィチニブ、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、アセトアミノフェン、ミソニダゾール、アミフォスチン、タムスロシン、フェナゾピリジン、オンダンセトロン、グラニセトロン、アロセトロン、パロノセトロン、プロメタジン、プロクロルペラジン、トリメトベンザミド、アプレピタント、アトロピン含有ジフェノキシレート、及び/又はロペラミドを含む他の化合物と併用投与することができる。好ましい一実施形態において、式Iによる化合物を、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)及び胎盤増殖因子(PlGF)に対するモノクローナル抗体を含めた血管新生阻害薬、並びにベバシズマブ、ソラフェニブ、PTK78、SU11248、AG13736、AEE788、及びZD6474などを含めたVEGF及びPlGF受容体の阻害薬と併用投与する。別の実施形態において、式Iによる化合物を、インターロイキン2(IL−2)及びインターフェロンα(IFNα)などを含めた免疫調節薬と併用投与する。さらに別の一実施形態において、式Iによる化合物を、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)の阻害薬などを含めた、細胞増殖シグナリングを妨害する薬物と併用投与する。
本発明のさらに他の実施形態において、式Iによる化合物は、式Iの化合物を癌細胞に対して特異的に標的にすることによって、標的選択性をよりさらに増強する分子に化学的に結合する。このような分子の例には、(A)正常腎組織に比べて標的細胞上に特異的に、又はより多数生じるマーカーに対するポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体、並びに(B)正常腎組織に比べて標的細胞上に特異的に、又はより多数生じる受容体に対するリガンドが含まれる。このようなガイダンス分子、及びこれらを式Iによる化合物にコンジュゲートするための技術は当技術分野では知られており、カップリング反応は、通常の技術者であれば過度の実験なしに行うことができる。
本明細書に記載の発明のキットは、先に論じた通り、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、及び50から3500mgの式Iによる化合物、又は等モル量の薬学的に許容されるその塩を含む。キットにおいて、式Iによる化合物、又は薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される担体が別々のコンパートメント中に配置されているのが好ましい。式Iによる化合物が固体として存在するのが好ましい。投与用に、式Iによる化合物、又は薬学的に許容されるその塩を、担体中に完全に、又は実質的に溶解するように担体と組み合わせるのが好ましい。キットは、約100mgから約1500mgの間、最も好ましくは約200mgから約500mgの間の式Iによる化合物、又は等モル量の薬学的に許容されるその塩を含んでいてよい。
前述の本発明の記載はその例示にすぎず、以下の特許請求の範囲において述べる本発明の精神又は範囲から逸脱せずに変形及び改変を行うことができることが理解される。本明細書に参照する各文献は、本出願の開示中に参照によって援用される。
(例1)コルチナリウス属キノコからのオレラニンの抽出及び単離
A.極性の方法:乾燥したコルチナリウス属キノコ2gを粉末にし、次いで25℃で24時間、50%メタノールで抽出した。混合液を遠心分離し、上清を除去して最終体積5mlとした。冷メタノール5容積を繰返し添加した際、澄明な溶液が形成するまで形成した沈殿物を捨てた。溶媒を蒸発させ、残渣を水中に溶解し、無極性の物質を石油エーテルで抽出することによって除去した。極性の相をSephadexカラム上に充填し、50%エタノールで溶出した。得られた分画を薄層セルロース上、ブタノール:酢酸:水(3:1:1)で溶出してクロマトグラフィー分離した。オレラニンを、Rf0.68に蛍光帯として同定した。
B.無極性の方法:コルチナリウス属キノコ粉末4gをジエチルエーテル中24時間還流し、溶媒を捨てた。残渣をメタノール中還流し、その後溶媒を蒸発させ水20mlで洗浄した(4℃、6時間)。次いで、これらを50%エタノール水(pH7.0)中に溶解した。混合物をSephadexカラム上に充填し、50%エタノールで溶出した。得られた分画を、薄層セルロース上、ブタノール:酢酸:水(3:1:1)で溶出してクロマトグラフィー分離した。オレラニンを、Rf0.68に蛍光帯として同定した。
(例2)オレラニンの合成
オレラニンを、本質的に他者によって記載されている通り、市販の3-ヒドロキシピリジンから合成した(Tiecco M、Tingoli M、Testaferri L、Chianelli D及びWenkert E:「キノコ、コルティナリウス−オレラヌスFriesの致死毒素、オレラニンの全合成(Total synthesis of orellanine, the lethal toxin of Cortinarius orellanus Fries Mushroom.)」Tetrahedron、42巻、1475〜1485頁(1986年))。
(例3)オレラニンはin vitroでヒト腎細胞癌細胞に対する特異的な毒性効果を有する。
背景及び方法
母腫瘍及び転移性の増殖両方を代表する、5種の異なるヒト腎細胞癌(SKRC−52、786−0、SKRC−17、SKRC−7、及びSKRC−21)から収集した細胞を、標準の条件下で培養した。約70%のコンフルエンスに達し急速に増殖しているとき、細胞を24時間、オレラニン(400μM)を含む培地に曝した。次いで、培地を定型的な完全培地に戻し、さらに6日間細胞を観察した。
結果及びコメント
細胞の記載のオレラニン処置の効果を図1に示す。図より、オレラニンは試験を行った細胞型すべてに高度に毒性であったことが明らかである。さらに、最初の曝露後、オレラニンを培地から除去することによって毒性は影響を受けなかった。これは、オレラニンが細胞中に蓄積し、細胞外オレラニンが存在しない場合でもそこに残存することを示唆している。図2は、24時間のオレラニン曝露前、及び1週間後の細胞の外観を示すものである。
(例4)オレラニンの投与量−反応効果
背景及び方法
母腫瘍及び転移性の増殖両方を代表する、2種の異なるヒト腎細胞癌(SKRC−7、786−0)から収集した細胞を、標準の条件下で培養した。約70%のコンフルエンスに達し急速に増殖しているとき、細胞を24時間、様々な濃度のオレラニン(400μM)を含む培地に曝した。次いで、培地を定型的な完全培地に戻し、さらに6日間細胞を観察した。
結果及びコメント
図3に見られるように、曝露濃度と死滅する細胞の分画の間には明らかな相関が存在する。オレラニンの24時間、1回の曝露に対する投与量反応間隔は、約5μg/mlと200μg/lの間である。
(例5)小投与量のオレラニンを繰返し投与した効果
背景及び方法
ヒト腎細胞癌786−0から収集した細胞を、標準の条件下で培養した。約70%のコンフルエンスに達し急速に増殖しているとき、細胞を24時間、低濃度のオレラニン(20μg/ml)を含む培地に曝した。次いで、培地をオレラニン20μg/mlを含む新しい培地に交換して24時間置く(中央の棒グラフ)か、又は定型的な完全培地に戻して48時間置き、その後さらに24時間、オレラニン20μg/mlの存在下においた(右端の棒グラフ)。
結果及びコメント
1回の曝露反応間隔の下限の投与量でも、オレラニンに繰返し曝露すると、腎臓癌細胞に対して明らかな毒性効果がさらにもたらされた。
(例6)他の細胞型に対するオレラニンの効果
背景及び方法
多数のヒト組織(尿細管上皮、腎組織からの有足細胞及びメサンギウム細胞、線維芽細胞、マクロファージ、大動脈内皮、毛細血管内皮細胞、並びに臍帯内皮、腸管上皮(十二指腸、空腸、回腸、及び結腸の)並びに軟骨細胞)に由来する細胞系及び一次細胞を、標準の条件下で培養した。約70%のコンフルエンスに達し安定に増殖しているとき、細胞を、投与量反応を達成するために選択された濃度のオレラニンを含む培地に24時間曝露した。次いで、培地を、定型的な完全培地に戻し、さらに6日間細胞を観察し、その後生存率を決定した。大体積のオレラニン溶液を添加したことによって培地の希釈が引き起こす、いかなる増殖を遅らせる効果を埋め合わせるために、細胞すべてに等体積のオレラニンバッファーを補った。
結果及びコメント
試験した細胞型はどれも、実現可能な最高濃度であった1000μg/mlまでの濃度の、例4によるオレラニンに曝露した場合、生存率に対していかなる効果も示さなかった。
(例7)オレラニンは細胞周期を停止することによって増殖停止を誘発する。
背景及び方法
本質的に例3に記載した通りに培養した腎臓癌細胞を、24時間、オレラニンで処理した(培地100μg/ml)。この期間中、0、2、6、及び24時間の曝露後に細胞を収集した。A)キナーゼ阻害薬p21、B)リン酸化網膜芽細胞腫タンパク質(増殖刺激因子)、及びC)細胞が分裂している場合、細胞周期のM期に細胞を進行させるcdc2タンパク質、に対する抗体で、収集した材料に対してウエスタンブロットを行った。
結果及びコメント
オレラニン曝露の、p21、網膜芽細胞腫タンパク質、及びcdc2のタンパク質発現に対する効果を図5に示す。細胞周期阻害薬p21の細胞内レベルは増大し、6時間頃に最大となるが、細胞周期刺激性の網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化型は、24時間の計測で完全に欠如している。同様に、細胞に細胞分裂期に入らせるcdc2タンパク質は、24時間で劇的に下方制御される。これは、オレラニンが細胞周期に対して著明な阻害効果を有し、この効果は少なくとも2つの重要なチェックポイントで行われることを明らかに示している。
(例8)オレラニンはいくつかのアポトーシス誘発経路の活性を増大し、癌細胞の死をもたらす。
背景及び方法
腎臓癌細胞を培養し、例7によるオレラニンに曝露し、最高24時間の様々な時間で収集した。p38MAPK系、p53系、Fasリガンド、腫瘍壊死因子α(TNF)、及び切断型のカスパーゼ3が、細胞死をもたらすアポトーシス経路における主要な因子である。ウエスタンブロットを用いて、A)p38、B)切断型のカスパーゼ3、及びC)増殖性因子リン酸化ERK1/2の細胞内レベルを決定した。定量PCRを用いて、D)p53経路のアポトーシス効果を実質的にすべて媒介する、p53上方制御性アポトーシス調節因子(PUMA)、E)Fasリガンド、及びF)TNF、のmRNA発現を決定した。
結果及びコメント
結果を図6〜8に概略する。24時間の観察期間にわたってリン酸化型(活性化型)p38の安定した増大があり、細胞中のアポトーシスシグナル強度を増大した(図6)。(増殖刺激物質であるリン酸化型ERK1/2が同時に上方制御されるのは、細胞がオレラニンのアポトーシス性の影響よりも「さらに増殖」しようとするためと本発明者らは解釈する。)
mRNAレベル上で、PUMA、並びに細胞死受容体リガンドであるFasL及びTNFの極端な上方制御は、強力なアポトーシス性の刺激を構成する(図7)。最後に、アポトーシスの主なエフェクターである切断型カスパーゼ−3の量は、オレラニンに曝露して24時間後に劇的に増大した(図6)。
図8に示す増大するアポトーシス細胞の画像とともに、上記の結果は、アポトーシスが腎臓癌細胞におけるオレラニンの主な作用機序であることを明らかに指摘している。
(例9)オレラニンは胸腺欠損ラットにおいて増殖するヒト腎細胞癌を根絶する。
背景及び方法
胸腺欠損T細胞欠損ラット(RNU、Charles River Laboratories,FRG)を、ヒト腎細胞癌のin vivo増殖に対する系として用いる。これらの動物ではT細胞ベースの免疫防御が非存在であることで、これらの動物は異種移植片に対して寛容になっている。動物施設に到着して1週間後、動物10匹に、B細胞媒介性の反応も抑制するために5Gyの線量のX線を照射する。
翌日、すべての動物に腹膜透析(PD)用の留置カテーテルを装着する。オレラニン投与時の副作用として失われる腎機能に、PD処置が代わることになる。
1日後、動物5匹に、ヒト腎臓癌細胞(SKRC−52)約10×10個を、肩領域に皮下接種する。残りの動物5匹に、同量の細胞を静脈内注射によって投与する。皮下群では、2〜4週後、1×1×2cmの局所性腫瘍が動物の皮膚の下に触知できる。この点で、各群における動物2匹(対照)に、生理食塩水溶液をi.p.注射し、残りの動物3匹にオレラニン10mg/kg体重をi.p.注射する。
結果及びコメント
食塩水/オレラニンの第1の注射の2週間後、皮下群における対照動物の腫瘍のサイズは約2倍になっていたが、オレラニンを注射した動物の腫瘍は、注射時に記録したサイズの25%未満に収縮していた。この時点で、オレラニン5mg/kg体重の投与量をさらに、以前にオレラニンを投与した皮下群の動物3匹の腫瘍部位中に注射し、対照動物にはオレラニン10mg/kg体重を腫瘍部位中に投与する。さらに2週間後、オレラニンを2回注射した動物において腫瘍の徴候は明らかではなく、前者の対照動物における腫瘍サイズは75%以上低減している。
第1の食塩水/オレラニン注射の1週間及び2週間後、静脈群の動物5匹に、オレラニン又は食塩水をそれぞれ5mg/kg、i.v.注射する。さらに1週間後、動物を屠殺し、その腹腔及び胸腔を腫瘍の増殖に対してスキャンする。腫瘍塊の評価により、オレラニン処置動物では、対照動物よりも10%少ない全身腫瘍組織量であることが示される。
これは、in vivo系におけるオレラニンの腫瘍死滅活性を明らかに実証するものである。
(例10)ブタ及びイヌにおける長期処置の間のオレラニンi.v.の安全性。
Gottingenミニブタ系統5頭、及び雑種のイヌ5頭(体重10〜15kg)を、小児及び幼児用に設計された機器を用いて透析用にセットアップする。動物にオレラニン10mg/kg体重の初回量を投与する。24時間後、動物を約3時間透析のセッションに曝す。透析後、動物にオレラニン5mg/kg体重を注射する。透析/再注射の手順を8週間、週3回(月曜日、水曜日、金曜日)繰り返す。週1回、動物の全身状態の評価を行う。実験の終わりに動物をすべて屠殺し、心臓、肺、腎臓、肝臓、脾臓、小腸、大腸、脳、筋肉、及び皮膚から組織病理学評価用検体を採取する。
動物の行動及び全身状態は、実験期間を通して正常のままである。組織病理学的試験により組織の損傷がないことが明らかであるが、腎臓は例外であり、完全な腎不全をもたらす広範な尿細管の損傷が存在する。
結果は、腎臓癌患者の観点からオレラニン高投与量での長期間の処置は安全であり、腎臓以外の組織の副作用は無視できることを示している。
(例11)進行型の腎細胞癌に罹患しているヒト患者のオレラニンでの治療
腎臓癌に対する治療を必要とする一患者に、一連の10回の、オレラニンの静脈内注射を毎日投与する。患者の最初の全身腫瘍組織量は約2kgと決定される。この値に基づき、好適な1日投与量を280mg(4mg/kgで体重70kg)と決定する。オレラニン処置は、癌細胞を死滅させるとともに健常な腎上皮組織を必然的に破壊し、したがって患者は腎機能のない状態になるので、第1の注射の前に患者に血液透析又は腹膜透析を準備する。各注射の2時間後、血液透析を開始し、2時間維持する。少量のオレラニンを繰返し投与することを含むこの手順には、腫瘍組織におけるオレラニンの致死レベルへの徐々の増大をもたらす利点があり、腫瘍組織はこの物質を積極的に取り込むが、毒素の細胞外濃度は副作用を起こし得るレベル未満に保たれる。任意選択により、疾患が片側性である場合、罹患していない腎臓を外科的に切除し、処置の間保存し、処置終了後再埋め込みを試みてもよい。患者の進行を1カ月間モニターし、その後、腎臓癌の増殖を阻害するために適宜オレラニンのさらなる連続投与を行う。処置の間、患者における腫瘍組織塊は低減し、処置終了時、腎臓癌は完全に根絶され、腎明細胞癌に対するオレラニンの有効性が実証される。

Claims (13)

  1. 式I:

    [式中、
    R1、R2、R3、及び/又はR4は、水素、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルカノール、C〜Cアルケノール、C〜Cアルコキシ、及びC〜Cアルケノキシからなる群から選択され;
    ここで、そのC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルカノール、C〜Cアルケノール、C〜Cアルコキシ、及びC〜Cアルケノキシの各々が、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、及びハロからなる群から選択される基でさらに置換されていてよい]
    による化合物;または
    等モル量の薬学的に許容されるその塩
    を活性成分として含む、腎細胞癌の治療のための医薬組成物。
  2. 、R、R、及びRが水素である、請求項に記載の医薬組成物。
  3. 前記化合物を1mg/kgから100mg/kgまでの単回投与量として投与する、請求項に記載の医薬組成物。
  4. 前記化合物を2回以上の投与量において投与し、各投与量が1mg/kgと20mg/kgの間の化合物を含む、請求項に記載の医薬組成物。
  5. 逐次投与量を2日から7日の間、離して投与する、請求項に記載の医薬組成物。
  6. 前記化合物を毎日投与する、請求項に記載の医薬組成物。
  7. 少なくとも1つの薬学的に許容される担体、及び50mgから3500mgの式I:

    [式中、
    R1、R2、R3、及び/又はR4は、水素、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルカノール、C〜Cアルケノール、C〜Cアルコキシ、及びC〜Cアルケノキシからなる群から選択され;
    ここで、そのC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルカノール、C〜Cアルケノール、C〜Cアルコキシ、及びC〜Cアルケノキシの各々が、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、及びハロからなる群から選択される基でさらに置換されていてよい]
    による化合物、又は等モル量の薬学的に許容されるその塩を含む、腎細胞癌の治療のための医薬組成物。
  8. 、R、R、及びRが水素である、請求項に記載の医薬組成物。
  9. 化合物が薬学的に許容される塩である、請求項又はに記載の医薬組成物。
  10. 患者に静脈内投与、皮下投与、又は腹腔内投与するために組成物が調合される、請求項からまでのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. 少なくとも1つの薬学的に許容される担体、及び50mgから3500mgの式I:

    [式中、
    R1、R2、R3、及び/又はR4は、水素、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、ハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルカノール、C〜Cアルケノール、C〜Cアルコキシ、及びC〜Cアルケノキシからなる群から選択され;
    ここで、そのC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルカノール、C〜Cアルケノール、C〜Cアルコキシ、及びC〜Cアルケノキシの各々が、アミノ、メルカプト、カルボキシ、リン酸、及びハロからなる群から選択される基でさらに置換されていてよい]
    による化合物、又は等モル量の薬学的に許容されるその塩を含む、
    腎細胞癌に罹患しているか又は腎細胞癌に感受性である患者を治療するためのキット。
  12. 式Iによる化合物、又は薬学的に許容されるその塩が担体中に完全に、又は実質的に溶解するようなやり方で、投与に関連して、式Iによる化合物、又は薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される担体を併用する、請求項11に記載のキット。
  13. 患者に静脈内投与、皮下投与、又は腹腔内投与するために化合物が調合される、請求項11または12に記載のキット。
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