JP5339992B2 - 立坑及び立坑形成方法 - Google Patents
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Description
ところで、上記立坑を形成する際は、掘削機械(例えば、特許文献1等参照)を用いて形成する。即ち、掘削機械のロッドの下端に設けたビットにより鉱山の採掘場から坑内に到達する坑径300mm〜400mm程度のパイロット孔を形成した後、パイロット孔の径より大きい径のリーミング(拡掘)ビットを坑内から採掘場に向けて移動させてリーミングビットによりパイロット孔を拡掘することにより、立坑を形成する。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、投入物が詰まりにくい構造の立坑などを提供する。
立坑は、坑口側の坑径が坑底側の坑径よりも大きくなって漏斗形状のようになった既存立坑が拡幅されて形成された立坑であって、前記坑口側の坑径寸法が既存立坑の坑口の坑径寸法よりも大きくなるように形成されたので、立坑内で鉱石が詰まりにくい立坑が得られる。
下方に向かうにしたがって坑径寸法が大きくなる坑径部を3つ以上備えたことによって、坑口側の坑内に位置される鉱石が、後に坑口から投入されてくる鉱石に押されて坑口側から坑底側に移るときに坑口側の坑内の坑壁との接触から一気に開放される部分が2つ以上になるように構成されたので、立坑内で鉱石がより詰まりにくい立坑となる。
上下に繋がる上部の坑径部の下端と下部の坑径部の上端とが傾斜面により繋がれたので、坑壁の安定が確保される。
上記立坑を形成する立坑形成方法は、基準立坑内を昇降可能な吊り足場から基準立坑の坑壁を発破することにより基準立坑を拡幅した立坑を形成するので、機械掘削だけで立坑を形成する場合に比べて、低コストで立坑を形成できる。
発破による拡幅作業を、基準立坑の坑底から坑口に向かって行うので、拡幅作業を終えた坑壁部分よりも坑底側で作業を行うことがなくなるので、拡幅作業を終えた坑壁部分からの落石に対する安全対策が不要となり、安全対策作業を含む拡幅作業にかかる手間、及び、拡幅作業にかかる時間を少なくできる。
形態1による立坑形成方法を図1乃至図5に基いて説明する。図4(a)に示すように、石灰石鉱山90の地中下には形態2で説明する破砕搬送設備10を設置するための設置空間を備えた坑90Aが形成される。図4(b)に示すように、掘削機械90aを用い、掘削機械90aのロッド90bの下端に設けたビット90cを回転させて破砕搬送設備10の上方に位置する採掘場90Tから石灰石鉱山90を掘削し、図4(c)に示すように、採掘場90Tから坑90A近くまで到達する坑径300mm〜400mm程度のパイロット孔1Bを形成する。図示しないが、ロッド90bの下端をパイロット孔1Bの孔底部まで降ろし、ロッド90bの下端にリーミング(拡掘)ビット90d(図4(d)参照)を接続する。尚、この場合、パイロット孔1Bの孔底部にリーミングビット90dを設置するスペースが必要となるため、パイロット孔1Bの孔底部と地上とを繋ぐ図外の坑道を形成し、この坑道を通ってパイロット孔1Bの孔底部に作業者が入り、パイロット孔1Bの孔底部の径を掘削又は発破で拡げたリーミングビット収容部90Bを形成しておく。そして、坑道を通ってリーミングビット90dをリーミングビット収容部90Bまで運んでおく。次に、図4(d)に示すように、ロッド90bを回転させてリーミングビット90dを回転させながらロッド90bを上昇させる。これにより、リーミングビット90dが、パイロット孔1Bを拡掘した基準立坑としての先行立坑1Xを形成する(図4(e);図2参照)。また、先行立坑1Xの坑底1eと坑90Aとを連通させる傾斜路11を形成する。
拡幅作業は、スカフォード31に乗った作業者が、例えば図外の削岩機を用いてスカフォード31の周囲の坑壁1uに図外の発破孔を形成し、発破孔内に図外の爆薬を装填して発破孔を閉塞した後に、スカフォード31を上昇させてから、爆薬に点火して爆薬を爆発させる作業である。
また、掘削径が6mよりも小さいリーミングビット90dを用いて先行立坑1Xを形成し、その後、安価なスカフォード31を用いた発破による拡幅作業を行うことにより、6mを超える坑径の立坑1を形成することも可能となるので、6mを超える坑径の立坑1を、より低コストで形成できる。
また、6m以下の坑径の立坑1を形成する場合であっても、掘削径の小さいリーミングビット90dを用いて先行立坑1Xを形成し、その後、安価なスカフォード31を用いた発破による拡幅作業を行うことにより、立坑1を形成できるので、立坑1を、より低コストで形成できる。
一方、本形態1によれば、大坑径で大深度の立坑1を形成する場合でも、軽くて掘削径の小さいリーミングビット90dを用いることが可能となり、また、スカフォード31の昇降はロープ33を用いれば良いので、大坑径で大深度の立坑1を一気に形成できる。よって、特許文献1に示すように、深さ方向に延長する立坑を複数回に分けて形成する場合に比べて、大坑径で大深度の立坑1を経済的に形成できる。
一方、拡幅作業を、先行立坑1Xの坑口1t側から先行立坑1Xの坑底1e側に向かって順次行っていく形態4の方法においては、拡幅作業を終えた後、拡幅作業を終えた坑壁部分よりも坑底1e側で作業を行うことになる。従って、作業者の安全を確保するために、拡幅作業を終えた坑壁部分に落石防止用の後述するような取付部材を取付ける必要があるので、先行立坑1Xを拡幅する際の作業にかかる手間、及び、当該作業にかかる時間が多くなる。
一方、形態4では、拡幅作業を行う坑壁1uよりも坑底1e側は拡幅作業が行われていないので、発破により削られたズリは、まだ拡幅作業が行われていなくて削られずに先行立坑1Xの中心方向に突出することになる坑底1e側の坑壁1uの上面に堆積しやすくなる。よって、このズリが堆積した部分よりも坑底1e側で坑壁1uに発破孔を形成する作業などを行うときには、ズリが落下して危険なので、堆積しているズリを事前に落下させる作業が必要になる。つまり、作業が多くなるので、先行立坑1Xを拡幅する際の作業にかかる手間、及び、当該作業にかかる時間が多くなる。
本発明の方法によれば、既存立坑を拡幅(拡径)することにより立坑を形成することも可能である。例えば、図7に示すように、既存立坑1Aの坑口1t側の坑壁1uが既存立坑1Aに投入された石灰石により削られて、既存立坑1Aの坑口1t側の坑径1Amが坑底1e側の坑径1Awよりも大きくなることにより、既存立坑1Aの坑径が絞られて漏斗形状のようになり、径の大きい坑内から径の小さい坑内への入口部分1Asで石灰石が詰まりやすくなった場合等に、既存立坑1Aを拡幅することにより立坑を形成する場合である。
貯鉱槽13は、傾斜路11の終端と連通して垂直方向に延長した後に傾斜する空間により形成される。貯鉱槽13の入口にはふるい16が設けられる。小割室12は、ふるい16より上方でかつ傾斜路11の終端と連通する空間により形成される。小割室12は、傾斜路11を経由して落下してきた石灰石をふるい16の上に導くガイドローラ17を小割室12の入口の天井19側に備え、かつ、ふるい16の上に位置された石灰石を砕いてふるい16のふるい目に通すブレーカ18を備える。よって、ブレーカ18で砕かれて小割りされた石灰石が貯鉱槽13内に落下して貯蔵される。破砕室14は、ゲート21と、コンベヤ装置22と、破砕機23とを備える。降雨時や拡幅作業時以外の石灰石破砕搬送時には、貯鉱槽13から落下する小割された石灰石がコンベヤ装置22により破砕機23に搬送され、破砕機23で石灰石がより細かく破砕される。降雨時、拡幅作業時には、ゲート21により貯鉱槽13からの水やズリがコンベヤ装置22の上に落下しないように、貯鉱槽13からの水やズリがゲート21により堰き止められる。搬送室15は、破砕機23で破砕された石灰石を石灰工場や港などに搬送するための長距離ベルトコンベヤ装置のような搬送装置25と、破砕機23で破砕された石灰石を搬送装置25に搬送するベルトコンベヤ装置26とを備える。よって、貯鉱槽13から破砕機23に送られ、破砕機23で破砕されてより細粒化された石灰石がベルトコンベヤ装置26及び搬送装置25を経由して石灰工場や港などに搬送される。
次に、既存立坑1Aの坑壁1uを発破する作業、即ち、発破による拡幅作業を、既存立坑1Aの坑底1e側から既存立坑1Aの坑口1tに向かって順次行うことで、既存立坑1Aを拡幅する(図9(e);図8参照)。
発破により削られたズリは自然落下して既存立坑1Aの下に設けられた貯鉱槽13に移動し、ゲート21で堰き止められる。ゲート21で堰き止められた当該ズリは、破砕室14で回収され、排出される。
後述する形態5による方法では、坑壁1uの状態確認作業及び坑壁1uに対する取付部材の取付作業と、拡幅作業の前に取付部材を撤去する撤去作業と、拡幅作業と、拡幅作業を終えた坑壁部分に取付部材を取付けていく取付作業とが必要となるので、立坑1を形成するまでの作業が多くなり、作業にかかる手間、及び、当該作業にかかる時間が多くなる。
一方、本形態2では、坑壁1uの状態確認作業及び坑壁1uに対する取付部材の取付作業と、拡幅作業の前に取付部材を撤去する撤去作業と、拡幅作業とを行うことで立坑1を形成できるので、形態5による方法と比べて、拡幅作業を終えた坑壁部分に取付部材を取付けていく取付作業が不要となって、立坑1を形成するまでの作業が少なくでき、作業にかかる手間、及び、当該作業にかかる時間を少なくできる。
一方、本形態2によれば、拡幅された坑壁部分1fuに取付部材を取付ける必要がないため、足場構築作業が不要となり、拡幅された坑壁部分1fuに対する困難でかつ危険な取付部材の取付作業も不要とできるので、安全に立坑1を形成できる。
異なる坑径寸法に形成された坑径部を3つ以上備えた構成の立坑としてもよい。例えば、図10に示すように、3つの異なる坑径寸法Twa;Twb;Twcに形成された坑径部1x;1y;1zを備えた立坑1に形成した。当該立坑1によれば、石灰石が坑壁1fuとの接触から一気に開放される部分が2つ以上になる。つまり、坑径部1zの坑内に位置される石灰石が上方から投入されてくる石灰石に押されて坑径部1zから坑径部1yに移るとき、及び、坑径部1yの坑内に位置される石灰石が上方から投入されてくる石灰石に押されて坑径部1yから坑径部1xに移るときに、石灰石が坑壁1fuとの接触から一気に開放されて落下するため、立坑1内で石灰石がより詰まりにくい立坑1となる。
図11に示すように、上下に繋がる上部の坑径部1yの下端と下部の坑径部1xの上端とが傾斜面1hにより繋がれた構成の立坑1としてもよい。傾斜面1hは、例えば、円錐面や角錐面の頂点部を除去したような面により形成される。このような立坑1とすれば、図1;6に示すような上部の坑径部と下部の坑径部との境界部分が角張った形状のような場合と比べて、傾斜面1hに形成された坑壁1fuが崩れにくくなり、坑壁1fuの安定が確保される。
形態1乃至形態4では、立坑1を形成するための発破による拡幅作業を、先行立坑1Xや既存立坑1Aのような基準立坑の坑底1e側から基準立坑の坑口1tに向かって順次行うことで、立坑1を形成する形態を示したが、立坑1を形成するための発破による拡幅作業を、基準立坑の坑口1t側から基準立坑の坑底1e側に向かって順次行うことで、立坑1を形成してもよい。この場合でも、基準立坑内を昇降可能なスカフォードから基準立坑の坑壁を発破することにより基準立坑を拡幅した立坑1を形成するので、低コストで立坑1を形成でき、経済的である。
また、本発明の立坑の形成方法は、特許文献1に示すようなアクセス坑道と呼ばれる立坑を形成する場合にも適用可能である。
Claims (6)
- 鉱山の採掘場から破砕搬送設備が設置された坑まで延長するように形成された立坑であって、鉱山から採掘された鉱石が立坑の坑口から投入されて立坑の坑口に近い部分まで積み上げられて当該鉱石を当該立坑の下に設けられた破砕搬送設備に供給するための貯蔵ビンとして利用される立坑において、坑底側の坑径寸法が坑口側の坑径寸法より大きく形成されたことによって、坑口側の坑内に位置される鉱石が、後に坑口から投入されてくる鉱石に押されて坑口側から坑底側に移るときに坑口側の坑内の坑壁との接触から一気に開放されて坑底に落下するように構成されたことを特徴とする立坑。
- 立坑は、坑口側の坑径が坑底側の坑径よりも大きくなって漏斗形状のようになった既存立坑が拡幅されて形成された立坑であって、前記坑口側の坑径寸法が既存立坑の坑口の坑径寸法よりも大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の立坑。
- 下方に向かうにしたがって坑径寸法が大きくなる坑径部を3つ以上備えたことによって、坑口側の坑内に位置される鉱石が、後に坑口から投入されてくる鉱石に押されて坑口側から坑底側に移るときに坑口側の坑内の坑壁との接触から一気に開放される部分が2つ以上になるように構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の立坑。
- 上下に繋がる上部の坑径部の下端と下部の坑径部の上端とが傾斜面により繋がれたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の立坑。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の立坑を形成する方法であって、基準立坑内を昇降可能な吊り足場から基準立坑の坑壁を発破することにより基準立坑を拡幅した立坑を形成することを特徴とする立坑形成方法。
- 発破による拡幅作業を、基準立坑の坑底から坑口に向かって行うことを特徴とする請求項5に記載の立坑形成方法。
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