JP5339340B2 - 椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液の製造方法 - Google Patents

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本発明は、椿油の製造過程で排出される椿種子の搾り粕を有効利用するリサイクルの技術分野に関する。
椿油は、椿科植物の種子である椿種子から搾油されて製造され、古来より食用、薬用、化粧品、工業用など広く応用されている。椿油を採取するために椿種子を搾油した際、種皮および油を除かれた種核からなる搾り粕が残留する。原料に用いた椿種子の重量に対して、搾り粕として残る割合は多く、例えば本発明者らの実験によれば、椿油の搾油によって、重量にして椿油3割に対して搾り粕が7割残る。この搾油によって残留する搾り粕に対しては、天然資源としての有効な再利用方法が望まれている。
再利用方法の一例として、椿油の搾り粕に含まれることが知られている、界面活性作用を持つ配糖体であるサポニンを利用する手段が考えられる。サポニンは界面活性作用から乳濁化、洗浄に用いることができ、また粘膜を刺激する作用を及ぼす(非特許文献1)。
このサポニンの作用に注目し、また、椿種子の搾り粕およびそれに由来するサポニンは天然物由来であり、人体や農作物、環境への悪影響を及ぼすことがないことから、椿種子由来のサポニンの産業上の利用への研究が行われている。例えば、サポニンは界面活性作用、粘膜への刺激から一部生物の細胞膜を破壊するため、除虫の効果があり、また鰓呼吸を阻害し水中生物への毒性を発揮するため、椿科植物由来のサポニンを含有する組成物を家庭や農業において散布する防除剤、害虫駆除方法(例えば、特許文献1、2、3)に関する技術が開示されている。
これらの椿科植物由来のサポニンは、椿の種や皮を粉砕物とし、そのまま散布する場合(特許文献1、2)のほか、種や皮の粉砕物を水(特許文献1、3)や有機溶媒(特許文献1)によって処理し、サポニンを抽出して使用する方法による。
一方、水は高温・高圧の臨界点において液体、気体の境界が消失し、臨界点に温度・圧力が近い亜臨界状態の水は、高い分子密度とエネルギーを兼ね備えた状態となり、非常に反応性が高くなる。この亜臨界状態の水は、分解能力がきわめて高くなるため、これらの水による処理を、廃棄物の処理方法、再利用可能な材料の製造方法として応用する手段が検討されている。例として、亜臨界状態の水による処理は、植物、魚骨や軟体動物の残滓、生ゴミやプラスチック等の分解処理および再利用可能な資源回収に、広く応用可能と考えられている。例えば特許文献4には、木質廃棄物などの植物由来廃棄物を亜臨界状態の水で処理することによる、タール状油成分を含む植物由来原料の製造方法が開示されている。
「理化学辞典第5版」(1998)岩波書店 特開平9−30916号公報 特開2002−212016 特開2003−342110号公報 特許第4061544号公報
しかしながら、特許文献1〜3に述べられたような方法では、椿種子の搾り粕に含まれるサポニンを有効に利用するには困難がある。例えば、特許文献1、2に述べられている、搾り粕をそのまま利用し散布する方法においては、搾り粕の中で未抽出の状態でのサポニンの作用が有効に働くとは言い難い。搾り粕は、一般に高圧で椿種子を搾ったものであり、圧搾され、高密度に凝縮した状態にあるため、そのまま散布しても内部の成分が土壌や周囲の環境に浸出しにくく、したがって作用しづらいことが推測される。
また、椿種子の搾り粕を水に浸しサポニンを抽出する方法は、上記したように高密度に凝縮した状態の搾り粕から成分が抽出しづらい。特許文献1、2においては、抽出後のサポニンの含有量については記載されていないが、発明者らの研究によると、水による抽出では熱水を用いても0.9W/V%前後の濃度のサポニン水溶液しか得ることができない。サポニンの抽出量が少ないと、界面活性剤としての作用が充分には得られない。
さらに、水や熱水で抽出する方法では、抽出に時間を要するという問題がある。特許文献2においては、水からの浸出の工程において数時間を要すると記載されているが、発明者らの研究によると、水による抽出には少なくとも2時間を要し、抽出の過程において時間経過が長くなると、サポニンの有効成分の品質に影響する可能性がある。
また、例えば特許文献1に記載されているような有機溶媒によって抽出を行う方法では、抽出されてくる成分が限られる。また、不純物が多く抽出されるため、分離のためにさらにカラム等の精製工程を要し、煩雑さおよび時間を要し、収率も低下する。また、抽出の過程で使用された有機溶媒が残留していると、サポニンやその水溶液を洗浄剤や除虫剤として用いた場合に、人体や農作物、環境に悪影響を及ぼす可能性がある。
すなわち、これらの椿種子の搾り粕の利用方法には、いまだ課題が残っており、また使用量も限られているため、いまだ現在、椿油を搾油した後の搾り粕の大規模な有効利用の手段とはいえない状態にある。
一方で、超臨界状態の水、亜臨界状態の水は高い分解能力を持つため、高密度に凝縮した搾り粕を分解することができ、さらに、材料の成分が高い密度で小さい範囲に凝縮していればいるほど、小規模の分解装置によって、高いエネルギー状態を生かし集中的に材料を処理することができるので、搾り粕の処理に適している面がある。しかしながら、高温、高圧の超臨界状態の水は非常に反応性、酸化能力が高いため、抽出したサポニンを変質、または分解させてしまう可能性がある。超臨界状態の水は、多くの有機物を短時間で二酸化炭素にまで分解してしまうことがある。また、超臨界状態の水による処理には二酸化炭素を要し、高温高圧を要するためにエネルギーコストは非常に高い。
本発明者らは、椿種子の搾り粕をより有効利用できる手段として、搾り粕から抽出できる成分および、より有効な抽出方法について研究を重ねた。そして、超臨界状態の水よりも圧力、温度の低い亜臨界状態の水による抽出方法を椿油の搾り粕の処理方法に応用する着想を得て、さらに鋭意研究を進めていった。その結果、椿油の搾り粕を亜臨界水によって抽出することで、良質なサポニンを高純度、高濃度で含む水溶液を得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、上記目的を達成するために、次の椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液を提供する。
本発明の椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液は、椿種子の搾り粕を、処理温度100℃〜347℃、処理圧力3.0〜22.1MPaの亜臨界状態の水により1〜30分抽出し、サポニンを含有することを特徴とする。
そして、この椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液は、椿種子が圧搾されて高密度に凝縮した搾り粕を原料に用いていることから、種子をそのまま用いる場合や砕いたのみの場合に比べて、サポニン水溶液においては不純物となる油やその反応物の含有量が一定に抑えられる。また成分が高密度に凝縮されているので、亜臨界状態の水による抽出のような反応性の高い抽出においては、原料の反応効率が高い。
そして、種子が圧搾され、潰され分離された搾り粕を用いていることから、種子そのままの状態よりも断面が露出しており、圧搾された間隙に亜臨界状態の水が触れやすく、反応が起こりやすい。そのため、多種の成分が高濃度で椿種子の搾り粕から抽出され、多様なサポニンが高濃度で抽出される。
そして、超臨界状態よりも処理圧力、温度の低い亜臨界状態の水を用いることで、サポニンの分解や反応が抑えられた状態で抽出されている。水は圧力および温度が臨界点以上の状態、すなわち超臨界状態において、液体と気体の境界面が消失し、液体に匹敵する密度と気体に匹敵する高いエネルギーを兼ね備える。この状態の水は強い反応性を持ち、有機物を無機物にまで完全に反応、分解する。これに対して、亜臨界状態の水は液体と気体の境界は消失しておらず、蒸発と凝縮が繰り返される状態の水であり、超臨界状態の水よりも分解力が低く、有機物を完全に分解してしまうことなく溶解、分離し取り出すことができる。
そして、この椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液は、椿種子の搾り粕を原料として用いているため、油分として一定量の椿油を含有している。さらに、サポニンの界面活性作用により、この油分が水分に分散したエマルションを形成している。そのため、この椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液は、サポニンの界面活性作用によって油分が展着剤として作用し、親水性の低い表面部などにも吸着効率を高める。
そして、この椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液は、亜臨界状態の水によって抽出されているので、有機溶媒等を含有していない。
また、本発明の椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液は、種核および種皮をそれぞれの断面が露出した状態で含有していることを特徴とする。
そして、椿種子を構成する種子の種皮と種核の双方を含み、またそれらが搾油の際の圧搾によって破砕された断面が露出し、双方が分離された状態の搾り粕であるため、種子をそのまま種核が種皮に覆われた状態で用いる場合と異なり、種皮の表面だけでなく裏面や断面、また種核の表面、さらに断面からも、亜臨界状態の水による抽出が行われる。
また、本発明の椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液は、油分を0.1〜20W/V%含むことを特徴とする。
そして、この椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液は、搾油し油分を回収した後の搾り粕に由来する油分を適度に少量含んでおり、その油分には亜臨界状態の水によって多種の成分が抽出されている。また油分が適度に含まれているため、サポニンの界面活性作用によって適度な油分が水溶液中に分散している。
また、本発明の椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液の製造方法は、椿種子の搾り粕を、処理温度100℃〜347℃、処理圧力3.0〜22.1MPaの亜臨界状態の水により、処理時間1〜30分抽出する工程を含むことを特徴とする。
そして、この椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液の製造方法は、水による浸出や有機溶媒による抽出に比べて工程が少なく充分に良質で濃度の高いサポニン水溶液が得られる。また、サポニンが反応、分解等することなく、特に高い収率でサポニンを含有する水溶液が得られる。さらに、水による浸出や有機溶媒による抽出に比べて短時間で充分な量のサポニンが抽出され、長時間の処理で分解されてくるような他の物質の混合が少ない。
本発明に係る椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液によれば、搾油されて高密度に凝縮され、種子の断面が露出した椿種子の搾り粕から、反応性の高い亜臨界状態の水によってサポニンが効率よく抽出され、また超臨界状態よりも反応性の低い亜臨界状態の水を利用することで、多様な界面活性作用を持つ配糖体のサポニンを多く含有する水溶液が得られるので、界面活性剤としてのサポニンの作用を有効に用いることができ、虫類忌避剤や洗浄剤などに好適に用いることができる。
さらに、製造の過程で有機溶媒等を使用していないので、椿油の搾り粕に由来する天然物のみを含有しているので、洗浄剤や除虫剤として用いた場合に、人体や農作物、環境に悪影響を及ぼすことがない。
さらに、廃物である椿油の搾り粕を原料として有効利用することができる。加えて、亜臨界状態の水による抽出処理によってサポニンその他の成分を除去した後の搾り粕は、低分子化され、油を除去されており、肥料などに有効に使用することができる。
さらに、椿種子由来の油分がサポニンの界面活性作用によって水溶液中に分散し、親水性の低い表面に対する展着剤として働く。例えば農業において、椿の木に噴霧し虫類忌避剤として用いる場合、水を弾きやすい葉の表面に対して、噴霧した水溶液が吸着されやすくなる。
また、本発明に係る椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液によれば、種皮、種核から多種かつ多量の成分が無駄なく抽出され、界面活性剤として利用可能な多様のサポニンをはじめ豊富な成分を含む椿油の搾り粕由来のサポニン水溶液が得られる。
また、本発明に係る椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液によれば、油分が含まれ、その油分は多種の成分が含まれ天然物の状態に近い。また適量の油分が含まれることで、親水性の低い表面に対する展着剤としての働きが効果的に行われる。
また、本発明に係る椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液の製造方法によれば、純度が高いサポニンを高濃度で含有した水溶液が得られ、水による浸出や有機溶媒によるサポニンの抽出よりも工程において少なく簡便である。そのため製造工程においても品質の劣化が最小限にとどめられる。
さらに、含有するサポニンの質および収率が特に高い水溶液が得られ、椿種子の搾り粕を特に有効に資源として用いることができる。加えて、抽出が短時間である。また多様、多量のサポニンを含む水溶液が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、実施の形態(1)を例に挙げて説明する。椿種子は、椿科植物の種子であり、主に椿油の原料となる品種、またその他の椿科の植物の種子も利用できる。種子が椿油の原料となる椿科植物の例としては、ヤブツバキ、サザンカ、チャノキなどがある。本実施の形態(1)では、ヤブツバキの種子をそのまま使用している。
椿種子の搾り粕は、椿種子から椿油を搾油した残滓として生じるものである。搾油は特許文献1、2などに記載されているように、椿科植物の種子をローラー、プレス等で粗砕、加圧し、油分の椿油と、固形の搾り粕を得る方法を用いることができる。搾り粕は、種子を粗砕して種皮と種核が分離しそれぞれが破砕し、加圧され平坦になっていることで、断面が多く露出し、亜臨界状態の水がそれらの断面の間に浸透しやすく、反応が起こりやすくなっている。
実施の形態(1)の椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液は、この椿種子の搾り粕を、亜臨界状態の水により抽出を行ったものである。ここで亜臨界状態とは、水の臨界圧力である22.1MPa、臨界温度である347℃付近で、臨界温度、臨界圧力より低い状態にある水である。本実施の形態(1)においては、目安として、圧力が3.0MPa以上で臨界圧力である22.1MPa以下、温度が100℃から臨界温度である347℃以下の範囲である。
椿種子の搾り粕から亜臨界水で抽出された水溶液は、サポニンを含有し、洗浄剤や虫類忌避剤としての有用性から、2.0〜3.0W/V%含んでいることが望ましい。実施の形態(1)の椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液では、2.5〜2.8W/V%のサポニンを含有する。
次に、実施の形態(1)の椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液の好適な製造方法について、図1に基づいて説明する。
まず、椿油の搾り粕は、椿種子1を搾油することによって得る。搾油方法は、圧力を加えて押しつぶす手段ならば適宜、手動、機械的ないずれの手段もとることができる。実施の形態(1)では、スクリュープレス2によって、椿種子1にそのまま圧力を加え、油分の椿油3と、固形分の椿種子の搾り粕4に分離する。この際、スクリュープレス2の操作でわずかに熱などが発生することがあるが、サポニンが化学反応しないよう、また品質の維持のため、加熱は最小限に抑えるのが望ましい。通常のスクリュープレスを稼動する際の発熱の範囲であれば、ほぼ問題となることはない。
ついで、この椿種子の搾り粕4を、亜臨界抽出が可能なように水と混合する。水は、抽出にあたっては水道水程度に混合物が少ないものであれば、問題なく用いることができるが、抽出後の水溶液の用途などにおいて純度を重視するならば、精製水や脱イオン水などを用いることもできる。実施の形態(1)では、精製水を用い、椿種子の搾り粕:水を、容積にして1:2となるよう混合し、搾り粕混合物5としている。
ついで、この搾り粕混合物5を、亜臨界抽出装置6を用いて亜臨界状態の水による抽出を行う。亜臨界抽出装置6は、水を亜臨界状態の圧力、温度の状態とできるものを適宜利用できるが、例えば特許文献4に記載されているような反応機を備えたものを使用できる。
本発明における亜臨界状態の水は、水の臨界点である22.1MPa、347℃以下であって、目安として3.0MPa、100℃以上の状態の水であり、水が高い分子密度とエネルギーを兼ね備えた状態となっている。
特に、サポニンの分解や不純物の分解混入を防ぐためには、抽出に用いるには3.5〜6.5MPaが望ましい。温度は100〜160℃が、サポニンの分解、変質を防ぐ意味から望ましく、特に115〜125℃の範囲が、抽出できるサポニンが最も多くなるため特に望ましい。処理時間は1〜30分で、短時間行った方が好適な理由から5〜10分が特に望ましい。
この亜臨界抽出によって、固形の抽出残滓7と、椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液8が得られる。
このサポニン水溶液には、椿種子の搾り粕に残留していた椿油に由来する油分が含まれている。搾油時の状態によって、サポニン水溶液に含まれる量は0.1〜20W/V%前後の値をとるが、この実施の形態(1)におけるスクリュープレスによる搾油の場合、12W/V%未満となる。
次に、実施の形態(2)について説明する。実施の形態(2)は椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液を用いた虫類忌避剤である。実施の形態(1)の製造方法による椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液をそのまま用いるか、水で希釈、またはその他の家庭、農業用散布剤に混合して用いることができる。
椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液は、サポニンの界面活性剤としての作用により、虫類の細胞組織を傷つけ、殺虫、除虫の作用を持つ。ここで虫類とは、昆虫をはじめ、軟体動物や節足動物などの無脊椎動物で、主に農業や家庭で忌避されることのある小型の生物を広く含むものとする。虫類忌避の目的として、過程や農業での散布や噴霧、例えば農作物の葉などに噴霧、貯水などの用水に混合し水中生物を忌避するなど各種用途に使用できる。
屋外に散布する場合、本実施の形態の2.8%前後のサポニンを含有する水溶液の場合、8〜12倍程度の希釈倍率で充分な除虫効果が得られる。これらを屋外の除虫したい領域に噴霧、散布すればよい。また、用水に混合する場合、10〜1000倍に希釈して用いることができる。
この虫類忌避剤は、搾り粕に由来する他の固形成分などが含まれないため、家庭や農業での散布の場所や状況を問わず広く利用できる。サポニンが界面活性剤として細胞膜を傷つけるため、昆虫をはじめ、農業や家庭で忌避されることのある小型の生物の駆除や、除菌にも広く用いることができる。特に、椿科植物の木につく害虫であるチャドクガにも効果を発揮するため、椿油の産業における廃物の利用手段として好適である。
以下、実施例により更に具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[試験例1]
[椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液の製造試験]
ヤブツバキより採取した椿種1を40kg/1時間の速度でスクリュープレス2によって圧搾して搾油し、生じた板状の椿種子の搾り粕4を破砕し、その破砕物を水と1:2となるよう混合した。ついで、この搾り粕混合物5を、亜臨界装置6を用いて亜臨界状態の水による抽出を行った。
亜臨界状態の水による抽出は、精製水を用いて、圧力5MPa、表1に示すそれぞれの温度で各5分間行い、椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液8を得た。また、比較例として常圧、100℃による抽出も行った。各条件で抽出された水溶液中のサポニンの含有量を示す。
Figure 0005339340
亜臨界状態の水の抽出温度110℃〜140℃の範囲では、いずれもサポニンの含有量が2.5〜2.8W/V%と有効に抽出されていた。また、いずれも常気圧の熱湯100℃による抽出の0.9W/V%よりも著しく含有量が大きかった。加えて、いずれも遊離アミノ酸としてテアニンは検出することができず、不純物が少ないことを示す。このうち、最もサポニン含有量が多かった120℃条件での水溶液を実施例1とした。
[試験例2]
[虫類忌避剤の忌避効果試験1]
長さ30cm、半径3.5cmの透明プラスチック製の筒の略中央に、実施例1の椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液を染み込ませた虫類忌避剤綿を配置した。その筒に、サクラにつく害虫であるアメリカシロヒトリの幼虫3匹を入れて放置した。
3日後には、幼虫はいずれも筒の両端へと逃げた状態で死亡していた。この結果から、本発明の椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液を含有する虫類忌避剤が、一部昆虫の幼虫を駆除することができることを示す。
[試験例3]
[虫類忌避剤の忌避効果試験2]
椿の木に害虫として発生するチャドクガの発生時期に、椿の木の前に、実施例1の椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液を10倍希釈した虫類忌避剤を散布した。その後観察しても、散布した木の前にはチャドクガの発生が見られなかった。本発明の虫類忌避剤がチャドクガに対する忌避効果を示し、椿油の搾り粕を再利用した虫類忌避剤を、椿産業において有効に利用できることを示す。
椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液の製造方法を示す図である。
符号の説明
1 椿種子
2 スクリュープレス
3 椿油
4 椿種子の搾り粕
5 搾り粕混合物
6 亜臨界抽出装置
7 抽出残滓
8 椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液

Claims (3)

  1. 椿種子をスクリュープレス装置又はローラー装置を用いて加圧して前記椿種子の種皮と種核が分離しそれぞれの断面が露出するように前記椿種子を圧搾し、椿油を搾油した残滓である椿種子の搾り粕を得る工程と、前記椿種子の搾り粕を、処理温度110℃〜140℃、処理圧力3.0〜22.1MPaの亜臨界状態の水により、処理時間1〜30分抽出する工程を含むことを特徴とする椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液の製造方法。
  2. 前記処理温度が115〜125℃であることを特徴とする請求項1に記載の椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液の製造方法。
  3. 前記処理圧力が3.5〜6.5MPaであることを特徴とする請求項1又は2に記載の椿種子の搾り粕由来サポニン水溶液の製造方法。
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