〔第1実施形態〕
本発明に係るピッキング設備の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、ピッキング設備には、物品Wを保持自在な保持体としてのパレットPを収納自在な収納部1を複数備えた収納棚2が設けられている。収納棚2は、収納部1を縦横に並ぶ状態で備えており、それらの複数の収納部1の一部のである下から2段目に位置する複数の収納部1が、物品Wを保持させた保持状態のパレットPf(以下、「実パレットPf」ともいう。)を、背面側(本願発明の「一方側」に相当する。)から物品Wを取り出し自在な状態で収納するピッキング用収納部1Dとして設定されている。複数の収納部1のうち、ピッキング用収納部1D以外の収納部1は、保管用収納部1Rとして設定されている。保管用収納部1Rには、ピッキング用収納部1Dに搬入される予備の実パレットPfや、後述する入換作業によりピッキング用収納部1Dから搬出される空状態のパレットPe(以下、「空パレットPe」ともいう。)が保管される。
収納棚2の前面側(本願発明の「他方側」に相当する。)には、スタッカークレーン5が、原点位置HPと反対位置OPとの間で走行自在に設けられている。スタッカークレーン5は、収納棚2の前面側において横幅方向に沿って床面に設置された走行レール6に案内されて原点位置HPと反対位置OPとの間で走行自在に設けられた走行台車7と、この走行台車7の走行方向の前後に間隔を空けて立設された前後一対の昇降マスト8と、この前後一対の昇降マスト8に案内されて、一対の昇降マスト8の間の昇降経路において収納棚2の最下段の収納部1に対応する下限位置と最上段の収納部1に対応する上限位置との間で昇降自在な昇降台9と、この昇降台9に装備されて、出退自在なフォーク装置により各収納部1並びに入庫部20及び出庫部16との間でパレットPを移載自在な移載装置10とを備えている。
スタッカークレーン5は、収納棚2の前面側における走行台車7の走行作動及び昇降台9の昇降作動により、移載装置10を移載対象箇所(収納部1並びに後述する入庫部14及び出庫部16)について設定された移載用位置に位置させた状態で、移載装置10の移載作動及び昇降台9の昇降作動により、移載対象箇所との間でパレットPを移載する。例えば、スタッカークレーン5は、ピッキング用収納部1Dに対して、その前面側から実パレットPfを搬入して、その前面側から空パレットPeを搬出する。したがって、スタッカークレーン5は、本願発明の搬送装置として機能する。
収納棚2の背面側における作業用収納部1Dが位置する高さには作業架台が設置されており、この作業架台上には、収納棚2の横幅方向に沿って集品ライン4が設置されている。集品ライン4は、ローラーコンベヤにて構成されており、複数のピッキング用収納部1Dから取り出される各種の物品Wを集約して収納する集品コンテナ3を載置搬送自在に構成されている。
ピッキング作業を行う作業者Mは、伝票に記載される等して示されたピッキングオーダに基づいて、収納棚2と集品ライン4との間の作業架台上における作業スペースでピッキング作業を行う。作業者Mは、ピッキングオーダにて指定された種類の物品Wを、当該種類の物品Wを保持している実パレットPfが収納されているピッキング用収納部1Dの背面側から、各ピッキング用収納部Dの間口の上部に設けられたデジタル表示器11(図3参照)に表示された指定数量を参照しながら、ピッキングオーダにて指定された個数だけ取り出して、ピッキングオーダ毎に集品ライン4に準備された集品コンテナ3に投入する作業を、順次発生するピッキングオーダに基づいて繰り返し行う。
ピッキング作業が進行するに連れて、ピッキング用収納部1Dに収納されている実パレットPfが保持している物品Wが全て取り出されて、当該種類の物品Wがなくなると、作業者Mの指令操作により当該ピッキング用収納部1DのパレットPの入換作業が行われる。すなわち、作業者Mは、デジタル表示器11に設けられた補充ボタン12を押し操作して、同種の物品Wの補充を指令する。これにより、当該ピッキング用収納部1Dから空パレットPeが搬出された後、同種の物品Wを保持している実パレットPfが当該ピッキング用収納部1Dに搬入される。
このように、ピッキング用収納部1Dのそれぞれが備える補充ボタン12が作業者にて指令操作されると、保持している物品Wの全てが取り出されて空状態となったパレットPeを収納しているピッキング用収納部1Dから当該空パレットPeを搬出する搬出作業と、この搬出作業を行った後に当該ピッキング用収納部1Dに実パレットPfを搬入する補充用搬入作業とを行う入換作業が行われる。つまり、本実施形態では、補充ボタン12が入換作業を指令する入換指令手段として機能している。
収納棚2の棚横幅方向で一方側の端部に隣接する位置には、水平方向に沿ってパレットPを搬送自在な入庫コンベヤ13及び出庫コンベヤ15が上下に間隔を空けて異なる高さに設けられている。入庫コンベヤ13及び出庫コンベヤ15はいずれもチェーンコンベヤを備えて構成されており、入庫コンベヤ13及び出庫コンベヤ15はパレットPの底面に対してチェーンコンベヤが搬送作用することで、パレットPを載置搬送する。
入庫コンベヤ13は、収納部1に搬入すべき実パレットPfを搬送方向(図1及び図2で紙面左から右に向かう方向)で下流側の端部に位置する搬送終了位置まで載置搬送して、搬送終了位置に実パレットPfを供給する。つまり、外部から実パレットPfが供給される入庫部14が、入庫コンベヤ13の搬送終了位置に設けられている。入庫コンベヤ13の搬送開始位置には、入庫コンベヤ13にて外部から入庫部14に供給された実パレットPfに対して検出作用して入庫部14に実パレットPfが存在することを検出する入庫部用在荷センサS1が設けられている。
出庫コンベヤ15は、ピッキング用収納部1Dからスタッカークレーン5により搬出された空パレットPeを、搬送方向(図1及び図2で紙面右から左に向かう方向)で上流側の端部に位置する搬送開始位置でスタッカークレーン5から受け取って、当該空パレットPeを載置搬送する。つまり、スタッカークレーン5がピッキング用収納部1Dから搬出した空パレットPeを受け入れる出庫部16が出庫コンベヤ15の搬送開始位置に設けられている。出庫コンベヤ15の搬送開始位置には、スタッカークレーン5から出庫部16にて受け取った空パレットPeに対して検出作用して出庫部16に空パレットPeが存在することを検出する出庫部用在荷センサS2が設けられている。
スタッカークレーン5は、入庫コンベヤ13における入庫部14及び出庫コンベヤ15における出庫部16との間でパレットPを移載するときは、いずれも原点位置HPに停止する。入庫コンベヤ13及び出庫コンベヤ15は平面視での配置位置が同じであり、高さが異なるだけであるため、スタッカークレーン5は、出庫コンベヤ15における出庫部16に対して空パレットPeを受け渡した後、走行台車7を走行させることなく原点位置HPに停止させた状態で、昇降台9の高さを変更するだけで、入庫コンベヤ13における入庫部14から実パレットPfの受け取りができる。このように、入庫コンベヤ13における入庫部14及び出庫コンベヤ15における出庫部16が近接して設けられているので、出庫部16に対する空パレットPeの受け渡しと入庫部14からの実パレットPfの受け取りが連続する場合の作業効率がよい。
また、出庫コンベヤ15の設置高さは、ピッキング用収納部1Dの設置高さに対応させてある。これにより入換作業における搬出作業によりピッキング用収納部1Dから搬出された空パレットPeを出庫部16に直接出庫する場合に、スタッカークレーン5の昇降台9を昇降作動させることなく走行台車7をホームポジションHPに走行させるだけで、移載装置10を出庫部16についての移載用位置に位置させることができる。
以上説明した収納棚2、スタッカークレーン5、入庫コンベヤ13、出庫コンベヤ15等を備えたピッキング設備では、入庫コンベヤ13により入庫部14に供給された実パレットPfが、スタッカークレーン5が行う入庫作業により、保管用収納部1Rに入庫される。また、ピッキング用収納部1Dで空パレットPeが発生して当該ピッキング用収納部1Dの補充ボタン12が作業者により指令操作されると、スタッカークレーン5が行う入換作業により、当該ピッキング用収納部1Dに対する入換作業が行われる。
次に、ピッキング設備の制御構成について説明する。図3に示すように、ピッキング設備全体の作動を管理する管理コントローラ17が、作業部コントローラ18、クレーンコントローラ19、入庫コントローラ20及び出庫コントローラ21のそれぞれと相互に通信自在に接続されている。
作業部コントローラ18には、複数のピッキング用収納部1Dのそれぞれの間口に設けられたデジタル表示器11と、後述する区分情報としての境界値Nを作業員が人為操作により設定するための境界値入力装置22とが通信可能に接続されている。境界値Nは、入換作業の対象となるピッキング用収納部1Dが近隣領域Zn及び遠方領域Zfのいずれに属するかを判断するための閾値である。
管理コントローラ17は、作業部コントローラ18に対してピッキング用収納部1Dのデジタル表示器11に表示させるピッキング数量情報等を、当該情報の対象とするピッキング用収納部1Dを識別する識別情報を付加して、作業部コントローラ18に送信する。作業部コントローラ18は、管理コントローラ17から受信したピッキング数量情報等を識別情報にて指定されたピッキング用収納部1Dのデジタル表示器11に表示させるべく、ピッキング数量情報等を当該デジタル表示器11に送信する。このようにして、管理コントローラ17は、所望のピッキング用収納部1Dのデジタル表示器11にピッキング数量情報等を表示させることができる。
前述の入換指令手段としての補充ボタン12が作業者により指令操作されると、その補充ボタン12を備えるデジタル表示器11から作業部コントローラ18に対して入換指令が出力される。作業部コントローラ18は入換指令を受信すると、その入換指令がいずれのデジタル表示器11からの指令であるかを判別し、判別結果に基づいて指令元情報を付加して入換指令を管理コントローラ17に送信する。管理コントローラ17は、指令元情報が付加された入換指令を受信すると、当該指令元情報から、補充ボタン12が指令操作されたピッキング作業部1Dを割り出し、そのピッキング用収納部1Dを入換作業対象としてスタッカークレーン5に入換作業を行わせる。
管理コントローラ17は、各保管用収納部1Rについて、パレットPが収納されているかいないか(空き情報)、収納している場合そのパレットPは実パレットPfか空パレットPeか(パレット種別情報)、実パレットPfの場合その実パレットPfが保持している物品Wの種別は何か(物品種別情報)、を管理している。また、各ピッキング用収納部1Dについて、どの種類の物品Wがピッキングされているか(ピッキング対象情報)について管理している。
入換作業が指令されると、管理コントローラ17は、まず、入換作業対象のピッキング用収納部1Dから空パレットPeを搬出する搬出作業をスタッカークレーン5に行わせる搬送指令をクレーンコントローラ19に指令した後、クレーンコントローラ19からの完了情報を受信すると、入換作業対象のピッキング用収納部1Dでピッキングされる物品Wの種別を判別し、これと同種の物品Wを保持している実パレットPfが収納されている保管用収納部1Rを1つ選択し、この保管用収納部1Rに収納されている実パレットPfを入換作業対象のピッキング用収納部1Dに搬入する補充用搬入作業をスタッカークレーン5に行わせる搬送指令をクレーンコントローラ19に指令する。
クレーンコントローラ19は、管理コントローラ17から送信される搬送指令に基づいて、スタッカークレーン5における走行台車7の走行作動、昇降台9の昇降作動及び移載装置10の移載作動を制御する。管理コントローラ17が指令する搬送指令には、入庫部14、出庫部16、又は複数の収納部1のうちどこを搬送元としてどこを搬送先とするかを示す搬送区間情報が含まれている。
クレーンコントローラ19は、管理コントローラ17から搬送指令を受信すると、スタッカークレーン5の作動を制御して、当該搬送指令の搬送区間情報が示す搬送元からパレットPを受け取るための移載用位置に移載装置10を移動させた後、パレットPを受け取らせる。その後、クレーンコントローラ19は、スタッカークレーン5の作動を制御して、搬送指令にて指令された搬送先にパレットPを受け渡すための移載用位置に移載装置10を移動させた後、パレットPを搬送先に受け渡しさせる。こうして搬送指令に基づくパレットPの搬送が完了すると、完了情報をクレーンコントローラ19に送信する。クレーンコントローラ19は、完了情報を受信すると次の搬送指令をクレーンコントローラ19に指令する。
例えば、管理コントローラ17から入庫作業を行うための搬送指令がクレーンコントローラ19に指令されると、クレーンコントローラ19は、スタッカークレーン5を走行作動及び昇降作動させて、搬送元である入庫部14から実パレットPfを受け取るための移載用位置に移載装置10を位置させた後、実パレットPfを受け取らせる。その後、スタッカークレーン5を走行作動及び昇降作動させて、搬送先である収納部1に実パレットPfを受け渡すための移載用位置に移載装置10を移動させた後、実パレットPfを収納部1に受け渡しさせる。
また、補充ボタン12が指令操作されて入換作業が指令されると、管理コントローラ17は、まず、空パレットPeを当該ピッキング用収納部1Dから搬出する搬出作業を行うための搬送指令をクレーンコントローラ19に指令する。そして、搬出作業についての完了信号をクレーンコントローラ19から受信すると、次の搬送指令として実パレットPfを当該ピッキング用収納部1Dに搬入する補充用搬入作業を行う搬送指令をクレーンコントローラ19に指令する。
このように、管理コントローラ17及びクレーンコントローラ19は、入換指令手段としての補充ボタン12の指令に基づいて、搬送装置としてのスタッカークレーン5に入換作業を行わせるべく、スタッカークレーン5の作動を制御する。したがって、管理コントローラ17及びクレーンコントローラ19により制御手段Hが構成されている。
入庫コントローラ20には入庫部用在荷センサS1が接続されており、入庫コントローラ20は、入庫部用在荷センサS1の検出情報に基づいて入庫コンベヤ13の作動を制御して、実パレットPfを入庫部14に供給する。すなわち、入庫部用在荷センサS1が実パレットPfを検出する状態から検出しない状態に変化すると、入庫コントローラ20は、入庫コンベヤ13の作動を開始させ、入庫部用在荷センサS1が再び実パレットPfを検出すると入庫コンベヤ13の作動を停止させる。これにより、スタッカークレーン5が入庫部14から実パレットPfを受け取って収納棚2に入庫すると、後続する実パレットPfが入庫コンベヤ13にあれば、その実パレットPfが入庫部14に供給されるようになっている。なお、入庫コントローラ20は、入庫コンベヤ13の上流側に搬送対象の実パレットPfが存在しない場合には、省電力のために、入庫コンベヤ13を停止させるように構成されている。
また、入庫コントローラ20は、管理コントローラ17と通信自在に接続されており、入庫部用在荷センサS1の検出情報を管理コントローラ17に出力するように構成されている。管理コントローラ17は、入庫部用在荷センサS1が実パレットPfを検出しない状態から検出する状態に変化すると、入庫対象の実パレットPfが入庫部14に供給されたとして、当該実パレットPfを入庫部14から収納部1に入庫するべく、入庫作業処理を実行する。このように、入庫部用在荷センサS1は、入庫部14に供給された実パレットPfを収納部1に搬入する入庫作業を指令する入庫指令手段として機能している。
出庫コントローラ21には出庫部用在荷センサS2が接続されており、出庫コントローラ21は、出庫部用在荷センサS2の検出情報に基づいて出庫コンベヤ15の作動を制御して、空パレットPeを出庫部16から外部に払い出す。すなわち、出庫部用在荷センサS2が空パレットPeを検出しない状態から検出する状態に変化すると、出庫コントローラ21は、出庫コンベヤ15の作動を開始させ、出庫部用在荷センサS2が空パレットPeを検出しなくなると出庫コンベヤ15の作動を停止させる。これにより、スタッカークレーン5が出庫部16に空パレットPeを受け渡すと、その空パレットPeが出庫部16から外部に払い出されるようになっている。
なお、図示は所省略するが、出庫コンベヤ21の搬送下流側には空パレットPeを段積みする段積み装置が設けられており、出庫コントローラ21は、空パレットPeが段積み装置まで搬送されて、出庫コンベヤ15の下流側に搬送途中の空パレットPeが存在しない場合には、省電力のために、出庫コンベヤ15を停止させるように構成されている。また、段積み装置が容量一杯まで空パレットPeを蓄えた状態になると、出庫コントローラ21は、出庫コンベヤ15を停止状態で維持するように構成されている。この場合、先に出庫済みの空パレットPeが出庫部16に滞留し、出庫部用在荷センサS2は空パレットPeを検出した状態のままになる。
また、出庫コントローラ21は、管理コントローラ17と通信自在に接続されており、出庫部用在荷センサS2の検出情報を管理コントローラ17に出力するように構成されている。管理コントローラ17は、出庫部用在荷センサS2が空パレットPeを検出していると、先に出庫済みの空パレットPeが出庫部16に滞留しており、出庫部16がパレットPを受け入れ可能な状態でないとして、スタッカークレーン5に出庫部16へ空パレットPeを出庫させないように構成されている。このように、出庫部用在荷センサS2は、出庫部16がパレットPを受け入れ可能な状態であるか否かを検出する出庫部状態検出手段として機能している。
次に、管理コントローラ17及びレーンコントローラ19によるスタカークレーン5の制御作動について図4〜図6のフローチャートに基づいて説明する。
スタッカークレーン5の入庫作業又は入換作業の指令が発生するまで、管理コントローラ17は、図4に示すように、メインルーチンを繰り返し実行しており、入庫作業又は入換作業の指令待ちの状態である。この状態で、前述の如く入庫部14に実パレットPfが供給されて入庫作業が指令されと、ステップ#M1で入庫作業の指令ありと判断され、管理コントローラ17は、ステップ#M2の入庫作業処理(図5)を実行する。また、指令待ちの状態で、前述の如く補充ボタン12が指令操作されて入換作業が指令されと、ステップ#M3で入換作業の指令ありと判断され、管理コントローラ17は、ステップ#M4の入換作業処理(図6)を実行する。
入庫作業処理では、図5に示すように、管理コントローラ17は、ステップ#L1で、管理している収納部1の空き情報を参照して、パレットPが収納されていない空状態の保管用収納部1Rの中から当該入庫作業において実パレットPfを搬入する保管用収納部1を一つ選択する。この場合、管理しているピッキング対象情報に基づいて、搬入対象の実パレットPfが保持している種類の物品Wがピッキング対象となっているピッキング用収納部1Dの近傍の保管用収納部1を優先して選択するようにしている。そして、管理コントローラ17は、入庫部14を搬送元とし、ステップ#L1で選択した搬入対象の保管用収納部1Rを搬送先とする搬送指令をクレーンコントローラ19に送信する。これにより、クレーンコントローラ19によりスタッカークレーン5の走行作動、昇降作動、移載作動が制御され、ステップ#L2〜ステップ#L5の如く入庫作業が進行する。クレーンコントローラ19は、ステップ#L5で搬入対象の保管用収納部1Rに対する実パレットPfの搬入が完了すると、入庫完了情報を管理コントローラ17に送信する。これにより、管理コントローラ17は、入換作業処理のサブルーチンを終了して図4のメインルーチンに復帰する。
入換作業処理では、入換対象のピッキング用収納部1Dから空パレットPeを搬出する搬出作業が行われた後、当該ピッキング用収納部1Dに実パレットPfを搬入する補充用搬入作業が行われる。図6に示すように、管理コントローラ17は、まず、ステップ#E1で、入換作業における搬出作業をスタッカークレーン5に行わせる場合に、当該搬出作業の対象となるピッキング用収納部1Dと出庫部16との相対位置関係に応じて設定される仮置作業選択条件が成立しているかどうかを判別する。そして、条件が成立していると判別すると、ステップ#E2へ移行し、仮置作業処理を実行する。これにより、当該搬出作業として、空パレットPeを収納棚2が複数備える収納部1のいずれかに搬送する仮置作業が行われる。
管理コントローラ17は、ステップ#E1で、仮置作業選択条件が成立していないと判別すると、ステップ#E3で、出庫部状態検出手段としての出庫部用在荷センサS2の検出情報に基づいて出庫部16がパレットPを受け入れ可能な状態であるか否かをチェックする。そして、出庫部16がパレットPを受け入れ可能な状態でないと検出されていると、ステップ#E3からステップ#E2に移行し、仮置作業選択条件が成立していなくても仮置作業処理を実行する。出庫部16がパレットPを受け入れ可能であれば、ステップ#E3からステップ#E4に移行して直接出庫作業処理を実行する。これにより、入換作業の搬出作業として、空パレットPeを仮置きせずに出庫部16に直接搬送する直接出庫作業が行われる。
仮置作業選択条件としては、本実施形態では、入換対象のピッキング用収納部1Dのベイ番号が境界値N以上であることを条件としている。ベイ番号は、ホームポジションHPを「0」とし、ホームポジションHPに最も近くで上下に並ぶ収納部1の列を「1」とし、以下、ホームポジションHPから収納部1の一つ分はなれると「1」だけ大きくなるように、全ての収納部列について割り振られた番号である。本実施形態では、収納棚2には、図1及び図2の左から右に向かって第1ベイ〜第30ベイまでの30が設定されている。つまり、ベイ番号は、出庫部16が位置するホームポジションHP(ベイ番号「0」)からの走行方向での距離に比例した大きさの番号となっている。
したがって、管理コントローラは、入換対象のピッキング用収納部1Dが第Nベイ以上の収納部1であれば仮置作業処理を実行し、入換対象のピッキング用収納部1Dが第(N−1)ベイ以下の収納部1であれば、直接出庫作業処理を実行する。ただし、出庫部16が受け入れ可能でなければ、直接出庫作業処理は実行されず、第Nベイ以上の収納部1でなくても、つまり、仮置作業選択条件が満たされていなくても仮置作業処理を実行する。
このように、複数の収納部1が、出庫部16からの距離に基づいて、ベイ番号が第(N−1)ベイ以下の近隣領域Znとベイ番号が第Nベイ以上の遠方領域Zfとに区分され、管理コントローラ17は、入換作業の対象となるピッキング用収納部1Dが近隣領域Zn及び遠方領域Zfのいずれに属するかを区分情報としての境界値Nに基づいて判別するように構成され、かつ、当該ピッキング用収納部1Dが遠方領域に属すると判別したときは仮置作業選択条件が成立していると判別し、当該ピッキング用収納部1Dが近隣領域に属すると判別したきは仮置作業選択条件が成立していないと判別するように構成されている。
境界値Nは、境界値入力装置22により作業者が設定する。スタッカークレーン5の搬送処理能力や入換作業の発生頻度等を考慮して、収納棚2に蓄積される空パレットPeの数量が、昼休み等のピッキング作業が中断している時間内に全数を出庫部16に出庫できる程度に抑制されるように設定すればよい。ちなみに、本実施形態では、N=15としている。
出庫部16が位置するホームポジションHPからの走行方向での距離に比例するベイ番号に基づいて、仮置作業処理を実行するかどうかを判断することで、入換対象のピッキング用収納部1Dが出庫部16に近い場合は、ピッキング作業中であっても仮置作業を行わずに、空パレットPeが出庫部16に直接出庫される。これにより、入換作業の搬出作業を行う状況において適切な搬出先に空パレットPeを搬出するようにスタッカークレーン5による入換作業を制御することで、入換作業の効率が低下することを抑制しつつ、ピッキング作業中に空パレットPeが徐々に収納棚2に仮置き状態で蓄積されることを抑制できる。
仮置作業選択条件として入換対象のピッキング用収納部1Dのベイ番号が境界値N以上であることを条件とすることで、管理コントローラは、複雑な処理を実行することなく、単純な比較演算だけの簡単な判別処理により仮置作業処理を実行するかどうかを判断できる。
管理コントローラは、図6のステップ#E2の仮置作業処理を実行すると、管理している収納部1の空き情報を参照して、パレットPが収納されていない空状態の保管用収納部1Rの中から当該入換作業において空パレットPeを仮置きする保管用収納部1を一つ選択する。この場合、仮置作業を開始してから補充用搬入作業へ極力早期に移行できるように、入換対象の空パレットPeが収納されているピッキング用収納部1Dの近傍の保管用収納部1を優先して選択するようにしている。そして、管理コントローラ17は、入換対象のピッキング用収納部1Dを搬送元とし、仮置き先として選択した保管用収納部1Rを搬送先とする搬送指令をクレーンコントローラ19に送信する。これにより、クレーンコントローラ19によりスタッカークレーン5の走行作動、昇降作動、移載作動が制御され、仮置作業が進行する。クレーンコントローラ19は、仮置き先の保管用収納部1Rに対する空パレットPeの仮置きが完了すると、仮置完了情報を管理コントローラ17に送信する。これにより、管理コントローラ17は、図6のステップ#E2の仮置作業処理のサブルーチンを終了して図6の入換作業処理のステップ#E5に移行する。
管理コントローラは、図6のステップ#E4の直接出庫作業処理を実行すると、入換対象のピッキング用収納部1Dを搬送元とし、出庫部16を搬送先とする搬送指令をクレーンコントローラ19に送信する。これにより、クレーンコントローラ19によりスタッカークレーン5の走行作動、昇降作動、移載作動が制御され、直接出庫作業が進行する。クレーンコントローラ19は、出庫部16に対する空パレットPeの出庫が完了すると、直接出庫完了情報を管理コントローラ17に送信する。これにより、管理コントローラ17は、図6のステップ#E4の直接出庫作業処理のサブルーチンを終了して図6の入換作業処理のステップ#E5に移行する。
こうして、仮置作業又は直接出庫作業が行われて、入換作業における搬出作業が完了すると、次に入換作業における補充用搬入作業を行なうが、その前に、管理コントローラ17は、ステップ#E5で、入庫作業の指令の有無をチェックする。すなわち、搬出作業中に入庫部14に入庫対象の実パレットPfが供給されているかどうかを、搬出作業完了後に入庫部用在荷センサS1の検出情報に基づいて判別する。そして、入庫部用在荷センサS1にて実パレットPfが検出されていれば、搬出作業中に入庫部14において入庫対象の実パレットPfが供給されて入庫指令が既に指令されているとして、ステップ#E6へ移行して入庫作業処理を実行する。ここで実行される入庫作業処理は、待機状態において入庫作業が指令されたときに実行される図4のステップ#M2の入庫作業処理、つまり、図5のフローチャートに示す既に説明済みの入庫作業処理と全く同じ処理であるからここでの説明は省略する。
このように、管理コントローラ17は、入換指令手段としての補充ボタン12の指令に基づいてスタッカークレーン5にて入換作業を行わせる場合において、補充ボタン12にて入換作業が指令された後、当該入換作業における搬出作業が完了するまでに、入庫部用在荷センサS1にて入庫作業が指令されたときは、当該入換作業における補充用搬入作業よりも優先して当該入庫作業を行わせるべく、スタッカークレーン5の作動を制御するように構成されている。
ステップ#E6で入庫作業が完了した後は、又は、入換作業における搬出作業が完了した後ステップ#E5で入庫作業が指令されていなければ、ステップ#E7へ移行して、入換作業における補充用搬入作業処理が実行される。
管理コントローラは、補充用搬入作業処理を実行すると、管理している収納部1の物品種別情報及びピッキング対象情報を参照して、実パレットPfを収納している保管用収納部1Rの中から当該入換作業対象のピッキング用収納部1Dにてピッキングされる物品Wと同種の物品Wを保持している実パレットPfを収納している保管用収納部1を一つ選択する。この場合、入換作業対象のピッキング用収納部1Dの近傍の保管用収納部1を優先して選択するようにしている。そして、管理コントローラ17は、選択したピッキング用収納部1Dを搬送元とし、入換作業対象のピッキング用収納部1Dを搬送先とする搬送指令をクレーンコントローラ19に送信する。これにより、クレーンコントローラ19によりスタッカークレーン5の走行作動、昇降作動、移載作動が制御され、補充用搬入作業が進行する。クレーンコントローラ19は、入換作業対象のピッキング用収納部1Dに対する実パレットPfの搬入が完了すると、補充用搬入完了情報を管理コントローラ17に送信する。これにより、管理コントローラ17は、図6のステップ#E7の補充用搬入作業処理のサブルーチンを終了して図6の入換作業処理に復帰し、そのまま、入換作業処理のサブルーチンを終了して図4のメインルーチンに復帰する。
次に、入換作業を行うスタッカークレーン5の動作について、図7及び図8を参照しながら説明する。なお、図7及び図8では、スタッカークレーン5の移載装置10の移動の様子を矢印で示している。実線の矢印はパレットP(実パレットPf又は空パレットPe)を保持している状態での移載装置10の移動を示し、仮想線の矢印はパレットPを保持していない
まず、入換作業対象のピッキング収納部1Dが第14ベイ以下で近隣領域Znに属している場合は、仮置作業選択条件が満たされていないので、原則として、図7(a)に示すように、スタッカークレーン5は、入換作業における搬出作業として直接出庫作業を行う。すなわち、入換作業を開始するスタート位置(直前の搬送作業を終えた位置)から入換作業対象のピッキング用収納部1Dに0番矢印で示す如く移動し、空パレットPeを当該ピッキング用収納部1Dから受け取り、出庫部16へ1番矢印で示す如く移動し、空パレットPeを出庫部16へ受け渡して、直接出庫作業を完了する。この時点で、実パレットPfの入庫作業が指令されていなければ、入換作業における補充用搬入作業を開始し、予備の実パレットPfが収納されている保管用収納部1Rまで2番矢印で示す如く移動して、予備の実パレットPfを受け取り、入換作業対象のピッキング用収納部1Dまで3番矢印で示す如く移動して、予備の実パレットPfを当該ピッキング用収納部1Dに受け渡して補充用搬入作業を終了する。
そして、入換作業対象のピッキング収納部1Dが第14ベイ以下で近隣領域Znに属している場合において、直接出庫作業中に入庫作業が指令されると、入換作業の補充用搬入作業よりも入庫作業を優先して行う。すなわち、入換作業における搬出作業として直接出庫作業を完了した後は、補充用搬入作業を開始せず、入庫作業を開始して、図7(b)に示すように、入換作業における搬出作業と補充用搬入作業との間に、入庫作業を割り込ませる。
これにより、スタッカークレーン5は、直接出庫作業を完了した後、出庫部16から入庫部14まで2番矢印で示す如く移動して、入庫対象の実パレットPfを受け取る。入庫部14の移載用位置と出庫部16の移載用位置とは昇降停止位置が異なるだけで走行停止位置については共通であるから、出庫部16から入庫部14へ昇降台9を上昇させるだけで入庫部14へ移動できる。実パレットPfを入庫部14で受け取った後、入庫先として選択された空状態の保管用収納部1Rまで3番矢印で示す如く移動して、入庫対象の実パレットPfを当該空状態の保管用収納部1Rに受け渡して入庫作業を完了する。入庫作業の完了後、入換作業における補充用搬入作業を開始し、予備の実パレットPfが収納されている保管用収納部1Rまで4番矢印で示す如く移動して、予備の実パレットPfを受け取り、入換作業対象のピッキング用収納部1Dまで5番矢印で示す如く移動して、予備の実パレットPfを当該ピッキング用収納部1Dに受け渡して補充用搬入作業を終了する。
入換作業対象のピッキング収納部1Dが第14ベイ以下で近隣領域Znに属している場合であっても、出庫部16が受け入れ可能な状態でないときは、仮置作業選択条件が満たされていなくても、例外的に、図8(a)に示すように、入換作業における搬出作業として仮置作業が行われる。すなわち、入換作業を開始するスタート位置から入換作業対象のピッキング用収納部1Dに0番矢印で示す如く移動し、空パレットPeを当該ピッキング用収納部1Dから受け取り、仮置き先として選択された保管用収納部1Rへ1番矢印で示す如く移動し、空パレットPeを当該保管用収納部1Rへ受け渡して、仮置作業を完了する。この時点で、実パレットPfの入庫作業が指令されていなければ、入換作業における補充用搬入作業を開始し、予備の実パレットPfが収納されている保管用収納部1Rまで2番矢印で示す如く移動して、予備の実パレットPfを受け取り、入換作業対象のピッキング用収納部1Dまで3番矢印で示す如く移動して、予備の実パレットPfを当該ピッキング用収納部1Dに受け渡して補充用搬入作業を終了する。
また、入換作業における搬出作業として仮置作業が行われる場合において、仮置作業中に入庫作業が指令されると、入換作業における搬出作業として直接出庫作業が行われる場合(図7(a)及び(b)で示す場合)と同様に、入換作業の補充用搬入作業よりも入庫作業を優先して行う。すなわち、図8(b)に示すように、入換作業における搬出作業として仮置作業を完了した後は補充用搬入作業を開始せず入庫作業を開始して、仮置作業と補充用搬入作業との間に入庫作業を割り込ませる。これにより、スタッカークレーン5は、0番矢印及び1番矢印で示す如く移動する仮置作業、2番矢印及び3番矢印で示す如く移動する入庫作業、4番矢印及び5番矢印で示す如く移動する補充用搬入作業の順に作業する。
次に、入換作業対象のピッキング収納部1Dが第15ベイ以上で遠方領域Zfに属している場合は、仮置作業選択条件が満たされているので、図9(a)に示すように、スタッカークレーン5は、入換作業における搬出作業として仮置作業を行う。すなわち、入換作業を開始するスタート位置から入換作業対象のピッキング用収納部1Dに0番矢印で示す如く移動し、空パレットPeを当該ピッキング用収納部1Dから受け取り、仮置き先として選択された保管用収納部1Rへ1番矢印で示す如く移動し、空パレットPeを当該保管用収納部1Rへ受け渡して、仮置作業を完了する。この時点で、実パレットPfの入庫作業が指令されていなければ、入換作業における補充用搬入作業を開始し、予備の実パレットPfが収納されている保管用収納部1Rまで2番矢印で示す如く移動して、予備の実パレットPfを受け取り、入換作業対象のピッキング用収納部1Dまで3番矢印で示す如く移動して、予備の実パレットPfを当該ピッキング用収納部1Dに受け渡して補充用搬入作業を終了する。
また、入換作業における搬出作業として仮置作業が行われる場合において、仮置作業中に入庫作業が指令されると、入換作業対象のピッキング収納部1Dが遠方領域Zfに属している場合(図7及び図8で示す場合)と同様に、入換作業の補充用搬入作業よりも入庫作業を優先して行う。すなわち、図9(b)に示すように、入換作業における搬出作業として仮置作業を完了した後は補充用搬入作業を開始せず入庫作業を開始して、仮置作業と補充用搬入作業との間に入庫作業を割り込ませる。これにより、スタッカークレーン5は、0番矢印及び1番矢印で示す如く移動する仮置作業、2番矢印及び3番矢印で示す如く移動する入庫作業、4番矢印及び5番矢印で示す如く移動する補充用搬入作業の順に作業する。
〔第2実施形態〕
本発明に係るピッキング設備の第2実施形態を図面に基づいて説明する。第2実施形態は、第1実施形態と仮置作業選択条件が異なるだけで、その他の構成は第1実施形態と同様であるから、以下、仮置作業選択条件を中心に説明する。
本実施形態では、仮置作業選択条件として、仮置作業予測時間が直接出庫作業予測時間よりも短いことを条件としている。ここで、仮置作業予測時間は、入換作業の対象となるピッキング用収納部1Dから入換作業における仮置作業による仮置き先として選択された保管用収納部1Rまで空パレットPeを搬送する場合に予測される所要時間である。また、直接出庫作業予測時間は、入換作業の対象となるピッキング用収納部1Dから出庫部16まで空パレットPeを搬送する場合に予測される所要時間である。これら所要時間の予測は、管理コントローラ17が演算により求める。
作業者により補充ボタン12が指令操作されて入換作業が指令されると、第1実施形態同様に図4のフローチャートに示す如く、管理コントローラ17は、入換作業処理を実行する。管理コントローラ17は、入換作業処理において、仮置作業予測時間と直接出庫作業予測時間とを比較して仮置作業予測時間が直接出庫作業予測時間よりも短ければ、仮置作業選択条件が成立していると判別するように構成されている。以下、管理コントローラ17が実行する入換作業処理における制御動作について、図10に示すフローチャートに基づいて説明する。
図10に示すように、管理コントローラ17は、まず、ステップ#E1aで仮置作業部選択処理を実行して、管理している収納部1の空き情報を参照して、パレットPが収納されていない空状態の保管用収納部1Rの中から当該入換作業において空パレットPeを仮置きする保管用収納部1を一つ選択する。
この仮置き先の保管用収納部1の選択は、空パレットPeを仮置きすることになった場合、その仮置きされた空パレットPeを後々出庫するときの出庫作業を極力短時間で行うことができるように、出庫部16に極力近い保管用収納部1を優先して選択するようにしている。例えば、図11に示すように、点線で示す空状態の保管用収納部1Rが複数あると、ベイ番号が極力小さく、出庫コンベヤ15の設置高さに極力近い保管用収納部1Rが仮置き先として選択される。
次に、ステップ#E1bで仮置作業予測時間算出処理を実行して、入換作業対象のピッキング用収納部1Dから仮置き先として選択された保管用収納部1Rまでの予測移動時間を算出して、仮置作業予測時間T1としてメモリーなどの記憶手段に記憶する。同様に、ステップ#E1cで直接出庫作業予測時間算出処理を実行して、入換作業対象のピッキング用収納部1Dから出庫部16までの予測移動時間を算出して、直接出庫作業予測時間T2としてメモリーなどの記憶手段に記憶する。
仮置作業予測時間T1は、入換作業対象のピッキング用収納部1Dから仮置き先として選択された保管用収納部1Rまで移動する場合の、スタッカークレーン5の走行台車7の走行作動時間T1h(図11参照)と昇降台9の昇降作動時間T1v(図11参照)とのうち長い方の時間が選択される。なお、走行作動時間T1hや昇降作動時間T1vは予定作動距離と作動区間に応じて設定される作動速度パターンに基づいて算出される。
直接出庫作業予測時間T2は、入換作業対象のピッキング用収納部1Dから出庫部16まで移動する場合の、スタッカークレーン5の走行台車7の走行作動時間T2そのものである(図11参照)。直接出庫作業予測時間T2において、スタッカークレーン5の昇降台9の昇降作動時間を考慮しないのは、本実施形態では、直接出庫作業においては、入換作業対象のピッキング用収納部1Dや出庫部16に対する移載動作として昇降台9を昇降作動させるが、出庫部16とピッキング用収納部1Dとが同じ高さであるため、直接出庫作業において入換作業対象のピッキング用収納部1Dから出庫部16まで移動する場合には、昇降台9を昇降作動させないからである。
なお、仮置作業を開始してから終了するまでの所要時間は、入換作業対象のピッキング用収納部1Dから仮置き先として選択された保管用収納部1Rまでの移動時間に、仮置作業を開始する位置から入換作業対象のピッキング用収納部1Dまで移動する時間や、移動後に空パレットPeを受け取る移載動作の時間や、仮置き先の保管用収納部1Rに空パレットPを受け渡す移載動作の時間を加えたものであるが、出庫部16への直接出庫作業と仮置き先の保管用収納部1Rへの仮置作業との所要時間のいずれか短いかを判別するためには、両作業における動作のうち両者で所要時間の差異が生じる特徴的部分での所要時間を比較をすれば済むため、仮置作業のうち、直接出庫作業及び仮置作業に共通する動作部分を省略した特徴的動作部分に要する時間(入換作業対象のピッキング用収納部1Dから仮置き先として選択された保管用収納部1Rまでの移動時間)を予測して、仮置作業予測時間T1としている。
また、直接出庫作業予測時間T2についても、同様の趣旨から、直接出庫作業の全体動作から直接出庫作業及び仮置作業に共通する動作を除外した特徴的動作部分に要する時間(入換作業対象のピッキング用収納部1Dから出庫部16までの移動時間)を予測して直接出庫作業予測時間T2としている。
こうして、仮置作業予測時間T1及び直接出庫作業予測時間T2を算出すると、管理コントローラ17は、ステップ#E1dで、両者の何れか短いかを比較する。仮置作業予測時間T1の方が直接出庫作業予測時間T2よりも短い場合はステップ#E2へ移行し、直接出庫作業予測時間T2の方が仮置作業予測時間T1よりも短い場合はステップ#E3へ移行する。仮置作業予測時間T1と直接出庫作業予測時間T2とが同じ時間であれば、空パレットPeの蓄積を極力抑制する観点から、直接出庫作業処理を実行できるように、ステップ#E3へ移行する。
ステップ#E2では、仮置き先の保管用収納部1Rがステップ#E1aで選択済みである点を除き、第1実施形態の仮置作業処理と同様である。つまり、管理コントローラ17は、入換対象のピッキング用収納部1Dを搬送元とし、ステップ#E1aで選択済みの仮置き先の保管用収納部1Rを搬送先とする搬送指令をクレーンコントローラ19に送信する。これにより、クレーンコントローラ19によりスタッカークレーン5の走行作動、昇降作動、移載作動が制御され、仮置作業が進行する。クレーンコントローラ19は、仮置き先の保管用収納部1Rに対する空パレットPeの仮置きが完了すると、仮置完了情報を管理コントローラ17に送信する。これにより、管理コントローラ17は、図10のステップ#E2の仮置作業処理のサブルーチンを終了して図10の入換作業処理のステップ#E5に移行する。
図10のステップ#E3〜ステップ#E7の処理は、第1実施形態の入換作業処理として説明した図6のステップ#E3〜ステップ#E7の処理と全く同じであるので説明を省略する。
〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態について説明する。
(1)上記第1及び第2実施形態では、ピッキング用収納部が収納棚の最下段に配置されたものを例示したが、収納棚におけるピッキング用収納部の配置は適宜変更可能である。
(2)上記第1及び第2実施形態では、出庫部が1つだけ設けられたものを例示したが、複数の出庫部が設けられたものでもよい。
(3)上記第1及び第2実施形態では、搬送装置がスタッカークレーンにて構成されたものを例示したが、搬送装置としては、例えば、有軌道又は無軌道の搬送台車等、適宜選択できる。
(4)上記第1及び第2実施形態では、収納棚が収納部を上下左右方向に並べた多段構造のものを例示したが、収納棚としては、収納部を左右方向にのみ並べたて構成されたものであってもよい。
(5)上記第1及び第2実施形態では、入庫作業及び入換作業のいずれも行わない場合には搬送装置が待機状態となるものを例示したが、入庫作業及び入換作業のいずれも行わない場合には、収納部としての保管用収納部に仮置きされている空状態の保持体を出庫部に出庫する単純出庫作業を行わせるべく搬送装置の作動を制御するように、制御手段を構成してもよい。この場合において、空状態の保持体を収納する収納部が複数あるときは、出庫部からの距離又は搬送時間が他のものよりも長い収納部を単純出庫対象の収納部として優先的に選択するように制御手段を構成することが好ましい。
(6)上記第1及び第2実施形態では、保持状態の保持体を収納する保管用収納部と空状態の保持体を収納する保管用収納部とが兼用されているものを例示したが、保管用収納部として、空状態の保持体を収納する仮置専用収納部を備えたものであってもよい。
(7)上記第1実施形態では、区分情報としての境界値Nが境界値入力装置22により人為操作にて変更設定されるものを例示したが、境界値Nが管理コントローラ17により自動的に変更設定されるものであってもよい。この場合、管理コントローラ17が、過去の入換作業の発生実績や、搬送装置5の搬送処理能力に応じて、境界値Nを変更するように構成してもよい。
(8)上記第1実施形態では、複数の収納部が棚横幅方向で区分けされたもの、すなわち、近隣領域と遠方領域とが、ともに棚上下方向で最下段から最上段までの収納部を含む領域であるものを例示したが、近隣領域又は遠方領域の一方が棚上下方向及び左右方向の一部に設定され、他方が残りの部分に設定されるように複数の収納部が区分けされたものであってもよい。また、出庫部が収納棚の左右方向で内方側に位置している場合、近隣領域の両側に遠方領域が設定されるように、複数の収納部が区分けされたものであってもよい。さらにまた、出庫部が収納棚2の上下方向と左右方向とで内方側に位置している場合、近隣領域と遠方領域とを出庫部を囲う状態の環状の領域としてもよい。これらの場合、区分情報としては、複数の要素を持つことになる。
(9)上記第1実施形態では、入換作業対象のピッキング用収納部のベイ数がNベイ以上であれば、入換作業の搬出作業として仮置作業を行うものを例示したが、入換作業対象のピッキング用収納部のベイ数がNベイ以上であっても、直接出庫作業予測時間の方が仮置作業予測時間よりも短い場合は直接出庫作業を行うようにしてもよい。つまり、仮置作業選択条件として、入換対象のピッキング用収納部のベイ番号が設定値以上であり、かつ、仮置作業予測時間が直接出庫作業予測時間よりも短いことを条件としてもよい。
(10)上記第2実施形態では、仮置作業予測時間が直接出庫作業予測時間よりも短ければ、入換作業の搬出作業として仮置作業を行うものを例示したが、仮置作業予測時間が直接出庫作業予測時間よりも短くても、入換作業対象のピッキング用収納部のベイ数がMベイよりも小さい場合は、直接出庫作業を行うようにしてもよい。つまり、仮置作業選択条件として、仮置作業予測時間が直接出庫作業予測時間よりも短く、かつ、入換対象のピッキング用収納部のベイ番号が設定値以上であることを条件としてもよい。なお、この場合の設定値は、第1実施形態における仮置作業選択条件の設定値と同じ値でもよいし、異なる値でもよい。
(11)上記第2実施形態では、直接出庫作業予測時間が仮置作業予測時間以下であれば、入換作業の搬出作業として原則として直接出庫作業を行うものを例示したが、直接出庫作業予測時間が仮置作業予測時間以下であっても、入換作業対象のピッキング用収納部のベイ数が設定値以上の場合は、仮置作業を行うようにしてもよい。つまり、仮置作業選択条件として、仮置作業予測時間が直接出庫作業予測時間よりも短いこと、又は、入換対象のピッキング用収納部のベイ番号が設定値以上であることを条件としてもよい。なお、この場合の設定値は、第1実施形態における仮置作業選択条件の設定値と同じ値でもよいし、異なる値でもよい。
(12)上記第2実施形態では、仮置作業予測時間T1と直接出庫作業予測時間T2とをそのまま比較しているが、これらの一方又は双方に、係数を掛けたものや、定数を加算又は減算したものを比較してもよい。
(13)上記第2実施形態では、スタッカークレーン5の走行台車7の走行作動時間であるものを例示したが、出庫部16と異なる高さにピッキング用収納部1Dを設ける場合において、直接出庫作業予測時間T2を算出するにときは、仮置作業予測時間T1と同様に、ピッキング用収納部1Dから出庫部16まで移動する場合の、スタッカークレーン5の走行台車7の走行作動時間と昇降台9の昇降作動時間とのうち長い方の時間を選択すればよい。