JP5339149B2 - 繊維状基材及び機能性フレキシブルシート - Google Patents
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Description
また、ソレノイド型微小コイルやカテーテル等のようにデバイス形状そのものが平板ではなく、円筒形状や繊維形状である場合、プロセスを展開する基板表面も立体的な場合がある。
繊維状基材表面に微細構造を加工する方法として、機械加工、MEMS製造技術、熱インプリント技術を利用した手法がある。
したがって、オン・ファイバー・デバイスのベースとなる繊維状基材には、MEMS構造のパターン以外に、織り込み時の位置決めガイド構造と、電気的接続を行う接点支持構造を形成する必要がある。
そこで、本発明は、織り込み時の確実な位置決めと電気的接続を実現した繊維状基材を提供することを目的とする。
この例では、導電性の繊維であるよこ糸Y1〜Y4には、一定間隔毎に小径とすることにより凹部が設けられ、図2に示されるように、この凹部を位置決めガイド構造として、たて糸T1〜T4が交互に織り込まれてフレキシブルシートデバイスが構成されている。
この例では、たて糸T1〜T4に、凹部でのよこ糸Y1〜Y4との交差接触部に上部電極がパターニングされており、ナノワイヤ絡み合いにより、よこ糸、たて糸両者の電気的接続が行われるようになっている。
例えば、点Xにおける電気的応答を取得するにはよこ糸Y4とたて糸T3間での信号を測定すればよい。
また、よこ糸Y1-たて糸T1、よこ糸Y1-たて糸T2、・・・・・、よこ糸Y4-たて糸T3というように時系列で走査測定することで対象とする物理、化学量の面内分布を測定することもできる。
図3は本実施例に係るモールドと成形後の繊維状基材の断面図であって、モールド表面には製織位置決めガイド構造と接点支持構造の凹凸を反転させた形状が加工されている。
繊維状基材の断面は丸、四角など様々な形状があり、位置決めガイド構造の幅は、繊維状基材の断面形状の幅と同程度、もしくはそれ以上の長さを有する。
しかし同時に位置決めガイド構造から直交繊維状基材が抜け易くもあり、パッケージング等により製織デバイスの形状保持に必要な強度を補完しないと製織デバイスに大きな力を加えられない欠点がる。
図4(a)の矩形型位置決めガイド構造には、複数の円柱構造が織り込んだ際に相互が羽目合うように配置されている。これらの微細構造により、織り込み後の繊維状基材の位置は自由度が無い状態で一義的に固定される。
実際の接点支持構造は上記の三種類を複合した形状の場合もあり、特にこれらの三種類の例示構造に拘束されるものでもない。
また、位置決めガイド構造を、たて糸及びよこ糸の両者に設けてもよい。
[実験例1:MEMS製造技術による電鋳Niモールドの作製と熱インプリントによるナイロンファイバー表面への矩形型位置決めガイド構造と接点支持構造の形成]
繊維状基材を織り込む際の位置決めガイド構造の断面形状は矩形で、ガイド構造の底面には電気的接点の支持構造として、直径5、10、20μmの円柱アレイを配列した。
これらの構造が一回の熱インプリントで繊維状基材表面に形成できるように、モールドは二段構造となっている。モールドは図5に示したように、MEMS製造技術と電鋳技術を組み合わせて作製した。
そして、次に、Si基板の一部が露出したSiO2層の表面にネガ型紫外線硬化性樹脂6(AZ5200NJ;AZ Photoresist Products)をスピン塗布して(図5(5))、上述とは別の紫外線露光用マスクによって円柱アレイ形成のためのパターンを転写した(図5(6))。
現像後の紫外線硬化性樹脂層をマスク層として、Si基板をSF6、C4F8、O2ガスによるBoschプロセスによってエッチングし、深さ10μmの円柱アレイを形成した(図5(7))。
次に、SiO2層をC4F8エッチング法によって除去した後、ACマグネトロンスパッタリング法によって厚み40nmのNi層をシード層として成膜した後、厚み2mmまでNiを電鋳した(図5(9))。
NI−273の下部荷重ステージ上には、パターン面が上を向くように電鋳Niモールドを配置した。位置決めガイド構造の幅は100μmで、凸型モールドパターンに直交するように、長さ30mmに切断した二本のナイロンファイバーをモールドパターンの上に載せた。ナイロンファイバーの上には、30mm角で厚み3mmのグラッシーカーボン(GC)板を置いた。次にGC板との距離が1mm以下になるまで上部荷重ステージを下降させた。インプリント工程では、上部荷重ステージは室温で保ち、下部荷重ステージのみ加熱した。ナイロン6やナイロン66のガラス転移温度はおおよそ50℃である。一般に、熱インプリントでは成形材料はガラス転移温度よりも20〜30℃高い温度で成形される。
この実験では、精密機械加工によって断面形状が円弧型の位置決めガイド構造用モールドパターンを作製した。
位置決めガイド構造の底面には、繊維状基材を固定するための円柱アレイが配置されている。
次に、研磨済みインコネル600基板9上に厚み150μmの無電解Ni−Pめっき層10を形成し(図7(2))、ダイシングソウDAD522(株式会社ディスコ)によって線幅160μm、高さ100μm、長さ15mmの長方形構造をNi-P層に粗加工した(図7(3))。
円弧型位置決めガイド構造と直径20μmの半球状接点支持構造が明確に転写されたことを確認した。光学顕微鏡による側面からの位置決めガイド構造の観察結果から、成形深さは21μmと測定された。
実験例1と2で作製した位置決めガイド構造と接点支持構造を付与したナイロンファイバーを用いて、ファイバー同士の織り込みを試行した。光学顕微鏡で観察しながらピンセットを用いてそれぞれのナイロンファイバーを手縫いで織り込んだ。
いずれの位置決めガイド構造と接点支持構造でも、縦と横に織り込まれたナイロンファイバーがガイド位置で明確に固定されていることが図9に示した拡大光学顕微鏡写真から確認された。なお、精密機械加工によって加工されたNi-Pモールドの円弧型位置決めガイド構造の方が、側壁が曲面であるために製織時の位置決めが容易であった。
Claims (10)
- 導電性繊維上に電気的機能素子を形成した繊維状基材と導電性の繊維状基材とからなり、
両繊維状基材をたて糸とよこ糸として織り込んだ際に交差接触する箇所の少なくとも一方に位置決めガイド構造としての凹部を形成するとともに、
前記凹部のいずれかに、前記両繊維状基材を結合する結合手段、及び、両繊維状基材を電気的に接続する電気的接続手段を配設することにより、前記交差接触する箇所のいずれかで、前記両繊維状基材間の結合及び電気的接続が行われるようにした繊維状基材。 - 導電性繊維上に電気的機能素子を形成した複数の繊維状基材からなり、
これらの繊維状基材をよこ糸とたて糸として織り込んだ際に交差接触する箇所の少なくとも一方に位置決めガイド構造としての凹部を形成するとともに、
前記凹部のいずれかに、前記両繊維状基材を結合する結合手段、及び、両繊維状基材を電気的に接続する電気的接続手段を配設することにより、前記交差接触する箇所のいずれかで、前記繊維状基材間の結合及び電気的接続が行われるようにした繊維状基材。 - 前記凹部は、前記交差接触する箇所において、双方の繊維状基材に設けられ、前記結合手段が、互いに嵌合する凹凸部からなる請求項1または2に記載の繊維状基材。
- 前記凹凸部は、前記交差接触する箇所において、双方の繊維状基材に互い違いに形成された円柱構造からなり、該円柱構造が互いに嵌め合い、両者を固定するように構成された請求項3に記載の繊維状基材。
- 前記凹凸部は、一方の繊維状基材に形成されたライン/スペース構造と、他方の繊維状基材に形成された円柱構造からなり、これらが互いに嵌め合い、ライン/スペース構造の軸方向にスライド自在に構成された請求項3に記載の繊維状基材。
- 前記凹凸部は、一方の繊維状基材に形成されたリング構造と、他方の繊維状基材に形成された円柱構造からなり、これらが互いに嵌め合い回転方向に自由度を持つよう構成された請求項3に記載の繊維状基材。
- 前記電気的接続手段は、前記交差接触する箇所において成膜した導体層からなる請求項1ないし6に記載の繊維状基材。
- 前記電気的接続手段は、前記凹部において前記繊維状基材が交差接触する箇所において、繊維状基材にパターニングされた電極を、ナノワイヤによる絡み合いにより電気的に接続するものである請求項1ないし6に記載の繊維状基材。
- 前記凹凸部は、繊維状基材表面に凹凸が反転したパターンを有するモールドを加熱して押し付ける、ホットエンボッシング、熱インプリント、室温でのプレス加工のいずれかの方法によって形成した請求項3ないし8に記載の繊維状基材。
- 請求項1ないし9に記載の繊維状基材を織り込んでなる機能性フレキシブルシート。
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