JP5338545B2 - 車両の車体構造及び車両の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、車両側部で前後方向に延びるサイドフレームの端部に、クラッシュボックスを介してバンパービームが取付けられる車両の車体構造及び車両の製造方法に関する。
従来より、車両側部で前後方向に延びるサイドフレームの構造としては、例えば、フロアパネルの下面部に対し下方から断面ハット状の部材を結合させることにより閉断面を形成するものが知られている(下記特許文献1参照)。
特開2006−273126号公報
しかしながら、フロアパネルは比較的薄肉なものが使用される場合が多い。このため、前記特許文献1に開示されているような従来構造では、断面ハット状部材とによって閉断面を形成したとしても、サイドフレームの強度としては必ずしも十分ではなかった。
そこで、近年では、下側に開放された上側断面ハット状部材と、上側に開放された下側断面ハット状部材との接合によって前記閉断面を形成したものが提案されている。
この場合、上下の断面ハット状部材を用いることにより、前期特許文献1に開示された従来構造とは異なり、閉断面の角部が、上部で2箇所、下部で2箇所形成され、合計4箇所の角部を形成することができる。このように、閉断面の角部を増加させことで、サイドフレームの強度向上を図ることができる。
しかしながら、上述のように上下の断面ハット状部材によってサイドフレームを構成したものであっても、その強度は、軽衝突時の車体のダメージを低減するには必ずしも十分ではなかった。
また、サイドフレームの端部には、圧縮変形により車両衝突時の衝撃を吸収するクラッシュボックスを介してバンパービームが取付けられている。バンパービームには、車両牽引時またはタイダウン(固定)時にフックが設けられてワイヤ先端部と係合されることがあり、この時、バンパービームを含むサイドフレーム端部周辺には、ワイヤの引張力によって大きな荷重が作用する。
このため、バンパービームを含むサイドフレーム端部周辺は、車両牽引時やタイダウン時に車体が変形しないように、ワイヤの引張力に対する強度を高める必要がある。
この発明は、軽衝突時における車体のダメージを低減すること、また、バンパービームにフックが設けられる場合には、車両牽引時やタイダウン時におけるサイドフレーム端部周辺の変形を抑制することができる車両の車体構造及び車両の製造方法を提供することを目的とする。
この発明の車両の車体構造は、車両側部で前後方向に延びるサイドフレームの端部に、クラッシュボックスを介してバンパービームが取付けられる車両の車体構造であって、前記サイドフレームが、前後方向に延びて下側に開放された上側断面ハット状部材と、前後方向に延びて上側に開放された下側断面ハット状部材とを接合して閉断面を成すように構成されるとともに、前記クラッシュボックスを固定するフランジ部材が、前記サイドフレームの端部で上下方向に延びるフランジ部と、前記サイドフレームの端部で車両前後方向に延びて、前記上側、下側断面ハット状部材の間に挟持される被挟持部とから構成されるものである。
この構成によれば、サイドフレームの車幅方向両端部が、被挟持部によって橋渡されるような構成となる。このようにすることで、サイドフレームは、フランジ部材によって補強されることになり、その結果、軽衝突時における車体のダメージを低減させることができる。
また、車両の牽引時やタイダウン時に、その時に使用されるワイヤ等がバンパービームを引張ることとなる場合には、バンパービームを含むサイドフレームの後端部周辺には大きな荷重が作用する。
この構成によれば、上側、下側断面ハット状部材の間に挟持され被挟持部が、クラッシュボックス介してバンパービームに結合されるため、サイドフレームの後端部周辺をフランジ部材で補強することができる。これにより、バンパービームにフックが設けられる場合には、車両の牽引時やタイダウン時における車体の変形を抑制できる。
この発明の一実施態様においては、前記フランジ部材が、前記フランジ部を有する上側フランジ部材と下側フランジ部材とにより構成されており、前記上側、下側フランジ部材のうち、少なくともいずれか一方が、断面L字状を成すとともに、前記被挟持部を有して前記上側、下側断面ハット状部材のいずれか一方の端部に結合され、前記上側、下側フランジ部材のうち、他方が前記上側、下側断面ハット状部材の他方の端部に結合されるものである。
この構成によれば、車両の製造において、上側フランジ部材を上側断面ハット状部材、下側フランジ部材を下側断面ハット状部材にそれぞれ予め結合することにより、部品の複雑な移動を伴うことなく、しかも製造工程における部材同士の干渉を回避することができる。
この発明の一実施態様においては、前記上側、下側断面ハット状部材のいずれか一方の端部に、上下方向に延びる縦フランジ部が設けられ、前記フランジ部材とともに締結部材を介して前記クラッシュボックスを支持するように構成されているものである。
この構成によれば、上側断面ハット状部材とフランジ部材との協働によって前記補強の効果をより向上させることができる。
この発明の一実施態様においては、前記上側、下側断面ハット状部材のいずれか一方の端部が、他の部位よりも肉厚な端部部材により構成されており、前記被挟持部が、前記端部部材と、前記上側、下側断面ハット状部材の他方との間に挟持されているものである。
この構成によれば、サイドフレーム全体の重量増加を抑制しながら、上述した補強の効果を向上させることができる。そして、上側断面ハット状部材全体の肉厚化を回避することで、大きな荷重が作用した時に潰れ変形が阻害されることを抑制でき、荷重エネルギー吸収を確実に行うことができる。
この発明の一実施態様においては、前記端部部材に、車幅方向に延びる横フランジ部が設けられ、該横フランジ部が、フロアパネルと結合されるものである。
この構成によれば、端部部材を、フランジ部材と重ならない位置でフロアパネルと接合することができる。これにより、溶接性を確保しながら、フロアパネルとの協働によってさらに補強することができる。
この発明の一実施態様においては、前記端部部材の端部に、上下方向に延びる縦フランジ部が設けられ、該縦フランジ部が、車体の壁面を構成するパネル部材と結合されるものである。
この構成によれば、クラッシュボックスが取付けられるサイドフレームの端部周辺をパネル部材との協働によってさらに補強することができる。
この発明の車両の製造方法は、車両側部で前後方向に延びるサイドフレームの端部に、クラッシュボックスを介してバンパービームが取付けられ、前記クラッシュボックスを固定するフランジ部材が、上下方向に延びるフランジ部を有する上側フランジ部材及び下側フランジ部材により構成される車両の製造方法であって、前記上側、下側フランジ部材のうち、断面L字状を成し、前記フランジ部及び車両前後方向に延びる被挟持部を有する一方を、車両前後方向に延びて下側に開放された上側断面ハット状部材、前後方向に延びて上側に開放された下側断面ハット状部材のうちいずれか一方の端部に予め結合する工程と、前記上側、下側フランジ部材の他方を、前記上側、下側断面ハット状部材の他方の端部に予め結合する工程と、前記上側、下側断面ハット状部材により前記被挟持部を挟持しながら、閉断面を形成するように、前記上側、下側断面ハット状部材を接合して、前記サイドフレームを形成する工程とからなるものである。
この構成によれば、車両の製造において、上側フランジ部材を上側断面ハット状部材、下側フランジ部材を下側断面ハット状部材にそれぞれ予め結合することにより、部品の複雑な移動を伴うことなく、しかも製造工程における部材同士の干渉を回避することができる。
この発明によれば、サイドフレームの車幅方向両端部が、被挟持部によって橋渡されるような構成となるため、サイドフレームを、フランジ部材によって補強することができる。これにより、車両後部の軽衝突時における車体へのダメージを低減させることができる。
また、上側、下側断面ハット状部材の間に挟持される被挟持部が、クラッシュボックス介してバンパービームに結合されるため、サイドフレームの後端部周辺をフランジ部材で補強することができる。これにより、バンパービームにフックが設けられる場合には、車両の牽引時やタイダウン時における車体の変形を抑制できる。
この発明の実施形態に係る車両の車体構造を示す斜視図。 この発明の実施形態に係る車両の車体構造を示す平面図。 リヤサイドフレーム後端部の周辺を示す斜視図。 装着部材とフック係合部材との係合状態を示す側断面図。 クラッシュボックス、プレート部材等を取外した状態で、リヤサイドフレームの後端部周辺を車両後方から見た時の斜視図。 リヤサイドフレームの後端部周辺を車両前方から見た時の斜視図。 図6のA−A線矢視断面図。 図7のB−B線矢視断面図。 図7のC−C線矢視断面図。 図7のD−D線矢視断面図。 図7のE−E線矢視断面図。 フランジ部材を一体で形成した場合の、車両製造時における問題点を説明するための図。 本発明に係る車両の製造方法を説明するための図であり、(a)上側断面ハット状部材を含む上側部品の製造工程を説明するための側断面図、(b)下側断面ハット状部材を含む下側部品の製造工程を説明するための側断面図。 上側断面ハット状部材を含む上側部品の製造工程を説明するための斜視図。 下側断面ハット状部材を含む下側部品の製造工程を説明するための斜視図。 図13、14に示す製造工程で製造された上側部品、下側部品の接合工程を説明するための側断面図。 この発明の他の実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図。 この発明のさらに他の実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両の車体構造を示す斜視図であり、図2は、同平面図である。図1、図2に示すように、本実施形態に係る車両1の車体後部では、左右一対のリヤサイドフレーム2、2が車両前後方向に延設されており、両者の間には、車体後部の底部を形成するフロアパネル3が配設されている。なお、図中において矢印(F)は車体前方、矢印(R)は車体後方を示す。
フロアパネル3は、前側のパネル部材31と後側のパネル部材32とにより構成され、パネル部材31の後端部とパネル部材32の前端部とが接合されている。また、この両パネル部材31、32の接合部近傍では、図1に示すように、リヤサイドフレーム2、2間にて車幅方向に延設されたクロスメンバ(いわゆるNo.4クロスメンバ)4が配設されている。
また、リヤサイドフレーム2の後部側方には、車幅方向外側に延出するフロアサイドパネル5、5が配設されている。そしてリヤサイドフレーム2の後端部では、車両1の後部壁面を構成するリヤエンドパネル6が、車幅方向に延在するように配設されている。
リヤエンドパネル6では、リヤサイドフレーム2、2の後端部に対応する位置に、管状のクラッシュボックス7が固定されている。クラッシュボックス7の前端部は、ボルト8、ナット9によりプレート部材10を介して車体に取付けられている。
一方、クラッシュボックス7の後端部には、車幅方向に延在するバンパービーム11の両端部が固定されており、バンパービーム11は、左右一対のクラッシュボックス7を橋渡すように配設されている。
ここで、例えば、車両1の後突等によりバンパービーム11に荷重が作用した時には、クラッシュボックス7が車両前後方向に圧縮変形することによって、前記荷重を吸収するようになっている。
図3は、リヤサイドフレーム2後端部の周辺を示す斜視図であり、図4は、装着部材12とフック係合部材13との係合状態を示す側断面図である。バンパービーム11は、図3、図4に示すように、インナパネル11a、アウタパネル11bによって車幅方向に延びる閉断面を形成している。そして、このバンパービーム11の一部には、前記閉断面を貫通するようにして前後方向に延びる筒状の装着部材12が取付けられている。
装着部材12は、その後端部がアウタパネル11bから突出した状態で固定されるとともに、内周面には雌ネジ部12aが形成されている。これにより、装着部材12は、図3、図4に示すように、雄ネジ部13aと環状の被係合部13bとが形成されたフック係合部材13を装着可能としている。
具体的には、装着部材12の雌ネジ部12aとフック係合部材13の雄ネジ部13aとを螺合させることにより、フック係合部材13をバンパービーム11から突出させた状態で車体に装着することができる。この場合、図4に示すようなフック14aを設けて専用のワイヤ14を被係合部13bに係合させることが可能になり、これによって、車両の牽引やタイダウンが可能になる。
ところで、リヤサイドフレーム2とバンパービーム11との間に介在するクラッシュボックス7の取付け構造についてさらに詳しく見てみると、本実施形態では、クラッシュボックス7の前端部がプレート部材10に接合されており、さらに、このプレート部材10は、ボルト8、ナット9により、図3に示すように上下2分割で構成されたフランジ部材15に締結固定されている。
図5は、クラッシュボックス7、プレート部材10等を取外した状態で、リヤサイドフレーム2の後端部周辺を車両後方から見た時の斜視図であり、図6は、リヤサイドフレーム2の後端部周辺を車両前方から見た時の斜視図である。フランジ部材15は、図示のように、上側フランジ部材15aと下側フランジ部材15bとにより上下2分割で構成されており、それぞれ2本のボルト8が車両後方に突出した状態で挿通されている。
このうち、上側フランジ部材15aは、図6に示すように、側面視で断面L字状を成しており、リヤサイドフレーム2の後端部で上下方向に延びてボルト8が挿通された縦フランジ部15cと、該縦フランジ部15cの下端部から車両前方に延びる被挟持部15dとを有している。
また、上側フランジ部材15aでは、縦フランジ部15cが、ボルト8、ナット9(図1等参照)により、リヤサイドフレーム2の後端上部に締結されるとともに、溶接により直接接合されている。
一方、下側フランジ部材15bは、略平板状を成しており、これ自身が縦フランジ部を構成している。また、下側フランジ部材15bは、リヤサイドフレーム2の後端下部に直接接合されている。
このような構成により、クラッシュボックス7は、その前端部がプレート部材10、フランジ部材15を介してリヤサイドフレーム2の後端部に支持されている。そして、バンパービーム11は、左右一対のクラッシュボックス7を介してリヤサイドフレーム2に取付けられている。
図7は、図6のA−A線矢視断面図であり、図8〜図11は、それぞれ図7のB−B線矢視断面図、C−C線矢視断面図、D−D線矢視断面図、E−E線矢視断面図である。なお、図7中において矢印(IN)は車体内方、矢印(OUT)は車体外方を示す。
本実施形態では、リヤサイドフレーム2が、図5、及び図7〜図11に示すように、車両前後方向に延びて下側に開放された上側断面ハット状部材21と、車両前後方向に延びて上側に開放された下側断面ハット状部材22とを接合して閉断面23を成すように構成されている。
また、上側断面ハット状部材21は、本体21Aと、該本体21Aよりも肉厚に成形された後端部の端部部材21Bとにより構成されており、本体21Aの後端部と端部部材21Bの前端部とが接合され一体化されている。
また、上側断面ハット状部材21の本体21A、端部部材21Bには、上方に突出する中央面部21a、21bが形成される一方、下側断面ハット状部材22には、下方に突出する中央面部22aが形成されている。そして、各ハット状部材21A、21B、22の車幅方向両端部には、車幅方向内外に延びるフランジ部21c、21d、22bが形成されている。
また、端部部材21Bでは、フランジ部21dの後端部から上方に延びる縦フランジ部21eが設けられている。
リヤサイドフレーム2では、互いに対向するフランジ部21c、21dとフランジ部22bとが、図9、図10にて×印で示す位置で接合されることにより上側断面ハット状部材21と下側断面ハット状部材22とが一体化されている。
また、フランジ部21c、21d、22bは、その車幅方向外側でフロアサイドパネル5に接合される一方、車幅方向内側では、図10にて×印で示す位置でパネル部材32に接合されている。そして、縦フランジ部21eは、リヤエンドパネル6及び上側フランジ部材15aの縦フランジ部15cに接合されている。
ところで、フランジ部材15を構成する上側フランジ部材15aの被挟持部15dは、図7〜図11に示すように、リヤサイドフレーム2の上側、下側断面ハット状部材21、22の間に配設され、端部部材21Bのフランジ部21dと、下側断面ハット状部材22のフランジ部22bとの間に挟持されている。そして、これら被挟持部15d、フランジ部21d、22bは、図9、図10にて×印で示す位置で互いに接合されている。
また、上側フランジ部材15aでは、縦フランジ部15cが、端部部材21Bの縦フランジ部21e及びリヤエンドパネル6に接合されている。
そして、縦フランジ部15cは、図8〜図11に示すように、ボルト8、ナット9により、縦フランジ部21e、リヤエンドパネル6、及びプレート部材10と締結されている。これにより、縦フランジ部21eは、縦フランジ部15cとともに、ボルト8、ナット9を介してクラッシュボックス7前端部を支持している。
一方、下側断面ハット状部材22の後端部に接合された下側フランジ部材15bは、ボルト8、ナット9により、リヤエンドパネル6、及びプレート部材10と締結されている。
次に、端部部材21Bについて見てみると、その前端部は、図6、図8〜図11に示すように、本体21Aの後端部を覆うように配置されている。そして、中央面部21a、21bが図8にて×印で示す位置で接合されるとともに、フランジ部21c、21dが図9、図10にて×印で示す位置で接合されている。
また、フランジ部21c、21dの中央面部21a、21b寄りの位置では、図9に示すように、3枚重ねのフランジ部21c、21d、22bが接合され、フランジ部21c、21dの端部寄りの位置では、図10に示すように、フランジ部21c、21dのみがパネル部材32に接合されている。これは、許容範囲を超える多数枚のパネル部材が重なっていることにより溶接性が損なわれること防止するためであり、本実施形態では、溶接性を確保できる板状部材の許容枚数を3枚としている。
また、端部部材21Bでは、フランジ部21dが、図5、図6に示すように、本体21Aのフランジ部21cよりも車幅方向において幅広に設定されており、フランジ部21d及び縦フランジ部21eが、図11にて×印で示す位置でパネル部材32の後端部と接合されている。
具体的には、上述した溶接性の理由により、パネル部材32の後端部が上側フランジ部材15aと重ならないように、図2、図3、及び図5〜図7に示すような切欠き部32aが形成されている。そして、フランジ部21d、縦フランジ部21eは、上側フランジ部材15aから車両前方及び車幅方向に離間した切欠き部32aの縁部に接合されている。
本実施形態では、上述したように、上側、下側断面ハット状部材21、22の接合によって閉断面23を成すリヤサイドフレーム2を構成していることにより、閉断面23の角部が、上部で2箇所、下部で2箇所形成され、合計4箇所の角部を形成できる。このため、リヤサイドフレーム2の強度の向上を図ることができる。
さらに、このような構成を有するリヤサイドフレーム2を備えたものにおいて、クラッシュボックス7を固定するためのフランジ部材15に被挟持部15dを設け、これを上側、下側断面ハット状部材21、22の間に挟持させることにより、リヤサイドフレーム2の車幅方向両端部が、図7に示すように、被挟持部15dによって橋渡されるような構成となっている。このようにすることで、リヤサイドフレーム2は、フランジ部材15によって補強されることになり、その結果、車両1後部の軽衝突時における車体のダメージを低減させることができる。
また、車両1の牽引時やタイダウン時において、装着部材12にフック係合部材13を装着し、これをワイヤ14のフック14aに係合した時、ワイヤ14が、図8にて二点鎖線で示す矢印αの方向にバンパービーム11を引張ることとなる場合には、バンパービーム11を含むリヤサイドフレーム2の後端部周辺は、図中矢印βで示すように後方かつ下方の荷重を受ける。
本実施形態では、断面ハット状部材21、22の間に挟持され被挟持部15dが、クラッシュボックス7やプレート部材10を介してバンパービーム11に結合されているため、リヤサイドフレーム2の後端部周辺部をフランジ部材15で補強することができる。これにより、バンパービーム11にフック14aが設けられる場合には、車両1の牽引時やタイダウン時における車体の変形を抑制することができる。
また、端部部材21Bの縦フランジ部21eが、上側フランジ部材15aの縦フランジ部15cとともにボルト8、ナット9を介してクラッシュボックス7前端部を支持しているため、上側断面ハット状部材21とフランジ部材15との協働によって前記補強の効果をより向上させることができる。
また、上側断面ハット状部材21に関し、その後端部を他(本体21A)よりも肉厚な端部部材21Bで構成していることにより、リヤサイドフレーム2全体の重量増加を抑制しながら、上述した補強の効果を向上させることができる。そして、上側断面ハット状部材21全体の肉厚化を回避することで、大きな荷重が作用した時に潰れ変形が阻害されることを抑制でき、荷重エネルギー吸収を確実に行うことができる。
また、端部部材21Bに車幅方向に延びるフランジ部21dを設けたことにより、端部部材21Bを、上側フランジ部材15aと重ならない位置でパネル部材32と接合することができる。これにより、溶接性を確保しながら、パネル部材32との協働によってさらに補強することができる。
また、端部部材21の縦フランジ部21eをリヤエンドパネル6に結合したことにより、クラッシュボックス7が取付けられるリヤサイドフレーム2の後端部周辺をリヤエンドパネル6との協働によってさらに補強することができる。
ところで、本実施形態のように、リヤサイドフレーム2を上側、下側断面ハット状部材21、22によって上下2分割に構成する場合、例えば、フランジ部材を、図12に示すフランジ部材15′のように単一の板状部材によって構成することも考えられる。しかしながら、このような構成にすると、車両1の後部を製造する際、以下に述べるような問題が発生する。
例えば、この場合、図12に示すように、上側、下側断面ハット状部材21、22のいずれか(図示では、下側断面ハット状部材22)に予めフランジ部材15′を結合しておき、その後の工程で上側、下側断面ハット状部材21、22を接合することが考えられる。しかしながら、このような製造方法では、図12(a)に示すように、上側断面ハット状部材21の後端部を下側断面ハット状部材22の後端部に向かって真っ直ぐ下降させた時、予めフランジ部材15′に挿通したボルト8の頭部が、図12(b)に示すように上側断面ハット状部材21の後端部と干渉してしまう。
そこで、本実施形態では、上述したように、フランジ部材15を上下2分割に構成し、上側フランジ部材15aを上側断面ハット状部材21、下側フランジ部材15bを下側断面ハット状部材22にそれぞれ接合している。
次に、図13〜図16を参照しながら、本実施形態に係る車両1の製造方法について説明する。
先ず、図13(a)に示すように、本体21Aの後端部と端部部材21Bの前端部とを接合し、上側断面ハット状部材21を完成させる。そして、この上側断面ハット状部材21の端部部材21Bに対して上側フランジ部材15aを予め接合し、図14に示すように、各縦フランジ部21e、15cのボルト孔にボルト8を挿通させておく。なお、この工程では、図14に示すように、左右一対の上側断面ハット状部材21に対し、フロアサイドパネル5を予め接合し、かつ上側断面ハット状部材21を橋渡すようにフロアパネル3(パネル部材31、32)や、上側断面ハット状部材41等を予め接合しておく。
一方、下側フランジ部材15bでは、図13(b)に示すように、そのボルト孔にボルト8を挿通しておき、これを、図15に示すように下側断面ハット状部材22の後端部に予め接合しておく。なお、この工程では、図15に示すように、左右一対の下側断面ハット状部材22に対し、これらを橋渡すように下側断面ハット状部材42、16等を予め接合しておく。
次に、図13(a)及び図14に示す工程で製造された上側の部品と、図13(b)及び図15に示す工程で製造された下側の部品とを、図16に示すように対向配置する。そして、前記上側の部品を真っ直ぐ下降させながら両部品を当接させ、フランジ部21d、22bにより被挟持部15dを挟持しながら、閉断面23(図7、8参照)を形成するように、フランジ部21c、21dとフランジ部22bとを接合する。
この後、上側断面ハット状部材41と下側断面ハット状部材42とが接合され、これによりクロスメンバ4が形成される。そして、下側断面ハット状部材16とパネル部材32とが接合され、これによりいわゆるNo.5クロスメンバが形成される。
このように、断面L字状を成す上側フランジ部材15aと下側フランジ部材15bとにより上下2分割でフランジ部材15を構成するものとし、上側フランジ部材15aを上側断面ハット状部材21、下側フランジ部材15bを下側断面ハット状部材22にそれぞれ予め接合することにより、部品の複雑な移動を伴うことなく、しかも製造工程における部材同士の干渉を回避することができる。
ところで、上述した実施形態では、上側フランジ部材15aを断面L字状にして被挟持部15dを形成することとしたが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、上下の少なくとも一方のフランジ部材がL字状をなしていればよい。
例えば、図17に示すフランジ部材55のように、下側フランジ部材55bをL字状にして、そこに被挟持部55dを形成するようにしてもよい。なお、図17において、図1〜図11、及び図13〜図16に示す最初の実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
図17では、上側、下側フランジ部材55a、55bにより上下2分割に構成されたフランジ部材55を設けており、そのうち上側フランジ部材55aは略平板状を成す一方で、下側フランジ部材55bが側面視で断面L字状とされ、縦フランジ部55c及び被挟持部55dを有している。
また、リヤサイドフレーム60は、上側、下側断面ハット状部材61、62の接合により閉断面63を成すように構成されている。本実施形態では、上側断面ハット状部材61が単一の部材で構成される一方で、下側断面ハット状部材62は、本体62Aと、本体62Aよりも肉厚に成形された後端部の端部部材62Bとにより構成されている。
そして、本実施形態においても、上側、下側断面ハット状部材61、62の間に下側フランジ部材55bの被挟持部55dが挟持されている。これにより、図1〜図11、及び図13〜図16に示す最初の実施形態と同様、リヤサイドフレーム60を、フランジ部材55によって補強することができ、車両1後部の軽衝突時における車体のダメージを低減させることができる。
また、リヤサイドフレーム2の後端部周辺をフランジ部材55で補強することができる。これにより、車両1の牽引時やタイダウン時には、車体1の変形を抑制することができる。
なお、本発明は、上下のフランジ部材の一方のみを断面L字状とすることにも限定されない。例えば、上下のフランジ部材の双方を断面L字状とし、これらを上下対称に配置するようにしてもよい。
また、本発明は、フランジ部材を上下2分割に構成することに必ずしも限定されない。例えば、車両1の製造方法において支障がなければ、図18に示すフランジ部材75のように、これを側面視で断面T字状を成すように構成してもよい。なお、図17において、図1〜図11、及び図13〜図16に示す最初の実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
図18では、リヤサイドフレーム2の後端部で上下方向に延びる縦フランジ部75aと、その途中で前方に向かって延びる被挟持部75bとが一体的に形成されたフランジ部材75を設けている。そして、本実施系形態においても、上側、下側断面ハット状部材21、22の間にフランジ部材75の被挟持部75bが挟持されている。
このような構成であっても、上述した補強を同様に行うことができ、車両1後部の軽衝突時における車体へのダメージを低減させ、さらには、車両1の牽引時やタイダウン時には、車体1の変形を抑制することができる。
また、上述した各実施形態では、車両後部のリヤサイドフレームに本発明を適用した場合について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、車両前部に本発明を適用してもよい。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、締結部材は、ボルト8、ナット9に対応し、
以下同様に、
横フランジ部は、フランジ部21dに対応し、
車体の壁面を構成するパネル部材は、リヤエンドパネル6に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
2、60…リヤサイドフレーム
3…フロアパネル
6…リヤエンドパネル
7…クラッシュボックス
8…ボルト
9…ナット
11…バンパービーム
15、55、75…フランジ部材
15a、55a…上側フランジ部材
15b、55b…下側フランジ部材
15c、55c、75a…縦フランジ部
15d、55d、75b…被挟持部
21、61…上側断面ハット状部材
21B、62B…端部部材
21d…フランジ部
21e…縦フランジ部
22、62…下側断面ハット状部材
23、63…閉断面

Claims (7)

  1. 車両側部で前後方向に延びるサイドフレームの端部に、クラッシュボックスを介してバンパービームが取付けられる車両の車体構造であって、
    前記サイドフレームが、
    前後方向に延びて下側に開放された上側断面ハット状部材と、
    前後方向に延びて上側に開放された下側断面ハット状部材とを接合して閉断面を成すように構成されるとともに、
    前記クラッシュボックスを固定するフランジ部材が、
    前記サイドフレームの端部で上下方向に延びるフランジ部と、
    前記サイドフレームの端部で車両前後方向に延びて、前記上側、下側断面ハット状部材の間に挟持される被挟持部とから構成される
    車両の車体構造。
  2. 前記フランジ部材は、前記フランジ部を有する上側フランジ部材と下側フランジ部材とにより構成されており、
    前記上側、下側フランジ部材のうち、少なくともいずれか一方が、断面L字状を成すとともに、前記被挟持部を有して前記上側、下側断面ハット状部材のいずれか一方の端部に結合され、
    前記上側、下側フランジ部材のうち、他方が前記上側、下側断面ハット状部材の他方の端部に結合される
    請求項1記載の車両の車体構造。
  3. 前記上側、下側断面ハット状部材のいずれか一方の端部に、上下方向に延びる縦フランジ部が設けられ、
    前記フランジ部材とともに締結部材を介して前記クラッシュボックスを支持するように構成されている
    請求項1または2記載の車両の車体構造。
  4. 前記上側、下側断面ハット状部材のいずれか一方の端部が、他の部位よりも肉厚な端部部材により構成されており、
    前記被挟持部が、前記端部部材と、前記上側、下側断面ハット状部材の他方との間に挟持されている
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両の車体構造。
  5. 前記端部部材には、車幅方向に延びる横フランジ部が設けられ、
    該横フランジ部が、フロアパネルと結合される
    請求項4記載の車両の車体構造。
  6. 前記端部部材の端部に、上下方向に延びる縦フランジ部が設けられ、
    該縦フランジ部が、車体の壁面を構成するパネル部材と結合される
    請求項5記載の車両の車体構造。
  7. 車両側部で前後方向に延びるサイドフレームの端部に、クラッシュボックスを介してバンパービームが取付けられ、
    前記クラッシュボックスを固定するフランジ部材が、上下方向に延びるフランジ部を有する上側フランジ部材及び下側フランジ部材により構成される車両の製造方法であって、
    前記上側、下側フランジ部材のうち、断面L字状を成し、前記フランジ部及び車両前後方向に延びる被挟持部を有する一方を、車両前後方向に延びて下側に開放された上側断面ハット状部材、前後方向に延びて上側に開放された下側断面ハット状部材のうちいずれか一方の端部に予め結合する工程と、
    前記上側、下側フランジ部材の他方を、前記上側、下側断面ハット状部材の他方の端部に予め結合する工程と、
    前記上側、下側断面ハット状部材により前記被挟持部を挟持しながら、閉断面を形成するように、前記上側、下側断面ハット状部材を接合して、前記サイドフレームを形成する工程とからなる
    車両の製造方法。
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