JP5335965B2 - 駆動装置、露光装置及びデバイス製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、光学素子などの物体を駆動する駆動装置に関する。
フォトリソグラフィー(焼き付け)技術を用いて半導体メモリーや論理回路などの微細な半導体デバイスを製造する際に、露光装置が従来から使用されている。露光装置は、レチクル(原版)に描画された数多くの異なる種類のパターン(回路パターン)をシリコンウエハ等(基板)に転写する。
近年では、半導体デバイスの高集積化に伴って、ウエハに転写するパターンが微細化されてきているため、露光装置では、波面収差やディストーションの少ない(即ち、優れた解像性能を有する)投影光学系が要求されている。また、高集積化された半導体デバイスを製造するためには、投影光学系の解像性能だけではなく、重ね合わせ精度(ウエハにパターンを幾つか重ね合わせる際の精度)も重要な要件であり、重ね合わせ精度の向上も要求されている。
このような要求を満足するために、レンズ等の光学素子を正確に位置決めされた状態(光学設計を満足する状態)で投影光学系に組み込む必要がある。また、露光装置の使用時の変動(露光による熱の影響や気圧変動の影響など)に応じて、投影光学系内の光学素子の位置を調整する必要もある。なお、投影光学系においては、光学素子を保持した枠体を積み重ねる際に、かかる枠体の位置を調整することによって、光学素子の位置決めが行われている。但し、このような光学素子の位置決めは、枠体の位置調整に細心の注意を払う必要があり、著しく手間がかかってしまう。
そこで、投影光学系において、容易、且つ、高精度に光学素子の位置決め及び位置調整を行うことができる駆動機構(調整機構)が提案されている(特許文献1参照)。かかる駆動機構は、光学素子の円周上の3箇所に等間隔で配置され、例えば、積層圧電素子のような直動アクチュエータを用いて光学素子を上下方向(Z方向)及び傾斜方向(θx方向、θy方向)に駆動することができる。また、基本的には、図9に示すように、光学素子OEの変位を測定する変位センサCDをZ方向に配置し、かかる測定結果を直動アクチュエータDAにフィードバックすることで、光学素子OEの3方向(Z方向、θz方向、θy方向)の位置を制御することができる。図9は、従来の駆動機構による光学素子の位置決めの制御を模式的に示す図である。
更に、近年では、Z方向に対して、より長いストロークで、且つ、高精度に光学素子の位置決め及び位置調整を行うことができる駆動機構の開発が望まれている。
しかしながら、従来の駆動機構では、Z方向のストロークを増加させると、必然的にθz方向及びθy方向への駆動量も増加するため、必要以上に光学素子が傾斜(チルト)してしまう可能性がある。その結果、光学素子とセルとを結合している接着材の応力限界を超え、光学素子がセルから剥がれたり(又は光学素子が破損したり)、セルに力が加わって塑性変形を引き起こしたりしてしまう。
また、変位センサを用いて光学素子のチルトを制限(制御)することも考えられるが、変位センサが故障してしまうと、光学素子のチルトを制限することができなくなるという問題がある。
そこで、本発明は、光学素子などの物体を上下方向(Z方向)及び傾斜方向(θx方向、θy方向)に駆動する際に、傾斜方向の駆動量を制限して、物体の破損や変形を防止することができる駆動装置を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての駆動装置は、物体を駆動する駆動装置であって、前記物体の複数の部分をそれぞれ駆動する複数の圧電素子と、前記複数の圧電素子にそれぞれ電圧を印加する複数の電圧印加部と、前記複数の圧電素子にそれぞれ印加される電圧の間の差が所定値を超えないように前記複数の電圧印加部を制御する制御部とを有し、前記複数の圧電素子は、第1端子と、第2端子とを有し、前記複数の電圧印加部は、それぞれ前記複数の圧電素子の前記第1端子と前記第2端子との間に電圧を印加し、前記制御部は、第1ノードと前記複数の圧電素子の前記第1端子のそれぞれとの間に、前記第1端子側にアノードが向くように配置された複数の第1ダイオードと、第2ノードと前記複数の圧電素子の前記第1端子のそれぞれとの間に、前記第1端子側にカソードが向くように配置された複数の第2ダイオードと、前記第1ノードと前記第2ノードとの間の電圧を分圧する分圧回路と、前記分圧回路によって分圧された電圧がベースに印加されるように構成され、前記第1ノード側にコレクタが接続され、且つ、前記第2ノード側にエミッタが接続された第1トランジスタと、前記第1トランジスタのエミッタと前記第2ノードとの間に、前記第1トランジスタのエミッタ側にカソードが向くように配置されたツェナーダイオードと、前記ツェナーダイオードのアノード側の電圧がベースに印加されるように構成され、前記第1ノード側にコレクタが接続され、且つ、前記第2ノード側にエミッタが接続された第2トランジスタと、前記ツェナーダイオードのアノードと前記第2ノードとの間に配置され、前記第2トランジスタを動作させる動作回路とを含むことを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、光学素子などの物体を上下方向(Z方向)及び傾斜方向(θx方向、θy方向)に駆動する際に、傾斜方向の駆動量を制限して、物体の破損や変形を防止することができる駆動装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一側面としての保持装置1の構成を示す概略斜視図である。図2は、保持装置1の概略断面図である。保持装置1は、レンズ、平行平板ガラス、プリズム、ミラー、バイナリオプティックス、ホログラム等の光学素子OEを保持する保持装置であって、本実施形態では、露光装置の投影光学系を構成するレンズを保持する保持装置として具現化される。但し、保持装置1は、露光装置の照明光学系を構成する光学素子やその他の光学系を構成する光学素子を保持する保持装置としても適用することができる。保持装置1は、図1及び図2に示すように、セル10と、保持部20と、駆動部30と、変位センサ40とを有する。
セル10は、光学素子OEの光軸を中心とするリング状部材である。セル10は、例えば、接着材を介して、光学素子OEと結合し、後述する駆動部30によって駆動される可動体(物体)として機能する。セル10は、本実施形態では、保持部20に載置される。
保持部20は、光学素子OEと結合したセル10を投影光学系の鏡筒に固定する固定ブロックである。保持部20は、例えば、光学素子OEの光軸を中心として120度ピッチ(等間隔)で円周上に配置される3つの載置部を介して、セル10を載置する。換言すれば、保持部20は、セル10を介して、光学部材OEを保持する。
駆動部30は、セル10と連結し、保持部20に対して光学素子OEを上下方向(Z方向)及び傾斜方向(θx方向、θy方向)に駆動する。換言すれば、駆動部30は、光学素子OEを駆動して、投影光学系における光学素子OEの位置決め及び位置調整を行う駆動装置として機能する。駆動部30は、本実施形態では、光学素子OEの光軸を中心として120度ピッチ(等間隔)で円周上に配置される。これにより、駆動部30は、Z方向、θx方向及びθy方向の3軸駆動を実現することができる。また、駆動部30は、後で詳細に説明するように、光学素子OEをZ方向に長いストロークで駆動しながらも、θx方向及びθy方向の傾斜(チルト)を制限することが可能である。
変位センサ40は、光学素子OEの変位を測定するセンサである。変位センサ40は、本実施形態では、図2に示すように、Z方向(図2の紙面に対して垂直な方向)に配置された3つのセンサ40z、X方向に配置された1つのセンサ40x及びY方向に配置された1つのセンサ40yの5つのセンサで構成される。変位センサ40の測定結果(即ち、光学素子OEの変位)を駆動部30にフィードバックさせることで、投影光学系における光学素子OEの位置決め及び位置調整を制御することが可能となる。但し、基本的には、Z方向に配置された3つのセンサ40zだけで、光学素子OEにおけるZ方向、θx方向及びθy方向の3軸の位置を制御することができる。
以下、駆動部30の具体的な構成について詳細に説明する。図3は、第1実施形態における駆動部30の構成を示す概略回路図である。第1実施形態における駆動部30は、図3に示すように、複数の圧電素子310a乃至310cと、複数の電圧印加部320a乃至320cと、制御部330とを有する。
複数の圧電素子310a乃至310cは、例えば、容量性負荷となる圧電素子である。複数の圧電素子310a乃至310cは、第1端子312a乃至312cと、第2端子314a乃至314cを有し、第1端子312a乃至312cと第2端子314a乃至314cとの間に印加される電圧によって伸縮する。これにより、複数の圧電素子310a乃至310cは、セル10を介して、光学素子OEの複数の部分をそれぞれ駆動する。圧電素子310a乃至310cの伸縮量(即ち、光学素子OEの駆動量)は、圧電素子310a乃至310cに印加する電圧によって制御することが可能である。
複数の電圧印加部320a乃至320cは、それぞれ複数の圧電素子310a乃至310cの第1端子312a乃至312cと第2端子314a乃至314cとの間に電圧を印可する。複数の電圧印加部320a乃至320cは、例えば、電流増幅アンプで構成される。
制御部330は、複数の圧電素子310a乃至310cにそれぞれ印加される電圧の間の差が所定値を超えないように複数の電圧印加部320a乃至320cを制御する。換言すれば、制御部330は、圧電素子310aに印加される電圧と、圧電素子310bに印加される電圧と、圧電素子310cに印加される電圧との間の差(電位差)が所定値を超えることを防止する。これにより、ある圧電素子の伸縮量(例えば、光学素子OEのZ方向の駆動量)だけが著しく増加することを防止し、光学素子OEが必要以上にチルト(θz方向、θy方向)することを防止することが可能となる。制御部330は、第1実施形態では、ダイオード331a乃至331cと、ダイオード332a乃至332cと、ツェナーダイオード333とを含む。
ダイオード331a乃至331c、及び、ダイオード332a乃至332cは、電流の流れる方向を決定する。ダイオード331a乃至331cは、第1ノードFNと複数の圧電素子310a乃至310cの第1端子312a乃至312cのそれぞれとの間に、第1端子側にアノードが向くように配置された第1ダイオードを構成する。また、ダイオード332a乃至332cは、第2ノードSNと複数の圧電素子310a乃至310cの第1端子312a乃至312cのそれぞれとの間に、第1端子側にカソードが向くように配置された第2ダイオードを構成する。
ツェナーダイオード333は、複数の圧電素子310a乃至310cにそれぞれ印加される電圧の間の差(電位差)に制限をかける電圧値(所定値)Vlimを決定する。電圧値Vlimは、複数の圧電素子310a乃至310cのそれぞれとの間の電位差の上限値である。電圧値Vlimは、ツェナーダイオード333のツェナー電圧Vzdとダイオード331a乃至331c、及び、ダイオード332a乃至332cのON電圧(0.6V程度)から、1.2V程度(Vlim≒Vzd+1.2V)となる。ツェナーダイオード333は、第1ノードFNと第2ノードSNとの間に、複数の圧電素子310a乃至310cの第2端子側にアノードが向くように配置される。
制御部330の動作について説明する。ここでは、説明を簡単にするために、圧電素子310a及び圧電素子310bに着目して説明する。圧電素子310aの第1端子312aと第2端子314aとの間に印加(発生)する電圧をV1、圧電素子310bの第1端子312bと第2端子314bとの間に印加(発生)する電圧をV2とし、V2>V1とする。
図3において、例えば、圧電素子310aの第1端子312aと圧電素子310bの第1端子312bとの電位差(V2−V1)が電圧値Vlim以上になろうとすると、ツェナーダイオード333が駆動する。これにより、圧電素子310bの第1端子312aに接続されたノードに流れる電流iBは、ダイオード331b及びダイオード332aを介して、電圧が低い圧電素子310aの第1端子312aに接続されたノードに電流が流れ込む。その結果、圧電素子310aの第1端子312aと圧電素子310bの第1端子312bとの電位差は、電圧値Vlim以上にならない。かかる一連の動作は、圧電素子が3つ以上であっても容易に適用することができる。例えば、圧電素子を1つ追加する場合には、2つのダイオードを追加することで、複数の圧電素子にそれぞれ印加される電圧の間の差を抑制することができる。
このように、図3に示す駆動部30は、制御部330によって、複数の圧電素子にそれぞれ印加される電圧の間の差を容易に制御することができる。従って、例えば、光学素子OEをZ方向に駆動する圧電素子のみに高い電圧が印加される(即ち、光学素子OEのZ方向のみの駆動量が増加する)ことを防止し、光学素子OEが必要以上に傾斜(θz方向、θy方向)することを防止することができる。換言すれば、光学素子OEを駆動する際に、光学素子OEの傾斜方向の駆動量を制限して、光学素子OEの破損や変形を防止することができる。
また、図3に示す駆動部30において、電圧値Vlimはツェナー電圧Vzdの値のみによって決定されるため、ツェナーダイオード333を交換することで電圧値Vlimを容易に変更することができる。従って、駆動部30は、安価、且つ、容易に光学素子OEの傾斜を制限する機構を実現することができる。
図4は、第2実施形態における駆動部30の構成を示す概略回路図である。第2実施形態における駆動部30は、図4に示すように、複数の圧電素子310a乃至310cと、複数の電圧印加部320a乃至320cと、制御部330Aとを有する。
制御部330Aは、複数の圧電素子310a乃至310cにそれぞれ印加される電圧の間の差が所定値を超えないように複数の電圧印加部320a乃至320cを制御する。このように、制御部330Aは、制御部330の機能と同様な機能を有するが、制御部330と比較して、構成要素が異なる。制御部330Aは、第2実施形態では、ダイオード331a乃至331cと、ダイオード332a乃至332cと、抵抗器334a及び334bと、トランジスタ335と、ツェナーダイオード336と、トランジスタ337と、抵抗器338とを含む。
抵抗器334a及び334bは、複数の圧電素子310a乃至310cにそれぞれ印加される電圧の間の差(電位差)に制限をかける電圧値(所定値)Vlimを分圧する。換言すれば、抵抗器334a及び334bは、第1ノードFNと第2ノードSNとの間の電圧を分圧する分圧回路としての機能を有する。
トランジスタ(第1トランジスタ)335は、分圧回路としての抵抗器334a及び334bによって分圧された電圧がベースに印加されるように構成され、第1ノード側にコレクタが接続され、且つ、第2ノード側にエミッタが接続される。
ツェナーダイオード336は、トランジスタ335のエミッタと第2ノードSNとの間に、トランジスタ335のエミッタ側にカソードが向くように配置される。
トランジスタ(第2トランジスタ)337は、ツェナーダイオード336のアノード側の電圧がベースに印加されるように構成され、第1ノード側にコレクタが接続され、且つ、第2ノード側にエミッタが接続される。
抵抗器338は、トランジスタ337を動作させる(即ち、ON動作を確定させる)動作回路としての機能を有する。抵抗器338は、ツェナーダイオード336のアノードと第2ノードSNとの間に配置される。但し、抵抗器338は、MOSFETに置換することも可能である。
図4において、電圧値Vlimは、抵抗器334a及び334b及びツェナーダイオード336によって決定される。ツェナーダイオード336のツェナー電圧をVzd、抵抗器334aの抵抗値をR1、抵抗器334bの抵抗値をR2、トランジスタ335及び337のON電圧をそれぞれ0.6Vとする。この場合、電圧値Vlimは、(Vzd+2.4V)×(R1+R2)/R2で表される。
制御部330Aの動作について説明する。ここでは、説明を簡単にするために、圧電素子310a及び圧電素子310bに着目して説明する。圧電素子310aの第1端子312aと第2端子314aとの間に印加(発生)する電圧をV1、圧電素子310bの第1端子312bと第2端子314bとの間に印加(発生)する電圧をV2とし、V2>V1とする。
例えば、圧電素子310aの第1端子312aと圧電素子310bの第1端子312bとの電位差(V2−V1)が電圧値Vlim以上になろうとする場合を考える。この場合、電圧値Vlimを抵抗器334a及び335bによって分圧した電圧値VpがVzd+1.2V以上であると、ツェナーダイオード336が駆動する。これにより、トランジスタ335のコレクタ−エミッタ間に電流が流れる。更に、抵抗器338に電流が流れることによって、トランジスタ337がONする。これにより、圧電素子310bの第1端子312aに接続されたノードに流れる電流iBは、ダイオード331bを介してトランジスタ337を貫通して、電圧が低い圧電素子310aの第1端子312aに接続されたノードに電流が流れ込む。その結果、圧電素子310aの第1端子312aと圧電素子310bの第1端子312bとの電位差は、電圧値Vlim以上にならない。かかる一連の動作は、第1実施形態と同様に、圧電素子が3つ以上であっても容易に適用することができる。例えば、圧電素子を1つ追加する場合には、2つのダイオードを追加することで、複数の圧電素子にそれぞれ印加される電圧の間の差を抑制することができる。
このように、図4に示す駆動部30は、制御部330Aによって、複数の圧電素子にそれぞれ印加される電圧の間の差を容易に制御することができる。従って、例えば、光学素子OEをZ方向に駆動する圧電素子のみに高い電圧が印加される(即ち、光学素子OEのZ方向のみの駆動量が増加する)ことを防止し、光学素子OEが必要以上に傾斜(θz方向、θy方向)することを防止することができる。換言すれば、光学素子OEを駆動する際に、光学素子OEの傾斜方向の駆動量を制限して、光学素子OEの破損や変形を防止することができる。
また、第2実施形態の駆動部30は、第1実施形態の駆動部30よりも構成要素が多くなるが、容量損失の大きいトランジスタをトランジスタ337として用いることによって、第1実施形態の駆動部30よりも大きな電流を扱うことが可能となる。換言すれば、圧電素子が接続されたノードに対して大きな電流を流すことができるアンプを電圧印加部320a乃至320cとして用いる場合には、第2実施形態の駆動部30の構成を適用するとよい。
また、図4に示す駆動部30において、電圧値Vlimは抵抗器334a及び335bの抵抗値を変更することで容易に調整することができる。従って、駆動部30は、安価、且つ、容易に光学素子OEの傾斜を制限する機構を実現することができる。
図5は、第3実施形態における駆動部30の構成を示す概略ブロック図である。第3実施形態における駆動部30は、図5に示すように、複数の圧電素子310a乃至310cと、複数の電圧印加部320a乃至320cと、制御部330Bとを有する。
制御部330Bは、複数の圧電素子310a乃至310cにそれぞれ印加される電圧の間の差が所定値を超えないように複数の電圧印加部320a乃至320cを制御する。制御部330Bは、第3実施形態では、位置制御部341と、電圧検出部342と、A/D変換器343と、演算部344と、電圧制御部345と、D/A変換器346とを含む。
位置制御部341は、光学素子OEをZ方向、θx方向及びθy方向の各方向に高精度に位置制御するためのDSPやCPUなど(即ち、演算処理機能)を有する。位置制御部341は、光学素子OEのZ方向の変位を測定するセンサ40zの測定結果に基づいて、PID補償器等を用いて、圧電素子310a乃至310cの駆動量(伸縮量)を算出する。また、位置制御部341は、算出した圧電素子310a乃至310cの駆動量(伸縮量)に相当する電圧を印加するための入力信号を生成して電圧制御部345に出力する。
電圧検出部342は、複数の圧電素子310a乃至310cにそれぞれ印加される電圧(即ち、複数の電圧印加部320a乃至320cからのそれぞれの出力電圧)を検出する。
A/D変換器343は、電圧検出部342によって検出された電圧をデジタル信号に変換して演算部344に出力する。
演算部344は、A/D変換器343から入力されるデジタル信号(即ち、電圧検出部342による検出結果)に基づいて、複数の圧電素子310a乃至310cにそれぞれ印加される電圧の間の差(電位差)を算出して、電圧制御部345に出力する。
電圧制御部345は、演算部344で算出された電位差に基づいて、複数の電圧印加部320a乃至320cの出力電圧を制御する。
電圧制御部345は、本実施形態では、位置制御部341から入力される複数の圧電素子310a乃至310cにそれぞれ電圧を印加するための入力信号を制限する。例えば、電圧制御部345は、演算部344で算出された電位差と予め記憶していた電位差とを比較し、電圧検出部342によって検出される複数の圧電素子310a乃至310cの間の電位差が予め記憶していた電位差となる(所定値を超えない)ようにする。具体的には、電圧制御部345は、演算部344から入力される電位差に基づいて、かかる電位差が所定値を超えないように、位置制御部341から入力される複数の圧電素子310a乃至310cにそれぞれ電圧を印加するための入力信号を制限する。その結果、複数の電圧印加部320a乃至320cによって複数の圧電素子310a乃至310cのそれぞれに印加される電圧(即ち、電圧印加部320a乃至320cの出力電圧)が制限される。
電圧制御部345は、本実施形態では、位置制御部341から入力される複数の圧電素子310a乃至310cにそれぞれ電圧を印加するための入力信号を制限する。例えば、電圧制御部345は、演算部344で算出された電位差と予め記憶していた電位差とを比較し、電圧検出部342によって検出される複数の圧電素子310a乃至310cの間の電位差が予め記憶していた電位差となる(所定値を超えない)ようにする。具体的には、電圧制御部345は、演算部344から入力される電位差に基づいて、かかる電位差が所定値を超えないように、位置制御部341から入力される複数の圧電素子310a乃至310cにそれぞれ電圧を印加するための入力信号を制限する。その結果、複数の電圧印加部320a乃至320cによって複数の圧電素子310a乃至310cのそれぞれに印加される電圧(即ち、電圧印加部320a乃至320cの出力電圧)が制限される。
D/A変換器346は、電圧制御部345によって制御(制限)された複数の圧電素子310a乃至310cのそれぞれに電圧を印加するための入力信号をアナログ信号に変換して複数の圧電素子310a乃至310cに出力する。
このように、図5に示す駆動部30は、制御部330Bによって、複数の圧電素子にそれぞれ印加される電圧の間の差を容易に制御することができる。従って、例えば、光学素子OEをZ方向に駆動する圧電素子のみに高い電圧が印加される(即ち、光学素子OEのZ方向のみの駆動量が増加する)ことを防止し、光学素子OEが必要以上に傾斜(θz方向、θy方向)することを防止することができる。換言すれば、光学素子OEを駆動する際に、光学素子OEの傾斜方向の駆動量を制限して、光学素子OEの破損や変形を防止することができる。
また、図5に示す駆動部30は、複数の変位センサ40を用いて光学素子OEの位置を制御する制御系とは独立して光学素子OEの位置を制御(特に、傾斜方向の制御)することができる。従って、例えば、変位センサ40が故障した場合であっても、光学素子OEの位置を制御することができる。
以上、説明したように、保持装置1は、光学素子OEを保持すると共に、駆動部30によって、光学素子OEの位置決め及び位置調整の際に(光学素子OEを駆動する際に)、傾斜方向の駆動量を制限して、光学素子OEの破損や変形を防止することができる。
次に、図6を参照して、保持装置1を適用した投影光学系630を有する露光装置600について説明する。ここで、図6は、本発明の一側面としての露光装置600の構成を示す概略断面図である。露光装置600は、本実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式でレチクル620のパターンをウエハ640に露光する投影露光装置である。但し、露光装置600は、ステップ・アンド・リピート方式も適用することができる。
露光装置600は、図6に示すように、照明装置610と、レチクル620を載置するレチクルステージ625と、投影光学系630と、ウエハ640を載置するウエハステージ645とを備える。
照明装置610は、転写用の回路パターンが形成されたレチクル620を照明し、光源部612と、照明光学系614とを有する。
光源部612は、例えば、波長約248nmのKrFエキシマレーザー、波長約193nmのArFエキシマレーザーなどのエキシマレーザーを光源として使用する。但し、光源部612の光源はエキシマレーザーに限定されず、例えば、波長約157nmのF2レーザーなどを使用してもよい。
照明光学系614は、レチクル620を照明する光学系である。照明光学系614は、レンズ、ミラー、オプティカルインテグレーター、位相板、回折光学素子、絞り等を含む。かかる照明光学系614を構成するレンズなどの光学素子の保持に保持装置1を使用してもよい。
レチクル620は、回路パターンを有し、レチクルステージ625に支持及び駆動される。レチクル620から発せられた回折光は、投影光学系630を介して、ウエハ640に投影される。露光装置600は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、レチクル620とウエハ640を走査することによって、レチクル620のパターンをウエハ640に転写する。
レチクルステージ625は、レチクル620を支持し、例えば、リニアモータを利用して、X方向、Y方向、Z方向及び各軸の回転方向にレチクル620を移動させる。ここで、レチクル620又はウエハ640の面内で走査方向をY方向、それに垂直な方向をX方向、レチクル620又はウエハ640の面に垂直な方向をZ方向とする。
投影光学系630は、レチクル620のパターンをウエハ640に投影する光学系である。投影光学系630は、屈折系、反射屈折系、或いは、反射系を使用することができる。
投影光学系630は、本実施形態では、複数のレンズ632で構成される。複数のレンズ632は、保持装置1によって保持されている。従って、複数のレンズ632は、投影光学系630において、破損や変形することなく位置決め及び位置調整される。従って、投影光学系630は、優れた結像性能を発揮する。なお、保持装置1は、上述した構成であり、ここでの詳細な説明は省略する。
ウエハ640は、レチクル620のパターンが投影(転写)される基板である。但し、ウエハ640の代わりにガラスプレートやその他の基板を用いることもできる。ウエハ640には、レジストが塗布されている。
ウエハステージ645は、ウエハ640を支持し、レチクルステージ625と同様に、リニアモータを利用して、X方向、Y方向、Z方向及び各軸の回転方向にウエハ640を移動させる。
露光において、光源部612から発せられた光束は、照明光学系614を介して、レチクル620を照明する。レチクル620を通過して回路パターンを反映する光は、投影光学系630を介して、ウエハ640に結像される。露光装置600が使用する投影光学系630(及び/又は照明光学系614)においては、保持装置1によって、位置決め及び位置調整された光学素子が保持されている。従って、露光装置600は、優れた露光性能を有し、高いスループットで従来よりも高品位なデバイス(半導体素子、LCD素子、撮像素子(CCDなど)、薄膜磁気ヘッドなど)を提供することができる。
次に、図7及び図8を参照して、露光装置600を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図7は、デバイス(半導体デバイスや液晶デバイス)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体デバイスの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(レチクル製作)では、設計した回路パターンを形成したレチクルを製作する。ステップ3(ウエハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は、前工程と呼ばれ、レチクルとウエハを用いてリソグラフィー技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
図8は、ステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウエハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウエハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置600によってレチクルの回路パターンをウエハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウエハ上に多重の回路パターンが形成される。かかるデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、露光装置600を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本発明は、露光装置における光学素子の位置決めや位置調整だけに限らず、電子顕微鏡の試料台などのように、高精度な位置決めを要する装置にも適用することができる。
Claims (3)
- 物体を駆動する駆動装置であって、
前記物体の複数の部分をそれぞれ駆動する複数の圧電素子と、
前記複数の圧電素子にそれぞれ電圧を印加する複数の電圧印加部と、
前記複数の圧電素子にそれぞれ印加される電圧の間の差が所定値を超えないように前記複数の電圧印加部を制御する制御部とを有し、
前記複数の圧電素子は、第1端子と、第2端子とを有し、
前記複数の電圧印加部は、それぞれ前記複数の圧電素子の前記第1端子と前記第2端子との間に電圧を印加し、
前記制御部は、
第1ノードと前記複数の圧電素子の前記第1端子のそれぞれとの間に、前記第1端子側にアノードが向くように配置された複数の第1ダイオードと、
第2ノードと前記複数の圧電素子の前記第1端子のそれぞれとの間に、前記第1端子側にカソードが向くように配置された複数の第2ダイオードと、
前記第1ノードと前記第2ノードとの間の電圧を分圧する分圧回路と、
前記分圧回路によって分圧された電圧がベースに印加されるように構成され、前記第1ノード側にコレクタが接続され、且つ、前記第2ノード側にエミッタが接続された第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのエミッタと前記第2ノードとの間に、前記第1トランジスタのエミッタ側にカソードが向くように配置されたツェナーダイオードと、
前記ツェナーダイオードのアノード側の電圧がベースに印加されるように構成され、前記第1ノード側にコレクタが接続され、且つ、前記第2ノード側にエミッタが接続された第2トランジスタと、
前記ツェナーダイオードのアノードと前記第2ノードとの間に配置され、前記第2トランジスタを動作させる動作回路とを含むことを特徴とする駆動装置。 - 請求項1記載の駆動装置と、
前記駆動装置に駆動される光学素子を介して、レチクルのパターンを基板に露光する光学系とを有することを特徴とする露光装置。 - 請求項2記載の露光装置を用いて基板を露光するステップと、
露光された前記基板を現像するステップとを有することを特徴とするデバイス製造方法。
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