JP5334891B2 - シリカ分散液の製造方法、インク受容層形成用組成物の製造方法、インクジェット記録媒体の製造方法、及び画像形成方法 - Google Patents

シリカ分散液の製造方法、インク受容層形成用組成物の製造方法、インクジェット記録媒体の製造方法、及び画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、気相法シリカが分散されたシリカ分散液の製造方法、インクジェット記録媒体を構成するインク受容層を形成するためのインク受容層形成用組成物の製造方法、インクジェット記録媒体の製造方法、及びインクジェット法を利用した画像形成方法に関する。
カラー画像を記録する画像記録方法としては、近年、様々な方法が提案されているが、いずれにおいても画像の品質、風合い、記録後のカールなど、記録物の品位に対する要求は高い。
例えばインクジェット法を利用した記録方法では、インクを受容する記録層が多孔質構造に構成されたインクジェット記録媒体を用いた方法が実用化されている。その一例として、無機顔料粒子及び水溶性バインダーを含み、高い空隙率を有する記録層が支持体上に設けられたインクジェット記録媒体があり、多孔質構造を有するためにインクの速乾性に優れ、高い光沢を有する等、写真ライクな画像の記録が可能になってきている。
インクジェット技術は、オフィスプリンタ、ホームプリンタ等の分野に適用されてきたが、近年では、商業印刷分野での応用がなされつつある。例えば、画像を高速に又は一度に多数枚を印画したり、あるいはフォトブックなどの商業用のプリント等として両面に画像を記録したりする等の用途に対する要求がある。このような用途では、画像をより高速に記録可能なだけでなく、記録材料としての品質上、例えば乾燥の際に臭気を生じたり、記録画像が湿度等の環境条件によらず安定していることが求められる。
上記に関連して、画像の長期保存性を改善する技術として、塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルと、アミノ酸とを含有するインク受容層を有するインクジェット記録用シートが開示されており(例えば、特許文献1参照)、塩化ジルコニル等とアミノ酸との含有により高画質、高光沢が得られ、インク吸収性、高温高湿環境下での耐経時ニジミが改善するとされている。
また、画像記録材料用塗布液において、2価以上の金属を含有する金属化合物を含む溶液を加熱処理する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。加熱処理により、光沢性の向上効果が得られるとされている。
一方、画像を記録した後に、加熱処理を行なう技術に関する開示がある(例えば、特許文献3参照)。
特開2005−59448号公報 特開2005−144998号公報 特開2004−188704号公報
しかしながら、塩化ジルコニル等とアミノ酸とをインク受容層に用いる上記従来のインクジェット記録用シートでは、塩化ジルコニルや塩基性塩化ジルコニルの混合の際に、インク受容層形成用に調製される塗布液の粘度が著しく増大する傾向があり、液性を長期に亘って安定に保つことは難しい。なお、塩化ジルコニウム系の化合物は、バインダー成分を架橋しやすい性質を持ち、バインダー成分と混合された際にバインダー成分との間で架橋反応を起こしやすいことが知られている。そのため、液の増粘や凝集を招きやすく、塗布等により均一な層を形成することが難しいとの課題がある。
また、画像記録材料用塗布液に加熱処理を施す上記技術では、加熱に伴なって滲みや酢酸臭が発生しやすくなり、製品品質の点で改善が望まれている。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、性状(液粘度など)の安定なシリカ分散液を作製することができるシリカ分散液の製造方法、画像形成時の臭気低減が可能で、性状(液粘度など)の安定なインク受容層形成用組成物(例えば塗布液)を得ることができるインク受容層形成用組成物の製造方法、並びに臭気の発生が少なく、耐湿性(特に高湿環境下での滲み抑制)に優れた画像の形成が可能なインクジェット記録媒体の製造方法及び画像形成方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 気相法シリカとオキシ塩化ジルコニル及び塩基性塩化ジルコニルの少なくとも一方とを混合し、分散させてシリカ分散液を調製する分散液調製工程と、前記分散液調製工程で調製されたシリカ分散液に加熱処理を行なう加熱処理工程と、を有するシリカ分散液の製造方法である。
<2> 前記分散液調製工程は、予め気相法シリカが分散された予備分散液と、オキシ塩化ジルコニル及び塩基性塩化ジルコニルの少なくとも一方とを混合し、前記シリカ分散液を調製する前記<1>に記載のシリカ分散液の製造方法である。
<3> 前記分散液調製工程は、更にカチオンポリマーを加えて前記シリカ分散液を調製する前記<1>又は前記<2>に記載のシリカ分散液の製造方法である。
<4> 前記気相法シリカに対する、前記オキシ塩化ジルコニル及び前記塩基性塩化ジルコニルのZrO換算[質量]での合計量の比率が、0.5〜10質量%である前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のシリカ分散液の製造方法である。
<5> 前記加熱処理は、30〜60℃で2時間以上保持して行なう前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載のシリカ分散液の製造方法である。
<6> 少なくとも、前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載のシリカ分散液の製造方法により作製されたシリカ分散液と、水溶性樹脂とを混合して、インク受容層形成用組成物を調製する組成物調製工程を有するインク受容層形成用組成物の製造方法である。
<7> 前記<6>に記載のインク受容層形成用組成物の製造方法により作製されたインク受容層形成用組成物を、支持体の上に付与し、インク受容層を形成する工程を有するインクジェット記録媒体の製造方法である。
<8> 前記<7>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法により作製されたインクジェット記録媒体のインク受容層に、インクジェット法によりインクを吐出し、画像を形成する画像形成工程と、少なくとも前記画像を加熱して乾燥させる乾燥工程と、を有する画像形成方法である。
本発明によれば、性状(液粘度など)の安定なシリカ分散液を作製することができるシリカ分散液の製造方法を提供することができる。また、
本発明によれば、画像形成時の臭気低減が可能で、性状(液粘度など)の安定なインク受容層形成用組成物(例えば塗布液)を得ることができるインク受容層形成用組成物の製造方法を提供することができる。更に、
本発明によれば、臭気の発生が少なく、耐湿性(特に高湿環境下での滲み抑制)に優れた画像の形成が可能なインクジェット記録媒体の製造方法及び画像形成方法を提供することができる。
本実施例における滲み評価に用いる画像の模式図である。
以下、本発明のシリカ分散液の製造方法、並びにこれを用いた、インク受容層形成用組成物の製造方法、インクジェット記録媒体の製造方法、及び画像形成方法について詳細に説明する。
<シリカ分散液の製造方法>
本発明のシリカ分散液の製造方法は、気相法シリカとオキシ塩化ジルコニル及び塩基性塩化ジルコニルの少なくとも一方とを混合し、分散させてシリカ分散液を調製する分散液調製工程と、分散液調製工程で調製されたシリカ分散液に加熱処理を行なう加熱処理工程と、を設けて構成されている。なお、本発明のシリカ分散液の製造方法は、分散液調製工程及び加熱処理工程で構成される形態に限られず、必要に応じて他の工程を設けて構成されてもよい。
本発明においては、従来から用いられている酢酸ジルコニウム由来の臭気の低減等を図るため、酢酸ジルコニルの代替化合物として、オキシ塩化ジルコニル、塩基性塩化ジルコニルを用いる。インク受容層を形成(例えば塗設)するためのインク受容層形成用の組成物の調製にあたり、ポリビニルアルコール(PVA)等の水溶性樹脂を混合する前、すなわち気相法シリカを分散してシリカ分散液を調製する過程で、気相法シリカと共にオキシ塩化ジルコニル、塩基性塩化ジルコニルを加えて分散しようとすると、液粘度が著しく増加する傾向にあるが、分散後に加熱処理(例えば加熱状態で所定時間保持する処理)を施すことで、液粘度を塗布や層表面の性状などの点で支障を来たさない程度に低下させることができる。これにより、液粘度などの液性状の安定なシリカ分散液が得られ、ひいてはこれを用いて調製されるインク受容層形成用組成物(例えば塗布液)の性状(液粘度など)も安定化できる。また、インク受容層の形成に供されたときには、形成された画像は、高湿環境下で滲みが生じにくく安定であり、優れた耐水性を示す。
本発明においては、画像形成した場合に、臭気の発生を少なく抑えながら、耐湿性に優れた高画質画像の形成が可能である。
−分散液調製工程−
本発明における分散液調製工程は、気相法シリカとオキシ塩化ジルコニル及び塩基性塩化ジルコニルの少なくとも一方とを混合し、分散させてシリカ分散液を調製する。シリカ分散液の調製には、更に、カチオン性ポリマー等の分散剤などの他の成分を用いてもよい。
なお、本工程は、インク受容層の形成に用いられる塗布液等の最終組成物の調製前の調製操作であり、インク受容層形成用の組成物に必要とされるポリビニルアルコール等の水溶性樹脂の積極的な混合は行なわない。但し、本発明の効果を損なわない限りにおいて、多少の水溶性樹脂が含まれることを排除するものではない。
シリカ分散液の調製は、後述のインク受容層形成用組成物の製造における「組成物調製工程」で水溶性樹脂が混在される前に予め、気相法シリカにオキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルが吸着するように行なうことができればよい。本工程では、いずれの混合方法でシリカ分散液を調製してもよく、例えば、以下に示す方法(1)、(2)などにより好適にシリカ分散液を調製することができる。
(1)気相法シリカとオキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルとを混合した混合液を分散処理することにより、シリカ分散液を調製する方法
この方法では、気相法シリカとオキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルとを媒質中に、分散処理を行ないながら又は分散処理開始前に、一括して混合する。このとき、さらにカチオン性ポリマー等の分散剤を混合してもよい。
(2)気相法シリカ(及び好ましくはカチオン性ポリマー等の分散剤)の予備分散液と、オキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルとを混合し、シリカ分散液を調製する方法
この方法では、気相法シリカを予め分散処理して一旦分散液とした後、これにオキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルを、あるいはオキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルを予め水に混合した水溶液を混合して調製する。混合後、更に分散処理を行なってもよい。カチオン性ポリマー等の分散剤を混合する場合、気相法シリカの予備分散液を得る段階で混合することが好ましい。
シリカ分散液又は気相法シリカの予備分散液を調製する場合、気相法シリカの水分散液をあらかじめ調製し、該水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を気相法シリカの水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、気相法シリカの水分散液ではなく、粉体状の気相法シリカを用いて上記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
分散処理は、気相法シリカと、オキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルと、場合により分散剤とを水中に添加し、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)等のコロイドミル分散機、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機などを用いて行なうことができる。分散を良好に行なってダマ状粒子の形成を抑える観点からは、媒体撹拌型分散機、コロイドミル分散機、又は高圧分散機が好ましい。
分散条件としては、特に制限はなく、混合成分の種類や粒子径、混合比率などに応じて適宜選択することができる。
(気相法シリカ)
本工程では、無機微粒子として気相法シリカを分散し、気相法シリカを含有するシリカ分散液を調製する。
無機微粒子のうちシリカ粒子は、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性及び保持の効率が高い。また、シリカ粒子は、屈折率が低いので、適切な微小粒子径まで分散を行なえばインク受容層に透明性を付与することができ、高い色濃度と良好な発色性が得られるという利点がある。インク受容層が透明であるということは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用媒体に適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性及び光沢度を得る観点より重要である。
シリカ微粒子は一般に、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別されるが、このうち気相法粒子は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって得られる無水シリカである。気相法は、このように無水シリカを得る方法が主流である。なお、湿式法は主として、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る。
気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nmと多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmと少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。本発明においては、粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmである気相法シリカ微粒子が好ましい。
インク受容層を電子顕微鏡により観察して測定される気相法シリカの粒子径としては、5nm以上45nm以下が好ましく、5nm以上35nm以下がより好ましく、特に10nm以上30nm以下が好ましい。該粒子径が5nm以上45nm以下であると、ブロンジングや光沢といった性能を悪化させることなく、高濃度な記録画像を得ることができ、さらに印画直後からの色相変化を高度に抑制することができる。
また、気相法シリカの平均一次粒子径としては、20nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましく、特に10nm以下が好ましい。該平均一次粒子径が20nm以下であると、インク吸収特性を効果的に向上させることができ、また同時にインク受容層表面の光沢性をも高めることができる。
特にシリカ微粒子は、その表面にシラノール基を有し、該シラノール基の水素結合により粒子同士が付着し易いため、また該シラノール基と水溶性樹脂を介した粒子同士の付着効果のため、上記のように平均一次粒子径が20nm以下の場合にはインク受容層の空隙率が大きく、透明性の高い構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
また、気相法シリカの上記含有量の範囲内であって本発明の効果を損なわない範囲において、気相法シリカ以外の無機微粒子を更に含んでもよい。この場合の無機微粒子としては、例えば、気相法シリカ以外のシリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、アルミナ微粒子、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができる。
気相法シリカやそれ以外の無機微粒子をインクジェット記録媒体に用いる場合、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等の各公報に記載された態様でも好ましく用いることができる。
(オキシ塩化ジルコニル・塩基性塩化ジルコニル)
本工程は、気相法シリカの分散に際して、気相法シリカと共に、オキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルを用いる。
ジルコニル化合物のうち、溶媒(特に好ましい溶媒である水)に対する溶解性や化合物自身のpH、コストを考慮すると、化学式中にZrOの単位を持つジルコニウム塩、すなわちオキシジルコニウム塩が好ましい。このうち、本発明においては、分散後の加熱処理で粘度の低減効果が大きい点から、オキシ塩化ジルコニル(ZrOCl、別名:塩化ジルコニル、酸化塩化ジルコニウム)、及び/又は、塩基性塩化ジルコニル(ZrO(OH)Cl)を含有する。オキシ塩化ジルコニル及び塩基性塩化ジルコニルには、水和物(例えばZrOCl・8HO)も含まれる。
また、オキシ塩化ジルコニル及び塩基性塩化ジルコニルとしては、上市されている市販品を用いてもよく、市販品の例として、第一稀元素化学工業(株)製の酸塩化ジルコニウム(商品名:ジルコゾールZC、ジルコゾールZC−2、同ZC−20等)などを利用することができる。
ジルコニウム化合物は、溶液中で加水分解が進行し多核イオンを形成することが知られている(「無機化学」J.D.LEE著、東京化学同人、1982年、321ページ)。多核イオンの含有量を高めた市販のジルコニウム化合物(例えば、商品名:ジルコゾールZC−2、第一稀元素化学工業(株)製)を使用してもよい。
オキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルの合計量と気相法シリカとの混合比(オキシ塩化ジルコニル及び塩基性塩化ジルコニルのZrO換算量での合計質量:気相法シリカの質量)としては、酢酸ジルコニルの代替として臭気を抑制すると共に、粘度上昇抑制及び高湿下での滲み抑制(耐湿性)の観点から、0.2:100〜15:100であることが好ましく、0.5:100〜10:100であることがより好ましく、更に好ましくは0.8:100〜5:100である。
オキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルは、二種以上を併用してもよい。また、さらに他のジルコニウム化合物の一種又は2種以上を混合してもよい。
(分散剤)
シリカ分散液には、分散剤として、カオチンポリマーを用いることができる。カオチンポリマーとしては、特開2006−321176号公報の段落[0138]〜[0148]に記載されている媒染剤の例などが挙げられる。また、分散剤としてシランカップリング剤を用いることも好ましい。
具体的には、好ましいカオチンポリマーとして、例えば含窒素有機カチオンポリマーを用いることができる。含窒素有機カチオンポリマーは、特に制限はないが、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好適である。含窒素有機カチオンポリマーとしては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(含窒素有機カチオンモノマー)の単独重合体である含窒素有機カチオンポリマー、前記含窒素有機カチオンモノマーと他の単量体との共重合体又は縮重合体として得られる含窒素有機カチオンポリマー、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体又は共重合体等のアクリル系重合体;スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系重合体;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体;ウレタン結合を有するウレタン系ポリマー等に、カチオン基を含む化合物を用いてカチオン化修飾して得られる含窒素有機カチオンポリマー等を挙げることができる。
前記含窒素有機カチオンモノマーと共重合(又は縮重合)させることができる前記他の単量体としては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェット用インク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さい単量体が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル等が挙げられる。
ウレタン系ポリマーを構成するモノマーとしては、2以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等)と、イソシアネート基と反応してウレタン結合を形成し得る化合物(例えば、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、トリエタノールアミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリオール化合物;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の酸類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン等のアミン類、ヒドラジン等)が挙げられる。
さらに、カチオン性基を有さない共重合体又は縮合体にカチオン性基を導入する化合物としては、アルキルハライド、メチル硫酸等が挙げられる。
前記含窒素有機カチオンポリマーの中でも、滲み抑制の観点からは、カチオン性ポリウレタン、特開2004−167784号公報等に記載のカチオン性ポリアクリレートが好ましく、カチオン性ポリウレタンがより好ましい。カチオン性ポリウレタンの市販品として、例えば、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス650」、「F−8564D」、「F−8570D」、日華化学(株)製の「ネオフィックスIJ−150」等が挙げられる。
また、粒子分散の観点からは、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド誘導体が好ましく、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドがより好ましい。市販品としては、例えば、第一工業製薬(株)製の「シャロールDC902P」が挙げられる。
分散剤を含有する場合、分散剤の気相法シリカに対する添加量は、0.1質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜10質量%が更に好ましい。
気相法シリカと分散剤とを用いたシリカ分散液の調製は、気相法シリカの水分散液をあらかじめ調製し、該水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を気相法シリカの水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、気相法シリカの水分散液ではなく、粉体の気相法シリカを用いて上記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
−加熱処理工程−
本発明における加熱処理工程は、前記分散液調製工程で調製されたシリカ分散液に加熱処理を行なう。加熱処理を施すことで、増粘したシリカ分散液の粘度を飛躍的に低下させることができる。
加熱処理は、インク受容層の形成に用いられる組成物を構成する水溶性樹脂の混合前であればいずれの時期に行なってもよい。加熱処理は、好ましくは、(1)前記分散液調製工程において気相法シリカ及び必要に応じてカチオンポリマーと水とオキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルとを混合して分散した後、加熱する方法、(2)前記分散液調製工程において気相法シリカ及び必要に応じてカチオンポリマーと水とを混合して分散後さらにオキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルを混合した後、加熱する方法、等により行なえる。
加熱処理は、分散液を30℃以上に昇温して行なわれるのが好ましく、40℃以上に昇温して行なわれることがより好ましい。また、加熱処理は、前記温度範囲内で所定時間保持して行なわれることが好ましく、保持時間は温度や組成、スケールに依存するため適宜選択することができる。中でも、分散後の粘度の低減効果が高いという点から、加熱処理は、30〜60℃で2時間以上の処理が好ましく、40〜50℃で5時間以上の処理がより好ましい。
加熱温度は30℃以上であることで、分散液の粘度の低減に効果的である。
なお、加熱処理は、所定温度で保持しておくことが望ましく、所望温度への昇温速度に特に制限はない。
加熱処理は、分散液をヒーターやバーナー等で直接、あるいはウォータバスやオイルバス又は循環系を循環する熱媒などとの間の熱交換により間接的に熱することにより行なうことができる。
<インク受容層形成用組成物の製造方法>
本発明のインク受容層形成用組成物の製造方法は、少なくとも、既述の本発明のシリカ分散液の製造方法により作製されたシリカ分散液と、水溶性樹脂とを混合して、インク受容層形成用組成物を調製する組成物調製工程を設けて構成されている。
なお、本明細書中において、本発明のインク受容層形成用組成物の製造方法により製造されたインク受容層形成用組成物を「本発明に係るインク受容層形成用組成物」ということがある。
−組成物調製工程−
本発明における組成物調製工程は、少なくともシリカ分散液と水溶性樹脂とを混合して、インク受容層形成用組成物(例えば塗布液)を調製する。予め調製したシリカ分散液にポリビニルアルコール等の水溶性樹脂(例えば水溶性樹脂の水溶液)を混合する混合順にて調製することにより、塗布液の性状(粘度など)の変化が少なく、液性状(液粘度など)の経時安定性に優れたインク受容層形成用組成物を得ることができる。
インク受容層形成用組成物の調製には、水溶性樹脂のほか、必要に応じて、多価金属塩や架橋剤等の他の添加剤をさらに用いることができる。なお、シリカ分散液に含有されている気相法シリカ、オキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニル、カチオンポリマー等については、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
気相法シリカのインク受容層形成用組成物中における含有量としては、インク受容性と滲み抑制の観点から、インク受容層形成用組成物の全固形分に対して、30〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。
(水溶性樹脂)
本発明のインク受容層形成用組成物は、水溶性樹脂の少なくとも1種を含有する。水溶性樹脂は、既述の分散液調製工程後に含有されることにより、液の増粘や凝集が抑えられ、液安定性を高めることができる。また、水溶性樹脂の混合タイミングが前記オキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルの混合後であり、加熱処理を施した後であるので、インク受容層形成用組成物を塗布等して形成されたインク受容層は、高い光沢度を有し、形成された画像は耐湿性(高湿下での滲み防止)に優れる。
また、水溶性樹脂の混合により気相法シリカを好適に分散させ、形成される塗膜の強度をより向上させることができる。インク受容層が2以上の層からなる場合は、それぞれの層に含有される水溶性樹脂は、同一種であっても異なる種であってもよい。
なお、水溶性樹脂とは、常温(25℃)下で水100gに対する溶解度が10g以上である樹脂をいう。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(アセトアセチル変性、カルボキシ変性、イタコン酸変性、マレイン酸変性、シリカ変性及びアミノ基変性等の変性ポリビニルアルコールを含む)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類(変性デンプンを含む)、ゼラチン、アラビヤゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド、酢酸ビニル−ポリアクリル酸共重合体の鹸化物等が挙げられる。また、スチレン・ブタジエン共重合物、酢酸ビニル共重合物、アクリロニトリル・ブタジエン共重合物、アクリル酸メチル・ブタジエン共重合物、ポリ塩化ビニリデン等の合成高分子のラテックス系のバインダーが挙げられる。
−ポリビニルアルコール−
前記ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液を鹸化して得られるポリビニルアルコール及びその誘導体が、さらに酢酸ビニルと共重合しうる単量体と酢酸ビニルとの共重合体の鹸化物が含まれる。ここで、酢酸ビニルと共重合しうる単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、スルホン酸マレート等のオレフィンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸ソーダ、エチレンスルホン酸ソーダ、スルホン酸ソーダ(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート等のオレフィンスルホン酸アルカリ塩、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩等のアミド基含有単量体、さらには、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。
前記ポリビニルアルコールの中でも、鹸化度が92〜98mol%のポリビニルアルコール(以下、「高鹸化度ポリビニルアルコール」ともいう。)が好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度が92mol%以上であれば、より良好な中間調の色相を得ることができ、また、塗布液の粘度上昇を効果的に抑制でき、より良好な塗布安定性を得ることができる。一方、ポリビニルアルコールの鹸化度が98mol%以下であれば、インク吸収性をより向上させることができる。
ポリビニルアルコールの鹸化度として、より好ましくは、93〜97mol%である。
前記高鹸化度ポリビニルアルコールの重合度は、1500〜3600が好ましく、より好ましくは、2000〜3500である。重合度が1500以上であれば、インク受容層のひび割れをより効果的に抑制できる。3600以下であれば、塗布液の粘度上昇をより効果的に抑制できる。
ここで、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールについて略説する。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコールを用いる場合、そのアセトアセチル変性度は目的に応じて適宜選択できるが、0.1〜20モル%が好ましい。アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、一般的には、ポリビニルアルコール系高分子の溶液、分散液、粉末に液状又はガス状のジケテンを添加、反応させて得ることができるが、この製造方法についてはこれに制限されるものではない。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコールとは、アセトアセチル基により変性されたものであれば、ポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をアルカリなどのケン化触媒によってケン化して得られるポリビニルアルコールの他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その誘導体、さらに、酢酸ビニルと共重合しうる単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物を用いることもできる。
ここで、酢酸ビニルと共重合しうる単量体としては、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、スルホン酸マレート等のオレフィンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸ソーダ、エチレンスルホン酸ソ一ダ、スルホン酸ソーダ(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート等のオレフィンスルホン酸アルカリ塩、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩等のアミド基含有単量体、さらには、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。
好適なアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、ゴーセファイマーZシリーズ(日本合成化学工業(株)製)等を挙げることができる。
本発明においては、水溶性樹脂として、前記高鹸化度ポリビニルアルコール以外の水溶性樹脂を該ポリビニルアルコールと併用することもできる。併用可能な水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、鹸化度が上記範囲以外のポリビニルアルコール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;親水性のエーテル結合を有する樹脂である、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリビニルエーテル(PVE);親水性のアミド基又はアミド結合を有する樹脂である、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等を挙げることもできる。
前記高鹸化度ポリビニルアルコールと上述した水溶性樹脂とを併用する場合の前記高鹸化度ポリビニルアルコールと上記水溶性樹脂との合計量に対する前記高鹸化度ポリビニルアルコールの割合は1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がさらに好ましく、6〜12質量%が特に好ましい。
前記高鹸化度ポリビニルアルコールの含有量としては、該含有量の過少による、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ、該含有量の過多によって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、インク受容層形成用組成物の固形分に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
ポリビニルアルコールは、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基と気相法シリカの粒子表面に存在するシラノール基とが水素結合を形成して、気相法シリカ粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成し易くなる。このような三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造のインク受容層が形成されるものと考えられる。
インクジェット記録媒体において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みのない真円性の良好なドットを形成することができる。
≪気相法シリカと水溶性樹脂との含有比(PB比)≫
気相法シリカ(x)と水溶性樹脂(y)との含有比〔PB比(x/y)=水溶性樹脂1質量部に対する気相法シリカの質量〕は、インク受容層の膜構造にも大きな影響を与える。すなわち、PB比が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。
具体的には、インクジェット記録媒体は、インクジェットプリンタの搬送系を通過する際応力が加わることがあり、インク受容層は充分な膜強度を有していることが必要である。さらに、シート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れ及び剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には充分な膜強度が必要である。そのため、PB比(x/y)としては、インク受容層の硬度を高くする観点から5.5以下であることが好ましい。また更には、5.3以下であることがより好ましく、5.15以下であることが特に好ましい。
また、特に限定されるものではないが、空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、PB比は1.5以上であることが好ましく、更に、インクジェットプリンタで高速インク吸収性をも確保する観点からは2以上であることが好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカ粒子と水溶性樹脂とをPB比(x/y)が2〜5.5で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、気相法シリカ粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積0.5ml/g以上、比表面積が100m/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
(他の添加剤)
−多価金属塩−
本発明におけるインク受容層形成用組成物は、上記の成分に加え、オキシ塩化ジルコニル及び塩基性塩化ジルコニル以外の水溶性多価金属塩をさらに含むことができる。前記多価金属塩の具体例としては、例えば、特開2008−246988号公報の段落番号[0122]〜[0124]、[0131]〜[0136]に記載の水溶性アルミニウム化合物等の水溶性多価金属塩を挙げることができる。
水溶性多価金属塩の含有量としては、気相法シリカに対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜8質量%であることがより好ましい。
−架橋剤−
インク受容層形成用組成物は、水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。この架橋剤を含むことにより、前記水溶性樹脂が架橋され、硬化された多孔質層が得られる。架橋剤は、1種単独でも2種以上を組合せて用いてもよい。
架橋剤としては、インク受容層に含まれる水溶性樹脂との関係で好適なものを適宜選択すればよい。中でも、架橋反応が迅速である点でホウ素化合物が好ましく、例えば、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸塩、InBO、ScBO、YBO、LaBO、Mg(BO、Co(BO、二ホウ酸塩(例えば、Mg、Co)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO、Ca(BO、NaBO、KBO)、四ホウ酸塩(例えば、Na・10HO)、五ホウ酸塩(例えば、KB・4HO、Ca11・7HO、CsB)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩が好ましく、特にホウ酸が好ましい。また、これを水溶性樹脂であるポリビニルアルコールと組合わせて使用することが最も好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂の架橋剤としては、前記ホウ素化合物のほか、下記化合物も好適なものとして挙げることができる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許第3017280号明細書、同第2983611号明細書に記載のアジリジン系化合物;米国特許第3100704号明細書に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
更に、水溶性樹脂の架橋剤としては、下記に列挙する多価金属化合物も好ましい。多価金属化合物を用いることにより、架橋剤として働くだけでなく、耐オゾン、画像滲み、及び光沢性を一層向上させることができる。
多価金属化合物としては、水溶性のものが好ましく、例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニルアセチルアセトネート、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリン酸n水和物、12タングスト珪酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリん酸n水和物、硝酸ガリウム、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン、酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス等が挙げられる。
上記の中でも、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物等のアルミニウム含有化合物(水溶性アルミニウム化合物);ジルコニルアセチルアセトネート、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル等のジルコニル含有化合物(水溶性ジルコニル化合物);及び四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン等のチタン含有化合物が好ましく、特にポリ塩化アルミニウム、炭酸ジルコニルアンモニウムが好ましい。
架橋剤としては、上記に列挙したものの中でも、ホウ素化合物及びジルコニル化合物が特に好ましい。
好適な架橋剤として働くと共に、耐オゾン、耐画像滲み、及び光沢性をより一層向上させる観点から、前記多価金属化合物を少なくとも、前記水溶性樹脂に対し、0.1質量%以上含有することが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが特に好ましい。また、特に限定されるものではないが、多価金属化合物の含有量の上限は、画像濃度、インク吸収性、記録媒体のカールの抑制などの観点から、50質量%以下であることが好ましい。
架橋剤は、インク受容層を形成する際に、インク受容層用塗布液中及び/又はインク受容層の隣接層を形成するための塗布液中に添加してもよく、あるいは予め架橋剤を含む塗布液を塗布した支持体上に、前記インク受容層用塗布液を塗布する、又は架橋剤非含有のインク受容層用塗布液を塗布し乾燥後に架橋剤溶液をオーバーコートする等してインク受容層に架橋剤を供給することができる。好ましくは、製造効率の観点から、インク受容層用塗布液又はこの隣接層形成用の塗布液中に架橋剤を添加し、インク受容層の形成と同時に架橋剤を供給するのが好ましい。特に、画像の印画濃度及び光沢感の向上の観点より、インク受容層用塗布液に含有するのが好ましい。また、インク受容層用塗布液中の架橋剤の濃度としては、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましい。
例えば、以下のようにして好適に架橋剤を付与することができる。ここでは、ホウ素化合物を例に説明する。すなわち、
インク受容層がインク受容層用塗布液を塗布した塗布膜を架橋硬化させた層である場合、該架橋硬化は、(1)塗布液を塗布して塗布膜を形成すると同時、(2)塗布液を塗布して形成される塗布膜の乾燥途中であって該塗布膜が減率乾燥を示す前、のいずれかの時に、pH7.1以上の「塩基性化合物を含む液」又はpH6以下の「酸性化合物を含む液」を前記塗布膜に付与することにより行なわれる。架橋剤であるホウ素化合物は、上記の塗布液及び「塩基性化合物を含む液」もしくは「酸性化合物を含む液」の少なくとも一方に含有させればよい。
−媒染剤−
インク受容層形成用組成物は、媒染剤の少なくとも1種を含有することが好ましく、画像の経時滲み抑制及び耐水性をより向上させることができる。
媒染剤としては、カチオン性ポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤が好ましい。カチオン性媒染剤としては、カチオン性の官能基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染剤モノマー)の単独重合体や、該媒染剤モノマーと他の単量体(非媒染剤モノマー)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
前記媒染剤モノマー及びカチオン性ポリマーの具体例としては、例えば特開2008−246988号公報の段落番号[0024]〜[0031]に記載のものを挙げることができる。また無機媒染剤の具体例としては、例えば特開2008−246988号公報の段落番号[0130]〜[0137]に記載のものを挙げることができる。
上記の媒染剤をインク受容層に添加する場合の添加量としては、0.01〜5g/mが好ましい。
−その他の成分−
インク受容層形成用組成物は、必要に応じて、各種の界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色性防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等のその他の成分を含んでいてもよい。これらを含有することにより、インクの劣化を抑制することができる。
その他の成分としては、特開2005−14593号公報中の段落番号[0088]〜[0117]に記載されている成分や、特開2006−321176号公報中の段落番号[0138]〜[0155]に記載されている成分等を、適宜選択して用いることができる。
(界面活性剤)
本発明において、インク受容層形成用組成物は界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコーン系の界面活性剤のいずれも使用可能である。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、中でもポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号明細書、特開昭59−49535号公報、同63−236546号公報、特開平5−303205号公報、同8−262742号公報、同10−282619号公報等に記載のものを好適に用いることができる。両性界面活性剤としてはアミノ酸型両性界面活性剤が好ましく、該アミノ酸型両性界面活性剤としては、特開平5−303205号公報に記載の例えばアミノ酸(グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン酸等)から誘導体化されたものが挙げられる。具体的には、長鎖のアシル基を導入したN−アミノアシル酸及びその塩が挙げられる。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体を経て誘導される化合物が挙げられる。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
また、前記シリコーン系界面活性剤としては、例えば、有機基で変性したシリコンオイルが好ましく、これは、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性としてアミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
本発明において界面活性剤の含有量としては、インク受容層形成用組成物の全質量に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、0.01〜1.0質量%がより好ましい。
本発明において、インク受容層形成用組成物は、例えば、以下のようにして調製することができる。すなわち、
気相法シリカと、オキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルと、分散剤(好ましくはカチオンポリマー)とを水中に添加して、既述した分散処理(微粒子分散液の調製)と同様に分散処理を行ない、加熱処理を行なった後、水溶性樹脂(好ましくはポリビニルアルコール(PVA))水溶液を加え、更に、後述する前記水溶性アルミニウム化合物を加えて分散を行なうことにより調製することができる。
なお、水溶性アルミニウム化合物は、塗布直前にインライン混合により加えてもよい。
得られたインク受容層形成用組成物は均一なゾル状態であり、粘度の上昇が抑制され、優れた塗布適性を有している。これを後述する塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質性のインク受容層を形成することができる。
また、上記の各工程において、溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
<インクジェット記録媒体の製造方法>
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、既述の本発明のインク受容層形成用組成物の製造方法により作製されたインク受容層形成用組成物を、支持体の上に付与(好ましくは、塗布液を塗布)し、インク受容層を形成する工程(以下、受容層形成工程ともいう。)を設けて構成されている。本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、受容層形成工程に加えて、必要に応じて、さらに乾燥工程や、塩基性化合物を付与して塗布層を架橋する架橋工程などの他の工程を設けて構成されてもよい。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法において、受容層形成工程を設けて支持体上にインク受容層を形成することにより、本発明のインクジェット記録媒体が得られる。本発明のインクジェット記録媒体については後述する。
かかる構成により、インク受容層形成用組成物の凝集、粘度上昇が抑制されており、良好な面状のインク受容層を形成することができる。また、得られるインクジェット記録媒体は、形成された画像の高湿下での滲み抑制(耐湿性)に優れると共に、インク付与後に加熱乾燥を行なった場合でも、臭気の発生を抑制することができる。
インク受容層形成用組成物を得る工程については、既述のインク受容層形成用組成物の製造方法をそのまま適用することができる。
−受容層形成工程−
本発明における受容層形成工程は、支持体上に、既述の本発明に係るインク受容層形成用組成物を付与(好ましくは塗布液を塗布)して、インク受容層を形成する。
インク受容層の形成は、インク受容層形成用組成物を支持体上に付与できる方法であれば特に制限されるものではなく、例えば、組成物を塗布する塗布法、組成物中に浸漬する浸漬法、組成物を噴出、噴霧する方法などにより行なうことができる。中でも、塗布法によるのが、均一性の高い塗布膜が形成できる点で好ましい。
前記インク受容層形成用組成物を含む塗布液、及び必要に応じて用いられる他の塗布液を塗布する方法としては、通常用いられる塗布方法を用いることができる。具体的には、例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、リバースコーター等を用いた方法を挙げることができる。
インク受容層が2層以上から構成される場合は、1層ずつ塗布する逐次塗布方法(例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、リバースコーター等による方法)であってもよいし、インク受容層を構成する複数の層を、乾燥工程を設けずに殆ど同時に塗布する同時重層塗布方法(例えば、スライドビードコーター、スライドカーテンコーター、エクストルージョンダイコーター等による方法)であってもよい。また、例えば特開2005−14593号公報の段落番号0016〜0037に記載の、いわゆるWet−On−Wet法(以下、WOW法)であってもよい。
本発明においては、更に、必要に応じて、前記塗布液上に、その他の塗布液を塗布してもよい。また、前記各塗布液の間には、バリアー層塗布液や中間層塗布液を介在させてもよい。
前記インク受容層形成用組成物を含む塗布液の固形分塗布量としては、支持体の片面当たり、2〜30g/mが好ましく、5〜20g/mがより好ましい。
インク受容層の層厚としては、インクジェット記録する場合の液滴を全て吸収するだけの吸収容量を持つ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定することが好ましい。例えば、インク量8nL/mmとして空隙率が60%である場合は、層厚は約15μm以上であることが好ましい。この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、インク受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
なお、インク受容層の空隙率は、(株)島津製作所製の水銀ポロシメーター「ポアサイザー9320−PC2」を用いて測定することができる。
インク受容層は、透明性が高いことが好ましく、その目安としてはインク受容層を透明フィルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。なお、ヘイズ値は、スガ試験機(株)製のヘイズメーター「HGM−2DP」を用いて測定することができる。
本発明におけるインク受容層は、1層からなるものであっても、2層以上からなるものであってもよい。インク受容層が2層以上からなる場合、インク受容層を構成するそれぞれの層は、隣り合う層と互いに異なる構成であればよい。異なる構成であるとは、例えば、構成成分の種類及び含有量の少なくとも一方が互いに異なっていることが挙げられる。
(支持体)
本発明における支持体は、限定されるものではないが、画像記録に伴うカール等の変形が抑制される点で水非浸透性支持体が好ましい。ここで、「水非浸透性」とは、水を吸収しないか、又は水の吸収量が0.3g/m以下である性質をいう。
本発明において、水非浸透性支持体表面の光沢度は特に限定はないが、高光沢支持体、低光沢支持体どちらを用いても、半光沢品の作製が可能になり、支持体の選択の幅を広げる観点からは、40%以上であることが好ましく、45%以上95%以下であることがより好ましく、50%以上85%以下であることがより好ましい。更に、水非浸透性支持体両面の光沢度とも前記範囲であることが特に好ましい。
本発明に用いることができる支持体としては、例えば、特開2008−246988号公報の段落番号[0139]〜[0155]に記載の支持体を挙げることができ、中でも、ポリオレフィン被覆紙を好ましく用いることができる。
−硬化工程−
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、前記インク受容層形成用組成物を含む塗布液(以下、単に「塗布液」ということがある)を塗布して形成された塗布層に、
(1)少なくとも前記塗布液を塗布すると同時、
(2)少なくとも前記塗布液を塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、
のいずれかのときに、pH7.1以上の塩基性化合物を含む液又はpH6以下の酸性化合物を含む液を付与し、前記塗布層の架橋硬化を行なう硬化工程を有していてもよい。
前記「(1)少なくとも前記塗布液を塗布すると同時」に「塩基性化合物を含む液」又は「酸性化合物を含む液」を付与する方法としては、前記塗布液、(必要に応じ前記その他の塗布液)、並びに「塩基性化合物を含む液」もしくは「酸性化合物を含む液」を、支持体側からこの順となるように、同時塗布(重層塗布)する形態が好適である。
前記同時塗布(同時重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーター等の公知の塗布装置を用いて行なうことができる。
前記「(2)少なくとも前記塗布液を塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前」に「塩基性化合物を含む液」又は「酸性化合物を含む液」を付与する方法は、「Wet−On−Wet法」や「WOW法」と呼ばれている方法である。「Wet−On−Wet法」の詳細については、例えば、特開2005−14593号公報の段落番号[0016]〜[0037]に記載されている。
本発明においては、前記塗布液(更に、必要に応じてその他の塗布液)を塗布して塗布層を形成した後、形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前に、(i)該塗布層上に更に「塩基性化合物を含む液」等を塗布する方法、(ii)スプレー等により「塩基性化合物を含む液」等を噴霧する方法、(iii)前記塗布層が形成された支持体を「塩基性化合物を含む液」等中に浸漬する方法、が挙げられる。
前記(i)において、「塩基性化合物を含む液」又は「酸性化合物を含む液」を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。中でも、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーター等のように、既に形成されている塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
硬化工程における「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、インク受容層用塗布液(本発明においては、前記塗布液(更に、必要に応じその他の塗布液))の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
前記「塗布層が減率乾燥を示すようになるまで乾燥」されるための条件としては、一般に40〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行なわれる。この乾燥時間は、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
(塩基性化合物を含む液)
ここで、硬化工程における前記「塩基性化合物を含む液」について説明する。
「塩基性化合物を含む液」は、塩基性化合物の少なくとも1種を含有する。
塩基性化合物としては、弱酸のアンモニウム塩、弱酸のアルカリ金属塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、弱酸のアルカリ土類金属塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸バリウムなど)、ヒドロキシアンモニウム、1〜3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリへキシルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミンなど)、1〜3級アニリン(例えば、ジエチルアニリン、ジブチルアニリン、エチルアニリン、アニリンなど)、置換基を有してもよいピリジン(例えば、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)−アミノピリジンなど)、等が挙げられる。
また、上記の塩基性化合物以外に、該塩基性化合物と共に他の塩基性物質及び/又はその塩を併用することもできる。他の塩基性物質としては、例えば、アンモニアや、エチルアミン、ポリアリルアミン等の第一アミン類、ジメチルアミン等の第二アミン類、N−エチル−N−メチルブチルアミン等の第三アミン類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、等が挙げられる。
上記のうち特に、弱酸のアンモニウム塩が好ましい。弱酸とは、化学便覧基礎編II(丸善株式会社)等に記載の無機酸及び有機酸でpKaが2以上の酸である。前記弱酸のアンモニウム塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硼酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。中でも、好ましくは炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウムであり、乾燥後において層中に残存せずインク滲みを低減できる点で効果的である。
なお、塩基性化合物は、2種以上を併用することができる。
前記塩基性化合物(特に弱酸のアンモニウム塩)の「塩基性化合物を含む液」中の含有量としては、「塩基性化合物を含む液」の全質量(溶媒を含む)に対し、0.5〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。塩基性化合物(特に弱酸のアンモニウム塩)の含有量を特に上記範囲とすると、充分な硬化度が得られ、またアンモニア濃度が高くなりすぎて作業環境を損なうこともない。
前記「塩基性化合物を含む液」は、必要に応じて、金属化合物、架橋剤、他の媒染剤成分、界面活性剤等をさらに含有することができる。
「塩基性化合物を含む液」は、アルカリ溶液として用いることで硬膜を促進でき、pH7.1以上が好ましく、より好ましくはpH8.0以上であり、特に好ましくはpH9.0以上である。前記pHが7.1以上であると、塗布液に含まれることがある水溶性樹脂(バインダー)の架橋反応をより進めることができ、ブロンジングやインク受容層のひび割れをより効果的に抑制できる。
前記「塩基性化合物を含む液」は、例えば、イオン交換水に、架橋剤(例えば、ホウ素化合物;例えば0.1〜1%)及び 塩基性化合物(例:炭酸アンモニウム;例えば1〜10%)と、必要に応じて界面活性剤等の添加剤(例えば、0.1〜1%)とを添加し、十分に攪拌することで調製することができる。なお、各組成物の「%」はいずれも固形分質量%を意味する。
(酸性化合物を含む液)
次に、前記「酸性化合物を含む液」について説明する。
「酸性化合物を含む液」は、少なくとも1種の酸性化合物を用いて構成することができる。酸性化合物としては、特に制限はなく、無機酸であっても有機酸であってもよい。本発明においては、インク受容層の塗膜強度の観点から、pKaが2〜5の酸性化合物が好ましい。
前記酸性化合物の具体例としては、無機酸としては例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ほう酸、ボロン酸、スルファニル酸、及びスルファミン酸、等、更には塩基性塩化アルミニウムなどを挙げることができる。塩基性塩化アルミニウムとしては、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、大明化学工業(株)製のアルファイン75,83などを使用することができる。
酸性化合物は、1種単独で用いるほか、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸性化合物の「酸性化合物を含む液」中における含有量としては、特に制限はなく、0.001〜1質量%の範囲とすることができ、中でも0.005〜0.5質量%が好ましい。
また、「塩基性化合物を含む液」又は「酸性化合物を含む液」の調製に用いる溶媒には、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
−冷却工程、乾燥工程−
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、前記受容層形成工程で形成された塗布膜を、前記インク受容層形成用塗布液の温度に対して5℃以上低下するように冷却する工程(以下、「冷却工程」ともいう)と、冷却された塗布層を乾燥してインク受容層を形成する工程(以下、「乾燥工程」ともいう)と、を有していてもよい。
冷却工程において塗布層を冷却する方法としては、塗布層が形成された支持体を、0〜10℃(より好ましくは0〜5℃)に保たれた冷却ゾーンで、5〜30秒冷却させて、塗布膜の冷却温度を0〜20℃にする方法が好適である。
ここで、塗布膜の温度は、膜面の温度を測定することにより測定する。
−その他の工程等−
本発明において、支持体上にインク受容層を形成した後、該インク受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定して行なう必要がある。
カレンダー処理を行なう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
インク受容層の層厚は、インクジェット記録の場合においてはインク滴を全て吸収するのに必要な吸収容量を有していることが必要とされるため、層中の空隙率との関連で決定されるのが重要である。例えば、インク量が8nL/mmで、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、インク受容層の層厚は10〜50μmが好ましい。
インク受容層の細孔径は、平均細孔径で0.005〜0.025μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。空隙率及び細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製のボアサイザー9320−PC2(商品名))を用いて測定することができる。
インク受容層は、透明性に優れていることが好ましい。透明性の目安としては、インク受容層を透明フィルム(支持体)上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。ヘイズ値は、ヘイズメーターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いて測定することができる。
インクジェット記録媒体の構成層(例えば、インク受容層あるいはバック層など)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。このポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止等のような膜物性改良の目的で含有することができる。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。なお、ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を、媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを効果的に防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止する効果が得られる。
本発明のインクジェット記録媒体は、受容層形成工程を有する上記の製造方法により作製され、支持体と、該支持体上に設けられ、気相法シリカ及び必要に応じてカチオンポリマー、オキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニル、水溶性樹脂、並びに必要により他の成分を含有するインク受容層とを設けて構成されたものである。
なお、支持体の詳細、並びに気相法シリカ、カチオンポリマー、オキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニル等のインク受容層を構成する各成分の詳細については、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、既述の本発明のインクジェット記録媒体の製造方法により作製されたインクジェット記録媒体のインク受容層に、インクジェット法によりインクを吐出し、画像を形成する画像形成工程と、少なくとも前記画像を加熱して乾燥させる乾燥工程と、を設けて構成されている。本発明の画像形成方法は、画像形成工程及び乾燥工程で構成された形態に限らず、必要に応じて更に他の工程を設けて構成されてもよい。
−画像形成工程−
本発明における画像形成工程は、既述の本発明のインクジェット記録媒体の製造方法により作製されたインクジェット記録媒体のインク受容層に、インクジェット法によりインクを吐出し、画像を形成する。
本発明に用いられるインクとしては、インクジェット記録に通常用いられるインクを特に制限なく用いることができる。例えば、染料と、水と、水溶性有機溶剤とを含み、必要に応じて界面活性剤などのその他の成分を含む水系インクを用いることができる。
具体的には例えば、特開2007−138124号公報等に記載のインクを挙げることができ、本発明においてもこれらを好ましく用いることができる。
前記インクジェット法には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
尚、前記インクジェット法により記録を行なう際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
また、インクジェットヘッドとしては、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式のほか、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式を適用することができる。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができる。また、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
インクジェットヘッドから吐出されるインクの液滴量としては、0.2〜10pl(ピコリットル)が好ましく、0.4〜5plがより好ましい。
また、画像記録時におけるインクの最大総吐出量としては、10〜36ml/mの範囲が好ましく、15〜30ml/mの範囲が好ましい。
−乾燥工程−
本発明における乾燥工程は、前記画像形成工程で形成された画像を少なくとも加熱し、インク溶媒の少なくとも一部を除去、乾燥させる。このとき、画像形成工程でインクが付与されたインクジェット記録媒体に対して加熱してもよいし、画像を選択的に加熱するようにしてもよい。
乾燥工程は、インクジェット記録媒体上に付与されたインク中の水溶性有機溶剤及び水の少なくとも一部を除去することができれば特に制限なく、通常用いられる加熱方法を用いることができる。具体的には、ニクロム線ヒーター等の発熱体で加熱する方法、温風又は熱風を供給する方法、ハロゲンランプ、赤外線ランプなどで加熱する方法など、非接触で乾燥させる方法を好適に挙げることができる。
乾燥工程における加熱温度は適宜選択することができ、例えば、25〜70℃とすることができる。
乾燥工程において、インクが付与されたインクジェット記録媒体を加熱することで、インク又はインクジェット記録媒体に由来する揮発性物質による臭気が発生することがあるが、本発明のインクジェット記録媒体を用いることで、このような臭気の発生を効果的に抑制することができる。
前記揮発性物質による臭気としては、例えば、インクジェット記録媒体に含まれることがある酢酸ジルコニルに由来する酢酸臭を挙げることができる。本発明のインクジェット記録媒体においては、酢酸ジルコニウムを用いずにオキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルを用い、水溶性樹脂との混合前に、気相法シリカとともにオキシ塩化ジルコニル及び/又は塩基性塩化ジルコニルを混合、分散後、さらに加熱処理して調製したシリカ分散液を用いることによって、インク受容層溶組成物の調製、及びインク受容層の形成を行なうことにより、乾燥工程での臭気の発生が効果的に抑制される。また、インク受容層形成用組成物の粘度上昇が抑制され、高光沢を持ち、湿熱滲みの抑制(耐湿性)に優れた画像が形成できる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(実施例1)
−支持体の作製−
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加した。その後、長網抄紙機により秤量し、170g/mの原紙を抄造した。
得られた原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4質量%水溶液に蛍光増白剤(住友化学工業(株)製の「Whitex BB」)0.04質量%を添加し、原紙にこれを、絶乾重量換算で0.5g/mとなるように含浸させ、乾燥した。その後、更にキャレンダー処理を施して、密度1.05に調整した基紙を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、この樹脂層面を「ウラ面」と称する。)。このウラ側の樹脂層に更にコロナ放電処理を施した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを質量比1:2で水に分散した分散液を、乾燥重量が0.2g/mとなるように塗布した。
更に、樹脂層の設けられていないフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10質量%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01質量%(対ポリエチレン)を含有する、MFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み29μmとなるように溶融押出しし、高光沢の熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、樹脂被覆紙を作製した。
−インク受容層形成用塗布液の調製−
下記の成分(1)〜(4)を順次、ホモミキサーで攪拌している中に添加して、インク受容層形成用塗布液を調製した。塗布液のpHは、3.8であった。
<インク受容層形成用塗布液の組成>
(1)下記の気相法シリカ分散液 ・・・65.0部
(2)アセトアセチル変性ポリビニルアルコール10質量%水溶液 ・・・20.0部
(ゴーセファイマーZ−200、日本合成化学工業(株)製)
(3)ポリオキシエチレンラウリルエーテル ・・・0.8部
(エマルゲン109P(10%水溶液)、花王(株)製;界面活性剤)
(4)水 ・・・8.0部
(気相法シリカ分散液の調製)
下記組成中の(1)気相法シリカ微粒子と(2)イオン交換水と(3)シャロールDC−902Pと(4)ZC−20(塩化ジルコニル)とを混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて分散させた。その後、得られた分散液を45℃に加熱し、20時間保持した。
<シリカ分散液の組成>
(1)気相法シリカ微粒子 ・・・8.9部
(AEROSIL 300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・54.8部
(3)シャロールDC−902P(51.5質量%水溶液) ・・・0.8部
(分散剤、含窒素有機カチオンポリマー、第一工業製薬(株)製)
(4)ジルコゾールZC−20(ZrOCl2) ・・・0.5部
(第一稀元素化学工業(株)製、塩化ジルコニル;ZrO換算での含有率:20質量%)
−インク受容層の形成−
上記で得た支持体のオモテ面にコロナ放電処理を施した後、このオモテ面に上記で調製したインク受容層形成用塗布液を、塗布液温度を38℃とし、塗布量が196g/mとなるようにエクストルージョンダイコーターにて塗布することにより塗布膜を形成した。形成された塗布膜を、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/秒)で塗布膜の固形分濃度が24質量%になるまで乾燥させた。この間、塗布膜は恒率乾燥を示した。その直後、下記組成の溶液に3秒間浸漬し、塗布膜上にその13g/mを付着させた後、更に72℃で10分間、乾燥させて支持体上にインク受容層を形成した。
以上のようにして、インクジェット記録媒体を作製した。
<溶液の組成>
・イオン交換水 ・・・74.0部
・アルファイン83 ・・・20.0部
(大明化学工業(株)製、26.0質量%水溶液、酸性化合物)
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル ・・・6.0部
(エマルゲン109P(10質量%水溶液)、花王(株)製;界面活性剤)
−評価−
得られたインクジェット記録媒体について、下記の評価を行なった。評価結果は、下記表2に示す。
(1)液安定性
インク受容層形成用塗布液を30℃の環境下に放置し、粘度が時間とともに上昇して300mPa・s以上に達するまでの時間から、下記の評価基準にしたがって評価した。粘度(mPa・s)の測定は、JIS Z8803に準拠してB型粘度計(東京計器(株)製)により30℃にて測定した。尚、評価Dは、実用上許容できない範囲である。
<評価基準>
A:塗布液調製後、1晩放置しても取扱い性に支障はなかった。
B:塗布液調製後、1時間以内は取扱い性に支障はなかった。
C:塗布液の調製直後を除いては、やや取扱い性に劣っていた。
D:増粘が著しく、取り扱い不可能であった。
(2)滲み(耐湿性)
純正インクセットを装填したミニラボ用高速インクジェットプリンタ(富士フイルム(株)製「DL410」)を用いて、以下に説明する84個の滲み評価用パッチからなる画像をそれぞれ印画して、滲み評価用サンプルを作製した。得られた滲み評価用サンプルを25℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽に4週間保管した後、84個の滲み評価用パッチそれぞれについて、保管前と保管後の色差ΔEを、分光光度計(スペクトロリノ、グレタグマクベス社製)を用いて、光源F8、視野角2度の条件でLを測定することにより求めた。測定した84個の滲み評価用パッチに対応する色差ΔEの平均値ΔEavを算出し、下記評価基準にしたがって評価した。尚、評価Dは、実用上許容できない範囲である。
<評価基準>
A:ΔEavが1.0未満(Excellent)であった。
B:ΔEavが1.0以上1.5未満(Good)であった。
C:ΔEavが1.5以上2.0未満(Acceptable)であった。
D:ΔEavが2.0以上(No Good)であった。
<滲み評価用パッチ>
下記表1のA1〜A14、B1〜B14、C1〜C14、D1〜D14、E1〜E14、F1〜F14のいずれかで指定される2色(内の色と外の色)を用いて、内の色からなる略正方形の画素と外の色からなる略正方形の画素によって、市松模様が構成されるように内の色からなる画素と外の色からなる画素をそれぞれ交互に印画して、1辺が21個の画素からなる略正方形の滲み評価用パッチの1個を印画した。このような滲み評価用パッチをA1〜A14、B1〜B14、C1〜C14、D1〜D14、E1〜E14、F1〜F14のそれぞれについて印画して84個の滲み評価用パッチからなる画像を構成した。
具体的には例えば、B4で指定される2色(内の色がマゼンタ、外の色がイエロー)について、図1に模式図として示した市松模様の黒部分に外の色(イエロー)からなる画素を、市松模様の白部分に内の色(マゼンタ)からなる画素をそれぞれ印画して、B4で指定される滲み評価用パッチを印画した。
なお、市松模様を構成する個々の画素は1辺が420μmの略正方形であり、21×21の441画素からなる滲み評価用パッチは1辺が8.8mmの略正方形である。

前記表1において、Yeはイエロー、Maはマゼンタ、Cyはシアン、Reはレッド、Grはグリーン、Blはブルー、Whはホワイト(すなわち未印画)、Bkはブラックをそれぞれ意味する。また「5」の添え字がある色は、前記各色の50%濃度であることを意味する。
A13〜F13はそれぞれブラックのグラデーションであり、例えば、A13は256階調のうち、濃度階調256の無色レベルから濃度階調179までの連続階調である。またA14〜F14は肌色についての同様のグラデーションである。
(3)酢酸臭
純正インクセットを装填したミニラボ用高速インクジェットプリンタ装置DL410(富士フイルム(株)製)を用いて、以下のようにして画像記録を行ない、画像記録中における臭気の発生を、インクジェットプリンタ装置から0.5mの位置において官能評価し、下記評価基準にしたがってランク付けした。
<方法>
得られたインクジェット記録媒体をDL410に装填し、そのインク受容層にシアンのベタ画像を記録した後、DL410に備えられている乾燥部で加熱乾燥処理を行なう画像記録を、L版サイズ100枚について連続して行ない、評価用サンプルを作製した。また、加熱乾燥処理を行なわない常温乾燥による画像記録については、前記DL410の乾燥部のヒーターを取り除いた改造機を用いたこと以外は、上記と同様にして評価用サンプルを作製した。尚、評価Dは、実用上許容できない範囲である。
<評価基準>
A:ほとんど臭気を感じなかった。
B:僅かに臭気を感じたが、実用上問題のない程度であった。
C:やや強い臭気を感じ、実用上問題がある程度であった。
D:強い臭気を感じた。
(4)光沢度
光沢度は、記録前のインク受容層の表面をデジタル変角光沢度計(UGV-50DP、スガ試験機(株)製)を用いて60°の鏡面光沢として測定し、下記評価基準にしたがって評価した。尚、評価C及びDは、実用上許容できない範囲である。
<評価基準>
A:45以上
B:35以上45未満
C:30以上35未満
D:30未満
(実施例2)
支持体として実施例1と同様にして作製した樹脂被覆紙を用意し、これを用いて以下に示すようにしてインクジェット記録媒体を作製した。また、作製したインクジェット記録媒体について、実施例1と同様の評価を行なった。評価結果は、下記表2に示す。
−インク受容層形成用塗布液の調製−
下記組成に示す(1)気相法シリカ微粒子と(2)イオン交換水と(3)シャロールDC−902Pと(4)ZC−2(オキシ塩化ジルコニル)とを混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて分散させた後、得られた分散液を45℃に加熱して20時間保持した。その後、この分散液に(5)ホウ酸と(6)ポリビニルアルコール溶解液と(7)カチオン変性ポリウレタンとを30℃で加え、インク受容層形成用塗布液を調製した。
シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比=(1):(6))は、4.9:1であり、塗布液のpHは、3.4で酸性を示した。
<インク受容層形成用塗布液の組成>
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・8.9部
(AEROSIL 300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・47.3部
(3)シャロールDC−902P(51.5質量%水溶液) ・・・0.78部
(分散剤、含窒素有機カチオンポリマー、第一工業製薬(株)製)
(4)ジルコゾールZC−2(ZrO(OH)Cl・nH2O) ・・・0.42部
(第一稀元素化学工業(株)製、オキシ塩化ジルコニル;ZrO換算での含有率:35質量%)
(5)ホウ酸(5質量%水溶液) ・・・6.57部
(6)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 ・・・26.0部
〜ポリビニルアルコール溶解液の組成〜
・JM33 ・・・1.81部
(ポリビニルアルコール(PVA);鹸化度95.5%、重合度3300、
日本酢ビ・ポバール(株)製)
・HPC−SSL ・・・0.08部
(水溶性セルロース、日本曹達(株)製)
・イオン交換水 ・・・23.45部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・0.55部
(ブチセノール20P、協和発酵ケミカル(株))
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル ・・・0.06部
(エマルゲン109P(10質量%水溶液)、花王(株)製;界面活性剤)
(7)カチオン変性ポリウレタン ・・・1.8部
(スーパーフレックス650−5(25質量%液)、第一工業製薬(株)製)
−インク受容層の形成−
上記で得た支持体の一方の面にコロナ放電処理を施した後、該一方の面に、上記で調製したインク受容層形成用塗布液を、以下のようにしてエクストルージョンダイコーターにて塗布し、塗布膜を形成した。具体的には、インク受容層形成用塗布液を175.0g/mとし、これに下記インライン液を11.4g/mの速度(塗布量)にてインライン混合した後、支持体に塗布した。
<インライン液の組成>
・アルファイン83(大明化学工業(株)製)・・・2.0部
・イオン交換水 ・・・7.8部
・ハイマックスSC−507 ・・・0.2部
(ジメチルアミン・エピクロロヒドリン重縮合物、ハイモ(株)製、70質量%溶液)
上記により塗布形成された塗布膜を、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/秒)で塗布膜の固形分濃度が36質量%になるまで乾燥させた。この間、塗布膜は恒率乾燥を示した。その直後、下記組成の塩基性化合物を含む溶液に3秒間浸漬し、塗布膜上にその13g/mを付着させ、更に72℃下で10分間乾燥させ(乾燥工程)、支持体の一方の面にインク受容層を形成した。
以上により、支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録媒体を作製した。
<塩基性化合物を含む溶液の組成>
・ホウ酸 ・・・0.65部
・炭酸アンモニウム(1級:関東化学(株)製)・・・5.0部
・イオン交換水 ・・・93.75部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル ・・・0.6部
(エマルゲン109P(10質量%水溶液)、花王(株)製;界面活性剤)
(実施例3)
実施例2において、インク受容層形成用塗布液の調製を、下記の手順に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。評価結果は、下記表2に示す。
<インク受容層形成用塗布液の調製>
(1)気相法シリカ微粒子と(2)イオン交換水と(3)シャロールDC−902Pとを混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて分散させた。これに更に、(4)ZC−2(オキシ塩化ジルコニル)を混合した後、この分散液を45℃に加熱して20時間保持した。その後、この分散液に(5)ホウ酸と(6)ポリビニルアルコール溶解液と(7)カチオン変性ポリウレタンとを30℃で加え、インク受容層形成用塗布液を調製した。
シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比=(1):(6))は、4.9:1であり、塗布液のpHは、3.4で酸性を示した。
(実施例4〜6)
実施例3において、インク受容層形成用塗布液の調製に際して、45℃で加熱した後の保持時間を20時間から10時間、5時間、1時間にそれぞれ変更したこと以外は、実施例3と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。評価結果は、下記表2に示す。
(実施例7〜8)
実施例3において、インク受容層形成用塗布液の調製に際して、加熱温度を45℃から30℃、60℃にそれぞれ変更したこと以外は、実施例3と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。評価結果は、下記表2に示す。
(実施例9)
実施例3において、画像記録に際し、乾燥部での加熱乾燥処理を行わなかったこと以外は、実施例3と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。評価結果は、下記表2に示す。
(比較例1)
実施例1において、シリカ分散液の調製に用いたZC−20(塩化ジルコニル;ZrOCl2)を、同量のZA−30(第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニル;ZrO換算での含有率:30質量%)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録媒体を作製し、評価を行なった。評価結果は、下記表2に示す。
(比較例2)
実施例3において、分散液に対する加熱保持(45℃20時間)を行なわず、分散液に(5)ホウ酸、(6)ポリビニルアルコール溶解液、及び(7)カチオン変性ポリウレタンを加えて塗布液組成とした後に、45℃に加熱して20時間保持するようにしたこと以外は、実施例3と同様にして、インクジェット記録媒体を作製した。評価結果は、下記表2に示す。
(比較例3)
実施例2において、インク受容層形成用塗布液の調製に用いたZC−2を加えなかったこと以外は、実施例2と同様にして、インクジェット記録媒体を作製し、評価を行なった。評価結果は、下記表2に示す。

前記表2に示すように、気相法シリカを含むインク受容層形成用の塗布液調製に際し、塗布液調製前のシリカ分散液に加熱処理を行なう実施例では、液粘度などの性状が安定しており、臭気が少なく、高湿下での滲みの発生が防止された画像を形成することができた。

Claims (8)

  1. 気相法シリカとオキシ塩化ジルコニル及び塩基性塩化ジルコニルの少なくとも一方とを混合し、分散させてシリカ分散液を調製する分散液調製工程と、
    前記分散液調製工程で調製されたシリカ分散液に加熱処理を行なう加熱処理工程と、
    を有するシリカ分散液の製造方法。
  2. 前記分散液調製工程は、予め気相法シリカが分散された予備分散液と、オキシ塩化ジルコニル及び塩基性塩化ジルコニルの少なくとも一方とを混合し、前記シリカ分散液を調製する請求項1に記載のシリカ分散液の製造方法。
  3. 前記分散液調製工程は、更にカチオンポリマーを加えて前記シリカ分散液を調製する請求項1又は請求項2に記載のシリカ分散液の製造方法。
  4. 前記気相法シリカに対する、前記オキシ塩化ジルコニル及び前記塩基性塩化ジルコニルのZrO換算[質量]での合計量の比率が、0.5〜10質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のシリカ分散液の製造方法。
  5. 前記加熱処理は、30〜60℃で2時間以上保持して行なう請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のシリカ分散液の製造方法。
  6. 少なくとも、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のシリカ分散液の製造方法により作製されたシリカ分散液と、水溶性樹脂とを混合して、インク受容層形成用組成物を調製する組成物調製工程を有するインク受容層形成用組成物の製造方法。
  7. 請求項6に記載のインク受容層形成用組成物の製造方法により作製されたインク受容層形成用組成物を、支持体の上に付与し、インク受容層を形成する工程を有するインクジェット記録媒体の製造方法。
  8. 請求項7に記載のインクジェット記録媒体の製造方法により作製されたインクジェット記録媒体のインク受容層に、インクジェット法によりインクを吐出し、画像を形成する画像形成工程と、
    少なくとも前記画像を加熱して乾燥させる乾燥工程と、
    を有する画像形成方法。
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