JP2012116072A - インクジェット記録媒体およびインクジェット画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速印画時のインク吸収性に優れ、滲みやブリーディングの発生が抑制されるインクジェット記録媒体を提供する。
【解決手段】インクジェット記録媒体を、支持体と、前記支持体上に設けられるとともに無機粒子の少なくとも2種および樹脂を含み、前記無機粒子は細孔径が200nm以上である第1の無機粒子および体積平均粒子径が200nm以下である第2の無機粒子を含有し、前記第1の無機粒子の含有率が前記無機粒子の総量中の50質量%を超える、第1のインク受容層と、前記第1のインク受容層上に設けられるとともに気相法シリカおよび水溶性樹脂を含む第2のインク受容層と、を有して構成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録媒体およびインクジェット画像形成方法に関する。
カラー画像を記録する画像記録方法としては、近年、様々な方法が提案されているが、いずれにおいても画像の品質、風合い、記録後のカールなど、記録物の品位に対する要求は高い。
例えば、インクジェット記録方法は、インクを受容する記録層が多孔質構造に構成されたインクジェット記録媒体を用いた方法が実用化されている。その一例として、無機顔料粒子及び水溶性バインダーを含み、高い空隙率を有する記録層が支持体上に設けられたインクジェット記録媒体があり、多孔質構造を有するためにインクの速乾性に優れ、高い光沢を有する等、写真ライクな画像の記録が可能になってきている。
インクジェット技術は、オフィスプリンタ、ホームプリンタ等の分野に適用されてきたが、近年では、商業印刷分野での応用がなされつつある。例えば、画像を高速に又は一度に多数枚を印画したり、あるいはフォトブックなどの商業用のプリント等として両面に画像を記録したりする等の用途に対する要求がある。このような用途では、インクを打滴して画像記録するにあたり、高画質で高光沢な画像をより高速で記録できるだけでなく、記録材料としての品質上、記録画像の濃度や色味が安定していることが求められる。
上記に関連する技術として、支持体上に2層以上の塗工層を有するインクジェット記録媒体であって、下層に比表面積の異なる2種の顔料を含み、上層に超微粒子顔料と水溶性樹脂を含むインクジェット記録媒体が開示され、インク吸収性および平滑性に優れ、画像濃度が高く、画像の均一性が良好とされている(例えば、特許文献1参照)。また支持体上に2層以上の塗工層を有し、最表層に超微細凝集体顔料とマット化顔料とを含むインクジェット記録媒体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−231914号公報 特開2006−297819号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のインクジェット記録媒体では、特に高速印画時のインク吸収性が十分とは言い難い場合があった。
本発明は、高速印画時のインク吸収性に優れ、滲みやブリーディングの発生が抑制されるインクジェット記録媒体、およびこれを用いたインクジェット画像形成方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 支持体と、前記支持体上に設けられるとともに少なくとも2種の無機粒子および樹脂を含み、前記無機粒子は細孔径が200nm以上である第1の無機粒子および体積平均粒子径が200nm以下である第2の無機粒子を含有し、前記第1の無機粒子の含有率が前記無機粒子の総量中の50質量%を超える、第1のインク受容層と、前記第1のインク受容層上に設けられるとともに気相法シリカおよび水溶性樹脂を含む第2のインク受容層と、を有するインクジェット記録媒体。
<2> 前記第1の無機粒子の吸油量が50ml/100g以上である、前記<1>に記載のインクジェット記録媒体。
<3> 前記第1の無機粒子が焼成カオリンである、前記<1>または<2>に記載のインクジェット記録媒体。
<4> 前記第2の無機粒子は気相法シリカである、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
<5> 前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体上に、インクジェット法でインクを付与するインク付与工程と、前記インクが付与されたインクジェット記録媒体を加熱処理する加熱工程と、を有するインクジェット画像形成方法。
本発明によれば、高速印画時のインク吸収性に優れ、滲みやブリーディングの発生が抑制されるインクジェット記録媒体、およびこれを用いたインクジェット画像形成方法を提供することができる。
実施例1のインクジェット記録媒体の断面構造を示す断面SEM写真であり、(a)は1000倍、(b)は5000倍、(c)は1万倍の拡大写真である。 実施例5のインクジェット記録媒体の断面構造を示す断面SEM写真であり、(a)は1000倍、(b)は5000倍、(c)は1万倍の拡大写真である。 比較例1のインクジェット記録媒体の断面構造を示す断面SEM写真であり、(a)は1000倍、(b)は5000倍、(c)は1万倍の拡大写真である。
<インクジェット記録媒体>
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体と、前記支持体上に設けられるとともに無機粒子の少なくとも2種および樹脂の少なくとも1種を含む第1のインク受容層と、前記第1のインク受容層上に設けられるとともに気相法シリカの少なくとも1種および水溶性樹脂の少なくとも1種を含む第2のインク受容層と、を有する。さらに前記第1のインク受容層は、細孔径が200nm以上である第1の無機粒子の少なくとも1種および体積平均粒子径が200nm以下である第2の無機粒子の少なくとも1種を含有し、前記第1の無機粒子の含有率が第1のインク受容層に含まれる無機粒子の総量中の50質量%を超えることを特徴とする。
前記第1のインク受容層がかかる特定の構成であることにより、高速印画時のインク吸収性に優れ、滲みやブリーディングの発生が抑制されるインクジェット記録媒体を構成することができる。
これは例えば、第1のインク受容層における細孔径分布と第2のインク受容層における細孔径分布とが近似した状態となることで、第2のインク受容層に付与されたインクに含まれるインク溶媒が、速やかに第1のインク受容層中に吸収されるためと考えることができる。
[第1のインク受容層]
(第1の無機粒子)
前記第1のインク受容層は、主顔料として細孔径が200nm以上である第1の無機粒子の少なくとも1種を含む。前記第1の無機粒子は細孔径が200nm以上であるが、インク吸収性と光沢性の観点から、細孔径が200nm以上800nm以下であることが好ましく、200nm以上400nm以下であることがより好ましい。
第1の無機粒子の細孔径が200nm未満では、十分なインク吸収性が得られない場合がある。
本発明における第1の無機粒子の細孔径(D)は、インク受容層の細孔容積V[ml/g]をその層の空隙率x[%]と密度a[g/cm]とから算出し、この細孔容積Vと比表面積Sc[m/g]の値を用いて下記式(1)より求められる直径[nm]と定義する。
D=4×V/Sc×1000 …(1)
すなわち、第1の無機粒子を含み、目的とする層を形成するための塗布液であって、第2の無機粒子を含まない塗布液を支持体(例えば、PET)上にQ[g/m]になるように塗布し、塗布乾燥後の合計厚み(μm;支持体の厚みを含む)を測定し、この合計厚みから支持体の厚みを減算して塗布層の厚み[μm]を算出する。続いて、ジエチレングリコール(DEG)吸収容量[mL/m]を求める。DEG吸収容量は、支持体に塗布乾燥後の塗布層を有する10cm四方のサンプル片の塗布層上にDEG1mlを滴下し、30秒後に過剰分をふき取り、滴下前後の質量差から求められる。これらの結果をもとに、下記式(2)より空隙率xを算出する。密度aは、主成分である第1の無機粒子の文献値を採用する。この空隙率xと密度aから、下記式(3)により細孔容積Vを算出する。
空隙率x=DEG吸収容量/塗布層の厚み×100 …(2)
細孔容積V=(1/a)/(1−x)×x …(3)
細孔径(D)は、求められた細孔容積V、比表面積Scを前記式(1)に代入して算出される。
前記第1の無機粒子は細孔径が200nm以上であれば特に制限はないが、白色顔料であることが好ましい。白色顔料としては例えば、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、カオリン、焼成カオリン、クレー、サチンホワイト、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪藻土、ハイドロタルサイトなどを挙げることができる。中でも、インク吸収性の観点から、カオリン、焼成カオリン、および炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、焼成カオリンであることがより好ましい。
前記カオリンとしては、特に限定はなく、天然のカオリンクレー(以下、単に「カオリンクレー」ともいう。)の他、カオリンクレーを処理した焼成カオリン、デラミカオリン等を用いることができる。
前記焼成カオリンは、天然のカオリンクレーを焼成炉にて高温で熱し、結晶水が除去されて非晶質化した無水ケイ酸アルミニウムである。カオリンクレーが焼成されてなることで、所望の細孔径を有することができる。
焼成カオリンの例としては、(株)イメリス ミネラルズ・ジャパン製のアルファテックス、オパシテックス等、白石カルシウム(株)製のカオカル等、エンゲルハルト社製のアンシレックス93、竹原化学工業(株)製のグロマックスLLなどを挙げることができる。
デラミカオリンとしては、例えば、(株)イメリスミネラルズ・ジャパン製のアストラプレート等、白石カルシウム(株)製のカオホワイトS、カオホワイト、カオホワイトC等、J.M.Huber社製のPolyplate P、Polyplate P01、Polyplate HMT等、エンゲルハルト社製のNuクレー等、及び白石カルシウム(株)製のカオラックスHS、(株)イメリス ミネラルズ・ジャパン製のアストラプラス、コンツアー 1500、コンツアー 2070、コンツアー エクストリーム、カピムDG、カピムNP、カピムCC等のエンジニアード・デラミカオリンなどを挙げることができる。
カオリンクレーとしては、例えば、(株)イメリス ミネラルズ・ジャパン製のアストラシーン、アストラグロス、アストラコート、ベータブライト、アストラグレーズ、プレミアLX、プレミア、ケーシーエス等、白石カルシウム社の(商品名)カオグロス90、カオブライト90、カオグロス、カオブライト、カオファイン等、竹原化学工業(株)製のユニオンクレーRC−1等、J.M.Huber社製のHuber35、Huber35B、Huber80、Huber80B、Huber90、Huber90B、HuberHG90、Huber TEK2001、Polygloss90、Lithosperse 7005CSなどを挙げることができる。
また第1の無機粒子の吸油量は特に制限されないが、インク吸収性、光沢性の観点から、50ml/100g以上であることが好ましく、60ml/100g以上400ml/100g以下であることがより好ましく、75ml/100g以上300ml/100g以下であることがさらに好ましい。
前記吸油量は、JIS K5101に準拠して測定される。
本発明において第1の無機粒子として焼成カオリンを用いる場合、焼成カオリンの体積平均粒子径には、特に限定はない。インク吸収性の観点から、30nm以上15μm以下が好ましく、50nm以上10μm以下がより好ましく、100nm以上8μm以下がさらに好ましい。
前記第1の無機粒子は1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記第1の無機粒子の含有率は、第1のインク受容層に含まれる無機粒子の総量中の50質量%を超える範囲とする。インク吸収性と光沢性の観点から、第1のインク受容層に含まれる無機粒子の総量中の60質量%以上90質量%以下であることが好ましく、65質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
第1の無機粒子の含有率が50質量%を超えるとは、細孔径200nm以上の無機粒子が主顔料として含まれることを意味する。第1の無機粒子の含有率が50%以下では、十分なインク吸収性が達成できない場合がある。
(第2の無機粒子)
前記第1のインク受容層は、体積平均粒子径が200nm以下である第2の無機粒子の少なくとも1種を含む。細孔径が200nm以上である第1の無機粒子に加えて、体積平均粒子径が200nm以下である第2の無機粒子を含むことで、例えば、第1の無機粒子の細孔の少なくとも一部に第2の無機粒子が入り込み、第1のインク受容層の細孔分布を、第2のインク受容層の細孔分布と近似した状態とすることができる。
前記第2の無機粒子の体積平均粒子径は200nm以下であるが、インク吸収性と光沢性の観点から、10nm以上180nm以下であることが好ましく、20nm以上140nm以下であることがより好ましい。
第2の無機粒子の体積平均粒子径が200nmを超えると、十分なインク吸収性が達成できない場合がある。
尚、第2の無機粒子の体積平均粒子径は、LA−920(HORIBA社製、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置)を用いて測定される。
前記第2の無機粒子はその体積平均粒子径が200nm以下であれば特に制限はない。例えば、シリカ粒子、コロイダルシリカ、アルミナ粒子、ベーマイト、擬ベーマイト、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム等を挙げることができる。
中でも、画像濃度、インク吸収性、及び画像滲みの防止の観点から、シリカ粒子、アルミナ粒子、擬ベーマイトが好ましく、湿式法シリカや気相法シリカ等のシリカ粒子がより好ましく、その中でも気相法シリカがさらに好ましい。
気相法シリカの詳細については後述する。
本発明においては、インク吸収性の観点から、前記第1の無機粒子の細孔径よりも第2の無機粒子の体積平均粒子径の方が小さいことが好ましい。例えば、第2の無機粒子が、コロイダルシリカのような略球状の場合、第1の無機粒子の細孔径に対する第2の無機粒子の体積平均粒子径の比(体積平均粒子径/細孔径)が、0.1〜0.9であることが好ましく、0.2〜0.7であることがより好ましい。
また第2の無機粒子が略球状以外の形状の場合(例えば、線状)、体積平均粒子径の比は特に制限されない。
前記第2の無機粒子は1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1のインク受容層における第2の無機粒子の含有率は、第1のインク受容層に含まれる無機粒子の総量中の50質量%未満であるが、インク吸収性と生産性の観点から、5質量%以上45質量%以下であることが好ましく、15質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。
また第1のインク受容層における、第1の無機粒子の含有量に対する第2の無機粒子の含有量の比(第2の無機粒子/第1の無機粒子)は、特に制限されないが、インク吸収性と生産性の観点から、0.1〜0.9であることが好ましく、0.2〜0.7であることがより好ましい。
前記第1のインク受容層は無機粒子として、前記第1の無機粒子と第2の無機粒子を含むが、必要に応じてその他の無機粒子や有機粒子を含んでいてもよい。その他の無機粒子および有機粒子は本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
(樹脂)
前記第1のインク受容層は樹脂の少なくとも1種を含む。第1のインク受容層に含まれる樹脂は、後述する第2のインク受容層に含まれる水溶性樹脂と同一種のものを用いてもよいし、あるいは異なる種のものであってもよい。
樹脂の含有により第1の無機粒子および第2の無機粒子(以下、合せて単に「無機粒子」ともいう)をより好適に分散含有し、塗膜強度をより向上させることができる。
前記樹脂としては、水溶性樹脂及び水不溶性樹脂(例えば、ラテックス)などの樹脂材料から広く選択して用いることができる。好ましい樹脂としては、水溶性樹脂を用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール(アセトアセチル変性、カルボキシ変性、イタコン酸変性、マレイン酸変性、シリカ変性及びアミノ基変性等の変性ポリビニルアルコールを含む)、デンプン類(変性デンプンを含む)、ゼラチン、アラビヤゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド、酢酸ビニル−ポリアクリル酸共重合体のケン化物等が挙げられる。また水不溶性樹脂としては、スチレン・ブタジエン共重合物、酢酸ビニル共重合物、アクリロニトリル・ブタジエン共重合物、アクリル酸メチル・ブタジエン共重合物、ポリ塩化ビニリデン等の合成高分子のラテックス系の樹脂が挙げられる。
尚、前記ポリビニルアルコールの詳細については、後述する第2のインク受容層の項において詳述する。
樹脂の第1のインク受容層中における含有量としては、第1のインク受容層の全固形分に対して、5〜50質量%が好ましく、7〜20質量%がより好ましい。
尚、全固形分とは、第1のインク受容層を構成する成分のうち、不揮発性成分の総量を意味する。
〜第1のインク受容層における無機粒子と樹脂との含有比〜
溶媒吸収層において、無機粒子(x)と樹脂(y)との含有比〔PB比(x/y)、バインダー1質量部に対する無機粒子の質量〕は、PB比が大き過ぎることに起因する膜強度低下や乾燥時のひび割れを防止すると共に、PB比が小さ過ぎるために空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、溶媒の吸収性が低下するのを防ぐ観点から、20/1〜5/1の範囲が好ましい。更には、PB比(x/y)は、溶媒吸収性をより向上させる観点から、15/1〜7/1が好ましい。
前記第1のインク受容層は、第1の無機粒子、第2の無機粒子および樹脂に加えて、必要に応じてその他の成分を含むことができる。その他の成分については後述する。
本発明における第1のインク受容層の層厚については、特に限定はなく、例えば、インク吸収性の観点から、1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましい。なお、第1のインク受容層の層厚は、剃刀あるいはミクロトームなどで裁断し、その裁断面(断面)を光学顕微鏡にて観察して測定される。
[第2のインク受容層]
本発明のインクジェット記録媒体は、前記第1のインク受容層の上に少なくとも一層の第2のインク受容層を有する。このインク受容層は、最外層をなして外部から付与されたインクを受容し、少なくとも着色剤を固定化して画像形成を担う層であり、少なくとも気相法シリカと水溶性樹脂とを用いて構成される。また、第2のインク受容層は、必要に応じて、更に他の成分を用いて構成されてもよい。
(気相法シリカ)
本発明におけるインク受容層は、気相法シリカの少なくとも1種を含有する。
シリカ粒子は、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性及び保持の効率が高く、また屈折率が低いので、適切な微小粒子径まで分散を行なえばインク受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという利点がある。このようにインク受容層が透明であるということは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用媒体に適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性及び光沢度を得る観点より重要である。
一般にシリカ粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流であり(湿式法により得られたシリカ粒子を「湿式法シリカ」ともいう。)、これに対して気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流である。気相法シリカとは、該気相法により得られた無水シリカ粒子である。
気相法シリカは、上記含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nmと多く、シリカ粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmと少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
インク受容層に含まれる気相法シリカとしては、表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmである気相法シリカが特に好ましい。インク受容層に含まれる気相法シリカの平均粒子径には特に限定はないが、画像濃度及びインク吸収性をより向上させる観点からは、10nm以下が好ましい。
また、インク受容層に含まれる気相法シリカのBET法による比表面積は200m2/g以上が好ましく、250m/g以上がさらに好ましい。インク受容層に含まれる気相法シリカの比表面積が200m/g以上であると、インク受容層の透明性が高く、画像濃度を高く保つことが可能である。
本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer Emmett Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
前記インク受容層は、顔料成分として、前記気相法シリカに加えて気相法シリカ以外の他の無機粒子とを併用してもよい。
気相法シリカの第2のインク受容層中における含有量は、画像濃度及びインク吸収性をより向上させる観点から、インク受容層の全固形分に対して、40〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。
(水溶性樹脂)
第2のインク受容層は、水溶性樹脂の少なくとも1種を含有する。水溶性樹脂の含有により気相法シリカがより好適に分散含有され、層強度がより向上する。なお、第2のインク受容層に含まれる水溶性樹脂は、前記第1のインク受容層中に用いられる樹脂と同一種であってもよいし、異なる種であってもよい。
第2のインク受容層に使用可能な水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(アセトアセチル変性、カルボキシ変性、イタコン酸変性、マレイン酸変性、シリカ変性、及びアミノ基変性等の変性ポリビニルアルコールを含む。)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類(変性デンプンを含む。)、ゼラチン、アラビヤゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド、酢酸ビニル−ポリアクリル酸共重合体のケン化物等が挙げられる。
前記ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をケン化して得られるポリビニルアルコール及びその誘導体、さらに酢酸ビニルと共重合しうる単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物が含まれる。
前記酢酸ビニルと共重合しうる単量体としては、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、スルホン酸マレート等のオレフィンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸ソーダ、エチレンスルホン酸ソーダ、スルホン酸ソーダ(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート等のオレフィンスルホン酸アルカリ塩、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩等のアミド基含有単量体、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。
前記ポリビニルアルコールの中でも、鹸化度が92〜98mol%のポリビニルアルコール(以下、高鹸化ポリビニルアルコールと称することがある。)が特に好ましい。ポリビニルアルコールの鹸化度が92mol%以上であると、より良好な中間調の色相が得られ、また塗布液の粘度上昇が効果的に抑制され、より良好な塗布安定性を得ることができる。一方、ポリビニルアルコールの鹸化度が98mol%以下であると、インク吸収性がより向上する。
ポリビニルアルコールの鹸化度としては、好ましくは93〜97mol%である。
前記高鹸化ポリビニルアルコールの重合度は、1500〜3600が好ましく、より好ましくは2000〜3500である。重合度は、1500以上であるとインク受容層のひび割れをより効果的に抑制でき、また3600以下であると塗布液の粘度上昇をより効果的に抑制できる。
水溶性樹脂として、前記高鹸化ポリビニルアルコールは、これ以外の水溶性樹脂と併用することもできる。併用可能な水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、鹸化度が前記範囲以外のポリビニルアルコール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、キチン類、キトサン類、デンプン;親水性のエーテル結合を有する樹脂である、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);親水性のアミド基又はアミド結合を有する樹脂である、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等を挙げることができる。なお、インク受容層には、セルロースが含まれてもよい。
前記高鹸化ポリビニルアルコールと上述した水溶性樹脂とを併用する場合、高鹸化ポリビニルアルコールと水溶性樹脂との合計量に対する高鹸化ポリビニルアルコールの割合は1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がさらに好ましく、6〜12質量%が特に好ましい。
ポリビニルアルコール、特に高鹸化ポリビニルアルコールのインク受容層中における含有量としては、該含有量の過少による、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止すると共に、該含有量の過多によって空隙が樹脂により塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
ポリビニルアルコールは、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成して、シリカ粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成し易くする。このような三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造のインク受容層を形成し得ると考えられる。得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みのない真円性の良好なドットを形成することができる。
〜第2のインク受容層における気相法シリカと水溶性樹脂との含有比〜
インク受容層において、気相法シリカ(x)と水溶性樹脂(y)との含有比〔PB比(x/y)、水溶性樹脂1質量部に対する気相法シリカの質量〕は、インク受容層の層構造にも大きな影響を与える場合がある。すなわち、PB比が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。具体的には、
インク受容層全体のPB比(x/y)としては、該PB比が大き過ぎることに起因する層強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂により塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5/1〜10/1が好ましく、また膜強度の低下や乾燥時のひび割れの抑制効果をより効果的に高める観点から、1.5/1〜8/1がより好ましい。
また、インクジェットプリンタの搬送系を通過する場合、インクジェット記録媒体に応力が加わることがあるので、インク受容層は充分な膜強度を有していることが必要である。更にシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れ及び剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には充分な膜強度が必要である。このような観点より、インク受容層全体のPB比(x/y)としては10/1以下が好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカと高鹸化ポリビニルアルコールとをPB比(x/y)が1.5/1〜10/1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積0.5ml/g以上、比表面積が100m/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
本発明における第2のインク受容層の層厚については、特に限定はなく、例えば、インク吸収性、濃度、光沢の観点から、3〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。なお、インク受容層の層厚は、剃刀あるいはミクロトームなどで裁断し、その裁断面(断面)を光学顕微鏡にて測定される。
(ホウ素化合物)
本発明における第1のインク受容層および第2のインク受容層(以下、合せて単に「インク受容層」ともいう)は、ホウ素化合物を含有することができる。ホウ素化合物は、インク受容層中において架橋剤として用いられることが好ましい。すなわち、インク受容層が、ホウ素化合物による水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール)の架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
前記ホウ素化合物としては、例えば、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸塩、InBO、ScBO、YBO、LaBO、Mg(BO、Co(BO、二ホウ酸塩(例えば、Mg、Co)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO、Ca(BO、NaBO、KBO)、四ホウ酸塩(例えば、Na・10HO)、五ホウ酸塩(例えば、KB・4HO、Ca11・7HO、CsB)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩が好ましく、特にホウ酸又はホウ酸塩が好ましく、ホウ酸又はホウ酸塩をポリビニルアルコールと組み合わせて用いることが最も好ましい。
第2のインク受容層全体において、前記ホウ素化合物は、前記ポリビニルアルコール1.0質量部に対して、0.05〜0.50質量部の範囲で含有されることが好ましく、0.08〜0.45質量部の範囲で含有されることがより好ましい。ホウ素化合物の含有量が上記範囲であると、ポリビニルアルコールを効果的に架橋し、ひび割れ等が防止される。
前記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場合などは、ホウ素化合物以外の下記化合物も架橋剤(以下、「他の架橋剤」ともいう。)として用いることができる。
他の架橋剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N'−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許第3017280号明細書、同第2983611号明細書に記載のアジリジン系化合物;米国特許第3100704号明細書に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N'−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。他の架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(含窒素有機カチオンポリマー)
本発明におけるインク受容層は、画像の滲みを抑制する観点及び気相法シリカを分散する観点より、含窒素有機カチオンポリマーの少なくとも1種を含有することが好ましい。含窒素有機カチオンポリマーとしては、特に限定はないが、第1級〜第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好適である。
前記含窒素有機カチオンポリマーとしては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(含窒素有機カチオンモノマー)の単独重合体である含窒素有機カチオンポリマー、前記含窒素有機カチオンモノマーと他の単量体との共重合体又は縮重合体として得られる含窒素有機カチオンポリマー、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体又は共重合体等のアクリル系重合体;スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系重合体;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体;ウレタン結合を有するウレタン系ポリマー等に、カチオン基を含む化合物を用いてカチオン化修飾して得られる含窒素有機カチオンポリマー等を挙げることができる。
本発明におけるカチオンポリマーの具体例としては、例えば特開2008−246988号公報の段落番号[0024]〜[0031]に記載のものを挙げることができる。
前記カチオンポリマーの中でも、滲み抑制の観点から、カチオン変性ポリウレタン、および特開2004−167784号公報等に記載のカチオン変性ポリアクリレート等のカチオン変性された自己乳化性高分子が好ましく、カチオン変性ポリウレタンがより好ましい。
前記カチオン変性された自己乳化性高分子としては、例えば、特開2007−223119号公報の段落番号[0018]〜[0046]に記載されているカチオン変性された自己乳化性高分子から適宜選択して用いることができる。
前記カチオン変性ポリウレタンを構成するポリウレタンとしては、通常用いられるジオール化合物とジイソシアネート化合物とを適宜選択して、重付加反応によって合成されるポリウレタンを特に制限なく用いることができる。
また前記カチオン変性ポリウレタンが有するカチオン性基としては、1級〜3級アミノ基、4級アンモニウム基等を挙げることができ、なかでも3級アミノ基、4級アンモニウム基が好ましい。
前記カチオン変性ポリウレタンは、例えば、ポリウレタン合成の際、ジオール化合物としてカチオン性基を有するジオール化合物を用いることで製造することができる。また、4級アンモニウム基の場合は、3級アミノ基を有するポリウレタンを適当な4級化剤で処理して4級化してもよい。
ポリウレタンの合成に使用可能なジオール化合物、ジイソシアネート化合物は、各々1種を単独で使用してもよいし、種々の目的(例えば、ポリマーのガラス転移温度(Tg)の調整や溶解性の向上、バインダーとの相溶性付与、分散物の安定性改善等)に応じて、各々2種以上を任意の割合で使用することもできる。
本発明における前記カチオン変性ポリウレタンとしては、カチオン変性ポリウレタン微粒子が好ましい。特に、カチオン変性ポリウレタン微粒子の中でも、自己乳化性高分子であるカチオン変性ポリウレタン微粒子がより好ましい。このようなカチオン変性ポリウレタンは、上記のようにして合成したものを用いても、市販のものを用いてもよい。
カチオン変性ポリウレタンの市販品としては、例えば、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス650」「F−8564D」「F−8570D」、日華化学(株)製、「ネオフィックスIJ−150」などを挙げることができる。
また、これらの含窒素有機カチオンポリマーは、水溶性ポリマー、水分散性ラテックス粒子、水性エマルションのいずれの形態でも使用できる。
前記水性エマルションとしては、共役ジエン系共重合体エマルション;アクリル系重合体エマルション;スチレン−アクリル系重合体エマルション;ビニル系重合体エマルション;ウレタン系エマルション等にカチオン基を有する化合物を用いてカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤にてエマルション表面をカチオン化したもの、カチオン性ポリビニルアルコール下で重合しエマルション表面に該ポリビニルアルコールを分布させたもの等が挙げられる。これらのカチオン性エマルションの中でも主成分がウレタン系エマルションであるカチオン性ポリウレタンエマルションが好ましい。
前記含窒素有機カチオンポリマーとしては、滲み抑制の観点から、カチオン性ポリウレタンが好ましく、カチオン性ポリウレタンエマルションがより好ましい。
本発明においてインク受容層に含まれるカチオンポリマーの含有量としては、特に制限はないが、インク受容層の全固形分質量に対して1〜30質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることがさらに好ましい。
さらに、水溶性カチオンポリマーを無機微粒子に対して1〜15質量%と、水不溶性カチオンポリマー(好ましくは、カチオン性ポリウレタン)を第2のインク受容層の全固形分質量に対して1〜10質量%含むことが好ましく、水溶性カチオンポリマーを無機微粒子に対して1〜5質量%と、水不溶性カチオンポリマー(好ましくは、カチオン性ポリウレタン)を第2のインク受容層の全固形分質量に対して1〜5質量%含むことがより好ましい。
(水溶性アルミニウム化合物)
本発明におけるインク受容層は、水溶性アルミニウム化合物を含有することが好ましい。水溶性アルミニウム化合物を含有することにより、画像の耐水性及び耐経時滲みの向上を図ることができる。
水溶性アルミニウム化合物としては、例えば、無機塩としては塩化アルミニウム又はその水和物、硫酸アルミニウム又はその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物がある。これらの中でも、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましい。
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の式1〜式3で表され、例えば〔Al(OH)153+、〔Al(OH)204+、〔Al13(OH)345+、〔Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
〔Al(OH)Cl6−n (5<m<80、1<n<5) ・・・式1
〔Al(OH)AlCl (1<n<2) ・・・式2
Al(OH)Cl(3n−m) (0<m<3n、5<m<8) ・・・式3
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名称で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名称で、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名称で、大明化学(株)よりアルファイン83の名称で、また他のメーカーからも同様の目的で上市されており、各種グレードのものを容易に入手することができる。本発明では、これらの市販品をそのまま用いてもよいし、pHが不適当に低いものもあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。
水溶性アルミニウム化合物の第2のインク受容層における含有量としては、第2のインク受容層の全固形分に対して0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜8質量%がより好ましく、2質量%〜4質量%が最も好ましい。水溶性アルミニウム化合物の含有量が前記範囲内であると、光沢度、耐水性、耐ガス性、耐光性の向上効果が得られる。
(ジルコニウム化合物)
本発明におけるインク受容層は、ジルコニウム化合物を含むことが好ましい。ジルコニウム化合物を用いることにより、耐水性の向上効果が得られる。
ジルコニウム化合物としては、特に限定されず種々の化合物が使用できるが、例えば、酢酸ジルコニル、塩化ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニル、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が挙げられる。特に酢酸ジルコニルが好ましい。
ジルコニウム化合物の第2のインク受容層における含有量としては、第2のインク受容層の全固形分に対して0.05質量%〜5.0質量%が好ましく、0.1質量%〜3.0質量%がより好ましく、0.5質量%〜2.0質量%が最も好ましい。ジルコニウム化合物の含有量が前記範囲内であると、インクの吸収性を低下させずに耐水性が向上する。
本発明におけるインク受容層は、水溶性アルミニウム化合物及びジルコニウム化合物以外の他の水溶性多価金属化合物を併用してもよい。他の水溶性多価金属化合物としては、例えば、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。
具体的には、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
(他の成分)
インク受容層は、必要に応じて、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色性防止剤等のその他の成分を含んでいてもよい。これらを含有することにより、インクの劣化を抑制することができる。
その他の成分としては、特開2005−14593号公報中の段落番号[0088]〜[0117]に記載されている成分や、特開2006−321176号公報中の段落番号[0138]〜[0155]に記載されている成分等を、適宜選択して用いることができる。
インク受容層は、高沸点有機溶剤を含有することが好ましい。これにより、例えばカールの発生を防止できる。
高沸点有機溶剤としては、水溶性のものが好ましく、該水溶性の高沸点有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(重量平均分子量が400以下)等のアルコール類が挙げられる。好ましくは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)である。
高沸点有機溶剤の第2のインク受容層形成用の調製液中における含有量としては、0.05質量%〜1質量%が好ましく、特に好ましくは0.1質量%〜0.6質量%である。
また、インク受容層には、各種無機塩類、pH調整剤として、酸やアルカリ等が含まれてもよく、無機微粒子の分散性を高めることができる。さらに、インク受容層には、電子導電性を持つ金属酸化物微粒子が含まれてもよく、表面の摩擦帯電や剥離帯電が抑制される。また、第2のインク受容層には各種のマット剤が含まれてもよく、表面の摩擦特性が低減される。
−他の層−
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体上に前記溶媒吸収層及び前記インク受容層以外の層、例えば、最上層(例えばコロイダルシリカ層等)、中間層、クッション性、帯電防止性等の機能を付与した機能層等が必要に応じて設けられていてもよい。
−支持体−
本発明のインクジェット記録媒体における支持体は、限定されるものではないが、画像記録に伴うカール等の変形が抑制される点で水非浸透性支持体が好ましい。ここで、「水非浸透性」とは、水を吸収しないか、又は水の吸収量が0.3g/m以下である性質をいう。
〜水非浸透性支持体〜
本発明において、水非浸透性支持体表面の光沢度は特に限定はないが、40%以上であることが好ましく、45%以上95%以下であることがより好ましく、50%以上85%以下であることがより好ましい。更に、水非浸透性支持体両面の光沢度とも前記範囲であることが特に好ましい。
本発明に用いることができる支持体としては、例えば、特開2008−246988号公報の段落番号[0139]〜[0155]に記載の支持体を挙げることができ、中でも、ポリオレフィン被覆紙を好ましく用いることができる。
〜インクジェット記録媒体の製造方法〜
本発明のインクジェット記録媒体は、その製造方法に特に制限なく作製することが可能であり、例えば、水非浸透性支持体上に、細孔径が200nm以上である第1の無機粒子、第2の無機粒子および樹脂を含む第1のインク受容層形成用の塗布液と、気相法シリカおよび水溶性樹脂を含む第2のインク受容層形成用の塗布液とを、該水非浸透性支持体側からみて第1のインク受容層形成用の塗布液(以下、第1の塗布液ともいう。)、第2のインク受容層形成用の塗布液(以下、第2の塗布液ともいう。)の順に積層されるように逐次塗布あるいは同時重層塗布し、乾燥させて、第1のインク受容層と第2のインク受容層とを重層形成する工程(以下、塗布工程という。)を設けた製造方法によって好適に作製することができる。
本発明におけるインクジェット記録媒体の製造においては、必要に応じて、更に他の工程が設けられてもよい。
本発明のインクジェット記録媒体を構成するインク受容層が2層構造であるときは、例えば、水非浸透性支持体上に第1の塗布液を塗布して第1のインク受容層を形成した後、形成された第1のインク受容層の上に第2の塗布液を塗布して第2のインク受容層を形成することで、2層構造のインク受容層を形成することができる。
塗布工程における塗布は、支持体側からみて、第1の塗布液、第2の塗布液の順に塗布液を塗布することができる塗布方法であれば、任意の方法で行なうことができる。塗布は、例えば、1層ずつ塗布する逐次塗布方法による場合は、例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、リバースコーター等により行なうことができる。また、複数の塗布液を乾燥工程を設けずに同時に塗布する同時重層塗布方法による場合は、例えば、スライドビードコーターやスライドカーテンコーター、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター等により行なうことができる。また、例えば、特開2005−14593号公報の段落番号0016〜0037に記載の「Wet−On−Wet法」(WOW法)により行なってもよい。
上記の中でも、各層に要求される特性が効率よく得られ、生産効率に優れるという点からは、同時重層塗布方法が好ましい。すなわち、同時重層塗布では、各層を湿潤状態で積層することで、各層、例えば上層(例えばインク受容層)に含有される成分が下層(例えば、第1のインク受容層)へ浸透し難くなり、乾燥後も各層の成分構成が良く保たれるためと推定される。
第1のインク受容層の形成に用いられる第1の塗布液の固形分塗布量としては、3〜30g/mが好ましく、5〜20g/mがより好ましい。
また、第2のインク受容層の形成に用いられる第2の塗布液の固形分塗布量としては、3〜30g/mが好ましく、5〜20g/mがより好ましい。
第1の塗布液は、例えば、無機粒子と分散剤とを水中に添加して(例えば水中のカオリン濃度として30〜50質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて分散させて、無機粒子水分散液を得た後、樹脂として、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(例えば、上記カオリンの1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、さらに必要に応じて、含窒素有機カチオンポリマーや水溶性アルミニウム化合物、ホウ素化合物を加えて分散を行うことにより調製することができる。
なお、水溶性アルミニウム化合物やホウ素化合物等は、塗布直前にインライン混合により加えてもよい。また、上記の分散には、液液衝突型分散機であるアルティマイザー(スギノマシン社製)を用いてもよい。
ここで、無機粒子と分散剤とからなる水分散物の調製は、無機粒子水分散液をあらかじめ調製し、該水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を無機粒子水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、無機粒子水分散液ではなく、粉体の無機粒子を用いて上記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
このとき、分散剤としてはカオチン性のポリマーを用いることができる。カオチン性のポリマーとしては、特開2006−321176号公報の段落[0138]〜[0148]に記載の媒染剤の例などが挙げられる。また、分散剤としてシランカップリング剤を用いることも好ましい。分散剤の焼成カオリン等の無機粒子に対する量は、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%が更に好ましい。
第1の塗布液の調製に用いられる溶媒としては、水、有機溶剤、又はこれらの混合溶媒が好適である。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
第2の塗布液は、例えば、前記第1の塗布液の調製方法において、無機粒子を気相法シリカに置き換えた方法により好適に調製することができる。このとき水中の気相法シリカの濃度としては例えば、10〜20質量%とすることができる。
第2の塗布液は酸性に調製されるのが好ましく、pHとして5.0以下であることが好ましく、4.5以下であることがより好ましく、4.0以下であることが更に好ましい。このpHは、例えば含窒素カチオンポリマーの種類や添加量を適宜選定することで調整することができる。また、有機又は無機の酸を添加して調整してもよい。第2の塗布液のpHが5.0以下であると、例えば、第2の塗布液中における架橋剤(特にホウ素化合物)によるバインダーの架橋反応をより充分に抑制することができる。
本発明のインクジェット記録媒体の製造に際しては、更に、
(1)少なくとも前記第2の塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、
(2)前記第2の塗布液を塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、
のいずれかのときに、前記塗布層に塩基性化合物を含む塩基性溶液を付与する工程を有していることが好ましい。
塩基性溶液を付与する工程を有することにより、塗布層の架橋硬化がより促進されてなるインク受容層を形成することができる。
前記「少なくとも前記第2の塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時」に前記塩基性溶液を付与する方法としては、第2の塗布液(及び必要に応じて前記第1の塗布液)と前記塩基性溶液とを、支持体側からこの順となるように、同時塗布(重層塗布)する形態が好適である。あるいは、第1の塗布液を塗布した後、塗布された第1の塗布液上に第2の塗布液と塩基性溶液とを同時塗布してもよい。
前記「塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前」に塩基性溶液を付与する方法は、「Wet−On−Wet法」や「WOW法」と呼ばれている方法である。「Wet−On−Wet法」の詳細については、例えば、特開2005−14593号公報の段落番号[0016]〜[0037]に記載されている。
ここで、塩基性溶液を付与する方法としては、形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前に、(i)該塗布層上に更に塩基性溶液を塗布する方法、(ii)スプレー等により塩基性溶液を噴霧する方法、(iii)前記塗布層が形成された支持体を前記塩基性溶液中に浸漬する方法、が挙げられる。
前記(i)において、前記塩基性溶液を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法を適用することができる。中でも、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター等の、既設の塗布層にコーターが直接接触しない方法が好ましい。
「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、第2のインク受容層形成用の塗布液である前記第2の塗布液(及び必要に応じて第1の塗布液)の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
「塗布層が減率乾燥を示すようになるまで乾燥」されるための条件としては、一般に40〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行なわれる。この乾燥時間は、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
前記塩基性溶液のpHとしては、好ましくはpH7.1以上であり、より好ましくはpH8.0以上であり、特に好ましくはpH9.0以上である。前記pHが7.1以上であると、第1の塗布液及び第2の塗布液に含まれる樹脂又は水溶性樹脂の架橋反応をより促進させることができ、ブロンジングやインク受容層のひび割れの発生をより効果的に抑制できる。
−塩基性化合物−
塩基性溶液は、塩基性化合物を少なくとも1種含有する。
塩基性化合物としては、弱酸のアンモニウム塩、弱酸のアルカリ金属塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、弱酸のアルカリ土類金属塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸バリウムなど)、ヒドロキシアンモニウム、1〜3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリへキシルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミンなど)、1〜3級アニリン(例えば、ジエチルアニリン、ジブチルアニリン、エチルアニリン、アニリンなど)、置換基を有してもよいピリジン(例えば、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)−アミノピリジンなど)、等が挙げられる。
また、上記の塩基性化合物以外に、該塩基性化合物と共に他の塩基性物質及び/又はその塩を併用することもできる。他の塩基性物質としては、例えば、アンモニアや、エチルアミン、ポリアリルアミン等の第一アミン類、ジメチルアミン等の第二アミン類、N−エチル−N−メチルブチルアミン等の第三アミン類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、等が挙げられる。
上記のうち特に、弱酸のアンモニウム塩が好ましい。弱酸とは、化学便覧基礎編II(丸善株式会社)等に記載の無機酸及び有機酸でpKaが2以上の酸である。前記弱酸のアンモニウム塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硼酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。中でも、好ましくは炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウムであり、乾燥後において層中に残存せずインク滲みを低減できる点で効果的である。
なお、塩基性化合物は、2種以上を併用することができる。
前記塩基性化合物(特に弱酸のアンモニウム塩)の塩基性溶液中の含有量としては、塩基性溶液の全質量(溶媒を含む)に対し、0.5質量%〜10質量%が好ましく、より好ましくは1質量%〜5質量%である。塩基性化合物(特に弱酸のアンモニウム塩)の含有量を特に上記範囲とすると、充分な硬化度が得られ、またアンモニア濃度が高くなりすぎて作業環境を損なうこともない。
塩基性溶液には、溶媒吸収層及び/又はインク受容層の架橋硬化をより促進する観点から、前述のホウ素化合物を少なくとも1種含有することが好ましい。塩基性溶液中におけるホウ素化合物の含有率は、0.20質量%以上2.00質量%以下が好ましく、0.30質量%以上1.20質量%以下がより好ましい。
また、塩基性溶液は、金属化合物の少なくとも1種を含有してもよい。
塩基性溶液に含有される金属化合物としては、塩基性下で安定なものを制限なく使用でき、前述の水溶性多価金属塩や、金属錯体化合物、無機オリゴマー、又は無機ポリマーのいずれであってもよい。例えば、ジルコニウム化合物や、特開2005−14593号公報中の段落番号[0100]〜[0101]に無機媒染剤として列挙した化合物が好適である。上記の金属錯体化合物としては、日本化学会編「化学総説 No.32(1981年)」に記載の金属錯体、「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(Coordinantion Chemistry Review)」、第84巻、85〜277頁(1988年)及び特開平2−182701号公報に記載の、ルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体が使用可能である。
上記の中でも、ジルコニウム化合物や亜鉛化合物が好ましく、特にジルコニウム化合物が好ましい。ジルコニウム化合物としては、例えば、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、硝酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、クエン酸ジルコニウム・アンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、等が挙げられ、特に炭酸ジルコニウム・アンモニウムが好ましい。また、塩基性溶液には、2種以上の金属化合物(好ましくはジルコニウム化合物を含む。)を併用してもよい。
前記金属化合物(特にジルコニウム化合物)の塩基性溶液中の含有量としては、塩基性溶液の全質量(溶媒を含む)に対し、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2質量%である。
更に、画像濃度、耐オゾン性の観点からは、塩基性溶液は、金属化合物として前述のマグネシウム塩を含有することができる。マグネシウム塩の中では、塩化マグネシウムが特に好ましい。マグネシウム塩の添加量としては、塩基性溶液の全質量に対し、0.1〜1質量%が好ましい。
また、塩基性溶液は、必要に応じ、前記他の架橋剤、他の媒染剤成分を含有することができる。
前記塩基性溶液は、例えば、イオン交換水に塩基性化合物(例えば1〜5質量%)と必要に応じてパラトルエンスルホン酸(例えば0.5〜3質量%)を添加し、充分に攪拌することで調製できる。このとき、溶媒には水のほか、有機溶剤、又は水と有機溶剤の混合溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録媒体の製造には、塗布工程で形成された塗布層を、前記塗布時の第1の塗布液の温度及び前記塗布時の第2の塗布液の温度のいずれか低い方に対し5℃以上低下するように冷却する工程(以下、「冷却工程」ともいう。)と、冷却された塗布層を乾燥させる工程(以下、「乾燥工程」ともいう。)とを設けて、インク受容層を形成してもよい。
冷却工程での冷却方法としては、塗布層が形成された支持体を、0〜10℃(より好ましくは0〜5℃)に保たれた冷却ゾーンで、5〜30秒冷却させる方法が好適である。このとき、塗布層の温度は、膜面の温度を測定することにより測定する。
支持体上に第1および第2のインク受容層を形成した後、該インク受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性、及び塗膜強度を向上させることが可能である。カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となる(すなわちインク吸収性が低下する)ことがあるため、空隙率の低下が少ない条件を設定して行なうことが重要である。
カレンダー処理を行なう場合、ロール温度は30℃〜150℃が好ましく、40℃〜100℃がより好ましい。また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50kg/cm〜400kg/cmが好ましく、100kg/cm〜200kg/cmがより好ましい。
<インクジェット画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、既述のインクジェット記録媒体を用い、該インクジェット記録媒体にインクジェット法によりインクを吐出して画像を形成するインク付与工程と、形成された画像を加熱処理して乾燥させる加熱工程とを設けて構成されたものである。本発明の画像形成方法は、必要に応じて、さらに他の工程を設けて構成されてもよい。
前記インクジェット記録媒体の詳細については、既述の通りである。
[インク付与工程]
本発明に用いられるインクとしては、インクジェット記録に通常用いられるインクを特に制限なく用いることができる。例えば、染料と、水と、水溶性有機溶剤とを含み、必要に応じて界面活性剤などのその他の成分を含む水系インクを用いることができる。
具体的には例えば、特開2007−138124号公報等に記載のインクを挙げることができ、本発明においてもこれらを好ましく用いることができる。
前記インクジェット法には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
なお、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができる。本発明においては、これらのうちいずれの吐出方式も適用することができる。
なお、前記インクジェット法により記録を行なう際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
また、インクジェット法としては、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式のほか、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式を適用することができる。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができる。また、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
インクジェットヘッドから吐出されるインクの液滴量としては、0.2〜10pl(ピコリットル)が好ましく、0.4〜5plがより好ましい。
また、画像記録時におけるインクの最大総吐出量としては、10〜36ml/mの範囲が好ましく、15〜30ml/mの範囲が好ましい。
[加熱工程]
本発明の画像形成方法は、前記インク付与工程でインクが付与されたインクジェット記録媒体を加熱し、インク溶媒の少なくとも一部を除去、乾燥させる加熱工程を有する。
加熱工程は、インクジェット記録媒体上に付与されたインク中の有機溶剤及び水の少なくとも一部を除去することができる態様であれば、特に制限はなく、通常利用される加熱方法を適用することができる。具体的には、ニクロム線ヒーター等の発熱体で加熱する方法、温風又は熱風を供給する方法、ハロゲンランプ、赤外線ランプなどで加熱する方法など、非接触で乾燥させる方法を好適に挙げることができる。
加熱工程における加熱温度は、適宜選択すればよく、例えば25℃〜70℃とすることができる。
本発明のインクジェット画像形成方法は、既述の本発明のインクジェット記録媒体が用いられるため、着弾したインクの吸収が速く、より高速に画像形成することが可能であるが、更に加熱工程を設け、この加熱工程でインクが付与されたインクジェット記録媒体の加熱を施すことで、画像の滲みの発生が改善され、高画質の画像をより高速に形成することが可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
−水非浸透性支持体の作製−
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解し、パルプスラリーを調製した。
次いで、得られたパルプスラリーに、対パルプ当たり、カチオン性デンプン(日本NSC社製、CAT0304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光化学社製、ポリアクロンST−13)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学社製、サイズパインK)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、及びポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学社製 アラフィックス100)0.32%を加えた後、さらに消泡剤0.12%を加えた。
上記のようにして調製したパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、ウェッブのフェルト面をドラムドライヤーシリンダーにドライヤーカンバスを介して押し当てて乾燥する工程において、ドライヤーカンバスの引張り力を1.6Kg/cmに設定して乾燥を行なった後、サイズプレスにて原紙の両面にポリビニルアルコール((株)クラレ製、KL−118)を1g/m塗布して乾燥し、カレンダー処理を行なった。なお、原紙の坪量を157g/mとして抄造し、厚さ157μmの原紙(基紙)を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとを80%/20%の比率(高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン)でブレンドして20g/mとなるように320℃の温度で溶融押し出しコーティングし、マット面からなる熱可塑性樹脂層を形成した(以下、この熱可塑性樹脂層面を「ウラ面」と称する。)。この裏面側の熱可塑性樹脂層に更にコロナ放電処理を施した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥重量が0.2g/mとなるように塗布した。続いて、オモテ面(前記ウラ面と反対側の面)にコロナ処理を施し、該オモテ面側に、10質量%の酸化チタンを有する密度0.93g/cmのポリエチレンを24g/mになるように溶融押出機を用いて320℃で押し出しコーティングした。
以上のようにして、原紙の両面がポリエチレンで被覆されたポリエチレン樹脂被覆紙(水非浸透性支持体)を得た。
−第1のインク受容層形成用塗布液の調製−
下記組成に示す(1)カオリン、(2)気相法シリカ、(3)イオン交換水、及び(4)シャロールDC−902Pを混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて分散させた後、この分散液に(5)ポリビニルアルコール溶解液、(6)ホウ酸水溶液、及び(7)界面活性剤水溶液を加え、さらに(8)イオン交換水で濃度調整して、第1のインク受容層形成用塗布液を調製した。
尚、第1の無機粒子の第2の無機粒子に対する含有比は4/1であった。
<第1のインク受容層形成用塗布液の組成>
(1)カオリン(第1の無機粒子) … 28部
(カオカル、白石工業(株)製、細孔径277nm、吸油量80ml/100g)
(2)気相法シリカ(第2の無機粒子) … 7部
(AEROSIL300、日本アエロジル(株)製、体積平均粒子径120nm)
(3)イオン交換水 … 64部
(4)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) … 1部
(分散剤、含窒素有機カチオンポリマー、第一工業製薬(株)製)
(5)ポリビニルアルコール(JM33)7%溶解液 … 50部
(6)ホウ酸(5%水溶液) … 20部
(7)界面活性剤(エマルゲン109P)10%水溶液 … 0.5部
(8)イオン交換水 …30部
−第2のインク受容層形成用塗布液の調製−
下記組成に示す(1)気相法シリカ粒子、(2)イオン交換水、(3)シャロールDC−902P、及び(4)ジルコゾールZA−30を混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて分散させた後、得られた分散液を45℃に加熱し、20時間保持した。その後、この分散液に(5)ホウ酸水溶液及び(6)ポリビニルアルコール溶解液を30℃で加え、第2のインク受容層形成用塗布液を調製した。
なお、気相法シリカ微粒子とポリビニルアルコール(水溶性樹脂)との固形分比[質量比](PB比=(1)気相法シリカ微粒子:(6)溶解液中のPVA量)は、4.9:1であり、塗布液のpHは、3.4で酸性を示した。
<第2のインク受容層形成用塗布液の組成>
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) … 8.9部
(AEROSIL300、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 … 47.3部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) … 0.8部
(分散剤、含窒素有機カチオンポリマー、第一工業製薬(株)製)
(4)「ジルコゾールZA−30」 … 0.5部
(第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニル)
(5)ホウ酸(5%水溶液) … 6.6部
(6)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 … 26.0部
〜ポリビニルアルコール溶解液の組成〜
・JM33 … 1.81部
(ポリビニルアルコール(PVA);鹸化度95.5%、重合度3300、日本酢ビ・ポバール(株)製)
・HPC−SSL … 0.08部
(水溶性セルロース、日本曹達(株)製)
・イオン交換水 … 23.5部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル … 0.55部
(ブチセノール20P、協和発酵ケミカル(株))
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) … 0.06部
(花王(株)製「エマルゲン109P」)
−第1のインク受容層及び第2のインク受容層の形成−
上記で得られた水非浸透性支持体の一方の面にコロナ放電処理を行った後、該一方の面に、上記で得られたインク受容層形成用塗布液を、以下のようにしてエクストルージョンダイコーターにて塗布して塗布層を形成した。
具体的には、下層に第1のインク受容層形成用塗布液を85g/mで、下記インライン液を5.0g/mの速度(塗布量)でインライン混合した後、上層に第2のインク受容層形成用塗布液を58g/mで、下記インライン液を4.0g/mの速度(塗布量)でインライン混合した後、支持体に塗布した。
<インライン液の組成>
・アルファイン83(大明化学工業(株)製)・・・2.0部
・イオン交換水 ・・・8.0部
上記塗布により形成された塗布層を、熱風乾燥機にて80℃で(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が36%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この間は恒率乾燥速度を示した。その直後、下記組成の塩基性化合物を含む液に3秒間浸漬して上記塗布層上にその13g/mを付着させ、更に72℃下で10分間乾燥させ(乾燥工程)、水非浸透性支持体の一方の面にインク受容層を形成した。以上により、支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録媒体1を得た。
〜塩基性化合物を含む液の組成〜
(1)ホウ酸 … 0.65部
(2)炭酸アンモニウム(1級:関東化学(株)製) … 5.0部
(3)イオン交換水 … 93.75部
(4)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) … 0.6部
(花王(株)製「エマルゲン109P」)
≪評価≫
<光沢度>
上記で得られたインクジェット記録媒体のインク受容層の表面における60°光沢度(単位:°)を、デジタル変角光沢計(スガ試験機(株)製)を用いて測定し、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は、下記表2に示す。
<評価基準>
A:35%以上(Excellent)
B:30%以上35%未満(Good)
C:20%以上30%未満(Acceptable)
D:20%未満(No Good)
<インク吸収性>
〜インクジェット画像形成〜
上記で得られたインクジェット記録媒体1を127mm×100m巻にスリット加工して評価用ロールサンプルをそれぞれ作製し、以下のようにしてインクジェット画像形成を行い、さらに以下の評価を行った。評価結果を表2に示す。
純正インクセットを装填したミニラボ用高速インクジェットプリンタ装置(富士フイルム(株)製「DL410」)に、上記で得られた評価用ロールサンプルを装填した。L版サイズのインクジェット記録媒体上に、以下に示す色再現域測定用画像および滲み評価用パッチを印画して、評価用サンプルを得た。得られた評価用サンプルを目視で観察し、隣接画像へのインクの拡散をインクの溢れとして、下記評価基準に従って評価した。
〜色再現域測定用画像〜
RGBの3色を各8階調(濃度レベル:255、218、182、145、109、72、36、0)で10mm角の略正方形に印画したパッチについて、色調または階調が異なるパッチが、互いに隣接するように組み合わせた512パッチからなる画像を色再現域測定用画像とした。
このような色再現域測定用画像においては、例えば、(R,G,B)=(72,0,36)で表される濃い赤紫色等のインク打滴量の多いパッチでインク溢れが観察されやすい。
〜滲み評価用パッチ〜
下記表1のA1〜A14、B1〜B14、C1〜C14、D1〜D14、E1〜E14、F1〜F14のいずれかで指定される2色(内の色と外の色)を用いて、内の色からなる略正方形の画素と外の色からなる略正方形の画素によって、市松模様が構成されるように内の色からなる画素と外の色からなる画素をそれぞれ交互に印画して、1辺が21個の画素からなる略正方形の滲み評価用パッチの1個を印画した。このような滲み評価用パッチをA1〜A14、B1〜B14、C1〜C14、D1〜D14、E1〜E14、F1〜F14のそれぞれについて印画して84個の滲み評価用パッチからなる画像を構成した。
具体的には例えば、B4で指定される2色(内の色がマゼンタ、外の色がイエロー)について、市松模様の一方の色の部分に外の色(イエロー)からなる画素を、市松模様の他方の色の部分に内の色(マゼンタ)からなる画素をそれぞれ印画して、B4で指定される滲み評価用パッチを印画した。
尚、市松模様を構成する個々の画素は1辺が420μmの略正方形であり、21×21の441画素からなる滲み評価用パッチは1辺が8.8mmの略正方形である。

表1中、Yeはイエロー、Maはマゼンタ、Cyはシアン、Reはレッド、Grはグリーン、Blはブルー、Whはホワイト(すなわち未印画)、Bkはブラックをそれぞれ意味する。また「5」の添え字がある色は、前記各色の50%濃度であることを意味する。
A13〜F13はそれぞれブラックのグラデーションであり、例えば、A13は256階調のうち、濃度階調256の無色レベルから濃度階調179までの連続階調である。またA14〜F14は肌色についての同様のグラデーションである。
〜評価基準〜
A:色再現域測定用画像および滲み評価用パッチのいずれにおいてもインクの溢れは観察されなかった。
B:色再現域測定用画像および滲み評価用パッチのいずれかにインクの溢れがわずかに認められた。
C:色再現域測定用画像および滲み評価用パッチのいずれかにインクの溢れが認められたが、実用上許容できるレベルであった。
D:色再現域測定用画像および滲み評価用パッチのいずれかにインクの溢れが顕著に認められた。
また作製したインクジェット記録媒体について、その記録面に垂直に切断した切断面のSEM写真を図1に示す。図1(a)はインクジェット記録媒体全体の断面SEM写真であり、図1(b)、(c)は第1のインク受容層の拡大断面SEM写真である。
(実施例2〜6)
実施例1において、第1の無機粒子および第2の無機粒子の種類および含有比を下記表2に示すように変更したこと以外は上記と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、上記と同様にして評価した。評価結果を表2に示す。
尚、第1の無機粒子と第2の無機粒子の総量が35部となるようにした。また表2中、A300は「Aerosil300」を、A200は「Aerosil200」(気相法シリカ、日本アエロジル(株)製、体積平均粒子径140nm)を、PL−3は「クォートロン PL−3」(コロイダルシリカ、扶桑化学工業(株)製、体積平均粒子径50nm)を、PL−7は「クォートロン PL−7」(コロイダルシリカ、扶桑化学工業(株)社製、体積平均粒子径100nm)をそれぞれ意味する。
作製した記録媒体のうち、実施例5のインクジェット記録媒体について、その記録面に垂直に切断した切断面のSEM写真を図2に示す。
(比較例1)
実施例1において、第2の無機粒子を用いずに、第1の無機粒子を35部用いたこと以外は上記と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、上記と同様にして評価した。評価結果を表2に示す。
また作製したインクジェット記録媒体について、その記録面に垂直に切断した切断面のSEM写真を図3に示す。
(比較例2)
実施例1において、第1の無機粒子を用いずに、第2の無機粒子を35部用いたこと以外は上記と同様にしてインクジェット記録媒体を作製し、上記と同様にして評価した。評価結果を表2に示す。

表2から、本発明のインクジェット記録媒体は高速印画条件においても、インク吸収性に優れることが分かる。さらに光沢度に優れることが分かる。

Claims (5)

  1. 支持体と、
    前記支持体上に設けられるとともに無機粒子の少なくとも2種および樹脂を含み、前記無機粒子は細孔径が200nm以上である第1の無機粒子および体積平均粒子径が200nm以下である第2の無機粒子を含有し、前記第1の無機粒子の含有率が前記無機粒子の総量中の50質量%を超える、第1のインク受容層と、
    前記第1のインク受容層上に設けられるとともに気相法シリカおよび水溶性樹脂を含む第2のインク受容層と、
    を有するインクジェット記録媒体。
  2. 前記第1の無機粒子の吸油量が50ml/100g以上である、請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
  3. 前記第1の無機粒子が焼成カオリンである、請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
  4. 前記第2の無機粒子は気相法シリカである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体上に、インクジェット法でインクを付与するインク付与工程と、
    前記インクが付与されたインクジェット記録媒体を加熱処理する加熱工程と、
    を有するインクジェット画像形成方法。
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