JP2011167987A - インクジェット記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】写像性に優れ、かつ、面状故障の少ないインクジェット記録媒体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】非透気性支持体と、前記非透気性支持体上に設けられ、カチオン性ポリビニルアルコールを0.01g/m以上1g/m以下含む下塗り層と、前記下塗り層上に設けられ、無機微粒子および水溶性樹脂を含むインク受容層と、を有するインクジェット記録媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録媒体及びその製造方法に関する。
近年のインクジェットプリンタの高解像度化やハード(装置)の発展に伴ない、インクジェット記録用の媒体も各種開発され、近年ではいわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきた。
特にインクジェット記録用の媒体に要求される特性としては、一般的な特性に加えて、光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
上記の要求を満たすインクジェット記録用の媒体として、光沢性や印字にじみ等の記録適性に優れるとして、透気性支持体上に感温性高分子化合物と顔料を含有する塗液を塗工して塗被層を形成し、塗被層にカチオン性樹脂からなるインク定着剤を付与するインクジェット記録媒体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、記録面の正反射率が高く、鮮鋭で鮮やかな写真ライク高画質画像の形成を可能とする画像記録媒体用支持体として、基材及び、真珠光沢顔料と親水性合成スメクタイトと水溶性高分子とを含む層を有する画像記録媒体用支持体及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2006−103315号公報 特開2005−96284号公報
しかしながら、特許文献1及び2においても、インクジェット記録媒体の面状及び写像性については未だ満足する特性が得られていない。
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、写像性に優れ、かつ、面状故障の少ないインクジェット記録媒体及び高速塗布を行いながらも、写像性に優れ、かつ、面状故障の発生を抑えることができるインクジェット記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
<1> 非透気性支持体と、前記非透気性支持体上に設けられ、カチオン性ポリビニルアルコールを0.01g/m以上1g/m以下含む下塗り層と、前記下塗り層上に設けられ、無機微粒子および水溶性樹脂を含むインク受容層と、を有するインクジェット記録媒体。
<2> 前記下塗り層の膜厚が0.01〜1μmである<1>に記載のインクジェット記録媒体。
<3> 前記非透気性支持体がポリオレフィン樹脂被覆紙である<1>又は<2>に記載のインクジェット記録媒体。
<4> カチオン性ポリビニルアルコールを含む下塗り層用塗布液を非透気性支持体上に塗布して下塗り層を形成する工程と、前記下塗り層上に無機微粒子および水溶性樹脂を含むインク受容層用塗布液を塗布してインク受容層を形成する工程と、を有するインクジェット記録媒体の製造方法。
<5> 前記下塗り層用塗布液がアルコールを含む<4>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
<6> 前記下塗り層用塗布液がアルコールと水との混合溶媒を含む<4>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
<7> 前記アルコールがメタノールである<5>又は<6>に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
<8> 前記下塗り層の膜厚が0.01〜1μmである<4>〜<7>のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
本発明によれば、写像性に優れ、かつ、面状故障の少ないインクジェット記録媒体、及び高速塗布を行いながらも、写像性に優れ、かつ、面状故障の発生を抑えることができるインクジェット記録媒体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明のインクジェット記録媒体及びその製造方法について詳細に説明する。
<インクジェット記録媒体>
本発明のインクジェット記録媒体は、非透気性支持体と、非透気性支持体上に設けられ、カチオン性ポリビニルアルコールを0.01g/m以上1g/m以下含む下塗り層と、前記下塗り層上に設けられた無機微粒子および水溶性樹脂を含むインク受容層と、を有する。
非透気性支持体上にカチオン性ポリビニルアルコールを0.01g/m以上1g/m以下含む下塗り層を有することにより、写像性に優れ、かつ、面状故障の少ないインクジェット記録媒体とすることができる。
また、インクジェット記録媒体の作製時には空気の巻き込みを抑えて面状良好で写像性に優れたインクジェット記録媒体を作製することができる。
以下、本発明のインクジェット記録媒体に用いられる材料について説明する。
[非透気性支持体]
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体として非透気性支持体を含んで構成される。
本発明において、非透気性支持体とは透気度が2000秒以上、好ましくは3000秒以上である支持体を意味する。透気性は、紙や不織布などの多孔性を評価する項目として一般的に知られている透気度で表される。透気度は、空気100mlが面積645mmの試験片を通過するのに要する時間で表され、JIS P8117(紙及び板紙の透気度試験方法)に規定されている。
非透気性支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチックフィルム、白色フィルム、ポリプロピレンを延伸し特殊加工を施したユポ(ユポ・コーポレーション社製)に代表されるいわゆる合成紙、等が例示できる。
また、透気性支持体からなる支持体を、非透気性樹脂で被覆して得られる非透気性樹脂被覆シートなどを用いてもよい。非透気性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースジアセテート又はそれらの混合物等を主成分とするものを用いることができるが、中でも写像性及び面状故障の点で、紙基材をポリオレフィン樹脂でラミネートした樹脂被覆層が設けられたポリオレフィン樹脂被覆紙、いわゆるRC紙が好ましく、特に酸化チタンを練り込んだポリエチレン樹脂による被覆シートは、写真調の風合いを持つため特に好ましく用いられる。
透気性支持体としては、例えば、紙基材、透気性を有する樹脂フィルム又はシート材等が使用できるが、とりわけ、優れた透気性、記録体としての取り扱い易さ、及び廃棄や再利用の容易さ等の面から紙基材を使用することが好ましい。
上記紙基材としては、本発明の効果を損なわない範囲で、通常使用される公知の紙基材を用いることができ、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、バライタ紙、板紙、含浸紙、蒸着紙が挙げられる。また、一般の塗工紙等に使用される酸性紙、中性紙等の別も適宜用いられる。
上記非透気性支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い易さの点で、50〜300μmが好ましい。
また、上記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用するのが好ましい。
次に、レジンコート紙など紙支持体に用いられる原紙について述べる。
上記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%〜70質量%が好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好適に用いられ、漂白処理を行なって白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分は20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m(JIS P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特に、インク受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行なわれている様に、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押出ししてコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られる様なマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
[下塗り層]
本発明における下塗り層は、カチオン性基をポリビニルアルコールに含有させたカチオン性ポリビニルアルコール(以下、カチオン性PVAともいう。)の少なくとも1つを含有して構成され、面状故障を減らす観点から、更にアルコールを含有することが好ましい。また、下塗り層は必要に応じて、その他の添加剤を添加することができるが、下塗り層は、インク受容層とは異なり、カチオン性ポリビニルアルコールを主成分とする。
本発明において、下塗り層に前記カチオン性PVAを添加することにより、面状故障を顕著に抑制するとの効果を奏することのメカニズムは定かではないが、次のように考えられる。
非透気性支持体上に形成される下塗り層がカチオン性PVAを含有することにより、インク受容層と下塗り層との密着性が良くなり、その結果、インク受容層塗布液の塗布時の空気の巻き込みを抑制することができ、面状故障を抑制し、特に、高速塗布時に問題となる面状故障を顕著に抑制することができるものと推測している。
下塗り層に含まれるカチオン性PVAの塗布量を本明細書記載の塗布量内にすることで、インクジェット記録媒体の面状故障抑制とにじみ防止の性能との両立が可能となる。カチオン性PVAの塗布量が多くなることにより、インク中に含まれるアニオン染料が下塗り層に含まれるカチオン性PVAで媒染され、カチオン性PVAの水溶性が高いので、高湿下でにじみやすくなると考えている。
(カチオン性ポリビニルアルコール)
本発明における下塗り層は、カチオン性基をポリビニルアルコール(PVA)の分子内に有するカチオン性ポリビニルアルコール(以下、「カチオン性PVA」ともいう。)の少なくとも1つを0.01〜1g/m含有する。
下塗り層は、カチオン性PVAを上記0.01〜1g/mの範囲で含有するが、インク受容層との相溶性及び密着性向上、面状の改良の点で、0.02〜0.5g/mであることが好ましく、0.05〜0.5g/mであることがより好ましい。
下塗り層が、カチオン性PVAを0.02〜0.5g/mの範囲で含有すると、下塗り層のインク受容層との相溶性及び密着性向上し、また、面状故障を改良する傾向となる。
カチオン性PVAの製造方法としては、例えば、特公昭62−34242号公報等に記載されている方法を用いることができ、具体的には、例えば、酢酸ビニルとトリメチル−3−((メタ)アクリルアミド−プロピル)アンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩含有の単量体とを塊状、溶液、懸濁、乳化等の公知の重合方法によって共重合して得られるポリ酢酸ビニルに、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化した後、乾燥する方法、または酢酸ビニルとジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有の単量体とを共重合した後、塩化メチル等公知の4級化剤を添加してアミノ基を4級化した後、乾燥する方法等を用いることができる。
また、上記カチオン性PVAの分子内に存在するカチオン性基の含有率は構成単位で0.01〜20mol%、好ましくは0.03〜10mol%、さらに好ましくは0.05〜5mol%である。分子内に存在するカチオン基の含有率が構成単位で0.01mol%未満となると分子をカチオン化する効果が低下する。一方、分子内に存在するカチオン基の含有率が構成単位で20mol%を越えてもそれ以上性能に差が現れなく、生産コストが高くなる。
上記カチオン性PVAとしては、例えば、ビニルエステルと特公昭62−34242号公報に記載の一般式(1)によって示される単量体とが共重合したPVAが好ましい。該共重合の製造方法としては、特公昭62−34242号公報に記載されている製造方法を用いることができる。
上記ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル等が挙げられ、特に酢酸ビニルが好ましい。
本発明における上記カチオン性PVAの市販品としては、C−118、C−506、C−318(以上、(株)クラレ製)、ゴーセファイマーC−670、ゴーセファイマーC−820、ゴーセファイマーK−200、ゴーセファイマーK−210(以上、日本合成化学工業(株)製)が挙げられ、この中でもゴーセファイマーK−210、C−506、C−318、ゴーセファイマーC−670が好ましい。
上記カチオン性PVAの重合度は、1000以下が好ましく、800以下がさらに好ましく、500以下が特に好ましい。重合度が1000を越えると塗布液の粘度が向上し、該塗布液の塗布が困難となり、さらに塗布面上の平坦性が低下する。また、上記重合度は100以上が好ましく、300以上がさらに好ましい。上記重合度が100未満だと、下塗り層の接着性が低下する。ここで、カチオン性PVAの重合度は、該カチオン性PVAを再酢化して得たポリ酢酸ビニルのアセトン溶液の粘度から求められた粘度平均重合度である。
(溶媒)
下塗り層は上記構成成分を含んで構成される下塗り層用塗布液を前記非透気性支持体上に塗布することにより得ることができる。
下塗り層用塗布液の溶媒については、アルコール、アルコールと水と混合溶媒が好ましく、それらの詳細はインクジェット記録媒体の製造方法の項で記載する。
なお、上記下塗り層は、本発明の効果に影響を与えない範囲で、界面活性剤、PVA以外の水溶性樹脂等を含んでいてもよい。
下塗り層の膜厚は、特に限定されないが、インク受容層の面状故障(ひび割れ)、脆性とインク受容層の密着性の観点から、0.01〜1μmが好ましく、0.02〜0.8μmがより好ましく、0.05〜0.5μmが更に好ましい。下塗り層の膜厚が上記範囲であることにより、面状において、本発明の効果がより顕著に観察できる点で好ましい。
[インク受容層]
本発明におけるインク受容層は無機微粒子の少なくとも1つと、水溶性樹脂の少なくとも1つを含有して構成される。
(無機微粒子)
本発明におけるインク受容層は、無機微粒子を含有する。
上記無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができる。中でも、シリカ微粒子が好ましい。
上記シリカ微粒子は、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性及び保持の効率が高く、また屈折率が低いので、適切な微小粒子径まで分散を行なえばインク受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという利点がある。この様に受容層が透明であるということは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性及び写像性を得る観点より重要である。
無機微粒子の平均一次粒子径としては、20nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましく、特に10nm以下が好ましい。該平均一次粒子径が20nm以下であると、インク吸収特性を効果的に向上させることができ、また同時にインク受容層表面の光沢性をも高めることができる。
また、無機微粒子のBET法による比表面積は200m/g以上が好ましく、250m/g以上がさらに好ましく、380m/g以上が特に好ましい。無機微粒子の比表面積が200以上m/gであると、インク受容層の透明性が高く、印画濃度を高く保つことが可能である。
本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
特にシリカ微粒子は、その表面にシラノール基を有し、該シラノール基の水素結合により粒子同士が付着し易いため、また該シラノール基と水溶性樹脂を介した粒子同士の付着効果のため、上記の様に平均一次粒子径が20nm以下の場合にはインク受容層の空隙率が大きく、透明性の高い構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
一般にシリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、「気相法シリカ」とは、当該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を指す。
気相法シリカは、上記含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nmと多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmと少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
本発明においては、上記乾式法で得られる気相法シリカ微粒子(無水シリカ)が好ましく、更に微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmであるシリカ微粒子が好ましい。
本発明に最も好ましく用いられる無機微粒子は、BET法による比表面積が200m/g以上の気相法シリカである。
(水溶性樹脂)
本発明における水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;親水性のエーテル結合を有する樹脂である、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);親水性のアミド基又はアミド結合を有する樹脂である、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等を挙げることもできる。
本発明における水溶性樹脂の含有量としては、該含有量の過少による、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ、該含有量の過多によって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
水溶性樹脂は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成し易くする。この様な三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造のインク受容層を形成し得ると考えられる。
インクジェット記録媒体において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みのない真円性の良好なドットを形成することができる。
(無機微粒子と水溶性樹脂との含有比)
無機微粒子(好ましくはシリカ微粒子;x)と水溶性樹脂(y)との含有比〔PB比(x/y)、本発明における水溶性樹脂1質量部に対する無機微粒子の質量〕は、インク受容層の膜構造にも大きな影響を与える。即ち、PB比が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。具体的には、上記PB比(x/y)としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5/1〜10/1が好ましい。
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、インクジェット記録媒体に応力が加わることがあるので、インク受容層は充分な膜強度を有していることが必要である。更にシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れ及び剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には充分な膜強度が必要である。この様な観点より、上記PB比(x/y)としては5/1以下が好ましく、インクジェットプリンターで高速インク吸収性をも確保する観点からは、2/1以上であることが好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の無水シリカ微粒子と水溶性樹脂とをPB比(x/y)が2/1〜5/1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、無水シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積0.5ml/g以上、比表面積が100m/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
(架橋剤)
本発明におけるインク受容層は架橋剤を含むことが好ましい。本発明に係るインク受容層は、該架橋剤による水溶性樹脂の架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
上記架橋剤としては、インク受容層に含まれる本発明における水溶性樹脂との関係で好適なものを適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速である点でホウ素化合物が好ましく、例えば、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸塩、InBO、ScBO、YBO、LaBO、Mg(BO、Co(BO、二ホウ酸塩(例えば、Mg、Co)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO、Ca(BO、NaBO、KBO)、四ホウ酸塩(例えば、Na・10HO)、五ホウ酸塩(例えば、KB・4HO、Ca11・7HO、CsB)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩が好ましく、特にホウ酸又はホウ酸塩が好ましく、これを水溶性樹脂であるポリビニルアルコールと組み合せて使用することが最も好ましい。
本発明においては、上記架橋剤は、本発明における水溶性樹脂(例えば、ポリビニルアルコール)1.0質量部に対して、0.05〜0.50質量部含有されることが好ましく、0.08〜0.30質量部含有されることがより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲であると、本発明における水溶性樹脂を効果的に架橋してひび割れ等を防止することができる。
前記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場合などには、ホウ素化合物以外の下記化合物も架橋剤として用いることができる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。上記の架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
(媒染剤)
インク受容層は、上記の無機微粒子及び水溶性樹脂に加え、更に媒染剤を含有することが好ましい。媒染剤としては、例えば、水溶性金属化合物等の無機媒染剤及びカチオン性ポリマー等の有機媒染剤が挙げられ、水溶性多価金属塩や含窒素有機カチオンポリマーが好適に用いられる。
前記水溶性金属化合物としては、例えば、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。なお、水溶性金属化合物の「水溶性」は、20℃の水に1質量%以上が溶解することをいう。
水溶性金属化合物の中でも、3価以上の金属化合物が好ましく、アルミニウム化合物、又は周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)を含む化合物が好ましく、ジルコニウム化合物及びアルミニウム化合物はより好ましい。特に好ましくは、水溶性アルミニウム化合物である。
水溶性アルミニウム化合物としては、例えば、塩化アルミニウム又はその水和物(例:塩化アルミニウム六水和物)、硫酸アルミニウム又はその水和物、アンモニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性チオグリコール酸アルミニウム等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物(以下、「塩基性ポリ塩化アルミニウム」、「ポリ塩化アルミニウム」ともいう。)が知られており、好ましく用いられる。塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記式1、式2又は式3で表され、例えば、[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等の、塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含む水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al(OH)Cl6−n ・・・式1
[Al(OH)AlCl ・・・式2
Al(OH)Cl(3n−m) 〔0<m<3n〕 ・・・式3
これらは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名称で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名称で、また、(株)理研グリーンよりHAP−25の名称で、大明化学(株)よりアルファイン83の名称で、さらに他のメーカーからも同様の目的で上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。
アルミニウム化合物以外の水溶性金属化合物の具体例としては、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酪酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、シュウ酸バリウム、ナフトレゾルシンカルボン酸バリウム、酪酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、酪酸銅(II)、シュウ酸銅、フタル酸銅、クエン酸銅、グルコン酸銅、ナフテン銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、スルファミン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、クエン酸鉄(III)、乳酸鉄(III)三水和物、三シュウ酸三アンモニウム鉄(III)三水和物、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、四塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等、アルミニウムミョウバン、塩基性ポリ水酸化アルミニウム、フェノールスルホン酸亜鉛、酢酸亜鉛アンモニウム、亜鉛アンモニウムカーボネート、が挙げられる。
周期表4A族金属を含む化合物としては、チタン又はジルコニウムを含む水溶性化合物がより好ましい。チタンを含む水溶性金属化合物としては、塩化チタン、硫酸チタン、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタンが挙げられる。ジルコニウムを含む水溶性金属化合物としては、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、乳酸ジルコニル、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、炭酸ジルコニル・アンモニウム、炭酸ジルコニル・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、硫酸ジルコニル、フッ化ジルコニル等が挙げられる。
また、媒染剤としては、カチオンポリマーも好ましい。カチオンポリマーとしては、例えば含窒素有機カチオンポリマーが好適であり、第1級〜第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好適である。含窒素有機カチオンポリマーとしては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(含窒素有機カチオンモノマー)の単独重合体である含窒素有機カチオンポリマー、前記含窒素有機カチオンモノマーと他の単量体との共重合体又は縮重合体として得られる含窒素有機カチオンポリマー、ウレタン結合を有するウレタン系ポリマー等に、カチオン基を含む化合物を用いてカチオン化修飾して得られる含窒素有機カチオンポリマー等を挙げることができる。
上記のカチオンポリマー中でも、滲み抑制の観点からは、カチオン性ポリウレタン、特開2004−167784号公報等に記載のカチオン性ポリアクリレートが好ましく、カチオン性ポリウレタンがより好ましい。カチオン性ポリウレタンとしては、市販品として例えば、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス650−5」、「F−8564D」、「F−8570D」、日華化学(株)製の「ネオフィックスIJ−150」などを挙げることができる。
本発明においては、印画濃度・耐水性の点から、媒染剤は、水溶性アルミニウム化合物、水溶性ジルコニウム化合物、又はカチオン性ポリウレタンが好ましい。
媒染剤のインク受容層中における含有量としては、印画濃度・耐水性の点で、無機微粒子に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜8質量%がより好ましい。
(他の成分)
本発明におけるインク受容層は、必要に応じて下記成分を含有させて構成される。
即ち、インク色材の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤を含んでいてもよい。
上記紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少なくとも2位又は6位の内、1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用でき、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具体的には、特公昭45−4699号公報、同54−5324号公報等に記載されている。
上記酸化防止剤としては、具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
これら褪色防止剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。褪色防止剤は、水溶性化、分散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に含ませることもできる。褪色防止剤の添加量としては、インク受容層形成液の0.01〜10質量%が好ましい。
本発明において、インク受容層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。上記高沸点有機溶剤としては、水溶性のものが好ましく、該水溶性の高沸点有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(重量平均分子量が400以下)等のアルコール類が挙げられる。好ましくは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)である。
上記高沸点有機溶剤のインク受容層形成液中における含有量としては、0.05〜1質量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜0.6質量%である。
また、無機微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。
更に、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的で、電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。
[インクジェット記録媒体の製造方法)
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、カチオン性ポリビニルアルコールを含む下塗り層用塗布液を非透気性支持体上に塗布して下塗り層を形成する工程(下塗り層形成工程)と、前記下塗り層上に無機微粒子および水溶性樹脂を含むインク受容層用塗布液を塗布してインク受容層を形成する工程(インク受容層形成工程)と、を少なくとも有する。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法により、前述の本発明のインクジェット記録媒体を製造することができる。
以下、本発明における各工程について詳述する。
<下塗り層形成工程>
本工程は、非透気性支持体上にカチオン性ポリビニルアルコールを含む下塗り層塗布液を塗布して下塗り層を形成する工程である。
(下塗り層用塗布液)
下塗り層用塗布液に含有されるカチオン性ポリビニルアルコールは、インクジェット記録媒体の項に記載したものと同義であり、好ましい例、量等も同様である。
カチオン性ポリビニルアルコールの下塗り層用塗布液中における含有量は、塗工後の下塗り層中における含有量が0.01g/m以上1g/m以下の範囲となるようにすることが必要であるが、0.02〜0.5g/mの範囲とすることが好ましく、0.05〜0.5g/mの範囲とすることがより好ましい。下塗り層中のカチオン性ポリビニルアルコールの含有量を上記範囲とすることにより、インク受容層との密着性が向上し、また、面状故障の発生、にじみが抑制される点で好ましい。
下塗り層用塗布液には、溶剤として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。また、塗布に使用可能な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。これらの中でも、インクジェット記録媒体の面状故障の抑制の観点から、アルコール、アルコールと水との混合溶媒が好ましく、メタノール、メタノールと水との混合溶媒がより好ましい。メタノールと水との混合質量比は特に限定されないが、塗布速度の向上との観点から、1:10〜10:1が好ましい。
下塗り層用塗布液における固形分濃度は0.1〜20質量%の範囲とすることが望ましく、0.5〜10質量%の範囲とすることがより好適である。
下塗り層用塗布液の塗布は、公知の塗布法を利用して行なうことができる。公知の塗布法としては、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた方法が挙げられる。
下塗り層用塗布液の塗布量は、生産性の点で、1〜15ml/mが好ましく、1〜10ml/mがより好ましく、2〜8ml/mが特に好ましい。
下塗り層用塗布液の塗布後の乾燥は、20〜100℃で10秒間〜5分間(特に20秒間〜3分間)行なわれることが好ましい。この乾燥時間は、当然塗布量により異なるが、前記範囲が適当である。
(非透気性支持体)
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法に用いる支持体は、前述のインクジェット記録媒体の項に記載したものと同義であり、好ましい例等も同様である。
<インク受容層形成工程>
インク受容層形成工程は、前記下塗り層上に無機微粒子および水溶性樹脂を含むインク受容層用塗布液を塗布してインク受容層を形成する工程である。
本発明のインクジェット記録媒体は、例えば、非透気性支持体上に、既述の下塗り層用塗布液を塗布・乾燥して下塗り層を形成した後、又は、下塗り層用塗布液の塗布と同時に、下塗り層にインク受容層用塗布液を、塗布・乾燥することで製造することができる。
(インク受容層用塗布液)
インク受容層用塗布液は、無機微粒子及び水溶性樹脂等のインクジェット記録媒体のインク受容層の項に記載したものが含有され、好ましい例、量等も同様である。
インク受容層用塗布液は、例えば、無機微粒子(シリカ微粒子)及びジルコニウム化合物とを高圧分散機を用いて、対向衝突させて、又は、オリフィスを通過させて分散させることによりシリカ分散液を調製し、これに水溶性樹脂を添加して調製することができる。
無機微粒子及びジルコニウム化合物又は無機微粒子、ジルコニウム化合物及び架橋剤を、高圧分散機を用いて対向衝突させて、又は、オリフィスを通過させて分散することにより得られる無機分散液(シリカ分散液)は、無機微粒子の粒子径が細かい点で優れる。
無機微粒子及びジルコニウム化合物又は無機微粒子、ジルコニウム化合物及び架橋剤はこれらを含む分散液(予分散液)の状態で高圧分散機に供せられる。予備混合(予分散)は、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で行うことができる。
分散液の準備に用いられる高圧分散機としては、一般に、高圧ホモジナイザーと呼ばれている市販の装置が好適に使用できる。
前記高圧ホモジナイザーの代表例としては、ナノマイザー製の商品名;ナノマイザー、マイクロフルイディクス製の商品名;マイクロフルイダイザー、及びスギノマシン製のアルティマイザーなどを挙げることができる。
なお、前記オリフィスとは、円形などの微細な穴を持つ薄板(オリフィス板)を直管内に挿入し、直管の流路を急激に絞る機構をいう。
上記高圧ホモジナイザーは、基本的には、原料スラリーなどを加圧する高圧発生部と、対向衝突部或いはオリフィス部とからなる装置である。高圧発生部としては、一般にプランジャーポンプと呼ばれている高圧ポンプが好適に採用される。高圧ポンプには、一連式、二連式、三連式などの各種の形式があるが、いずれの形式も特に制限なく本発明において採用できる。
前記高圧で対向衝突させる場合における処理圧力は50MPa以上、100MPa以上が好ましく、さらに130MPa以上が好ましい。
また、前記オリフィスを通過させる場合におけるオリフィスの入口側と出口側の差圧も、前記処理圧力と同様に、50MPa以上、好ましくは100MPa以上、さらに好ましくは130MPa以上が望ましい。
対向衝突させる場合の予分散液の衝突速度は、相対速度として50m/秒以上が好ましく、100m/秒以上がより好ましく、150m/秒以上が好ましい。
オリフィスを通過する際の溶媒の線速度は、用いるオリフィスの孔径にも依存するため一概には決められないが、上記対向衝突の際の衝突速度と同様に50m/秒以上が好ましく、100m/秒以上がより好ましく、150m/秒以上が好ましい。
いずれの方法においても、分散効率は処理圧力に依存するため、処理圧力が高いほど分散効率も高くなる。ただし、処理圧力が350MPaを越えると高圧ポンプの配管等の耐圧性や装置の耐久性に問題が発生しやすい。
上記したいずれの方法においても、処理回数は特に制限されず、通常は、1〜数十回の範囲から適宜選択される。これにより分散液を得ることができる。
この分散液を調製する際には、各種の添加剤を添加することができる。
添加剤としては、例えば、ノニオン性またはカチオン性の各種の界面活性剤(アニオン性界面活性剤は凝集物を形成するために好ましくない)、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトンなど)、無機塩類、pH調整剤などが挙げられ、これらは必要に応じて適宜使用することができる。
特に、水混和性有機溶媒は、無機微粒子(シリカ)等を予備分散した際の微小なダマの形成が抑制される点で好ましい。水混和性有機溶媒は、分散液中に0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%使用される。
無機微粒子(気相法シリカ)分散液を調製する際のpHは、無機微粒子(気相法シリカ)の種類や各種の添加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1〜8であり、特に2〜7が好ましい。また、上記の分散には二種以上の添加剤を併用することも可能である。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法においては、上述の方法により得られた分散液にポリビニルアルコール等が添加されてインク受容層形成液が得られる。上述の分散液とポリビニルアルコール等との混合は通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で行うことができる。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法において、インク受容層形成液に水溶性アルミニウム化合物をインライン混合させる際に用いられる好ましいインライン混合機は、特開2002−85948号公報等に記載されているがこれに限定されるものではない。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、インク受容層形成液に水溶性アルミニウム化合物をインライン混合して得られた塗布液を支持体上に塗布して形成された塗布層に、(1)前記塗布液を塗布すると同時、(2)前記塗布層の乾燥途中であって前記塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、pHが7.1以上の塩基性溶液を付与し、前記塗布層の架橋硬化を行なう工程をさらに有してもよい。
このようにして架橋硬化させたインク受容層を設けることは、インク吸収性や膜のヒビ割れ防止などの観点から好ましい。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法において、各工程における溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
インク受容層形成液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行うことができる。
インク受容層形成液の塗布と同時、又はインク受容層形成液を塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前に、該塗布層にpHが7.1以上の塩基性溶液が付与されることが好ましい。即ち、インク受容層形成液の塗布後、この塗布層が恒率乾燥を示す間にpHが7.1以上の塩基性溶液を導入することで好適に製造される。
pHが7.1以上の塩基性溶液は、必要に応じて架橋剤等を含有することができる。pHが7.1以上の塩基性溶液は、アルカリ溶液として用いることで硬膜を促進でき、好ましくはpH7.5以上であり、特に好ましくはpH7.9以上である。前記pHが酸性側に近すぎると、架橋剤によってインク受容層形成液に含まれる水溶性樹脂(例えば、ポリビニルアルコール)の架橋反応が十分に行なわれず、ブロンジングの発生や、インク受容層にひび割れ等の欠陥を来すことがある。
pHが7.1以上の塩基性溶液は、例えば、イオン交換水に、金属化合物(例えば1〜5%)および塩基性化合物(例えば1〜5%)と、必要に応じてパラトルエンスルホン酸(例えば0.5〜3%)とを添加し、十分に攪拌することで調製することができる。なお、各組成物の「%」はいずれも固形分質量%を意味する。
ここで、前記「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
前記の通り、インク受容層形成液の塗布後、該塗布層が減率乾燥を示すようになるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に40〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は前記範囲が適当である。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1]
「支持体の作製」
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解し、パルプスラリーを調製した。
次いで、前記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当たり、カチオン性デンプン(日本NSC(株)製 CAT0304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光化学工業(株)製 ポリアクロンST−13)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学工業(株)製 サイズパインK)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学工業(株)製 アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
前記のようにして調製したパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、ウェッブのフェルト面をドラムドライヤーシリンダーにドライヤーカンバスを介して押し当てて乾燥する工程において、ドライヤーカンバスの引張り力を1.6Kg/cmに設定して乾燥を行った後、サイズプレスにて原紙の両面にポリビニルアルコール((株)クラレ製 KL−118)を1g/m塗布して乾燥し、カレンダー処理を行った。なお、原紙の坪量は157g/mで抄造し、厚さ157μmの原紙(基紙)を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレンの比率を80%/20%の比率でブレンドし20g/mとなるように320℃の温度で溶融押し出しコーティングし、マット面からなる熱可塑性樹脂層を形成した(以下、この熱可塑性樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の熱可塑性樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥重量が0.2g/mとなる様に塗布した。続いて、表面にコロナ処理し、10質量%の酸化チタンを有する密度0.93g/mのポリエチレンを24g/mになるように溶融押出機を用いて320℃で押し出しコーティングして支持体(ポリオレフィン樹脂被覆紙:WP紙)を得た。
<インク受容層形成液Aの作製>
下記の「シリカ分散液A」組成に従って、イオン交換水にジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体(第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P)を混合した液にシリカ微粒子を混合し、更に、第一稀元素化学工業(株)製ジルコゾールZA−30を添加したスラリーを、(株)スギノマシン社製、アルティマイザーで、170MPaで分散しメジアン径(平均粒子径)120nmのシリカ分散液Aを作製した。
シリカ分散液Aに下記インク受容層形成液Aの組成に従いイオン交換水、7.5%ホウ酸液、SC−505、ポリビニルアルコール溶解液、スーパーフレックス650−5を順次添加混合し、インク受容層形成液Aを作製した。
「シリカ分散液A」
(1)気相法シリカ微粒子 15.0部
(日本アエロジル(株)製 AEROSIL300SF75)
(2)イオン交換水 82.9部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%溶液) 1.31部
(第一工業製薬(株)製分散剤)
(4)酢酸ジルコニル 「ジルコゾールZA−30 (50%溶液)」 0.81部
(第一稀元素化学工業(株)製)
「インク受容層形成液Aの組成」
(1)シリカ分散液A 59.5部
(2)イオン交換水 7.8部
(3)7.5%ホウ酸液(架橋剤) 4.4部
(4)ジメチルアミン・エピクロルヒドリン・ポリアルキレンポリアミン重縮合物(50%溶液)(ハイモ(株)製 SC−505) 0.1部
(5)下記ポリビニルアルコール溶解液 26.0部
(6)カチオン変性ポリウレタン 2.2部
(スーパーフレックス650−5(25%液))
(第一工業製薬(株)製)
<ポリビニルアルコール溶解液組成>
(1)ポリビニルアルコール 6.96部
(日本酢ビ・ポバール(株)製 「JM−33」 鹸化度94.3mol% 重合度3300)
(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル 0.23部
(花王(株)製界面活性剤 エマルゲン109P)
(3)ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2.12部
(協和発酵(株)製 ブチセノール20P)
(4)イオン交換水 90.69部
(インクジェット記録媒体の作製)
支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、下記下塗り層用塗布液を4ml/m(カチオン性ポリビニルアルコール:0.16g/m)塗布し、70℃で1分間乾燥させた(膜厚0.16μm)。
更に、前記インク受容層形成液A、183g/mに、下記PAC液1を11.4g/mの塗布量となるようにインラインブレンド後、エクストルージョンダイコーターで塗布を行った。その後、冷風乾燥機にて5℃、相対湿度30%(風速3〜8m/sec)で5分間処理後、更に25℃、相対湿度25%(風速3〜8m/sec)の乾燥風で20分間乾燥させた。この塗布層は、この間は恒率乾燥を示した。そして、減率乾燥を示す前に、下記組成の塩基性溶液(pH=7.8)に3秒浸漬して、前記塗布層上にその13g/mを付着させ、更に65℃で10分間乾燥させた(硬化工程)。これにより、乾燥膜厚30μmのインク受容層が設けられた、本発明のインクジェット記録媒体を作製した。
<下塗り層用塗布液の組成>
(1)カチオン性ポリビニルアルコール(日本合成化学製 K−210) 4部
(2)メタノール 50.0部
(3)イオン交換水 46.0部
<PAC1液>
(1)塩基度83%のポリ塩化アルミニウム水溶液(大明化学工業(株)製 アルファイン83) 20部
(2)イオン交換水 80部
<塩基性溶液の組成>
(1)ホウ酸 0.65部
(2)炭酸アンモニウム(一級) 3.5部(関東化学(株)製)
(3)イオン交換水 63.6部
(4)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2%水溶液) 30.0部 (花王(株)製界面活性剤、エマルゲン109P)
[実施例2]
実施例1において、カチオン性ポリビニルアルコールを(株)クラレ製C−506に変更した以外は実施例1と同様に行ってインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例3]
実施例1において、カチオン性ポリビニルアルコールを(株)クラレ製CM−318に変更した以外は実施例1と同様に行ってインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例4]
実施例1において、メタノールをイオン交換水に変更した以外は実施例1と同様に行ってインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例5]
実施例1において、メタノールをプロパノールに変更した以外は実施例1と同様に行ってインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例6]
実施例1において、下塗り層用塗布液の塗布量を4ml/mから22.5ml/mに変更した以外は実施例1と同様に行ってインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例7]
実施例1において、下塗り層用塗布液の塗布量を4ml/mから1.25ml/mに変更した以外は実施例1と同様に行ってインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例1]
実施例1において、カチオン性ポリビニルアルコールを(株)クラレ製PVA−217に変更した以外は実施例1と同様に行ってインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例2]
実施例1において、下塗り層用塗布液を塗布しなかった以外は実施例1と同様に行ってインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例3]
実施例1における支持体の作製において、原紙(基紙)の両面に押出しコーティングをしなかった以外は実施例1と同様に行ってインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例4]
実施例1において、カチオン性ポリビニルアルコールを石灰処理ゼラチンに変更した以外は実施例1と同様に行ってインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例5]
実施例1において、カチオン性ポリビニルアルコールを(株)クラレ製KL−118に変更した以外は実施例1と同様に行ってインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例6]
実施例1において、下塗り層用塗布液の塗布量を4ml/mから40ml/mに変更した以外は実施例1と同様に行ってインクジェット記録媒体を作製した。
上記で得られたインクジェット記録シートを用いて下記評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
[写像性]
JIS H8686−2(1999)に規定される写像性試験方法に基づき、写像性測定器ICM−1(スガ試験機(株)製)を用いて、下記測定条件及び解析条件に基づき、写像性を測定・評価した。
<測定条件>
・測定方法:反射 ・測定角度:60° ・光学くし:2.0mm、
〔評価基準〕
A:写像性が80%以上 B:写像性が70%以上80%未満 C:写像性が30%以上70%未満 D:写像性が30%未満
[面状故障]
得られたインクジェット記録シートのオモテ面の面状を目視で観察し、1m中の割れ故障の数を下記基準で評価した。
〔評価基準〕
A:割れ、面状欠陥は観察されなかった。
B:割れは観察されないが、インク受容層の膨れによる光沢異常が1〜2個あった。しかし、実用上問題ないレベルであった。
C:割れ発生が3〜10個であり、実用上問題のあるレベルであった。
D:割れ発生が10個を超え、実用上問題のあるレベルであった。
[にじみ]
インクジェットプリンター(商品名:MP−950、キャノン(株)製)を用いて、各インクジェット記録用シート上にマゼンタインクとブラックインクとを隣あわせにした格子状の線状パターン(線幅0.28mm)を印画し、23℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に14日間保管した後、下記の判断基準に従って、にじみ(経時ニジミ)を評価した。
〜判定基準〜
A:経時ニジミの発生はほとんど認められず、良好であった。
B:経時ニジミが若干認められたが、実用上問題ないレベルであった。
C:経時ニジミが顕著に認められ、実用上問題となるレベルであった。
Figure 2011167987
表1に示すように、本発明のインクジェット記録媒体は写像性に優れ、特に面状故障が少なく良好であった。

Claims (8)

  1. 非透気性支持体と、前記非透気性支持体上に設けられ、カチオン性ポリビニルアルコールを0.01g/m以上1g/m以下含む下塗り層と、前記下塗り層上に設けられ、無機微粒子および水溶性樹脂を含むインク受容層と、を有するインクジェット記録媒体。
  2. 前記下塗り層の膜厚が0.01〜1μmである請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
  3. 前記非透気性支持体がポリオレフィン樹脂被覆紙である請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
  4. カチオン性ポリビニルアルコールを含む下塗り層用塗布液を非透気性支持体上に塗布して下塗り層を形成する工程と、前記下塗り層上に無機微粒子および水溶性樹脂を含むインク受容層用塗布液を塗布してインク受容層を形成する工程と、を有するインクジェット記録媒体の製造方法。
  5. 前記下塗り層用塗布液がアルコールを含む請求項4に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  6. 前記下塗り層用塗布液がアルコールと水との混合溶媒を含む請求項4に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  7. 前記アルコールがメタノールである請求項5又は請求項6に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
  8. 前記下塗り層の膜厚が0.01〜1μmである請求項4〜請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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