JP2010253918A - インクジェット記録媒体および画像記録方法 - Google Patents

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浩 川上
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Abstract

【課題】耐オゾン性が良好で、経時にじみの発生を抑制することができ、インク付与後に加熱処理を行った場合でも、臭気の発生を抑制することができるインクジェット記録媒体を提供する。
【解決手段】インクジェット記録媒体を、支持体と、前記支持体上に配置され、オリゴ糖およびベタイン化合物から選ばれる臭気発生抑制成分、酢酸ジルコニル、無機微粒子、ならびに、水溶性樹脂を含有するインク受容層とを備えて構成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録媒体および画像記録方法に関する。
カラー画像を記録する画像記録方法としては、近年、様々な方法が提案されているが、いずれにおいても画像の品質、風合い、記録後のカールなど、記録物の品位に対する要求は高い。
例えば、インクジェット記録方法は、インクを受容する記録層が多孔質構造に構成されたインクジェット記録媒体を用いた方法が実用化されている。その一例として、無機顔料粒子及び水溶性バインダーを含み、高い空隙率を有する記録層が支持体上に設けられたインクジェット記録媒体があり、多孔質構造を有するためにインクの速乾性に優れ、高い光沢を有する等、写真ライクな画像の記録が可能になってきている。
インクジェット技術は、オフィスプリンタ、ホームプリンタ等の分野に適用されてきたが、近年では、商業印刷分野での応用がなされつつある。例えば、画像を高速に又は一度に多数枚を印画したり、あるいはフォトブックなどの商業用のプリント等として両面に画像を記録したりする等の用途に対する要求がある。このような用途では、インクを打滴して画像記録するにあたり、高画質で高光沢な画像をより高速で記録できるだけでなく、記録材料としての品質上、記録画像の濃度や色味が安定していることが求められる。
上記に関連する技術として、支持体上に、糖類と1級アミノ基を有する重合体とを含むインク受容層を設けたインクジェット記録用シートや、支持体上に、オリゴ糖と2価の金属塩とを含むインク受容層を設けたインクジェット記録シートが知られており(例えば、特許文献1〜2参照)、耐オゾン性に優れるとされている。
また、インク受容層に保湿剤と多価金属塩をふくむインクジェット記録用紙が知られており(例えば、特許文献3参照)、ブロンジングと滲みが抑制できるとされている。
さらに、画像を記録した後に、加熱処理を行う技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2003−326842号公報 特開2003−145921号公報 特開2003−312127号公報 特開2004−188704号公報
特許文献1〜3に記載のインクジェット記録媒体では、耐オゾン性が十分ではない場合があり、また、経時にじみの発生を十分に抑制できない場合があった。さらにインク付与後に加熱処理を行うと、インク成分の影響による臭気が発生する場合があった。
本発明は、耐オゾン性が良好で、経時にじみの発生を抑制することができ、インク付与後に加熱処理を行った場合でも、臭気の発生を抑制することができるインクジェット記録媒体およびインクジェット画像記録方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 支持体と、前記支持体上に配置され、オリゴ糖およびベタイン化合物から選ばれる臭気発生抑制成分、酢酸ジルコニル、無機微粒子、ならびに、水溶性樹脂を含有するインク受容層と、を備えるインクジェット記録媒体。
<2> 前記ベタイン化合物は、下記一般式(1)で表される前記<1>に記載のインクジェット記録媒体。
Figure 2010253918
(一般式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Lは2価の連結基を表す)
<3> 前記オリゴ糖は、重合度が2〜10である前記<1>または<2>に記載のインクジェット記録媒体。
<4> 前記臭気発生抑制成分の含有率が、前記インク受容層中の全固形分に対して0.3〜15.0質量%である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
<5> 前記酢酸ジルコニルの含有率が、前記インク受容層中の全固形分に対して0.1〜10質量%である前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
<6> 前記酢酸ジルコニルに対する臭気発生抑制成分の含有比が質量基準で、0.2〜10である前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
<7> 前記無機微粒子は、気相法シリカである前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
<8> 前記臭気発生抑制成分は、マルトース、トレハロース、ラフィノース、スクロース、イソマルトース、および、トリメチルグリシンから選ばれる少なくとも1種である前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
<9> 前記インク受容層は、前記臭気発生抑制成分を含む第1の層と、前記臭気発生抑制成分を含まない第2の層とを含み、前記前記第1の層が、前記第2の層よりも前記支持体に近い側に配置されている前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
<10> 前記第2の層は、カチオン性ポリマーを含む前記<9>に記載のインクジェット記録媒体。
<11> 前記<1>〜<10>のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体上に、インクジェット法でインクを付与して画像を記録するインク付与工程と、前記インクが付与されたインクジェット記録媒体を加熱する加熱乾燥工程と、を備える画像記録方法。
本発明によれば、耐オゾン性が良好で、経時にじみの発生を抑制することができ、インク付与後に加熱処理を行った場合でも、臭気の発生を抑制することができるインクジェット記録媒体およびインクジェット画像記録方法を提供することができる。
<インクジェット記録媒体>
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体と、前記支持体上に配置され、オリゴ糖およびベタイン化合物から選ばれる臭気発生抑制成分、酢酸ジルコニル、無機微粒子、ならびに水溶性樹脂を含有するインク受容層とを備える。かかる構成であることにより、耐オゾン性が良好で、経時にじみの発生を抑制することができ、インク付与後に記録媒体を加熱処理しても臭気の発生を抑制することができる。さらに本発明のインクジェット記録媒体においては、インクジェット記録における記録媒体の変形(例えば、カール、コックリング)が低減される。
[インク受容層]
本発明におけるインク受容層は、オリゴ糖およびベタイン化合物から選ばれる臭気発生抑制成分の少なくとも1種と、酢酸ジルコニルと、無機微粒子の少なくとも1種と、水溶性樹脂の少なくとも1種とを含有し、必要に応じてその他の添加剤を含んで構成することができる。
本発明においてオリゴ糖およびベタイン化合物から選ばれる臭気発生抑制成分は、臭気物質の揮発を抑制する機能を有すると考えることができる。すなわち、臭気発生抑制成分は、例えば、インクジェット記録媒体に由来する臭気物質(例えば、酢酸ジルコニルに由来する酢酸)と相互作用して、臭気物質が揮発することを抑制するために、インクジェット記録時における臭気の発生が抑制されると考えることができる。さらに前記臭気発生抑制成分は保湿作用を併せ持つため、インク溶媒に含まれる水等のインク溶媒が支持体に与える影響を低減し、記録媒体の変形が低減されると考えることができる。
(オリゴ糖)
前記オリゴ糖としては、2以上の単糖がグリコシド結合したものであれば、特に制限はない。本発明においては、臭気抑制の観点から、2〜20の単糖がグリコシド結合したオリゴ糖であることが好ましく、2〜10の単糖がグリコシド結合したオリゴ糖であることがより好ましく、2〜7の単糖がグリコシド結合したオリゴ糖であることがさらに好ましい。
前記オリゴ糖を構成する単糖については特に制限はない。単糖の具体例としては、ペントース(例えばアラビノース、キシロース、リキソース、リボース、キシルロース、リブロース等)、ヘキソース(例えばガラクトース、グルコース、タロース、マンノース、タガトース、ソルボース、プシコース、フルクトース等)、デオキシ糖(例えばフコース、ラムノース、アロメチロース、キノボース、タロメチロース等)、アミノ糖(例えばグルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、N−アセチルグルコサミン、N-アセチルマンノサミン等)、ウロン酸(例えばグルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、イズロン酸、グルロン酸等)、ムラミン酸類(例えばムラミン酸、フコサミン、ラムノサミン、アミノマンヌロン酸等)が挙げられる。
また本発明におけるオリゴ糖のグリコシド結合についても特に制限はなく、α,α1→1結合、α1→2結合、α1→3結合、α1→4結合、α1→6結合等のいずれであってもよい。
前記オリゴ糖の具体例としては2糖類(例えばマルトース、セロビオース、ラクトース、キシロビオース、イソマルトース、ゲンチオビオース、メリビオース、プランテオビオース、ルチノース、プリメベロース、ビシアノース、ニゲロース、ラミナリビオース、ツラノース、コージビオース、ソホロース、スクロース、トレハロース、キトビオース、セロビオウロン酸)、3糖類(例えばラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース、プランテオース、ケストース、マルトトリオース、パノース、イソマルトトリオース)、4糖以上(スタキオース、ベルバスコース)のオリゴ糖等が挙げられる。
本発明に好適に用いられるオリゴ糖としては、マルトオリゴ糖およびイソマルトオリゴ糖を挙げることができる。
本発明におけるマルトオリゴ糖とは、グルコースがα1→4結合したもので、グルコースを構成単位とした重合度2以上の糖質である。具体的には、グルコースが2分子結合したマルトース(グルコース重合度2)、重合度3のマルトトリオース、重合度4のマルトテトラオース、重合度5のマルトペンタオース、重合度6のマルトヘキサオース、重合度7のマルトヘプタオース等が挙げられる。本発明では、耐オゾン性と臭気抑制の観点から、グルコース重合度2〜10のマルトオリゴ糖が好ましく、特に重合度2〜7のものが好ましく用いられる。構成単位のグルコース(重合度1に相当)では、耐オゾン性および臭気抑制効果を十分に得ることができない。また、重合度が10以下であることで、にじみを効果的に抑制することができる。
またイソマルトオリゴ糖とは、グルコースを構成単位とし、α1→6結合で結合した糖質の他、α1→4結合以外の結合を持つ糖質も含まれる。具体的には、グルコースがα1→6結合したイソマルトオリゴ糖としては、グルコースが2分子結合したイソマルトース(グルコース重合度2)、重合度3のイソマルトトリオースやパノース等が挙げられ、α1→4結合以外の結合を持つイソマルトオリゴ糖としては、β1→6結合を持つゲントースなどのゲンチオオリゴ糖、α1→3結合を持つニゲロースなどのニゲロオリゴ糖、α1→1結合を持つトレハロース、グルコシルスクロース等が挙げられる。本発明では、耐オゾン性と臭気抑制の観点から、グルコース重合度2〜5のイソマルトオリゴ糖が好ましく用いられる。
本発明に用いるオリゴ糖は、単一重合度のオリゴ糖を用いることができるが、例えば澱粉類をβ−アミラーゼと枝切り酵素で糖化反応を行うことによって得られるようなグルコース重合度が2以上のマルトオリゴ糖にグルコースが含まれたマルトオリゴ糖混合物をそのまま用いることも可能である。このように、重合度の異なるオリゴ糖を用いる場合、マルトオリゴ糖では、グルコース重合度が2〜10のマルトオリゴ糖を主成分としたものが好ましく、中でも、重合度2〜7のマルトオリゴ糖の含有割合が50質量%以上、特に70質量%以上である混合物が好ましい。また、イソマルトオリゴ糖では、グルコース重合度が2〜5のイソマルトオリゴ糖を主成分としたものが好ましい。
本発明においてオリゴ糖は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
またオリゴ糖のインク受容層中の含有量としては特に制限はないが、臭気抑制の観点から、インク受容層の総固形分に対して0.3〜15.0質量%であることが好ましく、2.5〜10.0質量%であることがより好ましい。
(ベタイン化合物)
前記ベタイン化合物としては、同一分子内にカチオン性官能基とアニオン性官能基とを両方有する化合物であれば特に制限はない。
前記カチオン性官能基としてはアミン性の窒素原子、ヘテロ芳香族環の窒素原子、炭素との結合を4つ有するホウ素原子、リン原子などを挙げることができる。中でも、好ましくはアミン性の窒素原子またはヘテロ芳香族環の窒素原子であり、第4級の窒素原子であることがより好ましい。
前記アニオン性の部位としては、水酸基、チオ基、スルホンアミド基、スルホ基、カルボキシル基、イミド基、リン酸基、ホスホン酸基などを挙げることができる。この中でも特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。
ベタイン化合物分子全体としての荷電は、カチオン、アニオン、および中性のいずれでもよいが、好ましくは中性である。
本発明におけるベタイン化合物の具体例としては、例えば、特開2005−111699号公報の段落番号[0018]〜[0043]に記載のベタイン化合物を挙げることができ、中でも、臭気抑制とにじみ抑制の観点から、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2010253918
一般式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。中でも臭気抑制の観点から、置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましい。
前記R〜Rにおける置換基を有していてもよいアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、および環状のいずれであってもよい。また炭素数としては1〜8であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。さらにR〜Rで表されるアルキル基の総炭素数(各アルキル基の炭素数の合計)としては、3〜24であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記R〜Rにおける置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、クミル基等を挙げることができる。
また前記R〜Rにおける置換基を有していてもよいヘテロ環基としては、飽和ヘテロ環基であっても、不飽和ヘテロ環基であってもよく、炭素数2〜20のヘテロ環基であることが好ましい。具体的には、モルホリノ基、ピリジル基、キノリル基等を挙げることができる。
一般式(1)中、Lは2価の連結基を表す。前記Lで表される2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは、炭素数1〜8)およびアリーレン基の少なくとも一方を含み、必要に応じて、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などヘテロ原子を含んで構成されることが好ましい。中でも、臭気抑制の観点から、炭素数が1〜4のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜2のアルキレン基であることがより好ましい。
さらに前記2価の連結基は、連結基上に置換基をさらに有していてもよい。
本発明におけるベタイン化合物としては、臭気抑制とにじみ抑制の観点から、一般式(1)で表される化合物のうち、R〜Rが炭素数1〜8のアルキル基であって、Lが炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましく、R〜Rが炭素数1〜4のアルキル基であって、Lが炭素数1〜4のアルキレン基であって、総炭素数が5〜14であることがより好ましい。
具体的には例えば、トリメチルグリシン、トリエチルグリシン、トリメチルアンモニウミルプロピオン酸、トリメチルアンモニウミル酪酸等を挙げることができる。
さらに本発明におけるベタイン化合物の分子量としては、臭気抑制とにじみ抑制の観点から、250未満であることが好ましく、150未満であることがより好ましい。
本発明において、前記ベタイン化合物は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
またベタイン化合物のインク受容層中の含有量としては特に制限はないが、臭気抑制の観点から、インク受容層の総固形分に対して0.3〜15.0質量%であることが好ましく、2.5〜10.0質量%であることがより好ましい。
また本発明におけるインク受容層は、臭気発生抑制成分として、オリゴ糖の少なくとも1種およびベタイン化合物の少なくとも1種を含んでいてもよい。この場合、オリゴ糖およびベタイン化合物の総含有量としては、インク受容層の総固形分に対して0.3〜15.0質量%であることが好ましく、2.5〜10.0質量%であることがより好ましい。
本発明における臭気発生抑制成分は、臭気抑制の観点から、マルトース、トレハロース、ラフィノース、スクロース、イソマルトース、および、トリメチルグリシンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
さらに本発明におけるインク受容層は、臭気抑制の観点から、マルトース、トレハロース、ラフィノース、スクロース、イソマルトース、および、トリメチルグリシンから選ばれる少なくとも1種をインク受容層の総固形分に対して0.3〜15.0質量%含有することが好ましく、マルトース、トレハロース、ラフィノース、およびトリメチルグリシンから選ばれる少なくとも1種を2.5〜10.0質量%含有することがより好ましい。
(酢酸ジルコニル)
本発明におけるインク受容層は、酢酸ジルコニルを含む。酢酸ジルコニルの含有量としては、耐オゾン性と経時にじみの観点から、インク受容層の総固形分に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜8質量%であることがより好ましい。
またインク受容層における、酢酸ジルコニルに対する前記臭気発生抑制成分の含有比は、臭気抑制の観点から、質量基準で0.2〜10であることが好ましく、0.3〜5であることがより好ましい。
本発明においては酢酸ジルコニルに加えて、酢酸ジルコニル以外の水溶性多価金属塩をさらに含むことができる。前記多価金属塩の具体例としては、例えば、特開2008−246988号公報の段落番号[0122]〜[0124]、[0131]〜[0136]に記載の水溶性多価金属塩を挙げることができる。
水溶性多価金属塩の含有量としては、無機微粒子に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜8質量%であることがより好ましい。
(水溶性樹脂)
インク受容層は、水溶性樹脂の少なくとも1種を含有する。
これにより顔料をより好適に分散させ、塗膜強度をより向上させることができる。また、インク受容層が2以上の層からなる場合は、それぞれの層に含有される水溶性樹脂は同一種であっても異なる種であってもよい。
なお、水溶性樹脂とは、常温(25℃)下で水100gに対する溶解度が10g以上である樹脂をいう。
前記水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(アセトアセチル変性、カルボキシ変性、イタコン酸変性、マレイン酸変性、シリカ変性及びアミノ基変性等の変性ポリビニルアルコールを含む)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類(変性デンプンを含む)、ゼラチン、アラビヤゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド、酢酸ビニル−ポリアクリル酸共重合体の鹸化物等が挙げられる。また、スチレン・ブタジエン共重合物、酢酸ビニル共重合物、アクリロニトリル・ブタジエン共重合物、アクリル酸メチル・ブタジエン共重合物、ポリ塩化ビニリデン等の合成高分子のラテックス系のバインダーが挙げられる。
−ポリビニルアルコール−
前記ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液を鹸化して得られるポリビニルアルコール及びその誘導体が、さらに酢酸ビニルと共重合しうる単量体と酢酸ビニルとの共重合体の鹸化物が含まれる。ここで、酢酸ビニルと共重合しうる単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、スルホン酸マレート等のオレフィンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸ソーダ、エチレンスルホン酸ソーダ、スルホン酸ソーダ(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート等のオレフィンスルホン酸アルカリ塩、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩等のアミド基含有単量体、さらには、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。
前記ポリビニルアルコールの中でも、鹸化度が92〜98mol%のポリビニルアルコール(以下「高鹸化度ポリビニルアルコール」と称することがある。)が特に好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度が92mol%以上であれば、より良好な中間調の色相を得ることができ、また、塗布液の粘度上昇を効果的に抑制でき、より良好な塗布安定性を得ることができる。一方、ポリビニルアルコールの鹸化度が98mol%以下であれば、インク吸収性をより向上させることができる。
ポリビニルアルコールの鹸化度として、より好ましくは、93〜97mol%である。
前記高鹸化度ポリビニルアルコールの重合度は、1500〜3600が好ましく、より好ましくは、2000〜3500である。重合度が1500以上であれば、インク受容層のひび割れをより効果的に抑制できる。3600以下であれば、塗布液の粘度上昇をより効果的に抑制できる。
本発明においては、水溶性樹脂として、前記高鹸化度ポリビニルアルコール以外の水溶性樹脂を該ポリビニルアルコールと併用することもできる。併用可能な水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、鹸化度が上記範囲以外のポリビニルアルコール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプン;親水性のエーテル結合を有する樹脂である、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリビニルエーテル(PVE);親水性のアミド基又はアミド結合を有する樹脂である、ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等を挙げることもできる。
前記高鹸化度ポリビニルアルコールと上述した水溶性樹脂とを併用する場合の前記高鹸化度ポリビニルアルコールと上記水溶性樹脂との合計量に対する前記高鹸化度ポリビニルアルコールの割合は1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がさらに好ましく、6〜12質量%が特に好ましい。
前記高鹸化度ポリビニルアルコールの含有量としては、該含有量の過少による、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ、該含有量の過多によって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
ポリビニルアルコールは、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成し易くする。この様な三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造のインク受容層を形成し得ると考えられる。
インクジェット記録媒体において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みのない真円性の良好なドットを形成することができる。
(無機微粒子)
インク受容層は、無機微粒子(以下、「微粒子」ともいう)の少なくとも1種を含有する。
無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、アルミナ微粒子、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができる。中でも、にじみ抑制と臭気抑制の観点から、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましく、特に気相法シリカ微粒子が好ましい。
シリカ微粒子は、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性及び保持の効率が高く、また屈折率が低いので、適切な微小粒子径まで分散を行なえばインク受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという利点がある。この様にインク受容層が透明であるということは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用媒体に適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性及び光沢度を得る観点より重要である。
インク受容層を電子顕微鏡により観察して測定される無機微粒子の粒子径としては、5nm以上45nm以下が好ましく、5nm以上35nm以下がより好ましく、特に10nm以上30nm以下が好ましい。該粒子径が5nm以上45nm以下であると、ブロンジングや光沢といった性能を悪化させることなく、高濃度な記録画像を得ることができ、さらに印画直後からの色相変化を高度に抑制することができる。
また無機微粒子の平均一次粒子径としては、20nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましく、特に10nm以下が好ましい。該平均一次粒子径が20nm以下であると、インク吸収特性を効果的に向上させることができ、また同時にインク受容層表面の光沢性をも高めることができる。
特にシリカ微粒子は、その表面にシラノール基を有し、該シラノール基の水素結合により粒子同士が付着し易いため、また該シラノール基と水溶性樹脂を介した粒子同士の付着効果のため、上記の様に平均一次粒子径が20nm以下の場合にはインク受容層の空隙率が大きく、透明性の高い構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
一般にシリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流である。
気相法シリカ(気相法によって得られた無水シリカ微粒子)は、上記含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nmと多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmと少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
本発明においては、上記乾式法で得られる気相法シリカ微粒子(無水シリカ)が好ましく、更に微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmであるシリカ微粒子が好ましい。
≪無機微粒子と水溶性樹脂との含有比(PB比)≫
無機微粒子(好ましくはシリカ微粒子;x)と水溶性樹脂(y)との含有比〔PB比(x/y)=水溶性樹脂1質量部に対する無機微粒子の質量〕は、インク受容層の膜構造にも大きな影響を与える。すなわち、PB比が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。
具体的には、インクジェット記録媒体は、インクジェットプリンタの搬送系を通過する際応力が加わることがあり、インク受容層は充分な膜強度を有していることが必要である。さらに、シート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れ及び剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には充分な膜強度が必要である。そのため、PB比(x/y)としては、インク受容層の硬度を高くする観点から5.5以下であることが好ましい。また更には、5.3以下であることがより好ましく、5.15以下であることが特に好ましい。
また、特に限定されるものではないが、空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、PB比は1.5以上であることが好ましく、更に、インクジェットプリンタで高速インク吸収性をも確保する観点からは2以上であることが好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の無水シリカ微粒子と水溶性樹脂とをPB比(x/y)が2〜5.5で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積0.5ml/g以上、比表面積が100m/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
(架橋剤)
インク受容層は、水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。この架橋剤を含むことにより、前記水溶性樹脂が架橋され、硬化された多孔質層が得られる。
架橋剤は、1種単独でも2種以上を組合せて用いてもよい
架橋剤としては、インク受容層に含まれる水溶性樹脂との関係で好適なものを適宜選択すればよい。中でも、架橋反応が迅速である点でホウ素化合物が好ましく、例えば、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸塩、InBO、ScBO、YBO、LaBO、Mg(BO、Co(BO、二ホウ酸塩(例えば、Mg、Co)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO、Ca(BO、NaBO、KBO)、四ホウ酸塩(例えば、Na・10HO)、五ホウ酸塩(例えば、KB・4HO、Ca11・7HO、CsB)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩が好ましく、特にホウ酸が好ましい。また、これを水溶性樹脂であるポリビニルアルコールと組合わせて使用することが最も好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂の架橋剤としては、前記ホウ素化合物のほか、下記化合物も好適なものとして挙げることができる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
更に、水溶性樹脂の架橋剤としては、下記に列挙する多価金属化合物も好ましい。多価金属化合物を用いることにより、架橋剤として働くだけでなく、耐オゾン、画像滲み、及び光沢性を一層向上させることができる。
多価金属化合物としては、水溶性のものが好ましく、例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニルアセチルアセトネート、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニル、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリん酸n水和物、12タングストケイ酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリン酸n水和物、硝酸ガリウム、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン、酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス等が挙げられる。
上記の中でも、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物等のアルミニウム含有化合物(水溶性アルミニウム化合物);ジルコニルアセチルアセトネート、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニル等のジルコニル含有化合物(水溶性ジルコニル化合物);及び四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン等のチタン含有化合物;が好ましく、特にポリ塩化アルミニウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、オキシ塩化ジルコニウムが好ましい。
架橋剤としては、上記に列挙したものの中でも、ホウ素化合物及びジルコニル化合物が特に好ましい。
好適な架橋剤として働くと共に、耐オゾン、耐画像滲み、及び光沢性をより一層向上させる観点から、前記多価金属化合物(特に好ましくはジルコニル化合物)を少なくとも、前記水溶性樹脂に対し、0.1質量%以上含有することが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが特に好ましい。また、特に限定されるものではないが、多価金属化合物の含有量の上限は、画像濃度、インク吸収性、記録媒体のカールの抑制などの観点から、50質量%以下であることが好ましい。
架橋剤は、インク受容層を形成する際に、インク受容層用塗布液中及び/又はインク受容層の隣接層を形成するための塗布液中に添加してもよく、あるいは予め架橋剤を含む塗布液を塗布した支持体上に、上記インク受容層用塗布液を塗布する、又は架橋剤非含有のインク受容層用塗布液を塗布し乾燥後に架橋剤溶液をオーバーコートする等してインク受容層に架橋剤を供給することができる。好ましくは、製造効率の観点から、インク受容層用塗布液又はこの隣接層形成用の塗布液中に架橋剤を添加し、インク受容層の形成と同時に架橋剤を供給するのが好ましい。特に、画像の印画濃度及び光沢感の向上の観点より、インク受容層用塗布液に含有するのが好ましい。また、インク受容層用塗布液中の架橋剤の濃度としては、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましい。
例えば、以下のようにして好適に架橋剤を付与することができる。ここでは、ホウ素化合物を例に説明する。すなわち、
インク受容層がインク受容層用塗布液を塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、該架橋硬化は、(1)塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、(2)塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかの時に、pHが7.1以上の塩基性溶液を前記塗布層に付与することにより行なわれる。架橋剤であるホウ素化合物は、上記の塗布液及び塩基性溶液の少なくとも一方に含有させればよい。
(媒染剤)
インク受容層は、媒染剤の少なくとも1種を含有することが好ましく、画像の経時滲み及び耐水性をより向上させることができる。
媒染剤としては、カチオン性ポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤が好ましい。カチオン性媒染剤としては、カチオン性の官能基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染剤モノマー)の単独重合体や、該媒染剤モノマーと他の単量体(非媒染剤モノマー)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
前記媒染剤モノマーおよびカチオン性ポリマーの具体例としては、例えば特開2008−246988号公報の段落番号[0024]〜[0031]に記載のものを挙げることができる。また無機媒染剤の具体例としては、例えば特開2008−246988号公報の段落番号[0130]〜[0137]に記載のものを挙げることができる。
上記の媒染剤をインク受容層に添加する場合の添加量としては、0.01〜5g/mが好ましい。
(その他の成分)
インク受容層は、必要に応じて、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色性防止剤等のその他の成分を含んでいてもよい。これらを含有することにより、インクの劣化を抑制することができる。
その他の成分としては、特開2005−14593号公報中の段落番号[0088]〜[0117]に記載されている成分や、特開2006−321176号公報中の段落番号[0138]〜[0155]に記載されている成分等を、適宜選択して用いることができる。
インク受容層の層厚としては、インクジェット記録する場合の液滴を全て吸収するだけの吸収容量を持つ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量8nL/mmとして空隙率が60%である場合は、層厚は約15μm以上であることが好ましい。この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、インク受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
なお、インク受容層の空隙率は、(株)島津製作所製の水銀ポロシメーター「ポアサイザー9320−PC2」を用いて測定することができる。
インク受容層は、透明性が高いことが好ましく、その目安としてはインク受容層を透明フィルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。なお、ヘイズ値は、スガ試験機(株)製のヘイズメーター「HGM−2DP」を用いて測定することができる。
本発明におけるインク受容層は、1層からなるものであっても、2層以上からなるものであってもよい。インク受容層が2層以上からなる場合、インク受容層を構成するそれぞれの層は、隣り合う層と互いに異なる構成であればよい。例えば、構成成分の種類および含有量の少なくとも一方が互いに異なっていることが挙げられる。
本発明においては、臭気発生抑制と経時にじみ抑制の観点から、インク受容層が2層以上からなることが好ましく、2層以上の層のうち支持体に近い側の層にオリゴ糖およびベタイン化合物から選ばれる臭気発生抑制成分が含まれていることがより好ましい。
(支持体)
本発明のインクジェット記録媒体における支持体は、限定されるものではないが、画像記録に伴うカール等の変形が抑制される点で水非浸透性支持体が好ましい。ここで、「水非浸透性」とは、水を吸収しないか、又は水の吸収量が0.3g/m以下である性質をいう。
〜水非浸透性支持体〜
本発明において、水非浸透性支持体表面の光沢度は特に限定はないが、高光沢支持体、低光沢支持体どちらを用いても、半光沢品の作製が可能になり、支持体の選択の幅を広げる観点からは、40%以上であることが好ましく、45%以上95%以下であることがより好ましく、50%以上85%以下であることがより好ましい。更に、水非浸透性支持体両面の光沢度とも前記範囲であることが特に好ましい。
本発明に用いることができる支持体としては、例えば、特開2008−246988号公報の段落番号[0139]〜[0155]に記載の支持体を挙げることができ、中でも、ポリオレフィン被覆紙を好ましく用いることができる。
[インクジェット記録媒体の製造方法]
既述の本発明のインクジェット記録媒体を製造する方法には特に限定はないが、例えば、水非浸透性支持体の片面又は両面に、オリゴ糖およびベタイン化合物から選ばれる臭気発生抑制成分、酢酸ジルコニル、無機微粒子、ならびに水溶性樹脂を含有する塗布液を塗布してインク受容層を形成する工程を有する製造方法により製造できる。
また、本発明のインクジェット記録媒体が2層のインク受容層を有する場合は、例えば、水非浸透性支持体の片面又は両面に、少なくとも、前記臭気発生抑制成分、無機微粒子及び水溶性樹脂を含有する第1の塗布液と、酢酸ジルコニル、無機微粒子及び水溶性樹脂を含有する第2の塗布液と、を該水非浸透性支持体側からみて第1の塗布液、第2の塗布液となる配置で塗布して(好ましくは同時重層塗布して)インク受容層を形成する工程を備える製造方法により製造できる。また前記第1の塗布液と、第2の塗布液と、を該水非浸透性支持体側からみて第2の塗布液、第1の塗布液となる配置で塗布して(好ましくは同時重層塗布して)インク受容層を形成してもよい。
本発明においては、経時にじみと臭気抑制の観点から、該水非浸透性支持体側からみて第1の塗布液、第2の塗布液となる配置で塗布してインク受容層を形成する工程であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、更に、必要に応じて他の工程をさらに備えていてもよい。
また上記製造方法において、インク受容層、水非浸透性支持体等については、前述のインクジェット記録媒体の説明中で述べたとおりであり、好ましい範囲も同様である。
以下、本発明のインクジェット記録媒体が2層のインク受容層を有する場合を例に、より具体的に説明する。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法において、インク受容層は、インク受容層形成用の塗布液である前記第1の塗布液又は前記第2の塗布液を、水非浸透性支持体上又は既に形成されたインク受容層上に塗布して塗布層を形成し、これを乾燥させることにより形成することができる。
例えば、本発明のインクジェット記録媒体のインク受容層が2層構造であるときは、水非浸透性支持体上に前記第1の塗布液を塗布することで、第1のインク受容層を形成することができ、形成された前記第1のインク受容層上に前記第2の塗布液を塗布することで、第2のインク受容層を形成することができる。
−塗布工程−
本発明のインクジェット記録媒体は、前記第1の塗布液及び前記第2の塗布液を、水非浸透性支持体側からみて第1の塗布液、第2の塗布液となる配置で塗布する工程(以下、「塗布工程」ともいう)を備える製造方法で製造されることが好ましい。
この塗布を、水非浸透性支持体の片面又は両面について行うことで、水非浸透性支持体の片面又は両面にインク受容層を形成することができる。
第1の塗布液及び第2の塗布液(及び、必要に応じて用いられる他の塗布液)を塗布する方法としては、水非浸透性支持体側からみて第1の塗布液、第2の塗布液の順の配置となる塗布方法であれば特に限定はない。
例えば、1層ずつ塗布する逐次塗布方法(例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、リバースコーター等)であってもよいし、インク受容層を構成する複数の層を乾燥工程を設けずに殆ど同時に塗布する同時重層塗布方法(例えば、スライドビードコーターやスライドカーテンコーター等)であってもよい。または、例えば、特開2005−14593号公報段落番号0016〜0037に記載されている「Wet−On−Wet法」(以下、「WOW法)」であってもよい。
上記の中でも、各層に要求される特性が効率よく得られ、生産効率に優れるという点からは、同時重層塗布方法が好ましく用いられる。すなわち、同時重層塗布では、各層を湿潤状態で積層することで、各層、例えば上層(例えば、本発明のインクジェット記録媒体における第2のインク受容層)に含有される成分が下層(例えば、本発明のインクジェット記録媒体における第1のインク受容層)へ浸透しにくくなり、乾燥後も各層の成分構成が良く保たれるためと推定される。
同時重層塗布は、公知の塗布装置を用いて行なうことができ、例えば、スライドビードコーター、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター等を挙げることができる。
本発明においては、更に、必要に応じて、前記第2の塗布液上に、その他の塗布液を塗布してもよい。また、前記各塗布液の間には、バリアー層塗布液や中間層塗布液を介在させてもよい。
ここで、各塗布液の好ましい塗布量について説明する。
第1の塗布液の固形分塗布量としては、片面当たり、2〜30g/mが好ましく、5〜20g/mがより好ましい。
また、第2の塗布液の固形分塗布量としては、片面当たり、2〜30g/mが好ましく、5〜20g/mがより好ましい。
以下、第1の塗布液、第2の塗布液、及び必要に応じて用いられるその他の塗布液について説明する。
(第1の塗布液)
前記第1の塗布液は、オリゴ糖およびベタイン化合物から選ばれる臭気発生抑制成分、無機微粒子および水溶性樹脂を含み、必要に応じて、架橋剤、酢酸ジルコニル、含窒素有機カチオンポリマー等その他の成分を含有してもよい。
前記第1の塗布液に含まれる、臭気発生抑制成分、無機微粒子および水溶性樹脂や、必要に応じて用いられるその他の成分については、前記インク受容層の説明で述べたとおりであり、好ましい範囲も同様である。
また、第1の塗布液中における臭気発生抑制成分の含有率としては特に制限はないが、第1の塗布液の全固形分に対して0.5〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
なお、本発明において、第1の塗布液中の全固形分とは、第1の塗布液から水を除いた全成分をさす。他の液についても同様である。
前記第1の塗布液は、酸性であることが好ましく、pHとしては5.0以下であることが好ましく、4.5以下であることがより好ましく、4.0以下であることが更に好ましい。第1の塗布液のpHは、有機又は無機の酸を添加して調整することができる。また、前記含窒素有機カチオンポリマーの種類や添加量を適宜選定することで調整してもよい。第1の塗布液のpHが5.0以下であると、例えば、第1の塗布液中における架橋剤(特にホウ素化合物)による水溶性樹脂(バインダー)の架橋反応をより充分に抑制することができる。
〜第1の塗布液の調製例〜
本発明において、第1の塗布液は、例えば、以下のようにして調製できる。
即ち、無機微粒子(好ましくは、気相法シリカ)と分散剤と酢酸ジルコニルとを水中に添加して、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)又は液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて分散させた後、臭気発生抑制成分、及び水溶性樹脂(好ましくは、ポリビニルアルコール(PVA))水溶液を加え、更に、前記水溶性アルミニウム化合物を加えて分散を行なうことにより調製することができる。
なお、水溶性アルミニウム化合物は、塗布直前にインライン混合により加えてもよい。
得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質性のインク受容層を形成することができる。
また、上記無機微粒子と分散剤とからなる水分散物の調製は、無機微粒子水分散液をあらかじめ調製し、該水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を無機微粒子水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、無機微粒子水分散液ではなく、粉体の無機微粒子を用いて上記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
また、各工程における溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
また、上記分散剤としてはカオチン性のポリマーを用いることができる。カオチン性のポリマーとしては、特開2006−321176号公報の段落[0138]〜[0148]に記載されている媒染剤の例などが挙げられる。また、分散剤としてシランカップリング剤を用いることも好ましい。
上記分散剤の無機微粒子に対する添加量は、0.1質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜10質量%が更に好ましい。
(第2の塗布液)
本発明における第2の塗布液は、酢酸ジルコニル、無機微粒子および水溶性樹脂を含み、更に、架橋剤、カチオン性ポリマー(好ましくは、含窒素有機カチオンポリマー)、水溶性アルミニウム化合物等その他の成分を含有してもよい。
第2の塗布液の調製方法には特に限定はないが、例えば、前述の第1の塗布液の調製方法と同様にして調製できる。
前記第2の塗布液は、第1の塗布液と同様に、酸性であることが好ましく、pHとしては5.0以下であることが好ましく、4.5以下であることがより好ましく、4.0以下であることが更に好ましい。このpHは、前記含窒素カチオンポリマーの種類や添加量を適宜選定することで調整することができる。また、有機又は無機の酸を添加して調整してもよい。第2の塗布液のpHが5.0以下であると、例えば、第2の塗布液中における架橋剤(特にホウ素化合物)によるバインダーの架橋反応をより充分に抑制することができる。
−硬化工程−
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、前記第1の塗布液及び前記第2の塗布液を塗布して形成された塗布層に、
(1)少なくとも前記第1の塗布液及び前記第2の塗布液を塗布すると同時、
(2)少なくとも前記第1の塗布液及び前記第2の塗布液を塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、
のいずれかのときに、塩基性化合物を含む液を付与し、前記塗布層の架橋硬化を行なう硬化工程を有していてもよい。
前記「(1)少なくとも前記第1の塗布液及び前記第2の塗布液を塗布すると同時」に「塩基性化合物を含む液」を付与する方法としては、前記第1の塗布液、前記第2の塗布液、(必要に応じ前記その他の塗布液)、及び「塩基性化合物を含む液」を、支持体側からこの順となるように、同時塗布(重層塗布)する形態が好適である。
または、第1の塗布液を塗布した後、塗布された第1の塗布液上に、第2の塗布液と「塩基性化合物を含む液」とを同時塗布(以下、「同時重層塗布」ともいう)してもよい。
前記同時塗布(同時重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーター等の公知の塗布装置を用いて行うことができる。
前記「(2)少なくとも前記第1の塗布液及び前記第2の塗布液を塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前」に「塩基性化合物を含む液」を付与する方法は、「Wet−On−Wet法」や「WOW法」とよばれている方法である。「Wet−On−Wet法」の詳細については、例えば、特開2005−14593号公報段落番号[0016]〜[0037]に記載されている。
本発明においては、前記第1の塗布液、及び前記第2の塗布液(更に、必要に応じてその他の塗布液)を、支持体側からこの順となるように、同時塗布(同時重層塗布)又は1層ずつ塗布して塗布層を形成した後、形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前に、(i)該塗布層上に更に「塩基性化合物を含む液」を塗布する方法、(ii)スプレー等により「塩基性化合物を含む液」を噴霧する方法、(iii)前記塗布層が形成された支持体を「塩基性化合物を含む液」中に浸漬する方法、が挙げられる。
前記(i)において、「塩基性化合物を含む液」を塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。中でも、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーター等のように、既に形成されている塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
硬化工程における「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、インク受容層用塗布液(本発明においては、前記第1の塗布液、及び前記第2の塗布液(更に、必要に応じその他の塗布液))の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
上記「塗布層が減率乾燥を示すようになるまで乾燥」されるための条件としては、一般に40〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行なわれる。この乾燥時間は、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
(塩基性化合物を含む液)
ここで、硬化工程における前記「塩基性化合物を含む液」について説明する。
〜塩基性化合物〜
本発明における「塩基性化合物を含む液」は、塩基性化合物を少なくとも1種含有する。
塩基性化合物としては、弱酸のアンモニウム塩、弱酸のアルカリ金属塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、弱酸のアルカリ土類金属塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸バリウムなど)、ヒドロキシアンモニウム、1〜3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリへキシルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミンなど)、1〜3級アニリン(例えば、ジエチルアニリン、ジブチルアニリン、エチルアニリン、アニリンなど)、置換基を有してもよいピリジン(例えば、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)−アミノピリジンなど)、等が挙げられる。
また、上記の塩基性化合物以外に、該塩基性化合物と共に他の塩基性物質及び/又はその塩を併用することもできる。他の塩基性物質としては、例えば、アンモニアや、エチルアミン、ポリアリルアミン等の第一アミン類、ジメチルアミン等の第二アミン類、N−エチル−N−メチルブチルアミン等の第三アミン類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、等が挙げられる。
上記のうち特に、弱酸のアンモニウム塩が好ましい。弱酸とは、化学便覧基礎編II(丸善株式会社)等に記載の無機酸および有機酸でpKaが2以上の酸である。前記弱酸のアンモニウム塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硼酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。中でも、好ましくは炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウムであり、乾燥後において層中に残存せずインク滲みを低減できる点で効果的である。
なお、塩基性化合物は、2種以上を併用することができる。
前記塩基性化合物(特に弱酸のアンモニウム塩)の「塩基性化合物を含む液」中の含有量としては、「塩基性化合物を含む液」の全質量(溶媒を含む)に対し、0.5〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。塩基性化合物(特に弱酸のアンモニウム塩)の含有量を特に上記範囲とすると、充分な硬化度が得られ、またアンモニア濃度が高くなりすぎて作業環境を損なうこともない。
前記「塩基性化合物を含む液」は、必要に応じて、金属化合物、架橋剤、他の媒染剤成分、界面活性剤等をさらに含有することができる。
「塩基性化合物を含む液」は、アルカリ溶液として用いることで硬膜を促進でき、pH7.1以上に調製されるのが好ましく、より好ましくはpH8.0以上であり、特に好ましくはpH9.0以上である。前記pHが7.1以上であると、第1の塗布液及び/又は第2の塗布液に含まれることがある水溶性樹脂(バインダー)の架橋反応をより進めることができ、ブロンジングやインク受容層のひび割れをより効果的に抑制できる。
前記「塩基性化合物を含む液」は、例えば、イオン交換水に、架橋剤(例えば、ホウ素化合物;例えば0.1〜1%)および 塩基性化合物(例:炭酸アンモニウム;例えば1〜10%)と、必要に応じて界面活性剤等の添加剤(例えば、0.1〜1%)とを添加し、十分に攪拌することで調製することができる。なお、各組成物の「%」はいずれも固形分質量%を意味する。
また、「塩基性化合物を含む液」の調製に用いる溶媒には、水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
−冷却工程、乾燥工程−
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、前記塗布層形成工程で形成された塗布層を、前記塗布時の第1の塗布液の温度及び前記塗布時の第2の塗布液の温度のいずれか低い方に対し5℃以上低下するように冷却する工程(以下、「冷却工程」ともいう)と、冷却された塗布層を乾燥してインク受容層を形成する工程(以下、「乾燥工程」ともいう)と、を有していてもよい。
冷却工程において塗布層を冷却する方法としては、塗布層が形成された支持体を、0〜10℃(より好ましくは0〜5℃)に保たれた冷却ゾーンで、5〜30秒冷却させる方法が好適である。
ここで、塗布層の温度は、膜面の温度を測定することにより測定する。
−その他の工程等−
本発明において、支持体上にインク受容層を形成した後、該インク受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性および塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定しておこなう必要がある。
カレンダー処理をおこなう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
<画像記録方法>
本発明の画像記録方法は、前記インクジェット記録媒体上に、インクジェット法でインクを付与して画像を記録するインク付与工程と、前記インクが付与されたインクジェット記録媒体を加熱する加熱乾燥工程とを備え、必要に応じてその他の工程を含んで構成される。
[インク付与工程]
本発明に用いられるインクとしては、インクジェット記録に通常用いられるインクを特に制限なく用いることができる。例えば、染料と、水と、水溶性有機溶剤とを含み、必要に応じて界面活性剤などのその他の成分を含む水系インクを用いることができる。
具体的には例えば、特開2007−138124号公報等に記載のインクを挙げることができ、本発明においてもこれらを好ましく用いることができる。
前記インクジェット法には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
尚、前記インクジェット法により記録を行なう際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
また、インクジェットヘッドとしては、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式のほか、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式を適用することができる。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができる。また、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
インクジェットヘッドから吐出されるインクの液滴量としては、0.2〜10pl(ピコリットル)が好ましく、0.4〜5plがより好ましい。
また、画像記録時におけるインクの最大総吐出量としては、10〜36ml/mの範囲が好ましく、15〜30ml/mの範囲が好ましい。
[加熱乾燥工程]
本発明の画像記録方法においては、前記インク付与工程でインクが付与されたインクジェット記録媒体を加熱して、インク溶媒の少なくとも一部を除去、乾燥する加熱乾燥工程を備える。
加熱乾燥工程は、インクジェット記録媒体上に付与されたインク中の水溶性有機溶剤および水の少なくとも一部を除去することができれば特に制限なく、通常用いられる加熱方法を用いることができる。具体的には、ニクロム線ヒーター等の発熱体で加熱する方法、温風又は熱風を供給する方法、ハロゲンランプ、赤外線ランプなどで加熱する方法など、非接触で乾燥させる方法を好適に挙げることができる。
加熱乾燥工程における加熱温度は適宜選択することができ、例えば、25〜70℃とすることができる。
加熱乾燥工程において、インクが付与されたインクジェット記録媒体を加熱することで、インクまたはインクジェット記録媒体に由来する揮発性物質による臭気が発生することがあるが、本発明のインクジェット記録媒体を用いることでこのような臭気の発生を効果的に抑制することができる。
前記揮発性物質による臭気としては、例えば、インクジェット記録媒体に含まれる酢酸ジルコニルに由来する酢酸臭を挙げることができる。本発明のインクジェット記録媒体はオリゴ糖およびベタイン化合物から選ばれる臭気発生抑制成分を含むことで、このような酢酸臭の発生を効果的に抑制することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
≪インクジェット記録媒体の作製≫
<水非浸透性支持体の作製>
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解し、パルプスラリーを調製した。
次いで、前記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当たり、カチオン性デンプン(日本NSC製 CAT0304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光化学製 ポリアクロンST−13)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学製 サイズパインK)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学製 アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
前記のようにして調製したパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、ウェッブのフェルト面をドラムドライヤーシリンダーにドライヤーカンバスを介して押し当てて乾燥する工程において、ドライヤーカンバスの引張り力を1.6Kg/cmに設定して乾燥を行った後、サイズプレスにて原紙の両面にポリビニルアルコール((株)クラレ製 KL−118)を1g/m塗布して乾燥し、カレンダー処理を行った。なお、原紙の坪量は157g/mで抄造し、厚さ157μmの原紙(基紙)を得た。
得られた基紙の一方の面にコロナ放電処理を施し、該一方の面側に、10質量%の酸化チタンを有する密度0.93g/mのポリエチレンを、24g/mになるように溶融押出機を用いて320℃で押し出しコーティングした。
引き続き、他方の面にもコロナ放電処理を施し、該他方の面側に、10質量%の酸化チタンを有する密度0.93g/mのポリエチレンを、24g/mになるように溶融押出機を用いて320℃で押し出しコーティングした。
以上より、原紙の両面がポリエチレンで被覆されたポリエチレン樹脂被覆紙(水非浸透性支持体)を得た。
<第1の塗布液の調製>
下記組成に示した、(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)「シャロールDC−902P」と、(4)「ZA−30」と、を混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて分散させた後、得られた分散液を45℃に加熱し20時間保持した。その後、分散液に(5)ホウ酸と、(6)ポリビニルアルコール溶解液と、(7)マルトースと、を30℃で加え、第1の塗布液を調製した。
シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比=(1):(6))は、4.9:1であり、受容層塗布液1のpHは、3.5で酸性を示した。
〜第1の塗布液の組成〜
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) … 8.9部
(AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 … 47.3部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) … 0.78部
(分散剤、含窒素有機カチオンポリマー、第一工業製薬(株)製)
(4)「ZA−30」(50%水溶液) … 0.48部
(酢酸ジルコニル、第一稀元素化学工業(株)製)
(5)ホウ酸(7.5%水溶液) … 4.38部
(6)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 … 26.0部
(7)マルトース … 1.0部
(マルトース一水和物、和光純薬工業社製)
〜ポリビニルアルコール溶解液の組成〜
・JM33 … 1.81部
(ポリビニルアルコール(PVA);鹸化度95.5%、重合度3300、日本酢ビ・ポバール(株)製)
・HPC−SSL … 0.08部
(水溶性セルロース、日本曹達(株)製)
・イオン交換水 … 22.96部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル … 0.55部
(ブチセノール20P、協和発酵ケミカル(株)製)
・エマルゲン109P(界面活性剤、花王(株)製) … 0.6部
<第2の塗布液の調製>
下記組成に示した、(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)「シャロールDC−902P」と、(4)「ZA−30」と、を混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて分散させた後、得られた分散液を45℃に加熱し20時間保持した。その後、分散液に(5)ホウ酸と、(6)ポリビニルアルコール溶解液と、(7)カチオン変性ポリウレタンと、を30℃で加え、第2の塗布液(上層用)を調製した。
シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比=(1):(6))は、4.9:1であり、第2の塗布液のpHは、3.4で酸性を示した。
〜第2の塗布液の組成〜
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) … 8.9部
(AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 … 47.3部
(3)「シャロールDC−902P」(51.5%水溶液) … 0.78部
(分散剤、含窒素有機カチオンポリマー、第一工業製薬(株)製)
(4)「ZA−30」(50%水溶液) … 0.48部
(第一稀元素化学工業(株)製、酢酸ジルコニル)
(5)ホウ酸(7.5%水溶液) … 4.38部
(6)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 … 26.0部
〜ポリビニルアルコール溶解液の組成〜
・JM33 … 1.81部
(ポリビニルアルコール(PVA);鹸化度95.5%、重合度3300、日本酢ビ・ポバール(株)製)
・HPC−SSL … 0.08部
(水溶性セルロース、日本曹達(株)製)
・イオン交換水 … 23.5部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル … 0.55部
(ブチセノール20P、協和発酵ケミカル(株))
・エマルゲン109P(界面活性剤、花王(株)製) … 0.06部
(7)カチオン変性ポリウレタン … 1.8部
(スーパーフレックス650−5(25%液)、第一工業製薬(株)製)
<インク受容層の形成>
上記で得られた水非浸透性支持体の一方の面にコロナ放電処理を行った後、該一方の面に、上記で得られた第1の塗布液と第2の塗布液とを予め同量混合して調製したインク受容層形成用塗布液を、以下のようにしてエクストルージョンダイコーターにて塗布して塗布層を形成した。
具体的には、インク受容層形成用塗布液を175.0g/mで、下記インライン液を11.4g/mの速度(塗布量)でインライン混合した後、支持体に塗布した。
〜 インライン液の組成 〜
(1)アルファイン83(大明化学工業株式会社製) … 2.0部
(2)イオン交換水 … 7.8部
(3)ハイマックスSC−507 … 0.2部
(ジメチルアミン・エピクロロヒドリン重縮合物、ハイモ(株)製、 70%溶液)
上記塗布により形成された塗布層を、熱風乾燥機にて80℃で(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が36%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この間は恒率乾燥速度を示した。その直後、下記組成の塩基性化合物を含む液に3秒間浸漬して上記塗布層上にその13g/mを付着させ、更に72℃下で10分間乾燥させ(乾燥工程)、水非浸透性支持体の一方の面にインク受容層を形成した。以上により、支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録媒体1を得た。
〜 塩基性化合物を含む液の組成 〜
(1)ホウ酸 … 0.65部
(2)炭酸アンモニウム(1級:関東化学(株)製) … 5.0部
(3)イオン交換水 … 88.35部
(4)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) … 6.0部
(花王(株)製「エマルゲン109P」(10%水溶液)、HLB値13.6)
(実施例2)
<インク受容層の形成>
上記で得られた水非浸透性支持体の一方の面にコロナ放電処理を行った後、該一方の面に、以下のようにして、上記で得られた第1の塗布液と第2の塗布液とをエクストルージョンダイコーターにて同時重層塗布して塗布層を形成した。
具体的には、上記同時重層塗布においては、第2の塗布液を塗布量82.5g/mで、下記インライン液を5.7g/mの速度(塗布量)でインライン混合した後下層に塗布し、第1の塗布液を82.5g/mで、下記インライン液を5.7g/mの速度(塗布量)でインライン混合した後上層に塗布した(層構成は、第1の塗布液/第2の塗布液/支持体である)。
上記同時重層塗布により形成された塗布層を、熱風乾燥機にて80℃で(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が36%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この間は恒率乾燥速度を示した。その直後、上記組成の塩基性化合物を含む液に3秒間浸漬して上記塗布層上にその13g/mを付着させ、更に72℃下で10分間乾燥させ(乾燥工程)、水非浸透性支持体の一方の面にインク受容層を形成した。
これによりインクジェット記録媒体2を得た。
(実施例3)
実施例2において、第1の塗布液の代わりに第2の塗布液を用い、第2の塗布液の代わりに第1の塗布液を用いたこと以外は実施例2と同様にして、インクジェット記録媒体3を得た。尚、層構成は、第2の塗布液/第1の塗布液/支持体である。
(実施例4)
前記第1の塗布液の調製においてマルトースの代わりにトレハロース(トレハロース二水和物、和光純薬工業社製)を用いて、第1の塗布液を調製したこと以外は実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体4を得た。尚、層構成は、第2の塗布液/第1の塗布液/支持体である。
(実施例5)
前記第1の塗布液の調製においてマルトースの代わりにラフィノース(日本甜菜製糖(株)製)を用いて、第1の塗布液を調製したこと以外は実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体5を得た。尚、層構成は、第2の塗布液/第1の塗布液/支持体である。
(実施例6〜8)
実施例1〜3において、マルトースの代わりにトリメチルグリシンを用いたこと以外は実施例1〜3とそれぞれ同様にして、インクジェット記録媒体6〜8をそれぞれ得た。
(比較例1)
実施例1における第1の塗布液の調製において、マルトースを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体C1を得た。
(比較例2)
実施例1における第1の塗布液および第2の塗布液の調製において、酢酸ジルコニルを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体C2を得た。
(比較例3)
実施例1における第1の塗布液および第2の塗布液の調製において、酢酸ジルコニルの代わりに、酢酸マグネシウムを用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体C3を得た。
(比較例4)
実施例1における第1の塗布液および第2の塗布液の調製において、マルトースの代わりにトリメチルグリシンを用い、酢酸ジルコニルを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体C4を得た。
(比較例5)
実施例1における第1の塗布液の調製において、マルトースの代わりに、保湿性を有するグリセリンを添加したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体C5を得た。
≪評価≫
以上で得られたインクジェット記録媒体を127mm×100m巻にスリット加工して評価用ロールサンプルを作製し、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<臭気抑制評価>
純正インクセットを装填したミニラボ用高速インクジェットプリンタ装置(富士フイルム(株)製「DL410」)を用いて、以下のようにして画像記録を行ない、画像記録中における臭気の発生を、インクジェットプリンタ装置から0.5mの位置において官能評価し、下記評価基準に従って評価した。
上記で得られた評価用ロールサンプルをDL410に装填し、インクジェット記録媒体上にシアンのベタ画像を印画し、その後、DL410に内蔵された乾燥部により加熱乾燥処理を行う画像記録を、L版サイズ100枚について連続して行なって評価用サンプルを作製した。
また、加熱乾燥処理を行わない常温乾燥による画像記録については、前記DL410の乾燥部のヒーターを取り除いた改造機を用いたこと以外は上記と同様にして評価用サンプルを作製し、同様に臭気の発生を官能評価した。
〜評価基準〜
A:ほとんど臭気を感じなかった。
B:わずかに臭気を感じたが、実用上問題のないレベルであった。
C:やや強い臭気を感じ、実用上問題があるレベルであった。
D:強い臭気を感じた。
<耐オゾン性評価>
上記で得られた評価用サンプルについて、23℃、60%RH、オゾン濃度10ppmの雰囲気で72時間サンプルを保管した。保管前と保管後の評価用サンプルのシアンの光学濃度を、反射濃度計(Xrite938、Xrite社製)を用いてそれぞれ測定した。保管前のシアンの光学濃度で保管後のシアンの光学濃度を除してシアン濃度の残存率(%)を算出し、下記の評価基準に従って、シアンの耐オゾン性を評価した。
〜評価基準〜
A:75%以上
B:60%以上75%未満
C:50%以上60%未満
D:50%未満
<にじみ評価>
純正インクセットを装填したミニラボ用高速インクジェットプリンタ(富士フイルム(株)製「DL410」)を用いて、各インクジェット記録媒体上にマゼンタインクとブラックインクとを隣あわせにした格子状の線状パターン(線幅0.28nm)を印画してにじみ評価用サンプルを作製した。得られたにじみ評価用サンプルを23℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に14日間保管した後、下記の評価基準に従って、にじみ(経時にじみ)を目視で評価した。
〜判定基準〜
A:大きな変化がみられなかった。
B:若干の変化が観測されたが、実用上許容レベルであった。
C:変化が観測され、実用上の限界レベルであった。
D:大きく変化がみられ、実用上問題のあるレベルであった。
Figure 2010253918
表1から、本発明のインクジェット記録媒体を用いることで、加熱乾燥時における臭気の発生が抑制されることが分かる。また、耐オゾン性および経時にじみ抑制に優れる画像が記録できることが分かる。

Claims (11)

  1. 支持体と、
    前記支持体上に配置され、オリゴ糖およびベタイン化合物から選ばれる臭気発生抑制成分、酢酸ジルコニル、無機微粒子、ならびに、水溶性樹脂を含有するインク受容層と、
    を備えるインクジェット記録媒体。
  2. 前記ベタイン化合物は、下記一般式(1)で表される請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
    Figure 2010253918

    (一般式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Lは2価の連結基を表す)
  3. 前記オリゴ糖は、重合度が2〜10である請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
  4. 前記臭気発生抑制成分の含有率が、前記インク受容層中の全固形分に対して0.3〜15.0質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  5. 前記酢酸ジルコニルの含有率が、前記インク受容層中の全固形分に対して0.1〜10質量%である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  6. 前記酢酸ジルコニルに対する臭気発生抑制成分の含有比が質量基準で、0.2〜10である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  7. 前記無機微粒子は、気相法シリカである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  8. 前記臭気発生抑制成分は、マルトース、トレハロース、ラフィノース、スクロース、イソマルトース、および、トリメチルグリシンから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  9. 前記インク受容層は、前記臭気発生抑制成分を含む第1の層と、前記臭気発生抑制成分を含まない第2の層とを含み、
    前記前記第1の層が、前記第2の層よりも前記支持体に近い側に配置されている請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  10. 前記第2の層は、カチオン性ポリマーを含む請求項9に記載のインクジェット記録媒体。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体上に、インクジェット法でインクを付与して画像を記録するインク付与工程と、
    前記インクが付与されたインクジェット記録媒体を加熱する加熱乾燥工程と、
    を備える画像記録方法。
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