以下、本発明の一実施形態を図1〜図27に基づいて説明する。
図1には、一実施形態の露光装置100の構成が概略的に示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、すなわちいわゆるスキャナである。後述するように本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
露光装置100は、照明系10、該照明系10からの露光用照明光(以下、照明光、又は露光光と呼ぶ)ILにより照明されるレチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRから射出された照明光ILをウエハW上に投射する投影光学系PLを含む投影ユニットPU、ウエハステージWST及び計測ステージMSTを有するステージ装置50、及びこれらの制御系等を備えている。ウエハステージWST上には、ウエハWが載置されている。
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を有する照明光学系と、を含む。この照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステム)で規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。また、オプティカルインテグレータとしては、例えばフライアイレンズ、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)あるいは回折光学素子などを用いることができる。
レチクルステージRST上には、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図6参照)によって、XY平面内で微少駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのXY平面(移動面)内の位置情報(θz方向の位置(回転)情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)116によって、移動鏡15(実際には、Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡(あるいは、レトロリフレクタ)とX軸に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられている)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図6参照)に送られる。主制御装置20は、レチクル干渉計116の計測値に基づいてレチクルステージRSTのX軸方向、Y軸方向及びθz方向の位置を算出するとともに、この算出結果に基づいてレチクルステージ駆動系11を制御することで、レチクルステージRSTの位置(及び速度)を制御する。なお、移動鏡15に代えて、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡15の反射面に相当)を形成することとしても良い。また、レチクル干渉計116はZ軸、θx及びθy方向の少なくとも1つに関するレチクルステージRSTの位置情報も計測可能として良い。
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を有する投影光学系PLとを含む。投影光学系PLとしては、例えばZ軸方向と平行な光軸AXに沿って配列される複数のレンズ(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系10からの照明光ILによって照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、その第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルのパターンが転写される。即ち、本実施形態では照明系10、レチクル及び投影光学系PLによってウエハW上にパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
なお、不図示ではあるが、投影ユニットPUは、防振機構を介して3本の支柱で支持される鏡筒定盤に搭載されている。ただし、これに限らず、例えば国際公開第2006/038952号パンフレットに開示されているように、投影ユニットPUの上方に配置される不図示のメインフレーム部材、あるいはレチクルステージRSTが配置されるベース部材などに対して投影ユニットPUを吊り下げ支持しても良い。
なお、本実施形態の露光装置100では、液浸法を適用した露光が行われるため、投影光学系PLの開口数NAが実質的に増大することに伴いレチクル側の開口が大きくなる。そこで、ペッツヴァルの条件を満足させ、かつ投影光学系の大型化を避けるために、ミラーとレンズとを含んで構成される反射屈折系(カタディ・オプトリック系)を投影光学系として採用しても良い。また、ウエハWには感応層(レジスト層)だけでなく、例えばウエハ又は感光層を保護する保護膜(トップコート膜)などを形成しても良い。
また、本実施形態の露光装置100では、液浸法を適用した露光を行うため、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(以下、「先端レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように、局所液浸装置8の一部を構成するノズルユニット32が設けられている。本実施形態では、ノズルユニット32は、図1に示されるように、その下端面が先端レンズ191の下端面とほぼ面一に設定されている。また、ノズルユニット32は、液体Lqの供給口及び回収口と、ウエハWが対向して配置され、かつ回収口が設けられる下面と、液体供給管31A及び液体回収管31Bとそれぞれ接続される供給流路及び回収流路とを備えている。液体供給管31Aと液体回収管31Bとは、図3に示されるように、平面視(上方から見て)でX軸方向及びY軸方向に対しておよそ45°傾斜し、投影ユニットPUの中心(投影光学系PLの光軸AX、本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつY軸と平行な直線(基準軸)LVに関して対称な配置となっている。
液体供給管31Aには、その一端が液体供給装置5(図1では不図示、図6参照)に接続された不図示の供給管の他端が接続されており、液体回収管31Bには、その一端が液体回収装置6(図1では不図示、図6参照)に接続された不図示の回収管の他端が接続されている。
液体供給装置5は、液体を供給するためのタンク、加圧ポンプ、温度制御装置、並びに液体供給管31Aに対する液体の供給・停止を制御するためのバルブ等を含んでいる。バルブとしては、例えば液体の供給・停止のみならず、流量の調整も可能となるように、流量制御弁を用いることが望ましい。前記温度制御装置は、タンク内の液体の温度を、例えば露光装置が収納されているチャンバ(不図示)内の温度と同程度の温度に調整する。なお、タンク、加圧ポンプ、温度制御装置、バルブなどは、そのすべてを露光装置100で備えている必要はなく、少なくとも一部を露光装置100が設置される工場などの設備で代替することもできる。
液体回収装置6は、液体を回収するためのタンク及び吸引ポンプ、並びに液体回収管31Bを介した液体の回収・停止を制御するためのバルブ等を含んでいる。バルブとしては、液体供給装置5のバルブと同様に流量制御弁を用いることが望ましい。なお、タンク、吸引ポンプ、バルブなどは、そのすべてを露光装置100で備えている必要はなく、少なくとも一部を露光装置100が設置される工場などの設備で代替することもできる。
本実施形態では、上記の液体Lqとして、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水(以下、特に必要な場合を除いて、単に「水」と記述する)を用いるものとする。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できると共に、ウエハ上のフォトレジスト及び光学レンズ等に対する悪影響がないという利点がある。
ArFエキシマレーザ光に対する水の屈折率nは、ほぼ1.44である。この水の中では、照明光ILの波長は、193nm×1/n=約134nmに短波長化される。
液体供給装置5及び液体回収装置6は、それぞれコントローラを具備しており、それぞれのコントローラは、主制御装置20によって制御される(図6参照)。液体供給装置5のコントローラは、主制御装置20からの指示に応じ、液体供給管31Aに接続されたバルブを所定開度で開き、液体供給管31A、供給流路、及び供給口を介して先端レンズ191とウエハWとの間に液体(水)を供給する。また、このとき、液体回収装置6のコントローラは、主制御装置20からの指示に応じ、液体回収管31Bに接続されたバルブを所定開度で開き、回収口、回収流路、及び液体回収管31Bを介して、先端レンズ191とウエハWとの間から液体回収装置6(液体のタンク)の内部に液体(水)を回収する。このとき、主制御装置20は、先端レンズ191とウエハWとの間に供給される水の量と、回収される水の量とが常に等しくなるように、液体供給装置5のコントローラ、液体回収装置6のコントローラに対して指令を与える。従って、先端レンズ191とウエハWとの間に、一定量の液体(水)Lq(図1参照)が保持される。この場合、先端レンズ191とウエハWとの間に保持された液体(水)Lqは、常に入れ替わっている。
上記の説明から明らかなように、本実施形態では、ノズルユニット32、液体供給装置5、液体回収装置6、液体供給管31A及び液体回収管31B等を含み、局所液浸装置8が構成されている。なお、局所液浸装置8の一部、例えば少なくともノズルユニット32は、投影ユニットPUを保持するメインフレーム(前述の鏡筒定盤を含む)に吊り下げ支持されても良いし、メインフレームとは別のフレーム部材に設けても良い。あるいは、前述の如く投影ユニットPUが吊り下げ支持される場合は、投影ユニットPUと一体にノズルユニット32を吊り下げ支持しても良いが、本実施形態では投影ユニットPUとは独立に吊り下げ支持される計測フレームにノズルユニット32を設けている。この場合、投影ユニットPUを吊り下げ支持していなくても良い。
なお、投影ユニットPU下方に計測ステージMSTが位置する場合にも、上記と同様に後述する計測テーブルと先端レンズ191との間に水を満たすことが可能である。
なお、上記の説明では、一例として液体供給管(ノズル)と液体回収管(ノズル)とがそれぞれ1つずつ設けられているものとしたが、これに限らず、周囲の部材との関係を考慮しても配置が可能であれば、例えば、国際公開第99/49504号パンフレットに開示されるように、ノズルを多数有する構成を採用することとしても良い。要は、投影光学系PLを構成する最下端の光学部材(先端レンズ)191とウエハWとの間に液体を供給することができるのであれば、その構成はいかなるものであっても良い。例えば、国際公開第2004/053955号パンフレットに開示されている液浸機構、あるいは欧州特許出願公開第1420298号明細書に開示されている液浸機構なども本実施形態の露光装置に適用することができる。
図1に戻り、ステージ装置50は、ベース盤12の上方に配置されたウエハステージWST及び計測ステージMST、これらのステージWST,MSTの位置情報を計測する計測システム200(図6参照)、及びステージWST,MSTを駆動するステージ駆動系124(図6参照)などを備えている。計測システム200は、図6に示されるように、干渉計システム118、エンコーダシステム150及び面位置計測システム180などを含む。なお、干渉計システム118及びエンコーダシステム150等については、後に詳述する。
図1に戻り、ウエハステージWST,計測ステージMSTそれぞれの底面には、不図示の非接触軸受、例えば真空予圧型空気静圧軸受(以下、「エアパッド」と呼ぶ)が複数ヶ所に設けられており、これらのエアパッドからベース盤12の上面に向けて噴出された加圧空気の静圧により、ベース盤12の上方にウエハステージWST,計測ステージMSTが数μm程度のクリアランスを介して非接触で支持されている。また、ステージWST,MSTは、リニアモータ等を含むステージ駆動系124(図6参照)によって、独立してXY平面内で駆動可能である。
ウエハステージWSTは、ステージ本体91と、該ステージ本体91上に搭載されたウエハテーブルWTBとを含む。このウエハテーブルWTB及びステージ本体91は、リニアモータ及びZ・レベリング機構(ボイスコイルモータなどを含む)を含む駆動系によって、ベース盤12に対し、6自由度方向(X、Y、Z、θx,θy,θz)に駆動可能に構成されている。
ウエハテーブルWTB上には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。ウエハホルダはウエハテーブルWTBと一体に形成しても良いが、本実施形態ではウエハホルダとウエハテーブルWTBとを別々に構成し、例えば真空吸着などによってウエハホルダをウエハテーブルWTBの凹部内に固定している。また、ウエハテーブルWTBの上面には、ウエハホルダ上に載置されるウエハWの表面とほぼ面一となる、液体Lqに対して撥液化処理された表面(撥液面)を有し、かつ外形(輪郭)が矩形でその中央部にウエハホルダ(ウエハの載置領域)よりも一回り大きな円形の開口が形成されたプレート(撥液板)28が設けられている。プレート28は、低熱膨張率の材料、例えばガラス又はセラミックス(例えばショット社のゼロデュア(商品名)、Al2O3あるいはTiCなど)から成り、その表面には、例えばフッ素樹脂材料、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料あるいはシリコン系樹脂材料などにより撥液膜が形成される。さらにプレート28は、図4(A)のウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)の平面図に示されるように、円形の開口を囲む、外形(輪郭)が矩形の第1撥液領域28aと、第1撥液領域28aの周囲に配置される矩形枠状(環状)の第2撥液領域28bとを有する。第1撥液領域28aは、例えば露光動作時、ウエハの表面からはみ出す液浸領域14(図13参照)の少なくとも一部が形成され、第2撥液領域28bは、後述のエンコーダシステムのためのスケールが形成される。なお、プレート28はその表面の少なくとも一部がウエハの表面と同一面となっていなくても良い、すなわち異なる高さであっても良い。また、プレート28は単一のプレートでも良いが、本実施形態では複数のプレート、例えば第1及び第2撥液領域28a、28bにそれぞれ対応する第1及び第2撥液板を組み合わせて構成する。本実施形態では、前述の如く液体Lqとして水を用いるので、以下では第1及び第2撥液領域28a、28bをそれぞれ第1及び第2撥水板28a、28bとも呼ぶ。
この場合、内側の第1撥水板28aには、露光光ILが照射されるのに対し、外側の第2撥水板28bには、露光光ILが殆ど照射されない。このことを考慮して、本実施形態では、第1撥水板28aの表面には、露光光IL(この場合、真空紫外域の光)に対する耐性が十分にある撥水コートが施された第1撥水領域が形成され、第2撥水板28bには、その表面に第1撥水領域に比べて露光光ILに対する耐性が劣る撥水コートが施された第2撥水領域が形成されている。一般にガラス板には、露光光IL(この場合、真空紫外域の光)に対する耐性が十分にある撥水コートを施し難いので、このように第1撥水板28aとその周囲の第2撥水板28bとの2部分に分離することは効果的である。なお、これに限らず、同一のプレートの上面に露光光ILに対する耐性が異なる2種類の撥水コートを施して、第1撥水領域、第2撥水領域を形成しても良い。また、第1及び第2撥水領域で撥水コートの種類が同一でも良い。例えば、同一のプレートに1つの撥水領域を形成するだけでも良い。
また、図4(A)から明らかなように、第1撥水板28aの+Y側の端部には、そのX軸方向の中央部に長方形の切り欠きが形成され、この切り欠きと第2撥水板28bとで囲まれる長方形の空間の内部(切り欠きの内部)に計測プレート30が埋め込まれている。この計測プレート30の長手方向の中央(ウエハテーブルWTBのセンターラインLL上)には、基準マークFMが形成されるとともに、該基準マークのX軸方向の一側と他側に、基準マークの中心に関して対称な配置で一対の空間像計測スリットパターン(スリット状の計測用パターン)SLが形成されている。各空間像計測スリットパターンSLとしては、一例として、Y軸方向とX軸方向とに沿った辺を有するL字状のスリットパターン、あるいはX軸及びY軸方向にそれぞれ延びる2つの直線状のスリットパターンなどを用いることができる。
そして、上記各空間像計測スリットパターンSL下方のウエハステージWSTの内部には、図4(B)に示されるように、対物レンズ、ミラー、リレーレンズなどを含む光学系が収納されたL字状の筐体36が、ウエハテーブルWTBからステージ本体91の内部の一部を貫通する状態で、一部埋め込み状態で取り付けられている。筐体36は、図示は省略されているが、上記一対の空間像計測スリットパターンSLに対応して一対設けられている。
筐体36内部の光学系は、空間像計測スリットパターンSLを透過した照明光ILを、L字状の経路に沿って導き、−Y方向に向けて射出する。なお、以下においては、便宜上、筐体36内部の光学系を筐体36と同一の符号を用いて送光系36と記述する。
さらに、第2撥水板28bの上面には、その4辺のそれぞれに沿って所定ピッチで多数の格子線が直接形成されている。これをさらに詳述すると、第2撥水板28bのX軸方向一側と他側(図4(A)における左右両側)の領域には、Yスケール39Y1,39Y2がそれぞれ形成され、Yスケール39Y1,39Y2はそれぞれ、例えばX軸方向を長手方向とする格子線38が所定ピッチでY軸に平行な方向(Y軸方向)に沿って形成される、Y軸方向を周期方向とする反射型の格子(例えば回折格子)によって構成されている。
同様に、第2撥水板28bのY軸方向一側と他側(図4(A)における上下両側)の領域には、Yスケール39Y1及び39Y2に挟まれた状態でXスケール39X1,39X2がそれぞれ形成され、Xスケール39X1,39X2はそれぞれ、例えばY軸方向を長手方向とする格子線37が所定ピッチでX軸に平行な方向(X軸方向)に沿って形成される、X軸方向を周期方向とする反射型の格子(例えば回折格子)によって構成されている。上記各スケールとしては、第2撥水板28bの表面に例えばホログラム等により反射型の回折格子が作成されたものが用いられている。この場合、各スケールには狭いスリット又は溝等から成る格子が目盛りとして所定間隔(ピッチ)で刻まれている。各スケールに用いられる回折格子の種類は限定されるものではなく、機械的に溝等が形成されたもののみならず、例えば、感光性樹脂に干渉縞を焼き付けて作成したものであっても良い。但し、各スケールは、例えば薄板状のガラスに上記回折格子の目盛りを、例えば138nm〜4μmの間のピッチ、例えば1μmピッチで刻んで作成されている。これらスケールは前述の撥液膜(撥水膜)で覆われている。なお、図4(A)では、図示の便宜上から、格子のピッチは、実際のピッチに比べて格段に広く図示されている。その他の図においても同様である。
このように、本実施形態では、第2撥水板28bそのものがスケールを構成するので、第2撥水板28bとして低熱膨張率のガラス板を用いることとしたものである。しかし、これに限らず、格子が形成された低熱膨張率のガラス板などから成るスケール部材を、局所的な伸縮が生じないように、例えば板ばね(又は真空吸着)等によりウエハテーブルWTBの上面に固定しても良く、この場合には、全面に同一の撥水コートが施された撥水板をプレート28に代えて用いても良い。あるいは、ウエハテーブルWTBを低熱膨張率の材料で形成することも可能であり、かかる場合には、一対のYスケールと一対のXスケールとは、そのウエハテーブルWTBの上面に直接形成しても良い。
なお、回折格子を保護するために、撥水性(撥液性)を備えた低熱膨張率のガラス板でカバーすることも有効である。ここで、ガラス板としては、厚さがウエハと同程度、例えば厚さ1mmのものを用いることができ、そのガラス板の表面がウエハ面と同じ高さ(同一面)になるよう、ウエハテーブルWTB上面に設置される。
なお、各スケールの端付近には、後述するエンコーダヘッドとスケール間の相対位置を決めるための、位置出しパターンがそれぞれ設けられている。この位置出しパターンは例えば反射率の異なる格子線から構成され、この位置出しパターン上をエンコーダヘッドが走査すると、エンコーダの出力信号の強度が変化する。そこで、予め閾値を定めておき、出力信号の強度がその閾値を超える位置を検出する。この検出された位置を基準に、エンコーダヘッドとスケール間の相対位置を設定する。
また、ウエハテーブルWTBの−Y端面,−X端面には、それぞれ鏡面加工が施され、図2に示されるように、後述する干渉計システム118のための、反射面17a,17bが形成されている。
計測ステージMSTは、図1に示されるように、不図示のリニアモータ等によってXY平面内で駆動されるステージ本体92と、ステージ本体92上に搭載された計測テーブルMTBとを含んでいる。計測ステージMSTは、不図示の駆動系によりベース盤12に対し、少なくとも3自由度方向(X,Y,θz)に駆動可能に構成されている。
なお、図6では、ウエハステージWSTの駆動系と計測ステージMSTの駆動系とを含んで、ステージ駆動系124として示されている。
計測テーブルMTB(及びステージ本体92)には、各種計測用部材が設けられている。この計測用部材としては、例えば、図2及び図5Aに示されるように、投影光学系PLの像面上で照明光ILを受光するピンホール状の受光部を有する照度むらセンサ94、投影光学系PLにより投影されるパターンの空間像(投影像)を計測する空間像計測器96、及び例えば国際公開第2003/065428号パンフレットなどに開示されているシャック−ハルトマン(Shack-Hartman)方式の波面収差計測器98などが採用されている。波面収差計測器98としては、例えば国際公開第99/60361号パンフレット(対応欧州特許第1,079,223号明細書)に開示されるものも用いることができる。
照度むらセンサ94としては、例えば米国特許第4,465,368号明細書などに開示されるものと同様の構成のものを用いることができる。また、空間像計測器96としては、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号明細書などに開示されるものと同様の構成のものを用いることができる。なお、本実施形態では3つの計測用部材(94、96、98)を計測ステージMSTに設けるものとしたが、計測用部材の種類、及び/又は数などはこれに限られない。計測用部材として、例えば投影光学系PLの透過率を計測する透過率計測器、及び/又は、前述の局所液浸装置8、例えばノズルユニット32(あるいは先端レンズ191)などを観察する計測器などを用いても良い。さらに、計測用部材と異なる部材、例えばノズルユニット32、先端レンズ191などを清掃する清掃部材などを計測ステージMSTに搭載しても良い。
本実施形態では、図5Aからもわかるように、使用頻度の高いセンサ類、照度むらセンサ94及び空間像計測器96などは、計測ステージMSTのセンターラインCL(中心を通るY軸)上に配置されている。このため、本実施形態では、これらのセンサ類を用いた計測を、計測ステージMSTをX軸方向に移動させることなく、Y軸方向にのみ移動させて行うことができる。
上記各センサに加え、例えば米国特許出願公開第2002/0061469号明細書などに開示される、投影光学系PLの像面上で照明光ILを受光する所定面積の受光部を有する照度モニタを採用しても良く、この照度モニタもセンターライン上に配置することが望ましい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと液体(水)Lqとを介して露光光(照明光)ILによりウエハWを露光する液浸露光が行われるのに対応して、照明光ILを用いる計測に使用される上記の照度むらセンサ94(及び照度モニタ)、空間像計測器96、並びに波面収差計測器98では、投影光学系PL及び水を介して照明光ILを受光することとなる。また、各センサは、例えば光学系などの一部だけが計測テーブルMTB(及びステージ本体92)に搭載されていても良いし、センサ全体を計測テーブルMTB(及びステージ本体92)に配置するようにしても良い。
また、計測テーブルMTBの+Y端面、−X端面には、前述したウエハテーブルWTBと同様の反射面19a、19bが形成されている(図2及び図5A参照)。
計測ステージMSTのステージ本体92には、図5Bに示されるように、その−Y側の端面に、枠状の取付部材42が固定されている。また、ステージ本体92の−Y側の端面には、取付部材42の開口内部のX軸方向の中心位置近傍に、前述した一対の送光系36に対向し得る配置で、一対の受光系44が固定されている。各受光系44は、リレーレンズなどの光学系と、受光素子、例えばフォトマルチプライヤチューブなどと、これらを収納する筐体とによって構成されている。図4(B)及び図5B、並びにこれまでの説明からわかるように、本実施形態では、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとが、Y軸方向に関して所定距離以内に近接した状態(接触状態を含む)では、計測プレート30の各空間像計測スリットパターンSLを透過した照明光ILが前述の各送光系36で案内され、各受光系44の受光素子で受光される。すなわち、計測プレート30、送光系36及び受光系44によって、前述した米国特許出願公開第2002/0041377号明細書などに開示されるものと同様の、空間像計測装置45(図6参照)が構成される。
取付部材42の上には、断面矩形の棒状部材から成るフィデューシャルバー(以下、「FDバー」と略述する)46がX軸方向に延設されている。このFDバー46は、フルキネマティックマウント構造によって、計測ステージMST上にキネマティックに支持されている。
FDバー46は、原器(計測基準)となるため、低熱膨張率の光学ガラスセラミックス、例えば、ショット社のゼロデュア(商品名)などがその素材として採用されている。FDバー46の上面(表面)は、いわゆる基準平面板と同程度にその平坦度が高く設定されている。また、FDバー46の長手方向の一側と他側の端部近傍には、図5Aに示されるように、Y軸方向を周期方向とする基準格子(例えば回折格子)52がそれぞれ形成されている。この一対の基準格子52は、所定距離を隔ててFDバー46のX軸方向の中心、すなわち前述のセンターラインCLに関して対称な配置で形成されている。
また、FDバー46の上面には、図5Aに示されるような配置で複数の基準マークMが形成されている。この複数の基準マークMは、同一ピッチでY軸方向に関して3行の配列で形成され、各行の配列がX軸方向に関して互いに所定距離だけずれて形成されている。各基準マークMとしては、後述するプライマリアライメント系、セカンダリアライメント系によって検出可能な寸法の2次元マークが用いられている。基準マークMはその形状(構成)が前述の基準マークFMと異なっても良いが、本実施形態では基準マークMと基準マークFMとは同一の構成であり、かつウエハWのアライメントマークとも同一の構成となっている。なお、本実施形態ではFDバー46の表面、及び計測テーブルMTB(前述の計測用部材を含んでも良い)の表面もそれぞれ撥液膜(撥水膜)で覆われている。
本実施形態の露光装置100では、図1では図面の錯綜を避ける観点から図示が省略されているが、実際には、図3に示されるように、前述の基準軸LV上で、投影光学系PLの光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に検出中心を有するプライマリアライメント系AL1が配置されている。このプライマリアライメント系AL1は、支持部材54を介して不図示のメインフレームの下面に固定されている。プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、直線LVに関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。すなわち、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24はその検出中心がX軸方向に関して異なる位置に配置されている、すなわちX軸方向に沿って配置されている。
各セカンダリアライメント系AL2n(n=1〜4)は、セカンダリアライメント系AL24について代表的に示されるように、回転中心Oを中心として図3における時計回り及び反時計回りに所定角度範囲で回動可能なアーム56n(n=1〜4)の先端(回動端)に固定されている。本実施形態では、各セカンダリアライメント系AL2nはその一部(例えば、アライメント光を検出領域に照射し、かつ検出領域内の対象マークから発生する光を受光素子に導く光学系を少なくとも含む)がアーム56nに固定され、残りの一部は投影ユニットPUを保持するメインフレームに設けられる。セカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24はそれぞれ、回転中心Oを中心として回動することで、X位置が調整される。すなわち、セカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24はその検出領域(又は検出中心)が独立にX軸方向に可動である。従って、プライマリアライメント系AL1及びセカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24はX軸方向に関してその検出領域の相対位置が調整可能となっている。なお、本実施形態では、アームの回動によりセカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24のX位置が調整されるものとしたが、これに限らず、セカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24をX軸方向に往復駆動する駆動機構を設けても良い。また、セカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24の少なくとも1つをX軸方向だけでなくY軸方向にも可動として良い。なお、各セカンダリアライメント系AL2nはその一部がアーム56nによって移動されるので、不図示のセンサ、例えば干渉計、あるいはエンコーダなどによって、アーム56nに固定されるその一部の位置情報が計測可能となっている。このセンサは、セカンダリアライメント系AL2nのX軸方向の位置情報を計測するだけでも良いが、他の方向、例えばY軸方向、及び/又は回転方向(θx及びθy方向の少なくとも一方を含む)の位置情報も計測可能としても良い。
各アーム56nの上面には、差動排気型のエアベアリングから成るバキュームパッド58n(n=1〜4、図3では不図示、図6参照)が設けられている。また、アーム56nは、例えばモータ等を含む回転駆動機構60n(n=1〜4、図3では不図示、図6参照)によって、主制御装置20の指示に応じて回動可能である。主制御装置20は、アーム56nの回転調整後に、各バキュームパッド58nを作動させて各アーム56nを不図示のメインフレームに吸着固定する。これにより、各アーム56nの回転角度調整後の状態、すなわち、プライマリアライメント系AL1及び4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24の所望の位置関係が維持される。
なお、メインフレームのアーム56nに対向する部分が磁性体であるならば、バキュームパッド58に代えて電磁石を採用しても良い。
本実施形態では、プライマリアライメント系AL1及び4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24のそれぞれとして、例えばウエハ上のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標(各アライメント系内に設けられた指標板上の指標パターン)の像とを撮像素子(CCD等)を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。プライマリアライメント系AL1及び4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24のそれぞれからの撮像信号は、不図示のアライメント信号処理系を介して図6の主制御装置20に供給される。
なお、上記各アライメント系としては、FIA系に限らず、例えばコヒーレントな検出光を対象マークに照射し、その対象マークから発生する散乱光又は回折光を検出する、あるいはその対象マークから発生する2つの回折光(例えば同次数の回折光、あるいは同方向に回折する回折光)を干渉させて検出するアライメントセンサを単独であるいは適宜組み合わせて用いることは勿論可能である。また、本実施形態では、5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24は、支持部材54又はアーム56nを介して投影ユニットPUを保持するメインフレームの下面に固定されるものとしたが、これに限らず、例えば前述した計測フレームに設けても良い。
次に、ウエハステージWST及び計測ステージMSTの位置情報を計測する干渉計システム118(図6参照)の構成等について説明する。
ここで、具体的な干渉計システムの構成の説明に先立って、干渉計の計測原理を簡単に説明する。干渉計は、計測対象物に設置された反射面に向けて、測長ビーム(測長光)を照射する。干渉計は、その反射光と参照光との合成光を受光し、反射光(測長光)と参照光とを、偏向方向を揃えて相互に干渉させた干渉光の強度を計測する。ここで、反射光と参照光の光路差ΔLより、反射光と参照光との間の相対位相(位相差)がKΔL変化する。それにより、干渉光の強度は1+a・cos(KΔL)に比例して変化する。ただし、ホモダイン検波方式を採用したとして、測長光と参照光の波数は同じでKとした。定数aは測長光と参照光の強度比より決まる。ここで、参照光に対する反射面は、一般に、投影ユニットPU側面(場合によっては干渉計ユニット内)に設けられる。この参照光の反射面が、測長の基準位置となる。従って、光路差ΔLには、基準位置から反射面までの距離が反映される。そこで、反射面までの距離の変化に対する、干渉光の強度変化の回数(フリンジの数)を計測すれば、その計数値と計測単位の積より、計測対象物に設置された反射面の変位が算出される。ここで、計測単位は、シングルパス方式の干渉計の場合、測長光の波長の2分の1、ダブルパス方式の干渉計の場合、波長の4分の1である。
ところで、ヘテロダイン検波方式の干渉計を採用した場合、測長光の波数K1と参照光の波数K2はわずかに異なる。この場合、測長光と参照光の光路長をそれぞれL1,L2とすると、測長光と参照光の間の位相差はKΔL+ΔKL1と与えられ、干渉光の強度は1+a・cos(KΔL+ΔKL1)に比例して変化する。ただし、光路差ΔL=L1−L2,ΔK=K1−K2,K=K2とした。ここで、参照光の光路L2が十分短く、近似ΔL≒L1が成り立てば、干渉光の強度は1+a・cos[(K+ΔK)ΔL]に比例して変化する。これからわかるように、干渉光の強度は、光路差ΔLが変化するとともに、参照光の波長2π/Kで周期振動するとともに、その周期振動の包絡線は長い周期2π/ΔKで振動する(うなる)。従って、ヘテロダイン検波方式では、長い周期のうなりより、光路差ΔLの変化方向、すなわち計測対象物の変位方向を知ることができる。
なお、干渉計の主要な誤差要因として、ビーム光路上の雰囲気の温度揺らぎ(空気揺らぎ)の効果がある。空気揺らぎによって、光の波長λがλ+Δλに変化したとする。この波長の微小変化Δλによる位相差KΔLの変化は、波数K=2π/λなので、2πΔLΔλ/λ2と求められる。ここで、仮に、光の波長λ=1μm、微小変化Δλ=1nmとすると、光路差ΔL=100mmに対して、位相変化は2π×100となる。この位相変化は、計測単位の100倍の変位に対応する。この様に、光路長が長く設定される場合には、干渉計は、短時間に起こる空気揺らぎの影響が大きく、短期安定性に劣る。その様な場合には、後述するエンコーダ又はZヘッドを有する面位置計測システムを使用するのが望ましい。
干渉計システム118は、図2に示されるように、ウエハステージWSTの位置計測用のY干渉計16、X干渉計126、127、128、及びZ干渉計43A,43B並びに計測ステージMSTの位置計測用のY干渉計18及びX干渉計130等を含む。Y干渉計16及びX干渉計126、127、128(図1では、X干渉計126〜128は不図示、図2参照)は、ウエハテーブルWTBの反射面17a,17bにそれぞれ測長ビームを照射して、それぞれの反射光を受光することにより、各反射面の基準位置(例えば投影ユニットPU側面に固定ミラーを配置し、そこを基準面とする)からの変位、すなわちウエハステージWSTのXY平面内の位置情報を計測し、この計測した位置情報を主制御装置20に供給する。本実施形態では、後述するように、上記各干渉計としては、一部を除いて、測長軸を複数有する多軸干渉計が用いられている。
一方、ステージ本体91の−Y側の側面には、図4(A)及び図4(B)に示されるように、X軸方向を長手方向とする移動鏡41が、不図示のキネマティック支持機構を介して取り付けられている。移動鏡41は、直方体部材と、該直方体の一面(−Y側の面)に固着された一対の三角柱状部材とを一体化したような部材から成る。移動鏡41は、図2からわかるように、X軸方向の長さがウエハテーブルWTBの反射面17aよりも、少なくとも後述する2つのZ干渉計の間隔分、長く設計されている。
移動鏡41の−Y側の面には鏡面加工が施され、図4(B)に示されるように、3つの反射面41b、41a、41cが形成されている。反射面41aは、移動鏡41の−Y側の端面の一部を構成し、XZ平面と平行に且つX軸方向に延びている。反射面41bは、反射面41aの+Z側に隣接する面を構成し、反射面41aに対して鈍角を成し、X軸方向に延びている。反射面41cは、反射面41aの−Z側に隣接する面を構成し、反射面41aを挟んで反射面41bと対称に設けられている。
移動鏡41に対向して、該移動鏡41に測長ビームを照射する、一対のZ干渉計43A,43Bが設けられている(図1及び図2参照)。
Z干渉計43A、43Bは、図1及び図2を総合するとわかるように、Y干渉計16のX軸方向の一側と他側にほぼ同一距離離れて、且つY干渉計16より幾分低い位置にそれぞれ配置されている。
Z干渉計43A、43Bそれぞれから、図1に示されるように、Y軸方向に沿う測長ビームB1が反射面41bに向けて照射されるとともに、Y軸方向に沿う測長ビームB2が反射面41c(図4(B)参照)に向けて照射されるようになっている。本実施形態では、反射面41b及び反射面41cで順次反射された測長ビームB1と直交する反射面を有する固定鏡47B、及び反射面41c及び反射面41bで順次反射された測長ビームB2と直交する反射面を有する固定鏡47Aが、移動鏡41から−Y方向に所定距離離れた位置に測長ビームB1,B2に干渉しない状態で、それぞれX軸方向に延設されている。
固定鏡47A、47Bは、例えば投影ユニットPUを支持するフレーム(不図示)に設けられた同一の支持体(不図示)に支持されている。
Y干渉計16は、図2(及び図13)に示されるように、前述の基準軸LVから同一距離、−X側,+X側に離れたY軸方向の測長軸に沿って測長ビームB41,B42をウエハテーブルWTBの反射面17aに照射し、それぞれの反射光を受光することで、ウエハテーブルWTBの測長ビームB41,B42の照射点におけるY軸方向の位置(Y位置)を検出している。なお、図1では、測長ビームB41,B42が代表的に測長ビームB4として示されている。
また、Y干渉計16は、測長ビームB41,B42との間にZ軸方向に所定間隔をあけてY軸方向の測長軸に沿って測長ビームB3を反射面41aに向けて照射し、反射面41aで反射した測長ビームB3を受光することにより、移動鏡41の反射面41a(すなわちウエハステージWST)のY位置を検出している。
主制御装置20は、Y干渉計16の測長ビームB41,B42に対応する測長軸の計測値の平均値に基づいて反射面17a、すなわちウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)のY位置(より正しくは、Y軸方向の変位ΔY)を算出する。また、主制御装置20は、測長ビームB41,B42に対応する測長軸の計測値の差より、ウエハステージWSTのZ軸回りの回転方向(θz方向)の変位(ヨーイング量)Δθz(Y)を算出する。また、主制御装置20は、反射面17a及び反射面41aのY位置(Y軸方向の変位ΔY)に基づいて、ウエハステージWSTのθx方向の変位(ピッチング量)Δθxを算出する。
また、X干渉計126は、図2及び図13に示されるように、投影光学系PLの光軸を通るX軸方向の直線(基準軸)LHに関して同一距離離れた2軸の測長軸に沿って測長ビームB51,B52をウエハテーブルWTBに照射する。主制御装置20は、測長ビームB51,B52に対応する測長軸の計測値に基づいて、ウエハステージWSTのX軸方向の位置(X位置、より正しくは、X軸方向の変位ΔX)を算出する。また、主制御装置20は、測長ビームB51,B52に対応する測長軸の計測値の差より、ウエハステージWSTのθz方向の変位(ヨーイング量)Δθz(X)を算出する。なお、X干渉計126から得られるΔθz(X)とY干渉計16から得られるΔθz(Y)は互いに等しく、ウエハステージWSTのθz方向への変位(ヨーイング量)Δθzを代表する。
また、図14及び図15などに示されるように、X干渉計128から測長ビームB7が、ウエハテーブルWTB上のウエハのアンロードが行われるアンローディングポジションUPと、ウエハテーブルWTB上へのウエハのロードが行われるローディングポジションLPを結ぶX軸に平行な直線LULに沿って、ウエハテーブルWTBの反射面17bに照射される。また、図16及び図17などに示されるように、X干渉計127から測長ビームB6が、プライマリアライメント系AL1の検出中心を通るX軸に平行な直線(基準軸)LAに沿って、ウエハテーブルWTBの反射面17bに照射される。
主制御装置20は、X干渉計127の測長ビームB6の計測値、及びX干渉計128の測長ビームB7の計測値からも、ウエハステージWSTのX軸方向の変位ΔXを求めることができる。ただし、3つのX干渉計126,127,128の配置がY軸方向に関して異なっている。そのため、X干渉計126は図13に示される露光時に、X干渉計127は図19などに示されるウエハアライメント時に、X干渉計128は図15に示されるウエハのロード時及び図14に示されるウエハのアンロード時に使用される。
前述のZ干渉計43A、43Bそれぞれからは、図1に示されるように、Y軸に沿う測長ビームB1、B2が、移動鏡41に向けて照射される。これらの測長ビームB1、B2は、移動鏡41の反射面41b,41cのそれぞれに所定の入射角(θ/2とする)で入射する。そして、測長ビームB1は、反射面41b,41cで順次反射されて固定鏡47Bの反射面に垂直に入射し、測長ビームB2は、反射面41c,41bで順次反射されて固定鏡47A反射面に垂直に入射する。そして、固定鏡47A,47Bの反射面で反射された測長ビームB2、B1は、再度反射面41b,41cで順次反射され、あるいは再度反射面41c,41bで順次反射されて(入射時の光路を逆向きに戻り)Z干渉計43A、43Bで受光される。
ここで、移動鏡41(すなわちウエハステージWST)のZ軸方向への変位をΔZo、Y軸方向への変位をΔYoとすると、測長ビームB1,B2の光路長変化ΔL1,ΔL2は、それぞれ以下の式(1)、(2)で表される。
ΔL1=ΔYo×(1+cosθ)+ΔZo×sinθ …(1)
ΔL2=ΔYo×(1+cosθ)−ΔZo×sinθ …(2)
従って、式(1)、(2)からΔZo及びΔYoは次式(3)、(4)で求められる。
ΔZo=(ΔL1−ΔL2)/2sinθ …(3)
ΔYo=(ΔL1+ΔL2)/{2(1+cosθ)} …(4)
上記の変位ΔZo、ΔYoは、Z干渉計43A、43Bのそれぞれで求められる。そこで、Z干渉計43Aで求められる変位をΔZoR、ΔYoRとし、Z干渉計43Bで求められる変位をΔZoL、ΔYoLとする。そして、Z干渉計43A、43Bそれぞれが照射する測長ビームB1、B2がX軸方向に離間する距離をDとする(図2参照)。かかる前提の下で、移動鏡41(すなわちウエハステージWST)のθz方向への変位(ヨーイング量)Δθz、θy方向への変位(ローリング量)Δθyは次式(5)、(6)で求められる。
Δθz=tan−1{(ΔYoR−ΔYoL)/D} …(5)
Δθy=tan−1{(ΔZoL−ΔZoR)/D} …(6)
従って、主制御装置20は、上記式(3)〜式(6)を用いることで、Z干渉計43A、43Bの計測結果に基づいて、ウエハステージWSTの4自由度の変位ΔZo、ΔYo、Δθz、Δθyを算出することができる。
このように、主制御装置20は、干渉計システム118の計測結果から、6自由度方向(Z、X、Y、θz、θx、θy方向)に関するウエハステージWSTの変位を求めることができる。
なお、本実施形態では、ウエハステージWSTとして6自由度で駆動動可能な単一のステージを採用するものとしたが、これに代えて、XY平面内で自在に移動可能なステージ本体91と、該ステージ本体91上に搭載され、ステージ本体91に対して少なくともZ軸方向、θx方向及びθy方向に相対的に微小駆動可能なウエハテーブルWTBとを含んで構成しても良いし、あるいは、ウエハテーブルWTBを、ステージ本体91に対してX軸方向、Y軸方向及びθz方向にも微動可能に構成したいわゆる粗微動構造のウエハステージWSTを採用しても良い。ただし、この場合は、ウエハテーブルWTBの6自由度方向の位置情報を干渉計システム118で計測可能な構成とする必要がある。計測ステージMSTについても、同様に、ステージ本体92と、ステージ本体91上に搭載された3自由度、又は6自由度の計測テーブルMTBとによって構成しても良い。また、反射面17a,反射面17bの代わりに、ウエハテーブルWTBに平面ミラーから成る移動鏡を設けても良い。
但し、本実施形態では、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)の位置制御のためのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、主として、後述するエンコーダシステムによって計測され、干渉計16,126,127の計測値は、そのエンコーダシステムの計測値の長期的変動(例えばスケールの経時的な変形などによる)を補正(較正)する場合などに補助的に用いられる。
なお、干渉計システム118はその少なくとも一部(例えば、光学系など)が、投影ユニットPUを保持するメインフレームに設けられる、あるいは前述の如く吊り下げ支持される投影ユニットPUと一体に設けられても良いが、本実施形態では前述した計測フレームに設けられるものとする。
なお、本実施形態では、投影ユニットPUに設けられる固定ミラーの反射面を基準面としてウエハステージWSTの位置情報を計測するものとしたが、その基準面を配置する位置は投影ユニットPUに限られるものでないし、必ずしも固定ミラーを用いてウエハステージWSTの位置情報を計測しなくても良い。
また、本実施形態では、干渉計システム118によって計測されるウエハステージWSTの位置情報が、後述の露光動作やアライメント動作などでは用いられず、主としてエンコーダシステムのキャリブレーション動作(すなわち、計測値の較正)などに用いられるものとしたが、干渉計システム118の計測情報(すなわち、5自由度の方向の位置情報の少なくとも1つ)を、例えば露光動作及び/又はアライメント動作などで用いても良い。また、干渉計システム118をエンコーダシステムのバックアップとして使用することも考えられ、これについては後に詳述する。本実施形態では、エンコーダシステムはウエハステージWSTの3自由度の方向、すなわちX軸、Y軸及びθz方向の位置情報を計測する。そこで、露光動作などにおいて、干渉計システム118の計測情報のうち、エンコーダシステムによるウエハステージWSTの位置情報の計測方向(X軸、Y軸及びθz方向)と異なる方向、例えばθx方向及び/又はθy方向に関する位置情報のみを用いても良いし、その異なる方向の位置情報に加えて、エンコーダシステムの計測方向と同じ方向(すなわち、X軸、Y軸及びθz方向の少なくとも1つ)に関する位置情報を用いても良い。また、露光動作などにおいて干渉計システム118で計測されるウエハステージWSTのZ軸方向の位置情報を用いても良い。
その他、干渉計システム118(図6参照)には、計測テーブルMTBの2次元位置座標を計測するためのY干渉計18、X干渉計130も含まれている。Y干渉計18、X干渉計130(図1では、X干渉計130は不図示、図2参照)は、計測テーブルMTBの反射面19a、19bに、図2に示されるように、測長ビームを照射して、それぞれの反射光を受光することにより、各反射面の基準位置からの変位を計測する。主制御装置20は、Y干渉計18、X干渉計130の計測値を受信し、計測ステージMSTの位置情報(例えば、少なくともX軸及びY軸方向の位置情報とθz方向の回転情報とを含む)を算出する。
なお、計測テーブルMTB用のY干渉計として、ウエハステージWST用のY干渉計16と同様の多軸干渉計を用いることとしても良い。また、計測テーブルMTBのX干渉計として、ウエハステージWST用のX干渉計126と同様の2軸干渉計を用いることとしても良い。また、計測ステージMSTのZ変位、Y変位、ヨーイング量、及びローリング量を計測するために、ウエハステージWST用のZ干渉計43A,43Bと同様の干渉計を導入することも可能である。
次に、ウエハステージWSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)を計測するエンコーダシステム150(図6参照)の構成等について説明する。
本実施形態の露光装置100では、図3に示されるように、前述したノズルユニット32の周囲を四方から囲む状態で、エンコーダシステム150の4つのヘッドユニット62A〜62Dが配置されている。これらのヘッドユニット62A〜62Dは、図3等では図面の錯綜を避ける観点から図示が省略されているが、実際には、支持部材を介して、前述した投影ユニットPUを保持するメインフレームに吊り下げ状態で固定されている。
ヘッドユニット62A及び62Cは、図3に示されるように、投影ユニットPUの+X側、−X側に、X軸方向を長手方向として、配置されている。ヘッドユニット62A、62Cは、X軸方向に関しての間隔WDで配置された複数(ここでは5つ)のYヘッド65j、64i(i,j=1〜5)をそれぞれ備えている。より詳細には、ヘッドユニット62A及び62Cは、それぞれ、投影ユニットPUの周辺を除いて、投影光学系PLの光軸AXを通りかつX軸と平行な直線(基準軸)LH上に間隔WDで配置された複数(ここでは4つ)のYヘッド(641〜644、又は652〜655)と、投影ユニットPUの周辺において、基準軸LHから−Y方向に所定距離離れた位置、すなわちノズルユニット32の−Y側の位置に配置された1つのYヘッド(645、又は651)とを備えている。ヘッドユニット62A、62Cは、後述する5つのZヘッドをもそれぞれ備えている。以下では、必要に応じて、Yヘッド65j、64iを、それぞれ、Yヘッド65、64とも記述する。
ヘッドユニット62Aは、前述のYスケール39Y1を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のY軸方向の位置(Y位置)を計測する多眼(ここでは、5眼)のYリニアエンコーダ(以下、適宜「Yエンコーダ」又は「エンコーダ」と略述する)70A(図6参照)を構成する。同様に、ヘッドユニット62Cは、前述のYスケール39Y2を用いて、ウエハステージWSTのY位置を計測する多眼(ここでは、5眼)のYエンコーダ70C(図6参照)を構成する。ここで、ヘッドユニット62A及び62Cがそれぞれ備える5つのYヘッド(64i又は65j)(すなわち、計測ビーム)のX軸方向の間隔WDは、Yスケール39Y1,39Y2のX軸方向の幅(より正確には、格子線38の長さ)より僅かに狭く設定されている。
ヘッドユニット62Bは、図3に示されるように、ノズルユニット32(投影ユニットPU)の+Y側に配置され、上記基準軸LV上にY軸方向に沿って間隔WDで配置された複数、ここでは4個のXヘッド665〜668を備えている。また、ヘッドユニット62Dは、ノズルユニット32(投影ユニットPU)を介してヘッドユニット62Bとは反対側のプライマリアライメント系AL1の−Y側に配置され、上記基準軸LV上に間隔WDで配置された複数、ここでは4個のXヘッド661〜664を備えている。以下では、必要に応じて、Xヘッド661〜668を、Xヘッド66とも記述する。
ヘッドユニット62Bは、前述のXスケール39X1を用いて、ウエハステージWSTのX軸方向の位置(X位置)を計測する、多眼(ここでは、4眼)のXリニアエンコーダ(以下、適宜「Xエンコーダ」又は「エンコーダ」と略述する)70B(図6参照)を構成する。また、ヘッドユニット62Dは、前述のXスケール39X2を用いて、ウエハステージWSTのX位置を計測する多眼(ここでは、4眼)のXリニアエンコーダ70D(図6参照)を構成する。
ここでヘッドユニット62B,62Dがそれぞれ備える隣接するXヘッド66(計測ビーム)の間隔は、前述のXスケール39X1,39X2のY軸方向の幅(より正確には、格子線37の長さ)よりも狭く設定されている。またヘッドユニット62Bの最も−Y側のXヘッド665とヘッドユニット62Dの最も+Y側のXヘッド664との間隔は、ウエハステージWSTのY軸方向の移動により、その2つのXヘッド間で切り換え(後述するつなぎ)が可能となるように、ウエハテーブルWTBのY軸方向の幅よりも僅かに狭く設定されている。
本実施形態では、さらに、ヘッドユニット62A、62Cの−Y側に所定距離隔てて、ヘッドユニット62F、62Eが、それぞれ設けられている。ヘッドユニット62E及び62Fは、図3等では図面の錯綜を避ける観点から図示が省略されているが、実際には、支持部材を介して、前述した投影ユニットPUを保持するメインフレームに吊り下げ状態で固定されている。なお、ヘッドユニット62E、62F及び前述のヘッドユニット62A〜62Dは、例えば投影ユニットPUが吊り下げ支持される場合は投影ユニットPUと一体に吊り下げ支持しても良いし、あるいは前述した計測フレームに設けても良い。
ヘッドユニット62Eは、X軸方向の位置が異なる4つのYヘッド671〜674を備えている。より詳細には、ヘッドユニット62Eは、セカンダリアライメント系AL21の−X側に前述の基準軸LA上に前述の間隔WDとほぼ同一間隔で配置された3つのYヘッド671〜673と、最も内側(+X側)のYヘッド673から+X側に所定距離(WDより幾分短い距離)離れ、かつ基準軸LAから+Y側に所定距離離れたセカンダリアライメント系AL21の+Y側の位置に配置された1つのYヘッド674とを備えている。
ヘッドユニット62Fは、基準軸LVに関して、ヘッドユニット62Eと対称であり、上記4つのYヘッド671〜674と基準軸LVに関して対称に配置された4つのYヘッド681〜684を備えている。以下では、必要に応じて、Yヘッド671〜674、681〜684を、それぞれ、Yヘッド67、68とも記述する。後述するアライメント動作の際などには、Yスケール39Y2,39Y1にYヘッド67,68が少なくとも各1つそれぞれ対向し、このYヘッド67,68(すなわち、これらYヘッド67,68によって構成されるYエンコーダ70E、70F)によってウエハステージWSTのY位置(及びθz回転)が計測される。
また、本実施形態では、後述するセカンダリアライメント系のベースライン計測時(Sec‐BCHK(インターバル))などに、セカンダリアライメント系AL21、AL24にX軸方向で隣接するYヘッド673、682が、FDバー46の一対の基準格子52とそれぞれ対向し、その一対の基準格子52と対向するYヘッド673,682によって、FDバー46のY位置が、それぞれの基準格子52の位置で計測される。以下では、一対の基準格子52にそれぞれ対向するYヘッド673,682によって構成されるエンコーダをYリニアエンコーダ(適宜、「Yエンコーダ」又は「エンコーダ」とも略述する)70E2,70F2と呼ぶ。また、識別のため、上述したYスケール39Y2,39Y1にそれぞれ対向するYヘッド67,68によって構成されるYエンコーダ70E、70Fを、Yエンコーダ70E1、70F1と呼ぶ。
上述したリニアエンコーダ70A〜70Fは、例えば0.1nm程度の分解能で、ウエハステージWSTの位置座標を計測し、その計測値を主制御装置20に供給する。主制御装置20は、リニアエンコーダ70A〜70Dのうちの3つ、又は70B,70D,70E1,70F1のうちの3つの計測値に基づいて、ウエハステージWSTのXY平面内の位置を制御するとともに、リニアエンコーダ70E2,70F2の計測値に基づいて、FDバー46のθz方向の回転を制御する。なお、リニアエンコーダの構成等については、さらに後述する。
本実施形態の露光装置100では、図3に示されるように、照射系90a及び受光系90bから成る、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成の斜入射方式の多点焦点位置検出系(以下、「多点AF系」と略述する)が設けられている。本実施形態では、一例として、前述のヘッドユニット62Eの−X端部の+Y側に照射系90aが配置され、これに対峙する状態で、前述のヘッドユニット62Fの+X端部の+Y側に受光系90bが配置されている。
多点AF系(90a,90b)の複数の検出点は、被検面上でX軸方向に沿って所定間隔で配置される。本実施形態では、例えば1行M列(Mは検出点の総数)又は2行N列(Nは検出点の総数の1/2)のマトリックス状に配置される。図3中では、それぞれ検出ビームが照射される複数の検出点を、個別に図示されず、照射系90a及び受光系90bの間でX軸方向に延びる細長い検出領域(ビーム領域)AFとして示されている。この検出領域AFは、X軸方向の長さがウエハWの直径と同程度に設定されているので、ウエハWをY軸方向に1回スキャンするだけで、ウエハWのほぼ全面でZ軸方向の位置情報(面位置情報)を計測できる。また、この検出領域AFは、Y軸方向に関して、液浸領域14(露光領域IA)とアライメント系(AL1、AL21〜AL24)の検出領域との間に配置されているので、多点AF系とアライメント系とでその検出動作を並行して行うことが可能となっている。多点AF系は、投影ユニットPUを保持するメインフレームなどに設けても良いが、本実施形態では前述の計測フレームに設けるものとする。
なお、複数の検出点は1行M列又は2行N列で配置されるものとしたが、行数及び/又は列数はこれに限られない。但し、行数が2以上である場合は、異なる行の間で検出点のX軸方向の位置を異ならせることが好ましい。さらに、複数の検出点はX軸方向に沿って配置されるものとしたが、これに限らず、複数の検出点の全部又は一部をY軸方向に関して異なる位置に配置しても良い。例えば、X軸及びY軸の両方と交差する方向に沿って複数の検出点を配置しても良い。すなわち、複数の検出点は少なくともX軸方向に関して位置が異なっていれば良い。また、本実施形態では複数の検出点に検出ビームを照射するものとしたが、例えば検出領域AFの全域に検出ビームを照射しても良い。さらに、検出領域AFはX軸方向の長さがウエハWの直径と同程度でなくても良い。
多点AF系(90a,90b)の複数の検出点のうち両端に位置する検出点の近傍、すなわち検出領域AFの両端部近傍に、基準軸LVに関して対称な配置で、各一対のZ位置計測用の面位置センサのヘッド(以下、「Zヘッド」と略述する)72a,72b、及び72c,72dが設けられている。これらのZヘッド72a〜72dは、不図示のメインフレームの下面に固定されている。なお、Zヘッド72a〜72dは前述した計測フレームなどに設けても良い。
Zヘッド72a〜72dとしては、ウエハテーブルWTBに対し上方から光を照射し、その反射光を受光してその光の照射点におけるウエハテーブルWTB表面のXY平面に直交するZ軸方向の位置情報を計測するセンサヘッド、一例としてCDドライブ装置などで用いられる光ピックアップのような構成の光学式の変位センサのヘッド(光学ピックアップ方式のセンサヘッド)が用いられている。
さらに、前述のヘッドユニット62A,62Cは、それぞれが備える5つのYヘッド65j,64i(i,j=1〜5)と同じX位置に、ただしY位置をずらして、それぞれ5つのZヘッド76j,74i(i,j=1〜5)を備えている。ここで、ヘッドユニット62A,62Cのそれぞれに属する外側の3つのZヘッド763〜765,741〜743は、基準軸LHから+Y方向に所定距離隔てて、基準軸LHと平行に配置されている。また、ヘッドユニット62A,62Cのそれぞれに属する最も内側のZヘッド761,745は、投影ユニットPUの+Y側に、また最も内側から2つめのZヘッド762,744は、Yヘッド652,644それぞれの−Y側に、配置されている。そして、ヘッドユニット62A,62Cのそれぞれに属する5つのZヘッド76j,74i(i,j=1〜5)は、互いに基準軸LVに関して対称に配置されている。なお、各Zヘッド76,74としては、前述のZヘッド72a〜72dと同様の光学式変位センサのヘッドが採用される。なお、Zヘッドの構成等については、後述する。
ここで、Zヘッド743は、前述したZヘッド72a,72bと同一のY軸に平行な直線上にある。同様に、Zヘッド763は、前述したZヘッド72c,72dと同一のY軸に平行な直線上にある。
また、Zヘッド743とZヘッド744とのY軸に平行な方向の距離、及びZヘッド763とZヘッド762とのY軸に平行な方向の距離は、Zヘッド72a,72bのY軸に平行な方向の間隔(Zヘッド72c,72dのY軸に平行な方向の間隔と一致)とほぼ同一である。また、Zヘッド743とZヘッド745とのY軸に平行な方向の距離、及びZヘッド763とZヘッド761とのY軸に平行な方向の距離は、Zヘッド72a,72bのY軸に平行な方向の間隔より僅かに短い。
上述したZヘッド72a〜72d、Zヘッド741〜745、及びZヘッド761〜765は、図6に示されるように、信号処理・選択装置170を介して主制御装置20に接続されており、主制御装置20は、信号処理・選択装置170を介してZヘッド72a〜72d、Zヘッド741〜745、及びZヘッド761〜765の中から任意のZヘッドを選択して作動状態とし、その作動状態としたZヘッドで検出した面位置情報を信号処理・選択装置170を介して受け取る。本実施形態では、Zヘッド72a〜72d、Zヘッド741〜745、及びZヘッド761〜765と、信号処理・選択装置170とを含んでウエハステージWSTのZ軸方向及びXY平面に対する傾斜方向の位置情報を計測する面位置計測システム180(計測システム200の一部)が構成されている。
なお、図3では、計測ステージMSTの図示が省略されるとともに、その計測ステージMSTと先端レンズ191との間に保持される水Lqで形成される液浸領域が符号14で示されている。また、図3において、符号UPは、ウエハテーブルWTB上のウエハのアンロードが行われるアンローディングポジションを示し、符号LPはウエハテーブルWTB上へのウエハのロードが行われるローディングポジションを示す。本実施形態では、アンローディングポジションUPと、ローディングポジションLPとは、直線LVに関して対称に設定されている。なお、アンローディングポジションUPとローディングポジションLPとを同一位置としても良い。
図6には、露光装置100の制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御するマイクロコンピュータ(又はワークステーション)から成る主制御装置20を中心として構成されている。この主制御装置20に接続された外部記憶装置であるメモリ34には、干渉計システム118、エンコーダシステム150(エンコーダ70A〜70F)、Zヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765等、計測器系の補正情報が記憶されている。なお、図6においては、前述した照度むらセンサ94、空間像計測器96及び波面収差計測器98などの計測ステージMSTに設けられた各種センサが、纏めてセンサ群99として示されている。
次に、Zヘッド72a〜72d、741〜745、及び761〜765の構成等について、図7に示されるZヘッド72aを代表的に採り上げて説明する。
Zヘッド72aは、図7に示されるように、フォーカスセンサFS、フォーカスセンサFSを収納したセンサ本体ZH及びセンサ本体ZHをZ軸方向に駆動する駆動部(不図示)、並びにセンサ本体ZHのZ軸方向の変位を計測する計測部ZE等を備えている。
フォーカスセンサFSとしては、プローブビームLBを計測対象面Sに照射し、その反射光を受光することで、計測対象面Sの変位を光学的に読み取る、CDドライブ装置などで用いられる光ピックアップと同様の光学式変位センサが用いられている。フォーカスセンサの構成等については、後述する。フォーカスセンサFSの出力信号は、不図示の駆動部に送られる。
駆動部(不図示)は、アクチュエータ、例えばボイスコイルモータを含み、該ボイスコイルモータの可動子及び固定子の一方は、センサ本体ZHに、他方はセンサ本体ZH及び計測部ZE等を収容する不図示の筐体の一部に、それぞれ固定されている。この駆動部は、フォーカスセンサFSからの出力信号に従って、センサ本体ZHと計測対象面Sとの距離を一定に保つように(より正確には、計測対象面SをフォーカスセンサFSの光学系のベストフォーカス位置に保つように)、センサ本体ZHをZ軸方向に駆動する。これにより、センサ本体ZHは計測対象面SのZ軸方向の変位に追従し、フォーカスロック状態が保たれる。
計測部ZEとしては、本実施形態では、一例として回折干渉方式のエンコーダが用いられている。計測部ZEは、センサ本体ZHの上面に固定されたZ軸方向に延びる支持部材SMの側面に設けられたZ軸方向を周期方向とする反射型の回折格子EGと、該回折格子EGに対向して不図示の筐体に取付けられたエンコーダヘッドEHとを含む。エンコーダヘッドEHは、プローブビームELを回折格子EGに照射し、回折格子EGからの反射・回折光を受光素子で受光することで、プローブビームELの照射点の、基準点(例えば原点)からの変位を読み取ることで、センサ本体ZHのZ軸方向の変位を読み取る。
本実施形態では、上述のように、フォーカスロック状態では、センサ本体ZHは、計測対象面Sとの距離を一定に保つように、Z軸方向に変位する。従って、計測部ZEのエンコーダヘッドEHが、センサ本体ZHのZ軸方向の変位を計測することにより、計測対象面Sの面位置(Z位置)が計測される。エンコーダヘッドEHの計測値が、Zヘッド72aの計測値として前述の信号処理・選択装置170を介して主制御装置20に供給される。
フォーカスセンサFSは、一例として、図8(A)に示されるように、照射系FS1、光学系FS2、及び受光系FS3の3つの部分を含む。
照射系FS1は、例えばレーザダイオードから成る光源LDと、該光源LDから射出されるレーザ光の光路上に配置された回折格子板(回折光学素子)ZGとを含む。
光学系FS2は、一例として回折格子板ZGで発生するレーザ光の回折光、すなわちプローブビームLB1の光路上に順次配置された偏光ビームスプリッタPBS、コリメータレンズCL、四分の一波長板(λ/4板)WP及び対物レンズOL等を含む。
受光系FS3は、一例として、プローブビームLB1の計測対象面Sでの反射ビームLB2の戻り光路上に順次配置された円筒レンズCYL及び四分割受光素子ZDを含む。
フォーカスセンサFSによると、照射系FS1の光源LDで発生した直線偏光のレーザ光が回折格子板ZGに照射され、該回折格子板ZGで回折光(プローブビーム)LB1が発生する。このプローブビームLB1の中心軸(主光線)は、Z軸と平行で、且つ計測対象面Sに直交する。
そして、プローブビームLB1、すなわち偏光ビームスプリッタPBSの分離面に対してP偏光となる偏光成分の光が、光学系FS2に入射する。光学系FS2内では、プローブビームLB1は、偏光ビームスプリッタPBSを透過し、コリメータレンズCLで平行ビームに変換され、λ/4板WPを透過して、円偏光となって対物レンズOLで集光され、計測対象面Sに照射される。これにより、計測対象面SでプローブビームLB1の入射光とは逆向きの円偏光である反射光(反射ビーム)LB2が発生する。そして、反射ビームLB2は、入射光(プローブビームLB1)の光路を逆に辿って、対物レンズOL、λ/4板WP、コリメータレンズCLを透過し、偏光ビームスプリッタPBSに向かう。この場合、λ/4板WPを2回透過することにより、反射ビームLB2はS偏光に変換されている。このため、反射ビームLB2は、偏光ビームスプリッタPBSの分離面で進行方向を折り曲げられ、受光系FS3へ送られる。
受光系FS3では、反射ビームLB2は円筒レンズCYLを透過して、四分割受光素子ZDの検出面に照射される。ここで、円筒レンズCYLは、いわゆる「かまぼこ型」のレンズで、図8(B)に示されるように、YZ断面はY軸方向に凸部を向けた凸形状を有するとともに、図8(C)に示されるように、XY断面は矩形状を有する。このため、円筒レンズCYLを透過する反射ビームLB2は、Z軸方向とX軸方向とでその断面形状が非対称に絞られ非点収差が発生する。
四分割受光素子ZDは、その検出面で反射ビームLB2を受光する。四分割受光素子ZDの検出面は、図9(A)に示されるように、全体として正方形で、その2本の対角線を分離線として、4つの検出領域a,b,c,dに等分割されている。検出面の中心をOZDとする。
ここで、図8(A)に示される理想フォーカス状態(ピントの合った状態)、すなわちプローブビームLB1が計測対象面S0上に焦点を結ぶ状態では、反射ビームLB2の検出面上での断面形状は、図9(C)に示されるように、中心OZDを中心とする円形となる。
また、図8(A)において、プローブビームLB1が計測対象面S1上に焦点を結ぶ、いわゆる前ピン状態(すなわち計測対象面Sが理想位置S0にあり、四分割受光素子ZDが、図8(B)及び図8(C)において符号1で示す位置にある状態と等価な状態)では、反射ビームLB2の検出面上での断面形状は、図9(B)に示されるような中心OZDを中心とする横長の長円形となる。
また、図8(A)において、プローブビームLB1が計測対象面S-1上に焦点を結ぶ、いわゆる後ピン状態、(すなわち計測対象面Sが理想位置S0にあり、四分割受光素子ZDが、図8(B)及び図8(C)において符号−1で示す位置にある状態と等価な状態)では、反射ビームLB2の検出面上での断面形状は、図9(D)に示されるような中心OZDを中心とする縦長の長円形となる。
四分割受光素子ZDに接続された不図示の演算回路では、4つの検出領域a,b,c,dで受光する光の強度をそれぞれIa,Ib,Ic,Idとして、次式(7)で表されるフォーカスエラーIを算出し、不図示の駆動部に出力する。
I=(Ia+Ic)−(Ib+Id) …(7)
なお、上述の理想フォーカス状態では、4つの検出領域のそれぞれにおけるビーム断面の面積は互いに等しいので、フォーカスエラーI=0が得られる。また、上述の前ピン状態では、式(7)より、フォーカスエラーI<0となり、後ピン状態では、式(7)より、フォーカスエラーI>0となる。
不図示の駆動部は、フォーカスセンサFS内の検出部FS3よりフォーカスエラーIを受信し、I=0を再現するように、フォーカスセンサFSを格納したセンサ本体ZHをZ軸方向に駆動する。この駆動部の動作により、計測対象面SのZ変位に追従して、センサ本体ZHも変位するため、プローブビームは必ず計測対象面S上で焦点を結ぶ、すなわちセンサ本体ZHと計測対象面Sの間の距離は常に一定に保たれる(フォーカスロック状態が保たれる)。
一方、不図示の駆動部は、計測部ZEの計測結果がZヘッド72a外部からの入力信号に一致するように、センサ本体ZHをZ軸方向に駆動し、位置決めすることもできる。従って、実際の計測対象面Sの面位置とは異なる位置に、プロービームLBの焦点を位置させることもできる。この駆動部の動作(スケールサーボ制御)により、後述するZヘッドの切り換えにおける復帰処理、出力信号の異常発生時における回避処理等、を実行することができる。
本実施形態では、前述のように、計測部ZEとしてエンコーダを採用し、センサ本体ZHに設置された回折格子EGのZ変位を、エンコーダヘッドEHを用いて読み取る。エンコーダヘッドEHは、基準点からの計測対象(回折格子EG)の変位を計測する相対位置センサであるから、その基準点を定める必要がある。本実施形態では、回折格子EGの端部を検出する、あるいは回折格子EGに位置出しパターンが設けられている場合には、その位置出しパターンを検出することで、そのZ変位の基準位置(例えば原点)を定めても良い。いずれにしても、回折格子EGの基準位置に対応して計測対象面Sの基準面位置を定めることができ、その基準面位置からの計測対象面SのZ変位、すなわちZ軸方向の位置を計測することができる。なお、Zヘッドの起動時および復帰時には、必ず、回折格子EGの基準位置(例えば原点、すなわち計測対象面Sの基準面位置)の設定が実行される。この場合において、基準位置は、センサ本体ZHの移動範囲の中央近傍に設定されていることが、望ましい。そこで、その中央近傍の基準位置に対応する基準面位置が、フォーカスセンサFSの光学系の焦点位置に一致するように、光学系の焦点位置を調整するための駆動コイルを設けて対物レンズOLのZ位置を調整することとしても良い。また、計測部ZEは、基準位置(例えば原点)に、センサ本体ZHが位置するときに原点検出信号を発生するようになっている。
Zヘッド72aでは、センサ本体ZH及び計測部ZEは、ともに不図示の筐体内部に格納されており、またプローブビームLB1の筐体外部に露出する部分の光路長も極短いため、空気揺らぎの影響が非常に小さい。従って、Zヘッドを含むセンサは、例えばレーザ干渉計と比較しても、空気が揺らぐ程度の短い期間における計測安定性(短期安定性)に格段に優れている。
その他のZヘッドも上述のZヘッド72aと同様に構成され機能する。このように、本実施形態では、各Zヘッドとして、エンコーダと同じくYスケール39Y1,39Y2等の回折格子面を上方(+Z方向)から観察する構成が採用されている。従って、複数のZヘッドで、ウエハテーブルWTB上面の異なる位置の面位置情報を計測することで、ウエハステージWSTのZ軸方向の位置とθy回転(ローリング)及びθx回転(ピッチング)を計測することができる。ただし、本実施形態では、露光の際、ウエハテーブルWTBのピッチング制御の精度は特に重要ではないため、Zヘッドを含む面位置計測システムではピッチングは計測しないこととし、ウエハテーブルWTB上のYスケール39Y1,39Y2にZヘッドが各1つ対向する構成とした。
次に、本実施形態の露光装置100で行われるウエハW表面のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)の検出(以下、フォーカスマッピングと呼ぶ)について説明する。
フォーカスマッピングに際しては、主制御装置20は、図10(A)に示されるように、Xスケール39X2に対向するXヘッド663(Xリニアエンコーダ70D)と、Yスケール39Y1,Y2にそれぞれ対向する2つのYヘッド682,673(Yリニアエンコーダ70A,70C)とに基づいてウエハステージWSTのXY平面内の位置を管理している。この図10(A)の状態では、前述の基準軸LVに、ウエハテーブルWTBの中心(ウエハWの中心にほぼ一致)を通るY軸に平行な直線(センターライン)が一致した状態となっている。また、ここでは、図示が省略されているが、ウエハステージWSTの+Y側に計測ステージMSTがあり、前述したFDバー46及びウエハテーブルWTBと投影光学系PLの先端レンズ191との間に水が保持されている(図18参照)。
そして、この状態で、主制御装置20は、ウエハステージWSTの+Y方向への走査(スキャン)を開始し、この走査開始後、ウエハステージWSTが+Y方向に移動して、多点AF系(90a,90b)の検出ビーム(検出領域AF)がウエハW上に掛かり始めるまでの間に、Zヘッド72a〜72dと多点AF系(90a,90b)とを共に作動させる(ONにする)。
そして、このZヘッド72a〜72dと多点AF系(90a,90b)とが同時に作動している状態で、図10(B)に示されるように、ウエハステージWSTが+Y方向へ進行している間に、所定のサンプリング間隔で、Zヘッド72a〜72dで計測されるウエハテーブルWTB表面(プレート28の表面)のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)と、多点AF系(90a,90b)で検出される複数の検出点におけるウエハW表面のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)とを、取り込み、その取り込んだ各面位置情報と各サンプリング時のYリニアエンコーダ70F1,70E1の計測値との三者を相互に対応付けて不図示のメモリに逐次格納する。
そして、多点AF系(90a,90b)の検出ビームがウエハWに掛からなくなると、主制御装置20は、上記のサンプリングを終了し、多点AF系(90a,90b)の各検出点についての面位置情報を、同時に取り込んだZヘッド72a〜72dによる面位置情報を基準とするデータに換算する。
これをさらに詳述すると、Zヘッド72a,72bの計測値の平均値に基づいて、プレート28の−X側端部近傍の領域(Yスケール39Y2が形成された領域)上の所定の点(例えば、Zヘッド72a,72bそれぞれの計測点の中点、すなわち多点AF系(90a,90b)の複数の検出点の配列とほぼ同一のX軸上の点に相当:以下、この点を左計測点P1と呼ぶ)における面位置情報を求める。また、Zヘッド72c,72dの計測値の平均値に基づいて、プレート28の+X側端部近傍の領域(Yスケール39Y1が形成された領域)上の所定の点(例えば、Zヘッド72c,72dそれぞれの計測点の中点、すなわち多点AF系(90a,90b)の複数の検出点の配列とほぼ同一のX軸上の点に相当:以下、この点を右計測点P2と呼ぶ)における面位置情報を求める。そして、主制御装置20は、図10(C)に示されるように、多点AF系(90a,90b)の各検出点における面位置情報を、左計測点P1の面位置と右計測点P2の面位置とを結ぶ直線を基準とする面位置データz1〜zkに換算する。このような換算を、主制御装置20は、全てのサンプリング時に取り込んだ情報について行う。
このようにして、予め上記の換算データを取得しておくことで、例えば、露光の際などには、主制御装置20は、前述のZヘッド74i、76jでウエハテーブルWTB表面(Yスケール39Y2が形成された領域上の点(上記の左計測点P1の近傍の点)、及びYスケール39Y1が形成された領域上の点(上記の右計測点P2の近傍の点))を計測して、ウエハステージWSTのZ位置とθy回転(ローリング)量θyを算出する。そして、これらのZ位置とローリング量θyとY干渉計16で計測されるウエハステージWSTのθx回転(ピッチング)量θxとを用いて、所定の演算を行い、前述の露光領域IAの中心(露光中心)におけるウエハテーブルWTB表面のZ位置(Z0)、ローリング量θy及びピッチング量θxとを算出し、この算出結果に基づいて、上述の左計測点P1の面位置と右計測点P2の面位置とを結ぶ、露光中心を通る直線を求め、この直線と面位置データz1〜zkとを用いることで、ウエハW表面の面位置情報を実際に取得することなく、ウエハW上面の面位置制御(フォーカス・レベリング制御)が可能になる。従って、多点AF系を投影光学系PLから離れた位置に配置しても何ら支障がないので、ワーキングディスタンスが狭い露光装置などであっても、本実施形態のフォーカスマッピングは好適に適用できる。
なお、上記の説明では、左計測点P1の面位置と右計測点P2の面位置とをZヘッド72a,72bの計測値の平均値、Zヘッド72c,72dの平均値にそれぞれ基づいて算出するものとしたが、これに限らず、多点AF系(90a,90b)の各検出点における面位置情報を、例えばZヘッド72a、72cによって計測される面位置を結ぶ直線を基準とする面位置データに換算しても良い。この場合、各サンプリングタイミングで取得したZヘッド72aの計測値とZヘッド72bの計測値との差、及びZヘッド72cの計測値とZヘッド72dの計測値との差をそれぞれ求めておく。そして、露光時などに面位置制御を行う際に、Zヘッド74i及び76jでウエハテーブルWTB表面を計測してウエハステージWSTのZ位置とθy回転を算出し、これらの算出値と、Y干渉計16で計測されたウエハステージWSTのピッチング量θxと、前述の面位置データz1〜zk及び前記差とを用いて所定の演算を行うことで、ウエハ表面の面位置情報を実際に取得することなく、ウエハWの面位置制御を行うことが可能になる。
ただし、以上の説明は、ウエハテーブルWTB表面にX軸方向に関して凹凸が存在しないことを前提にしている。
次に、フォーカスキャリブレーションについて説明する。フォーカスキャリブレーションとは、ある基準状態におけるウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報と、多点AF系(90a,90b)の計測プレート30表面の代表的な検出点における検出結果(面位置情報)との関係を求める処理(フォーカスキャリブレーションの前半の処理)と、上記の基準状態と同様の状態において、空間像計測装置45を用いて検出した投影光学系PLのベストフォーカス位置に対応する、ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報を求める処理(フォーカスキャリブレーションの後半の処理)とを行い、これらの処理結果に基づいて、多点AF系(90a,90b)の代表的な検出点におけるオフセット、すなわち投影光学系PLのベストフォーカス位置と多点AF系の検出原点との偏差を求めるなどの処理を意味する。
フォーカスキャリブレーションに際して、主制御装置20は、図11(A)に示されるように、Xスケール39X2に対向するXヘッド662(Xリニアエンコーダ70D)と、Yスケール39Y1,39Y2にそれぞれ対向する2つのYヘッド682,673(Yリニアエンコーダ70F1,70E1)とに基づいて、ウエハステージWSTのXY平面内の位置を管理している。この図11(A)の状態は、前述の図10(A)の状態とほぼ同じ状態である。ただし、この図11(A)の状態では、ウエハステージWSTは、Y軸方向に関しては、前述した計測プレート30に多点AF系(90a,90b)からの検出ビームが照射される位置にある。
(a) この状態で、主制御装置20は、次のようなフォーカスキャリブレーションの前半の処理を行う。すなわち、主制御装置20は、前述したZヘッド72a,72b、72c,72dによって検出されるウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報を検出しつつ、その面位置情報を基準として、多点AF系(90a,90b)を用いて前述の計測プレート30(図4(A)参照)表面の面位置情報を検出する。これにより、基準軸LVにウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態におけるZヘッド72a,72b、72c,72dの計測値(ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)と、多点AF系(90a,90b)の計測プレート30表面の検出点(複数の検出点のうち中央又はその近傍に位置する検出点)における検出結果(面位置情報)との関係が求まる。
(b) 次に、主制御装置20は、ウエハステージWSTを+Y方向に所定距離移動させ、計測プレート30が投影光学系PLの直下に配置される位置でウエハステージWSTを停止させる。そして、主制御装置20は、次のようなフォーカスキャリブレーションの後半の処理を行う。すなわち、主制御装置20は、図11(B)に示されるように、上述のフォーカスキャリブレーションの前半の処理のときと同様に、Zヘッド72a,72b、72c,72dによって計測される面位置情報を基準として、計測プレート30(ウエハステージWST)の投影光学系PLの光軸方向に関する位置(Z位置)を制御しつつ、空間像計測装置45を用いて、レチクルR、又はレチクルステージRST上の不図示のマーク板に形成された計測マークの空間像を、例えば国際公開第2005/124834号パンフレットなどに開示される、Z方向スキャン計測で計測し、その計測結果に基づいて投影光学系PLのベストフォーカス位置を測定する。主制御装置20は、上記のZ方向スキャン計測中、空間像計測装置45からの出力信号の取り込みと同期して、ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報を計測する一対のZヘッド743、763の計測値を取り込む。そして、投影光学系PLのベストフォーカス位置に対応するZヘッド743、763の値を不図示のメモリに記憶する。なお、フォーカスキャリブレーションの後半の処理で、Zヘッド72a,72b、72c,72dによって計測される面位置情報を基準として、計測プレート30(ウエハステージWST)の投影光学系PLの光軸方向に関する位置(Z位置)を制御するのは、このフォーカスキャリブレーションの後半の処理は、前述したフォーカスマッピングの途中で行なわれるからである。
この場合、図11(B)に示されるように、液浸領域14が投影光学系PLと計測プレート30(ウエハステージWST)との間に形成されているので、上記の空間像の計測は、投影光学系PL及び水を介して行われる。また、図11(B)では図示が省略されているが、空間像計測装置45の計測プレート30などはウエハステージWSTに搭載され、受光素子などは計測ステージMSTに搭載されているので、上記の空間像の計測は、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとが、接触状態(又は近接状態)を保ったままで行われる(図20参照)。
(c) これにより、主制御装置20は、上記(a)のフォーカスキャリブレーション前半の処理で求めたZヘッド72a,72b、72c,72dの計測値(ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)と、多点AF系(90a,90b)による計測プレート30表面の検出結果(面位置情報)との関係と、上記(b)のフォーカスキャリブレーション後半の処理で求めた投影光学系PLのベストフォーカス位置に対応するZヘッド743、763の計測値(すなわち、ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)とに基づいて、多点AF系(90a,90b)の代表的な検出点におけるオフセット、すなわち投影光学系PLのベストフォーカス位置と多点AF系の検出原点との偏差を求めることが可能になる。本実施形態では、この代表的な検出点は、例えば複数の検出点の中央又はその近傍の検出点であるが、その数及び/又は位置などは任意で良い。この場合において、主制御装置20は、その代表的な検出点におけるオフセットが零になるように多点AF系の検出原点の調整を行う。この調整は、例えば、受光系90b内部の不図示の平行平面板の角度調整によって光学的に行っても良いし、あるいは電気的に検出オフセットを調整しても良い。又は、検出原点の調整を行わず、そのオフセットを記憶しておいても良い。ここでは、上記の光学的手法により、その検出原点の調整が行われるものとする。これにより、多点AF系(90a,90b)のフォーカスキャリブレーションが終了する。なお、光学的な検出原点の調整では、代表的な検出点以外の残りの検出点全てでそのオフセットを零にすることは難しいので、残りの検出点では光学的な調整後のオフセットを記憶しておくことが好ましい。
次に、多点AF系(90a,90b)の複数の検出点に個別に対応する複数の受光素子(センサ)間の検出値のオフセット補正(以下、AFセンサ間オフセット補正と呼ぶ)について説明する。
このAFセンサ間オフセット補正に際しては、主制御装置20は、図12(A)に示されるように、所定の基準平面を備えた前述のFDバー46に対して多点AF系(90a,90b)の照射系90aから検出ビームを照射させ、FDバー46表面(基準平面)からの反射光を受光した多点AF系(90a,90b)の受光系90bからの出力信号を取り込む。
この場合において、FDバー46表面が、XY平面に平行に設定されているのであれば、主制御装置20は、上述の如くして取り込んだ出力信号に基づいて、複数の検出点に個別に対応する、受光系90b内の複数のセンサの検出値(計測値)の関係を求め、その関係をメモリに記憶する、あるいは、全てのセンサの検出値が、例えば、前述のフォーカスキャリブレーションの際の代表的な検出点に対応するセンサの検出値と同一値となるように、各センサの検出オフセットを電気的に調整することで、AFセンサ間オフセット補正を行うことができる。
しかるに、本実施形態では、多点AF系(90a,90b)の受光系90bからの出力信号の取り込みの際に、主制御装置20は、図12(A)に示されるように、Zヘッド744,745,761,762を用いて計測ステージMST(FDバー46と一体)の表面の傾きを検出しているので、必ずしもFDバー46表面をXY平面に平行に設定する必要はない。すなわち、図12(B)に模式的に示されるように、各検出点における検出値が、それぞれ同図中の矢印で示されるような値になっており、検出値の上端を結ぶ線が同図中の点線で示されるような凹凸があるものとすれば、その検出値の上端を結ぶ線が同図中の実線で示されるようになるように、各検出値を調整すれば良い。
次に、本実施形態の露光装置100における、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとを用いた並行処理動作について、図13〜図23に基づいて説明する。なお、以下の動作中、主制御装置20によって、局所液浸装置8の液体供給装置5及び液体回収装置6の各バルブの開閉制御が前述したようにして行われ、投影光学系PLの先端レンズ191の射出面側には常時水が満たされている。しかし、以下では、説明を分かり易くするため、液体供給装置5及び液体回収装置6の制御に関する説明は省略する。また、以後の動作説明は、多数の図面を用いて行うが、図面毎に同一の部材に符号が付されていたり、付されていなかったりしている。すなわち、図面毎に、記載している符号が異なっているが、それら図面は符号の有無に関わらず、同一構成である。これまでに説明に用いた、各図面についても同様である。
図13には、ウエハステージWST上に載置されたウエハWに対するステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われている状態が示されている。この露光は、開始前に行われるウエハアライメント(EGA:Enhanced Global Alignment)等の結果に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へウエハステージWSTを移動するショット間移動と、各ショット領域に対してレチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で転写する走査露光と、を交互に繰り返すことにより行われる。また、露光は、ウエハW上の−Y側に位置するショット領域から+Y側に位置するショット領域の順で行われる。なお、投影ユニットPUとウエハWとの間に液浸領域14が形成された状態で行われる。
上述の露光中、主制御装置20により、ウエハステージWSTのXY平面内の位置(θz方向の回転を含む)は、2つのYエンコーダ70A,70Cと、2つのXエンコーダ70B,70Dの一方との合計3つのエンコーダの計測結果に基づいて制御されている。ここで、2つのXエンコーダ70B,70Dは、Xスケール39X1,39X2のそれぞれに対向する2つのXヘッド66によって構成され、2つのYエンコーダ70A,70Cは、Yスケール39Y1,39Y2のそれぞれに対向するYヘッド65、64により構成される。また、ウエハステージWSTのZ位置とθy方向の回転(ローリング)は、ウエハテーブルWTB表面のX軸方向一側と他側の端部にそれぞれ対向する、ヘッドユニット62C,62Aにそれぞれ属するZヘッド74i,76jの計測値に基づいて制御されている。ウエハステージWSTのθx回転(ピッチング)は、Y干渉計16の計測値に基づいて制御されている。なお、ウエハテーブルWTBの第2撥水板28bの表面にZヘッド74i、76jを含む3個以上のZヘッドが対向する場合には、Zヘッド74i、76j及びその他の1つのZヘッドの計測値に基づいて、ウエハステージWSTのZ軸方向の位置、θy回転(ローリング)及びθx回転(ピッチング)を制御することも可能である。いずれにしても、ウエハステージWSTのZ軸方向の位置、θy方向の回転、及びθx方向の回転の制御(すなわちウエハWのフォーカス・レベリング制御)は、事前に行われるフォーカスマッピングの結果に基づいて行われている。
図13に示される、ウエハステージWSTの位置では、Xスケール39X1にはXヘッド665(図13中に丸で囲んで示されている)が対向するが、Xスケール39X2に対向するXヘッド66はない。そのため、主制御装置20は、1つのXエンコーダ70Bと2つのYエンコーダ70A,70Cを用いて、ウエハステージWSTの位置(X,Y,θz)制御を実行している。ここで、図13に示される位置からウエハステージWSTが−Y方向に移動すると、Xヘッド665はXスケール39X1から外れ(対向しなくなり)、代わりにXヘッド664(図13中に破線の丸で囲んで示されている)がXスケール39X2に対向する。そこで、主制御装置20は、1つのXエンコーダ70Dと2つのYエンコーダ70A,70Cを用いるウエハステージWSTの位置(X,Y,θz)制御に切り換える。
また、図13に示される位置にウエハステージWSTがあるとき、Zヘッド743,763(図13中に丸で囲んで示されている)がそれぞれYスケール39Y2,39Y1に対向している。そのため、主制御装置20は、Zヘッド743,763を用いて、ウエハステージWSTの位置(Z,θy)制御を実行している。ここで、図13に示される位置からウエハステージWSTが+X方向に移動すると、Zヘッド743,763は対応するYスケールから外れ、代わりにZヘッド744,764(図13中に破線の丸で囲んで示されている)がそれぞれYスケール39Y2,39Y1に対向する。そこで、主制御装置20は、Zヘッド744,764を用いるウエハステージWSTの位置(Z,θy)制御に切り換える。
このように、主制御装置20は、ウエハステージWSTの位置座標に応じて、使用するエンコーダとZヘッドとを絶えず切り換えて、ウエハステージWSTの位置制御を実行している。
なお、上述の計測器系を用いたウエハステージWSTの位置計測と独立に、干渉計システム118を用いたウエハステージWSTの位置(X,Y,Z,θx,θy,θz)計測が、常時、行われている。ここで、干渉計システム118を構成するX干渉計126,127,又は128を用いてウエハステージWSTのX位置及びθz回転(ヨーイング)、又はX位置が、Y干渉計16を用いてY位置、θx回転、及びθz回転が、Z干渉計43A,43B(図13では不図示、図1又は図2を参照)を用いてY位置、Z位置、θy回転、及びθz回転が計測される。X干渉計126,127,及び128は、ウエハステージWSTのY位置に応じて、いずれか1つが使用される。露光中は、図13に示されるように、X干渉計126が使用される。干渉計システム118の計測結果は、ピッチング(θx回転)を除き、補助的に、又は、後述するバックアップの際、あるいはエンコーダシステム150による計測が出来ないときなどにウエハステージWSTの位置制御に利用される。
ウエハWの露光が終了すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTをアンローディングポジションUPに向けて駆動する。その際、露光中には互いに離れていたウエハステージWSTと計測ステージMSTとが、接触あるいは300μm程度の離間距離を挟んで近接して、スクラム状態に移行する。ここで、計測テーブルMTB上のFDバー46の−Y側面とウエハテーブルWTBの+Y側面とが接触あるいは近接する。このスクラム状態を保って、両ステージWST,MSTが−Y方向に移動することにより、投影ユニットPUの下に形成される液浸領域14は、計測ステージMST上に移動する。例えば図14、図15には、移動後の状態が示されている。
ウエハステージWSTが、アンローディングポジションUPに向けて駆動が開始された後、更に−Y方向へ移動して有効ストローク領域(ウエハステージWSTが露光及びウエハアライメント時に移動する領域)から外れると、エンコーダ70A〜70Dを構成する全てのXヘッド、Yヘッド及び全てのZヘッドが、ウエハテーブルWTB上の対応するスケールから外れる。そのため、エンコーダ70A〜70D及びZヘッドの計測結果に基づくウエハステージWSTの位置制御が不可能になる。その直前に、主制御装置20は、干渉計システム118の計測結果に基づくウエハステージWSTの位置制御に切り換える。ここで、3つのX干渉計126,127,128のうちX干渉計128が使用される。
その後、ウエハステージWSTは、計測ステージMSTとのスクラム状態を解除し、図14に示されるように、アンローディングポジションUPに移動する。移動後、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB上のウエハWをアンロードする。そして、主制御装置20は、ウエハステージWSTを+X方向に駆動してローディングポジションLPに移動させ、図15に示されるように、ウエハテーブルWTB上に次のウエハWをロードする。
これらの動作と平行して、主制御装置20は、計測ステージMSTに支持されたFDバー46のXY平面内での位置調整と、4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースライン計測と、を行うSec-BCHK(セカンダリ・ベースライン・チェック)を実行する。Sec-BCHKはウエハ交換毎にインターバル的に行う。ここで、XY平面内の位置(θz回転)を計測するために、前述のYエンコーダ70E2,70F2が使用される。
次に、主制御装置20は、図16に示されるように、ウエハステージWSTを駆動し、計測プレート30上の基準マークFMをプライマリアライメント系AL1の検出視野内に位置決めし、アライメント系AL1,AL21〜AL24のベースライン計測の基準位置を決定するPri-BCHK(プライマリ・ベースライン・チェック)の前半の処理を行う。
このとき、図16に示されるように、2つのYヘッド682,673と1つのXヘッド661(図中に丸で囲んで示されている)が、それぞれYスケール39Y1,39Y2とXスケール39X2に対向するようになる。そこで、主制御装置20は、干渉計システム118からエンコーダシステム150(エンコーダ70F1,70E1,70D)を用いたステージ制御へ切り換える。干渉計システム118は、θx回転の計測を除き、再び補助的に使用される。なお、3つのX干渉計126,127,128のうちX干渉計127が使用される。
次に、主制御装置20は、上述の3つのエンコーダの計測値に基づいて、ウエハステージWSTの位置を管理しつつ、3つのファーストアライメントショット領域に付設されたアライメントマークを検出する位置へ向けてのウエハステージWSTの+Y方向の移動を開始する。
そして、ウエハステージWSTが図17に示される位置に到達すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTを停止する。これに先立って、主制御装置20は、Zヘッド72a〜72dの全部又は一部がウエハテーブルWTBと対向した時点又はその前の時点で、それらZヘッド72a〜72dを作動させ(オンにし)、ウエハステージWSTのZ位置及び傾斜(θy回転)の計測を開始する。
ウエハステージWSTの停止後、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、3つのファーストアライメントショット領域ASに付設されたアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図17中の星マーク参照)、上記3つのアライメント系AL1,AL22,AL23の検出結果とその検出時の上記3つのエンコーダの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。
上述のように本実施形態では、ファーストアライメントショット領域のアライメントマークの検出を行う位置で、計測ステージMSTとウエハステージWSTとの接触状態(又は近接状態)への移行が完了している。そして、その位置から、主制御装置20によって、その接触状態(又は近接状態)での両ステージWST,MSTの+Y方向の移動(5つのセカンドアライメントショット領域に付設されたアライメントマークを検出する位置に向かってのステップ移動)が開始される。この両ステージWST,MSTの+Y方向の移動開始に先立って、主制御装置20は、図17に示されるように、多点AF系(90a,90b)の検出ビームのウエハテーブルWTBへの照射を開始する。これにより、ウエハテーブルWTB上に多点AF系の検出領域が形成される。
そして、上記の両ステージWST,MSTの+Y方向の移動中に、図18に示される位置に両ステージWST,MSTが到達すると、主制御装置20は、前述したフォーカスキャリブレーション前半の処理を行い、基準軸LVにウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態におけるZヘッド72a,72b、72c,72dの計測値(ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)と、多点AF系(90a,90b)による計測プレート30表面の検出結果(面位置情報)との関係を求める。このとき、液浸領域14は、FDバー46上面に形成されている。
そして、両ステージWST,MSTが接触状態(又は近接状態)を保ったまま+Y方向へ更に移動し、図19に示される位置に到達する。そこで、主制御装置20は、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのセカンドアライメントショット領域に付設されたアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図19中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時のウエハステージWSTのXY平面内の位置を計測している3つのエンコーダの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。このとき、主制御装置20は、Xスケール39X2に対向するXヘッド662(Xリニアエンコーダ70D)及びYリニアエンコーダ70F1,70E1の計測値に基づいて、ウエハステージWSTのXY平面内の位置を制御している。
また、主制御装置20は、上記の5つのセカンドアライメントショット領域に付設されたアライメントマークの同時検出の終了後、接触状態(又は近接状態)での両ステージWST,MSTの+Y方向の移動を再び開始すると同時に、図19に示されるように、Zヘッド72a〜72dと多点AF系(90a,90b)とを用いた前述のフォーカスマッピングを開始する。
そして、両ステージWST,MSTが、図20に示される、計測プレート30が投影光学系PLの直下に配置される位置に到達すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTの投影光学系PLの光軸方向に関する位置(Z位置)の制御に用いるZヘッドを、Zヘッド74i、76jに切り換えることなく、Zヘッド72a,72b、72c,72dによって計測される面位置情報を基準とする、ウエハステージWST(計測プレート30)のZ位置を制御を継続した状態で、前述したフォーカスキャリブレーション後半の処理を行う。
そして、主制御装置20は、上述のフォーカスキャリブレーション前半の処理及び後半所の処理の結果に基づいて、前述した手順で、多点AF系(90a,90b)の代表的な検出点におけるオフセットを求め、内部メモリに格納する。そして、主制御装置20は、露光時に、フォーカスマッピングの結果得られたマッピング情報を読み出す際に、そのマッピング情報にオフセット分を加算することとしている。
なお、この図20の状態では、前述のフォーカスマッピングは続行されている。
上記の接触状態(又は近接状態)での両ステージWST,MSTの+Y方向の移動により、ウエハステージWSTが、図21に示される位置に達すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTをその位置で停止させるとともに、計測ステージMSTについては、そのまま+Y方向の移動を続行させる。そして、主制御装置20は、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのサードアライメントショット領域に付設されたアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図21中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時の上記3つのエンコーダの計測値とを関連付けて内部メモリに格納する。また、この時点でも、フォーカスマッピングは続行されている。
一方、上記のウエハステージWSTの停止から所定時間後に、計測ステージMSTとウエハステージWSTとは、接触(又は近接状態)から離間状態に移行する。この離間状態への移行後、主制御装置20は、計測ステージMSTが、露光開始まで待機する露光開始待機位置に達すると、その位置で停止させる。
次に、主制御装置20は、3つのフォースアライメントショットに付設されたアライメントマークを検出する位置へ向けてのウエハステージWSTの+Y方向の移動を開始する。このとき、フォーカスマッピングは続行されている。一方、計測ステージMSTは、上記露光開始待機位置で待機している。
そして、ウエハステージWSTが図22に示される位置に到達すると、主制御装置20は、直ちにウエハステージWSTを停止させ、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、ウエハW上の3つのフォースアライメントショット領域に付設されたアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図22中の星マーク参照)、上記3つのアライメント系AL1,AL22,AL23の検出結果とその検出時の上記4つのエンコーダのうちの3つのエンコーダの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。この時点でも、フォーカスマッピングは続行され、計測ステージMSTは、上記露光開始待機位置で待機したままである。そして、主制御装置20は、このようにして得た合計16個のアライメントマークの検出結果と対応するエンコーダの計測値とを用いて、例えば米国特許第4,780,617号明細書などに開示される統計演算を行って、エンコーダシステム150のエンコーダ70B,70D,70E1,70F1の計測軸で規定される、アライメント座標系(プライマリアライメント系AL1の検出中心を原点とするXY座標系)上におけるウエハW上の全てのショット領域の配列情報(座標値)を算出する。
次に、主制御装置20は、ウエハステージWSTを再度+Y方向へ移動させながら、フォーカスマッピングを続行する。そして、多点AF系(90a,90b)からの検出ビームがウエハW表面から外れると、図23に示されるように、フォーカスマッピングを終了する。
その後、主制御装置20は、ウエハステージWSTを、ウエハW上のファーストショットの露光のための走査開始位置(露光開始位置)に移動させるが、その移動の途中で、ウエハステージWSTのZ位置、θy回転及びθx回転を維持したまま、ウエハステージWSTのZ位置、θy回転の制御に用いるZヘッドを、Zヘッド72a〜72dから、Zヘッド74i、76jに切り換える。その切り換え後、直ちに、主制御装置20は、前述のウエハアライメント(EGA)の結果及び最新の5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24のベースライン等に基づいて、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を、液浸露光にて行い、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルパターンを順次転写する。以降、同様の動作が繰り返し行われる。
次に、Zヘッドの計測結果を用いた、ウエハステージWSTのZ位置と傾斜量の算出方法について説明する。主制御装置20は、フォーカスキャリブレーションとフォーカスマッピング時には面位置計測システム180(図6参照)を構成する4つのZヘッド70a〜70dを用いて、ウエハステージWSTの高さZと傾斜(ローリング)θyを計測する。また、主制御装置20は、露光時には2つのZヘッド74i,76j(i,jは1〜5のいずれか)を用いて、ウエハステージWSTの高さZと傾斜(ローリング)θyを計測する。なお、各Zヘッドは対応するYスケール39Y1又は39Y2の上面(その上面に形成された反射型回折格子の面)にプローブビームを照射し、その反射光を受光することにより、各スケール(反射型回折格子)の面位置を計測する構成になっている。
図24(A)に、基準点Oにおいて高さZ0、X軸回りの回転角(傾斜角)θx、Y軸回りの回転角(傾斜角)θyの2次元平面を示す。この平面内の位置(X,Y)における高さZは、次式(8)の関数で与えられる。
f(X,Y)=−tanθy・X+tanθx・Y+Z0……(8)
図24(B)に示されるように、露光時には、2つのZヘッド74i,76j(i,jは1〜5のいずれか)を用いて、ウエハステージWSTの移動基準面と投影光学系PLの光軸AXとの交点(基準点)Oにおける、ウエハテーブルWTBの移動基準面(XY平面に実質的に平行な面)からの高さZとローリングθyを計測する。ここでは、一例としてZヘッド743,763を使用する。図24(A)の例と同様に、基準点OにおけるウエハテーブルWTBの高さをZ0、X軸周りの傾斜(ピッチング)をθx、Y軸周りの傾斜(ローリング)をθyとする。このとき、XY平面内で座標(pL,qL)に位置するZヘッド743と座標(pR,qR)に位置するZヘッド763のそれぞれが提示するYスケール39Y1,39Y2(に形成された反射型回折格子)の面位置の計測値ZL,ZRは、式(8)と同様の理論式(9)、(10)に従う。
ZL=−tanθy・pL+tanθx・qL+Z0 ……(9)
ZR=−tanθy・pR+tanθx・qR+Z0 ……(10)
従って、理論式(9)、(10)より、基準点OでのウエハテーブルWTBの高さZ0とローリングθyは、Zヘッド743,763の計測値ZL,ZRを用いて、次式(11)、(12)のように表される。
Z0={ZL+ZR−tanθx・(qL+qR)}/2 …(11)
tanθy={ZL−ZR−tanθx・(qL−qR)}/(pR−pL)…(12)
なお、Zヘッドの他の組み合わせを使用する場合も、理論式(11)、(12)を用いることにより、基準点OにおけるウエハテーブルWTBの高さZ0とローリングθyを算出することができる。ただし、ピッチングθxは、別のセンサシステム(本実施形態では干渉計システム118)の計測結果を用いる。
図24(B)に示されるように、フォーカスキャリブレーションとフォーカスマッピング時には、4つのZヘッド72a〜72dを用いて、多点AF系(90a、90b)の複数の検出点の中心点O’における、ウエハテーブルWTBの高さZとローリングθyを計測する。ここで、Zヘッド72a〜72dは、それぞれ位置(X,Y)=(pa,qa),(pb,qb),(pc,qc),(pd,qd)に設置されている。これらの位置は、図24(B)に示されるように、中心点O’=(Ox’,Oy’)に関して対称に、すなわちpa=pb,pc=pd,qa=qc,qb=qdかつ(pa+pc)/2=(pb+pd)/2=Ox’,(qa+qb)/2=(qc+qd)/2=Oy’と、設定されている。
Zヘッド72a,72bの計測値Za,Zbの平均(Za+Zb)/2より、位置(pa=pb,Oy’)の点eでのウエハテーブルWTBの高さZeが、Zヘッド70c,70dの計測値Zc,Zdの平均(Zc+Zd)/2より、位置(pc=pd,Oy’)の点fでのウエハテーブルWTBの高さZfが、求められる。ここで、中心点O’におけるウエハテーブルWTBの高さをZ0、Y軸周りの傾斜(ローリング)をθyとすると、ZeとZfはそれぞれ理論式(13)、(14)に従う。
Ze{=(Za+Zb)/2}=−tanθy・(pa+pb−2Ox’)/2+Z0 ……(13)
Zf{=(Zc+Zd)/2}=−tanθy・(pc+pd−2Ox’)/2+Z0 ……(14)
従って、理論式(13)、(14)より、中心点O’でのウエハテーブルWTBの高さZ0とローリングθyは、Zヘッド70a〜70dの計測値Za〜Zdを用いて、次式(15)、(16)で表される。
Z0=(Ze+Zf)/2=(Za+Zb+Zc+Zd)/4 …(15)
tanθy=−2(Ze−Zf)/(pa+pb−pc−pd)
=−(Za+Zb−Zc−Zd)/(pa+pb−pc−pd)…(16)
ただし、ピッチングθxは、別のセンサシステム(本実施形態では干渉計システム118)の計測結果を用いる。
図16に示されるように、干渉計システム118によるウエハステージWSTのサーボ制御からエンコーダシステム150(エンコーダ70A〜70F)及び面位置計測システム180(Zヘッドシステム72a〜72d,741〜745,761〜765)によるサーボ制御へ切り換えた直後では、Zヘッド72b,72dの2つのみが対応するYスケール39Y1,39Y2に対向しているため、式(15)、式(16)を用いて、中心点O’におけるウエハステージWSTのZ,θy位置を算出することができない。この場合、次式(17)、(18)を適用する。
Z0={Zb+Zd−tanθx・(qb+qd−2Oy’)}/2 …(17)
tanθy={Zb−Zd−tanθx・(qb−qd)}/(pd−pb)…(18)
そして、ウエハステージWSTが+Y方向に移動し、それに伴いZヘッド72a,72cが対応するYスケール39Y1,39Y2に対向した後、上式(15)、(16)を適用する。
前述のように、ウエハWに対する走査露光は、ウエハWの表面の凹凸に応じて、ウエハステージWSTをZ軸方向及び傾斜方向に微小駆動して、ウエハWの表面の露光領域IA部分が投影光学系PLの像面の焦点深度の範囲内に一致するように、ウエハWの面位置及び傾斜(フォーカス・レベリング)を調整した上で、行われる。そこで、走査露光に先立って、ウエハWの表面の凹凸(フォーカスマップ)を計測するフォーカスマッピングを実行する。ここで、ウエハWの表面の凹凸は、図10(B)に示されるように、ウエハステージWSTを+Y方向に移動させながら、所定のサンプリング間隔(すなわちY間隔)で、Zヘッド72a〜72dを用いて計測されるウエハテーブルWTB(より正確には対応するYスケール39Y1,39Y2)の面位置を基準にして、多点AF系(90a,90b)を用いて計測される。
詳述すると、図24(B)に示されるように、Zヘッド72a,72bを用いて計測されるYスケール39Y2の面位置Za,Zbの平均より、点eにおけるウエハテーブルWTBの面位置Zeが、Zヘッド72c,72dを用いて計測されるYスケール39Y1の面位置Zc,Zdの平均より、点fにおけるウエハテーブルWTBの面位置Zfが、求まる。ここで、点eと点fを結ぶX軸に平行な直線ef上に、多点AF系の複数の検出点及びそれらの中心O’が位置する。そこで、図10(C)に示されるように、ウエハテーブルWTBの点e(図10(C)中のP1)における面位置Zeと点f(図10(C)中のP2)における面位置Zfを結ぶ、次式(19)で表される直線を基準にして、検出点XkにおけるウエハWの表面の面位置Z0kを、多点AF系(90a,90b)を用いて計測する。
Z(X)=−tanθy・X+Z0 ……(19)
ただし、Z0とtanθyは、Zヘッド72a〜72dの計測結果Za〜Zdを用いて、上式(15)、(16)より求められる。得られた面位置の結果Z0kより、ウエハWの表面の凹凸データ(フォーカスマップ)Zkが、次式(20)のように求められる。
Zk=Z0k−Z(Xk) ……(20)
露光時には、ショット領域毎に、上述のように求められたフォーカスマップZkに従ってウエハステージWSTをZ軸方向及び傾斜方向に微小駆動することによって、前述と同様に、ウエハWの面位置及び傾斜が調整される。ここで、露光時には、Zヘッド74i,76j(i,j=1〜5)を用いてウエハテーブルWTB(より正確には対応するYスケール39Y2,39Y1)の面位置が計測される。そこで、フォーカスマップZkの基準線Z(X)を再設定する。ただし、Z0とtanθyは、Zヘッド74i,76j(i,j=1〜5)の計測結果ZL,ZRを用いて、式(11)、(12)より求められる。以上の手順により、ウエハWの表面の面位置はZk+Z(Xk)と換算される。
Zヘッドの計測面(プローブビームの反射面)であるYスケール39Y1,39Y2上に形成された反射型回折格子の表面は、必ずしも理想的な平面ではなく、微小な凹凸をもつ。また、回折格子が形成されたガラス板(及び回折格子を保護するためのカバーガラス板)は、主として製造時の加工精度などによって凹凸が存在する。そのような回折格子及びガラス板の凹凸は、Zヘッドの計測誤差の発生要因となる。ここで、回折格子の凹凸とガラス板の凹凸による計測誤差は、Zヘッドの計測原理より、区別できない。そこで、特に断らない限り、これらの誤差要因を、単にスケール表面の凹凸と呼ぶ。
本実施形態では、予め、Yスケール39Y1,39Y2表面の凹凸を計測し、Zヘッドの計測誤差の補正データを作成し、この補正データが、主制御装置20に併設されたメモリ34に格納されている。
次に、主制御装置20によって実行される、Yスケール39Y1,39Y2表面の凹凸の計測方法について説明する。
ここでは、図25(A)及び図25(B)に示されるように、干渉計システム118を用いてウエハステーブルWTBの6自由度(X,Y,Z,θx,θy,θz)方向の位置を監視しながらウエハステージWSTを移動させ、Zヘッドを用いてYスケール39Y1,39Y2の凹凸を計測する。ここで、Zヘッドは72a〜72dを使用することとする。
Yスケール39Y1,39Y2の凹凸を計測している間、ウエハステージWSTは基準状態を維持することとする。すなわち、ウエハステージWSTを、4自由度(Z,θx,θy,θz)方向についての基準位置に位置決めする。そして、Z干渉計43A,43Bを用いてZ,θy位置を監視し、Y干渉計16を用いてθx,θz位置を監視して、これら4自由度方向にウエハステージWSTが変位しないように制御する。そして、X干渉計127を用いてX位置を監視し、Y干渉計16を用いてY位置を監視して、ウエハステージWSTを2自由度(X,Y)方向に駆動制御する。
Yスケール39Y1,39Y2の凹凸は、Y軸方向に間隔δY、X軸方向に間隔δXの複数の計測点において、それらの面位置(表面のZ位置)を、Zヘッドを用いて計測することによって求められる。ここで、例えば、Y間隔δY=1mm、X間隔δX=35mmと設定する。本実施形態では、Yスケール39Y1,39Y2(の反射型回折格子)のX軸方向の幅は約76mmと設定されているので、図25(B)に示されるように、X軸方向にそれぞれ3つの計測点(X1,X2,X3、ただし|X1−X2|=|X2−X3|=δX、及びX1’,X2’,X3’、ただし|X1’−X2’|=|X2’−X3’|=δX)を取ることができる。
図25(B)に示されるように、Zヘッド72c,72dの計測位置が、Yスケール39Y1のX軸方向の第1の計測点X1に一致するように、またZヘッド72a,72bの計測位置が、Yスケール39Y2のX軸方向の第1の計測点X1’に一致するように、ウエハステージWSTを位置決めする。そして、Yスケール39Y1,39Y2の凹凸を計測している間、X干渉計127を用いてウエハステージWSTのX位置を監視して、ウエハステージWSTがX軸方向に変位しないように制御する。そして、Y干渉計16を用いてウエハステージWSTのY位置を監視しながら、ウエハステージWSTをY軸方向に所定のピッチδYでステップ駆動する。ステップ毎に、Zヘッド72a,72bを用いてYスケール39Y2の面位置を、Zヘッド72c,72dを用いてYスケール39Y1の面位置を、計測する。
この場合において、Zヘッドを1つ用いる面位置の計測と、Zヘッドを2つ用いる傾きの計測と、の2つの手法を採用することができる。
図26(A)〜図26(D)には、第1の手法、すなわちZヘッドを1つ用いる面位置計測の手順が示されている。ここでは、一例として、Zヘッド72cを用いて、Yスケール39Y1の凹凸を計測するものとする。
図26(A)では、Zヘッド72cの計測位置が計測点(X1,Yj+1)に一致するように、ウエハステージWSTが位置決めされている。ここで、Zヘッド72cを用いて、計測点(X1,Yj+1)におけるYスケール39Y1の面位置Z1j+1を計測する。
次に、Y干渉計16を用いてウエハステージWSTのY位置を監視して、ウエハステージWSTをY軸方向に距離δY、ステップ駆動する。そして、図26(B)に示されるように、Zヘッド72cの計測位置が計測点(X1,Yj)に一致するように、ウエハステージWSTを位置決めする。ただし、Yj=Yj+1−δYである。ここで、先と同様に、Zヘッド72cを用いて、計測点(X1,Yj)におけるYスケール39Y1の面位置Z1jを計測する。
図26(A)〜図26(C)に示されるように、逐次、ウエハステージWSTをY軸方向に距離δY、ステップ駆動し、Zヘッド72cを用いて、一連の計測点(X1,Yj)におけるYスケール39Y1の面位置Z1jを計測する。
Y軸方向についてのYスケール39Y1の面位置の計測が終了すると、各計測点(X1,Yj)における面位置の計測結果Z1jより、図26(D)に示されるような凹凸データが得られる。なお、各計測点Yjの間の凹凸データは、離散データZ1jに線形補間、あるいは高次の補間公式を適用して求めれば良い。
X軸方向の第1の計測点X1に対する計測が終了したら、ウエハステージWSTをX軸方向に駆動し、第2のX計測点X2に位置決めする。そして、先と同様に、逐次、ウエハステージWSTをY軸方向に距離δY、ステップ駆動し、Zヘッド72cを用いて、一連の計測点(X2,Yj)のYスケール39Y1の面位置Z2jを計測する。
同様の面位置計測を、すべてのX計測点Xiについて行うことにより、Yスケール39Y1の2次元(X,Y)の凹凸データZijが得られる。なお、各計測点(Xi,Yj)の間の凹凸データは、離散データZijに線形補間、あるいは高次の補間公式を適用して求めれば良い。それにより、Yスケール39Y1の2次元(X,Y)の凹凸を表す連続関数δZ1(X,Y)が得られる。
なお、上述の計測方法ではZヘッド72cのみを用いたが、同様にZヘッド72dを用いた計測を行い、2つの計測結果を平均することとしても良い。勿論、Zヘッド72c,72dを用いた同時計測を行い、2つの計測結果を平均することとしても良い。それにより、干渉計システム118の空気揺らぎ誤差、移動鏡の表面の凹凸に起因する誤差等、干渉計の計測誤差に由来するスケールの面位置の計測誤差を軽減することができる。
また、上述の計測方法では、原理上、Yスケール39Y1の凹凸をウエハステージWSTのZ,θx,θy方向の変位から分離して求めることができない。ここで、干渉計システム118の計測結果から求められるウエハステージWSTの(Z,θx,θy)位置を前述の式(10)に代入して、Zセンサ72cを用いて計測されるYスケール39Y1の面位置を予測する。この予測値は、Yスケール39Y1およびウエハテーブルWTBの上面を理想的な平面とみなす仮定の下で算出される。そこで、すべての計測点(Xi,Yj)について、Zセンサ72cを用いてYスケール39Y1の面位置を計測し、その実測値と予測値との差から、Yスケール39Y1の2次元(X,Y)の凹凸データZijを求めると良い。それにより、ウエハステージWSTのZ,θx,θy方向の変位が分離された、正味のYスケール39Y1の凹凸データが得られる。
なお、この手法では、ウエハステージWSTを連続的に移動させながら、Yスケール39Y1の凹凸を計測することができるので、2次元(X,Y)の凹凸データδZ1(X,Y)が容易に求められる。また、同時に、Zセンサ72dを用いた計測を行い、2つの計測結果を平均することとしても良い。なお、ウエハステージWSTを連続移動させる場合、干渉計が空気揺らぎの影響を受けない程度の低速で移動させても良い。
Yスケール39Y2に対しても、Zヘッド72a,72bのいずれか、あるいは両方を用いて、同様の計測を行い、2次元の凹凸関数δZ2(X,Y)を求める。勿論、Zヘッド72c,72dを用いたYスケール39Y1の凹凸計測と、Zヘッド72a,72bを用いたYスケール39Y2の凹凸計測と、を同時に実行しても良い。
図27(A)〜図27(C)には、第2の手法、すなわちZヘッドを2つ用いる傾き計測手法の手順が示されている。ここでは、一例として、Zヘッド72c,72dを用いて、Yスケール39Y1の凹凸を計測するものとする。なお、Y軸方向の計測点の間隔δYは、Zヘッド72c,72dのY間隔と等しいとする。また、基準計測点を(Xi,YN)に選ぶ。
図27(A)では、Zヘッド72cの計測位置は計測点(Xi,Yj+2)に、Zヘッド72dの計測位置は計測点(Xi,Yj+1)に一致するように、ウエハステージWSTが位置決めされている。ただし、Yj+1=Yj+2−δYである。ここで、Zヘッド72cを用いて、計測点(Xi,Yj+2)のYスケール39Y1の面位置Zij+2を計測する。同時に、Zヘッド72dを用いて、計測点(Xi,Yj+1)のYスケール39Y1の面位置Zij+1を計測する。そして、2つの計測結果の差δZij+1=Zij+1−Zij+2を求める。
次に、Y干渉計16を用いてウエハステージWSTのY位置を監視して、ウエハステージWSTをY軸方向に距離δY、ステップ駆動する。そして、図27(B)に示されるように、Zヘッド72cの計測位置が計測点(Xi,Yj+1)に、Zヘッド72dの計測位置が計測点(Xi,Yj)に一致するように、ウエハステージWSTを位置決めする。ただし、Yj=Yj+1−δYである。ここで、先と同様に、Zヘッド72cを用いて、計測点(Xi,Yj+1)のYスケール39Y1の面位置Zij+1を計測する。同時に、Zヘッド72dを用いて、計測点(Xi,Yj)のYスケール39Y1の面位置Zijを計測する。そして、2つの計測結果の差δZij=Zij−Zij+1を求める。
図27(A)〜図27(C)に示されるように、逐次、ウエハステージWSTをY軸方向に距離δY、ステップ駆動し、Zヘッド72c,72dを用いて、Y軸方向についての一連の計測点(Xi,Yj)内の互いに隣り合う2つの計測点におけるYスケール39Y1の面位置の差分δZij(=Zij−Zij+1)を計測する。
Y軸方向についてのYスケール39Y1の面位置の計測が終了すると、各計測点(Xi,Yj)間の面位置の差分の計測結果δZijを用いて、次式(21)より、図27(D)に示されるような凹凸データが得られる。
δZ1ij=δZ1(Xi,Yj)=Σj≦k≦NδZik ……(21)
なお、各計測点Yjの間の凹凸データは、離散データδZ1(Xi,Yj)に線形補間、あるいは高次の補間公式を適用して求めれば良い。
なお、ステップ間隔δYを十分小さくすると、式(21)は、次のように書き換えられる。
δZ1(Xi,Y)=∫dY(dZ/dY) ……(22)
ここで、dZ/dYはYスケール39Y1表面のY軸方向の傾きである。すなわち、面位置の差分δZijは、ステップ間隔δYに対するYスケール39Y1表面の傾きに相当する。
同様の傾き計測を、すべてのX計測点Xiに対して実行する。その計測結果δZijを用いて、式(21)より、Yスケール39Y1の2次元(X,Y)の凹凸データδZ1(Xi,Yj)が求められる。なお、各計測点(Xi,Yj)の間の凹凸データは、離散データδZ1(Xi,Yj)に線形補間、あるいは高次の補間公式を適用して求めれば良い。それにより、Yスケール39Y1の2次元(X,Y)の凹凸を表す連続関数δZ1(X,Y)が得られる。
上述のZヘッドを2つ用いる傾き計測では、2つのZヘッドで距離δY隔てた計測点の面位置を同時に計測する。ここで、ウエハステージWSTのZ位置を監視するZ干渉計43A,43Bの計測誤差(空気揺らぎ誤差、固定鏡の表面の凹凸に起因する誤差等)によってウエハステージWSTがZ変位したとしても、そのZ変位は2つのZヘッドの計測結果に同等に反映されるので、差を取ることによって相殺する。従って、前述のZヘッドを1つ用いる面位置の計測と比べ、凹凸データの計測精度は格段に向上する。
Yスケール39Y2に対しても、Zヘッド72a,72bを用いて、同様の計測を行い、2次元の凹凸関数δZ2(X,Y)を求める。勿論、Zヘッド72c,72dを用いたYスケール39Y1の凹凸計測と、Zヘッド72a,72bを用いたYスケール39Y2の凹凸計測と、を同時に実行しても良い。
以上の処理により、Yスケール39Y1,39Y2の2次元(X,Y)の凹凸を表す連続関数δZ1(X,Y),δZ2(X,Y)が得られる。これらの連続関数δZ1(X,Y),δZ2(X,Y)(又はこれに対応するマップデータ)が、メモリに34に格納されている。
主制御装置20は、フォーカスマッピング中、又は露光中などに、次のようにしてZヘッドのスケールの凹凸に起因する計測誤差を補正する。
例えば、Yスケール39Y1の点(X,Y)における面位置の実測値Z0が得られたとすると、次式(23)に基づいて、補正値ΔZを算出する。
ΔZ=Z0−δZ1(X,Y) ……(23)
主制御装置20は、ウエハステージWSTの動作範囲内での移動中に、上記のような補正値の計算を、各ZヘッドでYスケール39Y1,39Y2のZ位置情報を検出する度、あるいは所定のサンプリング回数おきに繰り返し実行しつつ、ウエハステージWSTのZ、θy方向の面位置制御を実行する。
なお、主制御装置20は、一連の露光処理シーケンスの開始直前に、上述したYスケール39Y1,39Y2の凹凸計測を実行しても良い。
なお、これまでは、説明を簡略化するために、主制御装置20が、ステージ系(レチクルステージRST及びウエハステージWST等)の制御、干渉計システム118、エンコーダシステム150などを含め、露光装置の構成各部の制御を行うものとしたが、これに限らず、上記の主制御装置20が行う制御の少なくとも一部を、複数の制御装置で分担して行っても良いことは勿論である。例えば、ステージ系の制御、エンコーダシステム150、面位置計測システム180のヘッドの切り換えなどを行なうステージ制御装置を、主制御装置20の配下に設けても良い。また、上記主制御装置20が行う制御は必ずしもハードウェアによって実現する必要はなく、主制御装置20、又は前述のように分担して制御を行ういくつかの制御装置それぞれの動作を規定するコンピュータ・プログラムによりソフトウェア的に実現しても良い。
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る露光装置100によると、主制御装置20は、面位置計測システム180の2つ又は4つのZヘッドを用いてウエハテーブルWTBの表面のうちYスケール39Y1,39Y2部分のXY平面に直交する方向(Z軸方向)に関する位置情報を検出し、その検出値に含まれるYスケール39Y1,39Y2部分の凹凸に起因する計測誤差をYスケール39Y1,39Y2部分の凹凸情報(既知の情報)に基づいて補正した補正後の検出値に基づいて、ウエハテーブルWTBをZ軸方向とXY平面に対する傾斜方向(θy方向)との少なくとも一方について駆動することが可能となる。従って、ウエハテーブルWTBの表面(Yスケール39Y1,39Y2部分の表面の凹凸)に影響を受けることなく、面位置計測システム180を用いてウエハテーブルWTBを精度良くウエハテーブルWTBをZ軸方向とXY平面に対する傾斜方向(θy方向)との少なくとも一方に駆動することが可能となる。
また、本実施形態に係る露光装置100によると、上述のようにして精度良く駆動されるウエハテーブルWTB上に載置されたウエハW上の各ショット領域にレチクルRのパターンを転写形成することで、ウエハW上に各ショット領域に精度良くパターンを形成することが可能になる。
また、本実施形態に係る露光装置100によると、事前に行なわれた前述のフォーカスマッピングの結果に基づいて、露光中にウエハW表面の面位置情報を計測することなく、Zヘッドを用いて走査露光中にウエハのフォーカス・レベリング制御を高精度に行うことで、ウエハW上に精度良くパターンを形成することが可能になる。さらに、本実施形態では、液浸露光により高解像度の露光を実現できるので、この点においても微細パターンを精度良くウエハW上に転写することが可能になる。
なお、上記実施形態では、各ZヘッドのフォーカスセンサFSは、前述のフォーカスサーボを行なうに際し、Yスケール39Y1,39Y2上に形成された回折格子面を保護するカバーガラス表面に焦点を合わせても良いが、カバーガラス表面より遠くの面、例えば回折格子面などに焦点を合わせることが望ましい。このようにすると、カバーガラス表面にパーティクル等の異物(ゴミ)が存在している場合などに、そのカバーガラス表面がカバーガラスの厚み分デフォーカスした面となるので、その異物の影響をZヘッドが受け難くなるからである。
なお、上記実施形態では、ウエハテーブルWTBの動作範囲(移動範囲のうち、装置の実際のシーケンス上移動する範囲)のウエハテーブルWTBの外部(上方)に複数のZヘッドを配置し、各ZヘッドでウエハテーブルWTB(Yスケール39Y1,39Y2)表面のZ位置を検出する構成の面位置計測システムを採用するものとしたが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、移動体(例えば上記実施形態の場合のウエハステージWST)上面にZヘッドを複数配置し、これに対向して移動体の外部にZヘッドからのプローブビームを反射する反射面が設けられた検出装置を、面位置検出システム180に代えて採用しても良い。この場合も、その反射面の凹凸情報と、Zヘッドの計測情報とに基づいて、移動体をZ軸方向及びθx方向及びθy方向などに駆動することが望ましい。また、上記実施形態のYスケール39Y1,39Y2の代わりに、その反射面を用いて、上記実施形態と同様の手順で、Zヘッドからのプローブビームを反射する反射面の凹凸計測を行うことが可能である。
また、上記実施形態では、ウエハテーブル(ウエハステージ)上に格子部(Xスケール、Yスケール)を設け、これに対向してXヘッド、Yヘッドをウエハステージの外部に配置する構成のエンコーダシステムを採用した場合について例示したが、これに限らず、移動体にエンコーダヘッドを設け、これに対向して移動体の外部に2次元格子(又は2次元配置された1次元の格子部)を配置する構成のエンコーダシステムを採用しても良い。この場合、移動体上面にZヘッドをも配置する場合には、その2次元格子(又は2次元配置された1次元の格子部)を、Zヘッドからのプローブビームを反射する反射面として兼用しても良い。
また、上記実施形態では、各Zヘッドが、図7に示されるように、駆動部(不図示)によってZ軸方向に駆動される、フォーカスセンサFSを収納したセンサ本体ZH(第1センサ)と、第1センサ(センサ本体ZH)のZ軸方向の変位を計測する計測部ZE(第2センサ)等を備える場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、Zヘッド(センサヘッド)は、必ずしも第1センサそのものが、Z軸方向に可動である必要はなく、第1センサ(例えば前述のフォーカスセンサなど)を構成する部材の一部が移動可能で、第1センサとその計測対象物表面との光学的な位置関係(例えば第1センサ内の受光素子の受光面(検出面)との共役関係)が保たれるように、移動体のZ軸方向の移動に応じて、その部材の一部が移動するようになっていれば良い。その場合、第2センサは、その移動部材の基準位置からの移動方向の変位を計測する。勿論、移動体上にセンサヘッドが設けられる場合には、二次元平面に垂直な方向での移動体の二次元平面に垂直な方向での位置変化に応じて、第1センサの計測対象物、例えば上述の2次元格子(又は2次元配置された1次元の格子部)などと第1センサとの光学的な位置関係を維持するように移動部材が移動すれば良い。この他、内部に移動部を持たない、Zヘッドを用いても良い。
また、上記実施形態では、エンコーダヘッドとZヘッドとが、別々に設けられる場合について説明したが、これに限らず、例えばエンコーダヘッドとZヘッドとの機能を併せ持つヘッドを採用しても良いし、あるいは光学系の一部を共通とするエンコーダヘッドとZヘッドとを採用しても良いし、あるいはエンコーダヘッドとZヘッドとを同一筐体内に設けることで一体化した複合ヘッドを採用しても良い。
なお、上記実施形態ではノズルユニット32の下面と投影光学系PLの先端光学素子の下端面とがほぼ同一面であるものとしたが、これに限らず、例えばノズルユニット32の下面を、先端光学素子の射出面よりも投影光学系PLの像面(すなわちウエハ)の近くに配置しても良い。すなわち、局所液浸装置8は上述の構造に限られず、例えば、欧州特許出願公開第1420298号明細書、国際公開第2004/055803号パンフレット、国際公開第2004/057590号パンフレット、国際公開第2005/029559号パンフレット(対応米国特許出願公開第2006/0231206号明細書)、国際公開第2004/086468号パンフレット(対応米国特許出願公開第2005/0280791号明細書)、米国特許第6,952,253号明細書などに記載されているものを用いることができる。また、例えば国際公開第2004/019128号パンフレット(対応米国特許出願公開第2005/0248856号明細書)に開示されているように、先端光学素子の像面側の光路に加えて、先端光学素子の物体面側の光路も液体で満たすようにしても良い。さらに、先端光学素子の表面の一部(少なくとも液体との接触面を含む)又は全部に、親液性及び/又は溶解防止機能を有する薄膜を形成しても良い。なお、石英は液体との親和性が高く、かつ溶解防止膜も不要であるが、蛍石は少なくとも溶解防止膜を形成することが好ましい。
なお、上記実施形態では、液体として純水(水)を用いるものとしたが、本発明がこれに限定されないことは勿論である。液体としては、化学的に安定で、照明光ILの透過率が高く安全な液体、例えばフッ素系不活性液体を使用しても良い。このフッ素系不活性液体としては、例えばフロリナート(米国スリーエム社の商品名)が使用できる。このフッ素系不活性液体は冷却効果の点でも優れている。また、液体として、照明光ILに対する屈折率が、純水(屈折率は1.44程度)よりも高い、例えば1.5以上の液体を用いても良い。この液体としては、例えば、屈折率が約1.50のイソプロパノール、屈折率が約1.61のグリセロール(グリセリン)といったC−H結合あるいはO−H結合を持つ所定液体、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の所定液体(有機溶剤)、あるいは屈折率が約1.60のデカリン(Decalin: Decahydronaphthalene)などが挙げられる。あるいは、これら液体のうち任意の2種類以上の液体が混合されたものであっても良いし、純水にこれら液体の少なくとも1つが添加(混合)されたものであっても良い。あるいは、液体としては、純水に、H+、Cs+、K+、Cl−、SO4 2−、PO4 2−等の塩基又は酸を添加(混合)したものであっても良い。更には、純水にAl酸化物等の微粒子を添加(混合)したものであっても良い。これら液体は、ArFエキシマレーザ光を透過可能である。また、液体としては、光の吸収係数が小さく、温度依存性が少なく、投影光学系(先端の光学部材)、及び/又はウエハの表面に塗布されている感光材(又は保護膜(トップコート膜)あるいは反射防止膜など)に対して安定なものであることが好ましい。また、F2レーザを光源とする場合は、フォンブリンオイルを選択すれば良い。さらに、液体としては、純水よりも照明光ILに対する屈折率が高い液体、例えば屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用しても良い。液体として、超臨界流体を用いることも可能である。また、投影光学系PLの先端光学素子を、例えば石英(シリカ)、あるいは、フッ化カルシウム(蛍石)、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化リチウム、及びフッ化ナトリウム等のフッ化化合物の単結晶材料で形成しても良いし、石英や蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で形成しても良い。屈折率が1.6以上の材料としては、例えば、国際公開第2005/059617号パンフレットに開示される、サファイア、二酸化ゲルマニウム等、あるいは、国際公開第2005/059618号パンフレットに開示される、塩化カリウム(屈折率は約1.75)等を用いることができる。
また、上記実施形態で、回収された液体を再利用するようにしても良く、この場合は回収された液体から不純物を除去するフィルタを液体回収装置、又は回収管等に設けておくことが望ましい。
なお、上記実施形態では、露光装置が液浸型の露光装置である場合について説明したが、これに限られるものではなく、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置にも採用することができる。
また、上記実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に本発明を適用しても良い。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置、プロキシミティー方式の露光装置、又はミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明は適用することができる。さらに、例えば米国特許第6,590,634号明細書、米国特許第5,969,441号明細書、米国特許第6,208,407号明細書などに開示されているように、複数のウエハステージWSTを備えたマルチステージ型の露光装置にも本発明を適用できる。
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。さらに、投影光学系PLを介して照明光ILが照射される露光領域IAは、投影光学系PLの視野内で光軸AXを含むオンアクシス領域であるが、例えば国際公開第2004/107011号パンフレットに開示されるように、複数の反射面を有しかつ中間像を少なくとも1回形成する光学系(反射系又は反屈系)がその一部に設けられ、かつ単一の光軸を有する、いわゆるインライン型の反射屈折系と同様に、その露光領域は光軸AXを含まないオフアクシス領域でも良い。また、前述の照明領域及び露光領域はその形状が矩形であるものとしたが、これに限らず、例えば円弧、台形、あるいは平行四辺形などでも良い。
なお、上記実施形態の露光装置の光源は、ArFエキシマレーザに限らず、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)、F2レーザ(出力波長157nm)、Ar2レーザ(出力波長126nm)、Kr2レーザ(出力波長146nm)などのパルスレーザ光源、あるいはg線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどを用いることも可能である。また、YAGレーザの高調波発生装置などを用いることもできる。この他、例えば国際公開第99/46835号パンフレット(対応米国特許第7,023,610号明細書)に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、上記実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、近年、70nm以下のパターンを露光するために、SOR又はプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置の開発が行われている。この装置においては、円弧照明を用いてマスクとウエハを同期走査してスキャン露光する構成が考えられるので、かかる装置にも本発明を好適に適用することができる。この他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞をウエハ上に形成することによって、ウエハ上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
また、物体上にパターンを形成する装置は前述の露光装置(リソグラフィシステム)に限られず、例えばインクジェット方式にて物体上にパターンを形成する装置にも本発明を適用することができる。
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものではなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
なお、本発明の移動体駆動システム、移動体駆動方法は、露光装置に限らず、その他の基板の処理装置(例えば、レーザリペア装置、基板検査装置その他)、あるいはその他の精密機械における試料の位置決め装置、ワイヤーボンディング装置等の2次元面内で移動するステージ等の移動体を備えた装置にも広く適用できる。
半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、シリコン材料からウエハを形成するステップ、前述した実施形態の露光装置(パターン形成装置)によりレチクル(マスク)に形成されたパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、及び検査ステップ等を経て製造される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程において上記実施形態の露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法(パターン形成方法)が用いられるので、重ね合せ精度を高く維持しつつ、高スループットな露光を行うことができる。従って、微細パターンが形成された高集積度のマイクロデバイスの生産性を向上することができる。